宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

水道3事業運営権売却を可能にする条例改正案を宮城県議会が可決!! 最終討論を振り返る(1)議会最終日の発言の流れを追う。

令和元年11月定例会最終日である2019年12月17日、宮城県議会本会議にて、みやぎ型管理運営方式の導入を可能にする条例改正案が可決され、継続審議を求める 請願は、賛成少数で不採択となりました。

いま一度、最終討論で述べられた意見を、全部確認しましょう!!

 

 

みやぎ型管理運営方式の導入を可能にする条例改正案の継続 審議を求める請願に関して

 

深谷晃祐建設企業委員長(自由民主党・県民会議)の報告
(前略)

請願370の4「県営上工下水道をコンセッション方式で民営化する『公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例』案は第370回宮城県議会では継続審議とし、 計画の精査と県民・市町村に対する説明責任を果たすよう求めることについて」を審査した結果、賛成少数で不採択とすべきものと決しました。

以上のとおりご報告申し上げます。

 

石川光次郎宮城県議会議長

以上で委員長報告を終わります。

これより質疑に入ります。

委員長報告に対し、質疑はありませんか?

(議場より「なし」の声)

質疑なしと認めます。

討論の通告がありますので、発言を許します。11番福島かずえ君。

 

福島かずえ建設企業委員(日本共産党宮城県会議員団)の賛成討論

13日に行われた建設企業委員会では、委員長をはじめ所属委員の理解のもとで、急きょ請願者が参考人として委員会に出席し、趣旨説明を行い、委員会の質疑にも応じていただきました。

請願者からは、「水は唯一無二のものであり、将来に渡って、次の世代の人々にも保証していくべきもの。県民合意がなく、市町村を置き去りにするような進め方でない別の選択肢を県民に示すべき。上下水道が抱えていく課題を解決していくために、これが最も良い解決方法なのか疑問である。他に良い方法があるのではないかと思う。そのためにも、各部局での連携をもっと行うべき。この請願は212団体・事業所の賛同署名を添えて提出したが、その後も署名は集まり、幅広い県民が継続審議を願っている」など、大切なご意見を伺いました。

賛同署名は、昨日までに新たに131筆、集まっており、合わせて343団体・事業所になっているそうです。

請願審査に先立ち、第197号議案の審査で明らかになったことは、

① 事業費削減効果の247億円は、あくまで県の期待額であり、今後変わることがあることです。どの大企業を中心として、どういうグループで運営会社SPC(特定目的会社)が作られるのか、全くわからない状態であり、現在県が示す契約内容は、あくまでも県の期待・要求にしかすぎず、応募グループとの競争的対話によっても、変わっていく可能性は否定できません。

② 運営会社の更新投資130億円と委託費108億円の削減額合計は238億円で、削減期待額の96%になり、やはり設備更新の間引きと人件費を抑える委託の外注などでのコストダウンがほとんどあること、設備更新の間引きは、設備機器更新が21年以降に増える可能性を示し、委託の外注による人件費の削減は、雇用の質を落とし、地域経済にも影響があります。

③ 上水・工業用水・下水道事業、いずれも県の職員の人件費を10%、合わせて15億円削減しようとしており、今でさえギリギリで保っている現場の技術職が、また低下していくこと、県の技術力の低下は、県の運営会社を指導する力の喪失をもたらし、運営会社の言いなりになる恐れがあります。

④ 管路の維持管理発注は県が行うという基本的な事項も、20年間の契約期間中のことで、21年目からそのまま県が行うか、運営会社が行うか、それは何とも言えない、検討外のことなどです。管路の維持管理・発注は県が従来通り行うから安心している管工事請負事業者は少なくありません。しかし、本格的な管路更新を迎える21年目以降から、民間運営会社が管を発注する可能性があることはまだまだ知られておりません。

現在検討され、公開されていることのほとんどが、20年間に限ったことで、21年目以降がどうなるのか、まったく漠然としています。

水は命の源、上水も下水も人の暮らしの営みに欠かせないものです。請願者が求めているように、将来に渡って、次の世代の人々にも保証していくべきものです。 

30年、50年、100年先までも、安心安全事業が継続されなければなりません。20年間だけを切り取っての検討は、無理があります。収支シミュレーションも20年分がやっと公開されたばかりです。

