「こんなの民主主義じゃない!!」と悲痛な声も みやぎ型管理運営方式に関する市民説明会 大紛糾の質疑応答を振り返る
2019年9月20日(金)と9月23日(月)の両日、仙台市役所本庁舎8階ホールにて、宮城県と仙台市の合同で、宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)に関する市民説明会が開催されました。
説明会の内容は、
①宮城県が運営する上工下水道について
③みやぎ型管理運営方式について
④質疑等
でした。
いずれも、宮城県や仙台市が通常業務として行っている出前講座という形で、県と市の水道事業の仕組みや、現在パブコメ中のみやぎ型管理運営方式について説明するという趣旨のものです。
一般にはあまり知られていませんが、出前講座とは、県や市の職員が、20人以上の集会・会合からの要望を受けて、県民や市民のもとに出向き、県や市の事業について説明して理解を深めてもらう講座を行うことです。
ただし、この場では、苦情、要望、陳情、交渉等は受け付けないとしています。
この説明会で、県が、「まず言いたい!」と強調したのは、みやぎ型管理運営方式は「民営化ではない。官民連携だ。県が水道事業者としての責任を果たし、民の力を最大限生かす」、つまり、水道事業の運営権を民間企業に売却することによってコスト削減を図り、何か問題が起きたとしても、最終的には宮城県が責任を持って対処するということでした。
果たしてそんなことが本当に可能なのかはもちろん、その他にも実に多くの不明な点が存在するみやぎ型管理運営方式に対して、市民から疑問や不満の声が続出しました。
主なものをQ&A形式でご紹介します。
9月20日の質疑応答
Q1.水道運営権の売却先は、どういった事業者なのか? 国内の企業なのか?
A1.来年3月には、募集要項が公表されるが、日本国内に支社・本拠地がある会社を考えている。
水道事業は様々な分野の企業が関わることによって成り立つ。その様々な分野の企業がまとまったグループを「コンソーシアム」と言うが、それらが一つの特別目的会社を作り、みやぎ型管理運営方式の水道運営権者になる。
そのコンソーシアムの中には、必ず、一定規模の上水・下水の運転実績がある会社を指定するが、海外での実績であっても、水質が国内の水道と同等以上のものならよい。
Q2.民間委託ではなぜダメなのか?
A2.公共発注は、これまで20年かけて、単年度から5年にやっと変わってきたが、20年間の契約は、今の制度の中では厳しい。また、一つの企業が9つの水道事業をまとめて5年間引き受けるのは困難。
Q3.県の水道職員は減るのか?
A3.水質の点検は、現在も民間企業と県職員が共同で行っている。改正水道法でも、県が水道事業に責任を持つことになっているので、職員は減らせない。ただ、施設の更新工事は民間企業がやるので、そのぶんの人員は減らせる。
Q4.経営モニタリングには、ばく大な新たなコストが発生するが、その説明がない。電力会社の総括原価方式でもずっと問題になっているが、実装の解明が難しい状態が続いている。
第三者委員会の委員の謝金程度ではまともな監査ができるわけがない。監査法人に依頼するぐらいのことをしなければ、信頼できるモニタリングはできない。
宮城県の水道事業のB/S、P/L、企業債の借り入れ・返済の状況が、県民に全く明らかにされていない。コスト試算には、これぐらいの数値が必要なのは常識だ。
A4.今モニタリングのスキームを構築中。いずれ説明の場を設ける。
Q5.宮城県は全国で3番目に、仙台市は政令指定都市で2番目に水道料金が高いのは、ダムの稼働率が低く、仙台市も福岡浄水場が稼働していなくて、あえて宮城県から水の供給を受けているから。村井知事のトップダウンにただ従うのではなく、県職員もボトムアップでより良い水道ということを考えてほしい。岩手県から学ぶべきだし、世界の水道再公営化をきちんと見るべき。民間が得る収益分を使えば、もっとコストダウンできるはずだ。
A5.世界の水道完全民営化で失敗した例に学び、そうならないために、県が水道事業者になり運営を民間企業に任せるというみやぎ型管理運営方式の仕組みを考えた。
Q6.高齢者はインターネットが使えず、県庁や地方振興事務所に文書を見に行くこともできない人が沢山いるのだから、県政だよりでパブコメの説明をちゃんとするべき。
A6.県政だよりの原稿〆切に間に合わなかった。
実施方針素案等の資料は分量が多いため、多くの県民に届けるのは難しい。
Q7.具体的な資料も出さずに、「コスト削減だ」などというのは信じられない。
A7.30数社に聞き取り調査をして、期待できるコスト削減率を計算した。
Q8.民間の力って何なの? 現場で働く県職員にはできないと、馬鹿にしているのでは?
