宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

近代水道始まりの地・大崎市古川で、みやぎ型 管理運営方式の質疑・討論が行われました!!

2020年2月8日、大崎市吉野作造記念館にて、ふるかわ平和のつどい・ふるかわ九条の会主催の第14回市民と市議会議員の新春懇談会が開催され、「水道の民営化を考える」というテーマで質疑・討論が行われました。永澤才吉

「みやぎ型管理運営方式」(コンセッション方式)について

 

宮城県企業局 次長兼公営事業課長 佐藤謙一さんのお話

みやぎ型管理運営方式は、世間一般に民営化と言われるが、水道法上の水道事業者は、今後もずっと宮城県のままで、水道事業全体の中の一部について、民間の方に運営権を委ねるもの。

水道事業を民間に委ねることは、前の水道法でも可能だったが、水道事業を全部民間に譲り渡して、民間が運営するというやり方しかできなかった。宮城県の責任を最後まで残してやっていくために、水道法を改正していただいた。

みやぎ型では、上水道だけではなく、工業用水道と流域下水道にも運営権を設定するが、本日は時間が短いので、みなさんのテーマである水道、上水道に絞って説明させていただく。

宮城県のやっている上水道事業は、水道用水供給事業と呼ばれているもので、市町村に水道水の卸売りをしている。市町村にもよるが、だいたいは、そこに自分達の水源の水も混ぜ、県から買った水と一緒に売るという形になっている。

宮城県浄水場の運転管理は、県の職員はやっていない。既に30年間、だいたい、5年委託という形で民間で運転している。

みやぎ型になって、今までと何が変わるかと言うと、運転管理をしている方々が、日頃使っている浄水場の機械設備を一番よく知っているので、その機械設備の更新もやってもらったほうが適切だし、さらに調達価格も安くなる。また、浄水場の薬品の購入もやってもらう。

それ以外の浄水場を出てから大崎市の受水タンクまでつながっている管路の維持更新工事や、水道法に基づいた水質検査51項目プラス150項目の合計200項目ぐらいの水質検査は、みやぎ型導入後も、県がそのままやる。

これから人口は急速に減り、2050年には今の宮城県の人口が50万人ぐらい減って180万ぐらいになると予想されている。 今、大崎広域水道の水道使用量は1日当たり7万5千㎥ぐらいだが、40年後には5万㎥ぐらいに減る。 

水道事業は装置産業と言われていて、みなさんが支払う水道料金のほとんどは、施設・設備にかかるお金。借金をして浄水場を作り、長い管路を作って、何十年とかけて返していく。水の使用量が半分に減ったとしても、かかる経費はそんなに減らない。

このまま需要が減っていけば、いま1㎥当たり120円ぐらいのものが、40年後にはおそらく160円ぐらいになる。

4~5年前に宮城の水道ビジョンというこれからの水道事業の経営見通しを作った中で、こういうシミュレーションをしてみたところ、将来大変なことになるとわかり、何とかでないかと3年前から検討して来たのがみやぎ型管理運営方式。

大崎広域水道事業は、今のままやっていくと、20年間で630億かかるという試算だが、施設の更新などを民間に任せると549億になり、事業費削減効果は82億円の見通し。

その結果、今124円ぐらいの水道料金が、このままいけば160円近くまで上がるが、 140円弱まで抑えられる。

どうして民間に任せるとコストが削減できるのか? 

水道料金は、施設・設備の更新費用が非常に多額で、それを20年間の減価償却費で返していくので、設備の更新工事費を抑えれば、大きな節減になる。

県は公共調達なので、県のほうで予定価格を作って入札をする。それに対して、民間の工事は、工事業者を呼んで価格交渉をする。「来年はこういう工事を予定していて、 来年の工事も任せるから安くしてくれないか」とか、「ここで安くしてくれたら、今後長い付き合いをさせてもらう」とか言って安くしてもらう。公共調達と民間調達では、建物は1割以上値段が違っているのが現実。我々は、価格交渉した段階で、警察に捕まる。

一昨年、水道事業のいろいろなメーカーの方々にヒアリングをした結果、82億の削減額が算出された。これから3月に募集要項を公表して募集を開始する。いま県がやって いる630億のうち、民間に任せるのは360億で、募集をする時は、これを「298億より下でやりたい方、手を上げてください」というやり方をするので、募集の段階で、間違いなく県がやるよりも安くなる。

ただし、この水道料金は、あくまで県から大崎市に卸す時の卸値になる。日本中の水道と同じように、大崎市の水道の経営は苦しい。県の卸値からどういうふうに水道料金を設定するかは、大崎市の経営の戦略になる。

今後のスケジュールについて。

コンセッション事業は、本格的に手続きを踏んでいくためには、議会の議決が必要になっている。 昨年の11月の県議会で、この議決をいただいた。3月中ぐらいに募集要項を公開して、募集を開始する。ここから約1年かけて運営権者を選定する。

なぜ1年もかけるのかと言うと、ただの価格競争ではないから。 水質を守るための要求水準書に対して、民間企業は、自分達はこういう体制でやる、こういう中身でやるという詳細なものを出してくるので、それを我々が見る。

