宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

6月県議会の最中、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、みやぎ型の導入に関わる2つの議案の撤回を求める要請書を提出しました!!    村井知事は、その直前の定例記者会見で20年後のコンセッションへの市町村統合を語っています!!

2021年6月28日、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、村井知事と櫻井公営企業管理者に対して、「宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)の導入に関わる2つの議案の撤回を求める要請書」を提出しました。

みやぎ型 議案撤回要請書

 

blog.canpan.info

 

要請書提出

 

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

今日はお忙しいところありがとうございます。命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの共同代表佐久間でございます。

中嶋共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

中嶋です。

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

今日の申し入れ書、お渡しします。これでございますが、ご参考に資料、持ってまいりましたので、これ一式です(と手渡す)。

申し入れの趣旨ですけども、今議会に起案されていますみやぎ型の議案ですね、これを撤回してほしいという結論でございます。

理由を簡単に申し上げますと、今回の議案ですね、議会の審議に資するだけの資料が、提出されていない、と。こういう状況で、議会で議論できるのか? 非常に疑問に思っております。

今議会での採決はしないということで、議会のほうにお願いしておりますけれども、県当局においてはですね、ちょっとこれは時期尚早だと思いますので、ぜひ撤回をお願いしたいということが第1点です。

それから2点目でございますけども、優先交渉権者のメタウォーターの提案書改正しましたが、果たしてこれ、実施できるのか? というような疑問があります。実施困難な計画になっていないか? と。

それを、承認を求めるというのは、非常におかしいということで、この点からも、議案の上程を撤回していただきたい。こういうことで、まいりましたので、どうぞよろしくご検討をお願いいたします。

資料は、こちらの封筒のほうに入っておりますので、ぜひお目通しいただいて、しかるべきご判断をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

水道経営課担当者

今おっしゃられた「提案は無理じゃないか」というようなことも、この資料の中に入っている?

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

入っております、ハイ。

水道経営課担当者

では、拝見させていただきますので。

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

ハイ、どうぞよろしくお願いいたします。

 

要請書全文

 

2021年6月28日

宮城県知事     村井嘉浩 殿
公営企業管理者   櫻井雅之 殿

                     命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ
                           共同代表  佐久間 敬子
                           同     中 嶋  信

          
宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)の導入に関わる2つの議案の撤回を求める要請書

~議会が判断するために不可欠な資料の大半を提供せず、実施することが困難な個所が
あることに頬かむりして議決と白紙委任を求めることは許されないと考えます~


貴職は、開会中の第379回宮城県議会に、コンセッション方式で上工下水道9事業の運営権を売却するための2つの議案(議第157号議案と議第171号議案)を提出しています。
提出された議案を調べ、また6月25日までの議会の論議をへて、議案は撤回すべきだと考えざるをえませんでした。その根拠はたくさんありますが、以下の2点に絞って意見を述べ、議案を撤回するよう求めるものです。

(1)議会の判断に不可欠な資料の大半が提出されず、審議の前提を欠いています

運営権の設定を認めてその売却を可能にするという議案の当否を判断するためには、優先交渉権者の提案を精査できる資料が不可欠です。提案書の全体を示すべきですが、非公開とされ、その概要が示されているだけです。提案書をふまえて策定される実施計画書等の14の計画文書が示されるべきですが、一応の形を整えているのは情報公開規定だけで、残り13文書を含めて必要なすべての文書が完成するのは来年2月末とされています。優先交渉権者がつくる改善計画書、健全度調査計画書ができていないために、コスト削減の根拠を確認することもできなければ、契約期間が終了する20年後に施設設備がボロボロにされて返却されるという、諸外国で起こった悪夢のような事態を回避できるという確証もありません。
私どもはこれまで、「命の水」に関わる重要なテーマであるのに、県民に十分な説明をせず、住民合意を尊重して進めるという地方自治法公共サービス基本法の考え方から逸脱して議決を急いでいることを指摘して、いったん凍結するよう求めてきました。
議案とその審査の状況を調べましたが、審議の前提を欠いているとしか思えません。議案は撤回すべきです。
(2)優先交渉権者の提案に実施困難な個所があり、その承認を求める議案は許されません

