宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

第385回宮城県議会決算特別委員会総括質疑での水道事業に関する質疑応答です!

2022年10月13日に行われた宮城県議会決算特別委員会総括質疑において、わたなべ拓委員と福島かずえ委員から水道事業についての質疑がありました。

 

今回の記事内容

わたなべ拓委員の質疑

◆ 検査機器、監視装置、薬剤など、懸念国からの調達について重々留意してほしい

福島かずえ委員の質疑

◆ みやぎ型は当事者抜きの施策だ

◆ 次期料金改定協議資料を議会へ提出するように

◆ 広域水道の過大な計画の縮小を

◆ 企業債完済にあたって、受水市町村への責任水量制を止めるべき

 

わたなべ拓委員の質疑

 

   宮城県議会インターネット中継映像より

miyagi-pref.stream.jfit.co.jp

◆ 検査機器、監視装置、薬剤など、懸念国からの調達について重々留意してほしい

わたなべ拓委員

本年4月1日からみやぎ型管理運営方式に移行したことに伴って、50億円ほど予算を縮減したようであります。えー、また、えー、事業担当班長による優れた資料を拝見いたしますと、モニタリングについても県と管理者の多重的チェックがなされておりまして、まあ、今のところは安心しておりますが、県民の不安解消のため、なお手堅い管理を願います。

えー、さて、仮にですね、管理運営権が、反社会的団体とは断じ得ないものの経済安全保障上、あるいは、人権デューディリジェンスの観点から、問題ある企業に譲渡された場合には、えー、法の定めにより議会の議決によってこれを退けることができますが、取引、すなわち委託、工事の発注、物品の購入がなされた場合には、経営審査委員会が所管するため、議会には、直接関与是正する権限がないと認識しますが、いかがですか?

佐藤公営企業管理者

えー、運営権者が行う物品や工事等の調達先の企業に、悪質な労働条件を強いる等の、ま、人権デューディリジェンスの観点から問題のある企業が確認された場合、現時点では、これに関する法律による規制がないことから、企業局として直接的に取引への関与や是正を命令することは難しいものと考えております。

一方で、先般、国において、人権リスク対応のガイドラインが公表され、人権リスク対応の推進が検討されていることから、その動向を注視しながら、みやぎ型管理運営方式においても、運営権者の責任ある適切な、えー、運営が行われるよう、企業局として、えー、指導してまいりたいと思います。

なおですね、運営権者は、調達基準の1つに、持続可能な社会に寄与する調達というのを掲げておりまして、えー、環境負荷軽減への取り組みや労働安全性の配慮を行うこと、SDGsの推進を通して、持続可能な社会に寄与することが表明されておりますので、人権リスク対応にも積極的に取り組んでいただけるものと考えております。

わたなべ拓委員

ま、いまご答弁いただきましたけども、あの、9月13日にはですね、あのう、政府は、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインが決定されましたし、また米国においても、ウイグル強制労働防止法などですね、懸念国との取引を制限する枠組みが徐々に実体化しております。

あのう、経済安全保障推進法も、8月から一部施行されましたし、えー、水道が、その基幹インフラに指定される中でですね、今、まあ、あのう、答弁ありましたけれども、懸念国との取引については、ま、現状ですと、経営審査委員会に任せるほかなく、ま、あのう、議会が直接関与する手立てがないっていうのは、やっぱり問題じゃないかなあと思うんですよね。

で、一定程度、いま答弁にありましたように、持続可能性というところで、あの、是正の余地があるんじゃないかという見通しありましたけれども、もっと積極的にですね、基幹インフラ守っていくためにも、懸念国との取引に一定の歯止めをかける手立てを、議会に留保する方法というのはないもんでしょうかね? 伺います。

佐藤公営企業管理者

あのう、まずは、あのう、運営権者のですね、調達基準ということが重要だと思っております。で、われわれとしても、あのう、命令等、是正命令等できない、今、そういう状況でございますけども、あのう、ま、指導等、「や、こういう問題があるんじゃないか」と、話し合いを含め、指導等、これは可能だと思っております。

で、そのうえでですね、議会がどのように関与できるか? ということについては、それ、私のほうからは、なかなか答弁が難しいというふうに考えておりますが、企業局として、また、そういったことは、しっかり対応してまいりたいというふうに思います。

