宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

4/1 命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、「水道事業民営化開始に当たっての声明文」を 発表しました!!

2022年4月1日、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、「水道事業民営化開始に 当たっての声明文」を発表し、仙台市平和ビル前で街頭宣伝を行いました。

声明文は ↓ でダウンロード・印刷できます。

http://www.miyagikenmin-fukkoushien.com/pdf/index/4.1minneikakaishiikenhyoumei.pdf

 

声明の内容

<初めに>

<宮城県、運営権者、経営審査委員会に対する要望>

<「再公営化」を求め実現しよう>

 

声明全文

2022(令和4)年4月1日

「水道事業民営化開始に当たっての声明」

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ

共同代表 佐久間敬子 中嶋信

<初めに>

 本日、2022(令和4)年4月1日、「上・工・下水一体官民連携運営事業」と呼ばれる宮城県の水道事業の民間による運営が開始されることになった。

 全国初の試みであり対象人口も宮城県の人口の約8割を超える190万人をカバーし、事業期間も20年と長期に亘る巨大事業である。

 私たち「命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ」は県が水道事業民営化政策を検討していることが報じられた2018年末頃から、地方自治・住民自治の基本である県民に対する説明・県民からの意見の聴取等を行って進めるべきことを繰り返し求め、多数の公開質問状・要請書等を提出してきた。

 民営化承認の可否を決する議会(2021年6月県議会)に対しては、審議に必要な資料が提出されないまま結論を出すことは不可能であり、県当局の議会軽視を認めることになること、議会は県民の付託に応えるべく、県当局に対し十分な審議資料の提出を求め、かつ、県民の意向も聴取したうえで結論を出すことを求め、議案の凍結・継続審議を求める請願を行った。請願書には全国から寄せられた19,449筆の賛同署名を添付した。

 以上の要望が、ことごとく聞き入れられないまま、県民の命・健康・暮らしにとって最重要の水道事業の民営化が決定され、本日開始されることになったことは、極めて残念且つ遺憾である。

 水道事業の民営化には、料金高騰・水質悪化・技術者の枯渇・災害時の対応の不十分・地元産業の衰退・情報不開示等の不安が付きまとっている。これまでの県の説明、議会での審議を通じて、この不安は一層強くなったと言える。以上のような不安と懸念を踏まえ、民営化事業開始に当たって、この声明を発表する。

宮城県、運営権者、経営審査委員会に対する要望>

1、県は、コスト削減と水道3事業の水質等の安全性のレベルの維持等は両立できると断言し、民営化事業に踏み切った。よってこの両立困難とも思える事業目的を達成するため、運営権者の事業運営を厳しくチェックし指導することを求める。

 県は以上の事業目的は、県民に対する約束であることを認識し、契約上の権利、行政機関として持つ権限を最大限行使して、水道事業にかかる県民の福祉の維持・向上に努めることを求める。

 運営権者の事業情報は、県民の重大な関心事であることから、最大限の開示に務めることを求める。

2、運営権者の㈱みずむすびマネジメントみやぎ(SPC)は、上記事業目的達成は県と県民に対する契約上の責任であるだけでなく、水道事業の高度の公共性に照らして、企業の社会的責任でもあることを認識し、事業目的を達成すること、運営権者の立場で最大限の情報開示に務めることを求める。

 水道事業の現場で維持管理等を担うOM会社(㈱みずむすびサービスみやぎ)は運営権者の100%子会社であるから、同社の指導・監督に努め、OM会社の情報開示を最大限実施することを求める。

3、経営審査委員会は3段階モニタリング(監視)の最上位に置かれた第三者機関としてその職責である下記事項を十分に果たすことを求める。

 ①運営権者の業務が要求水準書等に則って適正に運営されているかの調査審議

 ②業務内容の客観的な評価・分析

 ③以上を踏まえた意見具申

 今後は、経営審査委員会が、県民・県議会が入手できない運営権者の事業情報
を取得することになるので、事業に係る情報・資料・審査の内容は県民が共有すべき情報として最大限公開することを求める。

 当ネットは、以上の要望の達成状況を監視し、適時、意見表明を行う。

<「再公営化」を求め実現しよう>

 水は命の源泉であり、水道事業は公衆衛生上、重要な社会的インフラである。

 日本では、水道事業の公共性は明治以来疑いの余地なく重視され公営水道として運営されてきた。憲法25条2項は、公衆衛生の向上・増進を国の責務と定め、この規定を受けて水道法2条は国は都道府県に必要な技術的・財政的支援を行うことと定めた。明治以来150年の長きに亘って、公営によって運営されてきた上下水道の資産価値は高く、豊かで良質の水に恵まれていることと相まって、日本の水道事業は世界に誇るべき貴重な存在となっている。

 2010年国連総会で、所謂「水は人権決議」が採択された。以降、世界各地で「再公営化」が進展している。「再公営化」は民営化の失敗を映す鏡と言われる。再公営化によって、コスト削減・料金値下げを実現した都市が多数ある。いま水道事業の課題を解決する道は、宮城県が採用した「民営化」ではなく、むしろ、その反対である。そしてそれは従来の「公営」に戻すことではなく、水の権利者であり、利益を享受すべき地域住民や地方議会が関与する「新たな公共」による運営である。

 この動きは持続可能な世界を追及する動きとも連動している。

 当ネットは各国・各地で進んでいる「新しい公共」による水道事業の運営の仕組みを学び、再び宮城県の水道事業が県民本位の公共が担う事業として再生できるように努力する。

 各国・日本各地の同じ志を持つ市民の皆さんと連携して行動していく。

以上

 

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