2021年3月15日・16日の2日間にわたる宮城県議会(令和3年2月定例会)予算特別委員会建設企業分科会でも、みやぎ型管理運営方式の質疑応答が行われました。
筆者は15日は傍聴できませんでしたが、櫻井公営企業管理者・田代水道経営課長からの説明と、みやぎ型に関する質疑応答があったとのことで、16日も質疑応答が継続されました。
◆ 地元企業への影響
齋藤委員
今回の上工下水道の契約の内容について、ちょっとだけ聞きたいんだけど。
これってさ、20年の契約だっけ。それで心配するのは、20年後、主な敷設管とか何とかは全部、県で、この間はやるって聞いてるんだけど、「20年後は、敷設管とか何とかも、全部民間だ」などという話も聞いてるんだけど、それはないよね?
というのは、おそらく20年後であれば、かなり倹約すると思うのね。その時の条件も、そういう敷設管とか何とかに関する各維持管理とか工事費云々というのは、やっぱり県でやんないと、水道料金が、用水料金に転嫁されるんで、それはないようにしなくちゃいけないと思うんだけど、その辺どうなんでしょうか?
水道経営課 田代課長
委員ご指摘のとおり、いま現在みやぎ型管理運営方式につきましては、管路の維持管理につきましては、これまでどおり県の所掌という形を取ってございます。
20年後につきまして、今われわれがですね、この段階でどうなるかということ、はっきりしたことを言うことは、なかなか難しいとは思いますけれども、当然、その段階での環境によりまして、やはり管路については、もちろん設備も大切ですけれども、管路につきましてはどうしてもですね、特に用水供給代行権でございます。維持管理、修繕、更新も、県がやはり所掌したほうがいいというような環境であれば、県が継続して所掌するということになるかとは思います。
齋藤委員
あればじゃなくて、そういうふうな方向、方針であるということを、しっかりとなんかに明記していただかないと、その時の状況によって、全部民間だなんていうと、私たちがここで仮りに決めたとしたら、それが20年後に後顧の憂いなくという憂いだと困るから、その点はやはり、今回の契約とはまた別にしても、「県の基本姿勢はこうだよ」っていうのを、契約書じゃなくたって、基本指針としてしっかりと後世に伝えるように、それをしっかりやってほしい。でなきゃ、これは難しいと思うな。どうですか?
櫻井公営企業管理者
あのう、管の、いわゆる維持管理、パトロールというのは、地元企業の方々が日々、担っていただいています。現段階において、そういった環境で、いわゆるいろんな施設も老朽化しながら、敷設材が折れたり、そういったことが日々あります。そういったことについては、管パトロールを担っている業者の方々が、日々パトロールしていただいている現状でございます。
このような状況はですね、やはりあのう、今後ともですね、地元に密着する形にして、そのうパトロールをやりながら委託していくということが、非常に大事だというふうに思っております。
ま、そんなこともあって、今回の契約からは、管路の維持管理等については、引き続き県が担うということを決定したものでございます。
このような状況は、おそらくしばらく相当程度長時間、長い間続くというふうに思ってございます。われわれとしては、そういった考え方について、次の世代に向けて、しっかりと提案をしながら進めてまいりたいと思います。
齋藤委員
はい、ありがとうございます。
佐藤委員
私も、齋藤委員の考えと同じ考えを持っていたんですね。さらに、昨日、福島委員が言った垂直連携の関係です。
県として今、長期的な要素もあるんですが、大変申し訳ないんですが、一つは一方で、広域的な関係の選択も今後、市町村の水道事業については見定めて、並行して検討していかなければならない。
自由な企業の営業活動の中で、当然垂直連携の選択肢は認めてやらなきゃならない。 そのような中で、このようなグローバル企業的なSPCのところが、宮城県の水道事業を担った場合に、いま現在、市町村で水道関係の機材だったり、工事なり受けてるところが、全部下請けになっちゃう可能性がある。
そうやってくると、管路も含めてですね、資材のいわば買い占めではないんだけども、そこが大きく影響を与えることによって、県内の水道関連のそれぞれの工事関係者や資材の県内の企業が、どの程度の影響を受けるかということも視野に入れて、この問題については、もう少し企業局として整理をしておかないと、いま齋藤委員が言ったような懸念が市町村の水道事業者からは出てくる。
私は、宮城県の非常に、石巻広域企業団は、優秀な水道事業を展開してると評価してる一人なんです。だからそういう観点から言うと、やはり県内の民間事業者との水道事業の連携の中に、今日の市町村の水道事業が 成り立っているのは間違いありません。
だから、その良好な関係を維持するという、保護する、というとちょっとあれになっちゃうかな、そういう点のパートナーシップを、しっかりと 築けるような地域経済に与える影響等も、視野に入れてるかどうかということをお聞きしたいんです。
櫻井公営企業管理者
非常に重要な視点だと思ってございます。われわれ、広域連携の検討会の中に、企業局として参加させていただいております。
それはもう、われわれ、いわゆる水道用水供給事業、すなわち市町村への供給をするという立場でございますし、われわれが健全経営を成し遂げても、末端給水が疲弊したなら、これはまた問題がある。こういった観点からも、われわれは日頃の議論に参加させていただいている。
一方で、委員ご指摘の垂直連携、ま、連携のやり方というのは、いろんな昨日も議論があってあると思うんですけど、市町村の末端給水の部分、いわゆる維持管理の部分、 やはり日常の管理をしてることに対するその保護と言いますか、それをどう考えるかということでございますね。
これはまず第一義的には、市町村がまずご判断いただくということもあると思うんですけども、われわれ、その関わるというよりか、やはり、しっかりと日々の末端給水のところがしっかりと動くということが、どうしても大事だというふうに思ってございますので、まずは市町村の方が判断するというその中で、われわれとしては、どうサジェスチョンと言いますか、そういったことをしながら、よりいい管路を模索していくということだろうと思います。
「すべての管は地元に」ということの結論というのを、ここで縛れるかということは、なかなか私としては、あのう、あのう、いろんなバリエーションがあると思いますので、その中で市町村の判断に対して、われわれのほうも、しっかりとコメントしながら進めてまいりたいというふうに思ってございます。
◆ 知的財産権対象技術への支払いについて
福島委員
昨日、途中で中断したので続けさせていただきます。
昨日、ライセンス料を伴う知的財産権の対象技術の対応について、一括で支払うものは、20年間の契約が終われば、その後は無償で無期限に使えるけれども、20年間の中で生じた一定期間、利用期間支払いを必要とするものについては、20年間の契約が切れた以降も無期限で有償だという形に新たになったことについて、一括で支払うものと一定期間利用期間支払いを必要とするもの、ま、クラウドと、昨日事例を挙げましたけども、年間5,000万円から1億円ということ。
それの区別は、県が決めるのではなくて、SPCが決める、と。SPCの提案で、県がそれを了解する、というようなことだということが明らかになりました。
そして、管理者は「有効なものは受け入れる。新たな技術は受け入れる」。それは結構だと思いますけれども、受け入れたことによって、契約が終わる21年目 以降も無期限でお金を支払い続けるという契約を、いまの段階でいくらなのかということもわからないのに、契約書の中に入っているということについては、やはり20年以上先のことを縛るものであり、県民にとっても県にとっても不利益になると思うんですけど、いかがですか?
