宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

6月県議会本会議で、みやぎ型運営権設定議案と関連する条例の改正案が、自民、公明など賛成多数で可決されましたが、その日の記者会見でも村井知事のトンデモ発言が!!

2021年7月5日、県議会本会議で、みやぎ型導入手続きの凍結を求める請願が、賛成19、反対35で不採択となり、みやぎ型運営権設定議案が、賛成33、反対18、退席(棄権)3で可決されました。

f:id:MRP01:20210708215839j:plain       宮城県議会HPより https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/life/1188125_1420630_misc.pdf

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         日本共産党宮城県議団ニュース2021年7月NO.145より

 

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   命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ Facebook より

 

 

請願379-1の審査報告&質疑&採決

 

miyagi-pref.stream.jfit.co.jp

石川光次郎議長

日程第二、請願を議題といたします。

本件について委員長の報告を求めます。

建設企業委員長20番庄田圭佑(けいすけ)君。

庄田圭佑建設企業委員長

建設企業委員会の審査の結果をご報告申し上げます。

本委員会は、<請願379の1「みやぎ型管理運営方式」の導入に係る「公共施設等運営権の設定」議案(議第171号議案)及び関係する条例改正案(議第157号議案)は第379回県議会では採決せず、すべての関係市町村での説明会開催とパブリックコメントの取り直しを求めることについて>を審査した結果、可否同数により、宮城県議会委員会条例第16条の規定に基づく委員長採決の結果、不採択とすべきものと決しました。

以上のとおりご報告申し上げます。

youtu.be

石川光次郎議長

以上で委員長報告を終わります。

これより質疑に入ります。委員長報告に対し、質疑はありませんか?(「なし」の声)

質疑なしと認めます。

討論の通告がありますので、発言を許します。

11番福島かずえ君。

福島かずえ議員

日本共産党の福島かずえです。

<請願番号379の1「みやぎ型管理運営方式」の導入に係る「公共施設等運営権の設定」議案(議第171号議案)及び関係する条例改正案(議第157号議案)は第379回県議会では採決せず、すべての関係市町村での説明会開催とパブリックコメントの取り直しを求めることについて>の採択を求める立場から賛成討論を行います。

上下水道という人の命と健康、暮らしに欠かせないインフラ設備の20年間にわたる運営権を一括売却することについて、多くの県民は不安と心配をいまだに抱えたままです。

下水道の「コンセッションによる民営化」は浜松市などの前例がありますが、上水道は日本で初めて、宮城県で導入されようとしています。

2広域水道だけでも大変なことですが、4流域下水道に3工業用水事業まで加えた、3分野9事業会計の運営権の一括売却は、前代未聞の「危険な企て」と言えます。

しかも、優先交渉権者にメタウォーター、ヴェオリア・ジェネッツ、オリックスなどの10社が選定されたのが、今年3月です。この10社でSPCを設立したのは5月19日です。今議会開会のわずか一カ月前です。

浜松市のSPC設立は2017年5月で、運営権の設定は同年10月の議会で可決されました。 5か月の準備期間があったと言えます。

浜松市が運営権を設定したのは、処理人口40万人の西遠(せいえん)浄化センターと 2つのポンプだけでした。

それに比べて、みやぎ型は上下水道合わせて県民延べ262万人が対象です。この事業の内容の複雑さと膨大なボリュームは、そう簡単に、理解できるものではありません。

何よりも、正確な情報を丁寧に伝え、双方向で議論し、互いの理解を確認しながら説明していくことが重要です。

今議会前に開かれた4会場6回の説明会は、そもそも、開催箇所や回数が少なく、また、原則一人一回だけの質問しか認められていないため、参加した人の理解も深まるものとは言えませんでした。

また、本来、説明されるべき事業計画や改築計画、モニタリング計画、業務継続BCPや災害対応マニュアルなどが、県民にも議会にも明らかにされていません。これでは、県民が「理解できない、心配だ」というのも当然です。
建設企業委員会の請願審査で「県民にこのコンセッション、みやぎ型の情報を伝えきった、説明責任を果たしたと言えるか?」と企業管理者に尋ねたところ、「現段階で説明できることは説明したと思うが、伝えきった、果たしきったとは言えない」という認識を示しました。
パブリックコメントは、2019年9月に実施方針(素案)について、一度だけ行われ、636件の意見が集まりました。

コンセッションによる民営化に反対の意見が288件、賛成が13件、説明会の開催を求める意見や難しくてわからない、スケジュールが拙速であるなどが合わせて249件もありました。

その後、12月には実施方針が決定し、さらに昨年3月には、募集要項や要求水準書案、実施契約書案など6文書が公表されました。
この時点で、2回目のパブリックコメントを、そして今年3月にメタウォーターグループが優先交渉権者に決定し、事業の全体が見えるようになった時に、3度目を行うべきでした。

県民の県政への参画や開かれた県政を目指すために導入されたパブリックコメントは、その要項第4条2項で、同一案件について複数回の実施が可能と定められています。

県民からの意見聴取は最低の1回限りでしたが、民間事業者からは12月末から1月中旬にかけて、実施方針についての質問や意見を聞き取り、丁寧に回答しています。

また、募集要項6文書の公表前後の昨年2月から4月にかけて、民間事業者へは、2度目の質問や意見募集を行っています。

そして、5月に3企業グループからの応募を受け付けたのち、6月から12月までの半年にわたって、現場確認と資料閲覧やヒアリングと競争的対話を、それぞれ相当数くり返し行っています。

