宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

2020年11月建設企業委員会での質疑応答では、みやぎ型に移行後の水道3事業の放射性廃棄物の取り扱いについても確認されました。

2020年11月20日宮城県議会建設企業委員会で「みやぎ型管理運営方式」に関する質疑応答が行われました。

みやぎ型管理運営方式

 

水道3事業の放射性廃棄物について

 

www.pref.miyagi.jp

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福島かずえ 宮城県議会議員

福島委員

先の議会の決算の分科会で、仙南仙塩水道の南部山浄水場から出た原発事故による汚染廃棄物の処理について、東京電力から2,000万円ほどの損害賠償金が雑収として計上されたという質疑がありました。それに関連して伺いたいと思います。

事前に伺ったところ、この汚染廃棄物の発生とその処理に係る損害賠償は、水道事業だけではなく、工業用水、流域下水道でも発生しているということですけれども、概略のご説明をお願いしたいと思います。

水道経営課 田代課長

水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業、3事業で発生しています。水道用水供給事業は約2,170万円ほど、工業用水道事業は、少額なんですが22,000円ほど、流域下水道事業は69万円ほどという金額ですが、水道用水供給事業と工業用水道事業については、基本的には、浄水過程で出る浄水発生土の産業廃棄物としての処分費が主なものになります。流域下水道事業については、汚泥を焼却した後に出る焼却灰が産業廃棄物になりますが、受け入れ先のほうから放射性濃度の測定を求められています。その検査費を請求しています。

福島委員

いまご答弁いただいたのは、平成30年度のものだと思っています。決算で出たのは、1年前のものだ、と。震災後、ずっとそういう損害賠償が行われてきたと思いますので、3事業それぞれと合計の金額をお示しください。

水道経営課 田代課長

平成23年度から発生して平成30年度までに、全体額で13億1,300万円ほどになっています。内訳は、水道用水供給事業が9億3,800万円、工業用水道事業が4,200万円、流域下水道事業は3億3,300万円です。

宮城県水道事業 東電賠償額

            福島かずえ宮城県議より提供資料

福島委員

先ほど処分費と検査費等が損害賠償額ということだったと思うんですが、ちょっと詳しく伺いたいのが、それは8,000ベクレル以下のものについての汚染廃棄物ということでよろしいでしょうか?

水道経営課 田代課長

8,000ベクレルを超える国指定廃棄物については、仙南仙塩広域水道の南部山浄水場からしか発生していませんが、これは過去に発生したもので、現在、処分先がまだ確定していないということで、量は553トンですが、南部山浄水場のほうで国から委託を受けて厳格に管理をしています。ですから、そのぶんは入っていません。

福島委員

その8,000ベクレルを超えた国指定廃棄物の扱いと、8,000ベクレル以下の東電に対して損害賠償しているものの扱いについて、それぞれ、みやぎ型になっていくと、どういうことになっていくのか? 伺いたいと思います。

水道経営課 田代課長

8,000ベクレルを超えた国指定廃棄物については、県が、引き続き国から委託を受けて管理を継続していきます。また、現在は、実際には1㎏あたり100ベクレルを切っています30から50ベクレル程度なんですけれども、これについては、先ほど31年度の決算でも申しあげたとおり産業廃棄物として処分していますが、これについては所掌が運営権者に移行しますので、運営権者が東京電力のほうに損害賠償の請求をするということになります。

福島委員

以前は産廃として処理する費用だけ、かかったぶんをということなんですが、汚泥なんかは有価物として売却可能なものもあったと思うんですけれども、売却益と新たに出てきた処理費用、検査費用などの総額を東電といろいろやり取りして、この金額になったという理解でよろしいですか?

水道経営課 田代課長

主なものとして産業廃棄物処分費というお話をしましたけれども、実際には、いま委員ご指摘のように、過去は仙南仙塩広域水道の浄水発生土については、グランド用材等ということで、有価物として売却をしていました。こちらについても逸失利益として請求していて、満額賠償していただいています。基本的には、そちらも運営権者で請求していただくという形になります。

福島委員

応募企業に入っているか否かはちょっとわからないんですけれども、ヴェオリアなど水道事業に参加している企業の中には、廃棄物処理も同時にグループで行っているような企業もあります。そういう場合も、特に考え方は変わらないのかどうか、つまり自分のグループの所に処理を頼んで、その処理費用が発生したから損害賠償で請求するというような形は変わらないのかどうか、それとも東電との話し合いによって変わっていくのかどうか、その点を伺いたい。

水道経営課 田代課長

(応募している)3つのグループの中に様々な企業さんいらっしゃいますので、当然のことながら産廃等の処分業者もいらっしゃるかと思いますけれども、入っていても入っていなくても、考えとしてはこれまでと変わりません。

福島委員

そういう場合、利益の二重取りと言いますか、他の産廃業をやっていないグループよりは、やってるグループのほうが利益が多くなるのは、不公平になるんじゃないかな? という意見も市民の声であるんですけど、その点についてはどのようにお考えですか?

水道経営課 田代課長

あくまで、基本的に、処分費としてかかったコストを賠償請求するというものなので、二重取りとかということについては、当たらないと考えられます。

福島委員

8,000ベクレルを超えた国指定廃棄物は、引き続き県が管理を行っていくということですので、それについて安全上の問題とか、管理のやり方についての問題というのは、みやぎ型に移行しても特に生じないと思っててよろしいんでしょうか? 

要するに、浄水場の運営自体は運営権者が行うけれども、その敷地内にある国指定廃棄物の管理は県がおこなうというやり方で、管理上の問題点というのは生じないのかどうか伺っておきたい。

水道経営課 田代課長

もちろん、早く処分先が見つかって搬出したいというのは、われわれ常々思っていますが今のところは、県が管理せざるを得ない状況です。現在は、(浄水場の敷地内に)二重のテントを張って厳格に管理していますが、そういう条件で応募者の公募をかけているので、周りに迷惑がかからないよう厳格に管理していきたいと考えています。

 

みやぎ型における議会と県民の関与について

 

福島委員

次の質問に入りたいと思います。

これも先の議会の時に、みやぎ型の運営になっていった際の議会の関与について、料金改定の際は議決要件がある。これはみなさん知っていますが、その他には何も担保されていない、契約書にも何も記述がないので、これでは議会の関わりについて何の保証もないまま運営権が移ってしまうという点について、どのように議会の関与を保っていくのか? ということについて質問しました。

このままいけば、議会の調査権が全く及ばないということも想定されるという重大な問題です。その点について、「検討中です」という答弁がありましたが、本日も「みやぎ型管理運営方式」優先交渉権者選定のスケジュールという配布資料がありました。

「みやぎ型管理運営方式」優先交渉権者選定のスケジュール

粛々とヒアリングと競争的対話が進められており、また、PFI検討委員会も既に2回目が終わったということで、今後、競争的対話を1度行い、さらにPFI検討委員会があれば、競争的対話を終了するということで、もう終わりの段階に入っているという資料がありました。

そういう中で、われわれ議員あるいは県民の関与がどこでどう担保されていくのかが、全く説明がないまま、「検討中」ということで、非常に心配になります。「検討中」という答弁がいっぱいありますけれども、議会の関与についての「こういうふうに考えている」、あるいは「こういうことを進めていって協議している」というような説明は、いつ頃どういう形で行う予定なのか? 伺いたいと思います。

櫻井公営企業管理者

まあ、あのー「粛々と進めている」というご指摘ですが、運営権者とは、やはり今までいろいろ説明して参りました。スケジュールについても説明しておりましたが、スケジュールに乗って今やっているところでございます。

えー、このペーパーにも書いてありますとおり、来年の頭には3つの運営権予定者から具体的な提案が来ると予定しています。その後、PFI検討委員会の中で、優先交渉権者が選定される。これはおそらく2カ月、3月いっぱいぐらいまでかかるのかなあと見込んでます。

しかし、これは議会の議決を得なければならないということですので、当然、議会並びに県民のご理解を得なければならないと考えていますので、それまでにはしっかりと県議会への説明、報告等をどうするかといったことについては、繰り返しになりますけども、検討を加えたうえでご提示したいと思います。

確かに料金改定については議決権がありますが、おおむね5年に1回だけお願いという形の中で、それで足りるのか? というところについては、われわれとしても、やはり、しっかりとした情報開示をしながら、議会のご理解をいただくことが何より大事だと思っていますので、しばしもう少しお待ちいただきながら、議会の報告等についてのやり方について、ご説明させていただきたいと思います。

福島委員

「しばしお待ちを」という、その「しばし」って言うのが非常にあいまいなご答弁だと思うんですけれども、3月の末になって優先交渉権者が決定する前にご説明があり得るのかどうか、そこはどうですか?

櫻井公営企業管理者

具体的には、優先交渉権者の決定に向けて、条例を改正しなければなりません。それから、今後、経営審査委員会についての条例、これは企業局の条例のなかで読み取るか、別途やるかということになるかと思う。また、あわせて議会とどう対話を進めていくか、これも単なる計画ではなくて、私としてはちゃんと条例に基づいてどうするかということをお示し出来たらと考えています。そういった意味において、いつまでということにつきましては、まだ、いま明快にできませんけれども、少なくても今年度中には、概ねの考え方についてはお示し出来るのではないかと考えているところです。

福島委員

いま、条例で議決を求めなくちゃいけないということについて、運営権者を決める議決と、議会にどのような関わり方をしていくのかということと、3つみたいなことをおっしゃったような気がするんですけど。

われわれへの説明は、運営権者を決める契約の議決が来年度の6月か9月にということだったんですが、いま条例も変えなくちゃいけないということが示唆されたと思うんですが、その条例を変えるということ、それから議会がどういうふうに関わっていくかという別建ての条例が必要なんじゃないかというふうに私は聞こえたんですが。

3つぐらい議会で検討していかなくちゃいけないのかなと受け止めたんですが、それでいいのかどうかということと、それらが出てくるのが6月なのか9月なのか? つまり、年度内と言っても、3月の定例会には間に合わないということでおっしゃってるのか?

そうなると、一度に、定例会の前に、すべてのことが、条例案、契約案と一緒に、すべての情報が一気に出されるということになっていくと考えているのかどうか? その点について詳しくお示しください。

櫻井公営企業管理者

3つとご説明しましたが、基本的にわれわれが考えているのは、運営権の譲渡、これは議会の議決が必要なので、当然、県民の代表である議会の方々にご理解いただくべく、われわれは説明していかなければならないと思っています。

一方で、運営権を設定した後、20年間運営していくわけですので、それらについて、SPC(筆者注:運営権者の特別目的会社)の運営がどうなっているのか? それが、具体的には5年に1ぺんの料金に反映されていくということになりますので、5年に1ぺんの料金の改定については、なるほどそのご指摘のとおり議会の議決が残っておりますが、それで足りるのかどうかというご指摘だと思います。

それらについては、われわれとしても、「5年に1ぺんの内容についてこうなりましたということが、果たして説明責任として足りるか?」といったことについては問題意識を持っていますので、それをどう議会のほうにご説明しつつ、国民生活に直結する料金についてどうご理解をいただくかについては、もう少しお時間をいただきたいということをお話しました。

条例を改正しなければならないというお話をしました。これらについては、私としては、基本的にセットでお示ししなければならないと思っています。

現在まだ、3グループから具体的な提案が来ていない状況ですので、見込みとして3月中にというお話をしましたけれども、PFI検討委員会でどういう議論、展開になるのか、まだちょっと見えていない状況です。それがスタートするのは、1月に募集を開始してから、具体的な議論があって初めて、最終的なスケジューリングが出てくると思っていますので、それを踏まえたうえで、改めてご説明するということを申し上げました。

福島委員

最初の件は、議案として1つか2つになるのかなということで理解したいと思いますが、あとのいつ頃になるのかというのが、要するに、議案として出されるのはセットで出すけれども、事前の説明というのが、小出しででも示されるのかどうかという点、それが優先交渉権者が決まる前、あるいは決まった後でないと出てこないのか、その点についてはどうですか?

