宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

6月県議会でのみやぎ型に関する一般質問(2) 岸田清実議員(社民フォーラム県議団)、わたなべ拓議員(自由民主党・県民会議)の質疑応答文字起こしです!

2021年6月24日、宮城県議会6月定例会にて、岸田清実議員(社民フォーラム県議団)とわたなべ拓議員(自由民主党・県民会議)が、みやぎ型に関する一般質問を行いました。

 

岸田清実議員(社民フォーラム県議団)の一般質問&質疑応答

 

岸田清実 宮城県議会議員

岸田清実議員 Facebook より

 

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岸田清実議員

まず初めに、みやぎ型管理運営方式について伺います。

今議会には、みやぎ型管理運営方式に関わる運営権設定議案、および公営企業の設置に関する条例改正案が提案されています。上水道では、全国初のコンセッション導入となり、コンセッション事業の中でも大規模なものとなります。

県議会では、本会議、常任委員会などで、様々な議論があり、私も多くの指摘をしてまいりました。しかし、運営権設定議案等が提案された現在に至っても、疑問の多くが解決されていません。その点について、順次質問いたします。

第1に、特別目的会社、以下SPCと申し上げます、および新OM会社、すわなちオペレーションメンテナンス会社について伺います。

SPCはメタウォーターが34.5%で筆頭株主となり、ヴェオリアの34%の出資のうち、およそ半分の割合でしか議決権を持たないことから、議決権ベースでは、メタウォーターが51%ととなり、同社の連結子会社となることが公表されています。社長も、メタウォーターの常務が就任しました。

一方、新OM会社筆頭株主は、ヴェオリア・ジェネッツであり、SPCと反対に、メタウォーターをはじめとする各社が、出資割合より議決権割合が少なくなっているため、35%出資のヴェオリア・ジェネッツが、議決権では51%ととなりました。社長は、同社関連会社の関東支店長が就任しています。

会社法第2条第3号では、子会社の定義を、会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人と定義していることから、会社法上、新OM会社は、ヴェオリア・ジェネッツの子会社です。

10社で構成される企業グループとはいえ、SPCおよび新OM会社は、それぞれ過半数の議決権を持つメタウォーターおよびヴェオリア・ジェネッツの会社法で言えば経営を支配している法人です。

実質的に特定企業が20年間にわたって企業を支配することは、公的事業として適当ではないと思いますが、いかがでしょうか? 

新OM会社は、今回のみやぎ型管理運営方式の契約期間20年を越えて県内に存続し、技術の継承、人材確保に寄与するとされています。

SPCが主催するみずむすびアカデミーでは、自治体職員、地元企業を対象に、研修や技術指導を行っていくとされています。県内の自治体、企業との関係を強めていくことになると考えられます。

SPCと新OM会社の構成企業は同じであることから、20年目以降は、ヴェオリア・ジェネッツの子会社である新OM会社という特定企業が、県内の公営水道を含めた水関係事業に強い影響を持つことになるのではないかと懸念しますが、知事の所見をお示しください。

優先交渉権選定過程での提案では、グループ各社のSPCへの出資割合が明記されていますが、新OM会社については、設立まで、出資割合および筆頭株主は不明でした。設立後、ヴェオリア筆頭株主であることが明らかになりました。

県議会開会前に、メタウォーターの連結子会社化の通知によって、SPCにおける出資割合と議決権割合の相違を確認したため、企業局に、新OM会社の議決権割合を照会して、ヴェオリア・ジェネッツの議決権が過半数となっていることがわかりました。

その翌日に、SPCおよび新OM会社の議決権割合の資料が、建設企業委員会委員に配布されました。議決権が各社でどのような割合になっているかは重要な情報であるにもかかわらず、問合せまで提供されなかったわけであります。

県は、SPCおよび新OM会社それぞれの筆頭株主および構成各社の議決権割合を、優先交渉権者決定以前に承知していたのでしょうか? 

その後承知したとすれば、それはいつだったのか? 

なぜ、今定例会直前まで、情報提供がなされなかったのか? 

伺います。

SPCと新OM会社の構図を見ると、全体統括改善はメタウォーターが責任を持ち、維持管理運転機器更新はヴェオリアが責任を持つと理解できますが、所見を伺います。

今回、優先交渉権者に選定されたメタウォーターグループの提案で高く評価されたのは、新OM会社の設立であったとされています。

みやぎ型管理運営方式で県が運営権を売却する特別目的会社とは別に、浄水場、処理場などの維持管理運転を行う民間会社を設立して、SPCから業務委託を受けるというものであります。

水産業に携わる人材育成と技術の継承に関わる点が、高評価だったと聞いています。

一方、5月21日に行われた建設企業委員会参考人意見聴取において、おいでいただいた東洋大学名誉教授の石井晴夫先生は、コンセッション推進の立場ですが、SPCとは別に新OM会社が設立されることについて、「大変心配だ。SPCと同様のコントロールができるのか?」と指摘しています。

優先交渉権者選定にあたって、新OM会社設立が高く評価されたとのことですが、そのリスクについてはどう評価されたのか? その内容をお示しください。

また、そのリスクはどのように回避されると判断したのか? 合わせて伺います。

新OM会社は、県と直接の関係はなく、独立した民間会社として、SPCと同じ5月19日に、建設会社の橋本店の住所で設立されました。業務はSPCからの受託です。

SPCに対しては、県および経営審査委員会でモニタリングする仕組みが作られますが、新OM会社に対してのモニタリングは、今のところ明確ではありません。

初めから、みやぎ型管理運営方式の一部に組み込まれていることから、モニタリングや情報公開について、SPCと同様の取り扱いがなされるべきですが、基本的な考え方を伺います。

「5月25日の受水自治体担当者会議が行われ、モニタリング実施計画案などが示され、受水自治体の意見を聞きながら確定していく」と、県は説明しています。

配布された資料にあるSPCのセルフモニタリングに関する確認様式すなわち確認のポイントの中に、新OM会社の財務諸表、財務指標とあります。

SPCが新OM会社の財務書類を確認し、県や経営審査委員会には、「適正でした」の報告だけでは、実質的に県および経営審査委員会の確認、監視はできないということになります。

新OM会社の財務諸表、財務指標について、県および経営審査委員会のモニタリング対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか? 

