宮城県の水道民営化問題

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水道水検査に欠かせないヘリウムが、世界的な 供給不足とウクライナ侵攻に伴う物流混乱により、日本各地で調達できない自治体が続出! 

 

5月17日讀賣新聞オンライン記事

www.yomiuri.co.jp

この記事によると、

ヘリウムは水のカビ臭の原因となる物質や農薬などを検出する分析機に使われ、水道水から成分を分離する際に必要」(ヘリウム品薄、水道水検査に影…契約業者が納入できなくなった自治体「こんなこと初めて」讀賣新聞オンライン 2022/05/17 18:36 配信 より)

ですが、

ヘリウムは米国やカタールなど一部のガス田からしか産出されていない。輸入価格は年々上昇しており、昨年は1キロ・グラムあたり平均8100円超と、10年前の3倍に達している。」(ヘリウム品薄、水道水検査に影…契約業者が納入できなくなった自治体「こんなこと初めて」讀賣新聞オンライン 2022/05/17 18:36 配信より)

全国20政令市と東京都のうち、大阪市のほか、名古屋、新潟、静岡、浜松、岡山の5市が計画通り調達できていない。」(ヘリウム品薄、水道水検査に影…契約業者が納入できなくなった自治体「こんなこと初めて」讀賣新聞オンライン 2022/05/17 18:36 配信より)

とのことです。

 

東京大学物性研究所の山下穣准教授は、「ヘリウム危機の現状と今後の課題について」という記事で、

「これまでのヘリウム危機は,天然ガス関連施設の定期修理やトラブルなどの一時的な原因で発生してきた。一方、現在のヘリウム危機は中国をはじめとする新興国における需要の増大に供給が追い付いていないことが要因となっており、深刻化と長期化を警戒する必要がある。」(「ヘリウム危機の現状と今後の課題について」より)

とし、2019年に東京大学物性研究所で開催されたヘリウムリサイクルのワークショップについてご紹介しています。

「国内にはヘリウムガスを液化する設備は大学などの研究機関にしかなく、液体ヘリウムを輸入するガス会社で蒸発したヘリウムガスを再液化できるところはほとんど無いようである。研究機関の持つヘリウム液化設備を開放して、民間企業で使われたガスの再利用にもつなげることができれば、日本全体のヘリウムリサイクルに非常に大きな効果があげられるだろう。
 しかし、こうした対策をするにも相当の予算措置が必要である。今後、数年にわたってヘリウムが手に入りにくい状況が続くことを鑑みれば、緊急にこうした予算措置を求める提言が必要である。」(「ヘリウム危機の現状と今後の課題について」より)

「この『ヘリウム危機』は見方を変えれば、ヘリウムリサイクルに必要な技術開発や制度を整理する、『絶好の好機』なのかもしれない。地球から毎年採取できるヘリウム資源が限られているのに対して、データセンター用のヘリウム充填ハードディスクから超電導リニア中央新幹線量子コンピュータまで、新規のヘリウム需要は世界中で増えるばかりである。こうした状況の中、国内のヘリウムリサイクルを進めて、省ヘリウム技術開発を進めれば日本の産業にとって大きなアドバンテージとなるであろう。」 (「ヘリウム危機の現状と今後の課題について」より)

「まずは研究機関規模でのヘリウムリサイクルの枠組みと基礎技術の開発を進め、そこで蓄積されたノウハウを産業分野を含めたヘリウム利用者全体に広げることで社会全体に大きなインパクトを与えることができるだろう。政府にはこうした活動への支援をお願いしたい。」(「ヘリウム危機の現状と今後の課題について」より)

このような趣旨を、「物理学会を中心として 6 学会,2 研究機関連絡会と 39 機関でまとめた」(「ヘリウム危機の現状と今後の課題について」より)緊急声明文が、2019年12月に発表されています。↓

「ヘリウム危機」に臨んでの緊急声明⽂  ヘリウムリサイクル社会を⽬指してhttps://www.jps.or.jp/information/docs/seimei20191220.pdf

ヘリウム危機の現状と今後の課題について 東京大学 物性研究所 山下 穣https://yamashita.issp.u-tokyo.ac.jp/image/HeliumCrisis_2020.pdf

www.k.u-tokyo.ac.jp

 

みやぎ型管理運営方式の状況は?

みやぎ型でのヘリウムの在庫見通しと今後の対応について、みずむすびマネジメントみやぎ/みずむすびサービスみやぎのHPにあるお問い合わせフォームから質問しました。

5月18日の夜に送信した内容は下記のとおりです。

「水道水の検査に欠かせないヘリウムが品薄となり、調達できない自治体が相次いでいる。」という讀賣新聞記事(5月17日)を見ました。御社でも、これからヘリウムの調達に困難をきたすのではないかと心配しています。
この件に関して、次の3点についてお知らせください。
1)現在のヘリウム在庫量で、どれくらいの期間なら、問題なく上水道の水質検査を行える状況なのでしょうか?
2)今後、ヘリウムの供給量が急激に回復することは期待できませんが、御社はどのような対応策を講じていくおつもりでしょうか? 具体的に教えてください。
3)ヘリウムの調達費用が高騰することによって、水道水の市町村への卸売り価格が上がるとしたら、どの程度になると予測されますか?
以上、どうぞよろしくお願いいたします。

 

www.mizumusubi.co.jp

 

みやぎ型管理運営方式の監督部署である宮城県の水道経営課水道経営管理班にも、お問い合わせフォームから、同じく5月18日の夜に下記の内容を送信しました。

みやぎ型管理運営方式でのヘリウムの調達について

「水道水の検査に欠かせないヘリウムが品薄となり、調達できない自治体が相次いでいる。」という讀賣新聞の記事(5月17日)を見ました。みやぎ型の事業においても、これからヘリウムの調達に困難をきたすのではないかと心配しています。
次の3点について、県としてどのように把握なさっているのかをお知らせください。
1)現在のヘリウム在庫量で、どれくらいの期間なら、問題なく上水道の水質検査を行える状況なのでしょうか?
2)今後、ヘリウムの供給量が急激に回復することは期待できませんが、どのような対応策を講じていくのでしょうか? 具体的に教えてください。
3)ヘリウムの調達費用が高騰することによって、水道水の市町村への卸売り価格が上がるとしたら、どの程度になると予測されますか?
以上、どうぞよろしくお願いいたします。

 

www.pref.miyagi.jp