宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

【県民を騙し討ち?】みやぎの水が危ない!ストップ水道民営化【第10回ラジオ放送】 の音声と文字起こしです。

2021年8月26日放送、 エフエムたいはくの「みやぎの水が危ない!ストップ 水道民営化」第10回の音声&文字起こしです。

78.9 FMたいはく みやぎの水が危ない ストップ水道民営化

 「みやぎの水が危ない!~ストップ 水道民営化~」は、毎月第2・第4木曜日の夜、19:30~20:00 オンエア。

パーソナリティーは、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎです。

 

fm-t.net

 

 

村井知事が市町村水道事業広域化 + みやぎ型という垂直連携を言い出した!

 

多々良さん

「みやぎの水が危ない!~ストップ水道民営化~」の時間です。今晩も、パーソナリティーは命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの面々が務めます。私は多々良と申します。よろしくお願いします。

そして、今日集まってくださっているのは、まずは、もうお馴染みの佐久間敬子さん、そして、中嶋廉さん、えー、小川静治さんという私たち市民ネットワークの仲間が集まっています。よろしくお願いします。

一同

よろしくお願いします。

多々良さん

さて、えーとー、前回の放送から、えー、宮城県議会6月定例会の論議の中で、明らかになったみやぎ型、この水道民営化の問題点を、改めて整理して、一つ一つ取り上げています。

えー、少し難しい話になるかもしれないんですけども、えー、問題点を深掘りしてというかね、みなさんに、あのう、わかっていただこうと思って取り上げています。

今日、取り上げたいのは、市町村の水道事業の広域化、そして、みやぎ型との垂直連携ということがですね、えー、(村井)知事が言い出したという大きな問題です。

これ、私たち、非常に注目しています。えー、6月28日、つまり6月県議会が終盤に差しかかった頃の(知事定例)記者会見で、村井知事は、突然ですね、市町村の水道事業の広域化、そして、みやぎ型との垂直連携、こういったことを、今後考えていかなければならないということを、記者会見で言ったんですね。

 

注)「みやぎ型管理運営方式」については、31:35ぐらいから44:55ぐらいまでです。

 

宮城県上工下水一体官民連携運営事業「みやぎ型管理運営方式」について
◆Q
 水道のみやぎ型管理運営方式の議論の件で1点伺う。県議会でも先週一般質問と今週常任委員会があるが、山場を迎えていると思うが、改めて、知事がかねてからおっしゃっている民の力の最大限の活用というところのモデルになるものだとは思うが、事業への期待と、あと、やはり委員会でも言われているが、関心がどうしてもちょっとまばらというか、差があるのかなというところだと思うが、今後の課題、知事がご認識されている課題について伺う。

■村井知事
 まず期待ですけれども、20年間、九つの事業を一括して民間に運営委託すると。しかも、今までは仕様書どおりやってくださいという、言われたとおりやってください、この時間に薬を入れてください、機械はこの期間に更新してくださいというようなことを事細かく決めていく。これを今回は性能発注ということで、一定の水質、厳しい基準を満たせば、自由にいろいろなことにチャレンジしていいですよというふうに切り替えました。民間の自由な発想、迅速な対応で、恐らく会社がですね、グループが提案してきたあのような成果が私は確実に出るのではないかと思っています。特にメタウォーターという会社は日本を代表する企業でありまして、一緒に協力するグループ会社もそれぞれ名の通った企業でございますので、しっかりと責任を果たしてくれるのではないかと思っております。
 県民の皆さんの関心が比較的低いんじゃないか。これは、非常にこの仕組み自体が難しくて、パッと見て分かるようなものではないと思うんですね。ただ、私、いろいろな人と会って今のような話を簡単に5分10分話をすると、そういうことだったんですかと皆さん驚かれます。
 あと、一つ大きな誤解をされているのは、民間に全て水道事業を含めて売却するんじゃないか。運営権だけをということなんですけれども、どうしてもマスコミの皆さんが正しい報道をするとそういう難しい表現になってしまって、みやぎ型管理運営方式ということになってしまいますので、なかなかメディアを通じても、県民の皆さんに正しく伝えようとすればするほど難しい伝え方になってしまうということで、そこがやはり非常に関心が低くなってしまう原因なのではないかと思います。
 私としては、今後人口が急激に減りますから、水道料金がガーッと上がるのを抑える。それでも上がるとは思うんですけれども、上がり方を他の都道府県よりも低く抑えるということをするためには、私はこういう方式が一番いいのではないかと思いまして、今後このモデルは全国に広がっていくと私は思っております。
 課題ですけれども、やはり県民の理解、特に市町村の理解なくしてはこういったことは前に進みませんので、今後とも市町村としっかりと意思疎通をしながらスムーズに進めていく。それから、やはり水道料金の上げ下げというのは、受水市町村の(上下水道の)努力というのも必要になってくると思うんですよね。ですから、われわれがいくら努力したとしても、市町村がそれにさらに輪をかけて努力していただかなければ、水道料金は一方的に右肩上がりで上がっていくであろうと思います。市町村も今後人口が減っていく中で非常に難しいかじ取りを取っていくと思いますので、私は、広域化をして一つの水道事業だけではなくて二つ三つの水道事業を足し合わせて大きくしていく、広域化をしていく、あるいは、県のやっておりますみやぎ型との垂直連携により一緒にやっていく、こういったようなことを今後どうすればいいのかということを考えていただかなければならないと思います。これが非常に大きな課題だと思います。