主権者である県民の「知る権利」はそっちのけ、置いてきぼりにしながら、民間事業者の意見や質問には丁寧に答え、知事の言うとおり「とにかく民間事業者のやりやすいように」事業を進めてきました。

運営権が設定される現場をすべて委託するOM会社の経営権は、外資系のヴェオリア・ジェネッツが握っていることが公表されたのは、議会開会直前です。

7月2日の請願審査の建設企業委員会で公開されたメタウォーターグループの提案書の16ページには、「OM会社の出資比率はSPCと同等」と記述されていました。

しかし実際は、SPCに比べ、ヴェオリア・ジェネッツの出資比率は1%高く、筆頭株主になっており、議決権持ち分では、過半数の51%を単独で所有しています。巧妙に欺かれたと言えるような経過です。

ヴェオリアの参入は、ますます県民の不安を掻き立てています。

地元企業が中心となって応募したAグループ(JFEグループ)が、まさかの失格になった選定経過にも、疑間の声が高まっています。

選定したPFI例えば、「Aコンソーシアムで第5位株主と第6株主である現受託2社がJVを組織して、O&M業務を受託する」、「Bコンソーシアムの…代表会社と第2株主の親会社は日本における水事業の長期共同取組に関するアライアンス協定を締結済みです。

また、「一社は外資系ということになり、本事業が日本における初の取り組み」、「Cコンソーシアム第2位の株主は、国内外約 7,000 ケ所の浄水場下水処理場の運転実績を有している世界トップクラスのグループ企業」などの発言が、議事録には明確に記されています。選定経過への疑間は、ますます深まるばかりです。

説明会やパブリックコメントをもっと行って欲しい、自分たちの意見や質間にきちんと答えて欲しい、そのためにもっと時間をかけて欲しい、県民の声を聞かないまま議会で決めてしまうのはやめて欲しい。こういう請願が、県議会に1万9449名の署名とともに出されるのは、当然のことです。

県民の付託を受けて議案の賛否を決める私たちには、十分な審査が求められています。

大事な情報が提供されないまま、みやぎ型管理運営方式導入を当局に白紙委任するような決定は、避けるべきです。

引き続き、今後出される様々な計画書や文書を精査し、丁寧な審査を継続していきましょう。

説明会の開催や再度のパブリックコメント実施も、当局に働きかけて実現させましょう。

今議会で議決しなければ、来年4月の導入は難しくなりますが、3月で切れる指定管理者や委託業者との再契約を結ぶことで、現行体制での事業継続は可能であるとの答弁も、委員会でありました。

県民の多くが内容を理解、納得しておらず、このまま採決を強行し可決してしまえば、後世に大きな禍根を残すことになりかねません。

知事選挙前に実施契約を結んでおきたいという知事の狙いをおもんばかることなく、 議員各位の熟慮をお願いし、この請願を採択することを求めて、討論といたします。 ご清聴ありがとうございました。

石川光次郎議長
55番安藤俊威(としたけ)君。

安藤俊威議員 

ただいまの討論の中に、宮城県民の数262万人という討論がありました。

私が知る限り、直近の国調(国勢調査?)の結果では、230万人を切ってますし、最大の宮城県民の数だったのが、平成12年国調の結果237万人程度だったと思います。

もし間違いであるならば、訂正すべきだと思いますし、もし故意だとすれば、これは、虚偽のエビデンスに基づく討論ということになります。精査よろしくお願いします。

石川光次郎議長
じゃ、11番福島かずえ君。

福島かずえ議員 

議長におかれましては、休憩時間にぜひ精査していただきたいというふうに思いますが、延べ262万人ということで、上水道と下水道の処理人口、そして、給水人口合わせますと、この262万人になります。延べということですので、よろしくお願いいたします。

石川光次郎議長

ただいまの55番安藤俊威君の議事進行は、発言内容に関することであります。

後刻、会議録を精査の上、処置したいと思いますので、ご了承願います。

以上で討論を終結いたします。

これより、<請願379の1「みやぎ型管理運営方式」の導入に係る「公共施設等運営権の設定」議案(議第171号議案)及び関係する条例改正案(議第157号議案)は第379回県議会では採決せず、すべての関係市町村での説明会開催とパブリックコメントの取り直しを求めることについて>を、採決いたします。

委員長報告は、不採択であります。

本請願を採択することに賛成の諸君の起立を求めます。

起立少数であります。よって、 請願379の1は不採択と決定いたしました。

 

議第157号議案、議第171号議案の審査報告&質疑&採決

 

石川光次郎議長

建設企業委員長20番庄田圭佑君。

庄田圭佑建設企業委員長

建設企業委員会の審査の結果をご報告申し上げます。

一、議第156号議案。本委員会は、この付託議案を審査した結果、全会一致で原案を可決すべきものと決しました。

一、議第157号議案。一、議第171号議案。本委員会は、以上の付託議案を審査した結果、可否同数により、宮城県議会委員会条例第16条の規定に基づく委員長採決の結果、原案を可決すべきものと決しました。以上のとおりご報告申し上げます。

youtu.be

石川光次郎議長

少数意見の報告を求めます。

43番ゆさみゆき君。

ゆさみゆき議員

7月2日の建設企業委員会において、 議第157号議案公営企業の設置に関する条例の一部を改正する条例、 議第171号議案公共施設等運営権の設定について、会議規則第75条第2項の規定により、3名の賛同を得て留保した少数意見について述べます。