6月定例会までに、「みやぎ型」民営化後に事業を実質的に担う新OM会社は、メタウォーターではなくヴェオリアが実質支配するという新事実が判明しました。民間企業グループは、20年間で約92億円の純利益を上げる計画で、そこからお金が出資者への配当に回されるという衝撃の事実が明るみに出ました。「民営化をやめて、92億円は県民が負担する料金の引き下げや管路・設備の更新に使うべきだ」という声が上がり、新型コロナ禍の下で困難を極めた署名が急速に広がって約2万筆に達しました。その中で、下水道に詳しい人々から、「提案書は実施困難だ」という意見が寄せられました。
共通して「問題がある」とされたのは鳴瀬川流域下水道事業に関わる提案のうち、下水を処理した後に発生する汚泥の含水率を「76.0%±0.8%以内」にするという「提案概要書」の12ページに記載されている記述についてで、「実績値と不自然な乖離」があり、鳴瀬川流域下水道と吉田川流域下水道を「取り違えた可能性がある」と指摘するものでした。提案どおりに実施できるかどうかという点について、将来的には改善できる技術的な可能性があるとしても、現在の設備機械を引き継ぐ「業務開始当初」は「不可能ではないか」とする意見でした。
また、「提案書を見た県企業局が、そのことに気づかなかったのではないか。長い間、下水道公社などに委託してきた結果、すでに技術力を相当程度失っているのではないか。このあと20年間も民間に丸投げしたら、チェック力は完全に無くなってしまう」という、「みやぎ型」民営化を根本から疑問視する意見も寄せられました。
あくまで議決を求めるのであれば、県民が納得できる説明をすべきです。実行不可能な提案の承認を求めることになる議案は撤回すべきです。

以上、要請します。

 

<連絡先>
〒980―0803 
仙台市青葉区国分町1丁目8番10号 大和ビル2階
佐久間敬子法律事務所
電 話 022-267-2288
FAX 022-225-5704

 

記者レク

 

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの共同代表佐久間です。

いま知事と、それから公営企業管理者に、要請書というのを出してまいりました。お配りしてます資料の 一番上にあります。

要請の中身はですね、今議会に上程されているみやぎ型に、2つの議案が出てるわけですが、これを撤回するように求める要請書というふうになってます。

私たちは、これまで県に、県議会に、この議案を上程しないでほしいという申し入れを2回行っている。

それから県議会には、上程されてしまった後はですね、県議会でこの議案を拙速に審議して決めてしまわないで、重大な問題なので、じっくり議論するために今議会では凍結してほしいという請願をいたしました。

そして、みなさまにもご報告いたしましたけれども、この請願に、全国から19,449筆の賛同署名が寄せられました。これを、18日、県議会議長さんにお渡しした、と。

で、議長さんは、この署名の重みを、当然ですが、「非常に重く受け止める」と「大切な問題なので、真摯に議論したい」というようなことをおっしゃっていただきました。

今回は、県議会が始まって、一般質問が何回か行われてますが、私たちは、「これはもう、撤回すべきだ」と、県当局に申し入れをするという結論に至りました。

その理由は主に2つあります。

1つは、一般質問でも、いろいろみなさまから疑問が出てましたけども、議会の審議に資するだけの資料が全然出てないということ。

したがって、県民を代表する議会が、これだけのもので、果たして、この議案を決めると、そういう採否を決めるという判断ができるのか? と非常に疑問に思ってます。

審議の機が熟してない。資料がない。審議の前提を欠いているというふうに思います。

その理由について、のちほど詳しく述べてもらいますが、資料として、2枚目の紙1枚お配りしておりますが、結局ですね、具体的な内容は、今議会で決まって、そして受注業者と契約を締結して、事業が始まるという来年の4月、その1カ月前にしか、明らかにならないということなんですね。

要するに、中身がわからないまま、県議会のほうはGOサインを出せるか? と。これは、議会の審議のごく当たり前の前提を欠いているものであるというふうに私たちは思います。これが第1点です。

それから、第2点が要請書2ページに書いてありますが、この間結局、優先交渉権者メタウォーターが筆頭株主で受注したということでしたが、実態はOM会社と、これは地元の企業を養成するとかという謳い文句があったんですけど、結局ここが仕切るんだということがわかってまいりまして、それはヴェオリア・ジェネッツというフランスに本社がある企業の日本法人ですね。こういうことが次第に明るみに出てきたということでした。

