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9/28 第385回宮城県議会代表質問での    「個人情報保護法施行条例」についての質疑応答

2022年9月28日、第385回(令和4年9月)宮城県議会定例会における代表質問で、天下みゆき議員(日本共産党宮城県会議員団)が「個人情報保護法施行条例」について質問しました。

 

        天下みゆきの「みゆき通信」より

amasitajcp.net

 

今回の質問内容

行政機関等匿名加工情報について

目的外利用に関する規定について

行政機関等匿名加工情報の作成について

匿名加工に係る情報漏洩防止対策について

死者の個人情報に係る遺族の開示請求について

要配慮個人情報の収集制限などの規定を、新たな条例にも盛り込むべき

現行条例の内容が継続できるよう、法の再改定を国に求めるべき

 

miyagi-pref.stream.jfit.co.jp

天下みゆき議員(日本共産党宮城県会議員団)

大綱5.「個人情報保護法施行条例」について伺います。

昨年5月に国会で個人情報保護法が改定され、来年4月から新たに地方自治体にも、この改定法が適用されることになりました。

これに伴い、宮城県でも現行の個人情報保護条例、以下現行条例を廃止して、国の法律に基づく仮称「個人情報保護法施行条例」が、新条例の制定に向けてパブリックコメントを行うなど作業が進んでいますが、新条例は重大な問題を孕んでいます。

miyagi-suidou.hatenablog.com

問題点の第1は、宮城県の知事部局、教育委員会、警察などに保管されている県民の膨大な個人情報が、当該県民の了解を得ずに、企業等の求めに応じて、匿名加工されて、提供できるようになることです。

そこで伺います。第1に、そもそも、「匿名加工すれば、企業等に個人情報を提供して良い」とする宮城県民のコンセンサスは、得られているのか? 

第2に、現行条例では、第8条(8)で目的外利用の場合、審査会に意見を聞く仕組みがあります。今後も必要と考えますが、この仕組みは、新条例でも継続されるのか? 

第3に、匿名加工を、県の各部署が行うとすると、大変な業務量になるでしょう。業者への委託は、個人情報を取り扱う関係から慎重な検討が必要です。宮城県は、匿名加工の作業を自前で行うのか? 委託するのか? 伺います。

第4に、厚生労働省が、難病患者の診断書情報を流出させていたことが、8月24日に報道されました。研究者に提供した情報ファイルに、本来削除されるべき氏名、生年月日、住所等の個人情報5,640人分が含まれていたそうです。

こうした情報漏洩が起こる恐れはないのか? 情報漏洩防止対策は、どのように行うのか? 以上4点についてお答えください。

問題点の2つめは、現行条例で認められていた死者の個人情報が、新条例で除外されたことです。

たとえば、県庁職員の過労死などが起きた場合、新条例において、遺族は亡くなった職員の個人情報の開示請求ができるのか? できる場合は、どのように行うのか? 伺います。

問題点の3つめは、現行条例で宮城県が定めていた個人の人格と尊厳の尊重に寄与することを目的とする要配慮個人情報、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴などの収集の制限、オンライン結合による提供の制限などの条文が、新条例ではなくなります。人権を守り、情報漏洩を防ぐための大事な条文です。

個人情報保護法ガイドラインは、あくまで技術的助言であることから、宮城県の条例の到達点を後退させないために、新条例にも盛り込むべきと考えますが、いかがですか?

改定個人情報保護法は、新たな産業の創出ならびに活力ある経済社会に資するものであることと書き込まれ、個人情報保護から、企業利益のために、個人情報の利活用に転換するものです。

この法改定は、全国で約2,000の地方公共団体などの条例を、すべてリセットして、全国共通ルールの統一を自治体に押しつけるもので、地方自治の侵害です。

よって、村井知事は、現行の宮城県条例が継続できるよう、国に個人情報保護法の再改定を要請すべきです。お答えください。以上で、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

村井嘉浩知事

次に、大綱5点目、「個人情報保護法施行条例」についてのご質問にお答えいたします。

はじめに、行政機関等匿名加工情報についてのお尋ねにお答えいたします。

この制度は、国会での審議を経て、昨年5月に成立した改正個人情報保護法に基づき、行政機関等が保持する個人情報のうち、1,000以上のデータを有する個人情報ファイルについて、特定の個人を識別できないように加工したうえで、利用を希望する事業者等に提供するものであります。