また、そのことを担保するために、SPCと新OM会社との受託契約に、経営関係書類の提出、各種情報開示について記載すべきと思いますが、所見を伺います。

第2に、情報公開に関連して、いくつか質問します。

県は、昨年3月に、基本協定書案など6文書を発表し、優先交渉権者の募集を開始しました。応募した3グループの資格審査である第一次審査を経て、企業グループと県による競争的対話が行われ、今年1月に応募3グループから第二次審査書類提出を受け、PFI検討委員会が審査に入りました。同委員会は3月に、優先交渉権者第一順位と第二順位、失格1グループという結論を出し、県は最終的に政策財政会議で、メタウォーターグループを優先交渉権者として決定しました。

およそ1年にわたる選定過程であったと言えます。しかし、この1年間、県当局から出される情報は、ごく限られたものでしかありませんでした。

たとえば、昨年7月から12月までの三次にわたる3グループそれぞれとの競争的対話についても、建設企業委員会で、内容が大まかに括られたペーパー1~2枚程度の資料が配布され、説明されたのみであります。

私は、「一巡目、二巡目の競争的対話で、応募企業グループ側から県に文書で出された600項目の質問を、カテゴライズした形ででも示すべきだ」「でき得る限りの情報開示が必要だ」と建設企業委員会で指摘し、櫻井企業局管理者は、「カテゴライズして情報を出していく」と答弁しました。

しかし、実際にその情報が県ホームページで公表されたのは、政策財政会議で優先交渉権者が決定されたのちの3月31日であります。最初の競争的対話から8か月後であります。

不十分な情報開示の中で、議会も県民も議論が十分行えない経過であったことは問題です。この点についての所見を求めます。

県はSPCに、県の情報公開条例と同等の情報公開規定を行うよう求めるとし、その案を公表しました。当初は、情報公開請求に対する結論についての異議申し立て制度がなく、その点を指摘し、異議申し立て制度を盛り込むよう建設企業委員会で求めました。

その結果、次に公表された案では、再検討の求めとして盛り込まれましたが、再審査の形態、再検討の求めの申請者への結果通知などで、第三者性の確保が重要な課題であります。

仮りに社長名で、再検討の求めに対する結論のみが通知されるとすれば、再審査の客観性が担保されないことになります。県の情報公開条例と同等と謳うならば、この点でのしっかりとした制度設計を行うべきと考えますが、所見をお示しください。

みやぎ型管理運営方式と県議会との関係について伺います。

これまでは企業局が運営してきたことから、決算審査や所管事項での議論が行われてきました。

今後みやぎ型管理運営方式がスタートすれば、県政における二元代表制の一方にある県議会が、上工下水道3事業について審査できる機会が大幅に減少することになると繰り返し指摘がなされてきました。

そのような指摘に対して、公営企業の設置に関する条例改正案は、県議会に報告するとの規定を設けるとしています。しかし、その報告後、県議会で質疑ができる形でなければ意味がありません。

しかも、公会計と企業会計の違いもあって、これまでの企業局決算との連続性を見ることができるのかも、大きな問題点であります。

県議会への報告時に、各種モニタリング結果等の報告や決算の連続性について、具体的にどのような想定をしているのか? お示しください。

5月25日に、受水団体担当者会議が行われ、提出された資料には、県によるモニタリング確認要旨、確認のポイントが、白紙のまま配布されました。

「受水団体の意見をもらいながら確定していく」と県は述べるとともに、以前のヒアリングでは、「5月下旬の市町村担当者会議に、たたき台を出す」としていました。

できる限り早期にたたき台を示して、受水団体の意見を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか? 

第3に、優先交渉権者から提案されている各種内容について伺います。

集中監視についてです。みやぎ型の実施体制は、優先交渉権者の提案によれば、269人でスタートし、遠隔操作による集中監視等に移行することにより、7年目以降225人に削減するとしています。

県内浄水場現場の従事者に伺うと、「水源は、ダムごと、受水場所ごとに水質が違い、水質悪化の内容も違う。浄水場自体も特性やクセがあり、慣れるのには時間が必要だ。自動化、遠隔の集中監視は、平時には対応できるが、非常時に対応できるのか?」と疑問を呈しています。

自動化は、確かに各地で導入されていますが、非常時には手動モードに切り替えて対応するのが手順であります。

マニュアル化するにも、浄水場の監視操作員には、水質に関わる化学、機械、電気、配管、土木、水運用など、求められる分野は多岐にわたります。

あわせて水質事故や機械故障などは、即時の対応が必要になることがあり、マニュアルを確認する時間が取れないこともあります。

さらに、水道用水供給事業と流域下水道事業では、事業の内容も異常の発生状況も異なります。集中監視が、このような点に対応できるのか? 

安全安心な水道3事業の運営の観点からは、問題が単なる人員削減が目的となっていないか? 所見を伺います。

また、集中監視にメリットがあるとすれば、複数の施設がある中で、1つに異常が生じた場合に、他でバックアップないしカバーすることが考えられますが、みやぎ型の場合、仙南仙塩と大崎の両広域水道に、相互融通機能がなく、流域下水道も同様の課題があり、メリットが生じません。その点はいかがでしょうか? 

次に、水質についてです。事業説明会の中で、水道用水供給事業における水質管理強化の一例として、現行の県基準よりも、優先交渉権者からの提案が厳しい数字となっていると示されています。

この点を評価していると受け止められますが、これまでの各水質管理項目の実測値を見ると、ほぼすべての数値が、県基準に照らして相当に低いものとなっています。

たとえば、仙南仙塩広域水道の南部山浄水場系における総トリハロメタンを見ると、国の水質基準は0.1に対して、県は0.025、優先交渉権者が0.022を提案しています。2020年度の実測値は、0.003~0.008と桁が一つ低くなっています。

県の現行基準0.025に対して、新たに0.022にすることを評価したとすれば、過剰評価と言わなければなりませんが、所見を伺います。

287億円の削減額に関わる修繕額と更新について伺います。

県のシミュレーションと比較して、メタウォーターグループの提案は、修繕費で、県約84億8,000万円に対して、約205億5,000万円と、約120億7,000万円増、更新投資で、県約665億4,000万円に対して、約446億1,000万円と、219億3,000万円減となっております。

現行モデルと提案を比較すると、修繕費が約101億円増で、更新投資で約348億円減となり、運営権者分の削減額が287億円となる計算です。県シミュレーションに比較して、修繕で延命させて、更新回数を減らす内容と考えられます。

この場合、どのような修繕で、どの程度更新回数が減らせるのか? その適正性とリスクの評価はどのように行われたのでしょうか? 評価の内容とその根拠をお示しください。

また、現行モデル、県シミュレーションとの比較が行われていますが、現行モデルは、現在の事業の積み上げ落札率の差額が減少率とされているものです。比較を適切に行うとすれば、更新回数の削減など、現行制度の中で織り込んで積算する必要があるのではないかと考えますが、所見を求めます。

その積算データはあるのか? あわせてお答えください。

村井嘉浩知事

まず、大綱一点目、みやぎ型管理運営方式についてのご質問にお答えいたします。

初めに、特定企業が実質的に経営を支配する特別目的会社と新オペレーションメンテナンス会社は、公的事業として不適当ではないか? とのお尋ねにお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式における事業者の公募は、PFI法および国のガイドラインに沿って行い、外部の有識者によるPFI検討委員会において、経営や業務の執行体制も含めた厳正な審査を経て、適切な手続きにより、今年3月に優先交渉権者を選定したものであります。

今回運営権の設定先となる特別目的会社いわゆるSPCは優先交渉権者であるメタウォーターグループの提案10社の共同出資により設立された企業であり、またSPCから浄水場等の運転管理、オペレーション、保守点検、メンテナンスを委託される新たなOM会社につきましても、SPCと同一の出資者により設立されたものであります。

