宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

2/24 第387回宮城県議会(令和5年2月定例会)代表質問における福島かずえ議員のみやぎ型に 関する質疑応答です!

2023年2月24日、宮城県議会(令和5年2月定例会)代表質問にて、福島かずえ県議が みやぎ型管理運営方式に関する質疑を行いました。

   宮城県議会インターネット中継動画より

miyagi-pref.stream.jfit.co.jp

 

福島かずえ議員(日本共産党宮城県会議員団)

テーマ4 県水道「コンセッション方式民営化」で起きた水質悪化事故と料金等改定手続き

昨年12月9日、仙南仙塩広域水道で水質悪化事故が起きました。

仙台市太白区茂庭高区調整池と白石市南部山中央監視室の間で、電気通信設備の定期点検作業を行った際に、緊急遮断弁が全閉するというトラブルから、翌10日に松島受水点で県基準0.1度を超える濁度0.4度が発生しました。

5段階の要求水準違反のうち、レベル3にあたる重大事故です。

直接的な原因は、事前措置として行った養生作業=実際に遮断弁が閉じないようにしていく作業で、二重のミスがあり、作動させてはいけない遮断弁が全閉したからと、運営権者=みずむすびマネジメントみやぎが説明しています。

そのような人為的ミスが生じたのは、養生作業についての手順書=マニュアルがなかったからです。年に1回だけの点検作業を、記憶や勘に頼るようでは失敗は防げません。

OM=維持管理会社=みずむすびサービスみやぎが維持管理を始めてから、定期点検中の事故やトラブルは、昨年8月に大崎広域水道中峰浄水場で、9月には仙塩工業用水事業の鶴ケ谷ポンプ場で起きており、これで3件目となります。

全ての定期点検作業において、それぞれの作業手順書が作成され、存在しているのか? その手順書を作業員が理解し、活用しているのか? 県は総点検すべきではないでしょうか。伺います。

また、茂庭で点検作業員の手順ミスがあったとしても、南部山の中央監視室の運転員がモニターでしっかりチェック していれば、直ちに異常が気づいたはずですが、約15分間見逃していました。

茂庭からの連絡で、ようやく遮断弁が全閉状態であることに気づくという、運転員の監視ミスもありました。

ミスの連鎖がこのような重大事故に繋がりましたが、全国初の「コンセッション方式民営化」がスタートして、わずか9ヶ月目に最も心配していた水質悪化事故が起きました。

昨年4月から現場の維持管理、運転作業を行っているOM会社の技術力が不安定であること、そして、運営権者の危機管理や事故防止という基本的なガバナンスが不十分であることが明らかになりました。

県民の十分な理解を得ないまま、強引にコンセッション方式を進めてきた村井知事が、この事故をどう受け止めているのか? 伺います。お答えください。

県は12月21日に運営権者に改善命令を出し、運営権者は改善計画書を1月12日に県に提出しました。

県はその計画にある改善対策が適切に行われているのか? 改善措置の有効性などを随時モニタリングし、改善対策をチェックする必要と責任があります。

改善が行われていないと判断した場合や、再発監視期間である3月31日までに、要求水準違反が再発した場合は、運営権者に対して1日に220万円の違約金を請求することができます。

県のモニタリングはどのように行っていますか? また、県が行ったモニタリング結果を、早急に県議会や県民に公表すべきです。いかがですか? 伺います。

県は、今回の事故を、仙台市水道局からの「水量が減っているが、何かあったのか? 」という問い合わせの一報で、初めてわかりました。

今回の事故の影響範囲は、仙台市、富谷市、多賀城市利府町塩釜市七ヶ浜町、松島町の4市3町におよびました。

県は、受水自治体や県民へ、安全安心な水を低廉に提供する責任があります。

運営権者から県への事故の第一報、企業局災害対策本部設置、関係市町への情報提供や対応策の報告、議会や県民への報告、いずれも遅く、不十分だったと言えます。

上半期に2回、定期点検中の事故、トラブルが発生していたのに、今回の重大事故を防ぐことができませんでした。運営権者のミスを見逃さない県の技術力の維持向上が求められています。

県も今回の重大事故を検証し、教訓を引き出すべきです。いかがですか? お答えください。

今年9月には、広域水道料金と流域下水道維持管理負担金の改定議案が出る予定です。関係市町村には既に金額案が提示され、その裏付けになる経営シミュレーション等の資料も配布されていますが、県議会や県民には非公開のままです。

県が全てを運営していた頃と違い、施設の維持管理や改築は、民間会社が行う中での初めての料金改定です。

県と関係市町村の間で覚書を交わす前に、必要な情報を県議会や県民に公開し、主権者である県民が、料金や維持管理負担金改定の議論に参加できる民主的な手続きを踏むべきです。

また、「20年間で総額337億円の経費削減ができる」と話してきたのですから、料金等を引き下げることを、市町村や県民は期待しています。広域水道も流域下水道も改定金額は値下げすべきです。あわせてお答えください。

佐藤達也公営企業管理者

大綱4点目、県水道「コンセッション方式民営化」で起きた水質悪化事故と料金等改定手続きについてのご質問のうち、定期点検作業における作業手順書の作成状況等についてのお尋ねにお答えいたします。

