宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

エフエムたいはく4月22日放送の音声&文字起こしです! 第2回「みやぎの水が危ない!~ストップ水道民営化~」

2021年4月22日オンエア、 エフエムたいはくの「みやぎの水が危ない!~ストップ 水道民営化~」(第2回)の音声&文字起こしです。

 

78.9 FMたいはく みやぎの水が危ない ストップ水道民営化

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「みやぎの水が危ない!~ストップ 水道民営化~」は、毎月第2・第4木曜日の夜、19:30~20:00 オンエア。パーソナリティーは、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎです。

インターネットでも聴けます。

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 第2回 4月22日 放送内容

 

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多々良さん

エフエムたいはくをお聞きのみなさん、こんばんは。

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎです。私は多々良と申します。

4月から始まった新番組、今日は2回目になります。

1回目では、どんな話をしたかと言いますと、いま宮城県が「みやぎ型管理運営方式」と称して、県営水道事業の民営化を進めようとしている。

県営水道事業っていうのは、上水、工業用水そして下水という3つがあって、この3事業をまとめて、その運営権を民間企業に売却しようとしているってことなんですね。

正確に言うと、施設やなんかの所有権は県が持ったまま、運営権を民間企業に売却するというコンセッションっていうやり方を取り入れようとしています。

このままいくと、6月の宮城県議会で承認され、来年度からはもう導入されるってことになりそうです。

私たちは、宮城県民の命の水を民間企業にお任せしてしまっていいのかという根本的な疑問を持っていまして、このことを問題にしています。

(筆者注:この後のお話にも出てきますが、現在、宮城県の水道の現場では、仕様発注という形で民間企業の方々が業務を担ってくださっています。日常業務における責任の重さはもちろんのこと、災害時や水質事故発生時には、昼夜を問わず、献身的に対応にあたってくださっている現場の方々に対して、多くの県民が敬意と感謝の念をお持ちのことと思います。

ここで多々良さんが言っている民間企業というのは、そういった現場で頑張ってくださっている民間企業の方々のことではなく、住民には他の選択ができない地域独占事業である水道で、住民の安全安心よりも利益を優先するような企業のことを指しています。そのような企業がコストカットをする方法は、第一に人件費の削減であることが多く、それが結局は、水道の現場の方々を疲弊させていくことにつながります。

そもそも県民への説明が足りないし、県民からの意見の聞き取りもちゃんとしていないということで、少なくともこれらをする前に決めるのはやめてください、6月の県議会で決めるということは凍結してくださいという請願署名を始めました。是非みなさんに、この署名への協力もお願いします、というお話をさせていただきました。

そして、このみやぎ型の疑問点、不安点なんですけれども、大きく言って、1つ目に、コストの問題と水道料金の問題、これがどうなるのか? 2つ目に、私たちの命の水の安全・安心の問題、水質管理はちゃんとされるのか? という問題。3つ目に、技術の継承、県の技術者の育成、これがちゃんとできるのか? という問題。そして4つ目には、災害対応、いざという災害時に、民間企業はホントに対応できるのかという問題。そして5つ目に、水道事業をめぐる様々な情報が、ちゃんと県民に公開されるのか? という問題などを挙げました。


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この中で、今日は、1つ目のコスト削減と水道料金の問題、本当に値上げが抑制できるのか?っていう問題ですね。そして2つ目には、水質管理は、ちゃんとこれまでどおり行われるのか? 私たちの命の水の安全・安心は保たれるのか? という問題。この 2つを取り上げて、今日はお話してみたいと思います。

ということで、今日のメンバーなんですけれども、第1回目にも出演した佐久間さん、小川さん、そして今日初めて登場するのが、中嶋廉さんです。

中嶋廉さん、まず一言、この運動に関わることになったきっかけなど、簡単に自己紹介してください。

中嶋廉さん

ハイ、中嶋廉と申します。

ヨーロッパの水道民営化の大失敗を紹介したドキュメンタリー映画最後の一滴までという映画の日本語訳が作られた時、2019年の1月、仙台で初めて、私、仲間と誘って上映会をやったんです。それ以来のお付き合いです。当時は、県議会議員をしていましたが、そのまま市民運動として参加しております。よろしくお願いします。

 

youtu.be

 

多々良さん

ハイ、よろしくお願いします。

それでは、まず1つ目に、コストの問題からいきたいと思うんですけど、小川さん。

県は、このみやぎ型導入を考えた動機というかきっかけとして、コスト削減をするためだと言ってるんですね。こういうことを県が言い出した今の水道事業が抱える問題点、みやぎ型ということが言われてきた背景、これについてまず説明していただけますか?