◆Q
 最後におっしゃった、市町村との、受水市町村との垂直連携というのはどういうことを指しているのか、ちょっと詳しく教えてほしい。

■村井知事
 今回は無理ですよ、もう形が出来上がったので。ただ、20年ぐらいかけてどうするのかという検討をして、県は、例えば上水道だったらダムから県の事業所(浄水場)、そして市町村の境界(受水タンク)まで持っていくのがわれわれの仕事。そこからは市町村が、受け取った水を市町村内へくまなく行き渡らせて、各家庭の入り口まで持っていくというような仕事ですよね。それを、各家庭の入り口のところからダムまでを一つにするというのが垂直連携ということです。

◆Q
 というと、今のところは水の卸しというところでの部分で統制しようということだと思うが、水源から蛇口まで全部をコンセッションにすることも念頭に置かれているということか。

■村井知事
 それも可能だと思います。ただし、今回はできないですよ。もうできないですよ。メタウォーターグループが決まって、そういうことは入れていませんから。ただ、20年先です。新たにやるときにそういうふうに切り替えていくというのも一つの選択肢ということですよね。

◆Q
 20年先というのは、現在立ち上がったばかりでSPCもその期限だと思うが、その先のところでそういうことも勘案したほうがいいということか。

■村井知事
 いや、それも一つの選択肢ということです。つまり、今のままでずっと続けるということが本当に市町村にとっては大変なことで、これが引き金となって財政破綻することも私は可能性あると思うんですよ。それを避けるためには早め早めに手を打っていくということが重要だと思います。ですから、宮城県も他の都道府県よりも先に手を打ったということなんですよ。
 ただ、心配なのは、県の部分だけではなくて、各家庭まで行くには市町村が必ずその間につながりますので、市町村がどうするのかということをこれからしっかりと導いていかなければなりません。既に県はそういったことで組織を作って広域化をまず進めてくださいということでやっているんですけれども、なかなかうまくいかないんですね。ですから、これを今広域化して、今回のみやぎ型と一緒になって今後どうするのかということを考えていくというのが非常に重要だと思っています。
 何年か前に市町村に対しては、垂直連携をできるんですけれども、手を挙げませんかということは何回も働きかけたんですけれども、手を挙げる市町村がなかったということでした。恐らく一緒になってやっていれば相当コストダウンにはなったと思うんですよ。市町村が宮城県と同じようにやりましょうといっても、恐らく事業者は誰も手を挙げないと思うんです。あまりにも規模が小さくてスケールメリットがないんです。ですから、みやぎ型と一緒になるとスケールメリットが出ますから、少なくとも県のほうでやるとすごいスケールメリットがありますので、それに小さいものがポッとくっついても事業者はそれが理由で断ることはできないということですよね。やる気がそがれることはないということなので、一緒にやるというのも選択肢だったんですけれども、残念ながら県内の市町村で一緒にやるというところはなかったんです。恐らく、いろいろ懐疑的な見方をされていますけれども、20年やると成功すると思います。そうすると、市町村で一緒にやっていこうというところもきっと出てくるんじゃないかなと思います。

◆Q
 市町村の広域連携ということでも今言及されているが、市町村の水道というのも大変危機にさらされる可能生があると思うが、広域化というのが一つの選択肢、それからコンセッションに一緒に入ってもらうというのも選択肢ですということか。

