宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、6月10日に提出したみやぎ型に関する公開質問状への宮城県の回答に対して、記者会見で詳細な見解を 発表しました!!

2020年8月13日、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが宮城県庁で記者会見を開き、6月10日に提出したみやぎ型に関する公開質問状への宮城県の回答に対して、詳細な見解を発表しました。

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ 

公開質問状への宮城県の回答

 

 

多々良さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ事務局)

どうも、みなさん。お集まりいただいてありがとうございます。 命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの記者レクをやらせていただきます。

私たち命の水を守る市民ネットワーク・みやぎは、6月10日に宮城県宛てに、みやぎ型管理運営方式に関する公開質問状を提出しておりました。人材育成の問題ですとか、コスト削減が本当にできるのかという問題ですとか、水質管理・水質検査の問題ですとか、何項目か聞いていたのですが、それに対して、宮城県の公営企業管理者名で私たちに対して文書により回答がありました。

私たちが出した公開質問状に対して、県から回答があったんですが、そのほとんどが、私たちの質問に対するまともな回答になっていないおざなりな回答だったと思っています。しかしやはり、この回答をちゃんと読めば、みやぎ型について問題点がよく見えてくると思っております。

今日は、その県からの回答、こんな回答しか来ないんだよっていうか、こんな回答だよということをみなさんに公開するとともに、それに対する私たちの見解を述べさせていただきたいと思っております。

その中身については、私たちのネットワークの事務局であると同時に、東日本大震災 復旧・復興支援みやぎ県民センターの事務局長である小川さんからお話させていただきます。 

 

小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ事務局、東日本大震災復旧・復興 支援みやぎ県民センター事務局長) 

先ほどありましたように、6月10日に提出したものに対する回答があったわけですが、結論から言うと、宮城県自体がみやぎ型管理運営方式の県民理解が不足しているということを再三にわたって言ってきたのに、(宮城県は)県民理解それ自体を促進しようとしているのか?ということが、今回の回答を見たうえでの第一印象ですね。

 

ここが知りたい!「みやぎ型」

ここが知りたい!「みやぎ型」 

これが今年の5月6月の県政だよりに特集で掲載されたものです。 
これを我々のほうで読む中で、公開質問状を出したほうがいいなということで、見解の一番最初のところにも書いてありますけれども、県政だより5月6月号で、説明したというふうに本当に言えるのか?ということが、第一点の我々の問題意識です。到底説明が足りていないんで、きちっと説明してほしいということで、具体的な内容を取りまとめたのが今回の公開質問状です。

第二点は、県民の理解が非常に不十分なまま、当初に設定されたスケジュール通りに 物事自体を進めていくことが、まあボクらからすると県民不在というふうに言わざるを得ないだろうと。今回、コロナの問題もいろいろ言われていますが、いわゆる「公共って何なんだ?」ということ。特に、リアルに言えば、コロナの問題で図らずも明らかになったのは、保健所の問題、絶対数が足りないという問題がありました。減らされてるんですが、本当にそれでいいのか?ということが議論されてきています。そういう意味で言えば、水道も社会的共通資本という意味で、これから どうするのか? ということについて、きちっとした議論というものが改めて必要なのではないのかということが、我々の問題意識の二番目です。

三番目は、いま触れたコロナの問題で、もう一回、再検討・再検証が必要なのではないか。たとえば、経営シミュレーションひとつ取ってみても、世の中変わってきているわけですから、大きくここで。ホントに今までの検討プロセスのままの要件でいいのかということが、大きな問題としてあるだろうというふうに思います。

冒頭に言いましたけれども、今回の回答、二つの特徴的な我々の印象ですね。

ひとつは、ほとんどの回答が、質問に対するまともな答えになっていないということです。あと、我々が聞きたいと思っていることについてまともに答えていない。そういう点で言うと、非常に残念な回答だということで、質問に対して真摯に答えたというふうには到底思えないということです。