A8.「民でできることは民で」という構造改革の流れでやってきている。
Q9.コスト削減の期待値なんていい加減なことを言うな。コスト削減は人を減らさずにはできない。県が提示しているコスト削減は、どこまで行っても期待値にすぎないのだから、撤回すべき。
Q9.宮城県が事業を行ったときよりも必ず低いコストで運営することを義務づけ、そのために、これ以上はコスト削減をしてほしいという削減率を示していく。
Q10.仙台市は、みやぎ型管理運営方式に対してどういう立ち位置なのか、はっきりしてほしい。
A10.県から具体的な返答がないので、回答を求め続ける。官民連携は必要だが、みやぎ型は全国でも前例がないものなので、県には説明責任を果たしてもらいたい。
Q11.命に直結する水道をなぜ民営化するのか? どんなにお金がかかっても公営でやるべき。県にお金がないのなら、水道法でも保障されているように、国から財政支援を受けられるはず。
A11.今の公共調達の枠組みでは限界にきている。
Q12.なぜ県は官・民の収支対比シュミレーションを出さないのか? なぜ実施方針素案は具体的でないのか?
Q12.みやぎ型管理運営方式は、PFI事業であり、PFI法に則って、具体的なことは、実施方針条例の提案・議決時や運営権者の募集要項公表時、運営権設定提案・議決時などに、順次明らかになっていくものであると捉えている。
Q13.県が主催して25の受水市町村で県民説明会をやるべき。町内会単位でやるべき。県民はほとんど説明されていない。理解も納得もしていない。4回開かれたシンポジウムにはほとんど背広の人しかいなかった。みやぎ型を儲けのタネにしようという人しか参加していない。向こう20年間の県民の命の水のことを決めるのに、こんな何も県民に知られないままやらないでほしい。
Q13.市町村への説明はしている。市民団体への出前講座もしている。
さらに、下記の2つの説明資料に対して、市民から次のような指摘がありました。
「宮城県上工下水一体官民連携運営事業 (みやぎ型管理運営方式)について」より
この図の説明には、疑問がある。
みやぎ型管理運営方式にすると、20年間なので従業員の雇用が安定するとしているが、水道の運営権者が4~5年よりもさらに短い期間で、業務を外部委託する可能性がある。
県が業務委託をしてきたのは、人件費を削減するためだったのだから、民間企業もそうするのが自然だが、業務を下請けに出さないよう禁止してほしい。
また、県だとスケールメリットの発現ができないとは証明されていない。
「宮城県上工下水一体官民連携運営事業 (みやぎ型管理運営方式)について」より
現行体制で示されているコスト額を、どうしても削減できないとは証明されていない。
まだまだ発言したい方は何人もいらっしゃったのですが、説明会の司会者は最後の1人を、ずっと手を挙げ続けていた方ではなく、最後だと宣言した直後に新たに手を挙げた方に当ててしまいました。
最後に当ててもらえると思って手を挙げ続けていた方は、その旨を訴え、短く済ませるから是非聞いてほしいと言い続けました。他の参加者も聞いてあげるよう司会者に促したのですが、司会者は説明会を打ち切り、県と市の主だった職員たちは、無言で席を立って会場から出て行ってしまいました。