小川さん

水道事業は、上水道、下水道、工業用水と種類があるわけですけど、水道事業の全国的な共通の課題というと、言うまでもなく、人口が減るので、水が使われなくなる、節水社会がだんだん進み、水需要の減少にともなって、相対的に料金が上がらざるを得ないというような状況が一方であり、同時に水道管、管路の劣化、経年劣化ですね、それから設備の経年劣化、老朽化に対する更新費用、これが膨大な金額でかかるという問題を水道事業は抱えていて、これは全国共通の課題というような形になっています。

そういう点で言うと、みやぎ型導入という、手段として、県が、そういう方法を取るということを言ってるわけですけど、抱えてる問題自体は、私たちもそういう点で同じ、異論はないというふうに考えてるところですね。

多々良さん

なるほど。で、その問題の解決策として、県はみやぎ型を導入、と。ま、水道民営化、水道コンセッションということを言い出したわけですけども、これは、本当に、その道しかないんでしょうかね?

小川さん

今回宮城県が、みやぎ型管理運営方式ということで、それ一本で進めていくんだというふうに言ってるということ、非常に唐突な感じがするわけですよね。その他の方法については、全くわからないまま、このことだけが言われているということです。

そういう点で言うと、他の議論、他のいろんな選択肢というものは、県民的に議論するってことが、すぽーんと抜けた形で、県の提案だけが、一人歩きするという形になっているというふうに思います。

多々良さん

なるほど。そこに大きな飛躍があるってことですよね。

ではですね、県は、みやぎ型を導入することによって、どうやってコスト削減ができるっていうふうに説明しているのか? そして、その県の説明の問題点というのは、どこにあるのか? このあたりお願いします。

小川さん

コスト削減についてはですね、県としては、10パーセントぐらい、今まで運営していた金額から削減しなきゃいけないというふうに考えたと言っています。

ただ、それは県が考えただけで、実際に民間業者の人たちにいろんな聞き取りをして、実際それができるかどうかってことを、この間、宮城県としてはやってきたというふうに言っています。

いわゆるマーケットサウンディングという方法なんですけれども、それでいろんな形でコスト削減ができるということで、197億円ぐらいの金額を削減することが可能ではないかというふうに試算をしたということですね。それが、今回のいわゆるみやぎ型管理運営方式導入の県民のメリットということで、県は説明しています。

多々良さん

なるほど。ということは、県の説明によると、みやぎ型導入によって期待されるコスト削減の金額っていうのは、別に実際のデータを積み上げたというものじゃなくて、要は業者からの聞き取りによって、だいたいこんなトコだろうと弾いた大まかな数字に過ぎないということですか? そんなことでいいんですかね?

小川さん

そうですね。だから、数字で言うとですね、一立米、1メーター立法ですね、これが、宮城県の公営でやった場合には約180円。民営化すると160円になる、と。20円ぐらい 下げられる、と。10パーセントぐらい程度、水道料金の上昇幅を抑えることができるというふうに、説明を一応はしていますけども、これも先ほどお話したように、ホントにできるのかどうか、全く未知数で、県としては、期待値であるということを言わざるを得ないというふうな形で、県民には説明しているということですね。

多々良さん

実際に、県がそういう説明をしたものがあるんですか? 文章が。

小川さん

ハイ、これは、われわれが県に対して、いろいろ公開質問状を出したりなんかしたんですけども、ちょうどこれは、去年の2020年6月10日に出した質問状に対する回答でですね、宮城県は、先ほど来お話しているコスト削減ですね、これについて、「マーケットサウンディングで民間事業者等から得た意見を参考として、県が実現可能性がある数値として設定をしたものです」というふうにしか説明をしていないんです。