櫻井公営企業管理者

時期的には、優先交渉権者の設定の問題と、それから、今後運営にあたって、どう県民の理解を得ていくかということについては、基本的に別の問題だとご指摘のとおり思っておりますので、それについては検討次第、可及的速やかに提示し、ご説明をしたいと思っていますが、いま現段階において、いつまでかということについては、もう少しお時間をいただきたいということにご理解いただきたいと思います。

福島委員

別建てだということで、それは受け止めたいと思いますし、可及的速やかにご説明したいという点も、受け止めたいというふうに思っております。非常に見えない中で進んでいるということに対して、やっぱり、われわれ議会、議員は、5年に1回の料金改定だけは賛否を聞かれるけれども、その他に何をどういうふうに関わっていいのか、調査できるのか出来ないのか? さっぱりわからない。それではまるで「民間にやっぱり20年間運営権を売っぱらう」ってことなんだなあってことにしかなりませんので。

市民団体からの公開質問状にも、内部統制も及ばない、それから監査も及ばないということが明確に示されていたのを見ましたので、「議会の関与も及ばないというのは、ホントにこれは大変な問題だ」と、改めて思っている次第であります。ぜひ決まり次第というか、方向性だけでも、決まってから「こうだ」ではなくて、話し合うというか、そういう形でのご説明を求めていきたいと思います。

それから、競争的対話は12月に終わりますけれども、PFI検討委員会はこれから何回ぐらい行われるか、その見通しは?

水道経営課 田代課長

ここに運営権者選定までのスケジュールにお示ししています。12月末以降ですね、1月になりますと、今度は、選定のためのPFI検討委員会を予定していまして、2回ほど開催する予定です。また、専門的な分野もありますので、そういった部会も開催する予定で、部会にそのほか2度、計4回、開催を予定しています。

福島委員

優先権者が決まるまで、部会も含めてPFI検討委員会は4回やるということですね。

水道経営課 田代課長

その通りでございます。

 

水道事業への国の予算拡充について

 

福島委員

わかりました。それから、もう1つ別の質問を最後にしたいと思います。

全国21の水道用水供給事業者で、水道事業の国の予算拡充について、毎年、予算要望をしているということを伺いました。そうしたことを行うようになった経緯、取り組みのねらいなど、伺いたいと思います。

櫻井公営企業管理者

今回の1つの要望というのは、国土強靭に向けての耐震対策の依頼という形の内容なんですが、それはそれで、全国同じ課題を抱えていますので、今まさに、われわれが直面している問題だと思います。

長期的には、管路の更新についてまだいろいろな議論がありませんので、これはまだ、これからになりますけれども、こういった視点も今後、全国の水道事業者と連絡をしながら、何らかの形で、やはり国からの助成ということをお願いできないかなと思います。これについては、これからの要望内容でして、いま現在は、耐震化に向けての議論を始めることをお願いしているところです。

福島委員

非常に大事な視点だと思います。下水道事業に対しては、あまりにもお金がかかりすぎるということもあり、国の補助メニューが水道よりは整っておりますが、水道は基本的に受益者負担ということで、初期投資の時はありますけれども、更新の際の国の補助がなく、耐震化とか特別な事情以外ではないということは、結局、莫大な更新費用をすべて利用料、使用料で賄わなくちゃいけないこと自体が、制度設計として、やっぱり成り立たないわけで、そういったことが、今回のみやぎ型管理運営方式を進める大きな一つになったんじゃないのかなと思っています。

国がやはり、全国各地で敷設した管路の更新費用を、一定程度、受益者負担、水道料金だけで賄うという考え方をやっぱり転換させていくことは、全国の水道事業者とともに、国に対して強くやはり求めていかないと、県だけではなくて、市町村の水道事業者も、たとえ広域化を進めていったとしても、やはり困難にぶつかるというふうに思っているんですけれども、その点について、管理者の思いなど聞かせていただければと思います。

櫻井公営企業管理者

すべてが国の助成に基づいた事業をもってということは、私としてはそう思っていない。基本的には、やはり下水も????という原則がある。そして、われわれ水道事業も、いわゆる一つの水道料金をもって完結しながらやっていくという基本原則というのがやはりある。

ただ、それに比して莫大な管路の入れ替え工事があるとなれば、当然、国民生活、市民生活に甚大な影響を及ぼしますので、そういった観点において、国の関与は、ある程度ある必要があろうかと、われわれとしても思っています。特に、脆弱な財政規模の市町村さんについては、これはやはり、しっかりと支えて、規模の拡充が必要かなと思っていますので、これらは引き続き、他の水道事業者とも意見交換しながら、取り組んでいきます。

福島委員

公営企業法の中で、受益者負担という形で書き込まれている中で、もちろん国がすべて賄えと私も言ってるわけではないんですけれど、やはり都市のインフラというか、国民生活の基本として、やはり国が支えなくちゃいけない部分も相当数あると思いますので、ぜひ長期的に市町村の水道事業を持続させていくためにも、必要な制度設計、要望は、引き続き他の事業者とも意見交換しながら、国に対して、適切な要望をしていっていただければと要望して終わりたいと思います。

 

みやぎ型に関する県庁ヒアリング内容の公表について

 

岸田清美 宮城県議会議員

岸田委員

以前の委員会で、県庁ヒアリング、それぞれ300項目ぐらい質問が出て、情報公開の一環として、それをカテゴライズして、公表することについて求めて、管理者も、「そうしたい」という答弁だったんだけれども、それはどうなったんですか?

水道経営課 田代課長

以前の常任委員会のほうで報告させていただきましたけれども、カテゴライズという意味合いからいきますと、今は同じような形で意見交換は続けています。後のことがあるかというと、そういうところではないというところもあります。

また、この競争的対話の内容については、どのような形で議会、国のほうにお示しするかについては、いま検討していますので、もう少しお時間いただければと思います。

岸田委員

1回目が7月にやられて、2回目が9月で、1月には提案が出されるわけですね。こういう情報公開というのは、それぞれの進み具合に合わせて、適宜適切に出されていく必要があるし、そうでなければ公開する意味がないわけですよね。

そういう意味では、いま現在進行中で、3回予定されているうちの2回終わって、しかも最初のところからすれば、すでに4カ月が過ぎているわけでしょ。もう少し、スピードアップすべきではないかと思いますけれども、いかがですか?

櫻井公営企業管理者

適宜に、節目節目に出していくべきだと思っています。だいたい競争的対話の具体的な今の内容というのは、募集要項そのものの中身をどう理解するかというところで、それらをもとに募集の最終的なのを作ります。

それから、1月に具体的な内容について、その段階においては、一定程度、どういった内容が出てるかについてお話しなければならないと思っています。

それから、検討委員会の中で具体的な優劣がつきます。当然、優先交渉権者が決まります。その部分については、どういった内容だったのかということについても、その段階でお話をしなければならないと思っています。いま走りながらやっているところですが、節目節目にお話を公表して参りたいと思います。

岸田委員

節目って何回かあるんだけども、すでに何回も節目は終わってるわけで、できるだけ速やかに出してほしい。このプロセス自体っていうのは、関係者は、もちろん関わってるからわかるんだろうけども、県民も含めて県議会も、どういう内容で進んでるのかっていうのは詳しくはわからないわけですよ。

ですから、そういう意味では、出せるものと出せないものがあるっていうのは十分承知だけれども、カテゴライズしてある程度オブラートに包んで出すっていうことについては何の問題もないわけで、節目っていうのは、何回も節目は今まであったわけで、そういうことをやっぱりきちんと出してほしい。これはできるだけ早く出してほしいと思います。

 

みやぎ型における議会と受水市町村の関与について

 

岸田委員

それから、議会との関与の関係だけれども、たとえば設備更新計画だとか、それを県に提出して、県がそれを認めて、それとあわせて5年後のだったか実施計画も協議をすることになってるわけですよね。そういう内容とか、あと経営審査委員会ができれば、それのもとで、たとえば経営内容とか水質の問題とかも含めて審査項目になるわけですよね。こういうものについては、議会にきちんと報告する必要がある内容だと思うんですけれども、これについてはどうですか?

櫻井公営企業管理者

先ほど福島委員のご質問にお答えしたとおり、私としては、5年に1ぺんの料金改定のお願いをするという中で、前に行われている経営審査委員会、あるいは具体的な事業計画の変更とか、水道の料金の説明だけで足りるのかという話については、先ほど申したとおり、それは議会が節目節目で必要だろうと思っています。どういった形で説明をしていくかというところについては、先ほど言ったとおり、もう少しお時間をいただきながら、早め早めに説明して参りたい。

岸田委員

ぜひ、私が指摘したことについては、検討してほしいと思います。それから、受水団体から4回目の質問が出て、回答が出されて、委員の方にも配布された。いろいろ継続して問題意識を持っているということについては、側聞してるんですけども、今後、そういう受水団体との意見交換の機会というのはどういうふうになってますか?

櫻井公営企業管理者

運営権者が決まるまでにも、当然、検討状況については、受水団体のほうにも報告しなければならないと思っていますし、運営権者が決まって具体的な運営をした後についても、どういった状況になってるかについては、先ほど申し上げたとおり、議会と同様に逐次説明していく必要があると思っています。具体的には、SPCの運営の状況についても、当然、話をしなければなりませんし、できれば受水市町村からご意見を賜るような場面も欲しいなあと思います。

これらについては、いま現在、受水市町村、それから下水道のわれわれの流域の市町村と意見交換をしている状況です。どういった形で市町村の意見を吸い上げるのか、管理するかということについては、・・・・・・・・(筆者注:櫻井管理者のマイクが声を拾えていませんでした)。

岸田委員

受水団体の意見の中には、いまの時点で求めることもあるけれども、具体的な対応についてより詳細に議論したいという意向がかなり強いと感じます。

そういう意味では、優先交渉権者が決まらないと出来ない内容も相当数あるだろうと思いますが、優先交渉権者が決まって条例が議会にかけられるわけだけども、条例審査の時にも、いろんな付随するたとえば災害時の対応だとか、検査の対応だとか、たとえば検査についても、「新たな技術が導入された場合については同等に見る」って、その同等の中身はどういうものなのかとか、非常に詰める必要があるところがたくさんあると思うんですね。

そういうことも含めて、条例と一体なのじゃないかと、私なんかは思うんだけど。優先交渉権者が決まるプロセスの中でも、受水団体の意見をぜひ重視をしていただきたいと思うけれども、優先交渉権者が決定した後の細かい協議についても、重視していただく必要があるのではないかと思いますが、この点についてはどうですか?