発言を無視されたその方は、残った司会者に向かって、「ここにちゃんと数字があるんだ。このことに対して答えてほしい」「市民の質問を聞くための場じゃなかったのか?」「こんなの民主主義じゃない!!」と繰り返していました。その言葉には、立ち去りがたい切ないものがあり、私も、帰路、民主主義って何なんだろうと改めて考えてしまいました。
9月23日の質疑応答
Q14.良いか悪いか判断をするときに、メリット、デメリット、リスクがどんなものなのかということが必要だが、判断材料があまりにも少なすぎる。
たとえば、下の説明資料では、現在のデメリットとみやぎ型のメリットを比較しているが、本来は、現在のメリット・デメリット、みやぎ型のメリット・デメリットの比較がなければならない。
「宮城県上工下水一体官民連携運営事業 (みやぎ型管理運営方式)について」より
A14. パーフェクトな運営方法というものがこの世の中にない以上、いろんな比較の中で、安全とか安心の確保は大前提にしたうえで、どういう方式が良いのかということを考えていかなければならない。今回のみやぎ型では、デメリットをできるだけなくすということを最重点に制度設計をしている。
改正前の水道法でも水道の民営化はできたが、宮城県としては、それではデメリットが大きい、不安が大きいのではないか、特に地中を走っている太い管の維持管理は、民間に任せるとなかなか難しいのではないかということで、水道法の改正をしていただいて、県と民間が共同運営をする、共同経営をするという考え方に基づいて作ったのが、今回の運営方式だ。デメリットをできるだけ潰して、メリットの発現効果がでるように制度設計をしたつもりだ。
Q15.下の説明資料で、「今までと変わらない。一部移動です」「浄水場の運転管理はこれまですでに民間企業に30年間もお願いしてきた。変わらない」と言うが、そうではないと思う。
これまでは県が運営主体となって、細かいルールを設定して、水質だけでなく、水の作り方も含めて細かいルールを徹底して、4~5年民間企業に委託してきた。
これに対して、みやぎ型は民間企業に20年間運営を任せて、民間企業が運営主体になる。しかも、自由裁量で任せて、コスト削減を期待するというのだから、これまでとは全く違うことだ。民間企業を監視しなければならない。
これまでは安定的に安心して任せられていたのが、これからは監視しないと安定も期待できない。けれども、コスト削減は期待できる。今までのは安心はできるが、お金はかかるだろう。
「宮城県上工下水一体官民連携運営事業 (みやぎ型管理運営方式)について」より
A15.(特にコメントなし)
Q16.下の説明資料の120億円削減できるという具体的な根拠が示されていない。
「宮城県上工下水一体官民連携運営事業 (みやぎ型管理運営方式)について」より
A16.(特にコメントなし)
Q17.デメリットとして、モニタリングを第三者に任せなければならないことほど、県が独自でできないことほど、心配なことはない。これがどういうふうに制度設計されているのかを、改めて示していただきたい。
これまでもシンポジウムに何回も参加してきたが、1月開催のシンポジウムで、このことについて、7月のシンポジウムで示すと答えをもらった。
しかし、7月のシンポジウムでは、まだできていないという回答だった。「詳細な制度設計は、今後説明の機会を設けたい」と議事録にも載っている。その上で質問をして、スケジュールありきでは進めないでほしい、判断材料がないのだから、9月に意見募集などしないでほしいと言ったら、「承知した」と議事録に載っている。
何を承知したのか?