だから、具体的にこういう項目で、このぐらいの金額が削減できるというようなことを個別に積み上げて、だから197億円削減できるんですよっていうふうなことではなくて、いま言った回答の内容で、ホントにざっくりとした形でしか、県は試算しないし、そういう説明しかしていないということです。

多々良さん

データに基づいて算出したんじゃなくて、「設定した」っていう言い方が微妙ですよね。まさに、「エイヤッ」っていうふうに置いた数字と言ってもいいかもしれません。わかりました。

ところで今回、このみやぎ型を受注することになりそうな予定されている企業、これが3月に発表されたわけですけれども、メタウォーターという非常に大手の会社と、それからフランス発のいわゆる水メジャーヴェオリア、そしてオリックスなんかが組んだ企業グループが、これを受注するということになりそうなんですけれども、この企業グループは、県が言った197億円にさらに上積みして、287億円も削減できるという提案を出してきてるということなんですね。

これを聞いて、村井知事はとっても喜んでる、と。大喜びしてるって話なんですけれども、ホントにこんなにできるのか? メタウォーターグループは、なんでこんな金額を出してきたのか? これについてはどう思われますか?

小川さん

ハイ、この287億円というのも、この数字自体、私もびっくりしましたけど、問題は、じゃあ、この287億円のコスト削減というのは、どういう 方法で実現できるのか? ということについては、私たち県民には、この間、何も説明されていないわけです。

単純に結果として、「197億円の予定だったのが、287億円だったよ」ってことで、村井さんが喜んでるだけで、じゃあ、具体的に、どういうところで削減されるのか? 

そして、その削減された金額を、一番最初に言いましたけど、現在の水道が抱えている管路や設備の更新に使うのか? 料金の引き上げを抑えるために使うのか? その両方なのか? そういうようなことも何も説明をしていない。

ただ単に、「コストが削減される。金額がこれぐらいになった」ということを言ってるに過ぎない。ホントに具体的に、私たちが「ああ、なるほどね」と思われるようなコスト削減策の説明がされてないっていうのが、現状だと思います。

多々良さん

なるほど。小川さん、どうもありがとうございました。

それでは次に、重要な水質の問題に入りたいと思います。これは私たちの水の安全安心の問題ですから、県民がみんな一番心配しているところなんですよね。廉さんよろしくお願いします。

中嶋廉さん

よろしくお願いします。

多々良さん

ところで、この水質の問題に絡んでですね、重要なのは、県が「仕様発注から性能発注に変えるんだ」と、みやぎ型導入によってということを言っているということなんですね。このことが、この水質維持の問題に大いに関係しそうなんですが、この仕様発注と性能発注の違いということから説明していただけますか?

中嶋廉さん

ハイ、仕様発注っていうのは、方法とか手順を決めて、結果=品質を要求すると、そういう発注の仕方です。性能発注っていうのは、結果=品質しか要求しない、と。だから、プロセス、方法については、民間事業者の自由、と。そういう違いがあります。

多々良さん

ということは、これまでの「過程重視、プロセスもちゃんと管理して重視するよ」っていうやり方から、「結果さえよければいい」っていう、結果オーライのやり方になりませんか? これで本当に大丈夫なんでしょうかね?

中嶋廉さん

実は、この性能発注に変わるっていうところが、民間企業がボロ儲けできる仕組みを、たくさん盛り込むことができる根拠になっているんです。

たとえば、県がやってる水道事業ですから、何よりも住民のため、公共性があるんですね。たとえば、<うどんを作る>っていう発注をする場合に、「宮城県の小麦を使ってください。そして、宮城県の農業振興と結び付けて事業やりましょう」。そういう注文が付けられます。で、実際、水道の場合も、地元の事業者の人が仕事をもらってます。

ところが、それがなくなると、「安ければどこでもいい」っていうふうになると、宮城県の事業者が仕事からあふれることになりません? そういうことが至る所で起こるんです。

