宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

4/2命の水を守る市民集会 水道事業は誰のもの? Part.1 報告「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏

2023年4月2日、仙台市弁護士会館4Fホールにて、命の水を守る市民ネットワークみやぎ主催の「命の水を守る市民集会 水道事業は誰のもの?  」が開催されました。

 

 

今回の記事内容

開会の挨拶

報告「宮城の水道民営化  一年目で見えてきたもの」 小川静治氏

◆ 全国の先陣を切って公共施設の民営化をやっている宮城県

◆ みずむすびマネジメントみやぎの経営審査委員会での報告を1枚にまとめると

◆ ①物価上昇に伴う”健全経営”への懸念

◆ ②上水道 濁度上昇事故の発生とその対応

◆ ③汚泥含水率の管理目標値設定の誤りとその対応

◆ ④まったく不十分な情報開示

 

開会の挨拶

 

多々良さん(命の水を守る市民ネットワークみやぎ)

全国初の上水道を含めた県営水道事業、大規模に、たった1社にですね、その運営権を売却するということを宮城県はやったわけです。

本日の集会では、その宮城の水道民営化、1年を振り返ってどうだったのか? ということをまず確認し合い、そのうえで、宮城県の水道事業、県民の手に取り戻していくためには、これからどうしていけばいいだろうか? ということを、みなさんと共に考える集会にしたいというふうに思っています。よろしくお願いします。

それでは、まず最初に、私たち命の水を守る市民ネットワークみやぎの共同代表中嶋信よりご挨拶申し上げます。中嶋さん、よろしくお願いします。

中嶋共同代表(命の水を守る市民ネットワークみやぎ)

あの、中嶋でございます。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。あのう、簡単に開会の趣旨を説明いたします。

あのう、今こそ、水問題について活発な議論が必要だと思います。それの下地を作るというのが、今回の集会の目的であります。

あの、ご存知のように、憲法の25条にはですね、健康で文化的な生活を営む権利っていうのは明記されているわけですね。

それを踏まえて、えー、1957年に水道法ができました。で、私達の生活を安心を確保しようということでありますけども、その後、少し路線が変更されました。えー、目的にですね、公共サービス成長戦略というものが加えられていくんですね。

えー、水はみなさんの生活の基礎なんだけども、それだけではもったいないから、これで金儲けをしたいっていうふうに考えた、えー、首相がおりまして、それで、それは2015年の骨太の方針の中に書き込まれております。

だから、健康で文化的な生活を営むっていうやつに加えてですね、儲けを増やすという、そういう宗旨がつけ加わって、で、その結果として、どうもその政策の中身が、曖昧なものが含まれることになってしまいました。

あのう、なぜ成長戦略と水道か? って話なんですけども。これはEUヨーロッパ共同体の事業の中でですね、特に、その水事業について、これが成長戦略に役に立ったという事実があったわけですね。

あの、公共サービス、たとえば水道もそうですけども、公営住宅の提供とか、高齢者福祉の施設を運営とか、このような公共サービスを充実させるっていうのは、単に人権問題だけではなくて、経済成長に寄与するっていうふうに、EUではそういう実績を作ったわけです。そこで、それを日本で真似をしましょうということになったわけでありますね。

あのう、ただ、その成長戦略を指向するとですね、健全な水循環、ここに目が離れてしまうっていう問題があるわけですね。

ですから、私達のきちんとした目標を確認したうえで、それにふさわしい政策をどうするのか? これについては十分に議論が必要だろうと思うんですね。

で、そこで、この問題に関わる全国的な動き、これを平岡先生から紹介していただきたいなっていうことで、お願いした次第です。

あのう、まだ移動中でありますから、いろいろとわからないこともたくさんありますけれども、一緒に勉強してですね、それで国民の声をしっかりとしたものにしていきたいなというふうに考えております。

あのう、公共サービス基本法というのがあります。えー、あのう、それは基本としてはですね、国民意見を反映する事業をしなきゃいけないってことになってるんですけども、他の金儲けの目的などが入ってきますと、どうしても歪んでしまうんですね。本来の事業から遊離している可能性があります。