A17.モニタリングの詳細制度についてできるだけ早く示してほしいという質問は県議会でも受け、議事録では、実施方針の時に出すとなっている。今回は実施方針素案を出したが、この素案のパブコメをしたうえで、最終的に実施方針案を出す。それから条例が出る。その時点で詳細なものを示す予定。ただ、法令で定めている51のチェック項目は、水道事業者として県がやる。それ以外の部分についてどういう体制にするかということを今後示す。
Q18.今回の水道法改正の目的は、市町村水道の経営基盤強化だ。全国の市町村水道の3割から3分の1が赤字だが、宮城県の市町村水道は4割が赤字。市町村水道と同時並行でみやぎ型をやると言っているが、同時並行ではなく総合的に勘案したうえで進めてほしい。
A18.仙南仙塩広域水道は、後発で比較的新しいが、市町村水道は古いところは相当古いので、大規模な更新時期が来る所もある。市町村水道の経営を効率化して、できるだけ健全な経営にしていくというのは急務で、広域化は避けて通れない。
今年の4月から県の環境生活部で専任の専門官が置かれ、宮城県の全市町村が集まって、新たに検討会が発足し、これからある程度のシミュレーションを示しながら、比較検討していくということを聞いている。できれば、このみやぎ型と広域化が何とか連携することによって、さらに市町村水道のメリットにもなればと考えている。
Q19.水源涵養林は大倉周辺しかやっていない。今、北海道その他、水源涵養林は、中国等の会社等に全部買い占められている。市や県で遊休地を1000億近く持っているが、それを早期に売却して、水源涵養林七ヶ宿、大迫ダム関係に予算を振り向けてほしい。
A19.(宮城県)水源と涵養は大変重要な問題。宮城県は浄水場が2つある。県は地元の方々と一緒に、水源のごみ拾い運動や清掃活動をやっているが、水源だけでなく、水循環をどうやっていくかというのは非常に重要な課題。ご意見を受け、これからいろいろしっかりやっていきたい。
(仙台市)水源涵養林、水源の保全を、きっちりやっていくのは、大変大事なことだと思っている。仙台市は、水道の専用ダムとして青下ダムがある。その上流側には仙台市水道局で、一定程度の用地を確保し、水源を涵養するための土地を持っている。いくつかある水源の上流を全部できればよいが、なかなか難しい。少しずつでもそういったことを前向きにとらえていきたい。
Q20.宮城県の水道料金は全国と比べていくらかという数字が、議論のうえの一丁目一番地だと思う。
宮城県は20立米(㎥)の一か月あたりの料金は、4,249円。全国平均は3,244円、仙台市は3,488円。
全国の水道料金が高い順30位に、宮城県の7市町村が入っている。
こういうことを、町民、市民、県民に、まず伝えていただきたい。
県の水道事業は、190億の事業に対して39億円の利益、20%の利益で、えらい儲かっている。おいしい仕事だと思う。こんなのを民間に譲り渡さずに、大事に保管してほしい。仙台市は281億に対して29億円の利益。だいたい10%ぐらい。こういうことを公開していただきたい。
県が示している3項目、ダウンサイジング、広域化、IoT化はもちろんだが、もっと水資源を水として利用してほしい。水道の観点から広げて発電に利用してはどうか。三居沢の水力発電所はもともと仙台市の持ち物。この日本一古い、稼働している現存の水力発電所を見本にして、四谷用水や広瀬川で発電すれば、もっと節約できる。
こういうところから、もっともっと最初から実績を発表してほしかったが、なんか実績ないから、民間に譲り渡すというのではなく、これまでやってきたことを、もっと突き進んでやってほしい。研究者や第三者機関は、今までもいろんな提言をしてきたはず。
宮城県の受水費、水の卸売りの原価は、立米あたり66.77円、全国平均は、29.94円で2.23倍。どうしてこうなるのか答えてほしい。それは、国の言いなりになってダムの建設をして、給水計画が過大でと言うが、設備投資が過大だったからというのは当たり前の話。
今、仙台市は280億円の事業高に対して、74億円の減価償却費を毎年払い続けている。これは固定費で減らない。それと県から卸売りされている受水費は58億円。 足すと133億円。なんと47%が固定費で毎年出て言っている。これについて、他を節約したらそれで民間が料金を下げられる、そういう簡単な問題ではない。これに答えてほしい。
A20.(宮城県)宮城県の水道は、高コスト体質で非常に料金が高い。市町村への卸売りをやっている大規模用水供給事業は、全国で20いくつあるが、その中でも高い方なのは一番後発だから。そもそもの過大な見積もりが、こういう事態を招いたが、事業構想時に、仙台市を含め周辺の地域は非常に水不足の状況にあった。どうしても広域水道をひくべきだという機運の中で、県に広域水道をやってくれという市町村からの要請があった。それを引き受けるときに、どれぐらいの水量が必要か調査をして要望をもらって設計された。県も含めて当時の見積もりが過大だったが、当時の時点でそれを見通せる人はいなかった。