櫻井公営企業管理者

先ほども答弁しましたけれども、優先交渉権者が決まって、実際に運営している後も、企業局としては引き続き受水団体、そして下水道の市町村と意見交換しながら、運営についての意見を賜り、またそれについての反映する仕組みを作っていきたい。こういうことです。

 

みやぎ型決定プロセスにおける情報公開について

 

ゆさみゆき 宮城県議会議員

ゆさ委員

3月の方向で決定する一連の流れが出てきましたので、ちょっと基本的なポイントで、質問しますね。PFI法改正の時は民主党政権でして、改正にあたって、国会議員と話をしました。そうしましたら、このPFI法改正に基づくことについては、PFIっていうのは決定過程のプロセスをしっかりしないと、PFIはあだ花になるということなんですね。

そして、これまで議論してきたこれまでの経過、経緯、プロセス、そして前回の委員会で、櫻井管理者は「判断は私がしました」という明言をしましたので、判断に至るその経過というのを、しっかりとこれまで議事録に残していたのか、それ公開するしないという議論をこの後にしますけど、それまでの議事録は、しっかりとプロセスを明らかにするために取るべきではないかと思いますが、これまでの経過については議事録を取っているわけですね? 確認します。

櫻井公営企業管理者

機関決定をしたのは、基本的には政策・財政会議のもとに、上工下のPFIコンセッション事業やろうといったことになりますので、PFI決定についての議事録は、しっかりと取ってあります。

ゆさ委員

それ非常に重要です。というのは、本邦初めての計画ですから、どういうふうに決めていったらいいのか、何をどうしていいのか、ホントに管理者も田代さんも模索しながらやってると思うんです。よって、じゃあだれが責任を取るか? これは知事ですね? 最終責任は。

櫻井公営企業管理者

まあ究極は企業局、私でございますが、まあこれは知事の意見も聞かなくちゃいけないということですので、もちろん知事も責任を持って進めるということでございます。

ゆさ委員

そうですね。そして、その間、何を公開するかについては、しっかりと今後対応するということもあります。その公開時期とプロセスの対応については、大変心配しているのは、すべて結果が出てから公開をする可能性が高いんじゃないかっていう危惧があります。

岸田さん、そして福島さんがおっしゃったように、それぞれの公開にあたっては、速やかにすることが、この水道の導入についての理解が深まるのではないか、今後は、何回も言いますけど、議会に、このメンバーに、委員長に、是非していただきたい。そして私たちも守秘義務がありますので、監査委員もそうですけど、そこについては、ちゃんと対応していただけないか、これについてはいかがですか?

櫻井公営企業管理者

当然、決定してから公表ということもありますけれども、引き受ける過程の中でやはり議会のご意見を賜り、そういうことも大変大切だと思っていますので、それらにつきましても、まだ今、もう少しお時間をいただきながら、まあ、われわれとしてはまだ完全に腹案として決めきれてないものですから。

あのう私あのう、全部決まってこれ以上ないという形でお示しするつもりはありませんので、それはご意見を賜りながら吸い上げて参りたいと思っておりますので、先ほど、岸田委員、あるいは福島委員からも市町村の意見をどうするんだという話もありましたので、それらについて、今後、仕組み、やり方についてある程度固めた段階で話を申し上げたいと思いますので、その時はぜひ・・・・・・・(筆者注:櫻井管理者のマイクが声を拾えていませんでした。)

ゆさ委員

この計画については、政策的、政治的判断というのもあると思うんです。国政、特に、最終的には厚生労働省、国の許可が必要ですね。で、来年は1月かもしくは国政選挙がある、知事選挙がある。

たとえば政治判断として、知事がこれを凍結したりといった場合の判断、それから国が、あくまでもこれは想定ですよ、政治的判断として、国や厚生労働省が、「いやいやこれについては、決定プロセス、過程に、瑕疵があるので、これはいったん止める」ということも、可能性はゼロではないわけですね。

そのことを想定して、様々な想定をしながら、初めて導入する県としては、考えなきゃならないと思います。それはどういうふうに受け止めていますか?

櫻井公営企業管理者

今回のコンセッションを導入するにあたっては、水道法の改正以降、われわれとしては、法令に則って進めてきたというふうに認識しています。いま現在、法令に基づいて、あるいは条例に基づいて、今回進めているわけでございます。昨年、お認めいただいた条例に基づいて進めているわけでございます。やはりそれは、法令条例に従って、粛々とやっていくべきだと思います。

いまご指摘の水道法のPFIを停止とか、そういったところについては、われわれとしてはやはりなかなか予見できませんし、私としては、法令に則ってしっかりと進めていくというのが、私どもの務めであるというふうに考えています。

ゆさ委員

そこまでお答えになりましたね(笑)。でも想定されるゼロではない話を私はしております。

そこで、こっからまた、県民の理解を得るというのは、誰でもだと思うんですが、これ先日、田代さんに質問しますけど、住民説明会を突如欠席されましたね。ということで、参加している方から、大変これ、「なぜ来ないのだろうか?」ということで、これまた企業局に対する不信になってしまったのではないかと思いますが、それ相当の理由なくして突然欠席はしないと思うんです。ご自身のなぜ欠席したのかということについてお話しいただけますか? みなさん待っていました、説明会をね。教えてください。

水道経営課 田代課長

この市民団体からは公開質問状が2度提出されています。県はその都度、丁寧に回答させていただいています。出前講座につきましては、9月14日に申し込みを受けまして、10月6日にこの市民団体の代表の方と事前に打ち合わせを行いました。

で、打ち合わせの場において、代表から「出前講座では公開質問状に対する質疑応答を行いたい」という申し入れがありました。これに対しては、われわれは、「出前講座は県政の情報提供を行うことによりまして、県民の理解と関心を深める場ということで、要望であるとか交渉などのために開催することはなかなかできないです」というご説明をさせていただいたところ、代表のほうから、「公開質問状への説明はもとめません」ということで、希望日の11月15日の日曜日になりますけれども、職員を派遣する方向で想定していたところでございます。

で、11月になりまして、9日の月曜日なんですけれども、出前講座に派遣する職員2名を決めて代表のほうに通知をいたしました。また、参加人数であるとか、進行方法等を、どういう形ですか? ということで確認のメールをさせていただきました。

で、実は13日の金曜日です。突然になるわけですけれども、代表のほうから、我が方の担当が受け取ったのが午後の2時過ぎになるんですけれども、進行方法等がFAXで届きました。

で、その開催の内容がですね、公開質問状についての質疑応答を主なものという内容であったというところです。正直なところ、調整する時間がなかったということもございまして、正直、資料も準備を行っていたんですが、やむを得ず出前講座の中止について通知をさせていただいたところです。これが一連の経緯ですが、われわれとしましては、大変残念と言いますか、遺憾に思っているところでございます。

ゆさ委員

たぶん、いま言ってることがね、櫻井さん以下、これは公開質問状に答えることが、 もちろん担当職員が準備できなかったということもあったと思うんですけれども、このやり取りを聞いて、すべてのことに答えられない事業ではいけないのではないか、担当職員でも何でも、誠意を持って対応すべきだったんではないかと思います。

ある意味では、行政の言い分、それから市民団体のやり方にあると思うんですが、もし私が管理者だったら、しっかりと「私が行きます」と、しっかりと「私が説明します」ぐらいで、それぐらい自信を持ってやっていくべきではなかっのたかと思いますね。 今後、こういったことがないように、ぜひ信頼関係も含めて、構築していただきたいと思いますが、いかがでしょうか?

櫻井公営企業管理者

経緯はいま課長が話したとおりですが、とは言え、やはり、県民のみなさまにしっかりとお話していくことが大事かと思いますので、公開質問状、しっかりとわれわれも答えますし、今後ともしっかりと意見交換をすすめながら、県民から理解いただけるように努めてまいる所存です。

ゆさ委員

信頼なくして導入なしということもありますので、ぜひ、プロセス公開、決定、責任の取り方、しっかりと信頼構築に向けて努力をしていただきたいと思います。終わります。

「『みやぎ型管理運営方式』を知り、ともに考える出前講座」は、宮城県がまさかのドタキャン!!(2) これで民主主義って言えるのか?!

第二次公開質問状とそれに対する宮城県の回答について

  小川静治さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

 

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ご紹介いただきました小川でございます。

いま中嶋先生からお話がありましたけども、ちょっとこれ見ていただくと、

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         小川静治氏プレゼンスクリーンより

「みやぎ型管理運営方式」への質問 <3> って書いてあります。冒頭にご説明したように、今日はホントは、ここに県の人たちがいて説明をしてくれて、それに対して中嶋先生と、同じ中嶋ですけど中嶋廉さんと、それから私とで、3人が衆議院予算委員会方式で、順番々々に質問をずっとしていくというやり方にしましょうっていうことで、中嶋先生は3番目ということで<3>と入れてるんですね。私は1番目にやる予定だったんですが。

県は、事前の打ち合わせの中では、ご参加なさった方もいらっしゃるかもしれませんが、「9月9日に開催した説明会の資料を使います」とあらかじめ言ってきてたんですね。今日みなさんのところにレジュメがないのは、その県の資料があって、スライドがあって、今日の場面が作られていくという設定だったんですね。

ところが県が来てませんので、この紙がみなさんがたのところに渡ってないということで、どういうふうにやろうかということで困ったんですが、「まあ仕方がないので、こちらのスライドでご説明できるようにしなさい」と、多々良さんに指示されまして(笑)、彼もむちゃ振りなんですけども、まあしゃあないということで、9月9日に、宮城県が行った説明会の資料に基づく第二次公開質問状について、簡単にご説明したいと思います。

お手元に、佐久間先生のお話のところで出されたブルーの紙がありますね。

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この紙の流れをちょっと見ていただくと、今日、中嶋先生から「公共サービス基本法と住民参加」というご説明がありました。公共サービス基本法は、「公共サービスの理念、国・自治体の責務を明記」すること、それから第3条の基本理念で国民の意見の反映」をということが書かれています。

つまり、「公共サービス基本法に基づいて、宮城県の水道民営化問題も考えるべきだ」と、中嶋先生は主張されているわけです。「最初から反対、最初から絶対阻止」という形で、われわれは問題を立てているわけではないわけです。

このブルーの紙を見ていただくとわかるんですけども、去年の9月ぐらいから、県議選立候補予定者へのアンケートであるとか、拙速な形での水道民営化はやらないでほしいということで、様々な形で意見書を提出したり、請願をしたりということを、なぜやったかというと、これなわけです。「きちんと議論しましょうよ」ということです。「議論もしないで、横車を押すやり方は、やめてください」ということでもあるわけです。