昨年12月、仙南仙塩広域水道で発生した濁度上昇は、高区調整池で実施していた電気通信設備の点検、定期点検において、養生作業が適切でなかったため、予期せず緊急遮断弁が作動したことが、直接的な原因であります。

この点検に当たっては、スケジュールや従事者等を記載した施工要領書は作成されていたものの、具体的な手順を明文化した作業手順書は作成されておりませんでした。

運営権者は、今回の事案を踏まえ、これまで必ずしも作成されていなかった作業手順書を、全ての定期点検で作成し、事前に読み合わせを実施するとともに、従事者への研修を行うなど、再発防止に向けた改善を図ったところであります。

県としては、今後作成される作業手順書と研修の実施状況などを確認し、安全安心の確保に努めてまいります。

次に、今回の事案に対する受け止めについてのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式においては、危機管理に関する要求水準として、BCPや危機管理マニュアルの策定等により、災害または事故等が発生した場合に、被害を最小限に抑制する体制の構築を求めており、運営権者は、訓練の実施等により対応能力の維持向上に努めております。

そのような中で発生した今回の事案については、水道法に定める水質基準は遵守しており、健康上の問題はないものの、県基準を超えた重大な事象と認識しております。

県としては、今回の事象について、実効性のある再発防止策や職員の技術力を向上するための教育研修等に、組織的かつ継続的に取り組んでいくことが、ガバナンスとして重要であると考えており、引き続き運営権者の改善状況を確認するとともに、厳格なモニタリングを継続し、水道事業者としての責任をしっかりと果たしてまいります。

次に、運営権者の改善計画に基づく対策の確認方法とその結果の公表についてのご質問にお答えいたします。

運営権者の改善計画書は、県と運営権者において、事故原因の究明と効果的な再発防止策について意見交換を行い、その結果を踏まえて作成したもので、1月10日に提出を受けております。

本計画においては、具体的な作業手順書の作成による業務改善、業務プロセスの改善や、水質を悪化させる可能性の高い業務等を抽出するリスク評価の実施に加え、事故対応力強化のための危機管理マニュアルの見直しなど、継続的な改善も行うこととしており、既に運営権者のホームページにおいて公表されているところであります。

www.mizumusubi.co.jp

県としては、点検作業への臨場や運営権者の研修に参加するなど、県職員が直接改善状況を確認したところであり、確認の結果等については、今後、議会へ報告するとともに、県のホームページにも掲載する予定としております。

次に、県も今回の事案を今後の教訓にすべきとのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式は、官民が連携して運営する事業であることから、運営権者のみならず、県職員の技術力の維持向上が重要であると認識しております。

このため、県では、職場研修に加え、日本水道協会や東京都が主催する研修に職員を派遣し、より高度な知識技術の習得にも努めているところであります。

さらに今回の事案を検証した上で、職員の異動等があった場合にも、迅速な対応が可能となるよう、事故や対応結果を記録保存し、活用していくほか、事故発生時の具体的な作業計画を策定する研修も実施するなど、さらなる技術力の向上に取り組んでまいります。

次に、水道料金等の改善についてのご質問にお答えいたします。

県の広域水道料金と流域下水道維持管理負担金は、県民生活に影響することから、今回の改定は大変重要であると認識しており、これまで議会に対して、会議資料や市町村の主な質問と県の回答内容などを示したところであり、今後も可能な限り、情報の提供に努めてまいります。

また、みやぎ型管理運営方式導入の効果については、管路の本格更新等に備えた経営基盤の強化等、料金上昇の抑制に活用することとし、次期料金に反映したうえで、市町村と協議を進めているところであり、県としては、市町村がその効果を最大限享受できるように引き続き協議してまいります。私からは、以上でございます。

福島かずえ議員(日本共産党宮城県会議員団)

道コンセッションは、知事、復興事業の一丁目一番地と、知事が押してきたものです。今回の事故の受け止めを、知事からも伺いたいと思います。

村井嘉浩知事

今回、まあ、あー、ミスを起こした業者というのはですね、実は、あの、下請け業者さんが間違ったわけですが、この業者さんは、あのう、えー、えー、みやぎ型管理運営方式が始まる前からやっていた業者さんなんです。

ですから、今回のみやぎ型管理運営方式によって、えー、なんか誤った手順が行われたわけではなく、ま、業者さんの作業員がミスをしてしまった、と。

それは、おそらく、ですから、これはわかりませんけれども、みやぎ型管理運営方式があったとしても、なかったとしても、起こっていた可能性があるというふうに思います。しかし、だからいいということでは、決してなくて、あのう、非常に反省しなければならないことだと思います。

今回、あのう、えー、みずむすびマネジメントのほうはですね、これ、非常に重く受け止めまして、全ての点検作業をマニュアル化して、きちっとチェックをするというふうにしました。

ここは、えー、その、コンセッションの前からですね、そういったマニュアルをしっかり作っていなかったということでありますので、これは、やはり、県としての大きな問題だというふうに思っております。

あのう、公営企業管理者のほうにはですね、「しっかりと、そういったことが起こらないようにチェックするように」ということを、厳しく、私のほうからも、えー、言わせていただいているところでございます。これについては、本当申し訳ないというふうに思っております。