宮城県の水道民営化問題

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第384回宮城県議会(令和4年6月定例会)での 福島かずえ議員によるみやぎ型管理運営方式に関する質疑応答

2022年6月24日、令和4年6月定例会 本会議 一般質問において、福島かずえ議員がみやぎ型管理運営方式についての質疑応答を行いました。

 

 福島かずえ議員の Facebook より 

 

宮城県議会HPより

miyagi-pref.stream.jfit.co.jp

 

今回の質疑内容

現場業務の人員体制について

水質管理に係るモニタリング結果の公表方法について

運営権設定施設の健全度評価及び調査計画書の内容と公表について

災害復旧を行った施設の更新投資計画の見直しについて

次期料金改定について

 

福島かずえ議員(日本共産党宮城県会議員団)

現場業務の人員体制について

4月から、みやぎ型管理運営方式という名前で、全国初の上工下水道三事業のコンセッション型民営化がスタートしました。

私たち日本共産党県議団は、関係市町の議員とともに、6施設の現地調査を5月から6月にかけて行いました。

4月から各浄水場や 浄化センターにいるOM会社のみずむすびサービスみやぎの人員は223名で、3月までの指定管理事業者の人員266名より、43名も現場が少なくなると伺っていました。

しかし、6カ所の現地調査をしてみると、5月末のOM会社の現場人員は235名であることが判明し、当初計画に比べ12名人員を増やしていました。

また、巡回して保守点検業務を行うとされていた広域保全隊は、固定した現場に配置されていることもわかりました。なぜ、このような変更が必要だったのですか? 当初計画に無理があったということでしょうか? 伺います。

また、県には、こうした体制の変更が報告されていたのでしょうか? 5月の建設企業委員会で、人員体制について私が質問した際には、そうした説明はありませんでした。 現場の人員が235名体制である報告は、いつ受けたのか? 伺います。

水質管理に係るモニタリング結果の公表方法について

5月15日に、運営会社のみずむすびマネジメントみやぎから、4月分の月間運転管理・水質管理報告書と、月間保守点検・修繕報告書が、宮城県に提出されています。

毎月報告書と言われているものです。県がその報告書を審査・確認、いわゆるモニタリングして、その結果を毎月公表することになっています。

5月の建設企業委員会では、そのうちごく一部の広域用水の水質基準項目について報告がありました。水道法に基づいて県が行う検査項目は51項目あり、毎月行うものは19項目ですが、委員会に報告されたのはわずか6項目にすぎませんでした。そして、水道法よりも厳しい県基準との比較もありませんでした。

6月下旬に公表予定とされている水質管理のモニタリング結果は、そういう不十分なものでは困ります。県が年報としてこれまで報告してきたものと全く同じ形での検査結果の公表を、上下水道、工業用水の9事業全てで行うことを求めます。そうでなければ、県民や議会がこれまでと比較し、判断、評価することができません。いかがですか? お答えください。

運営権設定施設の健全度評価及び調査計画書の内容と公表について

現在、運営権が設定された施設や機械の健全度評価のための調査が行われています。 調査結果を踏まえた健全度評価の公表は、SPC が今後行う施設や機械の更新投資の妥当性を、県民や議会、関係市町村が判断、検証するために欠かせないものです。本来なら、運営権の引渡し前に、県と運営会社の両者で調査、確認し、県民へ公表すべきでした。

いま行っている調査結果の公表は、20年後に施設や設備、機器がボロボロになって返されることがないように、また、必要以上の多額の更新投資を防ぐためにも必要です。どのように、いつ公表されるのか? 伺います。

また、健全度調査計画書は、「運営会社のノウハウが含まれるので公表できない」 と言って、公表されないままです。「県民から信頼される企業へと成長していくために必要なのは、決して隠しごとをせず、必要な情報をきちんと発信していくことだと考えています」とは、運営会社社長の言葉です。

この言葉どおりに、隠しごとをしないで、必要な情報を県民へ発信すべきです。健全度調査をどのように進めていくのか? 基本的な考え方や健全度調査計画書の内容を、改めて伺います。お答えください。

災害復旧を行った施設の更新投資計画の見直しについて

3月の福島県地震によって、大代にある仙塩浄化センターの汚泥焼却炉や、仙南・仙塩広域水道(事務所)の高区調整池流入流量計室内機器の浸水など、水道や下水道の施設・機械の被害がありました。

災害復旧として、国と県がお金を出してそれらを更新、修理する予定です。このことによって、公募の際に提出された SPC の従来の更新投資計画は、見直す必要があるのではないですか? 伺います。