受水市町村や県民への説明や議論が不十分なままで、公営企業の設置等に関する条例を改正、民間大企業が水道事業に参加できる仕組みを作る民営化法に基づく手続きは、きわめて非民主主義的だと言えます。

需要人口が減り、過大投資した管路・設備をどう更新していくのか、水道料金を上げずに解決する方法を、県民と市町村を交えて検討していくべきです。

コンセッション方式で所有権と運営権を分けて、20年にわたる運営権を民間大企業に売り渡すみやぎ型管理運営方式を拙速に進めることを、議会として看過すべきではありません。議第197号を継続審議として、知事の提案する民営化計画を精査し、県民、市町村に十分な説明責任を果たすべきです。

同僚議員のみなさん、是非こうした県民の声、思いを汲み取っていただき、本請願を採択していただきますよう呼びかけまして、請願370の4の賛成討論といたします。 ご清聴ありがとうございました。

 

石川光次郎宮城県議会議長 

以上で討論を終結いたします。

これより採決いたします。

はじめに、請願370の4「県営上工下水道をコンセッション方式で民営化する『公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例』案は第370回宮城県議会では継続審議とし、 計画の精査と県民・市町村に対する説明責任を果たすよう求めることについて」を採決いたします。

委員長報告は不採択であります。

本請願を採択することに賛成の諸君の起立を求めます。

起立少数であります。よって請願370の4は不採択と決定いたしました。

 

みやぎ型管理運営方式の導入を可能にする条例改正案である 議第197号議案公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例に関して

 

深谷晃祐建設企業委員長(自由民主党・県民会議)の報告

(前略)

一 議第197号議案。一議第212号議案。一議第213号議案。
本委員会は、以上の負託議案を審査した結果、賛成多数で原案を可決すべきものと決しました。

なお、議第197号議案については、少数意見の留保がありました。

(中略)

以上のとおりご報告申し上げます。

 

石川光次郎宮城県議会議長

少数意見の報告を求めます。43番ゆさみゆき君。 

 

ゆさみゆき建設企業委員(みやぎ県民の声)

12月13日の建設企業委員会において留保した少数意見を、3名のご賛同を得て、会議規則第40条の2項、第75条の2項の規定により、意見を述べます。

12月13日の建設企業委員会では、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの佐久間敬子さんを参考人として意見聴取をし、コンセッション方式はほとんど県民に知られていないこと、岩手県中部水道企業団では、公営のまま水道施設のダウンサイジングと広域化を推し進め、大きな経費削減効果を得ているが、これらみやぎ型ではない他の選択肢も比較検討するなどの論議が行われていない。その意味でも、十分な論議が尽くされたとは言い難く、継続して審議をする必要があるのではないかとのご意見をいただきました。

議第197号議案公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例は、全国初となるみやぎ型管理運営方式の導入を前提とする改定案です。実施方針案では、水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業、計9事業をコンセッション方式により運営権を民間企業に売却する大規模な計画です。

しかし、県職員の技術の継承はどうなるのか、経費削減による効果は期待値に過ぎず、その根拠が立証的なデータを元に示されないなど、不確かなものであり、市町村負担、水道料金会計はどうなるかが懸念問題だと懸念され、説明が不足しています。

県はパブリックコメントを実施、636件もの意見が寄せられ、大きな不安や情報公開、県民理解の不十分を指摘しております。また、県民への説明会を行っているものの、県民の理解と説明が不十分です。

知事はみやぎ型管理運営方式について、情報公開、県民理解をすすめ、同時に受水市町村の理解、県民に対し丁寧な説明と議会への最大限の顧慮をしていると述べますが、県民の理解が得られているとは言い難い現状です。

これらを総合的に考えますと、みやぎ型管理運営方式につきましては、いかに論議が不十分であるかがわかります。

よって、議第197号議案公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例について、拙速な採決はやめて、継続審議するか、条例を取り下げて、新たな観点も踏まえ、より良い視点で、検証と検討を行うべきという意見があったことをご報告いたします。

 

石川光次郎宮城県議会議長

 

以上で委員長報告及び少数意見の報告を終わります。

これより質疑に入ります。 

委員長報告及び少数意見の報告に対し、質疑はありませんか? 