最近はやってるわけですね。病院(統合)の問題も完ぺきに横車、端的なのは女川原発再稼働。これらの問題を一つひとつ見ていくと、水道の問題とある意味共通したところがある。それは、県民の意見を十分に聞かないということなんです。「議会で決めたから」「首長の意見は民意だから」というふうな形で物事を進めていく。「そういうやり方でいいのか?」ということなんです。

水道の民営化の問題も、このブルーの紙の一連の流れを見ていくと、まさに中嶋先生が先ほどご説明した「国民の意見の反映というものが、どうされてるんですか?」ということが、やはり問われると私は思います。強く思います。

今回、第一次、第二次ということで公開質問状を出したわけですけども、今日お手元にあるのは第二次公開質問状で、今のお話の流れで見ていただきたいのは、最初の文なんです。

miyagi-suidou.hatenablog.com

筆者注:第二次公開質問状の全文は、上の記事でご覧いただけます。

1ページに、われわれの考え方が集約されています。5行目に、<私たちが公開質問状を提出したのは、『私たちが考える問題点や疑問点を公開の上、質問し、県の回答内容を広く県民に紹介しながら、県民議論を深めることを目的』として行った>(筆者注:以下、<>内は、第二次公開質問状や、それに対する県の回答からの引用)と、言っています。

われわれは別に行政機関でもないので、県民全体に対して、「こういう話でしたよ」と伝える義務はないんですよ。義務ではないけれども、公共サービス基本法の観点からすれば、国民の意見を広くみんなで戦わせて、「これからの水道の問題を、どういうふうにしていったらいいんだろうか?」ということを、考え合い、議論し合うということが、ホントに大切なのに、それが十分じゃない。

だから、公開質問状という形で、問題点をできるだけ多くの県民の方々に見てもらい、それに基づいて議論してもらえるような状況を作りたいというのが、われわれの願いなわけです。そういう意味で公開質問状を行っているんだということです。

しかし、第一次公開質問状の回答は、「県の回答内容を広く県民に知らせて、議論できるような」レベルではなかったんですね。あえて言えば、木で鼻をくくったような回答しか来ない。

宮城県は知事も含めて、「この水道問題はなかなか理解が進んでいない」と、繰り返し言っています。「議論が進んでいます」とか「議論が十分です」と言ったことはないんです。それはそうですよね。コロナの問題でほとんど集まることもできない、説明する場もないという状況でしたから。

しかし一方で、いわゆる「競争的対話」というものは、粛々と進めている。われわれが議論できない状態のまま、ある日突然、「こういう業者を選定したいんです」と、ワッとわれわれの目の前に出てきたときに、それをどう受け止めたらいいのか? 

われわれ命の水を守る市民ネットワーク・みやぎなどというものは、お金もないし、人もいないし、吹けば飛ぶような市民団体ですが、われわれが第二次公開質問状を提出したのは、第一次の時と同じで、「県民の議論を巻き起こして、みんなで議論しよう」ということを、ぜひ実現したいということだったわけです。そのうえで、1ページの一番下の段落に書いてありますけれども、9月9日の説明会の内容も踏まえて質問状を提出したという経過です。

私自身、この前の市民講座でもお話しましたが、たぶん2年ぐらい前までは、水道料金が、いくらぐらいかかっているのか、ウチの女房がどうやってるのか、全くわからない状態でした。今回、こういう形で水ネットに関わって、いろいろ議論をしていくと、「やはり大きな問題がある、解決しなければならない問題が多々ある」と強く感じるようになりました。

9月9日の説明会は、残念ながら、私のそうした疑問に答えてくれるようなものではなかったわけです。私が一番失望するのは、説明会の冒頭に県の役人が、「水道の民営化というふうに報道されてるけど、それは間違いなんだ。そういうことが広くやられているのは非常に残念だ」というふうなことを言うんですね。

われわれが第一次公開質問状を出すときにも、私ビックリしたんですが、われわれが何も言ってないときに、県の役人が報道陣に向かって、「水道民営化という見出しだとか、表現は、ご注意いただきたい」と言うんですね。ボクらからすると威圧ですよ。水道民営化と定義するかしないかというのは、これはマスコミの仕事であって、県が注意するとかしないとかという問題ではないと思うんですが。

2月の白石の説明会の時も、同じように説明していますし、何回もそういうことを繰り返しているんです。私たちは不毛な議論はしたくないし、民営化か民営化でないのかなんてことを、県との間でやり取りして時間を食うなんてことはやりたくなかったので、あえて、その問題をテーマにしてこなかったんですね。しかしさすがに、これは問題にしなきゃダメだということになったという経緯もございます。

公開質問状をそういう形で提出したわけですが、お手元に回答があります。12日付で、私が見たのも昨日ですので、まだ十分よく読み込んではいません。

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一見してわかるのは、この回答はページ数が薄いんですね。めくっていただくと、これまたよくわかるんですが、例外的に10行ぐらいの回答もありますが、基本は3行か5行です。非常に簡潔に書いているわけですね。そういう点で言うと、第一次の時の回答と基本的には視点は何も変わってないと思います。

われわれが公開質問状を提起したのは、議論をしたいからですよね。そのために、第二次公開質問状を見ていただくとわかるんですけども、詳しく説明しようということなんです。 

別に、県の方々にわかってもらおうということではなくて、これを読む県民の方々が、なぜこういう質問をしているのかが、少しでもわかればということなんです。

ともすれば、水道の民営化というのは、特殊とは言いませんけれど、われわれの日常的な生活の中で浮かんでくるテーマではないですよね。言葉も難しいし、事業の内容も、われわれは実際の経験者でもないので、詳しくわからないというのもあって、敬遠しがちなんですね。

これは河北新報が書いているんですが、県会議員のみなさんがたもそうだそうです。「苦手意識がある」と、言うんだそうです。「特に、自民党系」と書いてましたけど、そうだろうなあと思います。

簡単に言えば、勉強していないわけですね、議員も。議員も勉強していなくて、「こういう業者で選定します」といった時に、手を挙げて決めるのは彼らですから。「彼らにそんなこと任せていいのか?」っていうくらいの感覚です、私、いま。「わかんないんだったら、わかんないって言えよ」ってことですね。そういうことも不安なんですが、それは横道にそれた話で(笑)、要は、「県民のみなさんが議論しやすいように、質問状に詳しく内容を書きました」っていうことです。

私が質問<1>で質問しようと思っていた中身について、ご説明をしたいと思います。

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         小川静治氏プレゼンスクリーンより

その前に、現在の位置ですが、いわゆる民営化ということで、水道事業が最終的に業者を決めて、事業が開始されるのは2022年4月です。今は、競争的対話をやっている最中です。来年の6月または9月の議会で、運営権設定の議決が行われる予定とされています。

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         小川静治氏プレゼンスクリーンより

この図は、民営化のイメージです。先ほど、県の役人の人たちが、「民営化じゃない、民営化じゃない」と言っているということで、「じゃあ民営化って何なんだ?」ということを、太田さんという大学の先生がまとめたものです。

県が言っていることは、ある意味では、間違いではないんです。ある意味では、間違いなんです。というのは、ここ(右上の部分)に「直営」と書いてあります。水道事業は、いま直営です。しかし直営と言っても、水道事業の中の様々な仕事は、民間に振ってるんです。民間委託と言われて、いくつか種類があります。指定管理者とか、よくありますね。多賀城市の図書館は指定管理で、ツタヤがやっています。

この図で重要なのは横軸と縦軸で、縦軸は所有、施設を持っている度合いです。公のほうに近ければ近いほど、公が様々な設備を持っている。横軸は運営形態で、右側に行けば行くほど「公」で、左の「私」に行けば行くほど私的企業となります。

昔の水道は直営です。今は民間委託とかをやってますから、公で持っているけれども、いろんなことはだいぶ民間にやってもらってます。その中に、このグレーで囲ってあるPFIというのの中のコンセッションというのが、施設は持っていながら、運営は民に寄っていくというものです。いま社会全体の動きは、直営から民営化への方向にむかっています。

完全民営化は、先ほどの中嶋先生の言葉では「完全丸投げ」で、「全然、公と関係なくなりました。全部民間でやってください」ということです。県の役人は、「コンセッション方式は完全民営化ではないから、民営化ではありません」と言うんです。

ここ(左下)に「広義の民営化」とありますが、たとえばコンセッションだとかPFIだとか指定管理だとか、このゾーンに属する様々な取り組みは、運営形態としては、 かなり「私」に寄っています。「公設民営(上下分離方式)」という表現もできます。「公設民営」の例は、山形県東北芸術工科大学です。

そういうふうに、運営形態には、いろんなバリエーションがあります。完全民営化ではなくても、広い意味での民営化というのは、いま現在いろんな公営事業の中で行われています。

われわれは、「今回の水道事業は、完全民営化するんだ」ということを言っているわけでは全くありません。「広い意味で言えば、かなり完全民営化に近づいた民営化でしょ。」と言っています。

「なぜなら、所有権は県が持っているけれども、実際上の運営を全部お任せするから、人は育たず、結局持ってるだけで、これからどういうふうにしていくかを実際に考える職員自体が少なくなってしまう。そういうスキルを持った人たち自身がいなくなってしまう。そのことによって、実質的に完全民営化しちゃうでしょ」とボクらは言ってきたわけです。

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         小川静治氏プレゼンスクリーンより

この図をご覧いただきたいんですが、 これは、内閣府のホームページでPPP、PFIと文字を入れると、必ず最初に出てきます。今日、県の役人の人たちが来た時に、これを質問する予定だったんです。

宮城県は、「仙台空港は民営化だ」と言っています。今日の河北新報一面の「復興再考」特集は、仙台空港民営化ですね。県の職員の人たちは、「民営化の優等生」と言っているんだそうです。

仙台空港の民営化は「PPP/PFIコンセッション」ですと、知事は言っています。同時に知事は、みやぎ型管理運営方式も「PPP/PFIコンセッション」ですと言っているんです。だから、一緒でしょ。知事の説明からすれば。同じものを、空港は民営化と言い、水道はなぜ民営化と言わないんですか?