わたなべ拓委員

ま、今、あのう、誠実に答弁していただきましたけども、あのう、ま、われわれとしてはですね、県民一堂、同じ思いだと思うんですけども、あのう、懸念国が提供する検査機器でありますとか、監視装置でありますとか、ま、薬剤などですね、あのう、非常に、まあ、不安があるということはご理解いただいてると思うんです。

ま、こうした、その、懸念国からの調達についてですね、重々留意いただきたい、と。これは、あの、議会も当局も、あの、協働してですね、これから提携しながら、あの、検討して取り組んでいかなくてはいけない事項だと思いますので、えー、これは要望にとどめます。

 

福島かずえ委員の質疑

 

   宮城県議会インターネット中継映像より

miyagi-pref.stream.jfit.co.jp

◆ みやぎ型は当事者抜きの施策だ

福島かずえ委員

次に、大綱3でございますが、水道用水供給事業について伺います。

えー、みやぎ型管理運営方式も、県民への情報公開と説明責任が不十分なまま手続きが進められました。昨年3月に、非公開でメタウォーターグループを選定し、わずか3カ月後の6月議会にはもう、関連条例を提案しました。

住民説明会は、その間、たった4カ所6回のみの開催で、その後は1度も行っていません。OM会社の代表株主が、外資ヴェオリア・ジェネッツだと判明したのは、6月議会開会後で、審議に必要な資料も出揃っていませんでした。

みやぎ型導入手続きの凍結を求める請願が提出され、拙速な手続きに県民の批判も集まりました。昨年11月に開かれた市町村担当者会議でも、「県民向けにもっと説明してほしい」という声が出されています。県民を置き去りにしたあまりにも強引な進め方だったのではないですか? これは知事に伺いたいと思います。

佐藤公営企業管理者

えー、みやぎ型管理運営方式の導入にあたっては、県民のみなさまのご理解が重要であることから、これまで事業説明会の開催、ホームページや県政だよりを活用した広報、えー、パブリックコメントの実施など、さまざまな手法を活用して、ま、丁寧に情報発信を行ってまいりました。

また、今年4月からの事業開始後においても、知事のラジオ放送、県政だよりやパネル展示による広報、毎月のモニタリング結果や水質検査結果のホームページによる公表のほか、6月からは施設見学を再開するとともに、下水道の理解を深めていただくイベント等も開催しております。引き続き、わかりやすく丁寧な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

福島かずえ委員

いつの間にか、知事からは、「復興の一丁目一番目が、このみやぎ型だ」という話もありましたし、まあ、知事の肝いりで進められたこのみやぎ型ですが、これもまた、当事者抜きの施策だと指摘しておきたいというふうに思います。

◆ 次期料金改定協議資料を議会へ提出するように

えー、2年後の2024年度、令和6年からスタートする新しい料金の協議が、現在、企業局と受水市町村とで行われています。市町村のみならず、利用者である県民や県議会、市町村議会が納得できる料金改定を行うために、必要な情報を公開することを求めます。

8月の市町村会議の資料は、当初、所管の建設企業委員会にも、会議の次第しか出さないという対応でした。来年の9月県議会には議決が求められる次期料金です。

市町村との覚書が交わされるまで県議会にも県民にも秘密では、議会と県民を軽視し、二元代表制民主主義に反するものと言わざるを得ませんが、必要な資料は議会にきちんと提出することを改めて求めます。いかがですか? 伺います。

佐藤公営企業管理者

えー、料金改定は、受水市町村と、ま、協議を重ねながら合意形成していくものであり、えー、その内容は協議過程で修正が生じうる、いわゆる意思形成過程の情報であることから、全てを公開することは難しいというふうに考えております。

一方で、協議の進捗状況等を開示することは、ま、重要であると、ま、認識していることから、ま、議会に対して、これまでも、会議資料や市町村の主な質問と県の回答内容の提供など、ま、協議の概要をお示ししてきたところです。引き続き、市町村の了解も得ながら、可能な限り、えー、協議状況の説明に努めてまいりたいと考えております。

福島かずえ委員

えー、昨年度の決算審査監査委員から出ておりますけれども、監査委員からも、情報発信、特に求めておりますし、また、えー、8月に開かれた経営審査委員会でも、県民から不安の声や問い合わせがある。より一層の県民の不安や関心に寄り添って、広報内容や手段について検討してほしい」という意見が、委員からも出されております