これを誰が質すか? これは国民しかないわけです。ですから、今日、あのう、お話を聞くだけではなくて、議論をして、これから水道事業をどう変えていくのか? っていうところまで、議論を広げていきたいと思います。

えー、ちょっとが限られた時間で申し訳ありませんけれども、お付き合いくださるようにお願いいたします。失礼いたしました。

多々良さん(命の水を守る市民ネットワークみやぎ)

ハイ、えー、中嶋さん、ありがとうございました。

えーとー、今日の集会の構成ですけども、えー、ま、みなさんに、会場のみなさんにお配りした、えー、資料の表紙にもありますとおり、まず第1部として、えー、私達の市民ネットワークの小川さんから、えー、「宮城の水道民営化 この1年で見えてきたもの」と題して、ご報告をいただきます。だいたい20分ぐらいを予定しています。

その後、えー、第2部として、立命館大学の平岡先生からご講演をいただきます。奈良県の事例を中心にご紹介いただきます。また改めて、後で詳しくご紹介したいと思います。だいたい講演の時間は1時間を予定しております。

その後、えー、30分ぐらいは質疑応答の時間、取ってありますから、ぜひですね、みなさから活発な、えー、質問、ご意見いただきたいというふうに思っています。よろしくお願いします。

それでは、早速、えー、小川静治さん、えー、「宮城の水道民営化 この1年で見えてきたもの」、ご報告よろしくお願いします。

 

報告「宮城の水道民営化  一年目で見えてきたもの」 小川静治氏

 

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

 

◆ 全国の先陣を切って公共施設の民営化をやっている宮城県

小川さん(命の水を守る市民ネットワークみやぎ)
えー、ただいまご紹介いただきました、あの、小川でございます。えー、20分間、約20分間、現在、水道の民営化の状況がどういう状況なのか? ということにつきまして、えー、ご報告させていただいて、えー、「みなさんと、この後、議論を重ねていきたいというふうに思っております。

えーと、お手元にも資料を配らせていただきました、えー、最初のページにですね、 ぐちゃぐちゃっとした表がございますが。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

ここで私が何を言いたかっていうと、この赤く囲ってある部分というのは、宮城県に関係することなんですね。で、これ、全国バージョンですので、全国の中で、宮城県が、この赤で囲った部分、つまり、えー、公共施設の民営化ということを全国の先陣を切ってやってるってことが、こういうことでよくわかるわけですね。

で、あのう、たとえば、左側の真ん中ぐらいに、水道の問題もありますけれども、現実的には、大阪府だとか伊豆の国市だとかっていうことで導入が進められたということになっていますが、たとえば大阪市では、もう頓挫をしてしまってるとかっていうことですね。

全体的に見ますと、このように宮城県が、公共施設の運営に関して、民営化が突出して進んでるということが一目瞭然です。

で、左の端のところに入れましたけれども、えー、2018年12月に水道法改正されてですね、えー、かっこ付きですが、民営化に道が開かれたにもかかわらず、このように、水道の民営化が5年近くたっても、具体化してないということなんですよ。 宮城県がこういうふうにポーンと飛び出ていますけど。

こういうことを見てもわかりますようにですね、現在の宮城県の状況の異常さということから見る必要があると思います。

◆ みずむすびマネジメントみやぎの経営審査委員会での報告を1枚にまとめると

続いて次のページですが。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

これは、あの、詳しくはご説明、後で、あのう、4つの内容についてご説明しますけれども、えー、民営化に伴って、えー、それを、運営権者であるみずむすびマネジメント社と、マネジメントみやぎ社、略してMMMと言うんだそうですけども、ここが、あの、経営審査委員会に提出した、まあ、10ページ、20ページぐらい、もっとありますね、40ページぐらいの報告用紙を、「じゃ、1枚にまとめると、こういうことですね」っていうんで、まとめたっていうものです。