一生懸命「民営化ではない、民営化ではない」ということを、時には威喝するような形で県は言うけれども、「結局、所有権は国が持っている仙台空港と、管路・設備を全部県が持っているみやぎ型管理運営方式は、一緒の考え方のものでないんですか?」と、今日質問しようとしたんです。しかし、(県職員は)いないということですね(苦笑)。

お手元の公開質問状の4ページで、質問2「みやぎ型管理運営方式」は「水道民営化ではない」という主張について、という質問をしました。5ページに、この間、村井さんはどういうふうなことを言ってきたのかをまとめてあります。

今日の河北新報の報道によると、村井さんが仙台空港の民営化を持ちかけられたのは前原誠司さんで、2020年9月と書いてありました。

宮城県の回答のほうを見ていただくと、「知事が5つのことを言ってきました」ということについては、まったく何も触れない。一切触れない。

<県では、「水道民営化」という表現が事業への誤解を与え、一部の県民に不安を抱かせることを懸念しています。>

一部の県民というのは、どういう意味なのか、よくわかりませんけれど。

<「みやぎ型管理運営方式」では、県が水道業者としての位置づけを維持し、事業の最終責任を持ちつつ、水道施設の一部に「運営権」を設定する枠組みであり、施設の所有権ごと民間事業者へ売却する「完全民営化」とは全く異なることから、「民営化ではない」ことを説明しています。>

われわれは、「完全民営化」なんて言ってないんです。「だから民営化ではない、とは言えないんですよ」と言ってるんですが、すれ違うんです。これはこの後、どういう議論をしていけばいいのか考えますけど。

もう一つ、再公営化の問題です。公開質問状の3ページです。前回の市民講座でもご説明しましたが、国内の水道のコンセッション事業、それから海外の再公営化の問題です。

「国内の水道のコンセッション事業は少ないんですよ。大阪と宮城だけなんです」と、県に対しても質問をしました。ところが県の回答は、<県は評価する立場にありません>。これちょっと覚えておいてください。

じゃあ、海外は? 評価してるんですよ。9月9日の説明会の資料では、<A4. 海外では再公営化が主流と聞いたが? >という部分で、スライド6枚を使って県のコメントを入れています。海外の再公営化した事業の数とコンセッションに移行した数を比較して、<一方的に再公営化が進んでいる訳ではありません。>と言い切るんです。

国内については、コンセッションが進んでいるかどうか評価する立場にないと言っておきながら、海外については、自分たちが行ったこともないクセに、というのはちょっと口汚い言い方ですが、私たちが見ているのと同じ厚労省の資料に基づいて、<一方的に再公営化が進んでいる訳ではないものと説明したものです。>と。

国内については評価する立場にないと言いながら、海外のことについてはちゃんと評価する。こういうのは二枚舌で、説得力がないわけです。国内のことについては自分たちで情報がわかるし、未来投資会議でも進捗状況が報告されているのですから、ちゃんとコメントできるはずなんですね。しかし、それはしない。だからすれ違うわけです。

ことほど左様に、そのような形で、たとえば、先ほどの民営化の例のように、「5つぐらいこういうエビデンスがありますよ。これを我々はどう考えたらいいですかね?」と聞いても、それに対してまともに答えないというやり方を繰り返しているんです。県民の理解を求めるということを、県は本気になって考えているのか?と思うんです。

今日だって、来てもらって、県が「出前講座の趣旨と違うので、その質問にはお答えできません」というのは、それはそれで言えばいいわけです。「それはそれで、県の考え方なんですね」と、不満だけどもボクらは引き取るしかないわけです。

ところが、そもそも来ないんですから。来ないで「県民理解を」と言ったって、私からすると、「何言ってるんですか? 本気になって理解を求めるスタンスなんですか? 」と言いたくなります。

今回の県の回答は、全体を通じて、先ほど言いましたように、3行から5行、多くて10行の回答しかありません。時間の関係からもう一つだけ触れて、終わりにしたいと思います。県の回答の質問3です。

みやぎ型管理運営方式になると、SPCという特定目的会社が(水道事業を)運営するようになるんですが、今までは、水道事業は監査の対象だったんです。通常の会社でいう監査人が県にいますが、それとは別に、完全に中立的な立場で監査に入る包括外部監査人という人がいるんです。

1年半ぐらい前ですかね、「包括外部監査人が、下水道事業の決算について、こういう疑問を呈しています。この点はどういうことなのか答えてください」と、質問したことがあります。

現在、県の事業としてやっている中で、包括外部監査人という人がいて、その人が企業局の会計状況を点検していて、問題点を指摘するということが、制度的に行われているんです。「民営化に伴って、それはどうなるんですか? SPCは当然やらないでしょうね」と質問したんです。

答えは、<「みやぎ型管理運営方式」の導入によって、運営権者により実施される運営権設定対象事業は、県の内部統制(会計事務)および外部監査の対象から除外されることになります。>、つまり県の監査人は、水道事業の現場のことは見れないことになるんです。いいんですか?

 <県は、運営権者との間で締結する実施契約に基づき、セルフモニタリングの結果や、公認会計士等による監査を経た財務情報についての報告書の提出を受け、県のモニタリングを行うことにより事業を監視することとなります。>

モニタリングと言いますか、要するに(報告書を)ざあっと見ますということです。で、事業を監視するということになります。だから監査の対象から外れるということです。

包括外部監査人が監査するというのは、直接的には監査人がやるんですが、県民が監査するということです。つまり、「県民の監査は働きません」というふうになってしまう。中嶋先生から説明がありましたが、「国民の意見の反映」という公共サービス基本法の考え方とは相容れないと言わざるを得ないと私は思います。

県は、経営審査委員会というのを新しく設けて、そこで役割を果たすと言っていますが、果たして実際にうまくいくんでしょうか? 本当に専門的にわかる人たちで構成されるというふうに、私自身は思えないですね。経営審査委員会の内容は明らかにされていませんから。

「ホントに大丈夫なの?」と思わざるを得ないんですが、そのことについては、(県は)説明しないんです。「経営審査委員会を設置してやりますから」というところまでで止まってしまう。もちろん、検討のレベルの問題もありますから、単純には言えないところもあろうかとは思いますけど、「今考えてるのはこういうことで、こういう弱点を、こういうふうに補強していきたいんだ」というようなことを、率直に言えばいいだろうと、ボクなんかは思います。

いずれにせよ、四六時中、「検討中だからオープンにできない」とばかり、繰り返す。本当にそれでいいのか? それは結果的に、横車になるんではないか? で、結果だけを(県民に)教える。「それで民主主義って言えるのか?」と、私は強く思います。何度も言いますが、「公共サービス基本法の視点に立ち返って、この問題を見つめ直すことが必要だ」と、私は強く思います。

 

水質検査・試験体制について

  中嶋廉さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

 

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中嶋廉と申します。

県の方がいらっしゃれば、質問の4について質問する予定で考えておりました。

県から来た回答の2ページ目に、質問の4に対する回答が載っています。それから、公開質問状の6ページから7ページにかけて質問の4という項目がありますので、そこを開いてほしいんですが。

質問の4は水質検査・試験体制についてなんですが、おもに下水道について尋ねています。その理由は、9月9日の説明会でも、従来県が行ってきた説明会でも、上水道の検査については説明があるんですが、下水道の排出の水質がきちんと管理されるかどうか、宮城県の沿岸部でやられている養殖漁業に悪影響を及ぼすようなことはないのかどうか、それについて、県が主催した説明会で触れられることは、これまで全くありませんでした。ですから下水道について質問しています。質問と回答を見比べながら、お話を聞いていただければ助かるんですが。

県の回答の(4-1)に、<「みやぎ型管理運営方式」の導入後は運営権者が水質試験を実施し、県は試験結果を確認・監視する他、新たに「抜き打ち検査」を実施します。>と、書いてあります。

<新たに「抜き打ち検査」を実施します。>というところだけを見ると、「今より改善するのかなあ」と、一瞬みなさん思うかもしれませんが、「これは、現行よりも、大幅後退ではないですか?」ということを、質問する予定でした。

宮城県がいま運営している浄化センターは、微生物、原虫など、何種類かの生き物が、頑張って有機汚染物を食べてくれる、生き物の力で水を浄化している活性汚泥法というやり方を取っています。

生き物でやっているわけですから、その生き物の組み合わせがどうなっているのか? 理想的な状態に今あるのか? それから、夏に流れ込む汚水と冬に流れ込む汚水では、油がどのくらい含まれてるかとか、リンがどのくらい含まれているかとか、いつも変わるそうです。

雨が降れば、下水管には雨水が流れ込んで、下水の総量は増えますが、汚染の濃度が下がりますから、その状態をわきまえて薬品をどう投入していくのか? 微生物を最善の状態で働かせていくために、経験も知識も必要で、ホントに経験工学だと言われています。

ですから私たちは、東北工業大学で下水道の現場で働く技術者を養成してきた江成敬次郎先生に講師を引き受けていただいて、2回勉強会をやってきました。

それから私は、2月6日に現在の議員の人たちと一緒に、多賀城市の大代にある仙塩流域下水道の浄化センターに行って、案内と説明をしていただいて、その浄化施設の状況について実際に確認させていただき、いくつか質問をしてきました。

下水道事業については、県の情報センターに行きますと、管理年報というものが公開されています。排水がどういう状態なのか? その排水の状態を維持するために、日常的にどういう検査をやっているか? それについてもデータが公表されています。

毎月毎月、下水道法などに基づいて、「排水は基準以内でした。この数字でした」ということを報告するんですが、実際には、毎日毎日データを出しています。出さないと、生き物ですから維持管理ができないわけです。日常的な試験、現場の人は中試験と言っていますが、それをやっているんです。

今のまま続ければ、抜き打ち検査は必要ないんです。日常的な検査を止めることを想定してるから、抜き打ち検査をやるんじゃないですか? これが疑問です。

回答の(4-3)を見てください。

<「みやぎ型管理運営方式」では、先進的な機器の導入等による効率的で高度な水質試験および水質管理体制を構築することを可能とするため、現行と同等以上の水準を満足することを要件として、管理体制や使用機器などに自由度を与える「性能発注」を採用しています。>

「いま以上の水準を満足してくださいね、と注文付けるから、後退はしません」ということを言っているんですが、これがそもそも疑問なんです。

有機物の汚染を測る指標は、いろんな議論があったそうですがなかなか難しくて、BOD(生物学的酸素要求量)と呼ばれているものが、水の汚れを把握するうえで一番すぐれた指標だということになっています。

水の中に酸素がどれだけ溶けているかを測って、5日後にもう一回図って、その差額で生物学的な酸素要求量というのを計算して出すので、今日のBODは5日後でないとわからないという状況になるんです。それで当然、連続測定できないかと思うわけです。

水の汚れで、紫外線が少し吸収散乱されますから、どのぐらい紫外線が減ったら、BODいくらということで、紫外線を通して、BODを直接測らずに間接的に測る方法は開発されているんですが、下水道の水質はかなり汚染が少ないです。その小さい数値を測ろうとすればするほど、紫外線を使った方法では誤差が大きくなってしまう。

ですから、別の測定方法を導入した場合は、本当にその値が維持されているかどうかはわかりませんし、汚染物質が環境に放出されている問題を考えるときに、汚染物の排出総量が問題になります。それを増やしてしまったらおしまいなんですが、いいかげんなシステムに移行しちゃうと、かえって汚染の総量を増やしてしまうことになるわけで、先進的な機械の導入のほうがいいかどうかは疑問です。

「結果的に、検査のやり方が後退になりませんか?」ということを聞きたいと思っていました。もう一つは、経費の節約です。

(県の資料では)下水道の分野で経費がこれだけ削減できます、毎年毎年、仙塩の流域下水道ではこれだけ減らせる、阿武隈の流域下水道ではこれだけ減らせる、と数字が入っています。

「第一次公開質問状で回答されていないものを答えてください」という質問が、第二次公開質問状の7ページに入っていますので見てください。

<2)動力費(電気代)を削減すれば、長時間のエアレーションはできなくなり、排水の水質悪化は避けられないと思われますが、削減可能とした根拠を示してください。>

微生物で有機物を食べて分解してもらうために、酸素を使って分解しますから、エアレーション(空気を吹き込む)という装置になっています。その空気を吹き込むために、電気を大量に使うわけです。これは節約することはできません。長時間エアレーションをやめれば、汚染が残るだけです。