県としては、代表企業であるメタウォーター株式会社がSPCをしっかりと統括し、構成企業のノウハウや技術力を活用することで、安心安全で効率的な事業の運営が行われるものと期待をしております。

次に、新OM会社が、県内の水関係事業に与える影響についてのご質問にお答えいたします。

SPCは、国内水処理事業の最大手であるメタウォーター株式会社が代表企業として統括し、SPCから施設の運転管理等を委託されるOM会社の運営は、ヴェオリア・ジェネッツ株式会社が主導し、構成企業各社のノウハウを結集して業務が行われるものと伺っております。

豊富な実績や高度な技術力を有する水事業会社が、地域人材の活用により県内に設立されることは、県のみならず市町村にとっても有益であると考えております。

なお、現在、国内には多くの水処理会社があり、今後とも互いに競争し、実績を積み重ねていくと思われることから、このOM会社が、県内の水関係事業に強い影響を持ち続けるとは考えておりません。

次に、新OM会社のリスク評価とその回避に関わる考え方についてのご質問にお答えいたします。

優先交渉権者のOM会社を県内に設立する提案は、安定的な事業運営と雇用創出が期待できることから、PFI検討委員会において高く評価されたものであります。

このOM会社は、SPCと同一の出資者により新たに設立されることから、県は水道事業者として、経営や現場の執行体制も含めて、確実な運営が可能かを確認する必要があると考えております。

県としては、事業全体を統括するSPCに対して、OM会社の行う業務内容についての厳格なモニタリングを求めるとともに、SPCとOM会社を一体的に監視できる仕組みを構築することにより、安心安全で安定的な水道サービスの提供に努めてまいります。

櫻井雅之公営企業管理者

大綱一点目、みやぎ型管理運営方式についてのご質問のうち、SPCと新OM会社の筆頭株主および議決権割合を把握した時期についてのお尋ねにお答えいたします。

SPCおよびOM会社の出資比率並びにSPCの議決権株式の保有割合については、運営事業者の公募における第二次審査書類に記載されており、優先交渉権者の決定後に公開した提案概要書に、SPCの出資比率が記載されております。

一方、OM会社の議決権株式の保有割合については、会社の設立に係る登記申請が5月19日に行われ、関係書類が優先交渉権者から提出されたことにより把握し、その後速やかに公表したところであります。

次に、SPCと新OM会社が担う業務の責任についてのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式の契約相手先はSPCであり、OM会社はSPCの業務の委託先の一つであることから、県が委ねる業務の責任は、OM会社の担う範囲を含めてSPCにあります。

県といたしましては、メタウォーター株式会社が単独でSPCの過半数の議決権株式を取得し、その事業運営を主導することから、代表企業として責任あるガバナンスを果たしていくものと考えております。

次に、新OM会社の財務諸表等のモニタリングとSPCとの契約についてのご質問にお答えいたします。

OM会社が担う業務は、浄水場等の運転管理や保守点検であることから、SPCを通して県が報告を受けるため、県によるモニタリングと情報公開の対象となります。

またOM会社は、SPCと連携して事業を行う重要な会社であることから、財務諸表と財務指標についてもSPCのモニタリング計画に位置付けることにより、県が継続的に監視できる仕組みとしております。

なお、OM会社が担う業務に関する情報については、SPCとOM会社の契約書等への記載に関わらず、県の情報公開条例に基づき適切に対応してまいります。

次に、競争的対話中の情報開示についてのご質問にお答えいたします。

競争的対話期間中における情報開示については、PFI検討委員会における審査に影響がないよう応募者の提案内容等を公表できなかったものでありますが、意見交換の主な項目を適時議会に報告するとともに、県民に対する事業説明会の開催やホームページでの公表など、可能な限り透明性の確保に努めております。

一方、応募者からの質問については、技術や会計、法務など専門性が高い内容が主体であり、県民によりわかりやすく整理を行う必要があったため、公表が今年3月末となったものであります。

県といたしましては、優先交渉権者の選定後、応募のあった全企業グループの提案概要や優先交渉権者の詳細な提案内容を、県議会に報告するとともに、ホームページで公表するなど、積極的に情報公開を行っており、引き続き議会や県民に対して、正確な情報提供と丁寧な説明に努めてまいります。

次に、SPCの情報公開請求に対する再検討の取り扱いについてのご質問にお答えいたします。

SPCの情報公開取扱規定では、開示内容に対しての不服の申し立てがあった場合には、外部の専門家に不開示判断の妥当性について確認を依頼することとしております。

妥当性の判断は、親会社の法務部門もしくは顧問弁護士が行うこととしており、再検討の結果については判断を行ったものを明示するなど、客観性を担保した対応がなされるものと考えております。

次に、議会へのモニタリング結果の報告や企業局決算との連続性についてのご質問にお答えいたします。

水道事業水道は県民生活を支える重要な社会資本であるため、本定例会において、県議会への報告を義務付ける条例の改正を提案しているところであり、運営権者の経営状況や施設の運転管理および水質の管理の結果等について、経営審査委員会の審議を経て答申を受けたのちに、議会へ報告したいと考えております。

また、水道料金については、運営権者と県がそれぞれ収受する合計の金額となるため、現在の料金との継続性の観点から、引き続き議会に対する定期的な報告が重要であると認識しており、企業局の当初予算と決算の議案を提案する定例会において報告してまいります。

次に、県のモニタリングについて、早期に受水団体に意見を求めるべきとのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式の導入にあたっては、関係市町村との連携が重要であることから、様々な機会を通じて説明してきたところであり、優先交渉権者の選定後には、水質管理やモニタリングの実施計画等の具体的な考え方を説明し、基本的な理解を得ております。

県といたしましては、来年4月の事業開始に向け、今後策定する各種の事業計画についても、素案の段階から関係市町村に提示し、意見を伺いながら策定を進めることとしております。

次に、自動化や遠隔操作による集中監視は、単なる人員削減が目的ではないか?また、どのようなメリットがあるのか? とのご質問にお答えいたします。

優先交渉権者が提案している集中監視システムは、すべての浄水場等を専用回線で接続し、遠隔地からの監視と制御を可能とするもので、労働人口や熟練技術者の減少などの社会的課題を背景として、ICT技術の進展により今後一層多くの分野において積極的に導入を進めていくべき技術であると認識しております。

また、この提案は、水質事故や設備の故障発生時には、事業ごとにその状況が異なるといったことがあったとしても、正確な情報収集や遠隔操作によるタイムリーで的確な判断が可能となるシステムとなっております。

さらに、災害発生時には、事業間における管路のバックアップなどによる相互融通機能の有無にかかわらず、迅速な対応が期待できるなど、多くのメリットがあると認識しております。

次に、優先交渉権者が提案した水質基準についてのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式における水質基準については、法令等で義務づけられている基準に加え、現在、県が独自に設定しているより厳しい基準を要求水準として、運営権者に求めております。