それで、水質のことが特に問題なんですけれども、機械を入れ替える時に、運営権を手に入れた企業が特許を持っている機械に入れ替えたとします。性能は一緒です。ところが、特許料を県が払わなきゃない。契約期間が終わった後も、特許料を、その機械を使うんであれば、払わなきゃいけない。そういうボロ儲けをできる仕組みっていうのを、いくらでも盛り込める道がある、と。これが恐ろしいところなんです。

特に、水質のことなんですけれども、「結果さえよければ、それでいいじゃないか」というふうに思う人がいるかもしれませんが、検査の方法とか、検査の頻度が同じであれば、品質は同じだっていうふうに確認できるかもしれませんけれども、それが違うんです。

上水道の場合、県は、現行と同等以上の水質を求めると言ってるんですが、前提条件があって、同じ検査機械を使った場合だけのことに限られてるんです。運営権を手に入れた企業が、別の機械を使った場合はルールがないんです。もっとひどいのは、下水なんです。

多々良さん

水の放水、流す水の管理っていうことですね。水質のね。これは、環境に関わるので、宮城県の海や川を汚さないという問題に関わるので、重要ですよね。どういう点が心配されるんですか?

中嶋廉さん

下水処理場では)活性汚泥法という方式を使っていて、これは微生物、原虫などが、水中の有機物を分解してくれているんですね。で、最善の状況で働いてもらうために、水質汚濁法とか下水道法の基準の10分の1以上の厳しい状況で、検出限界ギリギリまで汚れを少なくして、最善の状況で働けるように、毎日々々厳しく検査をしているんですよ。

多々良さん

今は、そういうふうに、ちゃんと管理をしてくれてるわけなんですね。これは安心ですよね。

中嶋廉さん

毎日厳しく検査をしています。ところが、今度は月2回の検査に変わるんです。

多々良さん

ハ~、そういう抜け道があるんだ。

中嶋廉さん

そうすると実際には、汚染物質がこれまでよりもたくさん排出されてしまうとか、そういうことが起こりかねない、と。それがわからない、と。そういう仕組みになっているところが、問題なんです。

だから、手順方法が変わって、ボロ儲けの仕組みが作られるっていうだけでなく、結果が同じということも保証されていない、と。だから、とんでもない計画だと私は思ってるんです。

多々良さん

なるほど。そもそも水質管理にとって一番重要な検査の頻度を減らすっていうことですからね。これは確かに、性能発注の結果オーライって言ってるけど、ホントに結果も、おんなじなのかどうかっていうことも、チェックできませんよね。

これは、宮城県の産業、特に漁業、水産業に大きな影響があるんじゃないか? って ことも懸念されますよね。漁業者や養殖業者の方々が心配しておられるということなんですけれども、この心配はどうでしょうか? 当たってるでしょうかね?

中嶋廉さん

実際、復興事業で、コンクリートの防潮堤が作られたりしてて、海苔の芽落ちが多くなってるとか、やっぱり養殖やってる人は、非常に気を使っています。

そして、これからは、水環境を守っていくということが世界的なテーマになっているので、明らかに、これはプラスにはならない、と。そういう問題もあると思っています。

多々良さん

という私たちの飲む水の安全安心の問題、そして、処理場から放流される水の安全安心の問題。つまりは、宮城の水環境に関わる問題も孕んでいるということなんですね。

本当であれば、水質を維持していくしっかりとしたやり方は、仕様発注が一番いいんですよね。公共が、公的な県がしっかりと、その検査や水質管理のプロセスまでしっかり管理していくというのが、一番いいに決まっています。

だけどみやぎ型を導入すると、それがなくなってしまうということが、非常に懸念されるということでした。

さて、佐久間さん。いま水質の問題、料金の問題というのを、小川さんと中嶋さんが、指摘してくれたわけなんですけれども、これは別に私たちがすごく心配性だから、心配してるというわけではなくて、諸外国にこういう失敗事例が、実際にあるということを聞いたんですけども、この点をちょっと紹介していただけますか?