水道経営課 田代課長
知的財産権の取り扱いについて、少し考え方から説明させていただきます。
まず、事業期間中に、運営権者が導入します特許料みたいな知的財産権の取り扱いですけれども、これにつきましては、やはり事業期間終了後におきまして、追加の費用負担等を求められることのないように、つまりは水道料金の値上げなど起こらないようにということで、20年以内での使用の許諾を義務付けてございます。
この規定につきましては、少なくとも国内の他のコンセッションではございません。
みやぎ型管理運営方式におきまして、やはり水道料金の低廉化を果たすために、県にとって、県民にとって、相当有利な規定として導入したものでございます。
その中で具体的には、知的財産権を伴う水処理の設備機器、こういったものを想定してございまして、導入した段階で一括で支払うことを想定して、まずは当初導入いたしました。
一方ですね、近年、昨日の企業管理者の回答にもあったとおり、多くの分野で導入しておりますクラウドサービスのようなそういったシステムにつきましては、月額であったり、年額などのライセンス料が伴います。ライセンス料の中には、使用料であるとか、メンテナンス料に加えまして、特許料等の知的財産権が含まれるということが多いそうでございます。
みやぎ型管理運営方式、9つの事業を一体で運営を行います。それを効率的に行うためには、応募者はやはりこういったクラウドサービスを活用した総合監視等のシステムを導入するということを検討してございました。こういった有効な提案に対応する必要が出てきたということでございます、競争的対話の中で。
そのため、われわれはPFI検討委員会にも意見を伺いながら、やはり水循環という長期の事業期間におきまして、やはり県民利益に資する新しい技術、こういった技術も積極的に導入していかなくてはいけない。
そういう中で、当然導入するためには、相当の費用の発生は当然であるということから、あくまで運営権者が支払っていた金額を上限として、しかも、県が承認した場合は導入を認めるという規定を追加したものでございます。
県がこのような技術を導入するという場合の判断ですけれども、たとえばクラウドシステムであれば、独自のサーバーとクラウドシステム、これを導入した場合は、きちんと比較していただいたうえで、県、つまりは県民にということになりますけれども、そちらの方が有利だと、低廉に導入できるということを確認したうえで、ま????でありますがPFI員会の意見も伺ったうえで承認することとなりますので、まさしく企業側ではなくて、県民にとっていい提案に改善したという、追加したということでございます。
福島委員
前者の世界でもまれな契約条項として、ライセンス料無期限無償で県が使える、と。 それは素晴らしいと思います。ただそれでは納得しなかったのが、今回の参加事業者であり、競争的対話によって、後者の21年後以降も無期限で有償で払い続けなくちゃいけない、一定期間利用期間の支払いを必要とするものというのが入れ込まれたわけですね。
(筆者注:「ライセンス料が無期限無償で県が使えるのは、世界で稀な契約事項」と、福島委員はおっしゃっていますが、宮城県の「水道民営化」問題を考える市民連続講座第4回「水源から蛇口まで 排水溝から処理施設まで まるごと1社が独占・・・?」で配布された南部繁樹さんの報告資料には、フランスで、「知的財産権」に関わるサービス運営に必要なものは、契約終了時に無償で公共のものになると記述されています。)
南部繁樹さんの報告資料より
新技術を導入するのはいいんですよ。ただ、それが契約を新たに結ぶとかそういうこともせずに、県が了承するということだけで、SPCの提案によってずーっと払い続けなくちゃいけない。しかもいくらなのかというのは、いま私たちは審査できないんですね。
やはり、前の委員会でも言いましたけど、知的財産権というのは、多国籍企業、グローバルな企業が、現地法人から利益を移転するために使う手なんですよ。
理由なくお金を、親会社だから、縁があるからということで移転はできないけれども、「知的財産権を適用しているからください」ということで移転が進められている。そういう形で利益の移転が行われる、知的財産権はそういうものだということが言われております。
今回もいわば白紙の、21年後いくら払うかわからないものについてハンコ押すような、そうした契約はやはり断じて認められないと指摘したいと思います。
◆ 21年後以降の管路
で、先ほど齋藤委員からも出ました管路の問題です。
(櫻井公営企業)管理者は、できればこういう環境の中でそうしていきたいというような、ま、願望みたいな話をされましたけれども、約束として契約書の中に入れないと、20年先のことは誰も責任持てないんですよ。21年先、管路がどうなるのか、はっきりと書き込むべきじゃないですか?
櫻井公営企業管理者
契約期間は20年でございますので、20年間の中で、今回いわゆるメタ・ウォーターグループとの契約がこれからですが、それは当然、管路は入っていない。
それは、今の運営権者との関係は20年間でございますので、しっかりとそこは、管路は入れないということは、契約書の中で、これは位置付けられている。
齋藤委員からの質問でお話したのは、「今の管路の維持管理の環境というのは、地元業者がしっかりと地元に根差しながらやってるという現実は、今ある」ということでございます。
私の意見としては、そういった地域に根差した方々が機動的に動くということで、管路維持管理があり、スムーズにいっているというそういう事実がございますので、従ってそのこと、今の現実を踏まえれば、管路の維持更新については、現段階においてはやはり、われわれ県がしっかりと地元の企業と手を携えてやる必要があるだろうということで判断したというこのやり方は非常に効率的であり、一番、今の段階では、こういったやり方について、先ほど齋藤委員から、佐藤委員からもお話があったように、市町村との意見交換の中でも、そういったことを踏まえながら、直々地元業者にお願いするという体制は堅持していくということを申し上げました。
福島委員
20年先のことは、管理者も約束できないんじゃないですか?