たとえば、「県は毎日人手でやっているが、自動測定の機械を入れたほうがいい」などと提案があれば、県はそれを受けて、民間企業に要求する水準を再検討する。こういう繰り返しを3回ぐらいやって競争的対話をするので、1年ぐらいかかる。

そして、民間事業者が決まった段階で、さらに1年半ぐらい後、令和3年の6月議会か9月議会で、この事業者とこういう内容の契約を結んでよろしいかという運営権設定の提案を議会に出して議決すると、運営権の設定ができることになる。

加えて、厚生労働省がその中身を審査して、許可を得なければならない。いまの全国の水道と同水準が守られるか、急に撤退することが起こらないような制度をきちんと作っているか、災害の時にはどういうやり方をすることになっているかを全て審査を受け、そういうものが現在と同等以上であれば厚生労働省の許可を得られる。 現在のところ、事業は令和4年の4月にスタートしたいと考えている。

事業の継続性について。

1年かけて業者を選んでいく中で、単なる価格競争ではない、事業の継続性をどうやって担保するのかの提案をさせる。この事業をやるためには、新しい会社を民間に作ってもらう。一般的には、金融機関、設備のメーカー、運転管理をする会社、そういう会社が集まり、新しい会社を作ってこの事業をやる。

提案の時には、新しい会社の親会社になる会社、たとえば金融機関とかが、事業の経営状況が芳しくない場合は、自分達が責任を持って資金を調達するとか、あるいは、こういうものに対応できる保険をかけるとか、さまざまな事業の継続性を担保するやり方について提案をしてもらう。

会社のグループの代表企業の資本金は、50億円以上でなければならない。資本金50億という水準は、東証1部上場企業のだいたい上位半分の規模の会社。

今回、新しく、経営審査委員会という第三者機関が、経営状況などを監視する。水質をどうやっているかの体制なども含め、第三者の目で、あるいは、専門家の目でチェックしてもらう。県も、経営状況は随時見ていく。

それでも何かの事情で事業を撤退するときは、勝手に撤退してはいけないという契約の条件になっている。まず県に違約金を払い、新しい引継ぎ先が決まるまでの間は、事業を継続しなければいけない。

災害時の対応について。

県の水道事業は、そもそも、県職員が浄水場を運転管理していない。今でも、民間企業がやっている。この前の地震の時は、民間企業と県が協力して復旧をした。

浄水場の運営権が民間に移ったとしても、法律上の水道事業者は宮城県のままなので、当然、今までどおり国の災害復旧制度が使える。国からお金を持ってくるのは県の役割になるので、県がイニシアティブを取って災害復旧にあたるのは、今までと変わらない。 

諸外国では民営化された水道が公営化されているというという声に対して。

誤解がある。そもそも、みやぎ型管理運営方式は、どちらかというと、民間の仕事を増やす、範囲を広げるもので、民営化という概念ではない。

それでも一応海外の話をすると、フランスは今全体のうち96.8%は民営のままで契約を更新している。民営から公営に移ったのは1.1%で、同じ期間で公営から民営に移ったものが2.1%。件数は、民営から再公営化したのは68件で人口は64万人。それに対し、公営から民営に移ったのは68件で人口は111万人。

ベルリンの例は、東ドイツと西ドイツが合併した時に、東ベルリンの水道がものすごく老朽化していたため、ベルリンの水道公社はお金が必要になり、民間に出資を募った。公社だが民間資本がたくさん入ったので事実上民間主導となった。その後、老朽化した東ベルリンの水道をどんどん工事したため、水道料金がどんどん上がった。

これに対して市民が怒り、しかも水道料金を上げるときのルールがしっかり決められていなかったので問題になり、民間の資本が入った株式を公営側が買い戻した。その金額が1700億ぐらい。

「命の水を民間にというのは不安がある」という気持ちはよくわかるが、我々も、そういうことが決して起こらないような制度設計を相当緻密にやっていて、契約書も150頁ぐらいになる。是非ご理解いただきたい。

 

「コンセッション方式」に対する市水道部の考え方について

 

大崎市水道部部長 中川博さんのお話

みやぎ型導入にあたり、私共受水市町村としては、これからの水道を取り巻く環境は、人口減少によって給水量が減り、収益がだんだん減っていき、高度経済成長期に建設された水道施設の老朽化でこれから集中的に更新をすすめなければならないため、巨額の事業費が必要となる。宮城県も市町村同様に厳しい環境にあると思う。

そうした中で、将来に向けた解決策の一つとしてコンセッション方式を導入したと理解している。これまで宮城県からは幾度となく市のほうへ企業局の管理者をはじめ担当の方々が来られて、ご説明をいただいている。また、県内受水団体の担当者を対象に、県情報会も多数開催されてきた。