そして、特に問題かなあというのは、この資料のカラーの3枚ものですけど、メタウォーターの提案書の中にですね、果たして実現できるのかなあ? と非常に疑問を抱かせる箇所があるということなんですね。

で、その疑問について、果たして、メタウォーターあるいは県企業局などは、どういう説明ができるのか? 私たちの考えでは非常に困難な話ではないか? と思うんですね。

このあたりの矛盾した提案、あるいは実現不可能な提案というものが出されているのではないか? こういうものを承認するというのは、県議会としてはおよそ不可能だし、そうであれば県としては、もう一回、よく精査して、そして、この議案というものを取り下げて、撤回して、もう一度一から検討すべきというのが、私たちの意見です。

詳細は、この資料に基づきまして、これを分析したお二人にやっていただきますので。

最初は、中嶋さんからですね。じゃあ、1問目を、中嶋さんのほうから説明してもらいます。1番目の問題ですね。

中嶋さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)
今日の申し入れは、「議案を撤回してください」という申し入れで、その理由として、「議会が判断するのに必要な資料の大半が、提出されていないんじゃないか? 」と、指摘しています。

で、私たちが、「これは必要でしょ? 」ってことを指摘しているのが、この一覧表に載っている14の文書です。

 

みやぎ型管理運営方式 各種計画書

 

メタウォーターグループからは提案書というものが出てるんですが、大部の提案書だと言われてるんですが、何ページあるか? とか、その詳細な内容というのは一切明らかにされていません。

宮城県のホームページには、その概要だけが公表されています。

メタウォーターグループ提案概要

www.pref.miyagi.jp

その提案書に基づいて、全体事業計画書ですとか、それからセルフモニタリング計画書ですとか、情報公開規定ですとか、危機管理マニュアルですとか、健全度調査計画書ですとか、それから改築の計画書だとか、全部出したうえで、4月から、いよいよ民営化が始まるということになってるんですけど、現時点で、完成された形で公表されているのは、情報公開規定ただ一つなんですよ。

そうするとね、県議会は、中に何が入っているかわからない ブラックボックスの導入を求められてる状態にあると思うんです。

それでね、経費削減計画というものが示されましたけれども、引き受ける浄水設備を、20年間かけて、古いものを新しいものに更新していくのに、640億、お金が必要だろうというのが県の想定だったんですけども、出されてきた計画は、640億から347億少ないお金で更新します、と。つまり更新を先送りします、と。

そのかわり、修繕費用を101億増やして、今ある施設は、徹底的にこう、ちょっと修理しただけで使い回していって、なるべく更新しないですませるという計画になってるんです。

「そうすると、20年の契約期間が終わるころには、ボロボロになって返されてくる可能性があるでしょ? 大丈夫ですか? 」って聞かれて、「健全性を評価して、20年後に健全度が変わらないようにするんです」って説明ですけど、この一覧表の下から3つ目、健全度調査計画書っていうものが作られて示されるのは、来年の2月の予定なんです。

で、議会が運営権の設定を議決しちゃうと、20年間、議会っていうのは関与できなくなるし、監査委員会の対象にもならなくなるんですけども、中身がわからないのに、本当に、健全度をちゃんと比較できるかどうか? 技術の方法も何も示されないまんま、「議決しろ」ってこと言われてるんです。

そういう判断基準も根拠も示さないまんま、議会に議決を求めていいんですか? ということが、審査を通じて、ますますはっきりしてきたのではないか? そういうふうに思っています。

もともと、私たちが出した請願というのは、「今回は提案しないでください。それから、今回決めないでください」という趣旨だったんですけども、出された議案と、その説明資料を、25日までの議会を見て、これは、議会の人たちが気の毒すぎる、と。

「何にも見ないで、目つぶってハンコ押せ」って言われてる。そういう状態だと考えざるを得ない。

だから、市民運動団体の立場から、「それは反則でしょ」ということを申し上げたいというのが、1番目の理由です。

2番目の理由は、小川さんから。

小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

お手元に横位置のカラーのがあります。

いま要請してきた内容というのは、「優先交渉権者、つまりメタウォーターグループの提案に、実現困難な箇所があるということで、この内容で承認を求める議案というのは、議決することはよろしくない」ということなんですが。

