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9/29 まったり民主主義を始めようカフェ     「行政とお金について」

 

2022年9月29日の【まったり民主主義を始めようカフェ】のお題は、「行政とお金について」でした。

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「まったり民主主義を始めようカフェ」=民カフェは、結論を急がないで、いろんな人たちとじっくり意見交換をしたり、みんなで新たなアイデアを模索していく場です。

自分とは異なる意見の人を論破したり、批判するのではなく、他の人から学んだり、 ヒントを得たりということを楽しんでいただければと思います。

 

この記事の目次

ぴよきゃらちゃんの解説「生活保護、ベーシックインカム、MMTについて」

 生活保護とは?

 ベーシックインカムって何?

 MMTとは?

対話の要約

 インフラのベーシックインカムがある国は?

 僕らのお金はどこへ行ったのか?

 日本は、ナウル共和国の凋落の轍を踏むのか?

 自治体による裁量が大きい福祉政策

 「自分は何をしたいのか?」を、子どもの頃から考える

 みんなが節約したらどうなるか?

 中抜きとマネーゲームに翻弄される日本

 

今回の民カフェは、紅葉が夢のように美しいVR妖精郷の秋の妖精神社で開催しました。

開放的な屋外空間を探検すると、クリームたっぷりのパンケーキやシチューとボルシチのコーナー、美味しいものが並べられたピクニックシート、鍋を囲んでのんびりできる部屋などが点在しています。

みなさんも、VR妖精郷めぐりで、秋の行楽シーズンを楽しんでみませんか (^O^)/

cluster.mu

最初に、ぴよきゃらちゃんから今回のお題についての解説を伺い、それについてみんなで意見を交換しました。

 

ぴよきゃらちゃんの解説生活保護ベーシックインカムMMTについて」

 

twitter.com

 

今日はお金に関する3つのワード、生活保護ベーシックインカム、そしてMMTについて解説したいと思います。

 

生活保護とは?

 

2020年の生活保護率は、日本の全人口に対して2%です。生活保護の捕捉率が20%なので、生活保護の対象になる貧困層は、日本の人口の10%(1千万人)ということになります。これは、小さい国の総人口に値する数値です。

さらに、生活保護水準までいかなくても、生活が苦しい人が結構な割合で存在します。
2020年8月の完全失業率が3%と、前年同月と比べ49万人の増加。みんなが貧乏の時代の到来です。そんなボクも障がい者で、障害年金頼みの生活なので、破産寸前の貧乏なんです。

生活保護とは何でしょう?

厚生労働省のホームページによると、

「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。」
さすがお役所、わかりにくいですね。

要は、失業やケガ、難病、障がいなどで収入が得られなくなり、「どないしよー」と なった時に、国が生活を保障してくれる制度です。

どの程度、保障してくれるのか? と言いますと、自炊すれば3食食べられて、健康で衛生的な状態が保て、それほどお金のかからない趣味が楽しめる程度の文化的な生活が保障されています。

もちろん、健康な人でも、生活に困れば受けることができます。健康な人については、働く能力があるとして、就労指導が行われ、就職活動をして就労することを前提に給付されます。

障害基礎年金や国民年金の不足分を補う役割も兼ねていて、二段構えで受給する場合がほとんどです。受給者に老人が多いのは、国民年金が十分に手当されていないせいです。

家族に財力があり、面倒を見ている場合、年金だけで食べていけますが、そうじゃない場合は、生活保護で不足分を充当する形になります。

厚生年金の場合は、なんとかやっていけるぐらい年金が下りますが、国民年金や障がい基礎年金は雀の涙ほどですので、働く能力がなく収入の当てがない場合には、こうした福祉制度を活用する以外ないという現状があります。

ですので、年金が少ないから、生活保護を下げろという話は、現在の日本における福祉の仕組みを否定することです。国の一番の仕事である国民のための福祉をするなということです。

何のためにみなさんが税金を払っているのかといえば、国民のための福祉を、国にやらせるためです。もし、みなさんが生活に困っていて、国が手を差し伸べないとすれば、それは国がちゃんと仕事をしていないということなのです。

生活保護の批判に、税金の投入論がありますが、現在、国家予算の約31%が国債という政府の借金で生み出されたお金により運営されています。みなさんの働いて納めたお金ばかりではなく、金融の仕組みにより生み出されたお金で、福祉や医療が運営されているのが実態なのです。

 

ベーシックインカムって何?