私共も初めの頃は、削減が果たしてどのくらいになるのか、また、削減された費用が、受水費にどう反映されていくのかが、良く理解できない所があったが、説明をその都度いただいているうちに、導入にあたっての宮城県としての立ち位置、あるいは外部からの監視体制、そして水質の確保など、用水供給事業としてしっかりとこれまでと同様に責任を持って進めるということが示されてきたので、受水団体としては、責任ある立場の維持と安全性の確保、そしていくらかでも安い料金を目指してもらえるのであれば、将来の厳しい経営に対する宮城県の有効な対策であると受け止めさせていただいている。

コンセッション方式導入に対しては、県内はもとより全国でもいろいろな意見が出されている。本市議会においても、この方式に各受水団体も含めて進められていくのではないのか、水の安全性はどうなのか、市のメリット・デメリットは何があるのかという質問をいただいた。

市がコンセッションに入るか否かは、市町村で行うことになっており、強制ではないということ、水の安全性については、これまで同様に宮城県が水質検査を実施し、第三者委員会でのチェック、国からの立ち入り検査も実施して、これまで以上の安全性を確保するということ、市のメリットとしては、導入によって事業費用が削減され、受水料金の値上げの抑制になるということ、デメリットについては、この方式導入によって心配されていることに対して、宮城県では解決できるよう制度設計をするとしていることなどから、本市としては、この方式により効果が上がることを期待するとした。

現在、大崎市では、総給水量の約65%を大崎広域水道に頼っている。リスク分散という考えからすると、もう少し市の自己水の割合を上げていきたいが、受水市町村の要望によって建設された大崎広域水道なので、自分の所だけ受水量を減らせばよいというわけにはいかない。そのことについては、受水団体の給水量の実態を踏まえていただきながら、県と協議ということになると思う。

6割以上の水を県水に頼っていて、支出額においては総費用の約3割を占めているので、この影響はかなり大きい。本市としては、できるだけ安い料金で安全な水を、安定して届けていただくことが第一と考えている。宮城県には、その点をしっかりお願いしたい。

ここで少し、本市の水道の歴史をご紹介させていただきたい。

本市の水道は、1市6町が一つになったもので、旧古川市の水道は、明治16年に、当時の古川村においてコレラが大発生して死者60名を出したことをきっかけに、水道建設に着手し、翌年の明治17年に完成して給水されたのが始まりで、全国でも横浜市に次ぐ歴史を持っている。今年で創設から137年目ということになる。

この間、人口増に伴う何回かの拡張工事が行われ、昭和55年には、大崎広域水道からの受水が開始した。このことにより、旧町では自己水から県水に100%切り替えた地域もあり、県水を受水していない地域もある。

県水を受水してから今年で満40年目を迎え、施設も老朽化が進んでいる。次世代に安全な水を安定して供給するには、施設の耐震化や更新が必要で、昭和一桁に敷設された管路も存在しているので、早期に更新していく必要がある。

今後は、人口が減って、給水量が減っていくので、これまでの能力を有する施設として更新するのではなく、ダウンサイジングしていきながら進めることが大事だと思う。

また、災害時の給水拠点として、配水地の耐震化、緊急車団体のまだ設置していない所へ設置を行って、水甕としての役割を持たせなければならないし、配水池から遠い地域には緊急貯留槽の設置が必要だと考えている。 このように、これからも水道事業では、持続性と災害対応の観点から整備をすべきものが沢山ある。

次世代へ大崎市の水道を引き継ぐためには、こうした整備をすすめつつ、一方では整備に見合う収入も必要となる。収入が上がらなければ料金を値上げするということだけではなく、どんな経費削減が有効であるかなど、広域連携も含めて、これからどう進めるか地域を超えて考えていかなければならない。

現在、国では、各水道事業体の経営基盤の強化を図るために、水道法で、各都道府県に広域化の推進役を位置付けて、県内の水道事業体のために水道広域化プランを策定するよう求めている。そのプラン策定の基礎として、広域連携のいろんなシミュレーションを実施し、各事業体と協議しながら、令和4年末までに策定し公表するとなっている。

宮城県では、この広域連携について、県内を4つのブロックに分けてそれぞれ地域部会を設け、部会の検討に入っていくという段階である。大崎市は、平成18年に合併して、11年かけてやっと、平成29年に7つの市町の水道事業が1本の上水道に統合されたばかりだが、今後、この広域連携をどのようなものにしていくか具体的に協議して、さらなる経営基盤の強化につなげていき、こうした観点を踏まえた情報も、市民のみなさんにはお知らせしていきたい。

大崎市水道事業の概要

大崎市水道事業の概要

現在、水道部の職員は33名で、この他に、これまで民間に委託していた運転管理業務と料金収納業務、給水装置等関連業務の3つの業務を、平成28年から大崎水道サービス 株式会社に包括委託して丸4年になるが、こちらは59名なので、合わせて92名で、市の水道事業を進めている。

県水を受水している割合は、古川が約7割、三本木・松山・鹿島台・田尻は100%県水、岩出山鳴子温泉地域はそれぞれ自己水源で100%賄っている。 

 

質疑・討論

 