実を言うと、優先交渉権者の内容はいろいろ問題があるんですが、一番、われわれがやってきた中でわかりやすい話ということで、これ、今日持ってきました。 

汚水脱水率をめぐる問題 みやぎ型管理運営方式

1枚目のところで、この絵を見ていただければいいんですけど、テーマは、脱水ケーキということなんですよ。

これは、下水道の処理をやった時の最終的に出てくる処理物ですね。脱水ケーキというのが、必ず出るということです。上のほうに写真がありますから。

濡れた泥というふうに書いてありますけど、まさに汚泥です。その泥の部分というのは、実を言うと、焼いたり、焼却したり、それから肥料の原料になったり、セメントの原料になったりするんですね。

だから、これはこれで活用されるんです。ただ、償却が圧倒的に多いです。これには、水分含んでるんです。含水率と言いますが、それをめぐる問題です。

2枚目を見てください。 

脱水ケーキ管理目標値 みやぎ型管理運営方式

メタウォーターグループから、宮城県のホームページに、こういう形でグループの提案概要というものが、ホームページにアップされています。

この中の具体的に言えば10ページに記載されている現物は、ここですけども(と県ホームページにアップされている資料を印刷したものの一部を示し)、拡大しました。

このメタウォーターグループでは、仙塩流域、阿武隈下流流域、それから鳴瀬川、吉田川、それぞれこういう管理目標で、右上の四角く赤く囲ってあるところ注意していただきたいんですが、「業務開始当初」からなんです。

ということは、県の予定から言えば、「来年の4月1日からこれでやります」ということです。わかりますよね? 

ということは、3月31日までは、たとえばウォーターエージェンシーがやっていたのを、切り換えた瞬間から、「これで行きます」というふうに言っています。書いてあるのは、そんなふうに書いてある。

で、具体的内容を見てみると、先ほど最初に見ていただいた汚泥含水率のところを、ちょっと見ていただきたいんですけども、その下のほうに、汚泥の含水率の3年間の実績を入れてあります。

ですから、左側のほうの仙塩流域であれば、2019年度で76.5、18年77.3、17年77.2っていうふうに、平均すると77です。だから、この77と、メタウォーターグループが、「汚泥含水率で、業務開始当初からやります」っていうふうに言っている77.3±1というのは、だいたい整合するわけです。77に対して77.3。

同じように、阿武隈川下流流域の74に対して、同じ74台。

ところが、鳴瀬川と吉田川については、たとえば右から2列目の鳴瀬川は、現状は約80なのに、76.0±というふうになります。ガクっと差があります。約4ポイント。

で、吉田川を見てみると、現状は75.9なんですが、ま、76です。で、目標値は80。4なんです。

4と4が、それぞれプラス、マイナスで、差があります。これって何だ? ってことです。

で、「実際上、いわゆる含水率の問題について、こういうふうに変わるっていうのは、おかしくないですか? 」ということを、われわれは考えたわけです。

次のページをご覧ください。 

これは(と別の文書を記者に示し)、6月22日に宮城県が出した資料です。これは、今お手元に書いていある、まん中に四角く書いてあるのと同じものです。僕が転記したものです。見てください。

具体的に数字が違うことについてのわれわれの疑問は、真ん中に、疑問と書いてあります。

鳴瀬川に関しては、現在約80なのを76に下げる、と。目標値を大幅に引き下げる、と。「きつくする」ということですね。そんなことが可能なんだろうか? と。

で、オキシデーションディッチという方法を、汚泥処理で、方法として取ってるということなんですが、80%を切るというのは、現場の人たちの話を聞くと、「精一杯で、76なんて、ホントきついです」というのが、出された声です。

それに対して企業局の説明は? っていうことで、要するに赤字で書いてあるところ、いろいろ書いてありますけども、「提案者の経験から、できるんだ」っていうふうに言ってるんです。

実際上、鳴瀬川はきつくなるっていうのは、現場の声ではっきりしてるんだけども、(メタウォーターグループが)「いや、事業年報実績値よりも、先ほど言った77.9ですね、これよりも向上する余地があります」ということを言っているので、そのことを、県としては、「そのように言ってるから、われわれもそういうふうに判断します」と言ってるんですね。