佐久間さん

ハイ、それではですね、特徴的な3つの事例をご紹介したいと思います。

1つは、フランスの首都パリの話です。2番目は、ドイツの首都ベルリンの話。いずれもヨーロッパの有名な街ですね。それから3番目がですね、南アメリカボリビアコチャバンバという所の事例です。

さて、パリですけども、パリは200万人の人口がある街で、宮城とほとんど同じ規模ですね。1985年に民営化をしました。25年間の契約、コンセッションという契約ですね。

これが、コンセッション契約の満了時期を待って、再公営化という形で新しく歩み始めてます。民営化の事業を請け負ったのは、セーヌの川の右側がヴェオリア、左側がスエズということでしたね。ヴェオリア、このみやぎ型の受注業者の1社になってますね。

民営化してから174%~265%、水道料金が上がったと言われています。パリ市は、非常にこれに不安を持ったし、疑問を持った、と。なんでかっていうと、財務報告に対して裏付けがない。何でこんなに(水道料金が)上がるのかデータがないので、まあ、言われたまま、と。

多々良さん

ヴェオリアスエズは、情報公開をしなかったわけですね。

佐久間さん

だからモニタリングというのも、全然機能しないということだったようです。 このパリの水道について、転機になったのは、2001年、新しい市長さんが誕生したんです。

公営化に戻したいという非常に強い気持ちを持った市長さんが出て、そして、優秀なスタッフを獲得して、水の事業についていろいろ調査・研究をさせたということなんですね。

この市長さんが2期目を迎えた。それでその時に、やはり公営化するということを考えて準備をした、と。さて、いつ公営化に戻すか? ということですね。今、もう契約を解除するか? それとも期間満了まで待つか? 

いろいろ考えて、期間満了を待ったということですね。何かというと、違約金が発生する。財政的な問題も発生するし、技術者の確保ができるかどうかわからない。人事の問題もある、と。それで、25年の期間満了で、無事に再公営化をしたということですね。

多々良さん

トップが変わると、変わるんですね。

佐久間さん

そうですね。だから、トップ大切だと思いますね。特に宮城はトップがね~、いろいろ思いますよね、ハイ。

再公営化をした初年度から、8%水道料金が下がったんですね。なんでかというと、これまでヴェオリアスエズは利益を過小に言っていた。7%の利益だと言っていたのが、実際は倍以上あった、と。15~20ですね。そういう形で、利益の過小申告で自分たちが儲けていたということですね。

ここで、何の問題もなく再公営化できたわけではないので。何かって言うと、これからもいろいろ出てきますけども、要するにシステムの変換。これまで民間事業者がやっていたシステムと、パリのシステムは違うんです。互換性がない。ですから、システムの組み直しをしなくちゃいけない。これは大変苦労があった、と。

ただしラッキーなことに、グルノーブルという小さな町が、すでに再公営化していた。その時の様々なノウハウが、ここで生きたということですね。ですから、これはホントに大切なことですね。

それから、スタッフです。スタッフをどうやって獲得するか? これにも苦労した、と。まさに、私たちの将来像です。これ示しているわけです。そんな感じがいたします。

多々良さん

そのパリの民営化、そして再公営化というプロセスに、大きく関わった企業が、まさにヴェオリア。そのヴェオリアが、今回みやぎ型に参入しようとしている。そうですね。まさに、宮城の水道事業の運営権を買い取ろうとしている、と。こういうことになってるということなんですね。わかりました。どうもありがとうございました。

最後に佐久間さん、私たちは今、署名運動に取り組んでいるわけですけども、この署名運動の状況と、そして、改めてアピールですね。これを一言お願いしたいと思います。

佐久間さん

ハイ、わかりました。3月31日から署名運動を始めました。ネット上の署名も集まってますし、それから、紙の署名もですね、県内、県外から多数寄せられています。ただ、まだ足りません。

ですからみなさん、ぜひ、このラジオを聴いた方、ご自分も、お友達にも広めてください。私たちのキャッチコピーは、「みやぎの水が危ない! 命の水を守れ! ストップ水道民営化」です。この請願署名運動が、いま私たちにできる最大の方法なんですね。みなさん、一層のご協力をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

多々良さん

そういうことで、みなさん、より詳しい情報は、私たち命の水を守る市民ネットワークのFacebookを見ていただくか、あるいは「宮城県の水道民営化問題」と検索すると出てくるブログに、詳しい情報が載っていますので見てください。