大崎市議会議員 小沢和悦さんのお話

小沢和悦

水は空気と同じように、企業の売り買い、儲けようという企業に任せるという考え方は間違いだ。いま地球温暖化でどんどん渇水している。世界では飲み水も含め水がなくて住めなくなって、中国で2億人もよそに移住しなくてはならないという3~4日前のNHKの報道もあった。そういう時代に、企業が水を支配するようなことに行政は手を貸すべきではない。

海外でどうなのか。 フランスの例が県の佐藤さんのほうからあったが、2000年から2016年までの16年間で、32か国267自治体で民営化したのを元に戻すという海外の流れになっている。だから、水道法の改正をやる際に、国会で「世界の様々な事例を十分に検証するように」という付帯決議が付いている。

私は昭和54年に市会議員に初当選し、55年から宮城県の大崎広域水道が供給された。 あれでものすごい水道(料金)が跳ね上がった。この大崎一円の市や町というのは、 松山や南郷のほうは、全国1位、2位だった。古川もだいたい5位以内に入るという大変な高いものになった。

なぜ高いかは、さっき県の佐藤さんがおっしゃったが、当時は山本知事の時代で、長期総合計画で工業化がどんどん進んで人口が急増するということで、ものすごい莫大な水が必要だということから計画が出て、漆沢ダムが作られ、南川ダムが作られた。

やっと投資した金の回収が終わって、いわば身軽になったその時に民営化しようということは、一体どうなってるんだと思う。ダム当時、古川は使っても使わなくても2万7千4百トン。受水町村全部で「おらほの希望は、将来はなんぼ」と出した。それで余ったのが一日7千4百トン。それをウチが全部かぶった。

県のこれまでの説明の中では、水道料は将来2倍3倍になる。それを1割程度下げるためには、民間にこの部分は委ねたほうがいいという考え方のようだが、当初、この事業に参入したいという関係業者35社から聞き取りをやっている。それを見ると、一番少ないところは10%ちょっとのコストダウンができる、一番大きいところは4割削減できるというが、そのデータは黒塗りして出さない。

今後一部民営化をした場合に、水道料を県議会の議決で決めることができるからいいと言うものの、情報公開がなければ、料金が妥当かどうかの判断を県会議員はできない。県民もできない。

私は40年議員をやっている。この間、談合問題に常に関心を持っていろいろやっている。民間がやると安くなって、役所がやると高くなるという仕組みがあるから、民間にしたほうがいいと、さっき佐藤さんが言われたが、それは違うと思う。

予定価格と調査基準価格、これを設けてやる場合もあるし、調査基準価格を設けない 場合もある。業者間で本気の競争をやってもらえば、大きく下げることがある。

大崎広域事務組合の処理施設を北郷に作った時、談合問題が告発された。直接私たちが仙台に呼び出されて、談合に入ったという方々に聞いた。もともと予定価格の設定から始まる。釣り合いのために参考見積を出してから、「お宅のほうはなんぼ入れてくれる?」と始まるという。これをやっぱり破らないと駄目だ。あの当時は予算から見れば7億4千万。安い金であそこを卸すことができた。7億4千万というと、一つの学校が出来上がる。やり方によってそういうことは可能。

以前は、人件費が3割下がると県は説明していたが、今日、佐藤さんからは、設備更新の際、民間のほうが安く上がるんだとお話があったので、このことを申し上げた。

大崎市江合川の伏流水を使っているが、県はさっき言ったようにダムの負担はすでに止まったのだから、大いに自己水を使えば、県がどんなことをしようとも、わが方はしっかり持っているという対応が必要だと思う。

山の自然を守って、しっかり水が供給できる体制を作るというのは、役所だけではなく、市民協働の事業として、そういったところから災害を抑える、飲み水も確保できる、そういう素晴らしい地域づくりの一環として、水問題を取り上げていかなければならない。 

大崎市議会議員 八木吉夫さんのお話

八木吉夫

水道事業の民営化という話を聞いたときに、先ほど小沢さんが言うように、空気と水は命に関わるものですから、これを民間に委ねる、「えっ」て思った。命をゆだねるのと一緒ですからね。

そういった意味で、私も中川部長さんにお話を聞いて、議会でも問い、納得したのが、水質管理、水の保全は、行政が手を抜かないでする。民間に任せることができるのは、補佐的なこと。 水の管理は行政がきちんとやる。管の工事、集金業務、そういったことは民間で既にやっている。

一番不安をあおったのは、国会議員の麻生さんの発言だ。アメリカに行って、「日本の水道事業は民営化をします」と。なんで自分の国のことを、アメリカに行ってPRしなきゃならないのか。

もう一つ。先ほどお話を聞きましたら、資本金50億以上ということで、もう大会社ですね。上場会社となると株式を公開するが、いろんな方が証券会社を通じて株を購入する。私が一番懸念するのは、外国資本。外国の方々が日本の水を商売に扱ってもらっては困る。

日本は何を売り物にできるかと言うと水なんです。水道水を安心して飲めるのは日本だけ。いま中国の方は、北海道の水源地を買い漁る。水の権利まで海外に牛耳られるようなことがあってはならない。