 

いま日本で論じられているベーシックインカムの問題点、ベーシックインカムの可能性について解説します。

日刊ゲンダイによると9月危機と題しまして、人件費が前年比8.3%減だそうで、手取り20万円の人の収入が18万3,400円になります。これは、趣味で使う分が、ゴッソリなくなるということです。

それでもサラリーマンができる人は幸いです。ボクなんかは、障がいを持っていて性格も悪いので、どこも雇ってくれません。障害年金が頼みの綱ですが、今の日本の状況では、それもいつまで続くかわかりません。

みなさんの仕事も、今はなんとかなっていても、後々どうなるかわかりませんよね?
そんな混迷の世の中でも、お金の知識を身に着けて、みなさんと一緒に乗り切っていきたいと思います。

ベーシックインカムは、Wikipediaでは次のように説明されています。

 

国民の生存権を公平に支援するため、国民一人一人に無条件かつ定額で現金を給付するという政策構想。 包括的な現金給付の場合は配給制度であり、国民全員に無償かつ定期的に現金を給付するため社会主義的・共産主義と批判されることがあるが、ベーシックインカム自由主義・資本主義経済で行うことを前提にしている場合が多い一方、解決すべき類似の問題も抱えている。 ベーシックインカムの根底には、無知や怠惰といった社会悪の除去という目的がある。ダニエル・ラヴェントス(スペイン語版)は、その目的のために法律化されるベーシックインカムは、世帯にではなく個人に対して支給されること、他の収入源から所得は考慮しないこと、仕事の成果や就労意欲の有無は問わないこと、という三つの原則に従わなければならないと主張している[15]。

新自由主義者からの積極的BI推進論には、ベーシック・インカムを導入するかわりに、生活保護最低賃金社会保障制度を消滅させ、福祉政策や労働法制を「廃止」しようという意図が根底に流れている[16]。また、新自由主義者の平等観でBIを導入すると、富裕層に貧困層と同じ金額を支給するという悪平等も発生する。

一方で、この考え方・思想に対しては古代ローマにおけるパンとサーカスの連想から「国民精神の堕落」など倫理的な側面から批判されることがある。所得給付の額次第では給付総額は膨大なものになり、国庫収入と給付のアンバランスが論じられたり、税の不公平や企業の国際競争力の観点が論じられることもある。

Wikipediaより)

 

ja.wikipedia.org

 

新自由主義者からの積極的BI推進論では、年金や生活保護の廃止が前提とありますが、これを提唱している限り、現代の日本ではベーシックインカムの実現は難しいのではないでしょうか?

年金や生活保護でなんとか命を繋いでいる方が結構な割合でいますので、反対意見が噴出して議論が前に進まないということが起きてしまいます。

さらに、国が保証する健康で文化的な最低限度の生活は、生活保護を基準に決められていますので、これをなくしてしまうと、ベーシックインカムを含む社会保障の金額を決める指針がなくなってしまいます。

今、変なおじさんたちが好き勝手に、ベーシックインカムの金額を7万円にするとか言っていますが、実際に7万円で生活したことがない上級国民が言っていることですので、真に受けてはいけません。

ドイツでは、試験的に15万円を設定しています。ドイツも日本も物価はそんなに変わりありませんので、15万円以上は必要でしょう。

ただ、ドイツは日本に比べると、教育が無償化されていたり、いろんな福祉が充実している国です。日本ではドイツほどの手厚い福祉は望めないため、日本の実生活では15万円では足りないでしょう。

「現金給付型の社会保障は、ベーシックインカムに一元化しても安心」という国民の コンセンサスが取れるまでは、これまでの現金給付型社会保障と二段構えでいく必要があります。

ベーシックインカムのメリットの1つとして、東京や大阪などの大都市で働く必要性がなくなり、地域格差の解消に役立つ可能性があります。大好きな地元で就職先がない場合でも、起業して自由に働くという選択肢も出てくるでしょう。

ブラックな職場にしがみつく必要性がなくなり、みなさんの精神衛生が向上し、現在400万人を超える精神疾患者数の上昇も抑えられて、とても健康的な国になるかもしれません。