(議場より「なし」の声)

質疑なしと認めます。

討論の通告がありますので、発言を許します。40番岸田清実君。 

 

岸田清実建設企業委員(社民党県議団)

社民党県議団を代表して、本議会に提案されている議第197号議案公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案に反対して討論します。

条例案は、県の水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業を一体化させて、20年間運営権を特定目的会社に売却することを可能にするものであります。

昨年秋の臨時国会で成立した改正水道法により可能となりました。

一方、改正水道法が全国の都道府県に求めているのは、今後ますます事業継続が困難になりかねない市町村の末端給水事業の基盤強化です。

人口減少、節水型社会の進展で収入は低減し、一方で、管路等の更新投資が拡大していきます。それを担う職員も減り続け、県内の自治体で技術系職員がいない所も珍しくありません。

宮城県は今年2月に、宮城県広域連携検討会を立ち上げ、広域型、垂直型など、3つの類型に合わせたシミュレーションを本年度に行うとしています。

市町村水道の基盤強化のあり方をしっかり固め、それとの関連で県営水道のあり方を選択していくことが必要であります。

また、給水事業の広域連携が進んでいないにもかかわらず、県営水道3事業を先行させて一体化し、20年間運営権を売却することは、市町村水道の広域連携による基盤強化に、支障さえ来たすのではないかと考えます。

加えて、県民や受水自治体の議会の合意が不十分のままの条例改正に反対いたします。

昨年4月と8月、今年の9月と、3回にわたって受水団体協議会から県に質問が出されています。昨年4月に出された13項目に対して、県は7項目に、今後検討と回答、昨年8月の10項目に対しては、8項目に今後検討と回答し、今年9月の質問へは未回答のままです。受水自治体の疑問に十分な回答をしていません。

一般の県民では、内容まで理解している人は少数と感じられます。

その現状にもかかわらず、コンセッション方式の導入を前提とする条例改正を、今議会で行うことはあまりに拙速だと言わざるを得ません。

ライフラインの中でも電気やガスと異なって、水道は代替性、選択性がありません。その点からしても、慎重に取り扱うことが重要であります。

議第197号議案に、再度反対を表明して、討論を終わります。

 

石川光次郎宮城県議会議長

30番横山のぼる君。 

 

横山のぼる建設企業委員(公明党県議団)

公明党県議団横山のぼるでございます。197号議案公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案について賛成の立場から討論いたします。

宮城県企業局が運営する水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業については、給水人口の減少や老朽化した管路の更新需要の増大により、その経営が厳しさを増していくことは明らかであります。

宮城県企業局の企業概要資料によれば、給水量は20年後には現在の約2割、40年後には約3割減少すると見込まれており、安定した経営のためには、20年後には1.2割程度、40年後には1.5割程度まで料金を値上げせざるを得ない見通しを示しています。

将来このような水道料金の大幅な上昇や管路更新の遅滞と言った事態を招かないようにするためには、何らかの改革をしていかなければならないことは、自明の理であり、誰もが認めるところであります。また、現在でも、宮城県の水道料金は、全国平均に比べて極めて高いという課題もあります。こうした状況を踏まえれば、水道事業の改革は、全国的にも急がれる課題でありますが、特に本県にとっては待ったなしの課題であると考えます。

この課題解決の具体策が、全国初のコンセッションを活用したみやぎ型管理運営方式であると認識しております。これまで多くの議員による質問と答弁でも明らかなように、その内容は言葉だけが独り歩きしてしまったいわゆる水道民営化ではなく、民間の知恵と力を最大限に生かしながら、命の水を将来にわたり安定的に供給するため、県が管路の維持管理・更新、災害対応、水質検査など、事業全体を総合的に管理するまさに官民連携事業そのものであります。命の水を民間企業に売って危険にさらすなといった誤った喧伝とは全く異なったものと言わざるを得ません。

しかし、県民や受水市町村からは、コンセッション導入により水道料金の上昇抑制効果が本当にあるのかという疑問や民間委託することで水質低下の懸念があるのではないか、またPFI事業の性質上、事業者が決定する過程で、段階的にしか明らかになっていない事柄がある、全体像が見えにくいなど様々な声が上がっていることを、私共議員も重く受け止めなければなりません。