いま大崎でやってる水道事業の運営の仕方は、水の水質管理、管理運営に関しては行政がやる。集金業務、工事、配管、そういったものは民間、大崎の管工事組合がやっている。仙台の業者は入っていない。東京の業者も入っていない。みなさんと関係ある地元の業者、地元の企業が、我々が使う水、命に関わる仕事を扱ってもらう。こういう在り方が一番理想でないのかな。

行政もこれからは民営化を図っていく、そういった民営化は止めることはできないと思う。ならば、どのような形ならいいのか。自分たちが住んでいる、我々地域にプラスになるような在り方でなければ、ちょっと考えなければならない。命に関わるものに関しては、皆さんとご一緒に考えて、ご意見をいただきたい。

会場のみなさんとの質疑応答

Q1. 古川のAさん

今現在、導入済みあるいは検討中の自治体はどういうところがあるのか? 

私が知っている範囲では、橋下大阪市長の時に推進の側で、外国から資本を入れて何が悪い、外国の資本を入れないと大阪は国際都市になれない、と。あと浜松市が検討している。 河北新聞で、白石市長山田裕一さんが、老朽化による更新は小さい自治体では難しい、と。白石市は40年以上の経年化率61%で、他市の平均は20%で、みやぎ型を投入すれば、料金の上昇は抑えられるのではないかという。

どういう業者を想定しているのか?

海外の事業と(日本の状況は)違うと思う。それをそのまま日本で心配だというのは、短絡的だ。

A1. 企業局 佐藤次長

みやぎ型は、水道で一日当たり2万5千㎥以上の浄水場を3年以上継続して運転した経験があるという条件を付けている。2万5千というのは、大臣認可と言って、ある一定以上の水道は厚生労働大臣の認可が必要で、そういう規模の水道を運営した経験があるところじゃなきゃいけない。さらに、日本法人であることという条件を付している。外資系の企業が日本法人を設立するということはあり得るし、そういう会社が応募することはあり得る。

国内では、下水で言うと、浜松市はもう2年前からやっている。四国の須崎市でもやっている。上水道宮城県が今一番進んでいるが、大阪市が、宮城県と運営権を設定する部分は違うが、今度の2月の議会にコンセッションの条例を出すと聞いている。

宮城県がやっているのは、大崎市に卸売りをしている事業なので、宮城県の水道事業の範囲の中で今回コンセッションと言っている話で、大崎市の水道の経営形態は全然関係ない。それは大崎市が決める話。

ただ、これから市町村の水道もどんどん厳しくなっていく。宮城県がこれから浄水場の運営権を設定して民間にお願いする計画をしているが、もし大崎市がその事業者に自分の所もやってほしいというのであれば、大崎市が協議できるという制度にしている。

が、基本的には宮城県だけの話である。大崎市に卸す卸値をできるだけ下げたいという話で、決して大崎市の水道の在り方が変わるわけではない。

Q2. Bさん

この間、傍聴でもお聞きしたんですけど、まだ納得いかない。 さっきの小沢さんと八木さんの話に、非常に私は賛同する。命の水は民間にしちゃいけない。

佐藤さんも中川さんも、種子法廃止されたのを知っていますか? あれは、昭和27年、国民を飢えさせちゃ駄目だというのでできた法律。それが今度、安倍政権で廃止になった。民間を導入しなくちゃ、もっと活発化させようということだが、宮城県には、渡辺採種場とかサカタとか、日本でも種苗会社いっぱいある。あれの意図は、海外のモンサントとか、遺伝子組み換えの種をどんどん日本に入れようとするための廃止だ。宮城県では条例を作っていたが、水道民営化も、伏線はそこにある。

私は、村を守る会を30年以上やってきたが、藤沢の上流は森林だ。水源と取水と浄水場と配管、そこまで県がやっているわけで、一番肝心な部分を民営に任せるというのは、まるっきり間違えている。結局、民が入ると海外の企業が入りやすくなる。

とりあえずは国内の企業だろうけど、国有林まで狙われてしまう。国有林なので国民の財産であり、それを崩すのはなかなか難しそうだが、こういうみやぎ方式だと、国有林を県有林にしろって言うんです。東北はみんなブナ界で水源が多い。それが狙われるんじゃないか。

経費削減は、まず人件費でAIを入れると言うけど、いま「AI崩壊」という映画をやっている。よかったら見てください。10年後の日本です。私も民を入れることに反対です。

A2. 企業局 佐藤次長

浄水場というのは、ダムとか川の上流から水を取って、薬品などを入れて汚れを落とし、最終的には塩素を加えて水道水に作って出す。浄水場は、30年間もうすでに民間が水道水を製造している。大崎市も、民間が浄水場で水道水を製造している。検査は、法律に基づいて県がやっている。それは今も全く同じ。

私も、水がホントに大丈夫なんだろうかというご心配が湧いてくるのを決して否定ない。私自身も、最初「ん?」と思った。しかし、中身を詰めていけば詰めていくほど、これは今と基本的に変わらない、その中でどうやって経費を削減するかという話であると、私自身も認識を深めながら仕事をしている。