公共施設等運営権の設定については、上工下水道の20年間の運営権を、民間に一括売却する条例です。

しかし、優先交渉権者のメタウォーターなど10社で設立した特別目的会社SPCが、実際にどのような事業を行うのか? 具体的な事業計画、実施体制、税務管理、セルフモニタリング、危機管理、改築計画などの重要事項が、資料として提示されませんでした。

また、運営権を設定するすべての現場は、外資系のヴェオリア・ジェネッツが運営権を握るOM会社があたるとしていますが、SPC共々その経営内容の監視が徹底されるのか?

また、上工下水道を遠隔地から制御する監視システムに関し、災害時は自動操作から手動に切り替わるとされ、施設特有の持つ個性に、その対応と技術力の継承が可能なのかどうか?

また、経費節減として大きく占める人件費についてですが、初年度は269人から、7年目225人、44人も削減され、災害時における事業継続計画=BCP計画等、市町村との連携および対応は万全なのか?

そして、受水市町村および他の市町村への対応として、企業局から受水している市町村の水道料金は、市町村が独自で行っている水道料金よりも高く、それぞれの料金格差が大きいことや、今後20年間の間に、市町村水道の広域化と、そして広域連携と現在受水していない市町村水道との垂直連携に県が前のめりであること、そして上水道未普及地域への整備計画への影響も大きく懸念されます。

公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例は、経営審査会設置が提案されていますが、業務実施状況や水質の安全性等、管理結果について、財務諸表等必要な情報公開の徹底が行われ、十分に審査することができるのかどうかわかりません。

また、私たちのこの議会の報告ですが、県民の意見の反映や議会の関与が不明確です。

第10条には、運営権者が収受する利用料金の減免規定を新たに追加していますが、第2項の公益上の理由、その他の特別の事情により運営権者が必要と認めた時とあります。営利本位の住民福祉の後退が懸念されます。第2項については、県の承認とすべきです。

第19条の運営権設定の施設を利用するものは、運営権者に利用料金を納めなければならないとありますが、これは、具体的な料金額も収受割合も書き込まれておらず、不十分です。

みやぎ型管理運営方式の県民説明会は、一人一問しか質問が認められないことから、多くの県民は、「説明不足」「理解できない」などと不信を抱いています。

よって、 「議第157号議案、議第171号議案は、審議に値する状況ではなく、拙速な採決はやめて継続審議すべき」という意見があったことを、ご報告いたします。

石川光次郎議長

これより質疑に入ります。

委員長報告および少数意見の報告に対し、質疑はありませんか?(「なし」の声)

質疑なしと認めます。

討論の通告がありますので、発言を許します。

1番金田もとる君。

金田もとる議員

日本共産党県会議員団の金田もとるです。会派を代表して、提案されている議案22 件のうち、議第150号、154号、157号、171号に反対し討論いたします。
(中略)
日本で初めて上下水道とエ業用水の3分野9事業をー体化し、20年間の運営権を売却するという「コンセッション方式の導入による民営化」 を行おうと、村井知事が、強引に今議会に議案を提出しました。

以下の理由を述べて、議第157号「公営企業の設置に関する条例のー部を改正する条例」と議第171号「公共施設等運営権の設定について」反対いたします。

第ーに、議案審査を行ううえで必要な資料を提出しないまま、議決を求めていることです。

171号議案には、運営権者のSPC(=特定目的会社)「株式会社みずむすびマネジメントみやぎ」が県に代わって、20年間行う業務内容の項目が記載されています。

しかし、実際にどのように事業を進めていくのか、具体的な関係資料を求めても、ほとんどがまだ出来上がっておらず、提出できないという状況です。

例えば「義務事業」のなかの「経営に係る業務」は、応募要項や要求水準書には10項目あげられていますが、出てきたものは、運営権者の情報公開取扱規程と20年間の収受額のニつだけです。

セルフモニタリングや危機管理は骨格的な案が示されただけです。

水質管理については、仙南仙塩広域水道の素案だけで、大崎広域水道や4つの流域下水道と2つのエ業用水については、素案さえも示されていません。

肝心要の事業計画や実施体制の確保、財務管理、技術管理などは、全く資料が出ていません。議案審査に必要な資料も出さずに、賛成してくれという、議会軽視も甚だしいやり方を認めることはできません。

第二に、これらの議案を可決すると、あとは議会の議決なく、20年にわたる運営権売却の実施契約書を県とSPCが交わすことになります。

実施契約書が公募後に、事業者との「競争的対話」の中で161か所も変更され、突発的事象の費用負担やライセンス料を伴う知的財産権使用料の支払い、再委託の手続きの簡素化、運営権者に瑕疵がある場合の免責規定の追加、業務や監査報告書提出期限延長など、運営権者のリスクは大きく減り、県の負担は増えました。

実施契約書は、今まだ(案)の段階であり、これからも変更される可能性があります。

SPCに支払うライセンス料を伴う知的財産権使用料は、開始時年間5,000万円ということですが、20年の間に、その使用料も変更され、増額する可能性があることが、7月1日の委員会審査で明らかになりました。