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宮城県上工下水一体官民連携運営事業 上半期の事業運営状況について株式会社みずむすびマネジメントみやぎ 令和5年1月25日https://www.pref.miyagi.jp/documents/36868/02_document2.pdf

詳しい中身は、あのう、特段いいと思います。あのう、赤文字で記載した部分、この部分が、あー、半年間のみずむすびマネジメント社の報告から、問題として見ることができる、問題があるなということで見ることができるテーマということで、あの、赤字の部分を見ていただきたいと思います。

◆ ①物価上昇に伴う”健全経営”への懸念

それでは最初に、第1の問題なんです。これは物価上昇に伴う健全経営の懸念というふうにタイトルしました。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

で、ご存知のとおり、いま物価値上げが非常に激しい。その中でも特に、電力費が高騰しています。半端じゃないわけですね。で、この半端じゃない電力料金の値上げ、これは下水道事業がモロに受ける、そういう構造になっています。

つまり、後でもちょっと触れますけれども、あのう、下水道っていうのは、汚水ですから、扱うのは。汚水をきれいにするっていうプロセスを、プラントでやっていくわけですよね。ということは、そのきれいにする作業の中で、あのう、工程の中で、電気がものすごい量、使うんですね。

ですから、電力料金が上がるということは、即その経営に影響を与える。具体的に、これ、私が書いたんではなくて、みずむすび社が書いた報告ですけれども、えー、今期、つまり3月の30日までの、この終わった3月30日までの期で、「3億円の営業利益を下押しすることになるだろう」

つまり、利益を食ってしまうっていうことですね、そのう、3億円。で、「このまま、ずうっと続くと、来期は5億円程度、下押しするだろう」というふうに、あのう、報告しています。

この5億っていうお金は、大変なやっぱり金額です。このことが、みずむすびマネジメント社の、特に下水道4事業にどういう影響を与えるのか? ということは、非常に注目しておく必要があるというふうに思います。

で、次のページで、あのう、ご覧いただきたいんですが、これは、下水道事業以外の、要するに民営化された事業、これの経営計画の抜粋です。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

で、右側のほうに四角く囲ってあるのが、4つの下水道事業なんですね。で、この赤字で書いてありますけれども、たとえば、営業利益だとか経常利益は、上半期全部赤というふうな数字になっています。

で、その下2行が、年間トータルの計画です。つまり年間トータルでも赤字になっているということですね。

つまり、そもそも最初から、下水道事業というのは赤字の計画であったんだっていうことです。

これって、ご存知でした? っていう話なんですよ。「下水が赤字になります」ということを、県民は、じゃあ、知らされていたんだろうか? と、民営化に伴って。私は聞いたことがない。

で、この、あくまでも計画でも赤字だったわけですから、それが、先ほど見ていただいたように電力料金高騰に伴って、さらに赤字幅が拡大するだろうということです。

で、これは、あの、そういう点で言えば、健全経営ということがちゃんと担保されるんだろうか? ということについて、疑念を抱くのは自然のことだと思います。

で、このことについて、みずむすびマネジメント社は、経営審査委員会にこのシートで説明したんです。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

今ご覧いただいてるシートです。これ、ちょっとわかりづらいんですけど、これ、ちょっと拡大しますとですね、こうなるんですね。

ちょうどこのポイントのところで、ここのチャートですけども、「水道だとか工業用水だとかは、単年度黒字をずっと続けますよ」ということで、「黒字は確保されるという計画なんです」、と。

ところが、これ、下水です。下水は、ここのところ、ホント小さくてわかりづらいんですけど、赤字、これ、あの、黒赤の、ま、ゼロですね。利益がゼロの線が、この線です。で、下のほうに行けば、赤字ってことですね。ですから、「最初のほうで赤字になりますけど、後ろのほうで挽回しますから、全体としては黒字になるんです」っていうのが、みずむすび社の説明です。