優先交渉権者の提案は、この要求水準よりもさらに厳しい基準としているものであり、季節や気象条件により源水の水質が著しく変動した場合にも基準を超過しないよう、これまで以上に運転管理技術が必要となるため、十分に評価に値するものと考えております。

次に、更新経費の削減内容と適正性及びリスクについてのご質問にお答えいたします。

優先交渉権者の提案では、温度や振動等を継続的に監視するセンサーの導入による最適な時期での修繕や長寿命化に向けて耐久性の高い部品への交換などによって、健全度を維持する手法を取り入れ、県の計画に対して、更新費用を削減する一方、修繕費を積み増す計画となっております。

これら一連の提案は、PFI検討委員会における下水道技術の専門家で構成した技術ワーキンググループにおいて、提案金額だけでなく、確実性や実現性の観点からもしっかりと議論され、適正性を評価されたものと考えております。

なお、優先交渉権者との契約においては、事業終了時において、開始時と同等の健全度を維持すること、また、継続的な調査の実施も規定しており、設備の健全性を維持することで、安心安全な水の供給を確保する制度としております。

次に、優先交渉権者の削減内容を現行モデルに反映した積算が必要ではないか? とのご質問にお答えいたします。

PFI事業においては、従来型手法とPFI手法で実施する場合の事業費を、それぞれ積算して、効果の指標となるVFMの検証を行い、PFI事業としての実施の判断を行ったうえで、事業者選定後、民間事業者の事業計画によりVFMが確定する仕組みとなっております。

みやぎ型管理運営方式においては、この手続きを経て、PFI検討委員会による公平公正な審査がなされ、優先交渉権者を選定し、すでにVFMは10.2%と確定しており、従来型手法での事業費の再積算を実施する必要はないものであります。私からは以上でございます。

岸田清実議員

再質問いたします。まず、あのー、みやぎ型です。あのう、遠隔監視の問題ですね。

ま、あの、えー、遠隔監視で十分対応できるというお話でしたけども、さっき指摘したように、たとえば水質も、その水源ごとに違う、あるいは、そのー、非常時の内容も違う。臨機応変の対応が求められる時もあるっていうのが、非常時ですよね。災害だったりするわけでしょ。

これに、たとえば機械化することで、ホントに対応できるのか? ということですよ。人がいて、そして、その水源とか浄水場、処理場を熟知しててこそですね、臨機応変の対応ができる。

そういう意味では、機械で計数化するというのは、平時ではできますよ。しかし、臨機応変の対応がですね、ホントにできるのか? ということについては答えてない。その点どうですか?

櫻井雅之公営企業管理者

当然そのー、いわゆる異常時と言いますか、事故があった場合においては、当然そのー、事業者があったその統一の、えー監視システムですべてが網羅できるか? といったことについては、それは違うと思います。

当然、それに対する体制でありますとか、そういったところについては、今までのやり方も含めて、カバーしていくと、こういう肩代わりでございます。

ただ、今回の評価はやはり、人のそういう通常の監視について、非常に評価が高ったということを申し上げたところでございます。

岸田清実議員

たとえばね、実際に現場にいる人に聞くと、この浄水場は、この弁が開きにくいとか、そういう癖があるって言うんですよ。それぞれ、浄水場、処理場、複数ある時にね、すべてを、じゃあ少数の運転監視員が、すべてマスターするのかって問題ですよ。ここどうですか?

櫻井雅之公営企業管理者

今の浄水場あるいは処理場の特性、それは当然、それぞれの現場の状況等も違いますので、いろいろな個性がある。それは、そのとおりでございます。それらを踏まえる形で、通常の監視システムを構築していくということでございます。

当然それにともなって、様々な癖をどう整理していくか? ということでございます。あの今すぐ、これは彼らの計画によれば、あと3~4年後に、そういったところを特性を踏まえて、具体的な監視システムを構築していくという計画でございますので、その中で、それぞれの浄水場に適合した、合うような監視システムというものが構築されていくというふうに理解してございます。

岸田清実議員

あの、まだあれですよね、あの、しっかり、あのう、精査されてませんよ。

それから、次にですね、あのう、議決権株式の割合ね、これ5月21日にわかってたわけでしょ。で、私が問い合わせて、次の日に資料が配られるわけですよ。6月になってから。

これ何で、きちんと、こういう重要情報が、議会に知らせられないんですか? 

なぜこういう経過になったんですか?

櫻井雅之公営企業管理者

あのう、本県のほうで知り得ましたのも、えー、SPC、それからOMの登記に基づいて、5月19日で先ほど答弁いたしましたけども、そこで議決権割合が、当然その、登記されますので、その報告を受けて、そして、問い合わせに対してお話をし、そしてまた速やかに公表した。こういうことでございます。

岸田清実議員
だから、なぜ知り得た時点で、県議会に報告されなかったんですか?

櫻井雅之公営企業管理者
先ほどの答弁のとおり、5月19日に把握し、速やかに公表したということでございます。

岸田清実議員
議決権割合について、議会に報告したのは、いつだって認識ですか?

櫻井雅之公営企業管理者
あの、ご報告しましたのは、問合せに基づいてご報告させていただきました。

岸田清実議員
じゃ、なぜ、積極的に企業局から重要情報が出なかったんですか?

櫻井雅之公営企業管理者
議決権割合について、われわれ県が知り得たのは、登記申請があった5月19日でございます。それに基づいて、えー、問合せがございましたので、われわれのほうでお答えをしたということでございます。

村井嘉浩知事
えー、ま、おっしゃるとおりでしてね、非常に、議会として関心がある事項であるならばですね、ま、そういったようなことは、えー、知り得た時点で、なるべく速やかに報告すべきであったというふうに思います。

その点につきましてはですね、今後、そういうことのないように努めてまいりたいと思いますが、今回の件につきましてはですね、えー、ま、あー、議会に、えー、ま、すぐ近いうちに、議会がありますんで、ま、その形で、その場でですね、しっかりと委員会で報告すべきものというふうに判断したものだというふうに思っております。

あのまあ、われわれ、ま、議員のみなさん関心あることであっても、委員会、常任委員会とある時に、そういうのに合わせて報告するということもございまして、そういったことについてですね、えー、議員のみなさんから、「もっと早く、ちゃんと、適時適切に報告すべきであった」というご指摘があったとするならばですね、それはわれわれとしては反省すべきことだというふうに思っております。事後、それらのことがないように努めてまいりたいと思います。

岸田清実議員
ま、あのう、議会をどういうふうに考えてるかっていう問題ですよね。

あのう、次にね、新OM会社のリスク評価、これあれですよね、SPCに監視させるということで、要するに新OM会社についてのリスク評価ってのはしなかったということですね?