■村井知事
 そうそう。私が言っているみやぎ型に一緒になるというのは垂直連携ですよね、県と市町村。広域化というのは水平連携ですよね。市町村のやっている水道、下水の事業を横展開していく。それで大きくしていく、規模を大きくしていく。これも一つのやり方だと思います。ただ、私は垂直連携のほうが効果は出る、大きな効果が出るんじゃないかなと思います。これは20年間の大きな課題ということで、次の方にバトンタッチしたいと思います。

◆Q
 県議会の議論では、やはり情報公開の在り方、透明性についての懐疑的な見方が大きいと感じて、確かに規定の中では条例と相当のものは出すようにということになっているんだと思うが、やはり民間企業なので、企業秘密ということを言われると、それ以上なかなか情報が出てこないというところはどうしてもあるかと思うが、そのあたりどのように透明性を担保するかというところ、これも一つの課題だとは思うが、どのように考えておられるか。

■村井知事
 これは決められたルールどおり、民間の企業も、現在、都合の悪い情報をずっと隠し続けたら大変なリスクを負うことになりますので、必要なことはしっかり公開すると思いますし、何よりも水質が肝心でして、上水にしても下水にしても工業用水にしても水質が肝心で、これはもう小まめにデータが取れますので、ここにもし問題があったならばこれは大きな社会問題になると思いますので、ここは厳しくどんどんチェックをしていきたいと思いますし、経営状況なども専門家に見てもらってチェックをしたいと思います。従って、今民間企業がやっている情報公開と同じことは、当然、公の仕事になりますのでしっかりやっていただきたいと思います。私は情報の透明性については確保されると思っております。

◆Q
 水道事業に関して、議会でも会派として反対の立場を取っている会派の議員の先生方がいて、それ以外にも、例えば自民、与党系の会派の方からも、例えば外資参入とかを懸念するような不安であるとか、会派を問わずいろいろな立場でいろいろな疑問が投げつけられている。議会も後半戦に入るわけだが、事業を推進するというお立場をどのように今後議会で取っていくのか、そういった各会派からのいろいろな懸念の声にどのように応えていくのか。

■村井知事
 各会派の声というのはそれはまさに県民の声でもありますので、これはやはりしっかり受け止めて、丁寧に説明していく必要があるだろうと思います。今回、これで議案が通れば全て終わりではなくて、今後も必要に応じてしっかりと説明をするという責任は負っていかなければならないということだと思います。今回の契約に至るまで、相当シビアな競争的対話というものをお互い、先方もわれわれも行って、そしてここまで積み上げてまいりましたので、事業者もかなりの覚悟を持って、これが全国のモデルになるわけですので、失敗すると大きな痛手を被りますから、事業者も相当な覚悟を持って臨むものと思います。

宮城県知事記者会見(令和3年6月28日)宮城県上工下水一体官民連携運営事業「みやぎ型管理運営方式」について より

 

www.pref.miyagi.jp

 

えー、これは、どういうことかと言いますと、今回、みやぎ型導入によって民間企業に売却されようとしてる県営水道事業、その上水道の事業というのは、上水事業というのですけども、市町村に、えー、用水を卸売りする事業なんですね、県営水道事業は。

そして、それを受け取って、各家庭に水道、上水を小売りする事業が市町村がやってるわけです。

村井知事が言ったのは、この市町村の水道事業まで、垂直連携という言葉遣いでしたけども、こう、いわば一気通貫して、みやぎ型と垂直連携させて、一つのものにしていこうということを言ったわけですね。

これについてですね、あの、まずは小川さんのほうから、この村井知事の記者会見の発言がどういうことなのか? あるいは、垂直連携という言葉は、どういうことなのか? について、少し説明してもらいたいと思います。よろしくお願いします。

小川さん

はーい。えーとー、今回6月28日のその記者会見で、知事がですね、突然言い出したということですね。で、多々良さんがおっしゃったその垂直連携という言葉自体、初めて聞く人が圧倒的多数だったと思います。

