宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

6月県議会でのみやぎ型に関する一般質問(3) 天下みゆき議員(日本共産党宮城県会議員団)の質疑応答文字起こしです!

2021年6月25日、宮城県議会6月定例会にて、みやぎ型に関する一般質問の6人目である天下みゆき議員の質疑応答が行われました。

 

天下みゆき議員(日本共産党宮城県会議員団)の一般質問&質疑応答

 

天下みゆき 宮城県議会議員

        天下みゆきの「みゆき通信」より

 

amasitajcp.net

 

天下みゆき議員 

miyagi-pref.stream.jfit.co.jp

みやぎ型管理運営方式で「命の水」の安全・安心は守れるのか

みやぎ型管理運営方式について伺います。

宮城県は、3月15日に、優先交渉権者としてメタウオーターグループを選定しました。

それからわずか3カ月、県は、たった6回の住民説明会の217人の参加をもって、説明は尽くしたと言っていますが、全く不十分です。

また、議会で議決するに当たって、県民の不安を払拭するために必要な資料は、まだ出そろっていません。

何よりも、市民団体から「みやぎ型管理運営方式導入手続きの凍結を求める請願署名」19,449人分が提出されたことを、知事は重く受け止めるべきです。

日本共産党県議団は、みやぎ型管理運営方式導入について、県民の理解は到底得られておらず、今議会での採択は認められないことを表明し、以下、質問します。

宮城県が、優先交渉権者の選定にあたり、「安定的な事業の運営と雇用の創出を図れる」と高く評価をしたのが、新OM会社の設立です。

この会社は、県の浄水場や浄化センターの運転維持管理を行いますが、SPCが委託する別会社として作られました。

県の浄水場や浄化センターは、県の施設、すなわち県民の財産です。これまでの指定管理者や委託事業者は、県が定期的に審査選定し、契約を結んできましたが、新OM会社は、県と契約を結びません。

そこで、お聞きします。

SPCと新OM会社は、何年間の委託契約なのか? 

県はどのようにして、OM会社の評価を行うのか? 

経営状況はどのように確認をするのか? 

お答えください。

新OM会社の議決権株式保有割合は、ヴェオリア・ジェネッツが51%でしたので、新OM会社はヴェオリアが仕切ることになります。

SPCは20年間で事業を終了して解散することが決まっておりますが、OM会社は20年を越えて将来にわたって存続すると表明されています。

メタウォーターグループが、新OM会社を別会社としてわざわざ立ち上げたのは、今後20年以上将来にわたって、外国資本のヴェオリアが宮城の水事業に大きな影響力を持つ仕組みを作ることが目的だったのではありませんか? 知事の見解を伺います。

次に、情報公開取扱規定について伺います。

県は、SPCが提出した情報公開取扱規定について、県情報公開条例の趣旨に沿って作成したと言っておりますが、肝心なところが違っています。

第1に、SPCの情報公開取扱規定第6条(5)のニ)では、当社の企業経営上の正当な利益を害する「おそれがあるもの」は、不開示情報としていますが、県の条例では第8条(3)法人その他の団体については、正当な利益が損なわれると「認められるもの」が不開示と規定しています。

「おそれがあるもの」と「認められるもの」では全く違います。SPCが「おそれがある」と判断すれば、いくらでも開示を拒否することができるのではないでしょうか? 伺います。

第2に、SPCの取扱規定第12条では、再検討の求めに対して、不開示と判断した事項について、当社外部の専門家(出資企業の法務部門を含むがこれに限らない)に、不開示判断の妥当性について確認を依頼するとしています。

出資企業の法務部門では、外部専門家としての第三者性は担保できません。条例を変えて、県の情報公開審査会で対応すべきではありませんか? お答えください。

県民の命の水を扱う事業にとって、情報公開は要です。この取扱規定では、大事な情報が隠されるおそれがあることを指摘しておきます。

次に、実施契約書案について伺います。第61条反対運動および訴訟等の条項です。

これは、事業の実施自体によって、反対運動や訴訟が起こり、事業期間の変更や事業の中断等が発生し、運営権者に増加費用や損害が発生した場合は、県がその増加費用や損害を補償するという内容です。

なぜ、このような住民運動敵視条項とも言える条項が定められたのか? 

なぜ、県が運営権者の損害を、一方的に保障しなければならないのか? 

それで対等の契約と言えるのか? 

