宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

6月県議会でのみやぎ型に関する一般質問(1) 遠藤伸幸議員(公明党県議団)、中山耕一議員(自由民主党・県民会議)、枡和也議員(みやぎ県民の声)の質疑応答文字起こしです!

2021年6月23日、宮城県議会にて、令和3年6月定例会の一般質問が始まりました。  みやぎ型管理運営方式に関する一般質問のスケジュールは以下のとおりです。

2021年6月県議会 みやぎ型管理運営方式

 

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遠藤伸幸議員(公明党県議団)の一般質問

 

遠藤伸幸議員

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大綱三点目、水道三事業のみやぎ型管理運営方式について伺います。

人口減少や節水型社会の進展、また管路の老朽化への対応など、水道事業は今後厳しさを増すことは明らかであります。

今年3月、多くの公的機関を監査しているEY新日本有限責任監査法人は、人口減少時代の水道料金はどうなるのか? との研究結果を発表し、2043年までに全国1,232の末端給水事業体のうち94%で水道料金が値上げされ、値上げ率は平均43%増になるとの推計を示しました。

本県でも33の給水事業者のうち、32が値上げの可能性があり、値上げ率で全国ワースト50位に入る自治体も複数含まれております。

一方、同法人では、仮りに都道府県単位で一水道事業に統合した場合の試算も行っていますが、本県では、その場合でも、42%の値上げが必要との結果が出ており、広域化や施設のダウンサイジングだけでは、水道事業の課題解決には不十分であることが示唆されております。

本県では、現在でも、全国平均を上回る水道料金の高さが、県民の家計に重くのしかかっています。その要因としては、県の用水供給事業の料金が、全国の大規模水道用水供給事業管理者の中でもトップクラスに高く、受水市町村の水道事業を圧迫していることが挙げられます。

市町村の負担を出来る限り抑え、その水道事業の持続可能性を高めていくため、まず、県の広域水道の改革を進めることは合理的であり、市町村からの期待も大きいと考えます。

みやぎ型管理運営方式は、県の水道三事業について、県が、引き続きしっかりと事業の責任を持ちながら、これまでも取り組んできた民間との連携を進化させることにより、コスト削減と基盤強化を目指すものであり、水道の民営化ではありません。

みやぎ型は、本県の水道の課題解決に向けて必要かつ効果的な取り組みであるとの考えのもと、 公明党県議団として一昨年12月の条例改正に賛成いたしました。

ただ、この方式を担うパートナーとして、どんな企業が選ばれ、どのような提案がなされ、そして県とどのような契約を結ぶかが最も重要であり、公明党県議団としても重大な関心を持って選定手続きを見守ってきたところであります。

県は昨年3月に公募を開始し、3つの企業グループとの半年間にわたる競争的対話を経て、今年3月、優先交渉権者として、水処理国内最大手のメタウォーターを中心とするグループを選定いたしました。

4月13日には、県と同グループによる基本協定が結ばれ、5月19日には、SPCと呼ばれる特別目的会社、株式会社みずむすびマネジメントみやぎが設立されました。

この選定手続きにあたっては、有識者からなる県のPFI検討委員会による客観的かつ公平な審査が行われるとともに、選定から漏れた企業グループの提案概要書も含めて関係資料を公表するなど、透明性にも配慮がなされていると受け止めていますが、まずは優先交渉権者としてメタウォーターグループを選んだ理由についてお示しください。

次に、事業の効果について伺います。

メタウォーターグループの提案によると、同グループが20年間運営を担った場合の総事業費は、県事業費も含めて2,977億円であり、現行体制で行った場合の3,314億円と比べて、約337億円削減ができるとされております。

これは、県が公募時に求めたコスト削減額の247億円を約90億円上回っておりますが、この削減により、将来水道料金の抑制には、どの程度の効果があるのか? 管路更新に関する効果はどの程度か? をお示しください。

また、仮りに提案どおりのコスト削減ができなかった場合に、料金への影響はあるのか? も確認いたします。

次に、事業開始後のモニタリング体制について伺います。

みやぎ型管理運営方式では、事業の監視体制について、運営権者によるセルフモニタリング、県によるモニタリング、そして、学識経験者や専門家からなる経営審査委員会によるモニタリングと、三段階でモニタリングを実施し、運営権者による適切かつ確実な事業運営を確保することとしています。

また県では、毎年度、事業の運営状況を県議会に報告することにしております。

一方、メタウォーターグループの提案によると、SPCに加えて、維持管理業務を担う新地域水事業会社、いわゆる新OM会社を県内に設立するとされております。

この新OM会社は、現行体制で運転管理業務等を委託している民間企業と同じような業務を行う会社だと思いますが、新OM会社に対するモニタリングについては、どのように実施していくのか? 伺います。

次に、県民への情報公開について伺います。

みやぎ型管理運営方式では、運営権者が、県情報公開条例の趣旨に沿った情報公開取扱規定を定め、事業に関する情報公開を適時に行うものと規定しております。

一方、情報公開をめぐる対応について、開示請求者から再検討の要請があった場合、運営権者は、親会社の法務部門を含む外部の専門家に、判断の妥当性について確認を依頼することとなっております。

しかし、第三者性が担保されるのか? という疑問の声も上がっております。

情報の非開示に対する不服申し立ては、運営権者だけでなく県企業局でも対応することを明確にしてはどうかと思いますが、ご所見を伺います。

この綱の最後に、業務の引継ぎについて伺います。

みやぎ型管理運営方式の導入により、これまで長らく運転管理業務を担ってきた民間企業が交代になりますが、水道事業は一日たりとも途絶えるようなことがあってはいけません。

今後、本契約の締結後に、事業承継計画書が作成されると思いますが、円滑で確実な業務の引継ぎに向けて、どの程度の期間が必要と見込んでいるのか? また県として、どのような支援を行っていくのか? お示しください。

