宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

2/17命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、 村井知事宛ての「みやぎ型管理運営方式の運営状況に関する公開質問状」を提出しました!

2023年2月17日、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、村井知事宛ての「みやぎ型管理運営方式の運営状況に関する公開質問状」を提出しました。

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この件について、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが Facebook で報告している記事の全文を再掲させていただきます。

注)カラー・太文字等は、ブログ筆者が付しました。

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ Facebook より

本日(2/17)、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎは、村井知事宛ての「みやぎ型管理運営方式の運営状況に関する公開質問状」を提出しました。
宮城県側は企業局水道経営課が受け取りました。県には3月31日までの文書回答とその後の「説明の場」の設定を求めています。
この公開質問状は、一年目の民営化事業を振り返って、わからないことやもっと説明してほしいことをまとめたもので、次の4項目にわたっています。

1.下水汚泥処理(含水率他)に関して
2.下水道事業の赤字に関して
3.仙南・仙塩広域水道用水供給事業における濁度上昇事故に関して
4.㈱みずむすびマネジメント・サービスみやぎ社の情報 公開に関して

2022年4月より宮城県の水道民営化(みやぎ型管理運営方式)が始まりましたが、県民の理解が不十分なまま強行されたもので、いまだ多くの県民が事業内容を理解できないままでいます。私たちは、水道事業が県民から遠い存在になってしまうことがあってはならないと考えています。公開質問状提出によって、県や水むすびに県民との対話を促し、水道事業を県民に開かれたものしていきたいと考えています。皆さん、ぜひご注目ください。

以下は、本日提出した公開質問状の全文です。
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2023年2月17日
宮城県知事 村井嘉浩 様
命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ
共同代表 佐久間敬子 中嶋信
宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)の運営状況に関する公開質問状

私たち「命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ」は、「宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)」の導入に反対し、よりよい水道事業を創っていくことに取り組んできました。

自治体が経営する全国の上下水道事業は苦境に立たされています。人口減少と節水技術の進歩による収入減、高度成長期に整備された施設・設備の老朽化、職員の削減による技術力の低下やノウハウ継承の不十分さなどに直面しています。

私たちはこうした状況だからこそ、県民と行政がともに水道事業の現状を共有しつつ、将来のあるべき方向性をともに議論し、将来展望を切り拓く努力が求められていると考えています。そして、「みやぎ型管理運営方式」が開始された現在においても、水道事業は最終的には住民参加と情報公開を原則とした公共サービスとして運営されることが必要であると考えています。

2022年4月より「みやぎ型管理運営方式」の事業が開始されました。

この事業は「否定的な意見が6割を超える」(2021年10月13日河北新報宮城県知事選挙における県民意識調査。なお、肯定的な意見は22%)という報道からも明らかなように、県民の理解が不十分なまま強行されたもので、いまだ多くの県民が事業内容を理解できないままでいます。事業開始から10か月経過し、この間2022年8月、2023年1月に経営審査委員会が開催され、事業の進捗状況等が開示されています。その内容を広く県民に理解を拡げる説明の場を設ける必要があります。

以上のような考え方から、私たちは「みやぎ型管理運営方式」の運営状況について、県民が理解できるよう、わからないことやもっと説明してほしいことをまとめました。この質疑を通じて、少しでも多くの県民の理解が促進される機会となるよう「公開質問状」という形で取りまとめました。

 御多忙のところ恐れいりますが、本状の質問内容に対する文書回答は、下記あてに3月31日(金)までお願い申し上げます。

また、文書回答の後に、㈱みずむすびマネジメントみやぎ、㈱みずむすびサービスみやぎ両社同席の上、宮城県から説明の場を設けていただきますようお願い申し上げます。

1.下水汚泥処理(含水率他)に関して

(令和4年度第2回経営審査委員会資料-2「上半期の事業運営状況について」11ページ)
 私たちは2021年6月28日に、水道民営化に関わる県議会への議案提出の撤回を求める要請書を提出しました。その要請文のなかで鳴瀬川流域下水道と吉田川流域下水道の汚泥含水率の管理目標値を取り違えているのではないか?」と指摘しました。民営化前の実績値に比べて鳴瀬川流域下水道は目標値が高すぎ、吉田川流域下水道は低すぎるというものでした。