次期料金改定について

料金改定について伺います。 みやぎ型管理運営方式の料金改定は、5年に1度行うという説明でしたが、第一期料金期間は2022年、23年の2カ年だけで、24年4月から新しい料金になり、 その後5年、5年、5年、3年という料金期間だということが、まだまだ県民にも関係市町村にも周知されていません。

広域水道では、基本料金や使用料金の額、供給単価、基本水量、需給水量について、流域下水道では、維持管理負担金の単価について、今年度中に関係市町村と協議を開始します。

来年5月までに決定、市町村と覚書を交わし、 来年の9月県議会で料金改定の議決というスケジュールが予定されています。

随分とあわただしいタイトなスケジュールです。そもそも、広域水道の受水市町村と交わしている覚書では、次期料金改定は2025年度から始まることになっています。

なぜ、24年に前倒しするのか? 急ぐのか? 理由を伺います。また、受水市町村からそのことの合意は得ているのか? あわせて伺います。

みやぎ型の導入目的を、県は運営コストの削減と主張し、SPC は287億円を削減し、県部分と合わせて337億円のコスト削減になると説明してきました。 関係市町村が「その分を料金単価に反映して、値下げしてほしい」と求めるのは当然のことです。

これに対して、これまでの知事や管理者の答弁は、「今後の管路の更新費用にも充てなくてはならない。全てを料金に回すことはできない。値上げ幅を抑制することになる」というものでした。今も変わりませんか? 伺います。

減価償却費の関係で、事業開始2年間は赤字決算になると、今年の3月の建設企業委員会で当局から説明がありました。それを引き合いに出して、次期の料金は値上げするという提案では、市町村からも県民からも到底納得は得られないものと思いますが、その点はいかがお考えなのでしょうか? お答えください。

佐藤達也公営企業管理者

大綱4点目、水道事業「みやぎ型管理運営方式」が始まってからの諸問題についてのご質問のうち、現場業務の人員体制についてのお尋ねにお答えいたします。

今年4月に事業を開始したみやぎ型管理運営方式においては、運営権者である株式会社みずむすびマネジメントみやぎが、浄水場下水処理場の維持管理業務を、OM会社である株式会社みずむすびサービスみやぎに委託し、両社一体となって事業が運営されているところであります。

運営権者から提出された事業計画書を上回る人員が配置されていることについては、事業開始から間もない初期段階において、新規採用職員等をサポートするため、本社所属の専門技術者や、主企業からの出向者12名を増員し、5月末時点において235名となっており、このことについては、6月中旬に報告を受けております。

これら人員数を含めた運営体制は、運営権者が自らの責任で最適な計画を立案し、日々見直しを行いながら、効率的に事業を運営するものであり、県といたしましては、年度ごとに提出される計画書等において、運営体制の妥当性をしっかりと確認してまいります。

次に、水質管理に係るモニタリング結果の公表方法についてのご質問にお答えいたします。
上水道の水道事業年報や下水道の維持管理年報には、法定検査項目に加えて、水源水質や処理工程において毎日実施する検査結果等を掲載しており、今後も、これまでと同様に、運営権者の報告を精査した上で、県が発行する予定としております。

一方、水質管理に係る県のモニタリングにおいては、日々の水質管理状況や、運営権者から提出される月次報告書等を確認するとともに、上水道では、これらに加えて、水道法に基づく受水点の水質検査を実施しております。

県といたしましては、事業の信頼性確保のため、これまで公表していた各種年報に加え、新たに水質管理に係る毎月のモニタリング結果を公表するなど、積極的な情報発信に努めてまいります。

次に、運営権設定施設の健全度評価及び調査計画書の内容と公表についてのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式においては、運営権者に対し、健全度調査計画書を作成した上で、5年に1回以上の継続的な調査の実施と、事業終了時における、開始時と同等の健全度確保を契約で規定しております。

その計画書の内容は、要求水準書に規定する調査要領に基づき、調査のスケジュールや対象設備、実施体制、結果の活用方法等を記載したものであり、県では、運営権者から提出を受けたのち、今年3月に承認したところであります。

計画書には、企業独自の技術や手法などのノウハウが含まれていることから、公表は予定しておりませんが、調査結果については、対象9事業の設備ごとに、動作状況や劣化の度合いなどを5段階で評価し、県でその内容を確認したのち、概要を速やかに公表することとしております。

次に、災害復旧を行った施設の更新投資計画の見直しについてのご質問にお答えいたします。

運営権者は、施設や設備の改築の実施に当たり、公募時の提案を踏まえ、更新投資の計画を示した改築計画書を作成した上で県の承認を受ける必要があり、令和4年度から5年度の計画については、今年3月に承認したところであります。