伺います。

次に、コスト削減について伺います。

メタウォーターグループが提案したコスト削減額は287億円の削減で、県事業分と合わせると、現行体制モデルより337億円の削減となりました。

その一番大きな削減額が更新投資で、運営権者の提案額は、現行体制モデルよりも、348億円も低い446億円となりました。なぜ、こんなにコストが削減できるのか? とお聞きしますと、耐用年数を伸ばすとのことでした。

メタウォーターの提案によると、最先端のデジタル技術を活用したアセットマネジメントシステムを導入し、改築、修繕を最適化するとのことです。

そこでお聞きします。

第1に、もともと施設設備の長寿命化は、公共施設で取り組まれてきたことです。

管路だけでなく設備についても、県職員の技術で新たなシステム等を導入して、長寿命化を図ることはできないのか? 

できないとしたら、なぜなのか? 

お聞きします。

第2に、耐用年数を伸ばした結果、20年後に設備がボロボロになって県に戻ってくることが心配ですが、県は、事業開始時と終了時で同等の健全度を要求しているので、大丈夫だと説明していました。

そうすると、メタウォーターグループが作る改善計画書と健全度調査計画書の実効性を、県がチェックすることが重要ですが、これらの計画書は今まだ出来ていません。

それで、今議会で運営権を設定することは、更新投資のコスト削減の根拠を示せないまま決めることとなるのではないでしょうか? お答えください。

そもそも県は、2018年3月に行った試算で、今後20年間で、管路等が1,080億円、設備が880億円、合わせて1,960億円の更新投資が必要と説明し、このままでは水道料金の上昇が避けられないと言っていました。

事業費削減額比較を見ると、結局管路の更新投資は約6割に減り、設備投資が半額になりました。おまけに県は、管路の本格的な更新は、20年間行わない、ピークは30年後から40年後だと言っています。

そこで、契約期間終了後の21年目以降に、管路や設備の更新投資が大幅に増え、子供や孫に水道料金上昇の負担を負わせることにならないのか? 伺います。

さて、今年5月に、会計検査院が、国が実施するPFI事業について報告書を出しました。それによると、2018年度末までに事業を終了した29事業のうち、比較ができる27事業について、検査院がPFIと従来方式での維持管理費を比べたところ、全事業で、PFIが従来方式よりも1.06倍から2.85倍も高額となったそうです。

PFIにするとコストが削減できると言って、PFI事業を行ったはずなのに、結果は全く逆だったということですので、これは重大な報告です。みやぎ型管理運営方式が、20年後このような結果にならない保証はどこにあるのか? お答えください。

次に、コンセッションの問題点について伺います。

県は、すでに30年間も民間に委託しており、みやぎ型管理運営方式に移行しても変わらないと説明しています。

しかし、民間委託や指定管理とコンセッションでは、以下の2点で決定的に違います。

1つは、運営権者がおこなう事業内容が、県の予算決算から抜け、監査対象からも外れ、県議会の議決が、5年に1階の料金改定時のみとなることです。また、契約案件についても、議会の審議、議決の対象から外れます。

県は、対応策として、年1回程度、県議会に報告する旨の条例案を、今議会に提出しましたが、あくまで報告でしかなく、それで了解するわけにはいきません。

水道、下水道事業は、県民の命と暮らし、公衆衛生の向上に直結しており、すべての人が生きていくために不可欠な事業です。だからこそ、県民の代表である議会の審議と議決、すなわち県民のチェックと了解を得ながら進め、県民の監査請求の対象であることが重要です。

コンセッションへの移行は、主権者である県民の参加と 監視という民主主義の大事な仕組みを壊すものだ思いますが、知事の見解を伺います。

2つ目は、入札や発注など、契約の仕組みが変わることです。

これまでは、工事事業者との契約は、県が入札をかけて発注していましたが、コンセッションにより、運営権を売却すると、SPCと工事事業者との契約になり、民間と民間の取引となります。

その結果、関連企業への高値発注や下請け工事業者の買い叩きが横行する懸念がありますが、どのようにチェックをするのか? お答えください。

メタウォーターグループは、20年間で92億円の当期純利益を計上し、出資企業に配当する計画です。

利益は、水道料金の上昇を抑え、管路や設備の更新にこそ使うべきです。

県民の命と暮らしに直結する水道、下水道事業は、営利企業の儲けの対象にしてはいけない、コンセッションに移行してはいけないということを、知事と議員各位に強く申し上げ、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました(と深く礼をする)。