そして民間委託になるでしょ。いま使っているのと同じ機械を使うでしょ。なのに、翌年から減ることになってるんです。なんで減るの?(笑)あり得ないでしょ。

動力費削減効果は、大崎はー11%、仙南仙塩も-11%。まあ腰だめで数字入れてますから、流域下水道についてもたぶん、動力費はおしなべて11%減らせますって言ってる。大代の浄化センターに行った時に、所長さんやそこで働いている人に聞いたんです。「県がこういうシミュレーション作ってるけど、現場の人に問い合せありましたか?」「いや、私たち何も聞かれていません。民営化計画には、一切関与していません」現場の労働者に聞いてないんですよ。「減らせますか? 」ってことも確認していない。「あなたたち減らせると思いますか? 」と聞いたら、答えられませんでしたけども、電気代減らせないんですよ。

それから、民営化でコストを減らせる一つの例として、「薬を一括購入するから、大量に買えば少し値引きしてもらって安くできます」という説明がなされています。

第二次公開質問状の7ページです。

<3)薬品費については一括購入という手法で削減することには限度があると思われますが、これだけの金額の削減が可能とした理由について、示してください。また、薬品の購入の時期が現在と民営化後でどのように変化するのか、次亜塩素酸ソーダ以外の薬品についてはとくに丁寧に示してください。>

これは、(県は)困ったはずです。さっき言ったみたいに、汚水の性質は日々変わるんです。季節的な変動もあります。そこに気候変動もあります。予測はある程度はできますが、正確にはできませんので、どの薬品を使うかは、運転しながら考えて注文するんです。

次亜塩素酸ソーダはコンスタントに使いますから一括購入はできますが、現に今やってるわけでしょ。これ以上の一括購入ってできるんですか? 

(県は)現場に意見は求めていません。できもしないことを根拠にして、説明しているのではないですか? 

マーケットサウンディングで、民間が最初、大づかみで、全体でこれぐらい減らせるという数字を出しているから、それを上水道と下水道に按分して数字を出して、4つの 下水道事業の規模に応じて数字を按分して、鉛筆を舐め舐め出しただけじゃないですか? 

そういうことを疑問に思っているので、「それについて答えていただけませんか?」と聞きたかったんです。削減できるというのは、裏付けのない話じゃないですか。

それから、今回の(第二次公開質問状の)質問です。

<(4-4)下水道処理施設の有資格者配置の計画を示してください。

下水道処理施設の運転には有資格者を置くことが下水道法22条に規定されています。「みやぎ型管理運営方式」導入の場合であっても、水道事業者は県ですから、有資格者の配置がされます。県と運営権者での有資格者配置の考え方を説明してください。>

「運営権者は、政令で下水道の有資格者を置かなくてはいけないので、契約の時の条件にして、必ず置くことにします」と答えてくれればいいんですけど、<現時点で具体的な配置計画を提示することはできません。>となっているのは、ちょっと想定した答えとは違うので、これは何を意味しているんでしょうかね? と思います。

それで、私の問題意識ですけれども、海外で行われているコンセッション方式、民営化で一番問題だと感じるのは、下水道・上水道は大事なインフラですが、設備が古くなれば更新しなきゃならないでしょう? その投資をきちんと確保するということがやられなかった。持続的な下水道・上水道事業になっていなかったというのが、私は一番問題じゃないかと思っています。

経費の削減だけが声高に言われて、「経費削減ができるから、民間にやらせてください」という議論がされているんですが、きちんとした投資がされる保証、必要な 投資がされるというインセンティブが働かない制度作りになっているんじゃないでしょうか。

結局、下水道について言えば、水質が悪化するリスクがあるし、現状では、経費が節約される保証はないと思います。経費の節減が行われるとすれば、ダウンサイジングの時だと思いますが、本当に将来必要な投資が確保される制度設計になっているのかどうか? 

水質の問題についても、将来の投資の保証についても、 現状では、PFI委員会の会議録が公表されていないので、私たちの未来を確かなものにするためには、県の職員にはしつこいと思われるかもしれませんが、説明を求めていく取り組みを基本にすえて、向き合っていく必要があるんじゃないか。エビデンスベース、しっかりとした根拠をお互いに示し合って、議論をしていくことが、市民運動に求められているのではないかと思っています。

 

会場の参加者との意見交換

Aさん

私は、水とか何とか、素人ですけどね、やっぱりこのう、県が今日ここに来なかったということは、逃げてると解釈していいんですね? 説明できない、と。ちゃらんぽらんである、と。

それなのに、なんですか、最初から民営化有りきというようなことで進めようとする、と。それはちょっとおかしい、と。結局、そのツケは誰に来るのかと言うと、われわれ一般市民じゃないですか。

なにも水道だけでなくて、ガスも電気もみなそうですよ。これはおかしい。なんでそういうことするの? やっぱり利権が絡むからじゃないですか? 金儲けですよ。以上です。

多々良さん(司会)

ハイ、ありがとうございます。

えーそうですね。私たちも今回の県のドタキャン、非常に問題だというふうに思っています。

Bさん

今日はありがとうございました。あいコープみやぎのBと申します。

今日ですね、県の方たちがいらっしゃらなかったということを聞いて、ちょっとホントに驚いていました。対話の場がもっと必要だなというふうに思っています。県民が不安なのは、私たちの命の水というところなのに、なかなか理解が得られないまま進めてしまうことなのかなあと思っています。

市場原理が入ってしまって本当にいいのか? いまご説明にあったように、経費が削減されるいろんなところを突っ込むと、突っ込みどころが多いじゃないですか。

私たちあいコープみやぎなんですけれども、同じように9月9日の説明会を伺ってですね、これは出前講座でもうちょっと対話の場を作ろうということで企画しております。9月9日に聞いて、会場の空気感とか、いろいろ私たちなりに感じ取りまして、あいコープは本当に、石けんを売りつつ環境問題を考えております。水も環境も大事にしております。

これは、本当に宮城県が何で、全国で、この前ロンリーワンというところで学習させていただいきましたけれども、何で、いま、進めようとしているのか? 率直な、素朴な疑問も聞きたいなというところで、12月15日なんですけれど、県の方をお呼びした出前講座を企画しております。

ドタキャンされないか(会場から大笑)どうなのか、今日のことは私もちょっと衝撃だったので、丁寧に、あのうなんていうんでしょう、私たち組合員はお母さんでもあり、普通にいま行われていることは何なんですか? っていうところで、そういった角度で、本当にいろんなことをお聞きしたいという思いがあります。

ただ、コロナの中でありますので、Zoomを使った企画をご紹介させていただいています。タイトルは「水は誰のもの?『みやぎ型管理運営方式』」っていうところになってます。12月15日の火曜日なんですけれども、10時から11時半まで開催になっています。ホームページのほうに載っておりますので、ご覧いただければと思います。以上です。

多々良さん(司会)

ありがとうございます。

いまBさんが説明してくださったように、午前10時から11時半です。メインの会場は、あいコープの本部の会議室なんですね。ただそこは15人までで、コロナなので密にならないように、あいコープの組合員ですぐ埋まっちゃう所なので、Zoom参加を是非みなさんにお願いしたいと思います。そのZoom参加のURLとかは、あいコープのホームページから参加を申し込むとURLが来るのかな?

Bさん

ハイ、申し込みの時点でアドレスいただくようになってますので、そちら申し込みしていただきますと、URLをお送りさせていただきます。

Cさん

ありがとうございました。 このような会を設けていただいて。

私は、全然水道に関して何もわからず、ただ水道料金を納めている人ですけれども、仙台市民ですけれども。私はまだ短大生でですね、全然まだわからないということだったんですけれども、最近、宮城県おかしいな、と。

それを感じたのはですね、やっぱり、いま、私あの、宮城県美術館の現地存続を求める県民ネットワークという会に所属しておりまして、この中にも、バッジ付けてる方も見受けられるんですが、それに参加しておりまして、それに参加しているうちにですね、さまざまな最近の宮城県おかしいなという、そういう思いがありました。

水道ですとかね、あと美術館もそうですけれども、病院もそうですけれども、それでですね、さまざまおかしいな、おかしいなと思って、今日なんかあるっていうことで、「あっ行こうかな」と思って、「県の方も来るらしいから行こうかなあ」と思ったんですけれども、来なかったということで、「えっ」て思って、最初は「いいや。もう行かなくてもいいや」って思ったんですけど、時間たってみるとなんか、イライラして、「いやなんで、なんで来るって言ったのに、来なかったの?」って、ちょっと思ったんですよね。だからなんか、「もういいや。行ってやろう」と思って(会場から大笑)、あのう、署名活動3時までやってたんですけれども、途中で抜けられるんで、抜けまして、ここに来ましたけれども。

昨日だったか Twitter でちょっと回ってきたんですけど、ヴェオリアっていうフランスの会社が、平成30年度第2回宮城県上工下水一体官民連携運営事業シンポジウムというので、30年度のそのシンポジウムに向けて作ったっていう過去があったらしいんですよ。こういうスライドショー、「持続可能な上下水道事業を目指して」平成30年10月25日 ヴェオリア・ジャパン株式会社っていうので。

https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/711174.pdf

www.pref.miyagi.jp

これ、外資ですよね。私あのう、水道民営化、民営化っていうの、わからないからっていうのもあったんですけど、ただ、私は、外資系企業に何でも売り渡すっていうのは、絶対イヤなんですよ(会場から拍手)。日本の企業ですよ、やっぱり。まあ百歩譲って日本の企業でしょう、と。百歩譲っても日本の企業なんですけれども、いまホントに、外資がどんどん日本に入り込んでいるというのが大変問題になってると、YouTubeでもホントにそういう動画いっぱいあります。ホントにそれを見るにつけて、やはり外資は信用ならない。日本の企業でやるべきでしょう、百歩譲っても。まあホントはね、公営がいいんでしょうけれども。

それでですね、水源地も外資の土地になったら、外国の土地と一緒ですよ。日本の土地なのに。そうなってしまったら、日本の領土、日本の国って、国家って領土と領海と国民と領空を守るのが仕事でしょう。それ仕事にしないで、何が国なんですか? それがね、ちょっと頭にきて(笑)、頭に来てるんですよね。

こういう民営化の問題もそうですけど、やっぱり関心を持たないというのは、やっぱ、罪なのではないか。こういう美術館もですね、縮小、縮小で、規模縮小になってしまうかもしれないです。移転してしまったら。これだってそうですよね。だんだん県の介入がされなくなってって、県は最初は「介入する、介入する」って言って、まあ、最初はいいかもしれません。介入してるから。ただ、ちょっと目を放したら介入しなくなるというふうになってしまうと思います。

この宮城県美術館だって最初は「県でやります」って言ってて、移転しても「県でやります」と言ってても、いつ民営化するかわからない。現に図書館もそうですけれども。図書館は指定管理者制度とかってなってますけれども。いつ民営化するかわからないということで、大変ちょっと危機感を持って参加させていただきました。ホントにありがとうございました。署名用紙も今持ってますので、どうぞよろしくお願いします。

多々良さん(司会)

ありがとうございました。えーホントにあのう、署名の途中で抜けて参加してくださってありがとうございます。

県美術館の移転問題も、みなさん大いに関心を持って取り組んでいきたいと思っています。

Dさん

小川さん、詳しい報告どうもありがとうございます。

前回の学習会の時にちょっと質問したんですけども、仙台市のダウンサイジング計画、青下ダムについてちょっと質問したんですけども、仙台市の水道事業計画、令和2年度から6年度までの計画です。ホームページを見たんですけれども、ダウンサイジングの一つの例として、中原浄水場と国見浄水場の統廃合についてコメントがあるんですけども。だいたい1日その2つの浄水場で9万㎥が給水、配水されているわけですけれども、将来仙台市でちょうどそれと同じ量の水道配水量が減ると。人口の問題、それから地下水の問題、そういう将来見通しを立ててるんですね。

そこで、宮城県の職員の方を呼ぶというのも一つの手ですけれども、仙台市の職員の方の将来的な経営方針、水道、下水道についての、工業用水もそうですけれども、どういうふうに将来計画が、具体的に示されているのか? 新しい中期計画ですので、それについてのちょっと学習を提案したいと思うんですけども、いかがでしょうか?