Q3. 八木市議

経費を削減するには、民間でなければならないという考え方は違うと思う。

前に、国会議員が値下げ方式というのを提唱してやった。紙切れに書いて出すのではなく、オープン入札で、どこどこはなんぼ、どこどこはなんぼ、とみんなオープンにする。この値下げ方式は法律に則ったやり方で、法律違反ではない。

ウチの会社はいくらでしますよ、それを見た別のA 社は、「いや、ウチの会社はなんぼだよ」と。 実際に入札があったのは、事務用品とか消耗品費で使われた経緯がある。 こういった在り方もあることを、県の職員の方々は研究しているか伺いたい。

昔、古川の人たちが言った話だが、「市役所の職員は、休まず遅れず仕事せず」(笑いが起こる)だそうです。「こんで駄目でないの」ということを、ずうっと訴えてきて、今は、一所懸命仕事なさっている職員の方いっぱいいますけど、「ここまででいいわ」「それ以上先、俺はいいわ。他の人にやってもらう」と、自分で仕事の枠を決めてしまう。民間と公務員というか、行政の違いはそこに出てくると私は思う。

県の職員の方々、経費をいかに削減するかといういろんな議論をなさったんでしょうか? お伺いしたい。

A3. 企業局 佐藤次長

水道事業は総括原価方式といって、かかった経費を全部水道料金で回収するという仕組みなので、我々企業局では、常に経費削減、経費削減で、人を減らすというような話をずうっとやっている。入札制度でも、宮城県は予定価格を公表している。

一昨日、多賀城市収賄で、予定価格を漏らしたということで捕まっているが、宮城県は予定価格を公表した上で、みなさん競争してくださいということもやっている。癒着や官製談合ということが起こらないようにそういうこともしている。

なぜ民間で安くなるかというところの大半は、機械設備とかの更新工事。

厳しい競争の中で下がることは、我々にとってはありがたい。一時期仕事がすごく減った時代に、度を越えた叩き合いになって、価格が下がりすぎて民間の業者の方々が疲弊したということもあったが、適正な競争をということはおっしゃる通りだと思う。

我々も、きちんと手順を踏んで、いろいろ競争性を高めるということを念頭に、いくら以上の工事の場合は30社は応募できる業者がないと駄目だとか、いろんなものをどんどん追加している。もちろん最初は、本社が県内にある事業者を条件に入札をさせたいが、30社を割り込むような数だと談合につながりかねないので、その時は仕方がないので、県内に支店があればいいというふうに条件を緩めて、とにかく応募できるところが沢山になるようにして、入札とかをする。

我々も競争性を高めるということには常に配慮しているが、現実問題として、公共調達と民間調達では、建物を建てるとき1割以上違うという調査もある。入札制度を、これからも改善しなければいけないというのは、おっしゃる通りだと思うが、そういう現実の中で、こういうような方式の制度を考えてきたということはご理解願いたい。

Q4. 小沢市議

予定価格の設定については、決まりがある。その時々の物価とか、役所の場合は単価表というのがある。もちろんこれを参考にして積算するが、もう一つは、実勢価格を反映するようになっている。

さっき私が例にあげた7億4千万、15億以上で落札しようという談合だった。それを7億減らした。全国の同一規模のここ最近の入札状況を押さえて、ものすごい差があることがわかった。談合通りの価格だったら議会は認めないという釘をあらかじめ打って、札入れをやってもらったら、いきなり下がった。実勢価格を反映した予定価格を決めるかどうか、役所はそれ本気にやってない所が多い。

私は、病院建設で法人の入札にも関わったことがある。私がある協会の理事をやっていて、地元の業者がジョイントベンチャーを組んで、何とか地元で仕事取りたい、と。 片方はものすごいゼネコン大手。できるだけ安くするために、ゼネコン側にも協力してもらって、ある線まで下げて入れてもらった。やり方はいろいろある。

公共事業は 税金でやっている仕事なので、みなさんに迷惑がかからないように、特別な負担にならないように、多賀城のようなことはあってはならないし、大崎市でもいろいろあった。宮城の場合は、県知事が逮捕されたり、市長が逮捕されたり、とんでもないことが何回もあった。我々がしっかり目配りして、競争原理をしっかり発揮してもらうとだいぶ違う。

フランスでは、レストランで食前に飲むのは、「水がいいかワインがいいかビールか?」というので、値段を聞くと水のほうが高い。日本のようにこんなに素晴らしい水がただで飲めるところもあるが、これを海外の資本に狙われたらとんでもないことになる。

Q5-1. Cさん

大崎市は今のところ、コンセッションは取らない。県は、コンセッションは非常にメリットがあると言っている。現状を見ると、管路の問題にしても、給水量の問題にしても、大崎市のほうが切羽詰まっている。それがなぜ、大崎市のほうがコンセッションに手を出さないのか? 私コンセッション賛成派じゃないが、そんなにいいものだったら、県に右ならえしてコンセッションしたらいいじゃないかと単純に思う。