村井嘉浩知事

大綱三点目、みやぎ型管理運営方式で命の水の安全安心は守れるのかについてのご質問にお答えします。

初めに、新OM会社の将来にわたる影響等についてのお尋ねにお答えいたします。

優先交渉権者がOM会社を県内に設立する提案は、地元の雇用創出を図るとともに、安定的な事業運営も期待されることから、PFI検討委員会において高い評価を受けたものであります。

また、豊富な実績や高度な技術力を有する優先交渉権者により、地域人材を活用した水事業会社が県内に設立されることは、将来に向けた人材育成など、県のみならず市町村にとっても有益であると考えております。

なお現在、国内には多くの水処理会社があり、今後も互いに競争して実績を積み重ねていくと思われることから、このOM会社が県内の水関係事業に大きな影響を持つことは考えておりません。

次に、実施契約書案における反対運動等の損害の補償規定についてのご質問にお答えいたします。

実施契約書案においては、反対運動や訴訟のみならず、地震等の自然災害、暴動等の人的災害のほか、法令等の変更を含む様々な事象に対して、県と運営権者の適正なリスク分担を規定しております。

このうち、みやぎ型管理運営方式の対象事業に対する反対運動等については、事業を計画した県が責任を負うべきものであることから、県のリスクといたしました。

このような運営権者の責によらない事象等を県が負担することは、応募者の適正な競争を促し、事業費の削減につながったものと考えております。私からは以上でございます。

櫻井雅之公営企業管理者

大綱三点目、みやぎ型管理運営方式で命の水の安全安心は守れるのかについてのご質問のうち、特別目的会社と新オペレーションメンテナンス会社の契約期間や評価、および経営状況の確認についてのお尋ねにお答えいたします。

優先交渉権者の提案では、SPCとは別に、浄水場の運転管理と保守点検を担うOM会社を県内に設立する計画となっておりますが、このSPCとOM会社の契約期間については、現在グループ内で調整中であると伺っております。

SPCとOM会社の契約については、県の事前承認を要することとしており、県としては、契約期間のみならず、重要となる経営や現場の執行体制を含めて、運営の確実性をしっかりと確認し、評価する必要があると考えております。

また、OM会社はSPCと連携して事業運営する重要な会社であり、経営状況についても確認する必要があるため、SPCと同等に、財務諸表や財務指標の報告を、モニタリング計画に位置付けることにより、県が継続的に監視できる仕組みとしております。

次に、SPCの情報公開取扱規定と不開示の判断および客観性の担保についてのご質問にお答えいたします。

SPCの情報公開取扱規定では、情報開示請求に対して、不開示との判断がなされた場合には、その判断に対して不服の申し立てが可能となっております。

また、不服申し立てに対する妥当性の判断については、親会社の法務部門もしくは顧問弁護士が行い、不開示の決定通知には判断したものを明示するなど、客観性を担保した対応がなされるものと考えております。

さらに、情報不開示に対する不服申し立てといった事案が発生し、県が相談を受けた 場合には、事案によっては、運営権者の業務を調査、審議いただく法務などの有識者で構成する経営審査委員会からも、参考意見をいただくなど、適切に対応することとしております。

なお、県が保有するSPCの情報について、県に対して、開示請求がなされた場合には、県の情報公開条例に基づき、県民の知る権利を尊重し、適切に対応してまいります。

次に、設備の長寿命化は、県職員の技術で実現可能ではないか? とのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式は、上工下水道の合計9事業一体とし、性能発注により、20年間にわたって契約するもので、スケールメリットを生かしながら、民間の力を最大限活用することを目指したものであります。

優先交渉権者の提案による設備の長寿命化については、温度や振動等を継続的に監視するセンサーや、統合管理プラットフォームの導入による各種データの収集、蓄積により、運転管理、保守点検、修繕改築にわたる一連業務の全体最適化を図る中で、効率化を効果的に実現しようとするものであり、民間ならではの総合的かつ長期的なマネジメント力により達成されるものと考えております。

次に、改築計画等が未作成のまま、運営権設定を提案することは問題ではないか? とのご質問にお答えいたします。

優先交渉権者における更新投資のコスト削減については、センサーの導入による最適な時期での修繕や、耐久性の高い部品への交換などによって、健全度を維持しながら、県の計画に対して更新費を削減する一方、修繕費を積み増す計画となっております。