そして、復旧復興支援みやぎ県民センターのホームページから、署名用紙がダウンロードできるようになっていますので、ぜひ、ご協力よろしくお願いします。

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ

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www.miyagikenmin-fukkoushien.com

 

引き続き、私たち宮城県民の命の水、水道事業を、どうやって、持続可能な形で未来に引き継いでいくか? みなさんと一緒に考えていきたいというふうに思っています。

次回は、5月13日木曜日の夜7時半から、この番組の第3回目があります。ぜひ、また、聴いてください。もし、ご質問やご意見などありましたら、お寄せいただきたいと思います。みなさん、今日もお聴きくださってありがとうございました。

野田さん(エフエムたいはく)

ハイ、命の水を守る市民ネットワークのみなさんのホントに具体的なこの事実、私たちはいかに? いま問われています。ホントに今もそうですけど、将来にわたっての安全安心、それこそ水ですから、もうホントに命に関わる問題、それから事業者のみなさん、海の品質も含めてですね、待ったなしの問題ですね。

ということで、このお話に対して、ご意見それから疑問とかございましたら、エフエムたいはくのほうに、ぜひお寄せ下さい。メールは789@fm-t.netです。ファックスは、022-304-5127 になっております。

ホントに6月という一つの大きなところがありますので、村井知事の進め方に対して、やっぱり、「これは?」と思われる方は、ぜひ行動に加わっていただいて、ホントに、私たちの将来を決めていきたいと思います。

それでは、今日はこの辺で終わりにいたします。お聴きいただきましてありがとうございました。次回は5月13日7時半になります。よろしくお願いします。

 

 

 ベルリンの水道再公営化について

 

ベルリンでは、水道民営化による株主配当が重荷となって、設備投資の不足と料金高騰が起き、再公営化することになったのですが、その際、RWEとヴェオリアから株式を買い戻すのに、13億ユーロの負担を余儀なくされ、その分が再公営化後の水道料金に上乗せされることになりました。その経緯は、「日本の『水』が危ない」(六辻彰二著/ベスト新書 ©2019)で紹介されています。

1999年、ベルリン水道持ち株会社の49・9%の株式がRWEとヴェオリアの企業連合に買収され、その後ベルリン当局との非公開の協定により、経営権が企業連合に委託されたのだ。「ドイツ史上最大のPPP」と呼ばれたこの契約には、ベルリン州が民間投資家に8%の配当を28年間保証する内容も含まれていた。この株主配当が重荷となり、設備投資の不足と料金の高騰が発生したため、市民からの強い批判を受け、2011年には契約内容の公開を求める住民投票が実施される事態となった。

 住民投票の結果、賛成多数でヴェオリアへの配当保証を含む契約内容が公開されると、抗議運動はさらに加熱した。高まる批判に、ベルリン当局は翌2012年にRWEから、2013年にヴェオリアから、それぞれ株式を買い戻すことに合意せざるを得なくなったが、このために13億ユーロの負担を余儀なくされ、その分が再公営化後の水道料金に上乗せされることになったのである。

(「日本の『水』が危ない」p75~76)

 

ボリビアの水戦争について

 

ボリビアコチャバンバ市では、水道民営化反対運動に対して、アメリカのベクテル社からISDSを用いた損害賠償請求が起こされました。「日本の水道をどうする!?〔民営化か公共の再生か〕」(内田聖子編/コモンズ ©2019)をお読みください。

 

  ボリビアコチャバンバの市では1999年に、水道民営化後の料金高騰に対して先住民族や農民が激しく抵抗し、多数の死者も出る激しい闘いを行った。日本でも知られる「ボリビア水戦争」である。道路の封鎖と破壊によってボリビア政府は多額の損失を被ったうえ、米国の多国籍建設企業ベクテル社からISDSを用いて損害賠償請求が起こされた。

 このときの運動リーダーであり、後に国連大使として「人権としての水」を提唱したパブロ・ソロン氏は2002年3月、日本の市民団体の招聘で来日。国際金融機関やグローバル水企業による水道民営化は、人びとの暮らしや文化の基盤にある価値観と根本的に相容れないと批判している。

(「日本の水道をどうする!?〔民営化か公共の再生か〕」p23~24)