櫻井公営企業管理者
20年先の地元の状況というのは、今の段階で予測できるかと言うと、予測できません。従って、この(建設)企業委員会の中でも、福島委員から「やらないと言えるのか?」ということに対して、私は「わからない」と答弁いたしました。
でもやはり、今の現実を踏まえれば、今の形が最適解だというふうには思ってございます。20年後の世の中等がどうなってるかということについては、それはわかりません。20年後も今のような状況であれば、やはりそのような判断になるだろうというふうには思っておりますが。
福島委員
まあ、見通せない、約束できないということだと思っております。ただ、地元の事業者さんが引き続き仕事を請け負っていくということは、21年後以降もそれは可能だと思いますけれど、その発注が県からSPCになったら、それは民間事業になり、しかも元請けではなく、下請けになる可能性も あり、同じ仕事をしても、その中小企業のみなさんに入る利益が減る可能性があるということを、私は、今回、議論、指摘いたしましたし、その恐れがあります。
そうしたことを避けるためにも、今のギリギリで保っている県の技術力ですね、管路の発注、維持管理の技術力を担保しなくちゃいけないんですけれども、20年間も現場を、運営権を売却した県が、その技術力を担保していくというのは容易なことではありません。
ということから考えれば、21年後以降は、SPCが管路の維持管理、発注業務を含めて行っていくというのが、自然の流れになっていくんじゃないでしょうか? 違いますか?
櫻井公営企業管理者
ですから、管路の維持管理、機能更新については、引き続き県が行いますので、少なくても今の条件は変わりません。従って、その点に関する技術も、伝承と言いますか、 われわれとしては、しっかりとやっていくということでございます。
一方で、いろいろ縷々、議会等でも指摘があった「処理場等あるいは浄水場等のモニタリングに関する技術力はどうなるんだ? 」というご指摘があったかと思います。
これらについても、われわれとしては、新技術に対応するように、研修等のあるいは東京都の共同の研修へも参加しつつ、また、今回、運営権者からは、彼らが主催するいろいろな技術に対して、県の監督も得ながら、そういった技術に対する習得も、県とともにやっていきたいというような提案もございますので、いろいろな機会を通じながら、引き続き技術の継承、技術の伝達というのはしていきたいというふうに思っています。
福島委員
非常に、地元の中小企業のみなさん、管工事を仕事としてらっしゃるみなさんは、これまでも県内の水道、下水道は、基本的に市町村、県の公共事業であって、堅実な仕事をして、地域に貢献しながら経営をずっとしてきていらっしゃった方々に対して、目先は今と変わらないかもしれませんけど、将来的には仕事が大手外資あるいは大手ゼネコンなどに奪われていく、仕事は来ても利益は失われるケースが非常にあるということを指摘して、そろそろ最後の質問のほうに移りたいと思います。
◆ 県と運営権者のリスク分担
契約書でリスク分担というのが、58条からあります。この中で、65条の2 突発的な事象による増加費用及び損害に関する特則というのが、12月の競争的対話の中で加わりました。
この突発的な事象による増加費用及び損害に関する特則について、繰り返しになりますが、どういうことなのか伺いたいと思います。
水道経営課 田代課長
以前も、ご質問に申し上げたかと思うんですけれども、特に、われわれ想定してございますのは、水道事業におけるカビ臭リスクの発生でございます。
大崎広域水道事業では、平成26、27年頃でしたか、2-MIB というカビ臭物質が大量発生しまして、通年であれば、カビ臭物質に対しては活性炭を投入します。これ、だいたい年間で数百万円程度なんですけれども、この27年、28年当時ですね、年間5千万、6千万とかかったことがございます。
こういった事象に対しまして、当初の契約の段階では、「運営権者収受額の定期改定で対応しましょう」ということしかございませんでした。
それでいきますと、こういった実績があると、次の料金改定の段階で、全体的値上げをしてしまわなくてはいけないということが発生してしまいます。
そうではなくて、こういったある意味不可抗力でございます。自然事象でございます。こういったものについては、県側も応分の費用負担をしましょう。応分です。すべてを負担するということではなくて、応分の費用負担をすることによって、当然協議をしたうえですけれども、費用負担することによって、次の期では、その突発的事象を反映しないで定常的な形で、料金の改定の協議をすることができるということになるわけですので、そういった考え方に基づいて、この条項について追加させていただいたというものでございます。
福島委員
この契約書の58条からいくつかのリスク分担、いまお話がありました12月に付け加えられた65条以外にも、不可抗力、自然災害などについて県が責任を負うという形になっております。
結局、このリスク分担をよくよく見ていきますと、絶対に企業は損をしないという形のものになっているというふうに読み取れます。
たとえば59条、水量の変動。
「取水可能な水量が著しく減少したことに起因して運営権者に増加費用又は損害が発生した場合は、当該取水可能な水量の減少が新たな水源開発を要する恒常的な原水水量の不足と県が合理的に認めるときは、県は,当該増加費用又は損害について補償するものとする。」ということで、水源が減った場合でも、県が補償するというような形になっているわけであります。
結局、こうした形で、SPCの損害、リスク分担はできるだけ軽減して、県が負担をするという形になっています。
それが次の利用料金の上昇抑制につながるという理屈を、課長おっしゃいましたけれども、本当にそうなのかどうかということについては、議会の側ではチェックできる術がありませんので、やはりこのリスク分担の原則を見ても、企業の利益を担保するというものになってると思うんですけど、いかがですか?
水道経営課 田代課長
まず、このリスク分担につきましては、みやぎ型管理運営方式を計画した段階から、 われわれ、水道事業、低リスク低リターンの事業だというふうに考えてございます。
その中でもって、やはり自然災害等につきましては、やはり事業者のほうに、民間側のほうにリスクを負わせることによって、彼らは、そのリスクも、今回で言えば提案額のほうに加味して出さなくてはいけないという形になってしまいます。
ここにつきましては、災害復旧制度ございます。こういった制度を活用することによって、県民の、利用者の負担を求めなくても、災害復旧することができます。こういったものについては、県側にきちんとリスクを負ったほうが、全体として有利だろうという中でもって決めたものでございます。
また、水源につきましても同じでございます。これを民間側のリスクとすれば、当然、新たな水源開発にかかるコストが、彼らは事業者として見込まなくてはいけない。こういったものまで負わせることは決して良くないだろう。決して水道料金の低減にはつながらないだろうという中で、こういったリスク分担にしたものでございます。
あとチェックの話ですけれども、たとえば、先ほど冒頭に申し上げましたカビ臭の物質であれば、当然、こういったものは、われわれ、経営審査委員会のほうに諮りながら、対応を決めていきます。
これにつきましては、昨日も出ました県議会での報告の中で、「こういったことで応分の負担を県側としてしました」とか、そういったことは、きちんと県議会のほうに、県民に説明していく義務が、われわれあると思ってございますので、そういった中で考えた制度になってございます。その辺ご理解願えればと思います。
福島委員
経営審査委員会については、後日、常任委員会の中で取り上げたいと思いますけれど、いまのリスク分担の考え方ですけれども、いま課長が自らおっしゃったように、今回、最初の要求水準書あるいは実施契約書が提案された以降、だいぶ変わりました。
先ほどの知的財産権の問題、それから、この突発的事象による増加費用及び損害に関する特則の追加などによって、本来SPCが、運営企業が持つべきリスクが軽減された分、今回発表されているコスト削減額は、当然大きくなるわけですよね。これだけ期待できる、と。「そうしたことを操作したのではないか」と指摘できるような変更であります。
問題は、そもそもこのコンセッションという形は、水源が枯渇しても、市民に安心安全で低廉な水を供給する使命がありますから、それは国も県も市町村もやります。
そうした責任とそれから負担は、引き続き県が持ちながら、運営権だけを、20年間買い取るという形で、「リスクは
最小に、利益は最大に」というのが、このコンセッションの形です。
資産を購入することもない。リスクも負わない。運営して、20年間利益を上げることができる。これがコンセッションという形です。
そもそも、コンセッションという意味、これは、政府が特定の者に与えた特権というのが、コンセッションという英語の意味ですから、まさしく、県が特定の企業に特権、利権を与える、これがこの契約、みやぎ型管理運営方式の実態じゃないですか? いかがですか?