これらの提案は、PFI検討委員会における技術ワーキンググループにおいて、提案金額だけでなく、確実性や実現性の観点からもしっかりと議論され、適正性を評価されたものと考えております。

なお、改築計画や健全度調査および維持管理をはじめとする詳細な各種計画については、今後、提案書に基づき作成されることとなっており、県としては、その内容をしっかりと確認するとともに、関連する市町村とも調整しながら、確実な事業の執行体制を構築してまいります。

次に、更新投資計画の変更による契約終了後の水道料金への影響についてのご質問にお答えいたします。

優先交渉権者との契約においては、事業終了時において、開始時と同等の健全度を維持すること、また、継続的な調査も規定していること、さらに、経営審査委員会において、5年ごとに行う改築計画の見直しについて、審議をしながら進めることから、事業終了後において、多額の更新費用が発生することがない制度となっております。

そのため、更新投資計画が変更されたことにより、事業終了後において水道料金が上昇することはありません。

次に、国が実施したPFI事業で、従来方式よりも高額となった報告があるが、みやぎ型管理運営方式はどうか? とのご質問にお答えいたします。

今年5月の会計検査院による国が実施するPFI事業の維持管理費相当額が、従来方式よりも割高になっているとの報告は、公務員宿舎や庁舎の整備といったサービス購入型のPFI事業であり、コンセッション方式を採用するみやぎ型管理運営方式には該当しないものであります。

みやぎ型管理運営方式は、20年間にわたり上工下水道9事業を一体として、施設の運転管理と設備の修繕、更新を合わせ、大きなコスト削減を図るものであり、県といたしましては、安定して水道事業を継続していくための最適な手法であると考えております。

次に、みやぎ型管理運営方式は、議会の関与が不十分になるのではないか? とのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式は、PFI法や水道法など、関係する法令に基づき、令和元年11月定例会において、事業実施の提案を諮った実施方針条例においても、議会の議決を経るなど、適正な手続きにより進めているPFI事業であります。

PFI事業は、運営権者の予算や決算について、企業局の予算から切り離されることとなりますが、水道事業は県民生活と産業の基盤を支える極めて重要な社会資本であるため、今定例会において、県議会への報告を義務付ける条理の改正を提案しております。

県といたしましては、第三者機関である経営審査委員会における審査結果を含めて、定期的に県議会に報告を行うとともに、SPCと連携して積極的な情報公開に努め、透明性のある事業運営に取り組んでまいります。

次に、SPCが行う契約の適正性の確認についてのご質問にお答えいたします。

運営権者が行う修繕や更新工事等は、民間契約となりますが、公共性の高い工事等であることから、県といたしましては、適切に契約状況を確認していくこととしております。

また、下請け法や建設業法等において、下請け契約については、不当に低い金額での契約は禁じられており、仮りにSPCが法令に違反した場合には、県は、実施契約書に基づき、是正を求めることができる規定としております。私からは以上でございます。

天下みゆき議員

再質問は、みやぎ型管理運営方式に絞って再質問させていただきます。

最初に、答弁漏れがいくつかございましたので、そこについてご答弁をいただきたいと思います。

まず、情報公開の取扱規定についてでございますが、私の質問の中では、県の情報公開条例では、企業などの正当な利益を害する「と認められるもの」となっているのが、今回のSPCのほうの情報公開取扱規定は、「おそれがあるもの」となっていて、これでは、企業の判断でいくらでも開示拒否につながるんじゃないか? と聞いてますが、その部分についてのご答弁、もう一回、なかったと思うんでお願いします。

櫻井雅之公営企業管理者

確かに、ご指摘のとおり、そういった文章になっているということでございます。

答弁の趣旨は、そういったことがあっても、われわれとしては、OM会社、あるいはSPCを通じたOM会社の情報については、われわれが把握するということ、それから、われわれ、SPCと県との間で契約をしてございますので、その事業を着実に進めるという観点においては、当然、OM会社の情報は、われわれとしては取り得るということでございます。

その中で、われわれが知り得た情報については、県の情報公開規定において、県民の知る権利を確保してまいりたい。こういった趣旨で答弁させていただきました。

天下みゆき議員

新OMでなく、SPCそのものがですね、「おそれがあるもの」では、いくらでもSPCの判断で、開示が不開示となるということもあり得ると指摘してますが、その件については、ご答弁が十分になかったということで、次に行きます。