村井嘉浩知事

みやぎ型管理運営方式についてのご質問のうち、メタウォーターグループを選定した理由についてのお尋ねにお答えいたします。

優先交渉権者の選定にあたっては、PFI検討委員会による公正公平で厳格な審査が行われ、事業の全体的な実施方針や実施体制、運転管理、保守管理など、すべての審査項目において、いずれも高い評価を得たメタウォーター株式会社を代表とする企業グループが選定されました。

提案内容のうち、特に評価が高かったものは、本企業グループの構成企業が共同出資する浄水場等の運転管理やオペレーション、保守点検、メンテナンスを担う新たなOM会社を県内に設立する提案であり、安定的な事業運営と雇用創出の効果が大いに期待されております。

このほか浄水処理において、特に注意を要するカビ臭物質などの検査項目について、現行より厳しい目標値を設定して水質の向上を図る点や、最新のデジタル技術を導入し、上工下水の全事業を統合した運転監視システムの導入による効率的な運営なども、高く評価されております。

県といたしましては、今後、優先交渉権者と綿密に連携を図りながら、安全安心かつ安定的な事業運営の実現に向けて鋭意取り組んでまいる所存であります。私からは以上でございます。

櫻井雅之公営企業管理者

大綱三点目、みやぎ型管理運営方式についてのご質問のうち、水道料金や管路更新に関する効果、およびコスト削減ができなかった場合の影響についてのお尋ねにお答えいたします。

優先交渉権者からは、県が現行体制で事業を継続した場合の総事業費3,314億円に対して、337億円のコスト削減が提案されております。

このことにより、将来の管路更新に備えた財務基盤の強化や、人口減少に伴い上昇する料金抑制に大きな効果があるものと考えており、これらの効果の活用については、事業ごとの経営状況を見定め、今後、関係市町村等とも十分に協議しながら、最も有効な活用方法を検討していくこととしております。

なお、運営権者が収受する今後の水道料金については、現在見通している供給水量と物価の変動などに限定される制度となっていることから、運営権者側の理由による料金への影響はありません。

次に、新OM会社に対するモニタリングについてのご質問にお答えいたします。

新たに設立されたOM会社の業務は、水質管理や運転管理、保守点検等であるため、業務の運営状況や結果については、SPCを通じて県が報告を受け、モニタリングを行うこととなります。

さらに、OM会社は、SPCと連携して事業の中心的な業務を担う重要な会社となることから、経営状況についても、SPCと同等に、財務諸表や財務指標について県が報告を受け、継続して監視できる仕組みとしたところであります。

次に、情報非開示に対する再検討要請に係る第三者性の担保と、県としての対応についてのご質問にお答えいたします。

SPCの情報公開取扱規定においては、開示内容に対しての不服の申し立てがあった場合には、外部の専門家に不開示判断の妥当性について確認を依頼することとしております。

妥当性の判断は、親会社の法務部門や顧問弁護士が行うこととしており、再検討の結果については、判断を行った者を明示するなど、客観性を担保した対応がなされるものと考えております。

また、不開示に対する不服申し立てといった事案が発生し、県が相談を受けた場合には、事案によっては運営権者の業務を調査、審議いただく法務などの有識者で構成する経営審査委員会からも参考意見をいただくなど、適切に対応することとしております。

なお県に対して、同様の開示請求がなされた場合には、県の情報公開条例に基づき、県民の知る権利を尊重し、県の保有する情報の公開に努めてまいります。

次に、事業開始に向けた引継ぎ期間と県の支援についてのご質問のお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式の対象事業は、代替性のない社会資本であることから、事業の継続性を確保するため、円滑な事業引継ぎが極めて重要であると認識しており、現在の委託者等には、運営権者に対する引継ぎ義務を課しております。

具体的な引継ぎの期間につきましては、半年程度を見込んでおり、県といたしましては、今定例会へ提案している事業実施に関連する議案の議決をいただけたならば、運営権者や委託業務者等ともに、円滑で確実な引継ぎに努めてまいります。私からは以上でございます。

 

中山耕一議員(自由民主党・県民会議)の一般質問

 

中山耕一議員

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大綱一点目、水道事業みやぎ型管理運営方式についてであります。

遠藤伸幸議員も、この件に関しては質問されておりますので、一部重複があるかもしれませんけれども、ご了承いただきたいと思います。

では、宮城県企業局が経営する水道事業は、安全安心な水の供給と安定的な汚水を処理するという、私たち県民生活と企業の経済活動に欠かすことのできない重要な社会資本であります。

しかしながら、我が県は、25年後には現在の人口が2割以上減少することが予測され、また、節水バルブやシャワーヘッドなどの節水機器やミネラルウォーターの普及などにより、水道水の需要が減少してくことは必至であります。

一方、昭和40年代から整備を進めてきた水道管等の施設は老朽化が進み、今後、20年か30年後には本格的な更新が始まるなど、水道事業を取り巻く経営環境は、一層厳しさを増していくことは避けられないところであります。

こうした状況に対して、企業局では、平成27年度に、厳しい事業環境を踏まえた今後の最適な管理運営のあり方について検討を始め、公共性を担保しつつ民の力を最大限活用するという方向性を打ち出し、翌平成28年度には、水道事業や官民連携に精通した有識者からなる宮城県上水・工水・下水一体型管理運営検討懇話会を開催いたしました。

その後、平成29年度および30年度には、国や市町村を含めた宮城県上工下水道一体官民連携運営検討会において検討を深め、宮城県上工下水一体官民連携事業いわゆるみやぎ型管理運営方式の大きな枠組みを、事業概要書として取りまとめ公表したということであります。

一方、今県議会においても、平成29年2月定例会以降、このみやぎ型管理運営方式について、様々な角度から議論を重ね、令和元年11月定例会において、公共施設等運営事業の導入を可能とする条例改正案を承認可決いたしました。

今後厳しい経営環境が増していく我が県の水道事業を、将来にわたり、安定して経営を継続していくことのできる基盤を構築するため、県は、みやぎ型管理運営方式の導入を進めておりますが、県の水道事業のみならず、受水市町村や、実際に使用する県民にとって、どんなメリットがあるのかが重要であります。これらのことを踏まえ、以下伺ってまいります。