多々良さん

ああ、そうでしたね。驚きました。

小川さん

で、この間、宮城県は、水道の民営化に関して説明会をずっとやってきたんですけども、この垂直連携については、一言も触れていない。

多々良さん

そうですよね。

小川さん

だから、誰もわからないのは、ある意味当たり前なんです。

多々良さん

はい。

小川さん

で、こういう言葉がありますよね。「問うに語らず、語るに落ちる」と(笑)。

要するに、いくらこちらのほうから聞いても答えないんだけども、何も質問してない時に、ぽろっと本音が、自分からしゃべった時に出てしまう。この類が、この垂直連携に関する村井知事の発言だったんだろうなあと思います。

多々良さん

なるほど。

小川さん
で、とにもかくにも、広域化ということを、いわば悪用して、利用してと言ってもいいですけども、あの、先ほど多々良さんがおっしゃった、まさに市町村単位の水道事業を、「できるだけ広域で一緒にやってきましょうよ」というふうな形で、その水道事業を統合していくっていう横の連携の動き、これに用水供給事業の宮城県がやってるやつを統合してしまう。くっつけてしまう。ま、合併させてしまう。

縦で合併してしまうという、横の合併と縦の合併、というふうな形でやることによって、村井さんの言葉を借りるとですね、「各家庭の入り口のところからダムまでを一つにするというのが垂直連携」であるというのが、6月28日に言ったわけですね。

これはですね、あのう、実を言うと、2月に市民ネットワークの市民講座でも指摘していたことなんですけれども、その2月に指摘した時期には、一切、宮城県は、説明何もせずに、6月になってから、こういう形で、それも定例記者会見でやる、というやり方としてですね、大変に、あのう、市民県民の、おー、に説明を十分しないままですね、ある意味、騙し討ち的にポーンとやってくる、と。こういうやり方というふうに、言わざるを得ないですねー。

多々良さん

そうですねー。

うーん、これ、村井知事はですね、ひょっとして、みやぎ型、今回の水道民営化、県営水道事業のところを運営権を民間に売却しようという発想をした時に、最初から、この垂直連携も念頭にあったっていうことなんでしょうかね?

小川さん

あのう、先ほど言った、図らずも本音が出たっていうのは、まさにそのとおりで、最初っからやっぱり、いわゆる水道の民営化、用水供給事業の民営化をすることの最終的、将来のね、到達点はどういう状態を作るか? っていうことは、ずっとそういうイメージでいたんだと思うんですよね。

多々良さん

なるほど。

小川さん

垂直連携という形で、最終的には一つのものにまとめてしまうんだっていう。

ただ、「これは時間がかかるから、自分だけではできないね」って言うような、そんな発想だったと思います。

多々良さん

あー。

小川さん

だから、最初っから考えていたというふうに言って間違いない、と。

多々良さん

なるほど。うーん。

ということは、まさに知事が言ったとおり、宮城県の水源、ダムから家庭の蛇口まで、一社の民間企業が、これ、事実上、独占してしまうという形が見えてくるんですけど、そういうこと なんでしょうか。

小川さん

それはそうですね。

だから、今回の民営化によって、メタウォーターグループが、あのう、運営権獲得したわけですけども、実質、中核はヴェオリアであるっていうことが明らかになった。

だから、全体的に、20年後の宮城県の水道事業を、こう、イメージするとね、宮城県が考えてるとおりになるとすれば、ヴェオリアという外資が、宮城県の水道、それもダムから蛇口まで全部、外資に握られてしまう、と。

そういう危険性がある、そういうものだったんだということが、ある意味、また明らかになったということだと思うんですね。

多々良さん

なるほどね。うーん。

これ、みなさん、あのう、前回の放送で、これ、取り上げた問題なんですけども、宮城県が直接、この20年間の運営権売却の契約を結ぶSPC=特定目的会社は、形の上では、メタウォーターグループっていう名前が示してるとおり、メタウォーターというですね、日本の、ま、大手水処理会社が、筆頭株主になっている体裁を取っているんですね。

ですが、実は、実際に浄水場や下水処理施設の現場の運営やメンテナンスを行うOM会社、これは、ヴェオリアの子会社であるヴェオリア・ジェネッツというですね、外資系の会社が、実は仕切っていた。

議決権の51%株式を持っていて、事実上、ヴェオリアが支配する会社が、宮城県の水道事業の現場を牛耳ることになるということが、前回、問題でした。

で、それと、いまの小川さんのお話し、垂直連携、つまり、みやぎ型と各市町村の水道事業まで統合してしまうと、縦に統合してしまうということになるとですね、このヴェオリアが支配するOM会社が、宮城県の水源から蛇口までの事業を一社で独占してしまう、と。

こういう可能性が開かれることになってしまうということですね。えー、これは大きな問題だということが見えてきました。

えー、さて、次は中嶋廉さんに伺いたいんですけども、このことは、いま、県の中で、あるいは県と市町村の間で、どういうふうに協議や検討がなされているのか? 