もう一つはですね、最後の質問なんですけれども、運営権者が、運営権設定後にSPCが行う契約について、関連企業への高値発注や下請け業者の買い叩きが横行する懸念があるけれども、法令違反をどうやってチェックするのか? って聞いたんです。

違反がわかったらしっかり県が指導するのは当たり前です。

どうやってチェックするのか? をお答えください。

櫻井雅之公営企業管理者

SPCが、OM会社も含めて、いろいろなところに契約行為をしてまいります。これらの 契約の内容については、主要な部分については、県に報告するということになってございまして、その中で不当な行為があるということであれば、県として是正命令を出す。こういった趣旨で、先ほど回答させていただきました。

天下みゆき議員

SPCのほうから、「違反がありました」という報告はないと思いますので、県がどうやってチェックするか? ここ、しっかり作っていただく必要があると思います。

そしてですね、新OM会社の経営状況についてですが、県がSPCを通じて財務諸表等の報告を受けて監視するということでした。このことは、県とSPC、SPCとOM会社との契約書にも、きちんと明記してされるんでしょうか?

櫻井雅之公営企業管理者

はい。その旨、SPCと調整をしているところでございます。

天下みゆき議員

調整してるというのは、契約書にも明記するということでいいんですね?

櫻井雅之公営企業管理者

ご質問のとおりでございます。

天下みゆき議員

ハイ、じゃ、それ、出来しだい契約書をちゃんと出していただきたいと思います。

これは、非常に口約束ではダメなんですね。別会社ですからOM会社は。契約書に入れなければ、経営状況まで出す根拠になりませんから、しっかりとそれを明示していただきたいと思います。

次に、同僚議員の質問で、337億円のコスト削減による水道料金の抑制効果を問われて、「大きな効果」というふうにお答えになっていますが、「大きな効果」の指標を、具体的にお答えください。

櫻井雅之公営企業管理者

「大きな効果」と申し上げましたのは、まず、われわれが応募条件の中で、応募者に予定しましたのは200億円弱の削減を求めたわけでございます。その額に、約90億円以上の削減額を提示したということで、「大きな額」というふうに申し上げました。

このコンセッション始めるにあたって、その効果というものについて、料金の削減効果があるというお話を説明させていただきました。それに比して、「大きな効果が得られるのではないか」という意味で、引用させていただきました。

天下みゆき議員

水道料金の抑制額が、どのぐらいの割合なりになるのか? というような指標がなければですね、たとえば会計検査院の報告のように、PFIのほうが、従来方式よりもコストがかかっていても、わからないんではないかと思うんですね。

その指標を、きちんと出すということを求めたいと思いますが、いかがですか?

櫻井雅之公営企業管理者

前のご質問にもお答えしたとおり、われわれの目的は、料金の抑制効果と、そして、われわれ企業局経営の健全化、足腰の強化というこの2つの目的があるということを申し上げました。

その中で、削減額について、どのように料金のほうに転嫁し、また、どのように企業経営の中に転嫁していくのか? ということについては、それぞれの受水市町村がございますので、そういった方々とやはり綿密にお話しをしながら、どうすることが一番最適か? ということを決めていかなければならないということでございます。

先般、仮りに197億の削減をすべて料金に転嫁した場合には、7から5から10%程度の料金削減効果があるという話をさせていただきましたけども、いま、いわゆる300億円の額をどのようにするかといったことについては、これから受水市町村さん等と協議しながら進めていくということでございます。

天下みゆき議員

そこは、しっかりと出していただきたいと思います。

次に、情報公開取扱規定なんですが、「不開示の再検討の求めに対して、親会社の法務部門や顧問弁護士の確認が、客観性がある」と判断されておりますけれども、その根拠は何なんですか?