それから、二点目の特徴というか、はっきりしたことは、今回の水道事業へのみやぎ型管理運営方式の導入というのは、一番最初に来る目的は、経費削減なんですね。経費を削減して、管路の更新だとか、あるいは水道料金の値上げを一割程度に抑えるんだということで、経費削減ができなければ全然話にならない。そういうプランなんです。そういう点で言うと、我々コスト削減の問題をいろいろ質問しましたけれども、やはり、県のコトス削減というのは期待値に過ぎない。要するに、「こうしたいね」という願望の域を出ていない。今回の回答で、改めてそのことがはっきりしたというふうに考えています。 

(公開質問状では)全部で9項目質問したんですが、特に5項目の中心的な回答の内容についてお話します。

 

質問1で我々が質問したのは、民間の運営権者に運営管理を任せるということになれば、県の職員は現場実務からさらに遠くなってしまうということです。実務を(民間に)やらせるわけですから、県の担当者は管理中心ということになる。民間の運営権者の管理をする。そうなると、水道事業の詳細についてわからなくなってしまうんですね。ここにOJTとありますが、On the Job Training、要するに、現場で教育するという 場を失ってしまう。教育の機会を失ってしまうということです。

そのことによって、実際に、県が設定している様々な管理運営水準、「この水準でやってくださいね」というふうなこと自体を、自らすることができなくなってしまう。そういう能力を失ってしまうと強く思います。と同時に、運営権者が様々な投資の判断をするという、その投資の判断自体も、適切性がわからなくなってしまう。判断できないということになってしまう。

で、どういう人材育成を考えているのかと我々が質問すると、マニュアルの整備や研修等、外部機関への研修の参加と言います。それはそれで大事なことではありますが、 本質的に、OJTの場を失ってしまって、こういう研修だけに参加させてもほとんど意味はないということで、宮城県の水道事業の将来の困難性というものを高めることにしかならないだろうというふうに思います。

二番目は、コストの問題です。コスト削減するのに民間の力を借りてやるということ ですから、民間の管理運営権を取得したいと希望してる人たちに対して、マーケット サウンディングというものをやって、各社からいろんな「こういうコスト削減できますよ」あるいは「こういうふうなことがいろんな手だてを通じてやれますよ」というようなことを聞き取ったんですね、二回にわたって。

宮城県は、「聞き取った中で、コスト削減の率をこれぐらいの幅でできるだろうというのを、マーケットサウンディングから持ってきました」というふうに言ってるんですが、実際、管理運営権を目指す人たちは、コスト削減については、ボクらのカウント から言えば、10項目ぐらいしかないんですよね。

宮城県が非常に大きい金額を試算する前提になったコスト削減のいろんな要素、「こういうことができます」ということを、民間の業者はまともに答えていなかったということが、マーケットサウンディングの公開されたものからはっきりわかった。

「事業費削減額はトータルで20年間で247億円、運営権者のぶんは197億円と見積もりました」と宮城県が言っているのは、このマーケットサウンディングで「いくつかの項目をコスト削減できますよ」というふうに答えたものをもとにして計算するわけですね。

で、「計算した結果、この247億円と見積もった」と言っていますけれども、実際のマーケットサウンディングでは、「具体的にこれぐらいの数ね」というのは、10項目ぐらいしかなかった。宮城県の報告でもトータルで11社から提案があったと言われていますが、明確な数字ではなくて、「だいたい半分ぐらい」とか。業者からすれば答えようがないわけです。実際に今やってませんから。

「民間業者の意見を参考にして、県が実現可能性のある数字として設定した」と言っているけれども、実際には、業者の意見それ自体が少なかったということで、トータルの247億円だとか197億円のコスト削減をする基礎数値を置けなかったと私たちは考えています。

根拠となるコスト削減を数値化できなかったので、県は「みやぎ型管理運営方式を導入するからには、一割程度のコスト削減ができないと意味がない。一割は少なくてもクリアしなくちゃね」ということで、エイヤアと置いたのではないですか?ということを、我々は県とのやり取りの中でずっと話をしてきたわけです。