世の中すべて、供給者と需要家がいたら、お互いに利益が相反する。供給者は高く売りたい。需要家は安くていいものが欲しい。水の場合、 需要供給者の相反する利益、利害関係をどういうふうに考えたらいいのか。市は県と市民のただ単に橋渡しをしてるだけなのか。

小沢さんが「県から給水を受けるようになったら値段が暴騰した。全国で数えても5番目ぐらいに入る」とおっしゃった。この暴騰した原因は何なのか? ダム建設の費用を県が肩代わりしているというか、その部分も総括原価方式の中に入るのかどうか教えていただきながら、コンセッション問題を考えていきたい。 

A5-1. 企業局 佐藤次長

宮城県ができるかどうか調査した時に、村田町も自分のところで出来ないかという調査をした。FS調査と言われる調査で、小さい事業体では、コンセッションのメリットが 出にくくて、民間企業は参入意欲が起きないだろうという結論が出て、村田町は断念した。ある一定以上の事業規模がないと、コンセッションということで募集をしても、 民間企業は応募してくれないだろういうのが実情。

料金高騰のお話。大崎広域水道が必要だという話になったのは昭和45年ぐらいの時期で、昭和46年には、当時の大崎行政事務組合の筆頭だった古川市長が、大崎広域水道を作ってほしいと県に要望書を出した。漆沢ダムに水利権を求めて、大崎広域水道を作ってほしいという要望だった。当時は人口が増えていく中で、それが必要だという判断だったと思う。大崎地方の市町村と県が相談をして、漆沢ダムを作る時に、水利権という水道用水の水を取る権利にお金を払って、大崎広域水道に水を引くようになった。

水利権もそうだが、取水施設や浄水場を作って、管路を作って、市町村の受水タンクまで管路を引いてというように、水道事業は、最初1円も入ってこないのに、まず設備を全部作ってからでないと始まらない。水道事業は常に借金から始まる。その建設当時の借金を、20年30年をかけて水道料金で回収していくしか方法はない。

今でも、大崎広域水道の料金は確かに高い。宮城県の広域水道は、全国的にみるとまだ新しいほうで、まだ借金が残っていたり、膨大な初期投資をした減価償却がまだ残っていたりするので、どうしても高上りになる。ダムの水利権の他に、毎年毎年、ダム管理の負担金も払わなければならない。

A5-1. 小沢市議

県は初め、「この市町村で事業団を作ってやんなさい」と言った。実は私が古川の与党の時だったが、当時の知事と議長の遠藤要から話が市長になって、丸ごと揃って「おらほ応援すれば県営にします。県の広域水道でやります。」と、いきなり自民党のビラを配り始めた。

山本知事の時代、県の長期総合計画を作った。「大和町に新たに、4万から5万の規模の都市が出現するなど、県北の工業化がどんどん進んで人口が急増するので、今から水を確保できる施設を作らなければならない」と、県のほうが漆沢ダムや南川ダムを作った。片方8万、片方4万。それに必要な管路その他に大金がかかった。この大金かかったのを回収するということで、大きな負担が県民にかかることになった。

基本料金として、大崎市は使っても使わなくても2万7千4百トン掛ける単価、重量料金は、1年間にこのくらい、と契約を結び、使わなくても8割は納めてもらうという設定だった。大崎広域水道に変わった途端、自己水だけでやっていた所が県水を使わなければならなくなったので、いきなりゴーンと跳ね上がった。

長期総合計画どおりには人口は増えなかったし、農村は疲弊するし、進出した企業は 海外に移転するし、ということで滅茶苦茶になった。今、そのダムの負担は終わって、県が卸単価を下げてもよくなってきた。今回も、卸単価は下がったので、大崎としても運営はしやすくなったが、将来のことがあるので水道料金は下げないで頑張っている。

Q5-2. Cさん

とすると、需要動向の誤りということで、県にそれなりの責任が出てくるんじゃないか。払い終わった払い終わってないという問題ではなく、今上がった段階で、コストを削減ということで汲々としているが、過去の需要増予測の誤りについて、今、検証が なされているのかどうかが心配だ。

このプロジェクトをみやぎ方式と言っているということは、県だけのプロジェクトで、市町村は最初から相手にしていない、広域も相手にしていないということになるのか?名前の付け方そのものが、ちょっとおかしいんじゃないか。

村田町は規模の問題で引っ込めた。大崎は、広域にしても規模が小さいわけですか? 

A5-2. 大崎市水道部 中川部長

大崎の規模は小さいのかどうか、宮城県や村田町のような事前の調査は、我々はやっていないので、業者が食いつくくらいの規模かは判断できないが、需要の将来の試算を、更新をしたりといったものの額を大崎管内全部集めても、たぶん県ほどの規模にはならないので、削減効果というのはあまり見えてこないのではないか。

需要動向の誤りは、当時は人口が右肩上がりの時代だったので、市町村は、何万人というところで出した。宮城県は、それに基づいて給水量を出し、広域水道の施設を作った。今それを検証するのは難しい。

Q5-3. Cさん

私が不安に思っているのは、ダムを作るための口実として、需要予測に影響が出てたんじゃないかということ。これからは需要減と言っているが、その辺の予測については、県が、コンセッション導入の口実にしているが 、それは本当に精査できているのか。 前のような誤りを犯さないか? 