ま、実際ね、それを着手されている、と。一方で、みやぎ型、水道民営化が進められる一方で、えー、県内の水道事業の広域化ということも、いろいろ検討されているんだというふうに聞いたんですけども、これをちょっと紹介していただけますか?

中嶋さん

えー、最初に、水道事業の広域連携、いくつかの市町村が力を合わせるっていう取り組みは、それ自体はとっても大事な方法だということを、まず知っておいてほしいなと思うんです。

と言いますのは、人口108万の仙台市から人口2,000人足らずの七ヶ宿まで、市町村の規模は様々です。それから、大きな川がないとか、水道の水源を、自分の市町村の枠の中では持ててない市町村もあるんですよ。

ですから、あのう、隣近所の市町村と力を合わせて水道事業を行うってことは、これはある意味では当然なんですね。

それで、この広域連携もまた、やり方が様々で、施設をいくつかの市町村が共同で利用するというやり方があるんですよ。

あのう、仙台市の中原の浄水場ね、仙台、そこで浄化した水を、仙台市塩竈が利用してて、「今度、共同でね、作り替えをやります」って話が、ニュースになりましたけども、施設の共同利用ってやり方もあります。

それから、料金集めるのからお金を払うのまで、いくつかの市町村が共同水道事業体を作って、それで経営するってやり方もあります。

それで、時々紹介してるんですけど、岩手県の花巻、北上、紫波町の3つの市町にまたがって水道提供してる岩手中部水道企業団、あのう、一番進歩的な水道の改革をやってることで大変有名なんですけど、ある程度の事業規模があるので、職員が70人いる、と。

それで、毎年1人ずつ、事務職の人と技術職の人を採用して、経営がわかる職員を絶やさず育てていく、と。水道の技術がわかる職員も、絶やさず育てていく、と。なかなか先を見た安定した水道事業をやっていくっていう一つの事例を提供していて、広域連携は大事な方法なんだってことは、まず知っておいてほしいんですね。

ところがね、そっから先が問題なんですよ。それで、自治体と自治体が共同で、あの、公共セクター同士で連携していくっていうと、情報は全部公開されるんですよ。

多々良さん

そうですね。

中嶋さん

当たり前ですよ。

多々良さん

それだけはそうですね。

中嶋さん

それからね、絶えず、住民合意、関係する市町村さんが「うん」と言わなきゃないし、関係する市町村の議員さんも「うん」と言わなきゃないです。

それから、なんか問題があった時は、それぞれの市町の監査委員会が、「何だこれは?」ということで、監査に乗り出すんですよ。

多々良さん

なるほど。

中嶋さん

チェック機能もあるんですよ。だから、すべてガラス張りで行われる、と。これが特徴なんです。これ当たり前なんです。

ところがね、いま宮城県で進められようとしている、あのう、水道事業の広域連携は、そこに今ね、問題が生じてるんですよ。

多々良さん

はあー。

中嶋さん

もう少し立ち入って説明しましょう。

多々良さん

はい。

中嶋さん

2019年の1月11日に、県内の市町村の水道事業を担当している担当者会議の人を集めて、宮城県水道事業広域連携検討会っていう会議が設置されて、県内の水道事業の広域連携の議論が始まったんですよ。

多々良さん

ほーう。

中嶋さん

ま、2年半、経ってますよね。

それでね、この会長さんは、宮城県の食と暮らしの安全推進課長さんなんです。

多々良さん

ほーう。県の課長さんが検討会の会長なんだ。

中嶋さん

そしてね、副会長が2人いまして、お一人は宮城県総務部の市町村課長さんなんです。

多々良さん

ほーう。

中嶋さん

もう一人の副会長さんは、宮城県企業局の水道経営課長さんなんです。

多々良さん

会長、副会長、ぜんぶ宮城県庁の幹部が占めてるってことじゃないですか。

中嶋さん

そうです。

多々良さん

はあ~。

中嶋さん

それでいいんだろうか? と。

それからね、県のホームページにね、この検討会の会議、年間数回やられてるんですけど、資料は公開されてるんですよ。議事録が公開されてないんです。

 

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www.pref.miyagi.jp

多々良さん

え~? ちゃんと県の公式な会議なんですよね?