我々の考え方を覆すようなことは、今回の質問状の中では何も答えていない。

20年間のコスト削減ということをシミュレーションしてるんですけれども、「砂上の楽観試算」で、根拠が極めて薄弱だと言わざるを得ないということです。

県は、「197億円のコスト削減は、契約の中で謳うので絶対できるんです!」と言っています。仮りにそういう契約をしたとしても、コスト削減が実現するかしないかの判断は、20年間経たないとわからないわけですよ。20年経って、実現できなかった時にどうするの?というふうなことについても、(県の回答には)何もない。

それから、中間的にどのようにコスト削減されていくのかということについて、中間的に点検する等の仕組みも、あるいは対応方法についても、明らかにしていない。こういうようなことで本当にコスト削減できるのか?ということについては、さらに疑問は深まったということです。 

質問4は、水質管理の問題で、「今までの水準を絶対下回りません」と再三、今回の回答の中でも言っています。県は、当然、「水質検査、あるいは水質管理基準というのをクリアしてください」と言ってるんですが、実際に検査の基準をクリアするために検査をどういうふうにやるのかということについては、「県が今やっている方法を参考にしてください。性能発注なので、やり方はお任せします。一番最後の水質基準は、守ってください。」と。つまり、結果オーライでやり方はお任せします、ということです。 ホントにそれでできるの?ということを、我々は思わざるを得ないわけですが、  今までの管理基準をクリアしろと言うのであれば、今までの検査のやり方だとか、あるいは 試験のやり方だとかを、そのままトレースすればよい、同じようにやればいいわけです。何も難しい話ではなくて。それを、「今やっていることを参考にして、それぞれみなさん提案してください」というやり方にするとすれば、本当に安全性は確保されるのかという疑問はさらに深まってしまう、あるいは、解消されないということになると私たちは思います。

それから、もう一つ。これは県民の方々が不安だということで(みやぎ型の説明会で)いつも出されるわけですけれども、海外でいま水道事業の民営化されたものが再公営化される動きがあるということを、我々は質問の中で指摘をしたわけです。

海外での再公営化に関する資料では、再公営化の原因で多かったとされるものの中で、水道料金の高騰ということと、水道施設の管理運営者のレベルが低かったということ、この2つが再公営化の中で一番大きかった点だったんですが、これは厚労省の研究会の中で出されたもので、県はこれに参加していますから、これをどういうふうに教訓化したのかと質問したのに、書面では回答していない。

端的に言えば、県もわからないわけです。海外で何で再公営化したのかなんていうのは、県が直接調べるわけではないですから。そういう点がはっきりしないなら、「はっきりしないんだ」と言ったほうがいいとボクは思うんですが、言わないんですよね。 今までも、厚労省だとかの水道に関するデータをトレースして、こういう教訓ですと言っているに過ぎない。

最後に、下水道の問題です。今回の水道事業の3事業、上水道・工業用水道・下水道の民営化の中で、最初の2つである上水道と工業用水道は、受け手がはっきりしています。上水道は、我々が水道の蛇口から、工業用水道も工場ですが、下水道はそういう人がいないんです。自然界に流すわけです。下水道の水質管理をどういうふうにするのかは、環境負荷との関わりで極めて重要です。下水道でいたずらに経費削減すると、今言ったような構造にありますから、環境負荷に関わるような水質問題が発生する可能性があるわけです。

下水道で経費削減を見込んで、「経費をこういうふうに削減します」と言ってるんですけれども、どのように削減しようとしているんですか? やっちゃいけないことも経費削減でやるというようなことになれば、問題だと思ったから個別具体的に質問したんですが、「質問3で回答した通りです」と回答しているんです。

ところが、その質問3で、「3つの事業ごとに経費はこういう項目でこういうふうに削減しますよ」ということを求めたんですが、県はそれに回答していなかったんです。 (質問3で)何も回答していないにもかかわらず、「質問3で回答した通りです」と言うのも、またこれは二重にへんちくりんな話です。回答しなかったことについて、それで回答した通りですと言う。これが一番、我々からするとカチンとくるところですね。

県が掲げるみやぎ型の導入目的、これは民間の力を最大限活用することによって、経費削減、更新費用の抑制、技術継承、技術革新等を実現し、持続可能な水道事業経営を確立することにあります。ならば、一番最初に出てくる経費削減、これができなければ 何も始まらない。しかし、この経費削減の中身を質すと、まともに回答しない。説明もしない。