えー、情報公開と説明責任を果たすことは、本当に重要だということは、ぜひ肝に銘じて、えーとー、たとえ合意形成過程であっても、特別な理由がなければ公開対象でありますので、ぜひ必要な資料は出していただきたいと求めておきます。

◆ 広域水道の過大な計画の縮小を

えー、ところで、仙南・仙塩広域水道は、1977年に工事建設に着手し、計画給水人口は193万人、最終給水量は1日55万3千トンです。しかし、1986年に策定した県の第三次長期総合計画でも、この地域の人口は、2000年で161万人しか見込めないという中身でした。しかし、その際も給水人口を縮小せず、90年から給水を始めています。

決算年度、令和3年度の実績は、えー、仙南・仙塩広域水道は、施設能力の66%、最終水量の33%にしかなっていません。需要が見込めないため白石川河川取水は中止、凍結したままです。大崎広域水道も、南川ダム水系二期工事は凍結したままです。こちらも実績は、施設能力の61%、最終水量の52%です。

計画達成目標年次は、どちらも未定のままです。今後、どちらも水需要が増えるとは思えません。全体計画が過大という認識を、当局はお持ちでしょうか? 伺います。

佐藤公営企業管理者

えー、わが県の広域水道事業は、ま、人口の急激な増加により、深刻な水不足が懸念されていたことを背景に、関係市町村から県に対し広域水道建設の強い要望があったことを踏まえ、大崎広域水道は昭和48年度に、また仙南・仙塩広域水道は昭和51年度に、当時の厚生大臣により、県事業としての計画が認可されたものであります。

この計画は、将来人口を元に、計画給水人口を算定し、1人1日あたりの使用水量などから、計画給水量を合理的に推計するなど、市町村と十分な協議を行い作成したうえで、国の厳正な審査を経て認可されており、妥当なものであったというふうに考えております。

福島かずえ委員

ま、当時はそうだったかもしれませんが、現状で、いま過大な計画だという認識はお持ちじゃないんでしょうか? 伺います。

佐藤公営企業管理者

あのう、ま、当時、ま、そのような経緯を経て、ま、策定されたということですので、ま、現状、確かに、えー、量的に、えー、ま、余ってるという部分は、あの、あるというふうな認識は持っております。

福島かずえ委員

えー、仙南工業用水道事業は、95年に需要が見込めず休止を決定し、2009年には県として事業廃止の意思を決定しました。翌年には七ケ宿ダム使用権が消滅し、ダム管理費用の県負担が軽減されました。

使わない使用権や水利権を、実態に合わせて別の用途、何人かの県議の方も伺っておりますけれども、たとえば水力発電、治水などに変更するなど、国と協議して広域水道の過大な計画の縮小を今こそすべきではないでしょうか? 伺います。

佐藤公営企業管理者

えー、多目的ダムの効用を発揮させることなどを目的に定められている特定多目的ダム法において、えー、ダム使用権は、国土交通大臣の許可を受けなければ移転または変更することができないというふうにされております。

そのダム使用権については、取水の有無にかかわらず、全体計画に基づくダム管理費用が必要となることから、移転または変更後のほかのダム使用権者の負担などを考慮し、引受先を確保できなければ、移転または変更は困難であるというふうに、国のほうから示されております。

ま、現在、ダム使用権として企業局が確保している水量の一部は未利用となっておりますことから、先ほど委員からもお話ございましたように、その水量を新たな小水力発電に活用することについて、国や関係機関と協議を行っているところであり、引き続き、保有資産の有効活用について検討してまいります。

福島かずえ委員

ハイ、えー、ダムだけではなく、過大な管路についても伺います。

えー、過大な管路はそのまま更新するのではなく、当然ダウンサイジングが必要です。料金改定協議の中で、市町村から出された要望に応え、当局は管路の本格的な更新も考慮し、40年先を見据えた経営シミュレーションを11月めどに市町村に示すということです。県議会にも提出することを求めますが、いかがでしょうか?