一方、ブラックになりがちな現場仕事や、運輸、飲食系は、労働環境を改善して、福利厚生を向上させなければ、従事者がいなくなる可能性が高くなります。

ベーシックインカムで、クリエイティビティを発揮する仕事ができるようになるとも言われますが、それを実現するためには著作権の規制を緩めなくてはいけません。

オリジナルなものを世に出すためにはプロモーションを成功させることが必要ですが、大きなコストがかかったり、素人がやってもなかなか上手くいかないことが多いです。

ボクのアバターが「ずんだもん」なのも、プロモーション済みなので、使っていくうえでストレスがないためです。

YouTubeなどの動画配信サイト上での規制を緩めていくことも検討すべきでしょう。

もう一つの案としては、お金ではなくインフラの現物支給というのがあります。電気、ガス、水道、通信、交通、住居、これらを無料にすることで生活を底上げするのです。
これなら、従来の社会保障と二段構えで給付する形でも整合性がとれますね。

フランスでは、全員に均一に給付するのは悪平等だということで、収入に応じて負担割合を決めるというのが公共の在り方なのですが、ベーシックインカムも、収入に応じて金額を決めたほうが良いように思います。

ベーシックインカムが施行されたら、国民は働かなくなるでしょうか? それとも好きな仕事を謳歌できる時代になるのでしょうか? いずれにしても、お金という公共的なものを、国と国民がどのように運用するのか? というの話になります。

国家は国民の福祉のために頑張るのが仕事です。制度によってこぼれ落ちる人が出るようなことは許されません。今後の国の動向にしっかり目を向けていきましょう。

 

MMTとは?

 

経済に興味のある人なら、MMTという言葉を、一度は聞いたことがあると思います。

MMTとは、Modern Monetary Theory の略で、現代貨幣理論のことです。政府は国債(借金)でいくらでもお金を発行できるため、インフレ率を監視しながら、徴税ではなく、国債で財政を調整しようという理論です。

借金を元にお金がいくらでも発行できる<信用創造>というものが、この理論の支柱になっています。

金融機関の貸出しによってお金が発行されるわけですが、貸出し、つまり、借金ということは、利息が発生しているわけですよね? この利息は誰のところに行くのでしょうか?

国債の場合、借主は政府になります。当然、その利息は税金から支払われることになり、お金を貸している銀行に流れて、株主の配当に割り当てられます。

つまり、MMTが進められると、税が増えて、銀行が儲かり、不労所得が強化されて、貧富の差が広がってしまうのです。

大西つねきさんは、フェア党のホームページで次のように述べています。

 

日本社会は不労所得で溢れています。不労所得とは、実質的な価値を労働で生み出していないのにも関わらず、資産の所有によって得られる富のことです。ガンジーもそれを7つの大罪のうちの一つ「労働なき富」として断罪しています。日本社会に蔓延る不労所得は種々ありますが、そのうちの一つは金利です。すでにお金の発行の仕組みで説明したように、ほぼ全てのお金が誰かの借金として発行されれば、その全てに金利がかかり、お金を使う度に我々はそれを間接的に払い、金利を受け取る立場の人たちを利しているわけです。

(中略)

経済で動くお金のうち、その大きな部分が不労所得となれば、実際に価値を生み出している勤労者たちの取り分は少なくなります。特に、土地も金融資産も持たない若い世代が、その不労所得の多くを負担します。生まれる時代によってここまで差がつくのは、フェアな社会と言えるのでしょうか? 

(フェア党ホームページより)

 

www.fair-to.jp

 

「利息も、税金ではなく、信用創造したお金で払えば良い」というリフレ派の方もいらっしゃると思いますが、今の税制はそういうことになっていません。

ただ、新型コロナによる不況対策として、FRBがドルを刷りまくってお金を放出していますので、これに合わせて円を刷らないと、円高になって輸出産業は大変なことになってしまいます。

現在は、アメリカも緊縮政策に舵を切ったので、驚異的な円安となりましたが、今は、世界中でなし崩し的にMMTが行われているのです。しかし、やがてはお金では解決できない問題が生じることになります。資源には限りがあり、実体価値は、お金のようにはどんどん増やしていくことはできないからです。

みなさんは、このようなMMTを、夢の仕組みだと思いますか? それとも破滅への一歩だと捉えますか? 大西つねきさんは、借金ではないお金の発行である政府通貨の発行を推奨しています。

 

対話の要約

 

インフラのベーシックインカムがある国は?