みやぎ型管理運営方式導入の基本的考え方について、まず伺います。

県では、今定例会にみやぎ型管理運営方式に係る公共施設等運営権の設定に関する議案を提案しているところでありますが、まず初めに、みやぎ型管理運営方式を導入するに至った基本的な考えについて、改めて伺います。

次に、優先交渉権者についてであります。企業局では、上水、工業用水、下水、一体化によるスケールメリットの発現や、運転管理を担う民間事業者に対し、薬品や資材の調達および設備機器の選定を委ねることにより、大きなコスト削減を実現し、料金上昇の抑制を企図して、みやぎ型管理運営方式の事業者の公募を令和2年3月に開始し、3つの企業グループから事業の提案を受けました。

その後、競争的対話を経て、今年3月に、外部有識者からなる宮城県民間資金等活用事業検討委員会いわゆるPFI検討委員会において、3つの企業グループの提案内容の審査が行われ、本事業の優先交渉権者として、国内水事業の最大手であるメタウォーター株式会社を代表とする企業グループが選定されました。

この選定された提案については、20年間の総事業費で、企業局が現行の体制で事業を継続した場合と比較すると、約337億円の削減が見込まれるという大きなコスト削減につながる提案内容であったということでありますが、優先交渉権者となった企業グループの提案内容に対する全体的な評価について、どうであったか? お答えいただきます。

優先交渉権者に選定された企業グループには、外資系企業であるヴェオリア・ジェネリッツ(筆者注:正しくはヴェオリア・ジェネッツですが、中山議員の発音のとおりに表記しました)株式会社が含まれております。この外資系企業が参入することについては、不安の声が聞こえておりますが、外資系企業がみやぎ型管理運営方式の一翼を担うことについての不安や課題はないのか? 伺います。

選定された優先交渉権者の提案は、削減内容を見ると、人件費が約167億円削減されるほか、設備の更新投資が約348億円削減されることが見込まれており、大幅なコストを削減するという魅力的なものとされております。

人件費の削減については、働く人々の労働意欲の低下につながることが懸念され、肝心の上工下水事業の管理運営に支障をきたすことになれば、本末転倒となります。その点については、どのようにお考えなのか? 伺います。

本事業においては、設備の修繕、更新工事についても、運営権者が担うことで事業効果を高めることとなっておりますが、設備の更新投資が大幅に削減されることで、設備の健全度は保たれるのか? についての不安も感じるところでありますが、いかがでしょうか? 

当該設備は、契約完了後の20年後に県に返還されることとなっておりますが、事業終了後、多額の更新投資が必要となることにならないかについても併せて伺います。

また、優先交渉権者が提案したコスト削減額を踏まえて、みやぎ型管理運営方式の導入が、県の水道事業経営にはどのような効果をもたらし、受水市町村はどのようなメリットを享受することができると見込んでいるのか? 伺います。

次に、地元企業への影響についてであります。

みやぎ型管理運営方式の導入については、これまで水道事業に関わってきた地元企業への影響を懸念するという声も聞こえてまいります。地域経済への影響も含めて、この点についてどのようにお考えか伺います。

運営権者の撤退の場合の対応策について伺ってまいります。

みやぎ型管理運営方式の運営権者は、20年間という長期間に及ぶ上工下水道の管理運営を行うこととなります。この長い事業期間の中で、何らかの理由で事業採算が悪化し、当該事業から運営権者が撤退するという可能性も皆無ではありません。

上工下水道事業は、県民生活に欠かせない代替性のないインフラであり、こうした事態が発生した場合であっても、県民生活に悪影響を与えることはあってはなりません。

運営権者が事業から撤退した場合の備えについて、十分に対応策を講じておく必要があると考えますが、現時点での対応策を教えてください。

県によるチェック機能についてであります。

本事業の契約の相手方は、優先交渉権者構成企業が設立した特別目的会社、株式会社みずむすびマネジメントみやぎが運営権者となり、経営・技術企画・改築を主に担当し、業務に当たることとされております。

一方で、浄水場や下水処理のオペレーションとメンテナンス、いわゆるOMと呼ばれる業務を担当するのは、この特別目的会社と同じ出資者が設立した株式会社みずむすびサービスみやぎが、運営権者から委託を受けて担うこととなっております。

県との契約の相手方である運営権者に対しては、当然しっかりとした監視を行い、適正な業務の遂行を担保できると考えておりますが、みやぎ型管理運営方式の最も重要な業務を担うこのOM会社については、特別目的会社も含めた経営方針や役員等の経営体制および各業務の執行体制等も合わせて、事前に県がしっかりと確認する必要があると思いますが、このことについてのお考えと、どのような状況なのか伺います。

また、事業開始後においても、このOM会社に対しては、運営権者と同様のモニタリング、つまり経営状況、水質管理、情報公開等の要求水準書の達成状況に対して、県がしっかりとチェック機能を果たしていく必要があると考えますが、どのように進めていかれるのか? 伺います。

次に、経営審査委員会についてであります。

今定例会には、みやぎ型管理運営方式に係る条例改正案も同時に提案され、運営権者の業務を審査、審議する経営審査委員会を設置することとされております。

この審査委員会は、運営権者によるモニタリング結果および県によるモニタリング結果のほか、運営権者収受額の定期改訂、または臨時改定の内容、水道料金の改定、改築計画書の内容等の審査を、中立的な立場で、客観的な評価分析を行い、県および運営権者に意見を述べる大変重要な機関として位置付けられることとなっております。

こうした専門的事項の審査を行うためには、高度な専門知識を有する方に委員として就任していただく必要があると考えますが、人選については、どのような方がいつ頃までに決定する予定なのか? 伺います。

次に、事業監視のモニタリング体制についてであります。

みやぎ型管理運営方式においては、仕様発注ではなく性能発注となっており、入り口と出口は決められておりますが、出口に至るまでの手法は、運営権者の創意工夫に委ねられております。この取り組みを成功させるためには、事業を監視するモニタリング体制が非常に重要であります。

運営権者、県および経営審査委員会によるモニタリングの体制は、十分に県民の安全安心を担保しうるものでなければならないと考えますが、その体制についてどのようにお考えか伺います。

次に、県議会への報告についてであります。

水道事業は、県民生活と企業の経済活動に密接にかかわる重要な社会資本であることから、われわれ県議会としても、みやぎ型管理運営方式については、しっかりとチェック機能を果たし、県民の負託に応えていく必要があります。

今定例会に提案された条例改正案においてはこのことを考慮の上、運営権者の業務実施状況について、毎年度議会に報告することを義務として規定されております。

この議会への報告は、運営権者が設置した特別目的会社、株式会社みずむすびマネジメントみやぎの財務状況や、水質モニタリング等のみならず、実際の維持管理を行う株式会社みずむすびサービスみやぎの財務状況や水質モニタリング等についても、定期的に議会に報告する必要があると考えます。具体的には、どのようなタイミングで、何を報告するのか? 