中嶋さん

ええ、そうなんです。

多々良さん

そんなことが許さるんですかね~。

中嶋さん

それでね、あのう、「会議録、公表してほしい」ってお願いした人がいるんですけど、県は、「公表できない」って返事をしてきたんだそうです。

多々良さん

ええー。

中嶋さん

理由はね、あのう、市町村は先ほど言いましたように、置かれてる事情がいろいろ違うんですよね。

多々良さん

はい。

中嶋さん

それでー、あのう、「県の水道のコンセッション導入と一緒に議論したらいいんじゃないか? 」って意見おっしゃってる人もいるようだし、それに対しては慎重な考えを述べている市町村の方もいるようです。

それから、沿岸部の自治体ではね、「大震災からの復旧がまだ終わってないんだ」と、「まだ、そんな議論はできないよ」と言ってる人もいるんですね。

だけど、私たちの命と暮らしに関わる大事な水道の話なので、私は、これは原則、公開すべきだと思うんですよ。

先ほど小川さんが紹介した6月28日の記者会見でもね、知事はこう言ってるんですよ。「やはり県民の理解、特に市町村の理解なくしてはこういったことは前に進みません」と(笑)。知事もそう言ってるんですよ。

ところがね、実際に行われてることは、村井知事が悪いんですけど、「あなたが言ってることと真逆じゃないですか」と。

多々良さん

それはそうでしょう。

中嶋さん

それでね、いろいろ方法はあって、たとえば、仙台市ってとこAにして、塩竈Bにするとかね、市町村の名前を匿名にして、それから、発言の内容から特定の市町だってわかるところがあったら、まあ、そこだけ黒く塗るとか、やっぱり原則公開すべきじゃないかというのが私の意見で。

ただ、あのう、住民運動のこれから課題としてもね、「ガラス張りにしてください。情報公開してください」ってことを求めてくのが、大事な住民運動のテーマになるんだろうと思うんですよ。

それでね、なんでこういうヘンなことが起こっているかというと、実は、2018年に改正された水道法、改定水道法が問題なんですよ。

多々良さん

あー、やっぱり、あそこに戻るわけですね。うーん。どういうことでしょうか?

中嶋さん

えーとね、広域連携の実施主体っていうのが、市町村なんですよ。

多々良さん

そうですね。

中嶋さん

それでね、以前の水道事業に対して県が置かれてる役割っていうのは、実施主体である市町村をバックアップする、まあ、一歩下がった場所にいて、あのう、よくカウンセラーの人たちがやるように、ダウンポジションにいてですよ、あの、支えていく、と。「後ろから応援します」という、そういう関わりですよ。

ところが、そのう、改正水道法で、それが主客転倒しちゃって、都道府県が広域連携の推進役を果たす、と。

多々良さん

あー、なるほど。

中嶋さん

主客逆転しちゃったわけですよ。だから、情報公開とか、住民運動ね、住民合意ってものを求めてくことがものすごく大事になっていて、あの、実際、この改正水道法が施行された後、まあ、前から議論はあったようですけど、香川県の水道が、全県で一つの事業体になっていったとか。

多々良さん

あー、聞いたことがあります。

中嶋さん

それから、大阪市のコンセッション方式、水道民営化っていうのは、猛反対があってストップがかかったんですけど、大阪府大阪市が広域化をやろうとしてるんです。広島でも広域化の議論があります。

そうするとね、この改正された水道法では、広域化の話かなあと思って入っていったら、入り口は広域化で、出口は民営化になる、と。

さっき小川さんが言った、あの、ダムから蛇口までの一社独占。それが、法律や制度では、そうなるように用意されてれるってことですね。

多々良さん

なるほどねえ。

中嶋さん

で、あのう、「全体最適化」って言葉が、そのう、事業者の調査報告に出てくるんです。

で、ちなみに、県から委託されて、この広域化の推進プランの調査、それから報告書の作成を担ってるのは、メタウォーターをはじめとするPFI会社に参加してる日水コンという会社なんですけど、3年連続、この調査業務受け取っていて、報告書まとめてるんですね。

