宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

シンポジウム「東北の山の今と未来を考える」  温暖化対策で森林を破壊するのは本末転倒! 住民の生活と水源涵養林が破壊される!    

 

現在東北各地で計画されているメガソーラーや巨大風力発電による再生可能エネルギー開発は、大規模な森林伐採による土砂崩れや洪水、地下水や上水道用水の水源枯渇など、住民の生活を脅かし、取り返しのつかない自然破壊をもたらす深刻な問題です。

シンポジウム「東北の山の今と未来を考える」を主催する下記の7団体は、こういった開発計画の中止を訴えています。

 ・耕野の自然と未来を考える会(宮城県丸森町

 ・太白カントリークラブメガソーラー建設に反対する会(宮城県仙台市

 ・鳴子温泉郷の暮らしとこれからを考える会(宮城県大崎市

 ・加美町の未来を守る会(宮城県加美町

 ・風力発電を考える色麻の会(宮城県色麻町

 ・Protect Hakkoda~八甲田の自然を後世に~(青森県青森市

 ・みやぎ・なめとこ山の会

 

 

シンポジウム「東北の山の今と未来を考える」は、YouTube でもライブ配信されます。 

 

このシンポジウムのプレスリリースです。 

www.atpress.ne.jp

 

このシンポジウムを開催するためのクラウドファンディングも行われています。

readyfor.jp

 

上記の2記事から、各地の計画を要約させていただきます。 

 

(1)耕野の自然と未来を考える会(宮城県丸森町

この地区は上水道が未整備で、ほぼ全ての家庭が地下水に頼った生活をしている。

2019年9月に、約115ha の森林を伐採するメガソーラー計画が持ち上がった。
丸森町は、2019年10月の台風19号で甚大な被害を受け、大規模な土砂崩れ、道路崩落が発生した。

メガソーラー計画では、土砂崩れや洪水を防ぐ山林を広範囲に伐採し、切り土や盛土により地形を大きく改変するため、住民に大きな不安を与えている。

 

(2)太白カントリークラブメガソーラー建設に反対する会(宮城県仙台市

最大 4.9㎥/sの上水道用水が取水され、仙台市など仙塩地区3市1町に供給する重要水源地にあり、秋保温泉の観光資源でもある太白カントリークラブを閉鎖し、ゴルフコースすべてを使って、総面積1,115,000㎡(115ヘクタール)に12万7,500枚のソーラーパネルを設置し、現状の樹木を半分伐採する計画。

特に海外製の太陽光パネルには、カドミウム、鉛、セレン、ヒ素インジウム等有害物質が多く含まれているが、今回の事業者である株式会社ブルーキャピタルマネジメントは、中国製の太陽光パネルを使用すると断言。

太陽光パネル破損等により、雨水とともに流出して、土壌汚染や、地下水、河川に水質悪化を招く恐れがあり、現地の秋保のみならず、名取川下流域で使用している多くの仙台市民、農家に多大な被害を起こす原因となる。

太陽光パネルは、水に浸かっても、フレームから外れて壊れていても、光が当たると、発電してしまう。

このため、2020年2月16日に発生した埼玉県のアスクル物流センター火災では、消防士が感電死。放流した水は地表に流れて周辺に広がり、太陽光発電モジュールに直接放水すると、破損した部分から水を伝わって消防士にまで電気の通り道ができてしまう。

 

(3)鳴子温泉郷の暮らしとこれからを考える会(宮城県大崎市

鳴子温泉郷の周囲に、7つの風力発電事業の計画がある。陸上では日本最大級となる200m級の風車189基が立ち並ぶといった限度を超えた商業的な大規模開発は、美しい鳴子の景観を損ない、多様な動植物が住む自然を壊してしまう。

この地域では、既に地熱発電水力発電バイオマス発電など、様々な再生エネルギーの活用が進んでいるが、節度を越えた開発に疑問がある。

www.sankei.com

また、上記の産経新聞の記事では、

<7計画のうち「六角牧場風力発電事業」には、23年の東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染された東北大の牧場地を、大学が除染しないまま貸し付けていた。>

<環境影響評価(アセスメント)手続きの一つで昨年4月に開かれた宮城県環境影響評価技術審査会では、放射性物質の専門家が、風力発電施設の建設工事で放射性物質が周辺地へ流出することを懸念した。>

<鳴子地区がある大崎市も昨年3月に再エネ条例を制定。事業者に事前協議や住民との合意形成を義務づけた。再エネ固定価格買い取り制度では、関係法令や条例に違反すると認定が取り消される規定があり、全国で前例もある。>

<【宮城県大崎市再生可能エネルギー条例】 事業者に対し、事業着手90日前までに市と事前協議すること、住民説明会や一定の範囲の住民との協議による合意形成を義務づけた。「理解が得られた」とする住民代表(自治会長や行政区長らを想定)の複数の署名が入った「説明会等報告書」の提出を求める。協議は原則、合意形成まで繰り返される。市は「事業者も住民も条例を活用し、しっかり話し合ってほしい」と呼びかけている。>

といったことが紹介されています。

(筆者注:< >内は、上記の産経新聞記事からの抜粋です。)

 