当初県議会で確認してもらったスケジュールをとにかくそのまんま、コロナがあろうがなかろうがそのまま進める、いわゆるスケジュール有りきで進めようとするスタンス、これが一番非常に象徴的なことなんじゃないかと思わざるを得ません。

そういう点で、県の回答は到底納得できるものではないわけで、みやぎ型を県は「水道民営化ではありません」と言うけれども、「やっぱり水道民営化なんじゃないの」と 思わざるを得ないような説明がされている。県民の疑問と不安に答えるものではないと我々は思いますので、今日(県が)コメントしてない部分も含めて、第二次の公開質問状を発することを考えています。私のほうからは以上です。

 

佐久間さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ共同代表)

全体的な印象は、問いに対して、何か不可解なお答えが出たということで、「こういうことしか書けないのかなあ」と思ったんですね。公開質問状の前にも私たちは、県と様々な機会に面談したり意見を述べてまいりましたが、何か全体がよくわからない、 全体像が描けないということだったんです。

3月13日に事業者の公募をするということで、公募関係の膨大な資料が公表されまして、私たちもそれを検討させていただきましたが、文字数は多いんですがよくわからない。そういったことも踏まえて質問したわけですが、「公募資料の要求水準書を見ろ」とかですね、そういう答えが返ってまいりまして、正直言って、もうちょっと真面目に、同じ答えであっても、少し丁寧に答えていただけるのではないかと多少の期待は 持っていたんですが、そうじゃない非常に型通りのホントに簡単な回答が出てきたということで、県民に対する説明というものをどういうふうに考えているのかな?と非常に大きな疑問を持ったということです。

2点目は、いま小川さんが申し上げたように、謳い文句は「経費削減」ですね。将来的に管路の更新費用が必要になったり、人口減少・節水型社会で収益が減っちゃうという中で採算が難しくなり、このままでは運営が危ういので、あるいは水道料金の値上げを避けられないので、民間の知恵を借りましょうと。民間にお願いするには、どういう 具体的な削減の効果が出てくるのかということが、経済合理性の線で一番重要なわけですが、それについて、まあ答えがなかった。

逆に、県が期待した数値に過ぎないということが、これまでも何回か言っておりましたけれども、公営企業管理者の 正式な回答として、公式の文書として出てきたというのは、 マイナスなんですけれども、大きな特徴だし、メリットではなかったかと思います。

私たちはコロナという経験をして、公共事業というものについてもう一度再認識をしている最中だし、コロナは世界をまたにかけるグローバル企業というのも、なかなか従前どおりには立ち行かなくなる可能性があるという新たな歴史的転換期にいるわけです。

そういうなかで、私たち一市民として、コロナ前の社会の価値観から構想されたこの みやぎ型というのが、これから本当にやっていけるのかなという大きな不安を持っているんですね。それについて、まあ質問ではないということかもしれませんが、県がそれなりに真面目に考えて、それらの考え方がどこかに言葉の端々にでも出てこないだろうかと期待していたんですが、そういうのは一つもなかったということです。

それには非常に失望いたしましたし、この重要な時代に、宮城県の水道3事業、220万人の宮城県民のうち198万人が対象になる流域に住んでいるという大きな事業の転換で、しかも全国初の制度になるんです。こういうものについて、私たちの特に真摯な問いかけについて、一片の回答もないというのは、非常に怒りを持っておりますし、こういうことを考えられない行政というのは何なのかな?と非常に不安感を持ちます。

 

中嶋さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ共同代表)

公共サービスは国民の生活に直結するわけですから、それについては、通常とは違った丁寧な対応をすべきだということが規定されているんですね。2009年の公共サービス 基本法の中では、丁寧に説明すると同時に協働するということが前面になっています

www.shugiin.go.jp

今回の回答もそうですけれども、一緒に公共サービスの中身を高め ようという姿勢が全く感じられないですね。これがとても残念と言うか、遺憾なことだと思います。こういうような状態ですと、(公共サービスとしての水道の)質そのものの劣化を食い止めることはできないだろうと思います。徹底した議論を私たちも持ち掛けていくし、議会でもきちんとこの点について深めていただくようにお願いしていこうと考えています。