また、水道料金は運営権者の利用料金だけでなく、県の料金も合わせた金額となりますが、これについても定期的な報告が必要であると思料します。どのようにお考えか伺います。

次に、関係市町村との連携についてであります。

末端供給や公共下水を担い、直接住民とかかわる市町村に対しても、説明責任を果たすことが大切であることは言うまでもありません。

これまで県は、市町村担当者会議や直接首長に対しても、節目節目で説明を行ってきたようでありますが、今年3月に運営権者が決定され、具体の水質管理計画や運転管理、さらには災害事故発生時の対応等について、早期に情報提供を行い、市町村の意見を聞きながら、計画を実行性のあるものにしていく必要があると考えますが、いかがお考えか伺います。

次に、県民への周知についてであります。

これまで県は、本事業の導入にあたって、シンポジウム、説明会、出前講座の開催のほか、広報誌、ホームページ等を通して、県民への理解が深まるよう努力してまいりました。

今定例会において、運営権設定等に関する議案が提案されておりますが、提案に当たっても、4月以降、4カ所計6回の説明会を開催し、動画も配信して、理解を得るための方策を講じてまいりました。

しかしながら、一方では、「説明が不足している」「県民への理解は浸透していない」との声も、マスコミ報道や説明会での質疑応答などで見聞きしております。

今後も県民への説明は大切であり、引き続き県民への理解が深まるよう最大限努力していく必要があると考えますが、どのように展開していくのか? お考えを教えてください。

次に、対象事業以外の市町村事業への支援についてであります。

今般の対象事業は、水道用水供給事業にあっては、大崎広域水道事業と仙南仙塩広域水道事業の2事業、工業用水道にあっては3事業、流域下水道事業にあっては4事業が対象とされております。

このほかに、対象とならない市町村で事業を展開している例がありますが、その中には厳しい経営を余儀なくされている例があると聞いております。

その利用者は同じ宮城県民であり、ともすれば、水道料金の額に影響し、それは生活に直接関連するものでもあります。経営面や技術的な面などで何らかの支援が必要な場合があると考えますが、現時点で把握してる内容を踏まえ、お考えがあれば伺います。

村井嘉浩知事

まず大綱一点目、水道事業みやぎ型管理運営方式についてのご質問にお答えいたします。

初めに、みやぎ型管理運営方式を導入するに至った基本的な考え方についてのお尋ねにお答えいたします。

我が県のみならず、全国の水道事業は、急激な人口減少や節水型社会の進展等により、水需要の減少が予測される一方、老朽化する施設の更新費用の増大が見込まれるなど、その経営環境は、今後ますます厳しくなることが予想されており、経営基盤の強化を図ることが喫緊の課題となっております。

みやぎ型管理運営方式は、改正水道法の成立により可能となった官民連携の考えをいち早く取り入れ、県が水道事業者として最終責任を担いながら、民間の創意工夫を最大限活用することにより、将来の水道料金の上昇抑制を図り、県と同様厳しい経営環境にある市町村の負担軽減にもつながる最も効果的な取り組みであります。

県といたしましては、みやぎ型管理運営方式が全国の水道事業者における経営基盤強化の新しいモデルとなるよう、鋭意取り組んでまいります。

次に、優先交渉権者の提案内容に対する評価はどうか? とのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式における運営事業者の公募にあたっては、PFI検討委員会による公正公平な審査が行われ、事業の実施方針や実施体制、運転保守管理など、すべての審査項目において高い評価を得たメタウォーター株式会社を代表とする企業グループを優先交渉権者に選定し、今定例会に運営権設定の議案を提案いたしました。

提案内容のうち特に評価が高かったものは、本企業グループ構成企業が出資する、浄水場等の運転管理と保守点検を担う新たな地域水事業会社を県内に設立する提案であり、安定的な事業運営と雇用創出への効果が大いに期待されております。

県といたしましては、PFI検討委員会において、経営基盤の強化を図ることができる最適な企業グループを選定していただいたものと考えており、今後、優先交渉権者と連携して、安心安全で安定的な事業運営に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えております。

次に、経営審査委員会の人選と選任時期についてのご質問にお答えいたします。

宮城県企業局経営審査委員会は、運営権者と県のモニタリング結果の確認や、利用料金の定期・臨時改定、改築計画の内容、運営権者が更新した設備機器の事業終了時の残存価値の算定など、高度で専門的な事項について、調査および審議いただく重要な組織であります。

そのため、委嘱する委員には、上下水道技術をはじめ、企業経営や経済、会計、法務などに係る各分野に精通した学識者や専門家について選定中であるほか、関係する市町村からの参加も検討しているところであります。

委嘱の時期につきましては、関連議案の議決を得られたのち、速やかに委員の選定を行い、年内には経営審査委員会を設置するとともに、各種事業計画に対して意見をいただき、来年4月の事業開始に向け、確実な事業の運営体制を構築することとしております。

次に、県民の理解を深めるための今後の取り組みはどうか? とのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式の導入にあたっては、県民の理解が最も重要であると認識しており、これまでシンポジウムや事業説明会の開催に加え、ホームページや県政だよりを活用した広報など幅広い周知を行うとともに、パブリックコメントなども活用しながら、県民のご意見に真摯に耳を傾ける努力を続けてきました。