今後とも、県民や市町村の意見に耳を傾けながら、定型的かつ継続的に情報提供を行うとともに、丁寧でわかりやすい説明を行い、不安の払拭に努め、スムーズなコンセッション導入に向けて、県民の理解と納得が得られるよう自らに課したいと思っております。

ただ、その上で、今年の出生数が初めて90万人割れをするなど、日本の人口減少は我々の想像以上のスピードで進んでいます。この急激な変化に対応していくために、いま水道事業の改革に着手をしなければ、未来に禍根を残すことになりかねないと考えるものです。受水市町村からは、できるだけ早期に改革に着手し、水道料金の卸値を抑制してほしいとの声が上がっております。こうした声が聞かれるのは、市町村の水道事業がすでにひっ迫していることの表れであり、その現実も直視しなければなりません。

加えて申し上げれば、上水道処理場の運転管理は、これまでも30年間にわたり民間企業に委託、その実績や経験が積み上がっており、いま初めて民間に委託するといったものではありません。

また、世界のトレンドは民営化ではなく公営化ではないかとの不安の声がありますが、フランスの例を見ると、2010年から現在まで結ばれた主要都市でのコンセッションなどの契約では、人口約130万人のリヨン市では水道料金約20%減少、人口約450万人のユーロフランス組合でも水道料金約11%の減少となっています。

あわせて価格面に加え、ITなど最新技術の活用が進んだ結果、民間の競争を通じた成果が得られ、2010年にパリ市では再公営化はあったものの、全体としては民営で継続している自治体が多く、上水道の約7割が依然民営で行われていることも事実なのであります。

以上縷々申し上げたとおり、みやぎ型管理運営方式は、県が水道事業者として最終責任を担いながらも、官と民が事業パートナーとして共同で運営し、民間の創意工夫を最大限活用することにより、経営基盤強化を図る最も効果的な取り組みなのであります。この事業が将来世代につけを回さないために、本県が取り組まなければならない喫緊の課題であることを申し上げ、議員各位のご賛同を賜りますことをご期待して、賛成討論とさせていただきます。ご清聴大変ありがとうございました。

 

石川光次郎宮城県議会議長

10番大内真理君。

 

大内真理文教警察委員(日本共産党宮城県会議員団)

(前略)

最後に、議第197号議案公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例についてです。この条例改正によって、民間事業者が上水・工業用水・下水道事業の運営に参加することができるようになります。

条例改正に先立って行われたパブリックコメントでは過去に例がない636通もの意見・要望が寄せられ、県民の大きな関心があることが示されました。そのほとんどが、県の強引で拙速な進め方に対する批判と説明責任を県がもっと果たすように求める声であり、民間事業者の参入に賛成する意見は、ほんの数パーセントにしかすぎません。

条例改正の提案の前に、パブリックコメントに示された意見や疑問に答える住民説明会を丁寧に行うべきでした。仙台市内で2回行っただけでは、あまりにも不十分です。主権者であり利用者である県民を置き去りにしての条例改正は認められません。

市民団体から、継続審議とし、計画の精査と県民・市町村に対する説明責任を果たすように求める請願も、議会に提出されました。この声を真摯に受け止めるべきです。

議案の審査で明らかになったことは、

1、経費削減など247億円は、あくまで県の期待額であり、今後変わることがあること。

2、経費削減額の中身は、設備更新費用が大きいということ。

3、県職員の人件費を10%、15億円分削減しようとしており、現場の技術力がまた低下していくこと。

4、管部の維持管理・発注は、県が行うという基本的な事項も、20年間の契約期間中のことであり、21年目から、そのまま県が行うのか、それとも運営会社が行うのか、それは何とも言えない、検討外のことだということ。

などです。

これらをはじめ、県民的な議論がまだまだ不十分です。議論するために必要な情報の公開や説明も全く不十分なまま、公営事業の設置等に関する条例の改正は、あまりにも拙速で強引です。

再来年10月の知事選挙の前に、6月か9月議会で運営会社との契約案件を議会で可決するというスケジュールを改め、宿泊税導入や宮城県美術館の移転・新築の提案にも共通する強引な進め方はやめるべきであり、県民を置き去りにしての本条例改正は認められません。

