宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

9/14令和5年9月定例会における福島かずえ県議の一般質問 「問題の多い水道コンセッション方式民営化から再公営化へ」

2023年9月14日、第389回宮城県議会(令和5年9月定例会)の一般質問において、福島かずえ議員(日本共産党宮城県会議員団)が、「問題の多い水道コンセッション方式 民営化から再公営化へ」について質疑を行いました。

宮城県議会HPインターネット中継動画より

miyagi-pref.stream.jfit.co.jp

 

今回の記事内容

料金改定の議論における情報公開の改善について

県が、運営権者を含め全体のマネジメントに責任を持つことについて

既存メーカーが今後の部品納入等を拒否する事態を、どのように解決するのか?

情報システムなどの切り替えについて

元代表制や議会制民主主義とコンセッション事業との関わりについて

 

福島かずえ議員(日本共産党宮城県会議員団)一般質問

 

福島かずえ議員(日本共産党宮城県会議員団

「問題の多い水道コンセッション方式民営化から再公営化へ」を、伺います。

昨年4月から、県の上工下水道事業のコンセッション民営化が始まりました。

全国で初めての大がかりな水道事業コンセッション民営化について、県民への丁寧な 説明も、県民の十分な理解もないままに、今日に至っています。

20年間で337億円のコストを削減すると言ってコンセッション民営化を導入しました。修繕費は101億円増えるものの、更新投資を348億円、人件費167億円削減するという 説明でした。

人件費は3割もカットになり、これまで指定管理で働いていた人の多くは職場を去り、その蓄積された現場の知見や技術は無くなりました。

施設更新の根拠となる健全度調査結果は、県民へも県議会にも非公開です。

事業の運営状況を評価・分析するために、経営審査委員会が設置されましたが、そこに 提出される資料は限定的で、毎回のように一部が非公開となっています。

今議会には、来年度(24年度)からの広域水道の供給料金単価と流域下水道の維持管理負担金の改定案が議案となっています。

宮城県の広域用水事業料金は、全国トップレベルの「高い水」となっています。

本来であれば、初期投資の減価償却(過大なダムや管路建設の借金返済)が進んでいる今、市町村にとって重い負担となっている基本水量や責任水量の本格的な見直しを行い、供給単価の引き下げの議論を、議会でも活発に行うべき時です。

私は、1年以上前から、随時開かれていた企業局と関係市町村の担当者会議に提出された料金改定の資料を求めてきましたが、「市町村の合意がないので、公開できない」と拒否されてきました。

県と関係市町村の覚書が締結される8月中旬まで、ほとんどの情報が非公開であり、 詳細な資料が出揃ったのは9月8日でした。

大事な料金改定について、県議会にも県民にも情報を非公開ですすめ、首長と自治体職員だけで議論をすすめ、供給料金等の覚書を結んだ後にようやく、議会にも資料を出すというやり方は、議会の調査権をないがしろにしているものと言わざるを得ません。

単価改定の妥当性の検証は議会も県民も参加して行えるように、情報公開の抜本的改善を求めますが、いかがですか? お尋ねします。

メタウォーターグループの事業提案書に記述されていた鳴瀬川と吉田川流域下水道での汚泥含水率の目標値について、県企業局は「取り違え」を認めないまま、今年4月には、鳴瀬川での汚泥含水率の管理目標値を達成できず、吉田川では超過達成するという結果になり、2年目の計画では、それぞれの管理目標値を入れ替えました。

性能発注だから削減額を守れば、その維持管理の中身は問わないとする県の姿勢の現れです。県企業局や運営権者の技術力とチェック能力を疑わざるを得ません。

昨年12月には仙南・仙塩広域水道で、今年4月には大崎広域水道で、水質悪化事故が 発生しました。

いずれもヒューマンエラーと言えるものです。心配していたことが現実となりました。今後の事故を防ぐために、運営権者に任せきりにならずに、県が全体のマネジメントに責任を持つことを強く求めますが、いかがですか? 伺います。

みずむすびマネジメントみやぎ(MMM)の株主である日立製作所が、これから2、3年かけて、コンセッション部分の中央監視装置の全てを更新していくことに対して、東芝が反発し、今後一切の部品納入や故障(への対応)について、「拒否している」と伺いました。

東芝はこれまで、仙塩浄化センターの中央監視設備や監視制御など、6カ所で十数種類の設備を納入してきました。いわゆる「ベンダーロックインが生じている」と運営権者のMMMから報告されています。企業局はこの事態をどう解決しようとしているのか? 伺います。

コンセッション期間が満了する20年後には、日立製作所が、今回の東芝のような対応を行うのではないか? と懸念しています。他社システムへの移行ができず、競争性も働かず、結局、高額な費用の負担を強いられることが予測されます。