佐藤公営企業管理者

えー、広域水道事業の料金改定協議においては、県議会に対し、えー、会議資料の提出など、ま、可能な限り、えー、協議状況の説明に務めてきたところであります。

あのう、経営シミュレーションにつきましても、受水市町村都の協議状況を踏まえ、ま、適切な時期に内容等をお示ししたいというふうに考えております。

福島かずえ委員

えー、経営シミュレーションは、料金改定にとって欠かせない資料であるから市町村に提示するものだと思います。えー、当然、えー、料金改定には県議会の議決が求められるわけでございますから、そうした必要な資料は早め早めに提出していただきたいというふうに思います。

えー、次に、えー、移ります。これまでも、あまりにも高すぎる料金を下げるために、一般会計からお金を繰り出し支援してきました。えー、長い事業ですので、いま、総額は現在調査中でございます。

えー、仙南・仙塩広域水道が給水を開始した90年からの10年間に、大崎広域水道と合わせて約200億円程度、直近の5年間でも4億4,600万円の繰入金、一般会計からありました。

えー、水道事業でも初期投資には、一般会計から繰り出しができる国の補助もありました。下水道建設事業には、国の補助制度が継続的にあります。水道の更新投資にも、国が補助するよう制度の新設拡充を、他の県とも連携して求めていくべきです。いかがでしょうか? 伺います。

佐藤公営企業管理者

えー、水道事業における国の補助制度は、平成27年度に生活基盤施設耐震化等交付金が新たに創設され、ま、企業局でもこれまで、施設整備や管路の耐震化事業において活用しております。

ま、しかしながら、えー、水道事業は、人口減少社会の進展による水需要の減少や施設の老朽化等への対応が急務となっていることから、ま、現在、県の政府要望や都道府県政令市および企業団で組織する地方公営企業連絡協議会において、水道施設の更新や耐震化の推進に向けたさらなる制度拡充などの要望を行っているところでございまして、引き続き、関係団体等と連携し、国に求めてまいります。

福島かずえ委員

えー、水は命の源であり、人の暮らしのため、都市のインフラとして欠かせないものです。更新投資を水道料金で賄おうとせずに、税を投入すべきだという働きかけ、企業局だけに任せずに知事も力を出していただければというふうに思っております。

◆ 企業債完済にあたって、受水市町村への責任水量制を止めるべき

えー、大崎広域水道の漆沢ダムの企業債はすでに完済し、南川ダムは残高1億8千万円で2024年度には完済予定です。仙南・仙塩広域水道の七ケ宿ダムは残高3億4千万円で来年度には完済できるとのことです。これで間違いありませんか? 確認します。

佐藤公営企業管理者

間違いございません。

福島かずえ委員

ものすごい企業債があったのがようやく完済しようとしているこの機会に、受水市町村への責任水量制を止めるべきです。県は、契約水量の8割を責任水量として市町村に割り当てています。そのため、他に安く利用できる自己水源があるにもかかわらず、県から高い水を買っている市町村があります。

また、過去3年間の実績で、責任水量まで使用していない市町は、大崎、美里、大郷、白石、蔵王、村田、岩沼、名取、富谷、塩釜、七ヶ浜と11もありました。ぜひ責任水量制を廃止して、市町村の負担を軽くすべきです。いかがですか? 伺います。

佐藤公営企業管理者

えー、責任水量制は、えー、生活に必要不可欠な社会資本である水道用水供給事業を、安定して経営していくため、他の多くの事業所においてでも採用している制度でございます。

えー、わが県においても、えー、事業開始時に受水市町村と協議し採用したものであり、責任水量制の廃止は、安定経営に支障を来すことから、今後もこの制度を維持していくことが必要であるというふうに考えております。

福島かずえ委員

この責任水量制が市町村を大変苦しめており、住民の料金負担にも結びついております。そもそも過大な人口増大見込みと、それに基づく過大なダムや管路の建設投資が、全国でもトップクラスの水道料金となり、受水市町村やその住民に大きな負担を押しつけました。この誤りの責任を、国と県がきちんと取るべきですが、いかがでしょうか? 伺います。

佐藤公営企業管理者

えー、わが県の広域水道事業計画は、将来人口を元に計画給水人口や計画給水量を合理的に追求するなど、関係市町村と十分な協議を行い作成したうえで国に認可されたものであり、妥当なものであったというふうに考えております。

ま、しかしながら、現在、人口減少や節水型社会の進展などにより、水需要は計画を下回っている状況にあることから、県では、民間の力を最大限に活用し将来にわたり安全安心な水を可能な限り低廉な価格で供給するため、みやぎ型管理運営方式の導入を推進したものであります。

企業局といたしましては、引き続き、管路のダウンサイジングや、新たな収益化方策として保有資産の有効活用を検討するなど、経営の効率化や合理化に努めながら、水道事業者としての責任を果たしてまいりたいというふうに考えております。

福島かずえ委員

終わります。ありがとうございました。