吉田川については、さっき言ったのの逆で、76だったのが80と緩くなるんです。非常に基準が緩くなったんです。

それはどういう理由か? っていうふうに言うと、いろいろ書いてあるんですけども、「提案者の経験も踏まえたうえで、これでいけるんだ」と。こういうふうな話です。

だけど、実際上は、たとえば吉田川の問題で言えば、4ポイント水分が多いということは、そのぶんだけ重くなる。だから、前のページにトラックがありますけど、トラックに積むときに、重くなるわけです。

重くなりますから、当然のことながら、何回もピストンで輸送しなけきゃいけない。 仙塩浄化センターというところでやっていますけれど。ホントにそれが現実的なのか? ホントにそういうふうにやるのか? ということは、やっぱり疑問を解消できないわけですね。

ここにありますように、「76%以下というのが常識なんだ」と。現場の感覚からいけば。「80%なんていうふうに言ったら、とんでもない! というふうにわれわれ思うんだ」って言ってるわけ。

で、県の言い訳はそういうふうにしてるわけですけど、右端のところを、ちょっと見ていただくと、逃げを打っているわけですよ。

つまり、「運転開始後も、最適な条件となるように管理をやってって、目標値を変えなければいけないようなことがあれば、変えます」というふうに言ってるわけですね。

それから、下のほうでは、「そういうふうに目標値が達成されなかった場合は、持つのは運営権者が持つから、だからそれでいいんだというふうに言っている、と。

だから問題なのは、ホントにこの目標値というのは、現実的であるのか? ということが、現場の声も含めて、われわれも考えるわけです。

で、ちょうど真ん中にありますけど、現状に比べて目標値、鳴瀬川は、ま、言葉足すとするとハードルが高すぎ、吉田川は、ハードルが低すぎ。数字なので、ちょっとわかりずらいですけども、われわれとすれば、 

脱水ケーキ管理目標値 みやぎ型管理運営方式

仙塩・阿武隈川というのが、先ほど2ページのところにありましたけども、ここは何も変えてないんです。目標値変えてないんですよ。「今までの成り行きでいきます」と言ってる。

なんで、鳴瀬川と吉田川だけ、目標値を変えなきゃいけないのか? 変える必然性が、ないわけです。

もしも、この鳴瀬川と吉田川で、新しい革命的な方式を導入するのであれば、仙塩だとか阿武隈でも導入してしかるべきです。しかし、そちらは何にも変えてないというふうな形になっています。

ですから、先ほど最初に言いましたように、業務開始の当初から、最初から、来年の 4月1日から、「この目標値でやります」ということ自体が、ホントに合理性があるのか? 必要性があるのか? というふうなことが、非常に大きなわれわれの疑問です。

われわれの推測ですけれども、鳴瀬川と吉田川の数字を取り違えてるんじゃないですか? 」ということです。

逆にすると、ピタリ合うんです。今の現状の管理状況と阿武隈川・仙塩の各エリアの数字の目標値と、整合性がそこで取れるということになるんです。

しかしそれは、「間違いではありません」というふうに県が言ってますから、先ほど、6月21日これで(と、また県の書類を掲げ)示したような形で、「間違ってはいないんだ」と言ってることについて、われわれは、「懸念があります」ということで、「実現困難じゃないですか? 」ということを、今日申し入れたということです。どういうふうに回答するか、わかりませんが。以上です。

中嶋さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

署名が、すごく6月に入ってから伸びてきたんですけど、ポンポンポンと、「計画書に間違いがあります」という話が来たんですね。

それで、「含水率80%と76%って、4%しか違わないでしょ。わずかな違いじゃないですか? 」ってみなさん思うでしょ。私、そう聞いたんです。

そしたらね、「80%の場合は、その汚泥を手に持てば、水を含んだスポンジみたいな感じでぽたぽたと水がしたたり落ちてきます。76%くらいになると、もう水は出ません」と。

「みなさん、わかんないから、4%っていうと大した違いないと思うかもしれないけども、下水の現場で働いてる人たちにとっては、全く違うんだってことを、まず理解してください」って言われたんです。

鳴瀬川は、オキシデーションディッチ方式って言うんですけど、微生物で分解するんですが、まあるいプールみたいなものに汚水を入れて、ぐるうっと攪拌して、酸素をすき込んでやってるんです。ですから広い面積が必要で、ここから出来上がる汚泥っていうのは、沢山水を含んだ汚泥が出るんです。

それ以外の流域下水道っていうのは、ポンプで空気をぶくぶく吹き込んでる標準活性汚泥方式と呼ばれるもので、比較的狭い面積で浄化ができて、出来上がる汚泥については、割と固く絞ることができる、と。

宮城県の下水の現場で働いたことのある人にとっては、一目で間違いだとわかる。東京で作文した人たちは、わからなくて勘違いしたんじゃないですか? 