「ホントかいな? 」ということですね。実際になぜそういうふうになるのか? ということで、みずむすび社が下水道のことについて説明したのが、テープ起こしをしていただいてわかったんですけども、えー、いわゆる、「減価償却費が入っていないんです」っていうふうに言うんですよ。減価償却費が入っていないので、その分、実費精算なので、赤字幅が大きいんだ」と。

よくわからないんですね、その説明が。減価償却ってのは、なんで下水道がそのような形でないんですか? 」っていうことについて、説明しなきゃいけないわけです。この下のところにありますけれども、四角く囲ってある、四角のマーキングしてありますが。

筆者注)この件について、みずむすびマネジメントみやぎの守屋取締役経営管理部長は、1/25 令和4年度第2回経営審査委員会で下記のように述べています。

ブログ「宮城県の水道民営化問題」2023.03.02 記事より

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運営権売却の時にですね、実は、3グループが、「私達やりたい」っていう手を挙げたわけですね。その内の一つが、JPFEグループというグループだったんです。これは、浜松で下水道事業を既にやっていたとこなんです。経験済みなんですよ。

で、この経験済みのグループが、20年間の損失を織り込んだ下水道計画を出したらしいんですよ。で、それは、健全経営に懸念が残るということで、えー、失格。赤字は駄目っていうことで、失格になった。だから採用されてないわけです。

だから、3社応募したけど、2社の競争だった。そのうちの一社が、ま、現みずむすびマネジメント社が、運営権を獲得したということですね。つまり、JFEグループ、この3グループが応募した時の議論で、赤字っていう問題は、非常にナーバスに、経営審査委員会、採用する委員会が検討したということが、このことによってわかるわけですけど。

じゃあ、第1期目の事業をやって赤字になったということについて、きちっと説明する必要があるわけです。しかし、そんなことは何も説明してないんですね。わからないんです。で、この問題が、あのう、非常に大きくあります。

で、そもそもですね、下水道事業っていうのは、厳しいっていうことなんですよ。で、詳しくは、後で項目で書いておきましたけれども、あの、日本全国で水洗化が、あっという間に進みましたよね。もう30年40年ぐらいのところで。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

で、それは料金収入を、料金を安くしたってことなんですね。で、下水道事業それ自体は、先ほど言いましたように設備投資、ものすごいお金がかかる、運営コストにものすごいお金がかかるということで、ここに、あの、減価償却費が水道事業よりも3倍、4倍になるという図を、これ、あのう、ある本から取ったんですけれども。

ま、このように、その、下水道事業トータルが、トータルの下水道事業というものを考えた時にですね、そもそも厳しいんだ、と。厳しい状況が、なぜ、あのう、この1年目のところでですね、このような現れ方をしたのか? ということについては、説明する必要があるというふうに思います。

◆ ②上水道 濁度上昇事故の発生とその対応

2番目でわかったことの中でも、2番目の点では、濁度上昇事故というのが上水道で起こりました。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

去年の12月です。で、ま、要するに、あのう、実際に作業する人が作業手順を間違っちゃったために、閉めちゃいけない栓を閉めちゃった、と。で、閉めたことによって、おかしいってことがすぐわかって、あのう、仙台市からの通報でわかって、県のほうで、あるいは運営委託者のほうで、すぐまた水をもう1回流した、と。

そしたら、急に水がバーッと行ったもんだから、水道管の中に含まれてる濁室部分が溶け出して、それが、あのう、全体の水の濁度を上昇させる、そういう結果になったわけですね。

で、ま、そういう、あの、事故っていうのはないわけではないです。あるあり得るわけですね。いろんな、これぐらいの、あの、機械設備を使ってやる場合に、機械が故障するってことはあり得るわけです。

問題なのは、この左の端のところに、私はびっくりしましたけども、「作業手順マニュアルは、これまでも民間業者に委託していたので、県としてのマニュアルは存在しませんでした」と。要するに、県がやってた時も、マニュアルなかったってわけです。

村井知事は開き直って、こういうふうにマニュアルなかったんだから、今回起こった事故ってのは仕方がないんだと、民営化されようがされまいが、起こった可能性があるんだというようなことを言ってるわけですね。ま、完全に開き直りなわけですけども。