櫻井雅之公営企業管理者

基本的には、法務部門あるいは顧問弁護士というものについては、当然、その企業の中での独立した形で判断をされていくものというふうに理解してございますので、そういう表現をさせていただきました。

天下みゆき議員

ちょっとビックリしましたが、顧問弁護士さんは、会社の利益擁護の代弁者だというふうに思います。

企業利益を害するおそれがあるものも含めて、このままの規定では、情報公開に堪えられないということを指摘します。

次に、実施契約書の反対運動および訴訟等の条項ですが、これは専門家の方のお話によりますと、水道民営化により料金が高騰して、困窮者が水を飲めなくなったことで、世界各地で大々的な反対運動や、訴訟によって再公営化となり、水メジャーが損害を受けたことからできた条項だそうです。

県は、「世界の民営化の失敗から学んで、みやぎ型管理運営方式を作ったので、大丈夫」と説明しておりますが、この条項があるということは、世界の失敗が宮城でもあり得るという認識ですか? お答えください。

櫻井雅之公営企業管理者

われわれ、ここに進めるにあたって、要求水準書なり、あるいはモニタリングのあり方、いろいろな取り決めを決めさせていただきました。

これは当然、SPCの、失礼しました、PFI検討委員会の議論を経ながら作ってまいりました(筆者注:言い間違いというものは、しばしば、人の本心を表します。この方の意識では、PFI検討委員会よりもSPCのほうが重要な存在なのかもしれません)。

その中で当然、諸外国の問題、たとえば要求水準がしっかりしていなかったとか、料金の変動要因を明確にしていなかった、こういったことがありましたので、それを今回、入れさせていただきながら、県の責任において、こういった要求水準を作成し、そして求めたということでございます。

従って、この範囲の中で、そういった問題が起きれば、当然、これは県の責任であるということであって、当然、その契約以外のことをやったということであれば、それはSPCの責任取られますけども、そういった契約の範囲内において、そういったことがもし、反対運動等があるのであれば、それはそれで、県の責任だと、そういう役割分担を決めたということでございます。

天下みゆき議員

こういう反対運動を敵視するような、こういった条項が入っている契約っていうのは滅多にないと思います。

企業の損害を、宮城県すなわち県民に押し付けるこんな条項は外すべきです。

いかがですか?

櫻井雅之公営企業管理者

県とSPCとの適正な役割分担を設けるという意味では、外す考えはございません。

天下みゆき議員

これは外すべきだということを申し上げて、次に行きます。県は、県職員の育成方針の一つとして、SPCが行うみずむすびアカデミーに参加して、技術力の向上を図るとしています。

しかしSPCは、県がモニタリング等で指導監視する対象の会社です。

これでは、県職員は先生であるSPCの言いなりになってしまい、的確な指導監視ができなくなるのではありませんか?

櫻井雅之公営企業管理者

職員の研修はSPCがやっている研修のみならず、様々な機会を与えながら、職員の技術向上を図る。これは当たり前のことだと思います。

当然、県での中での研修、あるいは、現在、もう来年から始める予定でございますが、東京都での合同研修、こういったことを積み重ねることによって、職員全体のスキルアップにつなげてまいりたいというふうに思ってございます。

天下みゆき議員

そしてですね、SPCを構成するメタウォーターサービスが、2019年2月4日に、水道施設管理技士の資格を持つ社員264人のうち、116人の資格取得に必要な現場実務経験を実際より多く申告していて、日本水道協会から厳重注意を受けて、該当職員は、資格を取り消されていたことが、親会社であるメタウォーター株式会社のホームページでわかりました。 www.nikkei.com

資格取得の虚偽申告をするような会社が入っているところに、県職員の研修を委ねてよいのか? そもそも契約してよいのか? 

お答えください。

櫻井雅之公営企業管理者

いまご指摘の詳しい状況は、私、把握してございませんけれども、こういった相手方の契約の適確条項についてはしっかりと調査をし、適正であるという判断のもと提案させていただいてございます。

天下みゆき議員

把握してないで適確であると判断したというのが、ちょっとわかりませんが、その関係はどういうことですか?

櫻井雅之公営企業管理者

あのう、そういったそのう、不適格、あ、不適切なことがあったという詳しい条項については把握してないということを申し上げました(筆者注:また、言い間違いをしたのは、本心では不適格と思っているせいかもしれません)

一方で、こういったコンセッションの契約について、不適格かどうかについては、不適格条項も含めて整理してございますので、それに照らして適切であったということをもって、議会に提案させていただいてるということでございます(笑声が上がる)。

天下みゆき議員

再度チェックすることを求めます。

ところでですね、知事、2017年3月9日に、東京で行われた日経地方創生フォーラムで、知事が公演されています。その資料が県のホームページに載っています。

www.pref.miyagi.jp

そこには、村井知事が、最初に、「とにかく民間事業者のやりやすいようにすること」

「事業スキームの構築は、スピード感を持って一気に行うこと」を指示したと書かれておりました。まさに、そのように進めてきたと感心して読みました。

民間事業者がやりやすいように、PFI法を使って情報公開を制限し、契約書も民間事業者のリスクに配慮し、県民への説明も十分に尽くさず、意見も十分に聞かずに、スピード感を持って進めてきたのではありませんか? 知事いかがですか?