 

どういったことをインフラと定義するのか? は、国によって異なり、また、ベーシックインカムは現金給付というのが基本なので、この2つは分けて考えたほうがよい。

住宅を現物給付する国もあれば、住居費を保障する国もある。住居費をベーシックインカムの中に入れた金額を考える国もあるし、入れていない金額を想定している国もあるなど様々なので、すでに制度の検討や試験的に実施している国の例を参考にしながら、日本ではどういったものがよいのか? を考えたい。

サウジアラビアで、国民に住居などのインフラを安価に提供しているのは、サウード家が支配する王国であるため。一般国民が反乱を起こしたりしないように、国民に最低限の生活を、国の経済状況が許せばより豊かな生活を、王族がオイルマネーで保証するという形で国の安定を図っている。民主的な国での制度とは基本的に異なる。

ヨーロッパでは、インフラの中に、住居、水道、道路などのハード面だけでなく、教育や医療も含めるという国が多い。

日本の税や社会保障の負担率である国民負担率は高いが、北欧諸国のような手厚い福祉は保障されていない。

 

 

 

財務省HPより

国民負担率の国際比較https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/sy202102b.pdf

 

 

僕らのお金はどこへ行ったのか?

 

日本は税金が高いのに、老後も不安。何のために税金を払っているのか?

政府にちゃんとデータを出すように言うべき。

何かと大きな金額の行方がわからなくなるのが、いまの日本。

 

 

これまで私たちがそういったことに関心を持たず、政府や政治家がお金を誤魔化しても、あまり追求しない国民性だったせいで、みんなやりたい放題になった果てが、現状なのかも。いまの日本では、あらゆる分野で中抜きが酷い。

高齢者の人口が多すぎて、それを少ない人数の現役世代が支えて搾取されているとよく言われるが、その高齢者が納めた年金保険料自体も、計画性なく無駄に資金を投入した年金保養施設「グリーンピア」などに使われ、二束三文で売却されたり、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」でハイリスクな運用をされたため、「公的年金2000万円不足問題」が浮上した。

 

gentosha-go.com


日本は、ナウル共和国の凋落の轍を踏むのか?

 

かつてリン鉱石の資源国で莫大な収益を得たが、資源が枯渇してしまい、焦った政府は海外で高級ホテルに投資したり、財政の巻き返しを図るが、ことごとく失敗して、全国民が貧困になった。

 

www.youtube.com

 

ナウル共和国リン鉱石にあたるのは、日本では人口だった。労働人口が多いことで産業も成長し、内需が大きいため、消費拡大で経済が発展していったが、日本の人口は2008年をピークに減少していき、人口ボーナスによる経済拡大はもう望めない。

「紛争でしたら八田まで」というマンガでも、ナウル共和国のことが描かれている。

 

自治体による裁量が大きい福祉政策

 

youtu.be

 

実現してもらいたい福祉政策を国に働きかけるのが大変な時は、身近な自治体、自分の住む町や市に働きかけるほうが実現しやすい。ただ、そういう制度について学校で教えていないので、いざという時にどうして良いのかわからない人も多い。

たとえば、隣町では子どもの医療費が18歳まで無料なのに、自分の街では小学校入学までだから、隣町と同じようにしてもらいたいという時、賛同署名を集めて自治体の議会に請願すると、実現する可能性がある。

こういったことを中高生に教えて、市議会や町議会の傍聴を学校のカリキュラムに組み込んで体験させ、様々な制度が提案されて、議論され、作られていくプロセスを学ばせるべき。

若い人ほど、署名を集めて請願することを通じて、社会を自分たちで変えていくことを実感してもらいたい。他の自治体の先行事例から学び、どういう制度にするかを仲間と話し合ったり、署名をお願いするために様々な人に働きかけて意見交換するなど、体験できることがたくさんある。

もし請願が採択されなかったとしても、問題の所在が公になり、それが土台になり、ヒントになって、よりよい改革につなげていけるようになる。短期的な成否で判断せず、長期戦で取り組んでいく価値は十分ある。

ある自治体の計画を、パブリックコメントでひっくり返したことがある。パブコメ祭りと称してやった。

 

パブリック・コメントとは、市の基本的な政策や制度を定める計画や条例を決める際に、その案や素案について、広く市民の皆さんに公表し、皆さんから寄せられたご意見などを案に取り入れることができるかどうかを検討するとともに、寄せられた意見などに対する市の考え方とその検討結果を類型化して公表する一連の手続のことです。

吉川市HPより)

 

www.city.yoshikawa.saitama.jp

 

パブリックコメントで寄せられた意見を行政が採用したり、寄せられた意見を議会で採り上げて議論されることもあり、マスコミがそれを報道すると、より多くの人がその問題を知って、行政に電話やメールで自分の意思を伝えるという形で、民意が反映されていく可能性がある。