櫻井雅之公営企業管理者

この選定過程におきましては、PFI検討委員会においてどういう評価がされたか? ということでございます。その旨を答弁させていただきました。

PFI検討委員会においては、先ほど答弁しましたとおり、大変いい提案であるという評価がされたということでございます。

それを受けた県といたしましても、こういった新OM会社の設立というものについては、あー、地域の雇用でありますとか、事業の継続性、そういった観点から、あー、非常に好ましい提案であったというふうに思ってございます。リスクということに関しましては、特段評価はしておりません。

岸田清実議員

あの重要な、みやぎ型管理運営方式の重要な事業の主要部分ですよね、処理場あるいは浄水場の維持管理。

そういう部分を、新OM会社っていう県と直接関係を結ばないところに業務委託するっていうね、要するに心臓部分を任せるということについて、リスク評価がなされなかったということについては、これ問題ですよね。

このリスク評価がされて、その解決策が合わせて織り込まれるべきだった。この点は、非常に欠陥だったんじゃないかというふうに指摘をしておきたいと思います。

 

わたなべ拓議員(自由民主党・県民会議)の一般質問&質疑応答

 

わたなべ拓 宮城県議会議員

わたなべ拓議員 Facebook より

 

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わたなべ拓議員

(壇上で水差しの水をコップにいっぱい注ぎ、全部飲み干して、そのコップを掲げて一礼した後に)自由民主党太白区選出のわたなべ拓(ひろし)でございます。そのままでも十分美味しい宮城の水をしっかり堪能したうえで、一般質問大綱三点させていただきます。

(中略)

6月18日に内外情勢調査会で行われた村井知事の講演を拝聴しました。知事の4期16年間の集大成と言える内容で、実に堂々たるものでした。

医学部新設、仙台空港アクセス線4時間化の実現など、東日本大震災からの創造的復興を最終ステージまで押し進め、厳しい人口減少社会ではリスクとなる第三次産業偏重の本県産業構造の転換にも取り組み、県民所得を引き上げ、浅野県政で肥大化した県債発行の漸減を実現した功績は、まことに大と言えましょう(と村井知事のほうに振り向き会釈する)。

村井県政の本領は、民間の力を活用し、小さな政府を作るという点にあるようであります。

急激な少子高齢化、人口減少社会の現実に即した、持続可能な宮城県の成長と調和を実現するために、民間の力を活用すべきは当然であります。

厳しい人口減少社会を迎える中で、水需要が大きく減少していき、施設が過剰となり、令和26年度からは水道資産のおよそ70%を占める管路更新が本格化する現実を見据えたうえで、水道事業に民間の力を導入し、合理的経営により経費削減を図ること、それ自体は合理的な政策判断であります。

その意味で、みやぎ型管理運営方式には課題もありますが、一定の合理性があるものと考えます。

最大の問題は、その一部構成員にあるのであります。優先交渉権者のコンソーシアムの顔ぶれを見ると、豊富な実績を有し信頼に足る国内水道事業者が居並ぶ中で、1社だけ違和感を覚える企業が見えます。

ヴェオリア・ジェネッツ社であります。ヴェオリア・ジャパン社の100%出資子会社であり、仏ヴェオリア社の孫会社であります。世界最大の水メジャーの支配する日本法人であります。

ヴェオリア社は、世界中で数々の訴訟の被告となり、水道再公営化の原因を作ってきました。ヴェオリア社が世界各地で引き起こしてきた水質悪化など、管理運営レベルの低下の事例や、約束された設備投資の不履行、水道料金の高騰など、企業としての資質、倫理観について、根本的に問題があるのではないかとの重大な疑義があります。

ヴェオリア社はこれまで、世界化の自治体相手に、何件の訴訟当事者となり、その結果、何件の水道再公営化が実現したのか? 当局は把握されているのか? 

伺います(と櫻井雅之公営企業管理者のほうを見やる)。

県は、海外におけるヴェオリア社の問題ある水道事業運営について、どう評価しているのでしょうか? 

また、こうした履歴を有する水メジャーヴェオリア社の経営陣が支配する孫会社を、信頼できるとお考えなのでしょうか?(と、また公営企業管理者や知事のほうを見やる)

ヴェオリア社を信頼できるとすれば、それはなぜでしょうか? 

伺います。

そもそも、なぜヴェオリアが必要なのでしょうか? コンソーシアムの顔ぶれを見るに、錚々たる実績ある日本企業だけで、十分に経営の実を上げ得るとも思えます。

先日、メタウォーター株式会社の社長の著書「WOODAP ~上下水道の未来への処方箋~」を拝読しました。 

データ一元収集管理システム、リアルタイム評価可視化システム、性能劣化予測支援システムなどの要素技術をクラウド上に構築した事例など、大変興味深い内容でありました。

県民に対する事業説明会資料やメタウォーターグループ提案概要に提案説明されている、水みやぎDX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム、デジタル運転制御技術など、すでにメタウォーター社がそのほとんどを実現している技術であり、ヴェオリアの寄与度は必ずしも高いとは言えないはずであります。

ヴェオリアがコンソーシアムに参加している積極的意義が見えません。ヴェオリアでなければ提供不可能なソリューションとは一体何なんでしょうか? 

伺います。

また、運営権者を選定する競争的対話に問題はなかったのでしょうか? 

JFEエンジニアリング東北電力明電舎、水ingからなる応募コンソーシアムAが提案した運営権者事業費は、1,538億円と、優先交渉権者の1,563億円と甲乙つけがたい提案であり、コンソーシアムAの失格は、果たして妥当だったのか? 疑問も残ります。

失格までの当局との意見交換や失格判定の経緯を伺います(と、また公営企業管理者のほうを見やる)。

また、コンソーシアムAは、一部事業の赤字を他事業の黒字で補う、いわゆるシュタットベルケ的な発想に基づく提案だったとも仄聞(そくぶん)します。独立採算性が原則だとしても、これを許容する余地はないのか? 

(と、また公営企業管理者のほうを見やり)伺います。

当局は、競争的対話において、各応募者との確認、交渉を経て、募集要項等の改訂を行いました。公益に資する改訂を否定するものではありませんが、これが許されるのなら、コンソーシアムAに対しても、せめて失格は回避できるよう募集要項に関係する選定の前提条件については、確認、交渉すべきだったのではありませんか? 

当局の所見を伺います。

SPCから管理運営業務を委託する新OM会社を、ヴェオリアが完全に支配してる点にも(と公営企業管理者のほうを見やり)、問題を感じます。

ヴェオリアの議決権株式保有割合は51%であり、ヴェオリアが取締役の選任、解任から剰余金の配当まで、単独で決定可能であります。

県は、SPCのチェックは直接可能ですが、新OM会社のチェックはSPCを通じた間接的なものにならざるをえません。県は、どのように新OM会社のガバナンスを確保できるのか? 