(中略)

ご清聴ありがとうございました。

 

石川光次郎宮城県議会議長

36番佐々木幸士君。

 

佐々木幸士文教警察副委員長(自由民主党・県民会議)

(前略)

まず、議第197号議案は、みやぎ型管理運営方式導入にともない、公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例です。

水は私たちの生活になくてはならないものです。県が運営している水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業の3事業は、県民生活および企業活動を行う上で、必要不可欠な公共サービスであり、水の確保は災害時にも最優先事項であり、ライフライン、その後に命に関わるものとして、東日本大震災さらに先般の台風19号にて被災した私たち宮城県民は、その大切さをなお一層理解しているものと考えます。そして、かけがえのないもの、絶対的な安心安全を求めながら、当たり前にこれからも享受し続けることができるのであれば、そうあってほしいと思うのは当たり前のことであります。

水の安心安全を守ること、そして享受し続けることには、受益者負担の原則として、その代価を支払うのは私たち宮城県民です。しかしながら、その運営環境は、人口減少や節水型社会の影響により、非常に厳しい状況にあります。県民の命と言える水を守ること、次の世代から積み上げて、未来への責任として使命されたものが、本議案であると考え、賛成の理由を次の3点にまとめて申し上げます。

1点目は、公共財としての責任が、県に引き続き担保されていることであります。

この度策定した、宮城県上工下水一体官民連携事業 「みやぎ型管理運営方式」は、民間の力を最大限活用するものとして、経費削減、技術革新等への具体的効果も見込まれ、これからの時代に対応するための柔軟な力を持ち合わせながら、施設の所有権や水質維持、災害時の対応、料金改定を含めた事業継続上の重要な議論については県が責任を持ち、また第三者機関による厳正なモニタリングも行われるものであります。運営権は民間企業に委ねられるものの、完全民営化とは全く異なります。

県では本件に関するパブリックコメントを行い、636件のコメントが寄せられております。反対側の立場の意見といたしましては、水道を民営化することに反対、民営化すれば料金が上がる、世界に民営化に失敗した先例があるなど、いわゆる民営化を前面に押し出した意見が多数を占めています。

すでに述べている通り、みやぎ型管理運営方式は、水道事業の民営化ではありません。そもそも現行の水道法では、水道事業を民営化すること自体が認められておりません。こうした誤った認識のもとに、反対意見が述べられている状況にあり、なおかつ反対意見の中には説明不足と言う意見もいただいているところでございます。

これについて真摯に受け止める必要があり、今後も県として丁寧な県民に対する説明をしていただきますことを、本討論においても要望させていただきます。

また、民間に委ねることにより、安全面が危惧するという議論もあります。しかしながら、唯一無二である水道という公共財を取り扱うことに対する社会的使命に対し、それらを担おうとする意志を示す民間と公との間に線引きをすることは議論の停滞でしかないと考えます。

人々の生活、命に関わることに、決して失敗は許されない事業であります。担う民間企業にとっても、社名にかかわる事業となります。その覚悟を見定め、これからも安心安全を作り守る責任は、引き続き宮城県に、さらにはこの議会にあることを、ここで確認しておきたいと思います。

まず、2点目は、宮城県の未来に対する責任であります。

この度のみやぎ型管理運営方式は、民営化と全く異なるコンセッション方式により、水道3事業を運営していこうというものであります。国において昨年12月可決・成立し、本年10月から施行された改正水道法は、2011年にコンセッション方式の導入を主目的としたPFI改正法の成立を踏まえ、これを水道事業に適用した法律で、その目的は、人が生活するための根幹ともいえる水道事業を、民間のノウハウを導入し、できる限り効率化し、今後想定される利用料金の上昇を極力抑制することになります。

そして、その基礎となるPFI改正法は、2011年の当時の民主党政権によって提案され、民主、自民、公明、みんなの党が賛成し、菅政権下において制定されました。

その経緯の中には、閣議決定をされた際に、その担当大臣であった蓮舫内閣特命担当大臣が、新しい成長戦略として2020年度までに従来の事業規模の2倍以上の拡大を目指すとし、効率的で質の高い公共サービスを提供するとともに、新成長戦略の実現を推進、我が国の成長をしっかりと後押しするものになると確信をしている、と並々ならぬ決意と期待を持って、当時の政権としても目玉政策に位置付けられておりました。