筆者注)県議会での村井知事の答弁は、下記のとおりでした。

ブログ「宮城県の水道民営化問題」2023.02.24 記事より

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県が考えなきゃいけないのは、ここなんです。やはり、あの、今回、全体に大きな影響する事故にはつながらなかったけれども、県が水道事業をトータルにマネジメントする。

つまり、たとえば、あの、みずむすびマネジメント社にですね、「マニュアルをちゃんと整備しなさい」と、この、今回のこの部分のですね、高区調整池の緊急遮断弁が閉じた、ま、それに関わる業務のマニュアルだけではなくて、それ以外の業務も含めて、どうなってるのか? っていうことについて、きちっと総ざらいをするということを指示しなきゃいけないわけですね。

要するに、県が運営してるわけです、トータルで言えば。 丸投げしちゃいけないっていうことです。

で、そういう意味で、あのう、県のマネジメント、トータルマネジメントがどうだったのか? ということについて、県自身、教訓化する必要がある、と。だけど、その教訓化はあまりされてないようです。あのう、聞くところによればですね。

◆ ③汚泥含水率の管理目標値設定の誤りとその対応

3番目の問題は、これはですね、あの、ちょっと複雑なので、できるだけ簡略に言いたいと思いますが。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

これ、下水道の問題です。下水道ってのは、先ほどちょっと触れましたけれども、この一番最後の工程で、家庭から来た水が、最終的には川や海に流されるんですけど、きれいにしてね、汚れた部分というのは、ここにありますように、汚泥ということで、汚れた泥と書くんですね、この汚泥を処理してから水を放流する、と。

で、この汚泥の量っていうのは、この汚泥というのは、水を含んでるわけですね、当然。水からずっと絞っていくわけですから、水分まだ完全に抜けきらないっていうことがいっぱいあるわけです。これを含水率というふうに言うんですね。

これで、この含水率を何パーセントにするかっていう目標を、それぞれのプラントごとに立てながらやるということになっています。で、そのプラントごと、つまり、この4つの流域下水道事業のプラントで、たとえば、いま言った含水率については、この過去実績と、それから、マネジメント社が設定した目標値がありますけども、仙塩、阿武隈、だいたい今までと、過去実績とイコールなんですね。

ところが、成瀬川と吉田川は、このように大きく乖離していったんですね、目標値が。今までの実績値が79.9なのに76ってことで大幅に下がっていた、目標値が。で、私たちは、「これ、勘違いなんじゃないですか? 」と。この赤の点線の部分です。

鳴瀬川は、76ではなくて80だったんじゃないですか? 」と、目標値が。「それと同じように、吉田川は76だったんじゃないですか? 」っていうふうに質問したんです、県に。

そしたら、その答えが、右側なんです。後で見ていただければいいんですけど、自信満々です。私たちの経験から言えば、要するに、みずむすびマネジメント社、メタウォーターグループの経験によれば、「できるんです」と。「今のプラントの力から言えば、さらに向上させることも可能なんです」というふうなことを答えたんですね、私たちに。

こんなに自信ある言い方をするっていうのは、よっぽど自信があるんだなっていうふうに思ったんですが、次のこのシート、ちょっとチャートを見ていただきたいんですけども。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

先ほど言った仙塩、それから、県南のその2つの川の流域では、この黄色い部分ってのは目標値だったんですね。で、縦の青い棒グラフが実績値です。だから、目標値と実績値、ほぼ一致してるんですね、この上の2つは。

ところが、その下、左側成瀬川ですね。右側が吉田川ですが、みなさん方、あのう、たとえば、成瀬川のこの黄色いやつを、鉛筆で右側の方に引っ張ってってもらえばいいんですよ。そうするとピタリ、大和浄化センターの目標値のところにピターッと合います。