県の水道では、七ヶ宿ダムから非常に太い管で引っ張ってきていろんな所へ送り届けるので、水量に対して管路の長さが非常に大きく長くなっている。年間の内部留保がどれぐらいがいいのか、5年ごとに市町村と協議をして決める。その結果生まれた利益は、今後の経営の安定化、更新などに使われるので、決して貯め込んでいるわけではない。
仙台市の事業は末端の家庭に届けるので料金の徴収コストがかかる。それに対して県は、市町村から料金を徴収するので、そのコストはかからない。代わりに長大な管路を維持管理し、更新工事をする。そこを一概に比較するのは難しい。
(仙台市)29億円の黒字は、平成29年度の水道事業決算の数字だが、これは将来に負担を付け回しすることがないように、後年度の更新費用にあてていくという考えだ。水道事業は資本集約型の産業なので、減価償却費、企業債の利息は、非常に高い割合になる。また更新工事が始まっており、リスク管理のために複数の水源を抱えているというコストも大きい。県からの受水費は、今後できる限り下がっていければと思う。
(宮城県)今回示した今後20年間県が事業を続けた際のコストは、ダウンサイジングをすでに見込んだ数字である。今後20年間では、そんなにはダウンサイジングの効果が表れないが、そのあとの20年後、25年後の本格的な管路更新が始まった時には、ダウンサイジング効果はかなりあると思う。県がコスト削減のためにやるべきことをやったうえで、さらに民間事業者に5%なり7%頑張っていただきたい。今回は水道だけだったが、下水道や工業用水のダウンサイジングの内訳についても、今後詳しく公開する。一部浄水場で小水力発電をすでにやっている。浄水以外のことは県は得意ではなく、民間事業者が提案する時に、こういったことも提案してほしい。いろんな提案をしてもらうということも、民間事業者に任せる意味かと思う。
Q21.命の水にかかわる市と県の説明は初めて聞いた。資料もかなり膨大なので、今日一日でとてもこなしきれない。スケジュールをみると、パブリックコメントのあとには、11月には県議会で決めるということなので、これは早すぎるのではないか。
パブリックコメントも、県に問い合わせると、「資料が県庁にあるので取りに来なさい」ということだったが、県政だよりで広くこの問題を周知徹底させる必要がある。
ところが、関心のある人だけ来なさいと言う。今日も、説明会はこれで終わりなのか。もっともっとこの大事な問題について、市民のほうに県や市が出向いて、充分な説明と納得のうえで、議会にかけてほしい。11月というのはあまりにも拙速だ。やるべきではない。
人口減は昨日今日生まれたことではない。前からわかっていることだ。七ヶ宿ダムを作った時、県が過大に計算しているということが、議会で議論になった。県や市は、そういう意見にどれだけ真摯に耳を傾けたか? そういう県の責任もある。
今までと何も変わらないのなら、このままでいい。変わるからやるのじゃないか? そこのところを隠し隔てなく、全部オープンにして、説明をして、それで県民はOKを出すのかどうか、それをやるのが民主主義ではないか。
A21.我々も皆さんの不安の声にできるだけ答えたいと思っている。去年、一昨年とみやぎ型制度設計の節目々々で4回シンポジウムを開いている。県政だよりは、9月号で特集をしている。
今年になってからは、「夜でも休みの日でも、県は出前講座をするので、市町村で機会を作ってほしい」と言ってきた。そういうことで、今日、仙台市でこういう機会を得ている。他の市でも同様に呼ばれているし、市議会とか町議会の議員の皆さんに呼ばれている。その他にも、いろんな市民団体の皆さんに話に行く機会を作っている。
パブコメの分厚い資料をどうやって皆さんに届けるのかは難しい。もしどうしても手元に欲しいという声があれば、なんとか届ける方法を考えてみたいとは思うが、悩ましい問題。
Q22.先程の県の回答で、モニタリングの詳細説明をずっと延期していて、9月にするということだったが、今回は実施素案だから、実施法案の時に出すということであれば、パブリックコメントを求められている私たち県民に、モニタリングの詳細を教えないということになる。私たちはモニタリングの中身を知らないままパブリックコメントをしなければならない。つまり、県民の知る権利をないがしろにしている。それが一番の問題だ。
いろんな方からコンセッションを選んだ根拠を示してほしいとあちこちで聞かれているのに、そのことに対して答えていないし、根拠も示されていない。資料もなかなか県民に届けられないというのだから、それが皆さんに行き渡るまで時間をかけて、それからパブリックコメントをして、それから議会にかけていくのが順序だ。県民にとっては急いでやる必要は全くない。県民に隠している事情があればそれを教えてほしい。
民間に任せるのは今までと同じだと言うが、今までは委託業務で、業者との契約書があり、仕様書がある。仕様書の中にはどういうことをしなければならないか、検査項目も全部書かれている。これから民間に営業権を渡すということなら、全く丸投げ。県は同じと言うが、全く違う。
今、県が確認している50項目は、どうやって確認しているのか? 事業者の報告書をただ見ているだけなのか? 具体的に教えてほしい。
仙台市は150項目を追加しているが、県はどのぐらい追加するつもりなのか?