櫻井公営企業管理者
あのう、まあ、いろいろなお考えはあるかと思いますが、われわれといたしましては、 しっかりと宮城の現状を見た時に、このコンセッション方式によって9事業をスケールメリットとしながら、今後の管路の基本更新、もしくは料金への低減効果を狙ったもの等で、一番、本県には最適だと考えるしだいであります。そういったことでしっかりと行いたいと思います。
福島委員
常任委員会もありますから、みなさんも、残った時間が、質問があると思いますから、今日はこれでやめたいと思いますけれども、単なる「今の指定管理と同じなんだ」みたいな言い方を、時々説明会などでされることがありますけど、まったく違うということを最後に指摘して終わります。
岸田委員
まず最初に、緑表紙の75ぺージ、仙台圏工業用水道のトイヤマチ(?)内の配水管敷設事業ですけど、これ谷地森との取り合いで移設ということなんですかね?
水道経営課 田代課長
仙台市の管理しております谷地森の開設所ぶんの工業用水道管の移設でございます。
岸田委員
この日、協議が難航してたと聞いてるんですけど、協議は整ったということですか?
水道経営課 田代課長
正確な年次ですね、今の記憶にございませんけれど、申し訳ないんですが、以前、何年か前に仙台市さんのほうで谷地森の改修を進めておったらしいんですけれども、傾斜場の関係だとか、一時滞ったことがありまして、一旦休止のような状態でした。
ここ数年、豪雨がありまして、やはり進めなくてはいけないということで、昨年、一昨年あたりから、再度協議を開始しまして整ったとこから、今回、工事を計上させていただいているものでございます。
◆ 工業用水道の一般会計からの借入金
岸田委員
後でちょっと具体的に、この場は急になので、後で教えてください。
あと、工業用水道の関係で、一般会計からの借入金というのが所々に出てますね。どういう状況になってるのか、一般会計からの借り入れですね、それをちょっと、お知らせください。
水道経営課 田代課長
仙塩工業用水道、仙台圏工業用水道、仙台北部工業用水道と、3つの工業用水道でもって、合計になりますが、一般会計からの借入金については、43億3千万円ほどになってございます。
岸田委員
これは償還をするようですけど、段々減ってってるんでしょうかね? あるいは、今後の償還の見込みはどうなんですか?
水道経営課 田代課長
実は、これまでこれにつきましては、償還は、実は令和3年度から開始することになってる部分を計上してございます。われわれとしまして、これまでやはり、工業用水道事業、経営が厳しかったということから、元金の償還については、まだ待っていただいてたわけですが、仙塩、仙台圏、仙台北部とも、当面、いまの水量、契約水量が維持できれば、安定した経営ができるだろうという見通しが立ったというところで、一般会計への返済を始めたということでございます。
◆ライセンス期間の歯止めについて
岸田委員
みやぎ型管理運営方式の関連でですね、いくつか伺いたいと思います。知的財産権の有償化問題ですけれども、先ほどの答弁で、使用料のほかに特許料などを含むので、そのぶんが知的財産権について有償化になるというようなご答弁でした。
そうすると、特許料というのは、調べた限りだと、有効期間20年で、その後はフリーになるっていうのが一般的なようですね。ですから、そうすると、特許の有効期間の20年と、その後のライセンス料の支払いとの関係というのは、どういうふうに理解したらいいんでしょうか?
水道経営課 田代課長
当然、事業開始当初に新たに、たとえば特許権みたいなものを取得したり技術を導入すれば、20年という形で終わりますので、それは当然のことながら、同じものをそのまま使い続けてる限りは、そのぶんはなくなるということだと思います。
われわれが、この新たに追加した部分の中では、先ほども説明いたしましたが、PFI検討委員会のほうでも、20年間という期間の中で、新たな技術も開発されるだろう、と。
そういったものがですね、同じような形で導入しようとする時には、応分の費用負担もあり得るだろうという中でもって追加した規定でございます。
当然、たとえば10年目で、20年間の特許料であれば、残り10年間については、上限としてお支払いしましょうとか、そういう形になってまいります。
ここにつきましては、そういったものを導入する段階で、われわれもきちんと、県側がきちんと中身を確認させていただいて、全体として有利だということを確認したうえで、導入を認める、承認をするというふうにしてございます。
岸田委員
ライセンス料っていうのを、いろいろ調べてみると、単に特許に関わるものだけではなくて、たとえばデザインとかね、いろんなものについてライセンス料っていうのが設定できる、と。それについては、20年ということにこだわらないケースもあるようです。
いまのお話だと、あくまでも使用料とかそういうものではなくて、知的財産権なので、特許料の使用料ということだから、そうすると、特許の20年という有効期限というのが前提になって、この有償化ということが正しいというふうに理解してよろしいですか?