A5-3. 企業局 佐藤次長

当時の人口予測は、今となれば、間違っていたと思う。当時、見通せる人がいなかった。日本の人口は、昭和50年代に急激に出生率が下がっている。今の人口が減っていくという予測は、基本的には外れない。今5歳から15歳くらいまでの子供が、20年後に25歳から40歳ぐらいになる。母親になる数がもう決まっている。

ただ、ものすごい大工場とかがやって来て、ものすごい人が来るということになれば、事情は変わるかもしれない。

Q6. 古川のDさん

事業一般ではなく、公共サービスの事業をどうするかということに絞らないと、ズレた議論になる。たとえば、教育とか公衆衛生とか人権に関わることは、それを支えるのが基本的人権なので、それにふさわしいシステムを作ろうということで公共サービスの事業がある。民間企業、住民、行政の協働で行うのが公共サービスの基本だと思う。

それを誰が担うかというのは、その地域、地域、時点によって、事情が変わるので、 公共事業だからすべて民間に渡してはいけないという考え方ではない。基本的には、 みんなでやっていこうじゃないかということ。

問題は、今回出てきたきっかけが、公共サービスをどうやって前進させるかということではなく、2015年に麻生元首相がアメリカで、「活性化のために公共サービスを民営化するんだ」と言ったというところにある。何のためにやるかというと、「儲けるためにやるんだな」という印象を与えている。そうじゃないんだと否定しなきゃいけない。

そこのところが出てないから、みんな心配している。儲けのために公共サービスが食い物にされるんじゃないかという心配がある。「そうじゃありませんよ」と言うけれど、じゃあどうやるんだということが全然触れられていない。

たとえば、住民が参加するシステムをどう作るかという問題がある。

公共サービスについては基本法がある。その中に、国民の意見を反映して、住民の意見を反映して設計しなきゃいけないということが書いてある。それは今回、全然出てない。「民間企業が参加するんでよろしく」ということだけが前面に出てきて、国民の意見を反映した公共サービスに、どう変えていくのかというのが出されていない。

これは誰のせいかというと、提案した人に責任があるけれども、そういうことについて、議会であるとか、一般住民が発言する場所をもっと確保しなければいけない。そうやって成熟させて、いい事業に変えていく。だから今回のやり方は、拙速にすぎる。

パブリックコメントの結果、賛成というようなコメントを出した人はごくごく少数であって、多くの意見が、心配、不信というような状況だった。そういう状況なんだから、3月には新しい議会を通すなんていうふうにしないで、もう一回住民の合意を作り上げるという方向を考える必要があるだろう。(拍手が起こる)

Q7-1. Eさん

今の水道はこのままじゃ続かないというのが、この話の前提になっている。コスト削減というときに、私は公務員の給料を下げるべきだと思う。民間の1.7倍の給料をもらっているが、1.7倍は働いてくれない。コスト削減の中で、人件費というのは大きい。

削減の内容は材料費なのか人件費なのか、内訳を教えていただきたい。新聞報道でも、10年間で200億円ぐらいの削減と出ているが、その中身がわからない。公務員の高コスト構造を残しておきながら、削減の部分は全部、民に押し付けるという構造じゃないか。

私は、民営化に基本的に賛成。公の肥大はどうしても高コスト構造を維持する。民間の知恵を借りるのは当然だ。ただ、公務員のところには全然メスが入らない。

人口削減で施設が過大になると、廃棄という問題が出てくる。廃棄という決定は、どう上手くできるのか? 

A7-1. 企業局 佐藤次長

今のまま県がやったとすると、下水なども全部含めて3,314億円かかるという試算をしているが、そのうち1,464億円がコンセッション後も県に残る仕事で、今は県がやっていて、コンセッション後は民間の移るところが1850億円。

コンセッションモデルでやると、3,067億円になり、247億円の削減になる。県の分は1,414億円になって、ちょうど50億円削減になる。ここがなぜ削減になるかというと、設備とか機械の更新工事を民間に委ねるので、今それをやっている県の職員がいらなくなるため。

運営権者に渡す部分で197億円削減されると試算しているが、一番削減されるのは人件費ではなく、何度も言うが、設備とか機械の更新工事費。197億のうち、120億ぐらいが更新工事費だったと記憶している。

Q7-2. Eさん

事業が縮小する時に、儲けられないような事業には、民間企業が入ってこないんじゃないか。

A7-2. 企業局 佐藤次長

公募をして手を上げるところがなければ、失敗だということになるが、そうならないように・・・。

ダウンサイジングは、今もできるところはやるが、使えるうちは使う。

Q7-2. Eさん

最終的には、ダウンサイジングの権限は宮城県が持つということで、民間業者は持てるわけがない。