で、情けないのは、下水道公社に民間委託して20年経ってますから、いま企業局にいる職員で、技術のわかる人が年々いなくなっていて、本当は間違っていると気が付かなきゃいけなかったのに、見ることができなかったんではないか? 

このままコンセッション方式で20年預けたら、完全に技術力がなくなるんじゃないか? って指摘されていたんですけども、今すでに相当程度、もう見る力がなくなっているんじゃないですか? 

私は、「間違ってました」と、県が言うと思ってたんです。ところが、「間違ってない」と言い張っちゃったもんだから、ウソをつくと、次のウソをつかなきゃないということが、起こるでしょ。

この次のウソが、吉田川の汚泥が、今せっかく76%まで絞られてるのに、計画が、わざわざ80%まで増やす、誰が見てもヘンな計画になってるんです。

発生する汚泥量、焼却しなきゃない汚泥量っていうのは、鳴瀬川のほうがはるかに少なくて、年間1,500トンぐらいで済むんですが、吉田川のほうは、年間5,000トンとか6,000トン発生するんですよ。

たくさん汚泥が発生する吉田川のほうを、水が滴るようなものにわざと緩めに加工するとなると、その後焼却するのに、燃料とかたくさん必要になるでしょ。

で、県は困って、「それも、計画の範囲でやってもらいます」っていうふうに説明しているんですけど、それは鳴瀬川でウソをついたから、吉田川でもウソをつかざるを得なくなって、逃げを打ってるんです。段々ウソが大きくなってきてる。そういうことが起こってるってことです。

で、このコンセッション方式っていうのは、今の聞いてるとわかると思いますけど、大きなウソの塊になってるんじゃないですか? 

これを象徴するのが、単純ミス。今回の関係者から教えていただいたチョンボです。 非常にマンガ的なことが起こってる、と私は思っています。以上です。

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

では、どうぞご質問をお願いいたします。

共同通信社

では、幹事社から、何点か。

すいません、ちょっと事務的なことですが、今日は私ちょっと現場に行けてないんですけど、どなたが県は対応されて、いま先ほど、どういうふうに回答するか? と、おっしゃってましたけど、何かこう、応答はあったんでしょうか?

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

(周囲に確かめ、マスコミの方からも告げられて)大沼さん。

共同通信社

で、これ提出されて、何か、その時点で何か、応答はあった? 基本的に、受け取ったというところまでという・・・

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

受取ったということで、あと、中身について、みなさんにお渡しした資料もお渡ししたので、「そういう資料が付いてるんですね」という問いがありましたが、「承りました。拝見します」と。そういうことですね。

共同通信社

これはまあ、すでに福島先生の回答に、ある程度、県としては回答したということになってると思うんですけど、この要は、鳴瀬川と吉田川で、まあ、えー特にその、逃げを打ってるというのは、「変えればいいじゃない。まあ後で無理だったら、変えればいいじゃないか」ということだと思うんですが、あのう、要は、なぜ現状より、一方厳しくなって、一方はハードルが下がって? ということ自体については、どういう説明なんでしょうか?

小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

説明してないわけです。

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

答えがないですね。これからどういう答えが出てくるのか? と。

共同通信社

それ自体、照会の中でも、特に説明がない?