 

多々良さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ事務局)

以上が私たちのコメントですけど、ちょっと一点だけ。

この件の回答の中で、コスト削減額は期待値だと言っているのはどこなのかということだけは、ちゃんと訴えておいていただきたいと思うんですが、お配りした資料の中の 7月22日という日付が入っている県の回答の2ページ、回答の3行目の「コスト削減額は、これらの意見を踏まえた『期待値』として、県が設定したものです。」の部分ですね。

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「これらの意見」というのは、小川さんが説明したマーケットサウンディングのことです。簡単に言っちゃうと、業者からの聞き取りです。小川さんの話に合ったように、 業者は実はたいした説明はしていないんですけど。中身はないんだけども、いちおう県が言うには、業者からの聞き取りを踏まえて期待値として「県が設定したものです」というこの言い回しがまた微妙だと思うんだけど、算出したものでもなければ、試算したものでもないんですよ。エイヤアと置いたってことです。「一割ぐらい減るって言わないとマズいよね」と。

さらに3ページを見てください。

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3ページの回答のところにも、4行目に「マーケットサウンディングにおいて、3事業の費目ごとの削減率を定量的にヒアリングしたものではありません。」とあります。

3事業というのは上・工・下ですね。その内訳さえ、別に聞き取ってないと。定量的には何もないし、内訳はないと。つまりは、根拠がないと言ってるの等しいんじゃないかということです。

さらに、その下がふるってるんですけど、「民間事業者の募集に当たっては、197億円以上のコスト削減をすることを条件に提案を受け、選定された民間事業者とはその提案内容を盛り込んだ契約を締結することから、197億円以上のコスト削減は間違いなく実現することとなります。」

つまりは、197億円削減するという契約書を結ぶから、必ず削減できるんだと言っているんですね。これはちょっと、「〇は〇だと約束したから、必ず〇になります。△は△だと約束したから、必ず△になります。」みたいな子供だまし的な論法で、県の根拠はこれしかないということです。

 

マスコミ各社からの質問

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仙台放送

もう一度同じ答えになってしまうかもしれないんですけど、いま多々良さんのお話に あったこれまでの意見を踏まえた2ページ目にある「『期待値』として県が設定したものです」と回答してきたことに対して、もう一度簡単でかまいませんので、どのような見解なのか、意見をもう一度よろしいでしょうか?

 

小川さん

いや、あの~苦しいんだと思うんですよ、県は。マーケットサウンディングというのは、4,000万円かけたんですよ。日本総研にお金を払って調べてもらったんですよ。

ところが、ボクらさっき例を示しましたけど、(日本総研の提案書を)全部見たんです。県も当然見て、コスト削減がどれぐらいの件数で提案されたのかここに書いてあるんです、確かに。日本総研の提案書の中でも、「合わせると11社11件ありましたよ」と書いてあるんです。

それは、どういうふうな表現だったのかと言うと、今日は時間がないのでなかなか明確に説明できませんけど、たとえば、「半分ぐらいは削減できるんじゃないか」とか「5%いけばいいほう」とか、こんな話なんですよ、業者が答えているのは。

つまり相当ファジーで、明確に定量的に「何パーセントできます」ということを、きっちり言い切れるような答えはほとんどないんですよ。だから県は困ったと思うんです。
たとえば、「10社ぐらいから10%ぐらいいくと出された。一番多いのは 15%だったけど、15%じゃちょっと大変だから、中間値とって10%にしました」という 論法は使えなかったんです、数が少なくて。で、抽象的な話だけだったんです。

そういう点で言うと、先ほど言いましたように、県は大変困ったと思うんです。困ったけど、設定しないといけないので、非公式にはボクら県とやり取りしますが、その時に「エイヤアと置いたでしょう?」とか質問するわけですよ。そうすると否定しないわけですよ、県は。「10%程度いかないと、みやぎ型管理運営方式やる意味はないと言われるので、10%って数字」ってことも、やり取りの中ではあるわけですよ。 ただ、それは、当然公式には認めない、公式には言わないことです。