水道経営課 田代課長
この分野、かなり専門的な分野でございまして、われわれも、これを導入する段階では、われわれのアドバイザーの弁護士ともいろいろ相談した上で入れました。
しかし、今おっしゃる通りあえてですね、民間企業、特許という形で取らないで、自分たちのノウハウとして、独自に知的財産を上乗せしたりとか、そういうこともあるそうです。
そういったものも、われわれは、きちんとですね、導入する段階では、中身をきちんと審査させていただいた上で導入いたしますので、そこにつきましては、そういう対応をさせていただくということでございます。
岸田委員
関連して伺いますけれども、20年で契約期間が終了して、その後の運営形態というのは、新たな運営権者になるのか、直営になるのか、ま、引き続きになるのかというのは、20年後でないとわからないんだけども、いずれとにかく、スタートして20年後には一つの節目が来るわけですよね。
そうすると、いま知的財産権の有償化ということが想定されているというのは、要するに、20年で節目が来るわけですよね。その後、知的財産権で有償化が続くというのは、どういう設定なんですかね? 想定は。
水道経営課 田代課長
あくまでですね、事業期間終了時点の中で、知的財産というのも含まれた利用料と言いますか、使用料という形でお支払いするということでございますので、次の、おそらく21年目以降の運営形態がどうなるということは、いま確実なことは言えませんけれども、この次の形での利用と言いますのは、この段階で、全体のですね、使用料、利用料という形でお支払いしていくという形になるかと思います。
岸田委員
それが、たとえば、20年目が切れて、21年目以降どの期間というのは、どういうふうに判断されるんですか?
水道経営課 田代課長
仮りに次、たとえば委託事業等になったと仮りにしたとしても、21年目以降に、すぐに次の方がいろんな提案をなさるかもしれません。ただそれは、一定期間はやはり、継続して使わなくちゃいけないでしょうから、その段階でもって決まってくるものかなあと思います。
岸田委員
さっき言ったように、特許ということであれば、20年という一つのある意味では縛りがあって、その後はフリーに利用できるというふうになるわけだけども、あえて 特許を取らないで、ライセンス料に付加をするという場合については、ライセンス料の支払い期間は自由に設定されるということになるわけですよね。その時に、やはり必要最低限の期間というものが、どういうふうに歯止めとしてかかるのかというのが、やっぱり必要なんじゃないかと思うんですよ。そこはどうなんでしょう?
水道経営課 田代課長
次の事業者が、同一システムを、たとえば運営事業を継続するという場合に、提案の中で、新しいシステムを導入する等の提案がある場合の話になってまいりますので、どのぐらいの期間を使う等につきまして、いまの段階で明言することはできないかと思います。
岸田委員
運営権者がライセンス契約しますよね。そのライセンス契約というのは20年間、あるいは途中で契約したとすれば、残りの期間ということになるんでしょうか?
水道経営課 田代課長
当然、運営事業自体は、このみやぎ型管理運営方式は20年間となりますので、あくまで20年間という契約になるはずでございます。
岸田委員
ただ、クラウドサービスとかそういうもので、こういう実態があるというのは、確かにその通りだけれども、その支払いがきちんと適正な期間、適正な価格、ま適正な価格は審査することになってるけれども、たとえば適正な期間、これをどういうふうに透明性を確保していくのかというのは、これは課題だと思いますけれども、どうですか?
水道経営課 田代課長
当然、事業開始の時点で導入がわかっているものにつきましては、契約をお願いする時点でご説明をしたいと考えてございます。
そのうえで、事業20年以下の中においても、新たに開発されるような新技術の導入にあたりましては、5年に1度、改築計画の協議を、県と運営権者が行うことになってございます。
これにつきましても、経営審査委員会での審議事項になってございますので、そういったものもですね、県議会のほうにご説明しながら導入するという形になってまいります。
岸田委員
是非、この点については、透明性を強化をして欲しい。そういうふうに求めておきたいと思います。
◆ 発注価格の適正性
次に、発注価格の適正性の問題ですね。以前も、この問題について取り上げて議論したんですけど、性能発注のもとで民民契約であるので、一定の基準を設けるということについては考えていないというような話だったと思います。
しかし、たとえば用水供給事業にしても、流域下水道にしても、自治体から利用料金を収受するわけだけども、これは、住民からそれぞれの市町村が集めた、いわば、公的な性格のものですよね。
ですから、その利用料金を、県負担分あるいは運営権者所管分ということで分けるわけだけども、そういう公的な性格の利用料金を収受をして、それに基づいて事業が行われるわけだから、そういう発注価格あるいは発注の内容、こういうものについて、適正性というのは問われることになるんではないでしょうか? それについてはどうですか?
水道経営課 田代課長
これは、以前もご回答したかと思いますけれども、あくまで、みやぎ型管理運営方式、運営権者の所掌分につきましては民間調達等になります。
これは当然のことながら、適正な契約行為をしていただかなくてはいけないということで、われわれは中身につきましては報告ももらいますし、また、もし、再委託、下請けの企業さんとのトラブル等があれば、当然われわれは、逆に報告を求めることができると、契約の内容を求めることができるというような契約処理もしてございます。
こちらにつきましては、昨日、管理者も答弁いたしましたが、いま現在、指定管理業務の中でも同じような取り扱いをしてございますので、われわれといたしましては、運営権者が適正に再委託等を行うような形で確認はしていかなくてはいけない、と。それは、企業局の義務であるというふうには考えております。
岸田委員
指定管理と大きく違うのは、たとえば機器の選定とか、様々なプロセスについて裁量が広がっているという点ですね。ですから、そこは大きく違うので、指定管理だからこうしてる、それが運営権設定業務でも、同様になるというふうにはストレートにはいかないというふうに私は思います。
たとえば今お話もあったけども、下請けの関係ね、たとえば、今回、優先交渉権者に決して、構成されている企業というのは大きいところですよね。実際にじゃあ現場でね、地場の企業が入るといった場合に、本当に適正な発注価格になってるかどうかっていうのは、トラブルになってからしか点検できないということではなくて、やっぱり、しっかり下請けを保護してですね、適正な価格で発注がされてるということは、どっかで、きちんとトラブルを未然に防止するという意味でも、こういうことに対してきちんと、こういう内容についても、透明性、あるいは適正な基準、こういうものがあってしかるべきじゃないでしょうか。
水道経営課 田代課長
ここは様々ですね、われわれといたしましては、性能発注という中で運営権者側の一定の裁量はお渡しするべきだろうというふうに考えてございます。今、県工事のように、事前にすべて契約書の提示等まで求める等については考えてございません。
岸田委員
少なくても、たとえば、一定の目安とかね、そういうものを示すということは必要なんじゃないですか?
水道経営課 田代課長
今の段階では、われわれといたしましては、そこまで実施しようというところは考えてございません。
岸田委員
そこがちょっと問題だということは指摘をしておきたいと思います。
◆ 経営審査委員会について
あと、経営審査委員会ですけれども、これ、いろんな公営機関で条例設置とか要綱設置とかいろいろありますけれども、どういう性格のものになりますか?
水道経営課 田代課長
6月の運営権設定の議案と同時に、企業局の公営企業の設置等に関する条例の中で、 経営審査委員会の位置づけも、同時に改訂という形で、設置につきまして同時に提案させていただきたいなというふうに考えているところでございます。
岸田委員
そうすると条例に基づく機関というふうに理解していいですか?