さらに21年目以降も、永久に、SPCを構成する親会社に、多額の使用料を支払い続けることになってしまいます。実施契約書の締結は、議決案件として議会の同意を得るべきです。

第三に、ニつの議案ともに、大事なお金の取り決めが欠落していることです。
第157号議案として改正案が出されている「公営企業の設置に関する条例」の第19条には、「運営権設定施設を利用する者は運営権者に利用料金を納めなければならない」 とありますが、具体な料金額も、収受額の割合も書き込まれておりません。

下水道コンセッション型民営化を先駆けて行った浜松市では、下水道条例そのものに、運営権者が収受する利用料金の上限を3割と書き込み、その条例施行規程には、23, 8%と具体的に記入しています。

第171号議案「公共施設等運営権の設定について」には、運営権対価が10億円であることも明記されておりません。

宮城県の水道3事業全体の施設の帳簿価格は2909億円で、運営権設定施設の帳簿価格はそのうち918億円です。

完全民営化であれば、2909億円の総資産を購入しなければ、事業に参入できません。

わずか10億円の運営権対価で、経営し、利益をあげることができる「みやぎ型管理運営方式」は、村井知事の言うとおり、この上もなく「民間企業がやりやすい」方式と言えます。

ちなみに、処理人口40万人の浜松市下水道コンセッションの運営権対価は、25億円でした。

「みやぎ型」では、2つの広域水道の給水人口189万人、4つの流域下水道の処理人ロ73万人、併せて延べ262万人がその対象になります。運営権対価が10億円とは大きな驚きです。

また、SPCの事業費削減額287億円について、SPCと県が結ぶ実施契約書(案)に明確に記述されていないことも問題です。

第四に、運営権が設定される事業の予算・決算は、県の監査対象からも議会審査からも外れます。

「みやぎ型管理運営方式」を、県民や議会がどうチェツク・コントロールしていくのか? その手段と前提となる情報公開のルールが不十分な点です。

今回、第157号議案で、経営審査委員会の設置や議会への報告等が条例提案されていますが、経営審査委員については、企業局管理者が「議会の同意を得て任命する」ことに、議会への報告等については、「報告し、承認を受ける」に条例を変え、いずれも、議決事項にすべきです。

そうしてこそ、二元代表制や議会制民主主義という憲法地方自治の原則を守ることになります。

SPCの情報公開取扱規程では、SPCがいくらでも開示を拒否でき、不服申し立ての判断も、SPCの親会社の法務部門や顧問弁護士が判断するとされ、客観性はないに等しく、県民の「知る権利」が保障されません。

メタウォーターグループは、SPCだけでなく、オペレーション、マネジメントを担うOM会社「みずむすびサービスみやぎ」を作り、すべての浄水場と浄化センターの運転と維持管理を委託させるという提案が、PF I検討委員会で高く評価され、運営権者に選定されました。

県とSPCは実施契約を結びますが、どうようにして、県がOM会社をコントロールするのか? できるのか? 不明です。県は、OM会社とも契約を結ぶと議会答弁していますが、定かではありません。

OM会社はヴェオリア・ジェネッツ社の支配下に置かれ、21年目以降も、宮城県で根を下ろして利益を上げていくと言っていることも、県民の不安と心配をいっそう大きくしています。

第五に、今、世界の水道事業の流れは「再公営化」にあるということです。

フランスに本社を置くヴェオリア社は、世界最大規模の水メジャー会社であり、各地で水道事業民営化を推し進めてきました。

いったん民営化したものの、料金高騰や財政の透明性の欠如、劣悪な運営による水質悪化、過度な人員削減によるサービスの低下などの問題が噴出し、2017年時点で、世界33カ国、267の事業体が再公営化を決断しています。

知事はコンセッション方式による「みやぎ型管理運営方式」は、海外での民営化失敗の教訓に学んだと強調されていますが、その根拠は明確に示されないままです。このまま「みやぎ型」を推し進めることは世界の流れに逆行することになります。

第六に、SPCは人件費で167億円、設備や機械の更新投資で348億円、あわせて515億円のコスト削減を図ろうとしています。

人件費は3割もカットされます。施設設備の改築計画や健全度計画もまだできておらず、県民の安全安心や働く人の賃金や権利がどのように守られるのか、ハッキリとした説明もなく、それをどう担保、検証するのかもあいまいなままです。

メタウオーターグループの事業提案書に記述されていた鳴瀬川と吉田川浄化センターでの汚泥含水率の目標値について、県企業局は、未だ「取り違え」を認めていませんが、性能発注だから、削減額を守れば、その維持管理の中身は問わないとする県の姿勢を、垣間見ることのできる象徴的で深刻な問題です。

汚泥含水率は、下水道施設のコスト削減に大きく影響する重要事項であり、その「取り違え」を見抜けず、指摘・是正できない県企業局や、メタウオーターグループの技術力とチェック能力を疑わざるを得ません。

第七に、応募した3企業グループとの競争的対話を経て、「優先交渉権者」を決定した過程にも不透明感があります。

9事業のうち、1事業でも赤字の計画であれば「失格」とする判断基準は、公募要件の中には明示されていませんでした。この1点をもってJFEグループが「失格」とされたことは、公平・公正な選考という点で問題があります。