県民から寄せられた水の安全性、料金上昇の懸念、事業の継続性等の意見に的確に対応するとともに、海外の事例なども踏まえながら、県民の安心安全を最優先に、みやぎ型管理運営方式の制度設計を構築いたしました。

しかしながら、いまだ一部から不安の声が寄せられていることから、県といたしましては、引き続きさまざまな手法により正確な情報提供と説明を尽くしながら、令和4年4月の事業開始に向けて、鋭意取り組んでまいりたいと思います。

櫻井雅之公営企業管理者

大綱一点目、水道事業みやぎ型管理運営方式についてのご質問のうち、外資系企業に対する不安と課題はどうか? とのお尋ねにお答えいたします。

国では、PFI事業において海外企業の参入に対して特段の制約は定めておらず、また県の調達案件においても、外資系企業であるという理由だけで参加を制限する等の内外差別的措置を行っておりません。

一方、水道事業に対する外国投資については、外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法において厚生労働省が審査を行う制度となっております。

優先交渉権者の構成企業であるヴェオリア・ジェネッツ株式会社は、フランスに本社を置く水処理企業体のヴェオリア・グループの日本法人であり、外資系企業に該当することから、同グループでは厚生労働省の審査を経て、国内における多くの浄水場下水処理場の運転管理業務等に携わっており、これまで適正に業務が実施されていると伺っております。

県といたしましては、我が県の水道事業に対して、国内外での豊富な実績を踏まえた先進的な技術を導入することなどにより、これまで以上に安定的で効率的な事業運営がなされるものと期待しております。

次に、優先交渉権者の提案における人件費の削減についてのご質問にお答えいたします。
優先交渉権者の提案では、みやぎ型管理運営方式の契約相手となる特別目的会社、いわゆるSPCと、オペレーションとメンテナンスを担うOM会社を合わせた従事者は、事業開始時において、現在の266名と同等の269名を予定しております。

事業開始後、統合型の運転監視機器の導入や、事業区域を大きく2つのエリアに分割し、上工下水道施設を一体的に保守管理する組織の構築等によって、7年目までに225名、約85%まで人員配置の見直しを図る計画となっております。

このように、優先交渉権者の提案における人件費の削減は、従事者の給与削減や労働条件によるものでなく、新技術の導入や組織体制の最適化などによる効率化によって実現しようとするものであります。

次に、更新投資の削減に伴う設備健全度の保持と契約期間終了後の更新投資についてのご質問にお答えいたします。

優先交渉権者の提案では、県の計画に対して更新費を削減する一方、修繕費を積み増す計画となっており、両者を合わせた提案額は、県の898億円に比較して652億円と、27%の削減となっております。

この削減の考え方は、現在、県において経過時間や作動時間に基づき実施している設備機器の修繕や更新を、提案では温度や振動等を継続的に監視するセンサーを導入し、異常を予兆する技術を活用することで、最適な時期での修繕や、長寿命化に向けた腐食に強い部品への交換などによって、健全度を維持する計画となっております。

なお、優先交渉権者との契約においては、事業終了時において、開始時と同等の健全度を維持すること、また、継続的な調査の実施も規定しており、事業終了後において多額の更新費用が発生することがない制度としております。

県といたしましては、運営権者が継続的に行う健全度調査の結果を確認し、水道施設の
健全度が低下することのないよう、水道事業者としての責任を果たしてまいります。

次に、みやぎ型管理運営方式を導入することによる県水道事業と受水市町村のメリットについてのご質問にお答えいたします。

優先交渉権者として選定した企業グループの提案では、県が現行体制で事業を実施した場合の総事業費3,314億円に比較して、公募の条件を約90億円上回る337億円のコスト削減が実現できる見通しとなっております。

このことにより、将来必ず到来する本格的な管路更新に備えた財務基盤の強化や、水需要の減少に伴い上昇する料金の抑制に大きな効果が得られるものと考えております。

これらの削減額の取扱いについては、9事業それぞれの特性や経営内容、更には市町村の状況も異なることから、県といたしましては今後、県民にとって最も効果的なものとなるよう関係市町村等とも十分に協議しながら進めてまいります。

次に、みやぎ型管理運営方式の導入による地元企業と地域経済に対する影響についてのお質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式の導入により、運営権者が新たに担う浄水場等の設備の修繕や更新工事については、これまでも主に大手メーカーが受注してきたため、令和元年度の実績では、地元企業の受注額は全体の5%であります。

また、優先交渉権者の提案では、運転管理従事者の地域人材の優先雇用や、工事・物品および業務委託等について、地元企業を優先して活用する計画となっているため、地域経済への影響は少ないものと考えております。

一方、現在、地元企業が実施している管路の点検や修繕、更新工事および漏水対応などについては引き続き県が担うことから、これまでどおり地元企業の受注機会の確保に努めていくこととしております。

次に、運営権者が事業から撤退した場合の対応についてのご質間にお答えいたします。

水道事業は代替性のないインフラであることから、いかなる事態が発生しても事業の継続性を確保することが極めて重要であります。

そのため、みやぎ型管理運営方式においては、運営権者と県がそれぞれ行う財務モニタリングを継続して行うことにより、財務状況の悪化の兆候を事前に捉え、自助努力による改善の期間を十分に確保できる制度としております。

それでも万が一、運営権者が撤退する事態となった場合には、県または県の指定する第三者の引継ぎを義務として課しており、引継ぎが完了するまでの間、運営権者自らの責任で事業を継続することとしております。

また、優先交渉権者の提案においては、 一時的な収支悪化等に備えて、代表企業による10億円の融資枠を設定しており、事業継続性の高い計画となっております。

さらに、万が一撤退するとなった場合においても、水処理に一切の空白が生じることのない引継ぎ計画を作成し、確実な移行が確保される事業計画を立案することとなっております。