水道経営課 田代課長
その通りでございます。
岸田委員
そうすると、条例に基づく機関であれば、委員の選任というのは、どういう形でお考えですか?
水道経営課 田代課長
委員の選任につきましては、公営企業管理者の権限という形でもって、任命するという形でもって、提案しようと考えてございます。
岸田委員
その時に、これ今までの議論にあったところですけれども、もう一度確認ですが、これちょっと管理者に伺いますけど、たとえば財務の専門家とか水処理の専門家とか、そういう各分野の専門家で構成するということは、もともとずっと言われて提案をされてきました。
私も求めたのは、たとえば、利用者の代表とかね、あるいは受水団体の代表とか、そういう人たちも、そういうところに入ってしかるべき審査をする必要があるということは求めて、前向きに検討したいという答弁をいただいていますけど、ここまで来てるので、改めて構成の問題ですね、これについて、ちょっと伺いたいと思います。
櫻井公営企業管理者
まだ検討中でございますけれども、基本的にはやはり、受水団体にわれわれ共通してるし、あるいは公共下水を引き取っていますので、対象の市町村の方には、全員を選ぶというふうのは、なかなか構成上むずかしんですけども、そういったことは相談してまいりたいというふうに思っております。
いわゆる大きな意味での消費者の目で、いわゆる県民・市民の目で見ていただく、市町村の方々の担当部会など、実はこれまだ、相手方とのお話しを、これからしていく話でございますので、今そういうことを思っているということでございます。
岸田委員
これまで12月にも、さまざまな要求水準書とかの改訂が行われて、今期まで来ていますけども、やはりあれですよね、競争的対話についても、情報は限られたものしか1年間出てきていないし、そういう意味では、いろんな不安な点、あるいは心配な点、疑問な点、こういうものが、現時点では、まだ解消されるに至っていない。これはね、管理者はじめ企業局でもぜひ認めてほしい点なんだけれども、こういうところをしっかりやっぱり解明していく、あるいは明らかにしていく、説明していく。こういう作業が、一段とこれからの期間で必要になっていると思うんですけど、最後に、この点だけちょっと管理者に。
櫻井公営企業管理者
これまで競争的対話をしてまいりました。その中では、やはり、「構成企業すらもいただけない」というご指摘もございました。また、「こういった形で、契約書の内容まで変わったではないか」というご指摘もいただきました。
これらについては、少なくても、どういう競争的対話の内容が、どうあって、そして、どう整理されたか、そして、PFI検討委員会の中でどういう議論がされたか、そしてこのメタ・ウォーターグループはじめ、どういう順位付けになったか、これらについては、また引き続きすみやかに情報を提供したいというふうに思います。
まず初めに、少なくても、契約書の内容の変更等の整理については、もう、今月中に、お示ししたい。いま整理やっと終わり始まりましたので、あと今月中にお示しできる。引き続きすべての内容についてご報告をしながら、議会のほうにも県議のほうにも報告しながら進めてまいりたいと思います。
◆ コスト削減の要因
遠藤委員
私も、みやぎ型管理運営方式について、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、今回のメタ・ウォーターグループの提案書を読ませていただきまして、民間の創意工夫ですとか、知恵とか、どんなものなのか、これまではあんまりはっきりしてなかったんですが、この提案書を読んで、よりはっきりわかるようになりまして、私自身は、「期待が持てるなあ」と思ったところでございます。
それで、県が要求してきた197億円でしたか、コスト削減を、さらに100億円上回るコスト削減が提案されたということでございますけれども、年間平均5億円ぐらいのコスト圧縮ということですが、その主な要因というか、県の予想をはるかに上回るような提案がされたということだと思います。そこは、どこら辺に要因があったのかをお聞かせいただきたい。
メタウォーターグループ提案概要書https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/838240.pdf
水道経営課 田代課長
まず、197億円というこの削減額の考え方でございます。これは構想した時にもご説明したかと思いますけれども、導入可能性調査を実施した段階で、みやぎ型管理運営方式の効果といたしまして、金額的なところでございますが、「7パーセントから14パーセントぐらいの削減効果があるのではないかなあ」というふうに見込んで、この事業を 説明してまいりました。197億円は、実はこの一番下限値の7パーセントでございます。そこを条件として、事業者を応募したというところでございます。
その中で、この287億円でしたね、メタ・ウォーターグループの数字につきましては、10パーセントを超えるぐらいのそういった削減額になってございます。また、他の削減額について一番大きい前田グループでございますが、これは460億円だったかと思いますが、そこがだいたい14パーセントを超えるぐらいの削減率になってございます。
そういった意味では、われわれが期待したところぐらいは、ある程度、期待については、大きくも小さくもなかったと言います、そういった提案額であるのかなというふうに考えているところでございます。
とにかく金額につきましては、われわれも今、精査しているところではございますが、やはり大きいのは、2つほどございます。
1つは、やはり人件費になります。ここはやはり、9つの事業の統合管理によります人件費圧縮、だいたいメタ・ウォーターグループは、事業開始当初は、今と同じぐらい270名弱だったと思いますが、そのぐらいの体制で出発しまして、7年目、8年目ぐらいまでに、15パーセントぐらいの人で実施するという、220~230名ぐらいまでに圧縮していくというようなそういった計画でございました。いろんな技術を導入することによってですね。
また、2つ目は、やはり修繕等改築の計画でございます。ここにつきましては、いろいろな検査技術ですね、温度であったり、振動であったり、そういったセンサーを入れることによって、最適なタイミングで、修繕工事であったり、更新工事を実施するということで、設備の代替コストの低減を図るというところでもって、コストを圧縮していくというところがですね、大きな2つの柱になってるかなあというふうに感じてるところでございます。
遠藤委員
(委員長に向かい)提案書の内容についての質問に関しては、いいですか?
庄田委員長
それであれば、所管のほうでお願いしたいと思います。よろしいですか?
遠藤委員
はい。
◆ みやぎ型での債務処理計画について
ゆさ委員
今回、予算案、導入と、そのどの予算なのか、その観点から、導入の目的について、改めて確認を進めてまいりたいと思います。この導入は、コスト比較によって、経営努力を比較することが重要であるというふうに考えています。
1つはコンセッションの受託企業SPCが、それから、これまで公営企業会計の債務処理との比較をしっかり行って、それによって導入するということになったのかということなんですが、これまでの予算で説明していただいた管理消化、さまざまな債務処理ございますよね。
来月4月から債務処理の方向で、この債務処理の継続と、SPCとの比較検討をしたうえで、それでなおかつ、やはりコンセッションが有効であるということを確実的に思って、やはり導入に向かったのか、これしっかり比較検討したうえで、導入にあたるべきではないか。その辺は、櫻井管理者どうですか?