第八に 、市町村水道の「広域化」という名前で、圏域ごとに市町村水道を合併し、さらに「垂直連携」と言って、県事業との統合を、国の言うままに、県が進めようとしていることです。

市町村水道は、多くの地元中小・小規模事業者が公共事業として仕事を受注しており、適正な単価で安定した事業を営んでいます。昼夜を問わず、発生するトラブルにも対応し、地域に根づいて働いています。

ところが、ヴェオリア・ジェネッツが経営権を握るOM会社が、20年間にとどまらず、将来にわたって県内市町村上下水道で影響力を強めていけば、地域で循環していたお金が県外どころか、国外へ流出していきます。世界一の水メジャーヴェオリアグループの支配を許すわけにはいきません。

第九に、まだまだ県民の多くが、この事業を理解していないことです。

そのことは、説明会開催とパブリックコメントを再度行うこと、そのために、議案審査の凍結を求める請願が1万9,449人の署名とともに、県議会に提出されたことでも明らかです。

知事は、「全ての県民でなく、1万人越えの人が疑間を持っていると受け止めている。非常に多くの県民は理解している」と答弁しました。

県民の心配や不安の声を汲み取ることが出来ない知事なのかと暗濃たる思いにとらわれます。

第十に、「水」は命のみなもとであり、国と自治体が責任をもって提供しなければならないものです。

「商品」として販売し、利潤を上げ、株主配当をするようなものにしてはいけません。

地方自治法第1条2項では、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」と規定しています。

水道事業が危機的な状況にあるのであれば、住民福祉に 貢献する水道行政の実現に向けて、どう改善するのか? 自主的・総合的な議論が、今こそ必要です。

今日の水道事業の経営的困難の根幹には、将来の水需要を過大に見積もり、管路や設備への過剰投資が行われてきたことがあります。今、そのツケが、巨額の更新費用としてのしかかっている。

加えて、地域人ロの減少と節水技術の発達による水の需要量の減少がある。大口需要者である企業の中には、自前で地下水利用設備を備えるところも増えています。

地域の水循環や水需要などの科学的分析のもとに、管路のダウンサイジングや、地域の実情に即した水源の確保・活用を含む仕組みを再構築する必要があります。

国が道路や橋などのインフラ整備、改修にお金を出すように、水道施設の更新費用にも税金を投入することが求められます。そういう政策の転換こそが重要です。 そして議会は、その推進を図る組織として役割を果たさなければなりません。

当該の第157号、第171号議案を審査した建設企業員会では、今議会での議案採択にあたって、「継続審査」を求めた動議について、4対4の賛否同数、最後は委員長の裁決で否決となり、議案そのものの採択についても、4対4の賛否同数で、同じく委員長の裁決で可決となりました。

両議案に関しては、一般質間の中でも、県政与党・野党を間わず、多くの疑問が呈されました。

これらの経過を鑑みても、性急に今議会で両議案を可決することは、大きな禍根を残すことになると考えます。議員諸兄諸姉の賢明なる判断をお願いして討論を終わります。清聴ありがとうございました。

石川光次郎議長

33番佐々木賢司君。

佐々木賢司議員

自由民主党・県民会議を代表し、今定例会に提出されております第157号議案および 第171号議案について、賛成の立場から討論を行います。

今議会において、県政課題について、執行部との間で活発な議論、やり取りが行われました。

その中でも、民間の力を最大限に活用し、上水道、工業用水道、下水道の3事業の管理運営を一体で行うみやぎ型管理運営方式については、わが会派も含め多くの議員が取り上げ、熱く議論を交わしたところであります。

みなさまもご承知のとおり、水道事業や下水道事業は、県民生活と産業基盤を支える最も重要なインフラでありますが、想定を上回るスピードで進行する人口減少等により、将来の水需要の減少に加え、老朽化する施設や管路の更新投資の増加などが見込まれ、わが県のみならず全国の水道事業を取り巻く環境が、今後一層厳しさを増すことが想定されることから、経営基盤の強化が、喫緊の課題となっております。

この制度を検討するに至った大きな要因の一つに、人口減少があります。

6月25日に、総務省から2020年国勢調査の速報値が発表されたところですが、日本の総人口は全回調査から約0.7%減少、わが県については、2005年の調査以降4回連続で減少しており、28市町で人口が減り、減少率も過去最大の約1.3%に達するとのことであります。

また、水道事情においては、国内法人の研究レポートでは、2043年までに全国の約94%の自治体で、水道料金が値上げされ、その値上げ率は全国平均で43%にもぼる可能性があるとの衝撃的な報告がありました。

言うまでもなく、水が県民生活に欠かすことのできないものであるということは、われわれの共通理解だと考えますが、一方で、料金収入の減少や更新投資増加という、遠くない将来に確実に訪れるであろう現実に目を背け、将来世代に負担を強いるようなことは、可能な限り抑制、回避しなければなりません。

安心安全な水をできるだけ低廉な価格で安定的に供給するため、県が民間活力を最大限に活用する官民連携のみやぎ型管理運営方式のスキームは、極めて妥当なものだと考えます。

確かにPFI事業という本制度の性格もあり、導入に向け、今なお調整途中である部分や、経営審査委員会の運営、情報公開のあり方など、今後の執行段階において、なお慎重な検討を要する事項があることは事実であります。