伺います。

また、新OM会社は、みやぎ型の業務に縛られず、管路更新なども受注可能になります。他にも、ヴェオリアが支配する新OM会社は、県の所管外の迫川流域下水道や北上川下流流域下水道などからも受注可能で、みやぎ型をてこに宮城県全体の水道管理運営事業の獲得を考えていることは明らかであります。

県民に対する事業説明会資料やメタウォーターグループ提案概要でも、新OM会社は、事業終了後も、県内に人材やノウハウ、技術が残るよう、本事業期間終了後も、継承のためなどと述べていますが、これはおためごかしと言うべきであります。

また、政府も、水メジャーを呼び込む形の官民連携を、必ずしも推奨しているわけではないことにも留意を要します。

経産省の「水ビジネス海外展開施策の10年の振り返りと今後の展開の方向性に関する調査令和3年3月」によれば、「今後は、管理運営面でのノウハウ蓄積のため、民間企業が国内での事業機会を拡大することは重要である」と述べ、オール日本企業による4つの官民連携事業のみを紹介していることからも、国策の方向性が、水メジャーの呼び込みではなく、国産水事業会社との官民連携の推進にあることは明らかであります。

そうであるにもかかわらず、なぜ自ら進んで、グローバル水メジャーに、20年間もの長期にわたり宮城県の水道サービスを委ねるようなリスクを冒すのでしょうか? 

県民の水道サービスをグローバルな流動性に直接さらすことになり、短くても20年間もの長期にわたり、県民の公共の福祉を脅かし、県内から海外への富の流出という形で、国益を損ない続けるものと危惧します。

進んでこのようなリスクを取るほどのメリットに乏しく、合理的な政策判断とは到底思えません。

コンソーシアムを構成する日本企業の能力、資質に疑義はありませんが、水メジャーヴェオリアの影響を排除できない本運営権者への運営権設定は、一旦取りやめるべきであります。

一旦仕切り直して、再度、競争的対話を実施すべきと考えますが、当局の所見を伺います。

村井嘉浩知事

みやぎ型管理運営方式についてのご質問のうち、ヴェオリア社の参画は、メリットが乏しく、再度競争的対話を実施すべきとのお尋ねにお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式の実施につきましては、令和元年11月の実施方針提案時から、外資系企業の参画を制限しない前提で、議会の議決を受け、その後の運営事業者の公募においても、この方針により、PFI検討委員会における厳正な審査を経て、今年3月に優先交渉権者を選定し、今定例会に運営権設定の議案を提案しております。

県としては、運営権者の構成員としてヴェオリア・ジェネッツ社が参画し、その技術力を導入することによって、みやぎ型管理運営方式の事業運営が、より効果的かつ効率的に図られるものと考えております。

来年4月からの事業開始に向け、優先交渉権者と連携しながら、着実に取り組みを進めていきたいと考えております。私からは以上でございます。

櫻井雅之公営企業管理者

みやぎ型管理運営方式についてのご質問のうち、ヴェオリア社の訴訟等の件数と評価および信頼性についてのお尋ねにお答えいたします。

今年3月、みやぎ型管理運営方式における優先交渉権者に選定した企業グループのうち、ヴェオリア・ジェネッツ株式会社は、フランスに本社を置く水処理企業のヴェオリアグループの日本法人であります。

県では、ヴェオリアグループの国内外の係争や再公営化の件数は把握しておりませんが、みやぎ型管理運営方式では、再公営化や他の事例を踏まえ、制度を構築しております。

また、ヴェオリア・ジェネッツ株式会社は、外国為替および外国貿易法における厚生労働省の審査を経て、現在、国内における多くの浄水場等の運転管理業務などに携わっており、これまで信頼性が問題となるようなことはなく、適正に業務が実施されていると承知しております。

次に、優先交渉権者の提案のうち、ヴェオリア社でなければ提供できない技術とは何か? とのご質問にお答えいたします。

優先交渉権者の選定にあたっては、応募のあったコンソーシアムの構成企業を評価したものではなく、全体方針や水質管理および運転管理など、各コンソーシアムから提出された審査書類に基づき、PFI検討委員会において、公正公平に審議がなされ、その結果、メタウォーター株式会社を代表とするコンソーシアムが選定されたものであります。

次に、失格となったコンソーシアムとの意見交換と、判断までの経緯、およびその理由についてのご質問にお答えいたします。

PFI検討委員会における提案内容の審査過程において、財務や経営等の専門家で構成する財務会計ワーキンググループでは、失格となったコンソーシアムの提案に、突出した損失を計上する事業があることについて、委員から疑義が示されました。

ワーキンググループの報告を受けて、その後の委員会では、当該コンソーシアムに対して、事前に質問を通知し、最終選定の場となるプレゼンテーション審査において、9個別事業ごとに健全な経営が持続可能か? についての説明の機会を与えることとしました。

プレゼンテーション審査において、当該コンソーシアムは資料を用いて説明を行いましたが、事業ごとに独立採算を取る公営企業会計に対して、一部の委員から健全経営への懸念が残ると判断され、失格という評価となったものであります。

次に、県は、応募者が失格となることがないよう事前に確認、交渉すべきであったとのご質問にお答えいたします。

みやぎ型管理運営方式における事業者の公募で採用した競争的対話は、民間のノウハウや創意工夫を積極的に活用すべき案件等の調達において、県が示した要求水準や契約書等に対して、応募者から質問、確認を受けながら、要求水準等を調整する方式であります。

競争的対話においては、応募者の中から、9事業間の資金の融通が可能か否かについての質問があり、県では、短期的な資金の融通は可能であるものの、年度を超えた融通については、経営の健全性を確保する観点から認められない旨の回答をし、すべての応募者と共有を図ったところであります。

従って、失格となった応募者においても、収支計画は事業ごとに経営の健全性を確保していることが前提となることを認識していたものと考えております。

次に、新OM会社のガバナンスの確保についてのご質問にお答えいたします。

OM会社は、SPCの委託を受け、水質管理や運転管理等を行う重要な会社であることから、業務の運営状況や結果の他に、財務諸表や財務指標といった経営状況についても、モニタリング計画に位置付けし、SPCを通して、県が確実かつ継続的に監視する仕組みとしております。

県といたしましては、SPCとOM会社を一体としてモニタリングすることにより、水道事業者としての責任を果たしてまいります。私からは以上でございます。

わたなべ拓議員

みやぎ型管理運営方式、縷々答弁いただきましたけど、やっぱりですね、私、あのう、最初に申し上げましたけども、あの会社が、名前が登場しなければ、そもそもこの論点、ここまで熱く論じなかったと、私、率直に思っております。

やっぱりヴェオリアっていう会社は、虚心に見た場合ですね、このあの数十年の歩み、あの、つらつら眺めてみると、やっぱり企業に問題あるんじゃないの? と、企業倫理やこれまでの実績にですね、問題があったんじゃないのかなあと、そう受け取る方が、県民に沢山おられる、と。村井知事応援してる方の中にも沢山おられますよ、率直に。

ですから、そういう安全保障、宮城の水に対してですね、安全をしっかり確保したい、中長期にわたって確保したいというまっとうなお考えをお持ちの方々に、大変不安視する方々多いんですよ。私も虚心に見た場合、そう思うんです。