で、逆に、吉田川の大和浄化センターの黄色い線を、左の方に伸ばしていただいてみると、きれいに鹿島台浄化センターの目標値に重なるんです。だから、間違いなんです。

ところが、経営審査委員会にみずむすびマネジメント社が報告したのは、「提案段階では、詳細な運転条件が不明だったために、いくつかの仮定想定を置いて目標値を設定した」と。この前の自信満々の回答と、いかにも異なるわけです。

で、これはですね、まあ、こういうふうにしか言いようがなかったんだろうなと思うんですけど、最後まで、「間違いでした」と言わないんですよ。「薬品それから運搬費等々を総合的に勘案して、実績値よりも含水率を上下させるチャレンジをするんだ」と。

つまり、鹿島台の浄化センターであれば、「大幅にオーバーしちゃったけれども、目標値に近づけるようにチャレンジします」って、ていうふうに経営審査委員会に言ったわけです。

ところが、最後に逃げを打ってですね、「今年度の実績値を踏まえて、県と協議のうえ、管理目標値を調整していきます」と。で、「調整しました」っていうことなんです、次のこのページは。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

3月15日の建設企業委員会で、「来年度は目標値変えますから」って言うんで、先ほど両方取り違えたんじゃないかって言ったとおりに、変えるんです。だから、私たちが指摘したことは正しかったというふうに、私は、いま言って思うんです。

しかし、そのことは認めないんですね。で、県企業局の(公営)企業管理者という人が言ってるのは、この左側の下のところですけれども、読んでみるとですね、馬鹿らしくて言いたくないんですけど、

「提案段階の想定で実際現場でやってみると、差異があって、脱水と運搬と償却という汚泥処理全体を最適化するためにどのような含水率を目標にすればいいか? 今年度行った試行錯誤を踏まえて、最適な方向性を模索しながら設定したものというふうに理解しています」

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宮城県ってのは、こんなことを発言する宮城県の担当者っていうのは、責任者なんですからね、この下水道の問題についての。責任者が、運営者が、「こういうふうに変える」というふうに言ったことについて、「このように理解してます」と。なんと、当事者性のないことかというふうに思います。

ま、実質的には、取り違いを認めたというふうに私は思いますけれども、であれば経営審査委員会に言った、「チャレンジをするだ」とかいうふうにいろいろ言ったことは、どういうことを行ったんですか? どういうことをやったんですか? というふうに言わざるを得ないわけです。方便だったんじゃないですか? っていうことです。

そういうことをやっちゃいけないと思うんですね。一度何かミスったら、それは仕方がないから、「ごめんなさい。ここは間違えました」って、認めればいいわけですよ。何も、その揚げ足取りを僕らがやろうなんてことを、考えてるわけではないわけです。そういう意味で、見苦しいなというのが私の意見です。

◆ ④まったく不十分な情報開示

それから、4番目の問題。

「宮城の水道民営化 一年目で見えてきたもの」小川静治氏報告資料 より

これはですね、あのう、ま、今日の公開質問状のコピーでも明らかなわけですけれども、情報開示の問題が圧倒的に不足してるんです。

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そもそもですね、経営審査委員会ってのは年2回なんですよ。2回しか開かれないんです。2回しか開かれないで、その傍聴はできるんですよ。傍聴はできるんですが、人数は極めて限られています。

そして、ここに入れてありますけれども、民営化前の宮城県の県民への説明、これ、コロナを利用したんですね。

コロナが、ま、あの、説明会をやるうえではネックになりますので、「回数を限定せざるを得ない」とか「会場の人数を限定せざるを得ない」とか、いろいろ言って。

結局、2019年から2021年までの、全部これ、県公表してるんですね、人数を。公表してるやつ、私、集計してみたんですけど、3年間で500人。延べ500人の人にしか説明してないんですよ。

まあ、「こんな馬鹿な話あるか? 」ということなんですよ。あの、民営化するのに500人にしか説明してない。

そして、村井知事は知事選挙の時にですね、言ったのは、今でも、私は、あのう、鮮明に覚えてますけれども、「多くの人たちが賛成してるんです。みなさん方、反対、反対って言うけれども、多くの人は賛成してるんですよ」と。「私のところに、賛成だから是非やってくれっていうことで、言ってくるんです」と。