この改築計画書は、 突発的な故障や災害復旧事業の実施等、事業環境が変化した場合には、最適な更新を実施するため県と協議を行い、承認を得た上で変更することが可能な契約となっており、 3月の地震による災害復旧を踏まえた見直しの必要性については、今後、運営権者と協議することとしております。

次に、次期料金改定についてのご質問にお答えいたします。

県が運営する広域水道事業では、おおむね5年ごとに料金改定を実施しており、現在の料金期間についても、令和2年度から6年度までの5年間としております。

一方、一部の受水市町村から「みやぎ型管理運営方式導入の効果を、早期に料金に反映してほしい」との要望があったことも踏まえ、料金改定を1年前倒しする協議を開始したところであります。

みやぎ型管理運営方式導入によるコスト削減効果については、これまでもご説明してきましたとおり、管路の本格更新に備えた経営基盤の強化と、料金上昇の抑制に活用することとしております。

県といたしましては、料金の改定にあたり、短期的な収益的収支のみで判断することなく、長期的な経営の安定が図られるよう、損益のほか、企業債残高や資金の確保状況等を総合的に勘案することとしており、みやぎ型管理運営方式の効果が最大限発揮できるよう、受水市町村と丁寧に協議を進めてまいります。 私からは、以上でございます。

福島かずえ議員(日本共産党宮城県会議員団)

水道事業民営化について、ちょっと、いくつか聞きたいと思っております。 1つは、えーとー、えーとー、あれですね、5段階の評価で、あのう、健全度評価、えー、速やかに公表したいということですけど、具体的にいつなのか? ということが、一点。

それから、ちょっと順番、逆になりますが、えとー、水質管理、これまで県が年報として報告してきた以上のものも発表するということもおっしゃいましたが、結局、あの、県民が、素人でも、その、前と後とを比較できるような形での公表になっているのかどうか? その点についても伺いたいと思います。

また、えーとー、まとめて聞いた方がいいかなと思っておりますが、水道問題でございます。 市町村の合意、前倒し1年ということについて、あのう、合意は得ているのか? その点、伺いたいと思います。 

佐藤達也公営企業管理者

あのう、まず、あのう、えーとー、5段階の評価結果を、ま、いつ公表するのか? ということでございますが、あのう、運営権者のほうで、ま、現在、その計画書に基づいた調査、今年度中に、えー、その報告を、おー、県のほうに提出するということになっております。

その中報告後ですね、その中身をわれわれのほうでしっかり精査した上で、その評価結果、あの、概要を、あのう、ま、公表させていただくということになっておりますので、 その、あの、そのボリュームにもよるので、その、いついつっていうのは、必ずしも申し上げられないんですが、提出を受けて、我々のほうでできるだけ早くその内容を、ま、精査して、えー、概要を報告したいというふうに思っております。

次に、あの、年報の件でございますが、あのう、年報はですね、これまでも作っていたとおり、これからも、ま、県のほうで、年報というのは、あのう、作って公表していきます。

一方、その、えー、月報の、ま、モニタリング結果のほうでございますが、これは、あの、モニタリング基本計画書に基づきまして、えー、その、水道法に基づく、水道の場合は水道法に基づく、その、検査結果が、要求水準を満たしているかどうか? ということについてモニタリングするという内容でございますので、ま、違うものということで。ただ、あの、水道法の51項目も含めて、それは公表させていただくということで考えております。

で、あの、合意を、料金改定についての合意でございますが、あの、市町村のほうから、市町村のほうからですね、えー、その、ま、効果を、あー、みやぎ型の効果を、おー、ま、発言するというか、その効果を、あー、示してっていうか、その内容を1年前倒しして、えー、効果を享受したいというお話がございましたので、昨年度来そういう方向で市町村と協議をさせていただいておりますので、その方向で、いま協議がスタートしたというところでございますので、合意は得ているということで考えております。

福島かずえ議員(日本共産党宮城県会議員団)

ま、あの、前倒しについては理解が示されているということだとは思いますけれども、すっかりそれで合意ということにはなっていないのかなというふうに思います。

ま、料金問題は、非常に、あの、これから始まるということで、しっかりと、えー、市町村の意向に、あるいは県民の意向に沿っていただきたいと思います。

で、やはり、あのう、先ほどの答弁でも、そのう、企業のノウハウを県民の利益よりも上に置くということがありましたけれども、それは許されないことだと思いますが、いかがですか?

佐藤達也公営企業管理者

あのう、ま、ご存じのとおり、ノウハウというのは、知的財産の1つでございまして、えー、特許権ですとか実用新案権のように、公開するということで権利を守るものではなくって、秘匿することで権利を守るということでございますので、これは当然守られるべき権利だというふうに思っておりますし、県の情報公開条例においても、その開示の対象になっていないというふうに理解しております。