水道広域化推進プラン策定に係る調査・検討業務報告書 令和3年3月 宮 城 県https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/867462.pdf

報告書に全体最適化」ってことが出てくるんですけども、そうするとね、住民の意見とか、それぞれの市町村の事情とかね、住民自治というものは、切り捨てられてく危険性のほうが高いんです。こういう論理で全部まとめられてしまったら。

多々良さん
あー。

中嶋さん

だから、極めて、あのう、民主的じゃないやり方で広域化が進められる可能性がある、と。

多々良さん

なるほどね。

中嶋さん

そういうことをお知らせしておきたいなあと思います。

多々良さん

いま、あのう、中嶋廉さんがおっしゃったように、えー、市町村の水道事業を、ま、 将来にわたって持続可能なものにしていくために、横の連携を図っていく、えー、水道事業、市町村の水道事業の広域連携そのものは、これは悪いことじゃない。

中嶋さん

とても大事です。

多々良さん

とても大事なことですよね、むしろね。

だけど、そこに問われるのは、あくまで、情報開示、情報が公開されて、そこに住んでいる住民との合意が図られて、あるいは、自治体との、おー、しっかりした合意、えー、町長さん、市長さん、もちろんですけども、ま、自治体の議会にもですね、情報が公開されて、そこで論議が尽くされて、合意されていくという、そういう、地方自治における民主主義のプロセスが、しっかり踏まれているということが大事だということがわかりました。

ま、中嶋さんが一つの成功例というかですね、事例として挙げられた、岩手の、おー、中部の事業体なんかは、それが実際に踏まれているということですね。

で、ところが、宮城県がいま着手しようとしている、この広域連携、これは逆に、えー、それが話されている会議の議事録も公開されない、えー、中で進められてしまっている、と。県の主導で進められているというところが、ちょっと非常にこれは心配ですよね。

で、一方で、みやぎ型という形で水道民営化が進められてしまっていますから、この県が進めている水道民営化と、もう一方で進めている市町村の水道事業の広域化。これが組み合わされてしまうと、さっき言った、一気通貫宮城県内の水道事業が一社に独占されてしまうという危険性さえ見えてくるということがわかってきました。

で、中嶋さんがおっしゃったように、なんか、その道を開いたもともとの元凶が、やっぱり2019年の暮れの水道法改正にある、と。

あの水道法の改正によって、えー、市町村が主体になるべき水道事業だったんですけども、そうじゃなくて、都道府県が主導してその広域化を図ることが可能になった。そういう道が開かれた。

もう一つは、えー、まさにみやぎ型ですけども、水道コンセッション、えー、事実上の水道民営化、あー、実態としては水道民営化、この道も開かれた。

これは、最初からですね、当時は安倍政権の水道民営化の思惑とですね、で、それを、国会に行って、参考人として賛成意見まで述べて後押しした村井知事の思惑、これは、最初から、こう、組み合わさっていたというふうに、なんか思えてくるんですけど、 小川さんどうですかね? そこは最初からそういう思惑はあったんでしょ? これ。

 

アベノミクスの成長戦略と惨事便乗型村井県政のみやぎ型=水道民営化

 

小川さん

そうでしょうね。

あの、特に宮城県の場合は、水道民営化以外に仙台空港の民営化っていうのもやってますよね。

多々良さん

あー、はいはい。

小川さん

それから、この一連の、震災後に、いわゆる創造的復興という名のもとで進められた政策っていうのは、周到にやはり練られたもので、10年がかりでですね、水道を民間に売り渡すということも、震災直後から考えていた人たちがいるんですね。

で、これはやっぱり、「どっかで行政のあり方、変えていかないとね、いけないなあ」というふうに強く思いますけれどもねえ。

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       「なぜ急ぐ?水道民営化学習討論会」資料より

     (2019.9.7 命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ主催)

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       「なぜ急ぐ?水道民営化学習討論会」資料より

     (2019.9.7 命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ主催)

多々良さん

ホントにそうですね。小川さんおっしゃったように、もう震災の後から、ある意味、ショックドクトリンと言いますかね、惨事便乗型というような形で、今までの公共サービス、公共的な分野を、どんどん市場開放して、産業化していこうという流れに、えー、村井知事の県政が乗っかっていった。

その安倍政権の、いわゆるアベノミクスの成長戦略、三本の矢の三本目ですよね、これに、村井県政が、こう、歩調を合わせて乗っかっていった。惨事便乗型でそれを進めていった。