これ、いろんなことにですね、4病院の問題も同じようなことを言うんですよ。「私のところには、違う意見いっぱいあります」と。

ところが、河北新報世論調査をしたら、6割の人は否定的だったわけですよ、水道の民営化の問題について。だから、村井知事はそう言ったけども、県民はそう思ってないってことです。

それは、圧倒的に説明が不足してるからだ、と。だから、もう一方で、「民営化後に、じゃあ、県民への説明会っての、県やったのか? 」っていうことです。

一度もやってないですよ。「民営化しました。今、こういう状況になってます」と、「こういう到達点です」というようなことを、 説明会は1回もやってません。たぶん、この後もやらないでしょうね。 あのう、宮城県の現在の姿勢からすれば。

で、そういう意味で言えば、徹底して情報開示が必要です。県が言うところのみやぎ型管理運営方式っていうものが、じゃあ、どういうふうに進んでるのか? っていうことを、きちっと報告しなさいっていうことです。

で、具体的には、たとえば事業費ですね。これは、あのう、「ものすごいいっぱい削減するんですよ」っていうことで、ここに、「287億円のみずむすびマネジメント社は削減するんです」というふうに言っていました。

じゃあ、1年間終わった中で、この事業費の削減はどのように削減されたのか? っていうことを報告する責任が、みずむすびマネジメント社にもありますし、県にもあります。

人件費がなぜ減ったのか? 動力費はどうなってるのか? これ、動力費は48億円削減するって言ってんですから。これは絶対不可能だと思いますけども。あのう、そういう意味で、変わってきていることを説明させるっていうことが必要です。

それから、もう1つは、みずむすびマネジメント社が掲げたいろんな方針、これが、どういうふうに、じゃ、実践されたのか? ということ。

それから、今回の水道の民営化って、そもそもはですね、県が説明したのは、「水道料金の上昇を抑えるんだ」と。「そのためには、長期にわたって取り組みが必要なんだ」っていうことだったんですよ。

「じゃあ、この水道料金の上昇を抑えるうえで、どれぐらいの貢献をこの1年間したんですか? 」と、「どういう効果を発揮したんですか? 」というふうなことを説明しなきゃいけない。これらのことを説明しないっていうのはですね、非常に、あのう、大きな問題があると思います。

で、これらの問題はですね、県議会に限らず、市議会、市町村議会ですね、議員の方々に頑張ってもらわなくちゃいけないんですよ、「公開させろ」っていうことで。

で、県から受水してるでんすから、市町村は。ですから、その受水してる胴元のところで、どういう状況になってるのか? を、市町村に説明させるっていうのは、当たり前のことじゃないですか。だから、それを議員の人たちが頑張らなきゃいけないっていうふうに私は思います。

もちろん、市民がこういう形で、いろんな形で議論するってのは当然ですけども、議員の人たちも、これで頑張っていただく必要があるなというふうに、改めて私自身も思っていたということです。

ま、あのう、その他にも、細かい点で言えばいくつかないわけではないんですけども、大きく言うと、この4つの問題が、現時点で大きな問題として私達の目の前にあるんではないかということです。

ま、みなさん方と、あのう、議論していきたいなというふうに思っております。私のほうからの報告は、以上で終了させていただきます。ありがとうございました。

多々良さん(命の水を守る市民ネットワークみやぎ)

ハイ、小川さんありがとうございました。えー、小川さんは、今の報告でもわかったと思いますけども、えー、県やみずむすびの資料を詳細に読み込んで分析されている、私たちの、えー、市民ネットワークの知恵袋です。本当に頼りになる、ハイ。

というわけでですね、今の小川さんの報告から、この1年間だけでも、えー、宮城県の水道事業に、さまざまな問題点が浮かび上がってきているということがわかりました。

そのことを共有したうえで、「では、これからどうしていこう? 」ということを考えていく上で、えー、次にですね、えー、立命館大学の平岡先生にご講演をいただきたいというふうに思っております。