村井嘉浩知事

あの、感心していただいたということで、大変ありがとうございます。

あのう、あの、私がそのようにお話したのは事実です。狙いはですね、あのう、職員に指示をしたのは、やはり、えー、適正な競争をさせなければならない、と。

えー、1社しか応募しないということになれば、1社が考えたことがすべてということになってしまいますので、私としては、できれば、3社以上の企業に、グループですね、に参画して、しかもちゃんとした、任せていいというようなグループに参加してもらえるような条件を、示さなければならない、と。

そういう意味ではですね、企業が乗りやすいものを、考えなければならない。しかし、あまりにも企業寄りになってしまうと、今度は、県民に対してメリットがなくなってしまう。

その県民にとって最大のメリットを得ながら、そして、多くのグループ企業が参画したくなるような、そういったものを、ぜひ作ってほしいというふうに言いました。

で、われわれが考えただけのものであればですね、なかなか、企業としてはここが納得できない、納得していいというのが、出てくると思いますので、そこはいろいろと企業と意見交換をしながらですね、より高いものを目指していこうじゃないかということを指示した、と。

それをですね、あのう、フォーラムでお話をさせていただいたということでありますので、当然のことをお話した、と。ま、あの、おー、天下議員が感心していただけるようなことをお話したということでございます。

天下みゆき議員

また講演ではですね、みやぎ型管理運営方式実現の意義として、「民間事業者は、新たなビジネスチャンスの創出に期待している」と書かれていますし、さらに、市町村への展開を検討する理由として、「水源から蛇口までを一体管理することにより、民間の投資対象としての魅力が増すため」と書かれていました。

知事は、民間企業のビジネスチャンスに応えるためにこの事業を行い、市町村まで展開しようとしているのですか? お答えください。

村井嘉浩知事

あのう、ま、わかりやすく例を言うと、国鉄をJRに民営化した時もですね、また、電電公社をNTTに変えた時もですね、要は、大きなビジネスチャンスが、そこに生まれた、と。そして、厳しい競争原理が働いた、と。結果として、国民の利益につながったということでございます。

ま、私は、そういう目的で、そういう意味で、あのう、発言をさせていただきまして、決して民間だけが儲かって、結果として、国民、県民が損をすると、マイナスになるということを主張したわけでは決してないということはご理解いただきたいというふうに思います。

天下みゆき議員

また、知事の講演の中でですね、2016年に商社などの投資家やシンクタンク、金融機関などの有識者、ま、あとヴェオリア・ジャパンなども入ってますが、などと、非公開で懇話会や部会を開き、みやぎ型管理運営方式の道筋を作ってきたわけですね。

第1回宮城県上工下水一体官民連携運営検討会

       第1回宮城県上工下水一体官民連携運営検討会配布資料より

 

www.pref.miyagi.jp


最初の準備段階から、知事に決定的に欠けているのは、 県民の参加と県民の視点なんですね。

そこで知事にお聞きしますが、今回、請願署名が19,449人分出されておりますが、どのように受け止めてますか?

村井嘉浩知事

ま、これは当然、1万超えのですね、人々の思いというふうに受け止めております。

天下みゆき議員

思いをどう受け止めてるかお話しください。

村井嘉浩知事

ま、あのう、おー、すべての県民ではなく、1万超えのみなさんがですね、ま、水道の、おー、今回の、おー、上工下水のみやぎ型管理運営方式に対して、疑問を持っておられるということだと受け止めております。

あのう、多くの県民、えー、非常に多くの県民はですね、この件について、ご理解をいただいているというふうに思っております。

天下みゆき議員

ビックリするご答弁でございました。

えー、知事、みやぎ型管理運営方式は、優先交渉権者が決まって、今やっと一部資料が出てきたところで、調べれば調べるほど疑問が膨らむばかりです。必要な資料は、まだまだ出来ていません。

何よりも県民の多くは、ほとんど内容を知らず、このまま強行すれば、後世に禍根が残ると思います。

今議会での議案は取り下げて、県民への十分な説明とパブリックコメントの取り直し、再度の実施を求めて質問を終わります。ありがとうございました(と深く一礼する)。