 

「自分は何をしたいのか?」を、子どもの頃から考える

 

ムダだと決めつけて、必要なことさえもカットされ続けている現状があるが、介護施設の深夜担当者が、ワンオペで20人のケアをするというのは、人件費を削って利用者と労働者の両方の危険性を高めている。

ベーシックインカムを導入して、こういったブラック労働をやめる人が増えると、労働力が足りなくなるとか、人々が怠惰になって、社会の生産性が低くなるという人もいる。

生活保護の受給者がパチンコでお金を浪費したりする例があるのは、生活が保障されていて暇だからではない。ギリギリの経済状況を打開する手立てがなく、孤独で追い詰められた人が、ギャンブルにすがっているということもあるのでは。

日本社会では、人々が、お金や時間の生かし方を学ばないまま大人になっているという問題がある。自分の人生をどう豊かに生きるか? 自分はどういうことをしている時が楽しくて、どういうことに充実感を感じるのか? それは一人ひとり違う。

時間やお金があったら、その人にとって本当に大切なことに集中できる。

シングルマザーで乳児を抱え、生活保護を受けながら、「ハリー・ポッター」を書いたローリングのような人もいる。

今まで趣味にお金を使うことができなかった人が、お金を使うことができるようになったとしたら、そのお金を受け取る人が生まれる。それはムダ遣いではなく、誰かの収入になって経済活動を活性化していく。

世の中の物差しに合わせて、お金をたくさん稼ぐとか、地位や名誉を得るとかではなく、自分は本当は何をやりたいのか? 自分はどういう人たちと一緒にいたいのか? 自分の体調はどうしたらよくなるのか? は、本人にしかわからない。

そういったことを自分自身で感じ取る経験を積み重ねながら、子どもの時から試行錯誤しながら育っていくと、成人する頃には、自分は何をやりたい人なのか? が、明確になると思う。

でも、日本では、小学校に入った時から、「先生の言うことを大人しく聞きなさい」「みんなと同じようにやりなさい」「やりたいことは成績を良くしてからにしなさい」と教育するので、自分の本当の欲求がわからない人が量産されてしまう。

一人ひとり違う欲求を満たそうとすると、社会に多様性が解き放たれる。

我慢は美徳ではない。我慢しない=わがままと捉えられがちだが、自分の体や心が、「あなた、我慢しているのは間違ってるよ!」と悲鳴を上げているのを、無視してはいけない。甘えだと誹られても、自分が感じることを信じてあげることが一番大切。

ネットや書籍で、不労所得を得て働かなくてもよい人生を目指す方法を指南するものが人気だが、お金のために働かなくてもよくなったとしても、自分が何をしたいのか? がわからないと、精神的に行き詰まるのでは。

何もやりたいことがない自分に直面し続けるのは、それなりに大変。

自分がやりたい仕事ではなくても、それをやることによって気が紛れることもある。誰かの役に立ってお給料がもらえるということは、一つの救いかもしれない。お金は、「ありがとう」と言ってもらえる価値と聞いたことがある。

人間は、他者との信頼関係とか、人に喜んでもらえるということがないとつらい。

 

みんなが節約したらどうなるか?

 

みんなが節約したら、世の中に出回るお金が減ってしまう。みんながモノやサービスを買ってお金を払うことによって経済は回っていくが、モノやサービスが売れなくなると、それを提供する側も活動を縮小していくので、経済が衰退していく。

「老後のために2,000万円貯金するように」という話があったが、もしもみんなが、2,000万円ずつ貯金したら、世の中に出回るお金はなくなってしまう。

お金は、モノやサービスのやりとりをするために存在しているのに、銀行口座に眠らせておくだけでは、その役割を果たすことができない。

銀行預金を中小企業への融資などに活用するのであれば、中小企業振興の一翼を担って経済が活性化していくことになるが、長年の不況で、借金をしてまで事業を拡大していける企業は非常に少ないため、融資需要はない。

企業は基本的に、借金をしてレバレッジをかけることによって事業を拡大していく。今の日本は、そういうことを肯定しにくい社会になっているので、経済が衰退する一方になっている。

コロナの給付金1人10万円というのを、先行き不安から貯金した人たちもいたが、もしそれを消費に回せていたなら、潰れなくても済んだ飲食店があったかもしれない。廃業を免れた生産者や中小企業もあったかもしれない。