その点については、今後とも、われわれ県議会としてしっかりと意見を申し述べていくことで、制度の一層の向上につなげていくべきではないでしょうか。

みやぎ型管理運営方式に関する検討は、平成26年度から段階的に進められてきました。そして県議会においても、本会議で、常任委員会の場などで、長きにわたり議論を積み重ねてまいりました。

一昨年11月定例会では、公共施設等運営権の設定に係る規定の整備を内容とした、公共企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例に関して、賛成側、反対側双方が討論を行ったうえで、当該議案は可決されております。

これを受けて県は、令和2年3月から運営事業者の公募を開始、PFI検討委員会による公正公平で厳格な審査が行われ、優先交渉権者を選定したとされるところであります。

優先交渉権者からは、県の要求水準により、厳しい水質基準や、目標を超えるコスト削減の提案があり、特に、施設の運転管理や保守点検を行うOM会社を設立するという点が、安定的な事業運営や雇用創出にも寄与するという観点から、評価されております。

県によるものを含め337億円のコスト削減については、ICT機器の導入や業務の効率化により、組織体制を最適化するとともに、センサー類を活用した設備の監視など、新たな技術を活用しながら、効果的な修繕を行い、設備の長寿命化、延命化を図ることにより実現しようとするものであり、財務基盤の強化や料金の抑制に大きな効果が期待できるだけでなく、契約期間満了後の施設の健全度も担保されるものとなっております。

OM会社に対するモニタリング体制については、複数の議員から質問がありましたが、SPCと同等に、財務諸表、財務指標の報告を、モニタリング計画に位置付けることとされております。

また、関連して今回提案されている条例案においては、有識者からなる経営審査委員会が設置され、運営権者、県、経営審査委員会の3段階によるモニタリング体制となるだけでなく、議会に対する報告規定も、新たに設けられることとなっております。

さらに、運営権者が事業から撤退するリスクについても、相手方には、業務の引き継ぎ業務が課されているほか、代表企業による融資枠の設定なども、提案内容に含まれており、一日たりとも絶やすことのできないインフラを管理運営するに足りる事業継続策が講じられているものと判断いたします。

改めて申し上げますが、みやぎ型管理運営方式は、水道事業そのものを売り渡す民営化ではないということは、令和元年11月定例会の討論においても、わが会派の佐々木幸士議員からはっきりと申し上げており、その後に採決もされました。

議員全員が、みやぎ型管理運営方式は民営化ではないということを、共通認識した瞬間だったと私は記憶しておりますが、反対されている議員のみなさまはお忘れなのでしょうか。

あれから1年6カ月が経過してもなお、民営化に反対。水道事業を取り巻く環境が、今後一層厳しさを増し、県民負担の増加につながるとされているのに、判断を先送り。

われわれは同じ場で説明を受け、議論を続けてきたわけですが、民営化ではないと再三再四申し上げてきたのに、なぜ理解できないのでしょうか? 

事実と異なる情報を発信し、県民の不安を扇動するような行為は許されるはずがありません。私には全く理解できない行為であります。

わが会派においても、所属議員それぞれの考え方を、何度も何度もぶつけ合い、今定例会中にも、厚生労働省医薬生活衛生局とオンラインで意見交換を実施、水道事業における課題、また外資系企業が参画することへの懸念等の質疑を行い、県民の利益に資するために議論と熟慮を重ね、理解を深めてまいりました。

また、国家安全保障を確保する鍵として、経済上の手段を用いる動きが先鋭化している中、国益を守るために規制や取り締まりを強化する、いわゆる経済安全保障の観点から、技術の流出防止や持続化可能な県民のための水道事業について、熱い議論を経て、監視の一層の強化が、県議会として責任であることを再認識したうえで、われわれは本日を迎えております。

わが会派は、村井知事、県執行部の提案に対して、追従する会派ではありません。提案に賛成ありき、反対ありきからの議論スタートではなく、様々な角度から議論を尽くしてまいりました。安直な考え、十分な議論や理解を経ずに、結論を導き出してきたわけではないということ、はっきりと申し上げておきたいと思います。

今われわれが共有すべきは、将来に向けて大局的な視点に立ち、みやぎ型管理運営方式をより良い姿にすべく、建設的な議論をしていこうとする姿勢ではないでしょうか。

単に先送りすることにつながるような姿勢は、県民から付託され、民意を代表するわれわれ議員の責任ある対応ではありません。

これまで積み重ねてきた判断の重みに強い責任を持ち、わが県の将来、そしてわが県の将来を担う県民みなさまの暮らしを考えればこそ、今定例会で関係議案を可決し、制度開始に向け万全の体制を整えることこそ、われわれ議員が果たすべき最大の責任であると考えるところです。

以上、縷々申し述べてまいりましたが、今回提出されております第157号議案および 第171号議案をはじめその他の議案についても、付託された常任員会の委員長から報告がありましたとおり、原案を可決されたうえで本会議に提出されていることを重く受け止めるべきであると考えます。

議員各位におかれましては、懸命な判断のもとにご賛同賜りますようお願いいたしまして、会派を代表しての賛成討論といたします。ご清聴ありがとうございました。

石川光次郎議長

41番菅間すすむ君。

菅間すすむ議員

無所属の会を代表し、議第157号議案公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例、議第171号議案みやぎ型管理運営方式の導入に係る公共施設等運営権の設定に、反対の立場から討論を行います。