しかしながら、当時のPFI改正法は、地方自治体が民間に運営を委託する際に、水道事業免許を国へ返上しなければならず、万が一のことが起きた際に、行政が対応できないなどの重大な欠陥があったため、給水責任を自治体に残したままでコンセッション方式を導入できるように修正し、また、近年諸外国で官民連携がうまくいかなかった事例などを踏まえ、この点についても問題が生じないよう検討、改定されてたのが、現在の改正水道法でもあります。

もともとのPFI改正法にあっても、この国の現在と将来、その現実を冷静に受け止めていたからこそ、当時の与党の民主党、野党であった自民党も、政争の具とすることなく可決され、その後自民党が政権に復帰し、さらにその内容が精査され、この度改正水道法により、みやぎ型管理運営方式になり、そのような時代の背景とともに、制度化されようとしております。

水道水の使用量自体は、年々減少にありながら、安定供給に必要な水道管などの設備更新およびメンテナンスも必要であり、その作業時期を集中することがないように、今後年数をかけて分散していくことも、方針として示されました。

様々な施策を持って、次の世代に引き続き宮城県の水を確かな形で託していかなければならない決断の時であります。時代の要請とともに、宮城県の未来に対する責任を決断する議案であると考えます。受益者への将来負担に対する対案なき反対を示すべきではないと考えます。

3点目は、地方都市として自立、先進事例を作る宮城県の役割であります。本県は、東日本大震災という街のすべてを失う未曽有の惨事を経験し、ゼロからではなくマイナスからのスタートであった震災復興を通し、これからの地方都市としてのあり方を議論し、その形を作ってまいりました。

少なからずも、これからの地方都市として、同じような厳しい将来に向け、いかに自立し、地域の課題を解決していくのか、その先進事例を全国に対して見せてきたと考えます。

本県においては、仙台空港に全国初のコンセッション方式を導入し、大いに活性化していることも間違いなくこの事例の一つです。その効果は宮城県のみならず、東北地域としても享受し、その有効性は十分検証されていると思います。

むろん、水道事業ですから、安全安心の確保は絶対条件であります。

コンセッション方式の先進県として、民間にできることはできるだけ民間に任せるという大胆な行政改革を一層推進していくべきであり、その先例を全国に示すことは、宮城県としての魅力、価値をさらに高めるものと考えます。

本議会においても、一般質問で9名の方が関連した質問を行い、その反対論の中には、条例改正案を考えることは拙速ではないか、県民の周知、説明が不十分ではないかという質問がありましたが、本当にそうなのでしょうか。

これまで、県議会の本議会、委員会等において、平成28年度からすでに、3年近くにわたって議論が続けられ、県が実施する他の施策と比べても、十分な時間をかけて議論をしてきたところでもあります。

今議会に提案された条例改正案は、コンセッション事業を実施可能にするための手続き的な改正であります。今後、具体的な水道事業の運営権設定の管理については、優先交渉権者が選定された段階で、事業の内容や契約の内容等の詳細が明らかにされた上で、改めて議会として判断をすることとなるなど、今の時点で条例改正に反対する合理的な理由は見当たらないと考えます。

今回の条例案に反対することは、暗に今解決すべき重要な課題を将来に先送りするものであり、結果として未来を担う宮城の子供たちへ過度な負担を強いることになります。これまで述べさせていただいた理由により、本議案は可決されるべきであります。

(中略)

ご清聴ありがとうございました。

 

石川光次郎宮城県議会議長

以上で討論を終結いたします。

これより採決いたします。

初めに、ただいま議題となっております各号議案中、議第197号議案を採決いたします。

委員長報告は、厳談可決であります。

委員長報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。

起立多数であります。

よって、議第197号議案は、委員長報告のとおり決定いたしました。

 

下記は、この議決を受けての命の水を守る市民ネットワーク・みやぎのFB記事です。

https://www.facebook.com/mizumiyagi/

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎFB

 

条例改正案議決2019.12.17