その最たるものが、このみやぎ型=水道民営化なんじゃないのかなあという姿さえ、 見えてきた感じがいたします。

 

宮城の水が危ない!ストップ!「水道水道民営化」オンライン市民集

 

多々良さん

えー、さて、えー、最後にですね、前回もお伝えしたんですけども、前回、今回も取り上げたような、えー、宮城県議会の論議の中で見えてきたこのみやぎ型の問題点、これを明らかにして、「じゃあ、今後どうしていこう? 」ということを共に考える集会をですね、えー、9月4日土曜日、えー、午後2時から、えー、ま、このコロナ感染拡大で、えー、非常事態宣言が出されようとしてる中でですから、オンライン集会として行いたいと思ってるんですけども、9月4日に「宮城の水が危ない!ストップ!『水道民営化』オンライン市民集会」を開催したいと思ってます。

えー、いま、私たち市民ネットワークが、みやぎ型川柳を募集しているという話題も含めてですね、これ、佐久間さんのほうから、川柳募集とこのオンライン市民集会の少し宣伝をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

佐久間さん

みなさん、こんばんは。佐久間です。

いま、あの、多々良さんがご紹介しましたけど、9月4日土曜日午後2時から4時までですね、仙台弁護士会館の4階で私たちの市民集会を行います。

リアルでやるのは、なかなか難しくなってますので、基本はね、オンライン、Zoomでやりたいと思っております。

 

 

で、この市民集会、私たちは、大きな意味をここに与えています。あのう、6月のね、定例県議会で、私たち市民ネットワーク、それから、応援してくださっている全国の みなさん、それから、野党の議員のみなさん、タッグを組んで非常によく闘った、と。あの、自画自賛でごめんなさいね。そう思ってます。

で、その成果を、みなさんにご紹介したいと思います。で、その中で、これまでわからなかった大変重要な事実も出てまいりました。

で、それらも、みなさんにご紹介して、「このみやぎ型というものは、いったいどんな正体なのか? 」それをですね、暴いて、「やっぱり駄目だ」と、「これは絶対、導入させてはいけない」、そういう、みなさんと意志の統一を、また改めてやってみたいと思ってます。

で、いま、小川さん、中嶋廉さんからお話しいただいた垂直連携、水道事業のですね、地方の自治体の自由な判断や地域々々の独自性、そういうものを無視して、上から、 このコンセッション方式に、各地域の水道事業を組み込んでいこうと、そういう動きがいよいよ出てきてるということが明らかになってきました。こういう問題についても、取り組んでいきたいと思います。

それからですね、9月4日の集会ですけれども、私たちの運動を支援して、一緒にやってくださってる方のお計らいで、広瀬通りと晩翠通りの角の大きな駐車場の上にですね、電子公告板というのがあるんですが、そこに、9月4日の「ストップ!水道民営化」市民集会のチラシがですね、大きく掲示されております。

 

 

みなさま、ぜひね、ここに、あのう、来ていただいて見てください。大変目立って、 そして、実にすがすがしいチラシがですね、バーッと大きく、みなさんの前に現れています(笑)。どうぞご覧ください。

 

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それから9月4日ですが、みやぎ型川柳の募集をしております。
miyagi-suidou.hatenablog.com

えーと、今まで60句ぐらい集まりました。あのう、川柳じゃなくてね、短歌も来てます。

ですから、何でもいいですから、このみやぎ型の本質をね、暴く、みなさんの優れた感覚、それから、お言葉でね、ぜひ寄せてください。

それから、水道事業ってのは、こうあってはいけないんだよと、理想型と言うか、理念としての水道というものについてでもよろしいですから、みなさんの思いの丈をですね、ぜひ9月4日の集会でご披露するみやぎ型川柳という形でお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

多々良さん

ハイ、ありがとうございました。そういうわけで、みやぎ型川柳の応募、よろしくお願いします。そして、9月4日のオンライン市民集会、ぜひ参加してください。

これ、Zoomでやるんですけども、Zoomの参加URLは、私たち市民ネットワークのFacebook等で公開していますから、チェックしてください。

ハイ、この番組で、今後もみやぎ型の問題点、深掘りして、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。よろしくお願いします。今夜も最後まで聴いてくださって、どうもありがとうございましたー。

 

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