次に、オペレーション・メンテナンス会社については、運営権者を含めた経営方針や体制を確認する必要があるとのご質間にお答えいたします。

優先交渉権者の提案では、みやぎ型管理運営方式を運営するSPCは、経営・改築と維持管理の方針や計画の策定を行い、SPCとは別に新たに設立するOM会社は、維持管理業務の確実な遂行がそれぞれの役割となっております。

そのため、SPCについては、PPP/PFI事業と改築工事の実績が豊富であるメタウォーターグループが、また、OM会社については、国内外において浄水場や浄化センターの運営・維持管理の豊富な実績を持つヴェオリアグループのヴェオリア・ジェネッツ社が、それぞれ過半数の役員と過半数の議決権株式の資金を拠出する機関設計となっております。

県といたしましては、これら経営や執行体制等について事前に確認して承認するとともに、事業開始後においても、SPCとOM会社が連携して、安心安全で安定的な事業運営が継続できるようしっかりと監視してまいります。

次に、OM会社のモニタリングについてのご質間にお答えいたします。

OM会社が行う業務は、水質管理や運転管理・保守点検等であるため、業務の運営状況や結果について、SPCを通じて県が報告を受けて監視することとなります。

さらに、OM会社はSPCと連携して事業運営する重要な会社となっていることから、経営状況についても県が確認する必要があるため、SPCと同等に財務諸表や財務指標の報告をモニタリング計画に位置づけることにより、県が継続的に監視できる仕組みとしております。

県といたしましては、安心安全な水道サービスの提供が可能となるようSPCとOM会社を一体としてモニタリングすることにより、水道事業者としての責任を確実に果たしてまいります。

次に、モニタリング体制についてのご質間にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式におけるモニタリング体制については、運営権者と県及び経営審査委員会による三段階モニタリングにより、安心安全な水道事業の運営を確認する実効性の高い監視体制としております。

運営権者のモニタリングでは、事業の運営状況が要求水準を遵守しているかを確認するとともに、自ら社外の学識者等を含めた第三者のモニタリングの実施など、複層的な監視体制を構築することとしております。

また、県によるモニタリングでは、運営権者の運転管理や水質管理の実施状況について報告を受け、要求水準の達成状況の確認・監視を行うとともに、抜き打ちでの検査も実施することとしております。

さらに、経営審査委員会によるモニタリングでは、運営権者と県のモニタリング結果等に対して、中立的な立場で客観的な評価・分析を行い、意見を述べるもので、県及び運営権者は委員会の意見を最大限尊重して事業運営に当たることとしております。

県といたしましてはこの実効性のある三段階モニタリングを通して、運営権者における適切な事業運営を図り、県民に安心安全な水道サービスが提供できるよう、着実に取り組んでまいります。

次に、運営権者とOM会社の財務状況や料金等の県議会に対する報告についてのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式における運営権者の予算や決算については、PFI事業であるため、企業局の予算から切り離されることとなりますが、水道事業は県民生活と産業の基盤を支える極めて重要な社会資本であるため、本定例会において県議会への報告を義務づける条例の改正を提案しております。

報告の内容といたしましては、運営権者とOM会社の行う事業の経営状況や施設の運転管理及び水質管理の結果等について、経営審査委員会の審議を経て答申を受けた後に、議会へ報告したいと考えております。

また、水道料金は運営権者と県がそれぞれ収受する合計の金額となるため、現在の料金との継続性の観点から、引き続き議会に対する定期的な報告が重要であると認識しており、企業局の当初予算と決算の議案を提案する定例会において報告してまいります。

次に、関係市町村に対して、具体的な管理計画等を早期に情報提供し、意見を聴く必要があるとのご質間にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式の導入に当たっては、関連する市町村との連携が重要であることから、これまで検討や手続の各段階において、市町村長に対し直接訪問して説明を行うとともに、担当課長等に対しても様々な機会を捉えて説明をしております。

また、今年3月の優先交渉権者の選定後、水質管理やモニタリングの実施計画、自然災害や事故発生時の対応手順について、基本的な考え方を関係市町村に対し説明を行い、おおむね理解を得ているところであります。

県といたしましては、来年4月の事業開始に向け、今後策定する各種の事業計画書について、素案の段階から関係市町村に提示し、意見を伺い策定することとしており、市町村との綿密な連携のもと確実な事業実施体制を構築してまいります。私からは、以上でございます。


鈴木秀人環境生活部長

 大綱一点目、水道事業みやぎ型管理運営方式についてのご質間のうち、みやぎ型管理運営方式の対象地域となっていない市町村の支援等についてのお尋ねにお答えいたします。

水道料金の上昇抑制を図りながら、安全で安心な水を安定的に供給するためには、広域水道の受水団体であるか否かにかかわらず、課題を把握し必要な支援を行うことが重要であると認識しております。

昨年度、県内全ての水道事業体に対して行ったアンケート調査では、施設・管路の老朽化、技術職員の不足などを経営課題と考えているところが多くその結果については、水道事業広域連携検討会地域部会において共有するとともに、施設管理業務の共同化など解決策となり得る広域連携の手法を提示し、取組を促しているところです。

県といたしましては、県内全域の水道事業が将来にわたって持続可能となるよう、市町村等との意見交換を丁寧に行いながら、経営基盤の安定に努めてまいります。

中山耕一議員

答弁ありがとうございました。
(中略)
それで、まず、みやぎ型管理運営方式に関してですが、いろいろな所から毎日のようにファクスが来たり、ともすれば電話をいただいたり、いろいろなご意見を頂戴してきました。

いろいろあるのですが、その中で先ほど外資系の参入については国の制限はないということでありました。

それはそれで理解しているのですが、優先交渉権者の企業グループ、特別目的会社、SPC、みずむすびマネジメントみやぎとOM会社のみずむすびサービスみやぎの議決権株式保有割合なんですが、その辺りについての状況がどうなのか?