コンセッション民営化におけるベンダーロックイン問題(情報システムなど中核部分に特定の企業の製品やサービスなどを組み込んだ構成にすることで、他社製品への切り替えが困難になること)を、どう認識し、対処しようとしているのか? お答えください。

水は命の源であり、水道事業は公衆衛生上、重要な社会的インフラです。2010年国連総会で「水は人権決議」が採択されて以降、世界各地で「再公営化」が進展しています。

宮城県でも、「水の権利者」であり、利益を享受すべき住民や議会が関与する「新たな公共」による再公営化を目指すことが求められています。今議会には、コンセッション民営化後、初めての決算が出ます。

しかし、運営権を売却した部分の決算は出てきません。

議会のチェックも、監査委員の監査もできないことになっています。元代表制や議会制民主主義とコンセッション民営化は相いれない ものといえます。

佐藤公営企業管理者

大綱4点目、「問題の多い水道コンセッション方式民営化から再公営化へ」とのご質問のうち、料金改定の議論における情報公開の改善についてのお尋ねをお答えいたします。

水道用水供給事業の供給料金および流域下水道事業の維持管理負担金改定については、事業運営に必要な経費を算定し、それに見合った料金水準を定めております。

その内容については、昨年度より、関係市町村と協議を重ね、常任委員会等においても、その都度、関係市町村の了解を得ながら、協議状況等の情報提供に努めてきたところであり、引き続き丁寧な説明を行ってまいります。

次に、県が、運営権者を含め全体のマネジメントに責任を持つことについてのご質問にお答えいたします。

汚泥含水率の変更は、運営権者が、使用薬品や運転操作方法についてのトライアルを重ね、月例報告会において検討結果の報告を受け、県の意見も踏まえて見直されたものです。

また、水質悪化事故においても、県と運営権者において、事故原因の究明と効果的な再発防止策について意見交換を行い、改善計画書の提出を受けるとともに、点検作業への臨場や運営権者の研修に参加するなど、県職員が直接改善状況を確認したうえで、事故対応力強化のための危機管理マニュアルの見直しなど、継続的な改善も行ったところです。

県としては、引き続き運営権者との連携を密にしながら事業を運営するとともに、厳格なモニタリングを継続し、安全安心な水道用水の供給に取り組んでまいります。

次に、既存メーカーが今後の部品納入等を拒否する事態を、どのように解決するのか? とのご質問にお答えいたします。

先月25日に開催された経営審査委員会において、運営権者から、「更新を予定している中央監視装置の一部において、当該納入メーカーの協力が得られない状況があり、突発故障が発生した場合には、施設運転に大きな影響を与える可能性があった」との報告がありました。

現時点では、故障影響は軽微にとどまっているものの、今後の施設運転に支障が生じないよう、県としても、運営権者と連携し、設備故障時の対応を予め検討するとともに、装置の改築時期の前倒しや、早期の設備更新に努めてまいります。

次に、情報システムなどの切り替えについてのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式においては、民間のノウハウを最大限活用することで、既存システムの納入メーカーに捉われることなく、自由な発想で効率的なシステムの導入を可能としております。

一方で、運営権者の事業終了後においてもシステム等が支障なく運営できるよう、運営権者と締結した実施契約書において、システム等の利用の権利や権限を県が有することなどを規定しています。

また、データの受け渡しが可能な汎用性のあるシステムを構築するとともに、更新後は全てのデータをクラウド上に蓄積し、事業終了時の既存データの受け渡しを可能とするなど、データ連携上の工夫も図っているところです。

さらに、事業終了前に、寿命の短い機器は再度更新し、製造終了が見込まれる部品に ついては、予備品購入等の対応を実施した上で運営権者から引き上げる予定とするなど、メンテナンス等の確保も図っていることから、事業終了後も支障なく運用が可能であり、大きな問題は生じないものと考えております。

次に、元代表制や議会制民主主義とコンセッション事業との関わりについてのご質問にお答えいたします。

水道事業は県民生活と産業基盤を支える極めて重要な社会資本であることから、みやぎ型管理運営方式においては、運営権者の経営状況について、実施契約書および要求水準書に基づき公開を義務付けるとともに、運営権者の予算や決算の内容について、条例の定めにより、第三者機関である経営審査委員会に諮問し、審議されることとなっております。

また、運営権者が行う業務の運営状況についても、条例において県議会への報告が義務付けられており、委員会の答申を経て、報告することとしております。

県としては、引き続き、運営権者と連携して積極的な情報公開に努めるとともに、透明性のある事業運営に取り組んでまいります。私からは以上でございます。

福島かずえ議員(日本共産党宮城県会議員団

道コンセッション民営化も、県民や自治体の十分な理解のないまま強行され、二元 代表制を保障する議会の調査権も奪われました。

知事会会長の足元では、こんなにひどいことが進んでいると発信し、横暴な独断専行の宮城県の政治をストップさせるため、引き続き頑張る決意を申し述べて、終わりたいと思います。

www3.nhk.or.jp