櫻井公営企業管理者
下水道の債務処理、これから直営と言いますか、企業局でやった場合は、やはり、相当程度の人口も減少いたしますし、下水の人口も減ると、あるいは老朽化についてという中で、今まで通りにやっていたんでは、やはり厳しい料金、あるいは厳しい企業の経営状況になるという前提から、少しでも支出を減らすという観点で、今回9事業まとめる観点から選択したということでございます。
ま、期待値で197億という数字を出しながら、これであれば、われわれの経営もいく だろうという比較をしたうえで、今回、この状況になったというところでございます。そういう意味においては、比較をしながら決したというところでございます。
ゆさ委員
そういう過程でしたとしても、債務処理は示してないですよね、その5パーセント、利率も含めて、その観点は今後どういうふうに債務処理の計画を持ってやっていくのか、その辺どうですか?
水道経営課 田代課長
既発行の企業債につきましては、当然、企業局が責任を持って完済していくという形になります。また、みやぎ型管理運営方式導入後におきましても、県が管路等の更新を実施してまいりますので、そこにつきましても適正な充当率でもって、またその段階での適正な金利でもって調達しながら、償還計画をきちんと立てながら償還していくという形になります。
いま令和3年度の予算の提案の中で、企業債の利率については、5パーセントを上限とするという形で徹底させていただいてはおりますけれども、ここの利率につきましては、他の自治体等なども見ながら上限を5パーセントと設定していただいてございますが、いま現在の借入利率につきましては、どの企業も1パーセント前後程度で借りているのが実態でございます。こういったものも変わらず、われわれは低廉な資金の調達方法を考えながら事業を運営してまいります。
◆ 競争的対話による契約書等の変更について
ゆさ委員
それで、コンセッションなんですけれども、今、いろいろお話しいただいたように、公共、つまり、コントロールするのは公共の福祉の行政であって、民間企業はリスク負担後、一定の収益を得る。でないと、SPCは運営権者としてはならないと思うんですね。
私は今の議論を聞いていて、「結局コストが高くなるのではないか」という懸念があります。
そこで、ちょっと何点か伺いたいんですけど、競争的対話、そのために競争的対話が あるというふうに思いますが、内閣府のガイドライン、この競争的対話というのは、みなさんご存知の民間のノウハウを活用する目的で、要求水準の設定に向けた対話を行うものということで、あくまでも対等な関係でということもあるんですけど、これ予算のプロセスを検証する質疑なんですけれども、結果、募集要項が2、そして優先交渉権者が19、基本協定書が10、水準書が46、モニタリング計画書が20、これ全部で、かなりの実施契約書の変更が行われているわけですよね。
これに対しては、たしかに、リスク分担ということで、SPCを導入したほうが県民の公共の福祉になればいいんですけれども、その点で何点か伺いますけれども、非常に私が疑問点があったのは、予算の関連からしますと、9事業業務計画書を削除したり、事業体ごとを削除する、計画書を削除、あるいはモニタリング計画書で事業体ごとを削除しているってことは、計画が県民に対して見えにくくなっており、SPCの中でプロセスが公開できないんじゃないかっていう非常に懸念があります。それから、9事業の財務諸表、これも削除している。
なんで、こういうことが行われるんですか? 本来ならば、プロセスをしっかりと、 計画書を出して、そして9事業も明確にしていくことこそが、私は、導入のあり方ではないかなと思うんですが、なんでこんな変えたんですか?
水道経営課 田代課長
これ、例に取られましたけど、業務の実施計画書でしたけれども、ここにつきましては、われわれとしては、要求水準とモニタリング計画書のほうで齟齬がございました。
ここで言ってます業務の実施計画書は、運営権者が実施する設計ですね、設備機器の更新を実施するための業務の実施契約書でございました。この実施契約書についてまでは、われわれとしては求めていたなかったものを、モニタリング計画書と要求水準書で齟齬があったので、訂正をしたというものでございます。
ただ、当然のことながら、出来上がったものにつきましては、県は資産を引き受けるという形になりますので、出来上がった報告書につきましては、われわれの資産になるということでしっかり審査させていただくというので、確認していくという仕組みになってございます。
財務諸表につきましては、9つの事業すべてには、実はもともと求めておりませんでした。そこを9事業すべてという形で書いていたというところも、訂正させていただいたものでございます。
いま現在もですね、決算の中では、9つの事業すべての財務諸表、貸借対照表であり、損益計算書であり、キャッシュフロー計算書、9つの事業すべては出してございませんので、そこについては、われわれのものと整合は取っているところでございます。
ゆさ委員
そうすると、財務諸表については、これまで公的公営企業管理会計と、それからSPCのほうに対する県民にわかりやすい形として公表する予定なんですか? その辺、伺います。
水道経営課 田代課長
運営権者に求めております財務諸表は、SPC全体として求めます。ただ、われわれ、9つの事業それぞれに、やはり公営企業法上ですね、それぞれ独立採算で行っていかなくてはいけないという中で、県として、9つの事業ごとに、県の所掌分と運営権者の所掌分を、きちんと整理する形でご説明していくというふうに考えてございます。
ゆさ委員
それから、要求水準書なんですけども、これ、業務計画書について、60日を90日以内と変更、時間延ばしましたね。これ、なんでですか?
水道経営課 田代課長
計画書につきましては、決算書等の段階でもお話したかと思いますけれども、当初、 実作業上、60日程度あれば提出できるのではないかという形で設定しておりましたが、運営権者側は、やはり会社法の規定上、決算書等につきましては、やはり、3カ月以内に株主総会の議決でもって提出しなくてはいけないという規定がございまして、そこにつきましては、われわれも、他の先行事例等も確認し、PFI検討委員会にもお諮りしながら、90日、3カ月以内という形で変更させていただいたものでございます。
ゆさ委員
やはり岸田委員がお話した、そして福島委員がお話したように、やっぱり知的財産権の定期的支払いがあり、この場合には無期限で有償、この項目がですね、やはり先ほどの質疑を聞いていても、この条項があって、他国、つまりフランス等ですね、これで実はコンセッションを見直してるわけですよ。
なので、私はこの条項は、非常に変更については、競争的対話というのは、あくまでもコンセッションですから対等な関係なのに、SPCがやりやすいような方向を161ヵ所ですか、変更しているんではないか、と。最たるものが、この条項だと思うんですね。
よって、日本でどこでもないこのコンセッションが、SPCつまり民間企業がやりやすい形にして、結果として、今回、不利益をこうむるのは県民ではないかということが拭い去れません。そのことから改めて、競争的対話とは、本当に対話だったのか?