先に171号議案でありますが、県の上工下水道事業9つの公共施設等運営権を、SPC株式会社みずむすびマネジメントみやぎに設定しようとするものであります。

確かに、人口減少や節水機器の普及で料金収入が激減、水道施設の老朽化等、水道事業そのものが危機的状況にあると認識します。

その上下水道については、日本人としてノーベル経済学賞に一番近いと言われていた宇沢弘文が理論を構築した社会的共通資本に属するものとされています。

社会的共通資本はたとえ私有ないしは私的管理が認められているような希少資源から構成されていたとしても、社会的基準によって管理運営されるべきものとされ、さらに、その管理については、社会的共通資本は、決して国家の統治機構の一部として官僚的に管理されたり、また、利益追求の対象として、市場的な条件によって左右されてはならない、ともしています。

まさに上下水道は、そのような位置付けがなされ、その認識をもって、先ほど述べた水道事業の危機的状況の打開をしていかなければならないと私は思います。

だからこそ、民間に丸投げをする民営化はノーですし、 知恵を絞って官民連携していく選択になるのだろうと思います。

水みらい広島のような公民共同事業体方式もひとつです。

自治体も出資し、3割以上の株式を保有して発言権を確保、財務内容も補足でき、役員報酬や人事異動も決められることになります。自治体が、発言権と利益処分の方法まで管理できる仕組みを作れば、民営化丸投げにはなりません。

知事は、コンセッション方式を選択し、企業局にその実現に向けての実務をすすめさせ、今議会に運営権の設定の議案を提出しております。

しかしながら今議会での一般質問や常任委員会での質疑でも、様々な懸念は消えませんし、県民から更なる説明を求める声も上がっております。

ここにはすでに反対討論等で申し上げておりますので省きますが、運営権を握るということの重み、水道料金を基本的には自由に設定できるということ、運営権設定予定者SPCは、20年間の契約終了後は、精算し解散するとなっていますが、20年後の県民への上下水道の供給がどうなされるのか見えていません。

少なくても、この方式を選択、進める責任者として、20年後の安全安心を提示する責務が、社会的共通資本として間違いなくあると思います。

そのような観点で、今議会でのこの議案については、県議会、県民に対する説明がまだ十分ではないということ、またSPCおよびOM会社の監視やモニタリング等、先ほど建設企業委員会ゆさみゆき委員から少数意見の留保による報告がありましたように、やはり問題点が多いことを指摘し、反対するものです。

157号議案についても、運営権設定議案そのものに反対なので、それに伴っての議案でありますので、反対です。以上で、私の反対討論といたします。

石川光次郎議長

30番横山のぼる君。

横山のぼる議員

公明党県議団を代表して、議第157号議案公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案と議第171号議案公共施設等運営権の設定案について、賛成の立場から討論をいたします。

本格的な人口減少社会の到来や管路、浄水場等施設の老朽化、さらに、専門知識を持つ人材の減少など、わが国の水道事業を取り巻く環境は厳しさを増しており、その持続可能性が危惧されております。

EY新日本有限責任監査法人の推計によれば、全国1,232の給水事業のうち、2043年度までに値上げが必要とされるのは、約94%に及び、その値上げ率の平均は、43%と推計されています。

特に値上げ幅が大きい自治体は、北海道、東北、北陸に多く、本県も、値上げ率で全国平均を超える給水事業者が多い状況です。

一方、本県の水道料金は、全国平均を大きく上回り、県民の家計に重くのしかかっています。

各種統計によれば、本県が市町村に供給する水道用水の単価は、全国22の広域水道で最も高く、市町村の水道料金の平均額は、全国トップクラスの高さとなっております。現行のままでは、現状でも高い水道料金を、近い将来、さらに大幅に値上げせざるを得なくなるということであります。

しかし、大幅な水道料金の値上げは、簡単に受け入れられるものではなく、結果として、一般財源の繰り出し増による財政の悪化や、管路更新の先延ばしに伴う事故や断水の多発といった事態が発生することも十分に想定されます。

すなわち、命の水を将来にわたって守っていくためには、何らかの改革をしなければならないのは明らかであり、これは、各会派の議員におかれましても、共通して持っている認識であります。こうした問題意識から、県が5年前から検討を進め、議会でも議論を重ねてきたのがみやぎ型管理運営方式です。

みやぎ型は、上工下水3事業の一体運営によって、スケールメリットを発現させるとともに、民間活力を最大限生かすことにより、経営基盤の強化を目指すものです。

ただ、民間の力を生かすと言っても、県が引き続き、水道事業者として管理運営の責任を持つため、一部で喧伝されるような水道民営化とは全く異なるものです。みやぎ型は、本県の水道事業の課題解決に向けて、効果的かつ現実的な処方箋として高く評価できるものであります。

議第171号は、みやぎ型を担う運営権者として、水処理国内最大手のメタウォーター 株式会社を中心とするグループが設立したSPCと呼ばれる株式会社みずみすびマネジメントみやぎを選ぼうとするものであります。

これまでの選定手続きを振り返ると、県が昨年3月に開始した公募には、3つの企業グループが名乗りを上げ、半年にわたる県と応募者との競争的対話の後、有識者からなるPFI検討委員会による公平公正で厳格な審査が行われました。その結果、すべての審査項目において高い評価を得たメタウォーターグループが、優先交渉権者として、今年3月に選定されました。