多々良さん(司会)

ありがとうございます。

今後、水ネットで今のご提案を受け止めて、検討してみたいと思います。仙台市のダウンサイジング、将来計画ですね。

Eさん

前も話させていただいたんですけど、浄水場の水のですね、今回コンセッションになりますと、今はたとえば包括委託契約とかね、浄水場のとにかくいろいろ運営があると思うんですが、いずれにしても、必ずですね、県の職員が監督してるはずなんですよ。委託ですから。

委託というのは請負ですので、必ず全国のどこの浄水場も、県の職員、まあ町の職員か市の職員かわからないですけど、必ずそういう自治体の職員が監督して見てる浄水場が運営されているということです。全国、コンセッションは宮城県だけですので、他は、必ずそういうスタイルなはずなんですね。民間にというのは、包括だろうが何だろうが請負ですから、必ず監督がいます。これはもう、私、土木屋ですけど、土木工事、ゼネコンの請負っていうのは必ず、発注側の国が監督するわけですよ。

今度、宮城県の方式のコンセッションでは、県の職員の監督する人がいなくなるわけですから、要は、請け負ったその民間で受けたコンセッション、宮城県の監督下の業者が、結局、県の監督がいない状態で、自分たちである意味好きなようにやれるわけですね。監督がいないということだと思うんです。

みなさん、私が危惧するのはね、水の水質がどうなるのかということなんですけど、結局、今まで県の説明は、「これまでどおりと比べ、同等以上の管理していきますから」と言ってるんですけど、口先だけなんですね。何ら数字的な計量的な根拠を示してないです。私、今の話をしましたのは、上水道も下水道もです。

結局、処理された水の不良率というんですけども、100回検査して1回不良、基準値を下回るものが仮に出たとすれば1%、1000回で1回とすれば0.1%ですね。今は0%のはずなんです。それは県の監督の職員が監督やってますから。それで今回そういう体制でなくなるとすれば、これによって一番危惧されるのは、水質でありまして、なおかつ水質の不良率なんです、もっと言えば。不良率が非常に0でなくなる。1%かもしれないです。1.5%かもしれない。そうじゃなくて「0%ですよ」ということを、県は今まで一切、そのことについては話してないんですよ。

なぜかって言うと、話ができないんですよ。これは検査するしかないんで。それをやらない限り、「同等以上です」と口先で言っても、「じゃあ不良率どうなんですか?」と聞けば、これは県は回答できないんですね。これは上水道も下水道も同じですね。

処理された水の不良率をどうやって確認するのかってことを、ちょっと聞きたかったんですけど、残念でしたけど。それがですね、県の「これまでと同等以上でやります」ということの欺瞞的な説明なんですけど、口先だけの説明がね、不良率ということを持って、私は彼らの論拠が崩れるのではというふうに思っています。ぜひ聞きたいと思っています。

多々良さん(司会)

ありがとうございます。

Eさん

それで、今日できなかったですけど、結局、学術会議じゃないですけど、あのうなんて言うかな、気に入らないやつは排除するっていうね、そういう宮城県庁の姿勢なんだけども、なぜ今日来れなかったのか、まあ、もちろん聞いてくれると思うんですが、県の主張をまず飲んでもいいから、もう一度再設定していただければなあと思うんですけど。よろしくお願いします。

多々良さん(司会)

ありがとうございます。

今日は、予告、告知していた内容と内容変更して開催することになってしまいまして、ホントに申し訳ありませんでした。改めてお詫びします(と一礼する)。今後の経過は必ずみなさんに報告して、もう一回このような企画を開催することも含めて考えていきたいと思っております。今日はご参加ありがとうございました。

「『みやぎ型管理運営方式』を知り、ともに考える出前講座」は、宮城県がまさかのドタキャン!!(1) 水道事業への住民参加のゆくえは?!

2020年11月15日、仙台弁護士会館4階で開催される予定だった命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ主催の「『みやぎ型管理運営方式』を知り、ともに考える出前講座」は、直前になって、宮城県から「実施できない」という連絡があり、急遽、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが提出した第二次公開質問状とそれに対する宮城県の回答についての解説学習集会に変更となりました。

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多々良さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

本日は「『みやぎ型管理運営方式』を知り、ともに考える出前講座」を開催するということで、みなさんにご案内を差し上げておりました。その出前講座があるということでお越しくださった方も多いと思うんですが、申し訳ありません。

おととい金曜日に、県企業局のほうから、「出前講座は実施できない」「講師の職員を派遣しない」という連絡が来て、昨日そのことが確定しまして、申し訳ありませんが、今日は出前講座という形では開催できなくなりました。

昨日、メールやFacebookで出来る限りの発信はしたのですが、きょう出前講座があるものだということでこの場にお越しいただいた方もいらっしゃると思います。本当に申し訳ありません(と頭を下げる)。主催者としてお詫び申し上げたいと思います。

なので、(今日は)内容を切り換えまして、私たちが県に提出した第二次公開質問状の回答が、これも数日前なんですが、県から届きましたので、その解説を中心に、当ネットワークの事務局のメンバーから、この間の経過や今のみやぎ型管理運営方式、水道民営化をめぐる諸問題について、みなさんにご報告する学習集会ということにさせていただきたいと思います。どうかご理解をお願いいたします。

まず最初に、当ネットワーク共同代表の佐久間さんから、この間の経過説明を含めまして、開会の挨拶をさせていただきます。

 

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佐久間さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

みなさま、こんにちは。

ご紹介いただきました水ネット共同代表の佐久間敬子でございます。今日はお天気が良くて、たぶん紅葉の見頃なんですよね。こんな貴重な日曜日にわざわざお越しいただきまして、大変ありがとうございました。

いま司会の多々良さんからご報告いたしましたけれども、出前講座が出前講座でなくなってしまいまして、私たち自前の講座というふうに切り換えさせていただきました。 ご存じなくこの会場にお越しになった方がいらっしゃると思いますが、本当に大変申し訳なく、深くお詫び申し上げます。ただ、それに代わるわれわれの講座で、みなさまが「今日も来てよかったな」と思っていただければ、大変うれしく思います。

今回の出前講座が実現できなかった経過を、簡単にご報告いたします。

今年の2月に、古川と白石で県が説明会をいたしました。県民のみなさんにできるだけみやぎ型を説明をするということでしたが、その後コロナの問題があり、なかなかこういう説明会が実施できない、また、県のほうで出前講座をやるのもままならないという状況だったと思います。

そんな中で、そろそろコロナも収まりつつあるかなということかもしれませんが、9月9日に久しぶりに説明会をしてくれました。100名の定員で、私たちも参加して、そこで県の説明と参加者からの質問を受けて、みやぎ型についていろいろ議論の場になったんですね。

県は「出前講座は引き続きやりますよ」ということを強調していましたので、私たちは是非やってもらおうと今日の日を設定しておりました。

この日は、本当は違う企画を考えていました。みなさんに、ブルーのご挨拶という文書をお配りしています。

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この問題の先進的な取り組みをしている浜松の水ネットの方々や、そのほかの方々とZoomでつないで、水道のコンセッションについて、全国の活動、知識、成果を共有する集会にできないかということで、この会場を取っていました。

しかしやはり、県民のみなさんは、ほとんど(みやぎ型のことを)ご存知ない。コロナでホントに苦しい生活を送ってきていて、労働環境も変わっている。

県が9月9日に説明会をやってくださったので、「では私たちも出前講座にしましょう」ということで、今日の集会の内容を出前講座に切り換えて、県の担当者の方といろいろやり取りしてまいりました。

そうする中で、金曜日だったんですが、私たちの出前講座の企画内容が、県の出前講座の仕様に合わないということで、実施しないという連絡がまいりました。私たちは大変ビックリして、「どこが県の出前講座の実施要項に合わないんだろうか? 」と、いろいろ考えましたが、腑に落ちないことがいっぱいありました。県の言い分も、担当者とちょっとやり取りしましたが、責任者は不在で、直接お話を伺うことはできませんでした。

私たちとしては、明日以降、私たち共同代表と誰かと(県に)行って、この経過について、県の言い分を十分聞いてきたいと思っています。そのうえで、こちらのほうで言うべきことがあればちゃんと言うという形で、今回の出前講座を実現できなかったことの結論をちゃんとつけたいと思っています。

これは後日、何らかの形でみなさまにご報告をしたい思っています。以上の次第で本日は大変申し訳なかったと思っておりますけれども、このあと私たちの講座をお聞きいただいて、私たちと共に学習の成果を深めていただければと思います。

これまで私たちが考えてきたことの要点をまとめてご覧いただき、私たちがやってきたことの主要な内容を簡単にご紹介して、私たちから見ると実に問題があるこの水道のコンセッションに対して、これから共に運動をしていく、あるいは、ご支援をお願いするということで、このブルーの紙をご用意させていただきました。

ご覧いただいて何かありましたら、ご意見をお願いいたします。カンパのお願いもしておりますので、もしお気持ちがありましたら、是非ご協力いただきたいと思います。

今日は、みなさんの貴重なお時間を全く違った内容に切り換えさせていただいき、本当にご迷惑をおかけしてしまいましたが、以上の事情がございますので、どうぞ自前講座のほうをよろしくお願いいたします。

 

道コンセッションと住民参加

   中嶋信 共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

 

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こんにちは、中嶋です。

公共サービスは、どういうふうに構成するのかということを、おさらいしておきたいというのが私のお話です。

公共サービスというと、なんとなく「お上」がやってくれるものと考える人が多いかと思いますが、そうではなくて、共に働くという意味の「協働」が必要なんだということについて、概略を確認したいと思います。

「公共サービスをどういうふうに良くしていくのか?」という議論がこれから必要ですが、その際に、やはり関係の業者さんに頑張ってほしいし、もちろん行政にも頑張ってもらう。だけど一番大事なのは、実際に結果を受け取る住民の意見をきちっと反映することだという話をします。