犬飼管理者が、第一回のこのコンセッションの導入で、知事から言われた言葉は、「民間がやりやすいようにすること」というふうに、強く指示をしてます。そのためのコンセッションじゃないですか? その辺どうですか?
水道経営課 田代課長
先ほども答弁いたしましたけれども、この知的財産権のライセンス料等の取り扱いにつきましては、やはり長期の事業期間、20年間の事業期間において、県民の利益に資するような新たな技術については、積極的に投入を図るべきだというですね、委員会の意見も伺いながらですね、その費用について、当然のことながら、適正な価格、適正な期間ということになってまいりますけれども、そういったものについて、きちんと県が承認し、そういった中で県が認めた際、導入できるという手順でございますのでご理解賜ればと思います。
ゆさ委員
櫻井管理者に伺います。今回のコンセッションについては、これだけの変更があるというのは、契約変更ではないんですか? 競争的対話ではなくて、あまりにも実施契約書の条文にまで踏み込んだ過失忌避については、非常にあってはならない契約ではないでしょうか? この辺、どういうふうに考えています?
櫻井公営企業管理者
競争的対話の基本的な考え方については、われわれが求めるもの、それから彼らが提供できるものについて擦り合わせをしていく(筆者注:櫻井公営企業管理者の声が、小さすぎて聞き取れませんでした)。
その中で要求水準書等が、仮りに変更等が必要だとなれば、当然これは、契約書の中身も変わっていくというふうに思ってございます。これらについて実は、交渉等の担当局とも、そういったことが想定されるかどうかといったことについては、彼らからはやはり、「普通は契約書の内容について変更することについて、それは問題ないのではないか」という話を伺いました。
いずれそうは言っても、契約書の内容の変更でございますので、当然、12月にもお話しましたし、これからも、こういった内容であるということについては、改めてなぜそう変わったのか、今まで競争的対話の内容、どういった議論があったか、PFI検討委員会でどういう議論があってこうなったかというのは、大変申し訳ないですけど、ある意味、伏せながらしゃべってまいりましたので、これらについて改めて、それを開示しながらご説明してまいりたいというふうに思ってございます。
ゆさ委員
これからしっかりと開示して説明するというので、端的に聞きます。宮城県の利益は、どんな競争的対話で、利益を得たんですか? 総論だけ言ってください。
櫻井公営企業管理者
いわゆるメタ・ウォーターグループが、こういった??でやるという提言をしながら、より???のような提案をしたということでもって、県民に対しては非常に有利なことがこれから可能になると思ってございます。
ゆさ委員
そして県民のみなさんが心配しているのは、財務条件上、費用負担が増えていくのではないか? つまり知的財産権が、この20年以降には増えるのか? そういうことは、 あってならないことです。これは不利益と言います。そういうことはありませんか?
櫻井公営企業管理者
先ほど課長からもお話した通り、いま契約自体で変わっているものはしっかりとご説明いたしますし、それから、20年間の間で新たな提案、新たな技術があった時に、それが県民にとってどう有利かどうか、それはまずは、われわれが判断したうえで、その内容について経営審査委員会に諮り、そして委員会のほうにもお話をしながら、しっかりと進めてまいりたいと思います。
ゆさ委員
そのチェックする機関ですが、経営審査委員会のメンバー、それから条例で制定すると考えて、そして、それを選定するのは公営企業管理者という。知事の責任はどこにありますか? 公営企業管理者が、第三者機関としての経営審査委員会を設置する条例の責任、つまり知事の責任論、誰が最終的に責任取るかって、曖昧だと思うんですよね。 あくまでもこれは、宮城県政は知事の責任です。それは、最終決定者は、知事ではないですか?
櫻井公営企業管理者
もちろん、これは知事の発案の中でこういう形をしている、ま、今している。そういう点では、何の誰にするかということについては、私のほうでいろいろ指名をさせていただきたいと思いますけれども、少なくても、条例制定の時には、先ほど岸田委員からもお話があった通りに、どういった方々を、どういった、ま、固有名詞はまあ置いといてですね、どういった方々であると、そういったことについてしっかりと説明して、急ぐ必要があると思いますし、それから、県民に対する説明責任があるというふうに思ってございます。
ゆさ委員
6月議会もしくは一般質問の中で、県民の理解と協力を得ることなくして、この導入はなしということで、まずは受益者の市町村の議会、県民の理解、そして透明性の確保があってこそ、6月定例会になりうると思うんですが、そのプロセスはしっかりと6月まで定期的に、しかも納得すること、そして理解されること、3セットだと思うんですね。これで、6月まで間に合いますか?
櫻井公営企業管理者
これまでも、県民の方々に説明をしてまいりました。やはりまだ、それでもなかなか、この導入に対して非常に心配をするという方々がいらっしゃいます。われわれといたしましては、6月議会に向けて、しっかりと県民の理解をいただよう最大限の努力をしてまいりたいと考えています。
◆ 契約解除時の違約金
ゆさ委員
最大限求めてまいりますけど、あと、これは聞いておかなければなりません。たとえば、この事業で取り消し条項というのがありますよね、さまざまなこと。もし取り消される場合には、違約金についての返還、そして、まあ知事選もありますから、たとえば政策変更の場合、どのようなことを想定していますか? お答えください。
水道経営課 田代課長
たとえばですが、契約解除の違約金かと思います、ご質問につきましては。
当然のことながら、われわれですね、県帰責での契約解除ということにつきましては、当然われわれあってはならないことだと考えてございます。当然、20年間事業をしっかりと安定的に継続していくということを前提でもって、運営をしていきたいというふうには考えてございますが、何かの事情によりまして、県の帰責でもって契約解除という形になれば、県側に契約解除の違約金が発生したうえで、解除するという形になるかと思います。
ゆさ委員
違約金は、いかほど程度でしょうか?
水道経営課 田代課長
3億円程度だったかと思います。
(筆者注:基本協定書には、優先交渉権者構成員の責めに帰すべき事由のとき、県が、3億円かそれ以上の違約金を請求することができると記述されています。
県の責めに帰すべき事由のときは、県と優先交渉権者構成員の協議によって決定されるとしています。)
宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)基本協定書(案)
令和2年12月24日改訂版
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/825572.pdf
ゆさ委員
これ、常任委員会でも、遠藤委員が指摘しましたけれども、プロセスの公開、それから透明性と公開性とそれから第三者機関をしっかりとする、これが前提条件でなければ、制度は一貫していないと思いますので、改めて、また求めてまいりたいと思います。 よろしくお願いいたします。