あのう、先ほどの答弁では、特にそのヴェオリアが、あのう、どのような、これまでの再公営化の実績があったかということは、当局としては把握してない、と。

私、念のため厚生労働省にも聞きましたけども、「や~、それはわが意にあらず」と。

「大丈夫か?」と、「経済安全保障なんて、あれほど国で言ってんのに、そういう姿勢で大丈夫かな?」と率直に思いました。

私、あのう、県がですね、あのう、県民に対する資料を作られていて、それもあのう、いちお誠意を示して、あのう、のっけておられることも見ておりました。2010年から2015年については、再公営化された事例、県の資料によると68件対68件。

ま、そういう数字もあるということですね。ただですね、他には、欧州公務労連というところが出した、あのう、欧州の各自治体にアンケート取ったですね新しい資料、これですと、対象期間が2000年から2017年で、267件の再公営化が、これカウントされております。

これは労連、労働組合、欧州の労働組合ですね。労働組合がしっかりアンケート取った結果ですので、ある程度確証がとれるものだと思います。

ま、全体のパーセンテージの中で、どういう割合なのかっていうことはおくとしても、実数として267件というのは、やっぱり少なくはないということですよね。

こういうことも留意すると、やっぱりですね、ヴェオリアって、率直に問題あるんじゃないですかね。この点についてどう思われますか?

石川光次郎議長

反問を許可します。知事村井嘉浩君。

村井嘉浩知事

あの、確認なんですけど、この267件というのは、すべてヴェオリアで、えーと、日本国内の件数も入ってるという取り方でよろしいんでしょうか?

わたなべ拓議員

これはですね、あのう、欧州における実数でありまして、まあ、そのほとんどが、ヴェオリアだということであります。なぜなら、メインプレイヤーがヴェオリアだから。 というところです、ハイ。

石川光次郎議長

反問、終了していいですか? 反問、終了していいですか? ハイ。

反問を終了し、これより答弁に入ります。

村井嘉浩知事

ま、あのう、この267件のことについて、詳しくは、正直申し上げて、いま承知をしておりませんけども、ま、恐らくそういうレポート見て、判断をされたものだというふうに思いますので、えー、大きく数字は間違ってないだろうというふうに思います。

ただ、あのう、えー、私が確認したかったのは、あの、して、お答えいただいたんですけれども、267件の中には、この日本の子会社、孫会社がですね、えー含まれてるということではないというふうに思います。

実際、国内において、上水において、愛媛県松山市、あるいは栃木県の小山市、鹿児島県の鹿児島市、こういったところで、ヴェオリアグループの会社が、実際、浄水場の事業をされているというようなことを報告を受けておりまして、国内においてはですね、そのような問題を起こしてる事例は、私は、いま現時点においては、もしかしたらあるかもしれませんけど、いまの時点では、えー国内においても、日本国内において、ヴェオリアの関連会社が仕事をして、上水の仕事をしていて、そして実際、大きな問題を起こした事例はないというふうに掌握をしております。ですから、まあ大丈夫だろうというふうに思っております。

わたなべ拓議員

ま、あのう、そもそも、契約の形態が違うということと、あとはその、まあ、日本に進出して間もないですよね。いきなり、あのう、コトを起こすでしょうか? ということであります。

まあ、深謀遠慮の彼らグローバル企業でありますから、そこは違うと思っております。

また、あのう、ヴェオリアなんですけども、そもそもですね、何でこんなにこだわるかと言うと、あのう、ヴェオリア・ジェネッツは、孫会社にあたるわけですよね、ヴェオリア本社の。で、つまり100パーセント支配が及んでるわけであります。

ですので、ヴェオリア社のあり方というものが直接、この宮城においても、かなり深く影響するということ、これ明らかなんですよね。

で、また私がどうしてヴェオリアにこだわるのかと言うと、当然ながら、その今回の優先交渉権者の、あの委託先、あの新OM会社の、最大の株主支配率があるからですよね。

先ほども申しましたけども、あのう、取締役の選任から、あと報酬、取締役に対する報酬、あと監査役どこにするか? 等々、これ全部、ヴェオリア独自に決められちゃうんですよね、決定権持ってる。それだけ強い支配権持ってるところ。

で、そこに強い影響力、支配力を行使できるヴェオリア本体というものに、やっぱり関心持たないといけないと思うんですよね。普通の県民の方って、やっぱりヴェオリアって聞くと、「アレ、世界でヤバイこといっぱいやってるところですよね」と。

いろいろ、あのう、えー議会がコントロールできる云々て言ってますけども、海千山千の人たちですよ。5兆5千億円のビジネスを持つ、あの、こないだ敵対的買収で、本県に対する第2交渉権者、次点の交渉権者だったところ、買収するようなトコですよ、スエズを。

とてもじゃないですけどね、そういう履歴を持つ会社、呼び込むっていうのは、宮城の水にとって安全とは、正直思えないですよね。進んでリスクを抱えるようにも思えてしょうがないんです。

でね、そうまでしてでも、「必要なんです」と言えば、またわかるんですよ。たとえば、あのう、ヴェオリアが中核的な技術があって、それがないと宮城の水の合理化が図れないという事情であれば、私はしょうがないと思ってるんです。

ただ、虚心に見て、先ほども指摘しましたけども、えーとですね、あのメタウォーター社において、ほとんどの技術、ほぼ実装してるわけですよね。これをさらに、みやぎ型に適応させていくという作業はもちろん残っているにせよ、ヴェオリアの技術がないと、これ成り立たないというほどの関係にはないと思うんですよ。

つまり、明治10年代というのは、たとえば技術や制度、何も追いつかなかった。だからお雇い外国人、雇ってですね、法外な値段で雇ってたわけですけども、ああいう状況にはないわけじゃないですか。

で、また国の施策の方向も違ってる、と。むしろ日本企業の水事業者、しっかりと官民連携のもとで育てて、さらには海外まで進出してもらいたいというような意向すらある。

だからちょっと、やっぱり施策の方向性としてどうかな? と思うんですよね。

ヴェオリアの悪性というものを、表面からちゃんとカウントしないと、私はいけないと思いますよ。その点についてどうですか?

村井嘉浩知事
えー、まあ、わたなべ拓議員は、あーヴェオリア社が、まあ完全に、とんでもない会社だと、おー、おー、非常に問題のある会社だというふうに評価をされているのだというふうに受け止めましたけれども、まあ、私ども確かに、そういった問題のあった事例があったという報告は受けておりますけれども、ま、世界中で、ヴェオリア社はですね、ご紹介にあったように、大変大きな、いろんな事業されているという実績があるというのも、これまた一つの大きな事実であります。

で、国内においてはですね、先ほど言ったように、えー、いろんな事業を、おー、まあ、上水道の事業を、ま、されておられます。

今回の件ですね、あのう、一つ一つのグループの構成企業をですね、一つ一つチェックしたわけではなくて、メタウォーターグループとして、評価をさせていただき、そして、その中にSPCを組んで、そして、OM会社があってという形で、えー、それを評価をしたということであります。