小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

もっと言うと、最近の政治答弁と同じです。正面から答えない。

共同通信社

ほーう。

中嶋さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

現場知ってる人たちから、「これ、単純に間違いです」って指摘されて、認めるわけにいかないんですよ。

間違った計画、提案書に基づいて、議案出してるから、「これ、間違ってました」というふうになったら、「じゃあ、一旦引っ込めたら」みたいな議論になりかねないから。

私はそれでも、間違ってるって認めて出せばよかったんじゃないかと思うんですけど、突っ張る路線で出てきたもんですから、もう、認めるわけにいかないね、今さら。

ウソをウソとしてつき通すしかなくなってる、と。だから、「間違っていません」路線で来てるんです。じゃあ、やれるんですか? この数字で。

現場で下水やってる人たちっていうのは、今ある設備で、含水率を下げるために、結構苦労してきて、昔は吉田川流域下水道も、含水率が80%ぐらいだった時期があるんだそうです、平成4年頃。

そこから15年ぐらいかけて、努力して76%まで下げることができるようになってきた。そのくらい年数かかって、数字改善してきてるんですよ。

引き継いだ直後にすぐ、4ポイント上げられます? で、現場知ってる人は、今の設備知ってますから、「無理でしょう」と。

だから、「勘違い以外の何物でもないでしょ」と。「なんで認めないの? 」ということを、現場知ってる人はみんな言ってるんです。

だけど県は、認めない路線で来てるんです。だから、「マンガでしょ」って言ってるんです。

共同通信社

あと、すいません、まあいろいろ、問題は、ご指摘があると思うんですけれども、当然その県の答弁もそうですが、まあ今回コンセッションということですけれども、民間に委託するという意味では、先ほどもおっしゃってましたように、「もう30年間、民間に委託されているということは、実際にあるんです」って説明は、県は常々してると思うんですが、今回、水質の悪化、いろんなことが懸念はされますけども、「そういった問題、民間に委託するから悪化するでしょ」ということであれば、県の言うように、「今までもしてました」というところになると思うんです。

今回コンセッション、そういう安全性みたいのが、担保されなくなるんではないか? という点に関しては、みなさんのご主張のポイントとしては、どういうふうに理解すればいいでしょうか?

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

えーとですね、県はもう、コトあるごとに、「過去20年も30年も、民間にお願いしてきた」ということを言ってます。「だから、これからコンセッション導入に、何の問題があるんですか? 」というような趣旨の言い方をしていますね。

ただ、これまでの民間に委託するというのとコンセッションは、性格が違う。

民間に委託する場合には、これ専門用語なんでしょうけど、仕様書と、仕様というか、建物の仕様書って、みなさんおわかりだと思いますけども、どこに、どういう部材を、どういう大きさの、どんな形のものを入れるか? 事細かにですね、そういうやり方について県が決めて、その通りにやってきていただいてるということですね。

それは、そういう事細かな仕様というものを決めることによって、品質を保証する、と。性能が万が一にも落ちたり、悪くなったりしないように確保する、と。

そのための工程についての様々な仕様というものが決められていて、民間の方は、非常に忠実にそれを守って仕事をしてくださったんですね。

今回は違うんですね。仕様はない。

「ま、出てくる水が良ければいい」みたいな形になって、そういうやり方だから、「各作業工程については、受注業者の自由度が大いに高まって、ある意味では、そこに創意工夫があるんだ」と県は言っているんですね。

ただ、果たしてそれで、本当に今までと同じような安全安心な水が供給できるのか? と。ちゃんと、水産業に特に悪影響を及ぼすような下水の濁りとか、そういうものが、生まれるなんてことはないのか? それは非常に問題だ、と。

だから、27の市町村が受水してるわけですけど、各市町村からも、そういう問題についての質問が結構出てるんです。「水質ホントに大丈夫なのか? 」

それに対して、県は極めて大雑把な回答をしたようですけど、本当に市町村が納得できるような丁寧な説明はしてないということなんですね。

ですから私たちは、よく、「これまでも任せてきたよ」と、「今後と何が違うの? 何が心配なの? 」と聞かれるけど、任せ方が違う、まるっきり。業者さんのある意味では自由にやってもらう、と。

県のほうは、そういう意味では、詳細についてなかなか関与できないし、どんなようなやり方でやってるかの情報は、果たして県に、逐一提供されるかどうか? そこはわからない。