この指摘について「応募者からの提案内容に係る確認事項について」(令和3年6月22日付企業局水道経営課)では、メタウオーターグループからの目標値設定理由が説明されています。鹿島台浄化センター(鳴瀬川流域下水道)は「(本提案=含水率目標値は)提案者の経験から適切と考えられる管理目標値を鹿島台浄化センターの処理方式や設備構成から判断して設定している」。大和浄化センター(吉田川流域下水道)は「含水率を低減するための費用と焼却にかかる費用のバランスを考慮し、提案者の経験も踏まえた上で、提案された含水率が費用的に全体最適となる想定として提案されている」と説明されています。いずれも提案者の経験や当該浄化センターの設備仕様から目標値は蓋然性があるということでした。

 本年1月25日に開催された「令和4年度第2回経営審査委員会」に提出された株式会社みずむすびマネジメントみやぎ社(以下MM社)「資料-2」11ページで、汚泥処理(含水率他)の管理目標値の達成状況(半期)が図版で説明されています。
 それによれば鹿島台浄化センター(鳴瀬川流域下水道)は含水率目標値(%)76.0±0.8に対し実績値は約80で目標値が高すぎるため大幅未達成、大和浄化センター(吉田川流域下水道)は同80.0±0.5に対し同約76%と目標値が低すぎるため大幅超過達成という異常値であったことが示されています。

質問1. 運営権者となったメタウオーターグループが作成した「提案概要(10ページ)」では「業務開始当初」から上記の管理目標値とすることが明記されています。なぜ4月度から鹿島台浄化センター含水率管理目標値は大幅未達成となり、大和浄化センターは大幅達成となったのか?その理由をお答えください。

質問2. MM社「資料-2」11ページによれば、管理目標値は「提案段階では詳細な運転条件が不明だったため、いくつかの仮定・想定を置いて」設定したと説明しています。
業務開始前は「経験から適切、経験を踏まえて全体最適」の目標値を置いたとその蓋然性を強調して説明し、業務開始してみたら「提案段階ではよくわからなかったから目標値は仮定・想定を置いた」ので目標値との間で異常値が発生したという説明です。どちらの説明が正しいのでしょうか。

質問3.  MM社「資料-2」11ページによれば、管理目標値達成に向けて「薬品費、運搬費、人件費等を総合的に勘案して実績より含水率を上下させるチャレンジ」をするとしています。それらチャレンジ項目の内容と目標値を示し、今後の含水率目標値達成の見通しをお答えください。

質問4. 管理目標値について「今年度の実績を踏まえて県と協議の上で管理目標を調整していく」としていますが、業務開始当初からの管理目標は様々な事前調査から相当慎重に設定されたはずです。しかし、このように記述するということは、質問3.で記した「チャレンジ」は、すでに達成できないと見通しているのですか。

2.下水道事業の赤字に関して

(令和4年度第2回経営審査委員会資料-2「上半期の事業運営状況について」24・28ページ、資料-4「著しい物価変動に基づく運営権者収受額の臨時改定」4ページ)

第2回経営審査委員会でMM社は下記のように説明しました。

「下水道事業が赤字基調になっているという理由を説明する。下水道事業の売上は平均化されている。収支計画の中に改築によって生じる減価償却費が入っていない。従って、事業期間の後半には維持管理費用の低減を見込み利益を見込めるが、事業期間初期にはその大きな費用が問題になってくる。

 この初期の費用をまかなうために提案段階で赤字にならないように売上水準を全体で挙げることもできたのだが、それをすると公募競争時の我々の競争性の問題とか、20年間トータルで赤字にならないようにするという前提があったので、その条件との兼ね合いでなるべく低い水準に提案することを踏まえた結果、この事業期間の当初前半の赤字を許容するという計画になっている。20年間トータルすると基本的には黒字の計画ということに変わりはない。」

質問1.  改築による「減価償却が入っていない」ので事業期間初期には改築コストの負担が大きく赤字となるという説明ですが、半期間下水各事業における改築内容(改築・修繕設備名と改築コスト)を示し、各事業収支計画に与えた影響をお答えください。また20年間の改築内容と年度ごとのコストをお答えください。