だけど、トレースしてみると、いま言ったような理由で言えないんだなっていうことがよくわかったということです。

 

佐久間さん

いま小川さんが言ったことは、公開質問状の4ページに、マーケットサウンディングの結果について等を私たちが分析した非常に大雑把な数字が並んでおります。(業者の)回答のないところもいっぱいありますが、こういうようなアバウトな聞き取りの結果が出てるということなんですね。

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miyagi-suidou.hatenablog.com

だから、一つ一つを積み上げてこれだけの削減ができると いうような緻密で厳密なものではないです。

先ほど多々良さんが言った県の回答の3ページ、『期待値』のところでも、「契約するから実現することになります」という絶妙な表現ですね(苦笑)、これには、正直言って驚いているところですが。

 

多々良さん

私も民間で商売をしてたんですけども、契約ってなんぼでもできます。20年契約ですし。根拠もない、試算もない、シミュレーションもない20年契約。「契約したから、 必ず実現します」という言いぶりは、ちょっと(苦笑)。民間で働いてきた人だったら、怖くて絶対言えない。みなさんも民間ですが、どう思いました?

 

佐久間さん

ぜんぜん自然現象で実現するみたいに書いてありますが、これもある意味で、「契約 したから、契約の結果を達成できないのは相手方の責任だ」ということになるんでしょう。けれど、この事業を、こういうなんか危うい、実現するかどうか正直確信を持ててないのを、約束を持って実現させるから大丈夫だという論法で進めるというのは、非常に危ないなと思いますね。

契約が実現できない相手企業が破綻したらどうなるのか?「破綻したら、次なる業者に引き継いでもらう」と言いますけども、次なる業者がいるかどうかはわからない。次なる業者が現れるまで、その隙間の水事業をどうするのか?という問題もありますよね。

ですから、そういう意味では、やっぱり県民の大切な水を守るのには、万が一の危険があるのを避けるというのが、ごく当たり前の事業のやり方だと思います。よくわからないけど、『期待値』で契約をして、契約に則り業者が責任を持ってやるべきだというのはですね、論法的に破綻している。県がこれは実現性があるとかなりの確信を持って実施していくのならいいですけど、それでも危ういわけですね。「契約した業者が悪いんだ」と逃げの論法に通じないとも限らない言い方ですから。これは非常に本末転倒ではないかと私たちは思っている。

 

河北新報

今回は公開質問状を出しましたけど、この後は、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎとしてはどのようなことをしていくのでしょうか?

 

小川さん

ここにある市民講座で、市民の方々に理解してもらうというのがあるんですけど。

ここがヘンだよ!みやぎ型

公開質問状の目的の中でも言いましたけど、ボクらはね、県民理解をちゃんとすべきだということなんですよ。ちゃんと県民の人たちが、宮城県の水道の 現状はどうで、これからどうしていくことが必要なのか、と。人口が減っていくわけ ですから、厳しくなるのはみんなわかっているわけです。ある意味では、ふわっとね。

問題は、そこで議論するということだと思うんですね。そのために、公開質問状を出したし。しかし答えてくれない。ならば、この市民講座のような形でやりながら、もう 一回質問状を出して、「とにかく議論しようよ」ということを、県に何回も問題提起していくということを、我々の活動としてはやり 続けていくことが必要だと思います。

 

多々良さん

よろしいですか? 実はですね、宮城県企業局が9月9日に、みやぎ型に関する説明会をやるという告知が出たんですね。これも、この間コロナで半年間くらい、ほとんど住民に説明する場が一切なしで、手続きだけトットトットと進めていたということで、それに対して私たち批判していたわけですね。そのことをかなり気にして、ホントに今回 人集めていいのかなあ?というのがありつつ、でも、無理やり設定したなと思うんですけど。

なので、この9月9日の県がやる説明会の場にも我々は参加して、公開の場で、今回質問したようなことをもう一回ぶつけていくことも合わせてやりたいなというふうに思っています。

 

みやぎ型管理運営方式説明会

 

みやぎ型管理運営方式説明会

 

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