A22.モニタリングにおける省令で定められている51項目は、現在も今後も、水道事業者である県がやっていく。民間の事業者は仙台市と同じぐらい150項目はやっているはず。そこについては、民間がやったのを県がチェックするというのを今もやっている。
みやぎ型は民間の自由裁量なのでこの項目を減らしていいということでは全くない。今のモニタリング体制以下になってはいけない。少なくとも、同等、もしくはそれ以上のモニタリング体制にすることを念頭に、今、制度設計をしている。51項目以外のプラスアルファについては、民間がやった測定結果を県がチェックする。
今まで、民間の活用ということで、県職員が全部やるよりもコストを下げるために、委託や指定管理をやってきた。そのうえで、さらにコストを下げられるのではないかと設計したのが、今回のみやぎ型管理運営方式だ。
Q23.これだけの人数の市民がぜひ知りたいということで来ている。司会の方、時間制限をして、どこかの政府の記者会見のようなことをやらないでほしい。今日の説明会のようなものは、別の質問者の方も初めてと言っていたが、私は初めてだ。シンポジウムがされていることも全く知らなかった。今日のこの説明会も、仙台市に電話でいくつか質問をしたら、「それらについて一切、県から市に対して何の回答もない」と市職員は答えた。これはとんでもない話だと思い、今日こういう説明会があるということもその職員に聞いて、初めて知って来た。
上下水道の事業費20年間で1800億円ぐらいのうち、コストの削減ができるのは上水道120億円。何パーセントでもない。先ほどから県の説明を聞いていると、どうも県にはこういったコスト削減能力がないという説明を、一生懸命やっているように聞こえる。県の皆さんには能力がないのか? あるのかないのか、ないのであれば根拠を示すべき。たとえば県職員の給与が高すぎるとか、あるいは業務の効率が非常に悪いとか、正直に出さなくてはいけない。
先ほど県の方はデメリットがあるということを話したが、一方で、朝日新聞の9月3日朝刊宮城版では、9月2日の定例記者会見で、村井嘉浩知事は「デメリットは特にない」と言っている。実に軽いね。あなた方の頭(かしら)、ボスは「デメリットは特にない」と言っている。間違った報道だったら、そう言ってください。こんな出鱈目な話、どうやって私ら聞けるのか? 私はそこから心配。県が責任を持つと二言目には言うが、民間委託して問題が出た時、どうやって責任を取るのか? 県が責任を持つということは、最終的には県民に責任を負わせるということだ。東電の福島原発事故と同じ。県がコスト削減できないという根拠を、書面なり損益計算書で示すべき。
A23.今私たちは各市町村を回って説明している。担当者にも集まってもらって制度設計の節目々々で説明している。コスト削減は我々の大命題で、すでに様々なことをしている。今後さらにコスト削減をしなければ、料金の上昇は非常に重い負担になる。 それを避けるために、みやぎ型を制度設計した。
デメリットをなくすような制度設計を今していると説明したのであって、その結果として、知事が言ったようにデメリットはなくなり、メリットだけが残るのではないか。
Q24.利益を出さないといけない企業に依頼をして大幅なコストダウンができるというのがはっきりわからない。水道管の管理は県が行い、9事業は独立採算ということなので、それを全て丸めても、どうしてコストダウンができるのか、詳細な資料がほしい。
県の職員主導でどうしてコストダウンが難しいのか、もう少しご説明してほしい。
さまざまな企業から出される提案内容、それを採点した結果、契約内容は、全部県民に開示されるのか? それに対して、私たちが意見を述べるチャンスはあるのかどうか、教えてほしい。