言ってみれば、「まるごとお願いします」。一括委譲ですよね。今までのように、事細かに差配してと言いますかね、そういうやり方と全く違う。

だから、民間委託とコンセッションは別物だ、と。そこに、私たちの大いなる心配があるということですね。

中嶋さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

今の質問にね、正面から答えれば、こういう答えになると思うんですよ。

「経営権を民間に預けます」と。「しかし、県はチェック力をちゃんと発揮します」と。「信頼してください」と。「だから、議会の議決とか全部外すんですけども、県がちゃんとチェック力を発揮しますから、大丈夫です」っていう説明なんです。

ところが、現場の仕事は、今までは、浅い民間委託というやり方で、下水道公社なんかに預けてきたわけです。で、現場で技術力を発揮する必要のある職員というのは、年々いなくなって、わからなくなっている人が大半を占めているんです。で、今回の提案書も見落としちゃったわけです。

それで、もっと本格的に、運営権まで民間に預けちゃうわけでしょ。「議会のチェックとか全部外しても、県の職員の私たちがチェックしますから、いいんです」っていう ストーリーなんだけど、もうすでに、こうい単純ミスさえ見抜けなくなってるあなた方が、「このあとウォーターエージェンシー(筆者注:メタウォーターグループです)が作るみずむすびアカデミーで勉強させてもらいますから、座学をやりますから、私たち大丈夫、チェックできます」と言うんだけど、ペーパードライバーが、F1レーサーを審査するみたいなもんです。現場で実際運転してない人が、審査・チェックできるんですか? 

それが、この入り口で、「見事にもう技術力なくなりかけてます」ということを、この議案で露呈しちゃったんじゃないですか? だから、コンセッション問題で将来起こることが、出ちゃったんです。

だから、意地でも認めるわけにいかないんです、県は。チェック力が、もうない、と。「チェック力があるから、やらせてください」って前提でしょ。チェック力がないってことが、バレちゃったんです。

共同通信社

だから、現状でもそうだけれども、少なくてもまあ、現状の民間委託では、一応県が、水質管理の仕様を決めて、それを遵守させるという方法で、結果として出てくる水のモニタリングが基準をクリアしてれば、まあ、その中間のやり方はともかくとして、いいということになっているというのがポイントだと思うんですけど、そういうやり方で、いま少なくても仕様は決めているということが外れてしまって、本当に水質管理ができるのか? って、そういうことと理解すればいいですか?

中嶋さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

いや、もっと、議論すれば、もっと深い議論があるんだよ。「連続測定します」と。「下水の排水のBODとかCOD、連続測定に切り換えます」という提案が入ってるんですよ。

連続測定やると、水質は悪くなるんです。真面目にBODとかCOD測るって言ったら、BODの結果出るのは5日後ですから、連続測定ってできないんですよ。

紫外線がどのくらい通るかどうかで連続測定しようとするんだけど、水の濁りからBODを推測するということをやると、数字はほとんど変化なくなるんです。

で、そういう提案を、県が良しとして受け入れてるわけでしょ。だから、測定方法が変わると何が起こるかも、今の県の職員、判断付かなくなってるわけです。

そういうややこしい議論をする前に、「この単純なチョンボですら、もうわからなくなってるでしょ」というのが、きょう私たちが言ってることで、「県がチェックするから、大丈夫です」というストーリーは、「もう、入り口で破綻してませんか? 」というのが、今日の申し入れです。だから、「撤回しなさい」って言ってるんです。

共同通信社

わかりました。

中嶋さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

わかります? 趣旨が。

共同通信社

わかりました。

中嶋さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

かなり深刻なこと、言ってると思うんです。

 

宮城県知事記者会見(令和3年6月28日)

 

この要請書の提出がなされた6月28日の午前中には、村井知事の定例記者会見が行われました。

 youtu.be

※「みやぎ型管理運営方式」については、31:35ぐらいから44:55ぐらいまでです。

何年か前に、市町村に対して、垂直連携を何度も働きかけたが、手を挙げるところがなかった。20年みやぎ型をやると成功するから、そうすると手を挙げるところが出てくるだろうと言っています。

やはり、20年後には市町村水道と垂直連携して、各家庭の入り口のところからダムまでをコンセッションにすることを意図して、今回のみやぎ型を計画したんですね。

 

村井知事定例記者会見 みやぎ型管理運営方式

宮城県知事記者会見(令和3年6月28日)宮城県上工下水一体官民連携運営事業「みやぎ型管理運営方式」について より

 

www.pref.miyagi.jp