(4)加美町の未来を守る会(宮城県加美町

  風力発電を考える色麻の会(宮城県色麻町

加美町は、宮城県北部に位置し、2017年に「世界農業遺産」として認定された大崎耕土の水源地。

加美郡の水田地帯を取り囲む奥羽山脈の尾根筋に、高さ200m級の風車が、最大約170基立ち並ぶ計画で、日本では、1つの町の山間部にこれだけ大規模な風車群が建設された例はない。

建設予定地は、林野庁の管理する国有林の緑の回廊を含み、水源かん養保安林、土砂流出防備保安林、土砂崩壊防備保安林、宮城県水道水源特定保安地域、加美町水資源保全地域など。

 

(5)Protect Hakkoda~八甲田の自然を後世に~(青森県青森市

十和田八幡平国立公園を含む青森市十和田市、平内町、野辺地町七戸町、東北町の6市町村にまたがる八甲田山周辺で、1事業の規模では、国内最大の陸上風力発電事業を計画。

事業計画区域には、十和田八幡平国立公園も含まれており、ほぼ全てが森林区域で保安林にあたる。

 

シンポジウム「東北の山の今と未来を考える」を後援している全国再エネ問題連絡会のHPに、「白熱エネルギートーク」ダイジェスト(2021年8月29日)という対談記事があます。

saiene-news.com対談のゲストである鈎裕之氏(公益社団法人東京電気管理技術者協会千葉支部長)と、山口雅之氏(全国再エネ問題連絡会共同代表 函南町軽井沢メガソーラーを考える会共同代表)が、端的に再エネ問題についてお話しなさった内容を要約させていただきます。

山口雅之氏談

再生可能エネルギーを大手電力会社が固定価格で買い取ることを義務づけるFITという国の制度のもと、国民は電気料金として再エネ賦課金を払わされているのに、投機目的でFIT認定IDを転売する悪質な事業者たちが放置されている。

森林法には許可の条文はあるが、取消し条文がないので、許可を取った後、残置森林 さえ残さないで森林を切ってしまっても、中止命令をかけられない。

環境アセスメントも、単なるセレモニーでしかない。何の強制力も罰則もなく、環境 アセスメント終了の判断は事業者任せになっているので、形式的な手順さえ踏めば事業ができる。

鈎裕之氏談

電気事業法第1条にあるとおり、メガソーラーも風力発電も、電気工作物である限り、公共の安全と環境の保全は絶対守らないといけない。

第一条 この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによつて、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。

elaws.e-gov.go.jp

 

山口雅之氏が内閣府規制改革会議タスクフォースに招かれた際の発言は、山口氏が準備した文書や資料をもとに内容を補足した記事として、長周新聞に掲載されました。
www.chosyu-journal.jp

 

悪質業者に資金流入  法改正による規制必須

 

 以上からわかる再エネ事業者の実態だが、田舎はご存じのとおり高齢化が進み、後継ぎもおらず、田畑や山を持っていること自体を負担に感じている方も多くいる。事業者は、地主さえ土地を手放すことに同意してもらえれば、他の住民は地主に気遣いをして「反対の声を出しづらくなる」ことを熟知している。地域の住民には、計画が相当進んだ段階になってから説明会を開催し、事業はもう止めることはできない段階にあると思いこませ、住民にあきらめを抱かせる手口をとっている。

 

 一方、事業者は縦割り行政の限界を熟知し、巧妙な話術や事実と異なる虚偽の文書を使い、きわめて狡猾に行政の担当職員をだます。たとえば奈良県平群町のメガソーラー建設をめぐって林地開発許可申請に虚偽があったことを、奈良県知事も「業者に職員がだまされた」といっている。

 

 また事業者は、反対する住民運動の代表者を狙って誹謗中傷をおこなったり、脅迫をしたり、反対運動に対してスラップ訴訟を起こしたりしている。私自身も事業者から脅迫されている。

 昔、「サラ金地獄」といわれた時代があったが、今は「再エネ地獄」といえるのではないかと思っている。その構図が酷似している。いずれも法や制度の不備を突き、悪質な事業者が次々生まれ、国民に多くの被害をもたらすが、その背景にメガバンクや大企業、ファンドなどからの資金が悪質事業者に流れている。

 

(「熱海の悲劇くり返さぬため再エネに対する法的規制を 全国再エネ問題連絡会 共同代表・山口雅之」長周新聞 2021年9月17日 より)

 

山口雅之氏から全国各地の悲惨なメガソーラー被害の報告が行われ、それをもたらしている上記のような悪辣な実態が語られたにもかかわらず、

「この日のタスクフォースをオンラインで視聴した各地の住民からは、住民の真剣な 訴えを経産省環境省林野庁の役人が受け止めようとしていない、タスクフォースの4人の委員も事業者寄りの人物ばかりで公平性に欠ける、など厳しい意見が数多く寄せられている。」(「熱海の悲劇くり返さぬため再エネに対する法的規制を 全国再エネ問題連絡会 共同代表・山口雅之」長周新聞 2021年9月17日 より)

とのことです。

 

そして国は、太陽光発電のさらなる導入拡大を狙う省庁横断の検討会を立ち上げ、

「今年夏ごろに太陽光発電の特性に合った用地を確保するための基本的な考え方を取りまとめる。」(「太陽光発電の設置拡大、山林から平地に誘導 政府検討会」日本経済新聞 2022年4月19日 より)

そうです。

www.nikkei.com