2019年5月12日(日)仙台弁護士会館4Fホールにて
第2回 命の水を守る全国のつどい in 宮城 実行委員会スタート集会が行われました!
第一部 講演「宮城県の水道事業の今と村井知事がめざす民営化」
宮城県の水道料金は、用水供給事業としては全国で一番高い。
これは人口増に備えて過去に過大な設備を作ってしまったためで、 実際は施設供給能力の上水道は68%、工業用水は32%、下水道は54%しか使われていない。
しかし、設備投資額の借金返済ピークは過ぎているので、水道料金は引き下げ傾向になっていて、 経営的には今は安定していて良好な状態にあり、すぐになんとかしなければならない緊急事態ではない。
「みやぎ型管理運営方式」は、儲けが出ない郡部農村部を対象外とし、儲けが出る人口の多い地域のみを民営化して、 参加企業が利益を上げるためのもの。
民間企業の儲けのために水道事業を民営化する。それに参入してもらうためには民間のリスクを下げ、 民間が利益を得やすくするという状況を整えて、民営化を進めようとしている。
水道事業の民営化が難しいのは民間のリスクが大きいから。その負担を軽減するために管路の敷設などを宮城県が担う。 民営化は県民のためにやるんじゃない。
民間企業が水道事業に参入しやすくするための仕組みを作って欲しいと宮城県の村井知事が国に要望でして、2018年に水道法が改正された。だから宮城県が全国で最初に水道を民営化するという思いが村井知事の中にはある。
そもそも命の水を民間企業の利益の対象にしていいのか?
民間企業は利益を上げるのが目的。利益のために安全性がないがしろにされてきた例は、福島の原発や耐震偽装問題など枚挙にいとまがない。
企業は儲けのために安全性や住民の利便性を犠牲にすることもあり得るということを前提にしなければならない。
企業をしっかりチェックすることができるようにモニタリングの態勢を整えるのは本当に大変。 それだけのことをやるのであれば自分で事業をやったほうが楽。
県によるモニタリングは、基本的には運営権者のセルフモニタリングを帳簿上で確認するだけ。あとは年1回現場確認を実施するくらい。
(仙台空港HPより)
民営化された仙台空港のセルフモニタリングの例を見ると、〇をつけているだけで何をモニタリングしたのかもわからない。委員会で「これではなにをどうモニタリングしたのかわからないのではないか」と問うと、「しっかりやっています」としか返答しない。 水道事業でこんなモニタリングをされて、住民が安心だと思えるはずがない。
「民間事業者の自由な発想・提案を取り入れるためにも、守秘義務契約を締結した上で、十分な官民対話を実施。(注)法令上には規定なし」とされているが、企業の利益を損なう恐れがあるとして情報公開が制限されると、いっさいの情報が県民に全く知らされないままということも起こる。 これは恐ろしいことで、何が起こっていても県民にはわからない。料金値上げの根拠も示さないで認めろという話になる。
企業なので倒産や撤退ということもある。そういった場合にどうするかということも考えなければならない。
民営化の危険性を広く知らせるために、それぞれの団体やグループが、県民やそれぞれの組織の中でわかりやすく知らせていくことが大事。
加えて、施設のダウンサイジングの必要性や市町村の水道の人材不足など、現在でも水道事業が抱えている問題をどうすれば解決できるのかということも、私たちが提案できるようにならなければいけない。
県議会の野党が水道民営化反対で一致することや、みやぎ型管理運営方式で収益の要となる仙台市の取り組みが重要。
第二部 「第2回 命の水を守る全国のつどい in 宮城」実行委員会
<呼びかけ人 佐久間敬子弁護士のお話>
宮城県は、上・工・下水道三事業一体で人口も多いので、コンセッションのモデルケースになるということで村井知事が旗振り役をやって力を入れている。
浜松市は下水道はコンセッションになっていて、市長は上水道もやりたかったが、「1・13命の水を守る全国のつどい・浜松」があり、市長選挙もあったせいか 「市民の多くの方の納得・理解が得られないといけない」と、しばし凍結ということになった。浜松での水道民営化反対市民運動は一つの成果を上げた言える。
そういう意味で、今全国の注目がこの宮城県に集まっている。宮城県の民営化のスケジュールはすごいスピードで進んでいて、早ければ9月議会に実施方針条例を出し、あるいは11月議会に出して、平成33年頃には事業を開始する予定になっている。
宮城県議会の与党議席数を見ると、このままではあまり議論もなく民営化が決定されてしまう。ここで重要なのは、私たち市民がどうやって民営化の実態を知らせて、 これはやっぱりまずいんじゃないのという広範な意思統一を得て、問題提起をする反対運動を展開できるかどうかである。
そのために、次の3つの活動を行っていくので、幅広い県民の力が必要。
① 様々な知恵と運動で第2回 命の水を守る全国のつどい in 宮城を成功させる。
② 宣伝物、パンフレットを作成する。宮城県が進めようとしている水道民営化のどこまでが裏付けがあって、どこが根拠がないかを解き明かし、広く県民に知らせる。
内藤議員の話にもあったように、宮城県の水道事業は今はそれなりに安定的に運営している。ただ、県が出している資料では、工業用水の事業は大変危機的で抜本的な経営改善が必要であると書いてある。確かに、工業用水は稼働能力の3割ぐらいしか使っていないので赤字になっているが、上水道は結構いい成績を上げている。 なのに偏った宣伝をしていて全体が見えてこない。こういうところも指摘していく必要がある。
全世界で水道事業の民営化は失敗していて、もう一度公営に戻しているという世界的な流れがあることを県民に知ってもらう。
そして、単に民から官に戻すのではなく、市民が関与して水道事業を作っているパリの事例のように、水道事業を考える中で、新しい民主主義というものも追及できるのではないか。
③ 民営化して本当に経費が削減できるのかという分析をきちんとするために、県の財政について読み込める経済、財政、財務諸表の専門家の力も集めなくてはいけない。様々な工夫と専門的な知識、法律家、税理士、経営財政学者も必要。
水というのは、商売の話ではない。命にかかわる問題。
国連でも水にアクセスする権利は人権だと言っているので、営利の事業ではない。
水は他からは入手できない。主義主張に関係なく幅広く結集して、 大勢の皆さんが持っている力を発揮して関与し、命の水を守る全国のつどい in 宮城を成功させて、そのあとの反対運動にもご参加いただきたい。
<呼びかけ人 多々良哲さんのお話>
村井知事と安倍政権が結託して県民がわからない密室の中で水道民営化を進めてきた。
けれども、原発の問題と同じように水の問題は、県民全てが当事者。県民全ての命にかかわる問題。 この問題に関係ない県民は一人もいない。
なのにその当事者である県民の意見は一切聞かれることなく、意思表示する機会もなく、もう間もなく決められようとしている。
私たちはかなり危機感を持って早急に県民運動を盛り上げなければならない。
命の水を守る全国のつどい in 宮城を開催して、一気に県民の関心を高めていこう。