わが県においても、法の改正に伴い、現行の個人情報保護条例を廃止し、新たに「個人情報保護法施行条例」を制定することとしておりますが、パブリックコメントの実施にあたっても、同制度の概要について周知を図っております。

今後も、来年度からの制度のスタートに向けて、改めて県ホームページ等の広報媒体を活用しながら、その趣旨や具体的な内容等について丁寧に周知してまいりたいと思います。

次に、目的外利用に関する規定についてのご質問にお答えいたします。

現行条例においては、個人情報の目的外利用が可能な場合について、本人同意がある時等の具体的なケースが列挙されたうえで、最後に、前各号に掲げる場合の他、審査会に意見を聞いたうえで、個人情報を利用することに相当な理由があると、実施機関が認める時との規定が置かれております。

補足いたしますと、目的外利用にあたり、常に審査会の意見を聞く制度とされているわけではありません。

今回の法改正に伴い、個人情報の目的外利用については、慎重に対応すべきものとの考えから、地方自治体においても、法の規定に基づき対処することとされており、新条例においては、現行条例と同様の規定を設けることは考えておりません。

次に、行政機関等匿名加工情報の作成についてのご質問にお答えいたします。

行政機関等匿名加工情報の提供にあたっては、厳格な基準のもと、慎重な作業が必要と考えております。

現時点においては、先行して制度がスタートしている国においても、いまだ匿名加工情報提供の実績は少ないと伺っておりますが、国における今後の取り組み等も踏まえながら、具体的な実施方法を検討してまいります。

次に、匿名加工に係る情報漏洩防止対策についてのご質問にお答えいたします。

行政機関等匿名加工情報の提供においては、提供するファイルの加工に関し、要項等において、厳格な手続きを定め、個人の識別につながる記述や符号等を完全に削除するなど、個人情報を保護するための措置を適切に行うこととされております。

県としては、それらの安全管理措置を徹底することで、匿名加工情報の提供が適正に実施できるよう取り組んでまいります。

次に、死者の個人情報に係る遺族の開示請求についてのご質問にお答えいたします。

個人情報保護法においては、死者に関する情報は、個人情報の定義に含まれておらず、原則として、遺族が本人に代わって死者に関する情報の開示請求を行うことはできません。

これは、法が目的とする個人の権利利益の保護に関与することができるのは、生存する本人のみであるとの考え方によるものとされております。

一方で、国は、「法令に抵触しない範囲において、地方公共団体が、死者に関する情報の提供について、制度を設けることは妨げない」との見解も示しており、県としては、今後、取り扱いのルール化に関し、その是非も含めて必要な検討を行ってまいります。

次に、要配慮個人情報の収集制限などの規定を、新たな条例にも盛り込むべきとのご質問にお答えいたします。

今回の法改正は、これまで別個の法律や条令により生じていた個人情報の規律に関する不整合を是正することを目的としております。

このため、個人情報の規律に関する基本的な枠組みについては、法において統一的に規定され、条例においては、法の施行にあたって必要な事項を定めることとされております。

しかしながら、法においても、その目的として、個人の権利利益の保護が謳われているほか、個人情報の保有や提供の制限等が規定されており、要配慮個人情報やオンライン結合等に関する規律についても、従来の水準が維持されているものと考えております。

県といたしましては、現行の条例が果たしてきた役割を十分に踏まえつつ、今後とも、個人情報保護施策に適切に取り組んでまります。

次に、現行条例の内容が継続できるよう、法の再改定を国に求めるべきとのご質問にお答えいたします。

今回の法改正により、個人情報の取り扱いについて、全国共通のルールが整備されたことは、制度のわかりやすさや公平性の観点から、一定の意義があるものと考えております。

来年4月の改正法施行後も、えー、わが県がこれまで行ってきた個人情報保護の取り組みが後退したと受け止められないよう万全を尽くすとともに、実際に運用していく中で、制度的な課題が明らかになった場合には、国に見直し等を要望したいと考えております。以上でございます。