買って応援するということをもっと考えたい。いいものにはちゃんとお金を出すという文化を作っていくべき。

お金を使うということは、自分がモノやサービスを得るだけではなく、それを提供する人たちにお金をあげるということ。その循環が多様で豊かになるほど、社会の幸福度が増していくのでは。

自分が何かを提供する時、「高い値段を付けると、強欲だと思われるのでは? 」とか、「こんなにもらって申し訳ない」と思ってしまうのは、<安いほうが良い、高いのは良くない>という風潮に毒されているせいではないか。

モノやサービスを生み出す人たちを応援しようとする時に一番ネックになるのは、派遣会社のように、自らは何も生み出さず、お金だけを中抜きして奪って行く存在。

 

 

貧困状況の人たちに現金給付をすると、裕福な人たちよりも消費に回してくれるので、内需が拡大して経済が活性化する。

いま日本では、貧困層の人数が多いので、そういった人たちが消費を活発に行えるようになると、日本経済は持ち直すのではないか。

 

中抜きとマネーゲームに翻弄される日本

 

信用できない政府のもとでベーシックインカムをやっても、また委託先に事務手数料とか管理費とかで中抜きされる。

日本は公務員の数を減らし過ぎたので、行政事務を派遣社員が担わざるを得なくなった。激務のうえ住民からの批判の矢面に立たされるというブラックイメージで、公務員応募者も少なくなり、教師のなり手もいなくなった。

TPPで小規模農家をつぶし、集約大規模農業経営者が生き残り、収入も増えたが、借金も増えたので、逆に苦しくなった。日本の地形で農業の大規模化には無理がある。国は現場の声を聞かないし、わかっていない。

3.11のショックドクトリンで、宮城県は農業も漁業も法人化された。株式会社化の問題は株主配当。収益は投資家のリターンになり、生産者は果実を得ることが少ない。

そういう形で、国際金融資本に日本を叩き売りしている。直接はそういった法人の株主になっていなかったとしても、事業に融資している金融機関の株主になっている。

お金というものは、銀行から融資を受ける事業者の通帳に、借金の金額が書き込まれることによってこの世に発生する。借りた側はその利息を銀行に払い、それが銀行の儲けとして株主配当に回される。

そして、日本の銀行の株主は、今はほとんど外資になっている。昔は、日本の大企業と金融機関はお互いの株式を持ち合って支えていたので、今よりは海外の投資家に利益が渡ることが少なかった。

バブル崩壊で企業や銀行が相次いで破綻した時に、小泉内閣不良債権処理を断行して、国際金融資本に不良債権が二束三文で売られ、外資の参入が大々的に行われるようになった。

2022年から、投資を学校で教えているらしいが、こういった経緯は教えているのか? いかに金融商品を購入するか? ということが主眼で、子どもたちを守るためではなくカモにしようとしているのではないか?

働く人たちがきついのは、そういう搾取の構造の末端に従属させられているから。

まず、労働者として、自分の身をどう守るか? ということこそ、子どもたちに学ばせるべき。ブラック企業から自分を守るための法律や相談先を教えておく必要がある。

小さくてもいい事業をやっている日本企業に融資をして育てていくのが、銀行の本来の使命であったはずなのに、そういった地道なことを放棄して、いま金融機関は、デリバティブ(くず債権)を大量に買い込んでいるので、いつ金融市場が崩壊してもおかしくない。

張りぼてではない実業で価値を生みだせる人が大切。今はそういう人を応援するべき。そうすることで経済圏が生まれる。

将来に向けて、自分がワクワクドキドキできる活動をやる。お金は取り戻せるが、時間は取り戻せない。一生に一度きりしかない一瞬々々を、自分が納得することに使うべき。

これから人口が増加していくならば、住宅などの不動産開発をどんどん進めてもよいが、日本のように人口が減っていく国で、不動産を増やしても無駄になる。

にもかかわらず、それらを投資対象として売り出し、爆弾トスゲームのようにして儲けようとする業者がいるので、半分も入居していない集合住宅やビルが大量に出現している。

投資先のない富裕層同士で競り合って、高級物件の値段をつり上げていくと、その地域一帯の地価や家賃が高騰して、一般住民が住めるような物件がなくなり、ホームレスが大量に生じるということが、ニューヨークやロンドンで起こっている。

マネーゲームに興じるのではなく、橋やトンネル、水道施設や治水工事など、高度経済成長期に作られ、更新されずに傷みきった公共インフラ整備に投資するべき。