この一連の手続きについて、競争的対話の後、募集要項や契約書案等の関係書類が修正されたことを疑問視する向きもありますが、それらの修正は、料金の抑制と安全安心を確保する観点からなされたものであり、何ら問題ないものであります。

また、第二次審査では、1グループが失格になったことについて、県の説明不足を問う声もありますが、仮りに提案書の提出後に、県が特定のグループに何らかの配慮をしたとすれば、審査の公平性が大きく損なわれ、事業全体の正当性が失われます。従って、優先交渉権者の選定手続きは、なんら瑕疵もなく、公平かつ適正に行われたと考えるべきであります。

さて、メタウォーターグループの提案によれば、3事業を一体的に監視制御する統合型監視制御システムの構築や、現行より厳しい水質基準の設定、災害時の危機管理体制の強化、人材育成など、民間の知恵とノウハウを生かし、現行よりも経営基盤を格段に強化する提案がなされております。

また、県が求めたコスト247億円を約90億円上回る337億円のコスト削減が可能とされており、水道料金の上昇抑制や、将来の管路更新に大きな効果があると期待されています。

一方、同グループの提案では、浄水場の運転管理やメンテナンスを担うOM会社を県内に設立することになっております。PFI委員会の審査では、この新会社設立の提案は安定的な事業運営と雇用創出への効果が期待できると高く評価されましたが、今定例会の議論においては、同社に対する監視やその出資割合などをめぐって、懸念する声が相次ぎました。

しかし、SPCが運転管理業務等を他の企業に委託することは想定されていたとのことです。事前にOM会社の設立が明らかになったことにより、県のモニタリング計画の中に、同社が明確に位置付けられるとともに、財務諸表等に基づき、経営状況も県がチェックすることになりました。OM会社の設立提案は、透明性の観点からも評価できるものと考えます。

また、OM会社の議決権株式の半数超を外資系企業であるヴェオリア・ジェネッツ社が握ることが懸念される声も聞かれましたが、同社は日本国内で多くの水道事業に携わっております。

浄水場の運転管理は、神奈川県箱根町はじめ72事業、下水処理場の運転管理では、千葉市広島市など64事業を手掛け、適正に業務を遂行しており、外資系だからといって問題視する意見には、賛同しかねるところです。

重要なのは、外資系企業であろうとなかろうと、適切に運営や経営状況をチェックしていくことであります。みやぎ型管理運営方式では、監視体制について、SPCによるセルフモニタリングと県によるモニタリングに加えて、専門家などからなる経営審査委員会によるモニタリングを実施することとしています。また県では毎年度、事業の運営状況を議会に報告することとしており、議会でのチェックも含めると4重のチェックがなされることになり、万全な監視体制が構築されています。

この他、今定例会では、運営権者による情報公開のあり方についても議論がなされました。情報の不開示に対する不服申し立てといった事案が発生し、県が相談を受けた場合には、経営審査委員会の審査事項として取り扱うなど、県民の知る権利の保証には、最大限の配慮がなされることが明確に示されたところであります。

なお、各種計画が未策定であることを理由に、今議会での採決が拙速であるとか、審査の前提がそろっていない等の主張もありましたが、その各種計画の骨子は、提案書に明確に示されております。

提案書は契約書の一部をなすものであり、その提案のすべてを実施する義務があることを踏まえれば、詳細な計画が完全に仕上がっていないから判断ができないという主張には、首をかしげざるを得ません。

また、県民への説明機会が不十分で、県民の理解が深まっていないため、採決を凍結するべきとの請願も出されましたが、県はこれまで、シンポジウムや圏域ごとの事業説明会の開催に加え、県政だよりやホームページ、動画配信など、情報発信を行っています。また、事業に関する資料も、ほぼすべてホームページで公開しており、説明責任はしっかりと果たしております。

ただ、県民の理解が十分に進んでいるとは言い難いのは事実であり、県として、引き続きわかりやすい説明に努めることは必要と考えます。

以上、縷々申し述べてまいりましたが、本県の水道事業の課題解決には、みやぎ型管理運営方式が最もふさわしい手法であり、人口減少が急速に進む中、早期導入が必要であります。

また、運営権者の選定は、公正かつ公平に行われており、その提案内容は大いに期待できるものであります。県が、株式会社みずむすびマネジメントみやぎに運営権を設定することは適切であり、議第171号議案は可決すべきものであります。

また、事業をしっかりと監視するための経営審査委員会の設立や県議会への毎年度の報告を盛り込んだ議第157号議案も、当然可決すべきものであります。議員各位のご賛同を賜りますことをご期待して、賛成討論といたします。ご清聴大変にありがとうございました。

石川光次郎議長

以上で討論を終結いたします。

これより採決いたします。

初めに、ただいま議題となっております各号議案中、議第171号議案を採決いたします。

委員長報告は、原案可決であります。

委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。

起立多数であります。よって、議第171号議案は、委員長報告のとおり決定いたしました。

次に、議第157号議案を採決いたします。

委員長報告は、原案可決であります。

委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。

起立多数であります。よって、議第157号議案は、委員長報告のとおり決定いたしました。

 

宮城県知事記者会見(令和3年7月5日)

 

youtu.be

 

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   宮城県知事記者会見(令和3年7月5日) - 宮城県公式ウェブサイト より