これ、えー、えー、えーPFIの委員会においてですね、それを総合的に評価をしたということであります。従って、えーその中にはですね、えー当然会社名を全部隠して、えー知り合いの会社がいるかもわかりませんので、全部隠したうえでですね、どの会社が手を挙げてこられたかをわからないようにして、マスキングをしてですね、えー選定をしたということでございますので、極めて公平公正に調べているというふうに思います。

まあ、従って、私は、あのう、今回、えー、ヴェオリア社が、あー、関連会社がですね、えー、孫会社という表現でしたけども、が加わりましたけども、私はおそらく、えー、この評価した通りのですね、えー、結果を残してくれるのではないかと、期待をしております。

ぜひ、わたなべ拓議員におかれましてもですね、賛成をしていただきまして、えー、そしてそのうえでですね、えー、推移をしっかりと、厳しい目でチェックをしていただきたいというふうに思います。

わたなべ拓議員

えー賛成するか否かは、知事の答弁次第と、まだ心得ています。まだ2分ほど残っております。えーとですね、私やっぱり憂慮の念、消えません。

あのですね、やっぱり、あのう、今回、コンソーシアム応募したAグループ、「これ、もったいなかったなあ」と思うんですよ。

あのう、はっきり申し上げて、構成員からすると、東北電力さん、あとは七十七銀行さん、宮城県から絶対撤退する可能性なんかないですよね。

「この方々にホントはお願いできれば」という声も、少なくないと思うんですよね。ところが、あにはからんや、これ失格してしまった。

これ、事前に、競争的対話において、しっかり意を通じて、ご説明申し上げておれば、良かったんじゃないかなあとおもうんですよ。これ十分だったとお考えですかね? 

私あの、構成員の方々、メンツ見るに、とてもね、こういう誤解、とんでもない誤解をすると思えないし、また評価のほうも、一発免停ですよね。これで失格というのは、あまりにもあまりだと思います。

公益に対する大きな影響があったと思うんです。これについてどのようにお考えですか?

村井嘉浩知事
あのう、おー、私もですね、えー、PFIの検討委員会、一切、当然これ、関わらないようにしました。えー、あのう、誰が委員のメンバーなのかっていうのも聞かないようにいたしました。

もし何かあったら、これ大変な金額ですので、えー、大きな社会問題になってしまいますので、私はまったく外にいて、大きな枠組みだけ決めたあとはですね、選考に関してお話をしませんでした。

で、競争的対話をしっかりしているということも、報告は受けていたわけですが、結果といたしまして、最終選考の場においてですね、先ほど公営企業管理者が、えー、答弁いたしましたとおり、えー、委員の中からですね、大変厳しい、えー、評価がありまして、えー、経営の、健全経営の懸念が残るということで、委員から、「これは失格せざるを得ない」という評価になったということであります。

これに対してまた、私どもはですね、「そういうわけにいかない」というふうな口をはさむわけにもいかないということで、私といたしましては、「そういうPFI検討委員会で出た結論であれば、それに従います」ということで、ま、今回このような形で、議題にお諮りをしたということでございます。

あのう、おー、議員のおっしゃることもですね、私もよくわかりまして、私も、そのような結果になるんではないのかなと、ちょっと思ったこともあったんですけど、結果的には、PFI検討委員会において、全部マスキングをして、客観的に厳しい評価をした、適正に評価をした。

そして、えー、失格になったところにも、ちゃんとプレゼンテーションをしていただいて、ま、どういう理由でこうなったのか? と説明をしっかりしてもらった、と。

しかし、その結果、えー、やはり、失格になってしまうという評価になったということでありますので、これについては、公平公正に審査された結果だというふうに受け止めていただければというふうに思っております。

わたなべ拓議員

あのう、知事の答弁で、県からも一定の示唆をして、それに対してでえすね、弁明の機会も一定程度与えていたということもわかりました。

ただですね、公営企業法ですね、えー、地方公営企業法の17条の2にはですね、こうあるんですよ。

当該地方公営企業の性質上、能率的な経営を行ってもなお、その経営にともなう収入のみを持ってあてることが客観的に困難である認められると、そういうところは一般財源をもって措置しうると、措置の余地があると、こういうところを拡大解釈してしまった可能性があるんじゃないかなあと大変憂慮してます。

あとですね、私、こういうことをしっかり募集要項に謳っておればですね、こういう初歩的なミス、なかったんじゃないかと思うんですね。

今後の運用改善の、あのう、論点だと思っておりますし、また、これに関して一発免停は、やっぱり苛酷にすぎますよ。

これから20年も任せる事業なんですから、もう一度再考の余地があると思うんですけどもね、どうでしょうか?

櫻井雅之公営企業管理者
ご指摘のとおり、募集要項にすべての事業を黒字にすることと、明確な募集要項は規定してございません。「9事業ごとに健全な経営を図ること」、これが募集要項での要件でございます。

当然われわれとしては、受水市町村がおりますので、いわゆるユーザーがございますので、それぞれの事業が独立採算であること、これについては当然のことだという認識でございます。

あのご指摘のとおり、そういった、あー、あのう、それぞれ赤字になることということはございませんので、われわれといたしましては、その書類をPFI検討委員会のほうにお示しし、その中でご議論をいただいたということでございます。

その後につきましては、知事がお話ししたとおりの状況でございます。

あのう、われわれといたしましては、PFI検討委員会の中で、やはり弁明の機会も与え、そして、お話を聞いたということもありますので、まあ最大限、彼らが何を考えているかといったことについては、PFI検討委員会において把握したうえでの結論ではなかったのかなというふうに感じているところでございます。

わたなべ拓議員

えーとですね、やっぱりですね、このAグループ、もうちょっとですね、この募集要綱にその重要な論点、しっかり明記されていなかったと、それがゆえに大振りしてしまったと、あのう、空振りしてしまったっていうところが否めないし、またこの募集要項、見るとですね、参加者の欠格要件、38ページにですね、あるんですけども、あのうアドバイザリー業務に関係しているところは利害関係人として排除するというところあるんです。

ここに、ヴェオリアとKPMGの関係からしてですね、ちょっと問題が起こるんじゃないかなあと懸念も残ります。この点について、ちょっと検討を願います。

櫻井雅之公営企業管理者
募集要項におきまして規定した参加要件でございますが、あのう、KPMGグループ等の 5社と、あー、資本面、あるいはもしくは、人事面等において、一定の関連のある社でないことであり、同グループが監査を担当する企業の参加と、こういったものを、募集要項の中では制限してございませんので、ご理解いただければと思います。

わたなべ拓議員
ありがとうございました。

 

わたなべ拓議員の Facebook 記事について

 

わたなべ拓議員は、7月13日深夜に、【6月定例会総括「水道みやぎ型管理運営方式」への対応】と題した加筆版の長文記事を、ご自身の Facebook に投稿なさっています。

6月24日の一般質問では最後までみやぎ型への疑義を質していたわたなべ拓議員が、7月5日の採決で賛成票を投じるに至った経緯が詳細に記述されおり、非常に重要な指摘も多数述べられていますので、全文をご紹介させていただきます。

 

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わたなべ拓議員 Facebook より