それと、そういったことによって、そこにヴェオリア・ジェネッツも入っているはずなのですが、その辺りの状況と、そのことによるヴェオリア・ジェネッツの影響度合いといいますか、そういったことはどのように把握されているか? お示しください。

櫻井雅之公営企業管理者

まず、SPC会社のほうでございます。ここは代表企業でございますメタウォーターグループが、単独で過半数の議決権を保有していると、こういう状況でございます。

一方でOM会社、いわゆるハンドリングをする会社でございますが、ここは、ヴェオリア・ジェネッツ社が、単独で過半数の議決権株式を保有しているということで、基本的にはヴェオリア・ジェネッツがOM会社の担う業務を主導するということだと伺ってございます。

一方OM会社でございますが、代表企業でございますメタウォーターグループ、これはOM会社におきまして、いわゆる拒否権を有している3分の1以上の議決権株式を保有していると伺ってございます。重要なところについてはこの両者がカを合わせながら事業を遂行していくということになろうかと思ってございます。

なおSPCにおきましては、このヴェオリア・ジェネッツの株式でございますが、いわゆる拒否権を持つ株式は配置されておりませんで、具体には、議決権株式保有割合は18%となってございます。

中山耕一議員

外資系企業の優秀な技術を取り入れるということであれば、やはりその辺りは前向きに考えてもいいのだろうとは思います。

大体こういうようなことをはじめとするいろいろな質問だったり間合せだったりということについては、場合によっては、「やめるようにしてくれ」という意見なども頂戴します。

それはそれとしましてですが、やはり水道料金が上がるというのは、産業にも生活にも、電気料金と同じように本当に大きく影響する問題でありまして、企業にとっては立ち行かなくなったりということも引き起こすということでありますから、真撃に考えた上でのこういった対策なのだろうとは理解しております。

ただ一方で、いま申し上げましたように、それほどには理解されていない部分というのが結構散見されるといいますか、感じるんです。

そういったことで、この外資系の企業についてだって、「何で? 」と思うのですが、パリの再公営化ということやいろいろな誤解というのがあったりしていて 。パリで再公営化と言っても、まるっきり100%直営ということではないんです。

そういったことや、何で再公営化になったのか? ということも知られておらず、そういった誤解で何かかんか言われているというようなことだったりするんです。

再公営化の原因となったことというのは、そもそも最初に設備投資だったり、いろいろなことが計算上含まれていたのだけれども、それが起因して水道料金が2倍になってしまった、と。しかしそれは、当然の帰結だったのかもしれない。公がやっても多分そうなっただろうという識者もいるわけです。

それともうーつ、このことも大事だと思うのですが、長期的に民間に委託したことによつて、水道事業に関連する職員の知識だったり、スキルだったり、分析能力だったり、そういったことがだんだんに衰えていった、失われていったということがあって、議会や市民にきちんと説明できるような状態ではなくなってきた。

そういったことから、選挙のためだったのかどうかわからないですが、政権が交代してといった政治的な背景もあって、こういったことになったということなんですよね。

ただ再公営化という形になったとしても、結局、パリ市が民間の3社を統合して、100%出資の公社をつくった。そしてヴェオリアだったりスエズだったりに一部ずつ、再委託しているという形なんです。それで、きちんとなっている、と。ただ、再公営化は直営ではないということだったんです。

そういったことなども含めて、いろいろなことを、事例を検討して、そして重ねてきて、今の形を作ってきたのだということを、もっときちんとわかりやすく、いろいろな方面に示していただきたいというようなことだと思うのです。

情報を一生懸命いろいろな方策で伝えていると言うんですが、伝わることが大事なんです。そういうことで、その辺り、もう少し力を入れて頑張っていただきたいと思うので
すが、いかがですか?

村井嘉浩知事

おっしゃるとおりだと思います。一部の事例を捉えて、さも、みやぎ型管理運営方式が誤った方向だというような報道をされたり、そういうことを主張する方もおられるわけでありますが、今おっしゃったようなことをしっかりと説明していく、と。

それが伝わっていないということであれば、それは当然、われわれの努力不足であると言われても仕方がないと思いますので、今回この議案を通していただきまして、その上でさらにご理解いただけるように努力してまいりますので、何とか今回の議会で通していただきますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。

中山耕一議員

よろしくお願いします。終わります。

 

枡和也議員(公明党県議団)の一般質問

 

枡和也議員 

miyagi-pref.stream.jfit.co.jp

次に、大綱二点目、先の遠藤議員、中山議員ともかぶるところがありますが、水道三事業のみやぎ型管理運営方式について伺います。

知事から、今議会に、全国初となる上下水道と工業用水の運営権を一括して民間に売却する、みやぎ型管理運営方式関連議案が提案されました。

今回提出されている議案は、これまで運営権者と企業局、PFI委員会が検討してきたあらゆる内容を県民の代表である県議会が審議し可否を決定するということになります。

しかし、県民説明会において、民間に任せるのが不安の声、新OM会社やコスト削減方法、水質検査体制などの様々な質間、意見が出て、関連自治体での説明会の実施を求め
る意見もあり、今回の運営方式が複雑で、県民に事業内容について理解されたとは言い難い状況です。

みやぎ型管理運営方式は、20年間約3,000億円にもおよぶ事業であり、水道事業は県民の生活に関わる重要な事業であることから、県民および受水自治体の理解が必須であると思い、以下、伺います。

これまで県は、平成26年、企業局で水道事業の新経営計画などを策定する中で、厳しい経営環境に対する危機感を共有したことを発端に、内部で検討を開始し、上水・工水・下水一体型管理運営検討懇話会はじめ、上工下水一体官民連携運営検討会などを重ね、数年かけて議論してきたことや、今回の議案が今後の手続きにおける最後の議会審議になるのであればなおのこと、もう少し時間をかけて、丁寧に全体事業計画や価格の設定などを県民、そして受水自治体に説明すべきと思う。

以前にも新聞報道で取り上げられたように、受水自治体の首長の中にも「なぜこんなに急ぐのかわからない」との声もあるように拙速の感が否めないが、知事の所見を伺います。

次に、PFI検討委員会の審査講評でも高く評価された地域貢献の項目の中で、新地域水事業会社、維持管理をする新OM会社、SPCと同じ出資者を設立し、将来にわたって宮城の水を守る体制を構築するとあります。

長い期間、地域の人材を雇用し育成するということは理解いたしますが、20年を超えてSPCが解散しても存続するということであれば、すべてにおいて熟知している新OM会社が、契約期間を終えて新たな事業者が参入するとき、キャスティングボードを握るようになる懸念はないのか?