質問2. 電力料金の値上げが相次いでいます。下水事業においては、動力費(電気料)の費用割合が高く、収支計画に影響を与えることが推測されます。現に仙台圏工業用水道事業など6事業で、物価変動を理由に、昨年7月から毎月、運営権者収受額の臨時改定(増額)が実施されています。月次運営権者収受額が改定前約1億800万円の仙塩流域下水道事業では2023年1月の収受額が約369万円の増額となっています。物価上昇の収支計画へ与える影響についてお答えください。

質問3. 県は運営権者の選定にあたり上工下水道事業ごとの経費削減期待率を設定しました。それに基づき247億円の事業費削減額を試算し、「それができない企業は最初から応募資格がないから、確実に事業費を削減できる」と私たちに説明してきました。事業開始から半期間での事業費(修繕費・薬品費・委託費)の削減状況を経費削減期待率と比較してお答えください。

3.仙南・仙塩広域水道用水供給事業における濁度上昇事故に関して

(令和4年度第2回経営審査委員会資料-2「上半期の事業運営状況について」47~50ページ)

2022年12月9日前11時43分,仙南・仙塩広域水道用水の濁度が上昇する事故が起こりました。県も運営権者も当初この事故の発生に気が付かず、仙台市水道局からの問い合わせによって事故から15分後になって、濁度発生の原因となった遮断弁を開扉したという顛末でした。発生から丸1日以上経過した翌10日午後4時半過ぎに事故は治まったと聞いています。県はこの事故を「要求水準違反レベル3」相当の事故と認定しています。
違反レベルは5段階ある違反の真ん中で、違反違約金額は1日当たり220万円と高額です。(ちなみに、水道用水供給事業の要求水準違反レベル1は違約金4万円、レベル2は13万円、4は440万円、5は3億円~4億円となっています)。

当該事故の原因は「点検時に実施すべき事前措置(養生作業)が不十分」だったとされています。また、資料上の記述はありませんが、MM社安東副社長は「養生作業が不十分だったことのほかにも、点検手順が不足していたり、業務のチェック体制が不十分だったりという環境要因、重要な点検業務に係るリスク評価ができていなかったりという人的要因など品質管理に関わる大きな課題がある」と説明しました。また2月13日付で改善計画の完了を県に報告した旨、MM社ホームページに添付資料として事故内容分析資料が公開されています。

質問1. 事故原因を「点検時に実施すべき事前措置(養生作業)が不十分・不適切だったとしていますが、事前措置の「何が『不十分』・『不適切』だったのか」を明らかにしてください。それは令和4年12月12日県議会建設企業委員会で県が説明したように「運営権者が計装・制御機器の点検作業手順を誤った」のではないですか。それなら「なぜ作業手順を誤った」のかをお答えください。

質問2. 当該点検作業の手順を記した「手順書」についてお聞きします。

①手順書の作成主体はだれで、承認者はだれですか。

②手順書はMM社が業務開始後に新たに策定したものですか、以前からのものを転用したものですか。

③手順書の内容は記述間違いのないものだったのですか、作業者はその手順通りに作業したのですか。

質問3. 当該事故に関し、MM社としての今後の改善対策は記されていますが、宮城県としての今後の改善策は示されていません。どのようにお考えですか。

質問4. 12月21日、県が通知した改善命令書、MM社の改善計画書を公開してください。

4.㈱みずむすびマネジメント・サービスみやぎ社の情報公開に関して

質問1. MM社のホームページでは各種計画書ファイルが「PDF閲覧」しかできないのは使い勝手が悪いと経営審査委員の指摘があり、「別紙1」は「エクセル」ファイルが追加されダウンロード・印刷できるようになりました。しかし、それ以外は「PDF」ファイルで印刷不可の仕様のままです。例えば全体事業計画書の「別紙1 PDF閲覧」ファイルは拡大してもほとんど数値を読み取れません。そのうえ印刷できませんから、情報公開の意味がありません。改善が必要です。広く県民が、これらの情報にアクセスし、その内容を理解するために、データは印刷可能とし、適正なサイズに拡大するなど県の指導方針をお示しください。

以上

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ Facebook より

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ Facebook より

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