A24.昨年度、民間企業30何社に聞き取りを行い、県の浄水場の設備更新にこれくらいかかっている、人件費はこれくらいかかっている、薬品購入費はこれくらいかかっているというものをいろいろ見せて、「御社であればどのぐらいでやれると思いますか?」というヒアリングをし、確定値ではないが、これぐらいではないかという削減額を出した。この金額は最終的には、応募企業の提案によって決まってくる。県が100かかるものを95以下でやるという提案を受けるので、仕組み上、県がやるよりも高くなるということはあり得ない。
なぜ県ではコスト削減できなくて民間ならできるのかというと、公共発注の仕組みの問題で、県が何かの工事をしようとすると、仕様書を作って、設計書を作り、一発で入札をするが、民間は価格交渉をする。いろんな条件の中で、それ以外の条件を含めて価格交渉が行われている。現在の公共調達の仕組みではそういうことをするのは難しい。 むしろ、我々が、「うちは100でやりたいけど、あんたのところでいくらでできる?」という話をしたら、我々は警察に捕まる。それが今の高コスト体質の原因の一つであるのは間違いない。
浜松市が下水道コンセッションをもうやっていて、その契約書の中に、「契約に関する情報は、相手方の了承がない限り、第三者に公開してはならない」という条項がある。その浜松市の条項を例に出して、宮城県もそうなるのではないかという心配の声が寄せられるが、我々は、基本的に情報公開条例に沿って情報公開すること、できるだけ自分たちで情報公開することを求めたいと思っている。浄水場の保安対策など情報公開条例で公開できな情報以外は、基本的に公開することを想定している。
Q25.2003年の世界水フォーラムに行った。そこでは、「水は売り物ではない。水は人権である」ということで、これが民営化に対する大きな問題だった。その時、今の天皇は「人と水と幸せな関わり 。水はみんなで分かち合おう」と言った。まさか日本でこんなことが起きるとは、ゆめゆめ思わず今日まできた。その会議で民営化した後のデメリットは山ほど聞いた。政治家との賄賂問題が一番大きく、民間と政治家との取引が起こった。その後、海外では水道民営化に関する違約金でもめている。ヨーロッパの国は違約金を払って元に戻している。戻せない国は悩んでいる。こんなことが宮城県で起きるなんて悔しくてたまらないが、違約金がいくらになるかという話があるかないかを聞きたい。
国とはどんな話し合いをしたのか?
候補になりそうな下見に来た企業名を教えてほしい。
A25.たぶんフランスやベルギーのことを念頭に発言されたと思うが、我々もそういうものをきちんと研究していて、そういうことが起きないような制度設計をやっている。何度も言うが、そもそも民営ではない。水道事業者は県だ。あえて言うならば、県と民間企業の共同経営だが、代表者は県というイメージ。
ダム使用権の協議は、国とは特にない。ダムを作る時に、水道に使いたい、農業用水に使いたい、治水対策、洪水が起きないように調整機能に使いたいとか、いろんな目的のためにダムを作ってほしいというときに、それぞれの分担に応じて拠出をする。
見学会の概要は公表しているが、どこの企業が来たということは、業界内でどこが参加する参加しないというものを図る情報ということもあるので、情報公開上どういう取り扱いになるのかを確認してから回答する。
この日も、「みやぎ型管理運営方式のことが県民に全く知られていない」「拙速に決めないでほしい」「なぜ利益を求める民間企業に任せるとコストカットできるのか理解できない」という声が圧倒的に多く、県の説明に納得して帰ったという人はほとんどいない様子でした。