また、企業独自の管理システムや制御盤、水処理器などの導入で、契約期間終了後、他の事業者の参入が難しくなり、費用の上昇が懸念されると思うが、どうか? 知事の所見を伺います。

次に、運営権者の削減額が20年間で287億円、利益が92億円とされていますが、この金額を捻出させるために、人件費の過度な抑制はないのか?

また、説明会の資料の中で、 「設備の修繕と更新は運営権者が担うが、それはこれまでも大手メーカーがやってきた。」とありますが、その下請を担ってきたのは、地元中小企業であると思います。今後の地元企業の優先発注の履行確認と下請業者に無理な金額での発注防止策はどうなるのか? 知事の所見を伺います。以上、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

櫻井雅之公営企業管理者

大綱二点目、水道三事業のみやぎ型管理運営方式についてのご質間のうち、県民および受水市町村に対して時間をかけ説明を行うべきではないかとのお尋ねにお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式の導入に当たっては、県民と受水市町村の理解が重要であることから、県民に対しましてはシンポジウムや事業説明会等の開催に加え、ホームページを活用した広報など幅広い周知を図るとともに、今年の4月から6月にかけて優先交渉権者の提案内容を含む説明会を、県内4会場で6回にわたり開催するなど、理解の醸成に努めてまいりました。

また、受水市町村に対しましても、これまで市町村長を直接訪間して説明を行うとともに、担当課長会議等により情報共有を図ってきたところであり、優先交渉権者選定後には、水質管理や緊急時の対応手順等に関する具体的な考え方を説明し、基本的な理解を得たところです。

今定例会に、みやぎ型管理運営方式の事業の実施に向け、関連する議案を提出しておりますが、県といたしましては、引き続き県民と受水市町村への正しい情報発信と丁寧な説明を継続してまいります。

次に、事業期間を超えて存続する新地域水事業会社の影響等についてのご質間にお答えいたします。

優先交渉権者の提案では、浄水場等の運転管理と保守点検を担う新たな地域水事業会社、いわゆるOM会社を県内に設立する計画となっており、県としては安定的な事業運営と雇用創出の効果を大いに期待しております。

事業期間終了後における次期の運営管理方法については、現時点では決定しておりませんが、現在、国内には多くの水処理会社があり、今後とも互いに競争しながら実績を積み上げていくと思われることから、OM会社の存続や独自設備の導入が、競争を妨げるような優位性を発現させるものではなく、費用の上昇を招くことはないと考えております。

次に、人件費の削減と地元企業への優先発注および下請業者への対応についてのご質間にお答えいたします。

優先交渉権者の提案における人件費の削減は、統合型の運転監視機器の導入や事業区域を大きく2つのエリアに分割し、上エ下水道施設を一体的に保守管理することにより、人員配置を最適化するなど、事業の効率化によって実現しようとするものであります。

また、地元企業の活用については、地域人材の優先雇用や工事、物品および業務委託等について、地元企業を優先して活用する計画になっており、県としてはSPCの調達案件に関して、必要に応じて契約状況を確認することとしております。

また、下請契約については、建設業法等において不当に低い金額での契約は禁じられており、仮りに、SPCが法令に違反したときには、県は実施契約書に基づき是正を求めることができる規定としております。私からは、以上でございます。

枡和也議員

水道事業ですが、先ほど私も、ちょっと説明不足ではあるのではないかと思いました。先の4カ所6回の事業説明の中で、動画視聴回数が2,621回とのことでしたが、会場に来た人から様々な質問が会場で出され、執行部が回答していたということでございますが、動画を視聴していた方々の質問の受付とか、そういった質問に対する回答というのは、どういったことで行ったのか? お聞かせください。

櫻井雅之公営企業管理者

説明会は6回ありましたが、これについては今も視聴可能な状況となっておりまして、また、これに限らず、県民からいろいろ質間が来てございます。これらについては一つーつ、我々としても丁寧に答えている状況でございます。

枡和也議員

水道事業でもうーつですが、たとえば、最初の受水自治体に対する水道の料金の提示は、大体いつごろになるのか? そのスケジュールも併せて教えていただきたいということと、たとえば、そのときの料金の設定は、議会承認の対象になるのか、ならないのか? その辺もお聞かせください。

櫻井雅之公営企業管理者

このみやぎ型管理運営方式の制度を導入する以前からも、この水道料金については議会の議決を得ながら、そして、受水市町村と協議をしながら進めてきたということでございます。これらの枠組みについては一切変わらずに、そういった手続を進めていきたいと思ってございます。

議案が通ればでございますが、来年の4月から、みやぎ型管理運営方式の運転管理がスタートしていくという状況でございまして、関連の料金の協議については、5年に1遍、受水市町村とは定期的にやっておりますが、受水市町村との約束では、それにかかわらずにもう協議を開始していこうということで、いつまでにどのくらいの決着が得られるかというのは、市町村との協議の状況になりますが、いずれ協議を開始していくことで受水市町村とは話合いをしているところでございます。

枡和也議員

やはり首長さん方は水道の料金を一番気にしているようなので、なるべく早く提示をして、協議を進めていかなければならないと思っていますが、その辺もう一回、大体いつ頃になるのか? お聞かせください。

櫻井雅之公営企業管理者

実質的には、ある意味、どのような形で整理するかということについては、具体的な数字はまだお示しできておりませんが、話をしている状況でございます。

われわれの目的は、料金の低減効果を狙うとともに、私ども企業局の形態の健全化ということもございます。その削減額を全て料金に転嫁するのか? あるいは、その割合をどうするのか? こういったことも含めて、市町村と議論を深めながら決めていくことを考えてございますので、お話は始めさせていただいておりますが、決着はいつまでかということにつきましては、これはもう少しお時間をいただきながら、市町村と連携をしながら決めてまいりたいと思っております。

枡和也議員

終わります。