ちょっとわかりずらいので、簡単な図を描きました。

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          中嶋信氏プレゼンスクリーンより

地域の経済というと、「民間企業が頑張ってる」とか、あるいは「行政がしっかりやってる」と言うけれども、経済的な規模では、意外と家庭経済というのが大きいんです。ホントに人数多いですから。ここが経済活動を活発にすると、企業がうまくいくし行政も安定するという関係になっているんです。ここのところの協力関係をどう作っていくか? ということで要になっているのは、(真ん中の)PSと書いてある部分の公共領域です。

たとえば教育。教育は公共サービスの重要なテーマで、教育委員会がやってます。業者さんも教育資材を提供したりしていますが、実は、PTAを通じて(家庭が)協力しているんですね。登下校の見守りなんかを、家族がやっています。運動会にも行くし、全体として支えて成り立ってる。「公共サービスはみんなでやるものだ」と考えることが、大事だと思うんです。

他にも、たとえば保健衛生なんかがそうですね。「保健所がやるんだろ。コロナなんか全部保健所がやればいいんだ」と考える人は少ないと思うんです。みなさんマスクしてらっしゃる。住民も保健衛生に関わってるわけです。

そのようなことで、全体として「公共の領域というのはみんなで支えるという関係が大事なんですよ」ということです。ここまでは極めて当たり前のことなんですが、特に今これが重要だということについて、詳しく知りたい方はこの本を読みなさいということなんですけど、パスしましょう。

 

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          中嶋信氏プレゼンスクリーンより

公共サービス基本法というのがございます。 この中では、そういう趣旨から「ちゃんと住民の参加を求めましょう」ということが書いてあります。

基本的な法規としては、憲法25条の健康で文化的な生活を営む権利ですが、この第2項に公衆衛生のことが入ってます。

それを受けて、公衆衛生の制度整備をしなくちゃいけないからということで、1957年に水道法が制定されています。「公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与」と目的が書いてあり、そのために行政が頑張るけれども、それだけではなく、関係の業者も住民も、協力しましょうということですね。

この水道法は2018年に改訂されました。大きな違いは、コンセッション方式の導入

コンセッション方式というのは、民間企業に委託するので、民営化なんて訳しますが、民間企業に丸投げではありません。言うまでもないことですが、事業の実施責任は行政にあります。「公営で、実際の運営について民間の協力を得る」という仕方になっています。

なぜこんなことが必要になったか? 水道事業がいろいろと問題を抱えているからです。たとえば、1980年代から90年代にかけてたくさんダムを作ったんです。これから人口がどんどん増えるから、水需要が多くなる。だから備えをしっかりしようと、どう考えても乱開発に近いようなことをやってしまった。

管路がすごく長くなった。管路(の寿命)は基本的には40年です。そのあと直さなきゃいけない。今その直す時期にあたってるんですが、その費用をどうやって出すかという問題が起こるわけです。

住民人口が減ってますから、水の需要が減って、水道料金で稼いで埋めるということは難しくなる。ここで新しい方式を考えなくちゃいけないということで、その一つの手法として、コンセッション方式という「行政が責任を持つけど、実際の運営は民間企業に託する形」が考えられています。

公共サービス基本法は2009年にできていますが、公共サービスをどうやるかという十分な議論はできていなかった。たとえば今回は、出前講座はいらっしゃらなくなりました。ここら辺についても、もう少しもっと前から仲良くしてればよかったなあと思うんですけれども、なかなかお互い慣れていないので、協働がうまくいかないところがあるんですね。

だけど、公共サービス基本法には、国と地方自治体の責務を明記しています。しかし、これにとどまらないんですね。基本理念として、「国民の意見の反映」と書いてあるんです。国民の意見を反映した事業にしなくてはいけない。 これは公共サービスの基本的な使命と書いてあるんです。この点について、関係する者たちが、一緒に仕事しなきゃいけないということになってるわけです。

 

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          中嶋信氏プレゼンスクリーンより

水循環系が安定しているということが、水道事業の原点です。いい水が、ふんだんに来る。しかも安く入る。そのためには、流域全体の自然環境とか、水の利用の仕組みが、うまくできてなきゃいけないわけですが、この水循環系が混乱状態になってるんです。

たくさん申し上げたいけど、3つだけ言います。1つは、山村社会が解体してます。水源地が崩れてる。山があって、そこに林が生えていて、そこで水を貯えるんですけど、山を守る人がいなくなった。だから山が荒廃して、水源涵養機能が衰えてるんです。

どうするか? 水源を守るっていうのは大事な問題ですよ。いまは人がいなくなってるわけですから、広域的にそれを支える仕組みを作っていかなきゃいけないと思います。

それから、実は宮城県の水道事業というのは、水を半分ぐらい余してるんです。あとで人口が増える、あとで工業がどんどん盛んになる、水需要が増える、と見込んだんだけど、その結果、過剰な水源開発をした。それを維持するのにすごく費用がかかるんです。これをどうするんですか? という問題がいま問われている。

水道代を払う人口はどんどん減っている。じゃあどうやって節約するのか? あるいは、どうやって水をうまく使うのか? を考えなきゃいけない。遠くから運んでくるんじゃなくて、もっと近いところで水源を確保するという方法もある。

ちなみに、仙台市内にたくさん企業がありますが、自己水源を持っている企業が多いです。自分で地下水を掘って使うほうが水道代が安いんです。その結果、過去の水源開発は無駄になってしまう。ここら辺の使い方をどうするんですか? という議論は、絶対必要だと思うんです。

いろんな乱開発で環境負荷が増大しているので、最初に問題とした良好な水循環系という水道事業の前提になっているものが、本当にもろくなっている。利用者としても考えなきゃいけない。

ですから、流域の住民が全体で参加して、水循環を再構築する、デザインし直すということが、いま求められていると思います。さしあたり水道事業をコンセッション方式に切り換えていくということで、そこに議論が集中しがちですけど、本質的に問われているのは、この地域の水循環をどう再構築していくか? それに対して、行政、民間企業、それから私たち 住民が、どのような協働を作るのか? ということで、これこそが肝心だと思います。

 

miyagi-suidou.hatenablog.com

今回のお話のテーマについて、より詳しくわかりやすく中嶋信先生が解説した講座を、上の記事で文字起こししています。是非こちらもお読みください。

 

11月15日のレポートは、 近日アップ予定の次の記事に続きます。ご期待ください!!

「『みやぎ型管理運営方式』を知り、ともに考える出前講座」は、宮城県がまさかのドタキャン!! (2) これで民主主義って言えるのか?! 

 

 

 

宮城県の水道民営化問題を考える市民連続講座第3回 「宮城県は水道民営化ナンバーワン!   じゃなくて、ロンリーワン…?」 後編

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報告2「国内の水道民営化(コンセッション)は広がっているのか?」

みやぎ型管理運営方式に関する第二次公開質問状の内容解説 小川静治さん(東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター 事務局長)

小川静治

今日は第3回目の市民講座ですが、始めてという方もいらっしゃると思いますので、 第1回目、第2回目でどんな話をしていたのかというエッセンスを、最初にちょっとだけ復習的に見ていただこうと思います。 

 

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             小川静治さん作成資料

いまご覧いただいている <宮城県が掲げる水道民営化の「目的」と「手段」> というわけのわからないタイトルですが、一言で言うと、水道民営化は何のためにやるんですか? ということです。宮城県は、水道の民営化の目的は「何だ」と言っているのか?

ここに掲げてあるような内容を、実は宮城県は説明していないんです。つい先日行われた事業説明会でも、水道民営化の目的ということについては説明をしていません。

目的ということで「県が水道3事業の最終責任を持ち公共サービスとしての信頼性を保ちながら、3事業を一体として民間の力を最大限活用することにより、経費削減、更新費用の抑制、技術継承、技術革新等を実現し、持続可能な水道事業経営を確立する。」とあります。つまり県は、「持続可能な水道経営を確立する」ことを目的として置いているんです。

「じゃあ、持続可能な水道事業って、どういうことなの?」という部分は説明がない。水道ですから、そんなこと当たり前ですよね。人が住んでいる以上、持続可能でなければ困るわけです。

今どういう危機に直面していて、持続可能なものにするためには何をしなければいけないのかを、具体的に明らかにすることが必要なのにもかかわらず、県はそれをやっていない。

黄色い部分の「経費削減、更新費用の抑制、技術継承、技術革新」をやること自体を目的にしている。本当は、最終目的の手段として、経費削減だとか、更新費用の抑制等々に取り組まなきゃいけないのに、経費削減だけを一所懸命言っている。

「手段が目的化していると言わざるを得ないんです」と、前回も報告させていただきました。命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの基本的な考え方がここにあります。

県が最終的な目的をきちっと説明していないので、県民は理解ができないんです。

県がどういうことを考えているのかがわからないので、何回説明を聞いても、いわゆる残尿感が残るっていう(会場から大笑)、「なんか、わかんないんだよね~」っていう状態に、今あると私は思います。

 

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             小川静治さん作成資料

復習の2です。民営化したいと言っている中身を、本当は県が説明しないといけないんですが、われわれのほうで図解をしてみました。

人口減少、節水型社会が進む中で、水道事業の収入が減ります、と。管路や設備の更新をするために、約2,000億円ぐらいのお金が必要になる、と。このお金を捻出することができなければ、水道料金の上昇を避けられない、と。だから、民営化してコスト削減するんだ、と飛躍するわけです。

こういう管路や設備の更新をどう進めていくかということこそ、県は語らなきゃいけない。「こういうふうに具体的にやっていきたい」とか、「いくつかの方法があります。Aパターン、Bパターン、Cパターン」とか。そういうことを言う中で、「こうこうしなければ値上げしなければいけない」と説明をするならわかるんですが、そこは省略して一気に民営化へと行くわけです。

「民営化してコスト削減するんだ。コスト削減して料金の上昇を抑制するんだ」と手段が目的化されていることが、この図を見てもわかると思います。

下のほうに、それぞれこういうことではないですか? というのを入れてあります。

まず、現在公営でやっている水道事業の中で、コスト削減をどういうふうにするかを、徹底的に追及することをしているのか? 民間に「お願いします」と言う場合でも、 佐久間先生からもお話がありましたけれども、実際にはすでに民間の人たちに協力してもらっているんですから、県と民間の人たちの間で「コスト削減こういうふうにやろうよ」と、研究して取り組むことはいくらでもできるんです。それを言わないで、「民営化が必要なんです」とすり替えてしまう。

全体を一言で言えば、「説明責任を果たしていないんじゃないですか?」ということになると思います。

 

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             小川静治さん作成資料

復習の3番目です。一昨年の12月、2年ぐらい前ですが、水道法が改正されました。

水道法改正の概要というところに5点書いてあります。広域連携を推進するだとか、 適切な資産管理をするだとか、それはそれで必要性のあることに触れられています。 で、4番目の官民連携の推進ということで、この改正水道法は水道民営化ができるようにした。右側のほうにある水道の基盤を強化するための基本的な方針ということで、 このようなことを置いた。

目の前に様々な問題があるから、水道法を改正したんですよね。ということは、全国の各自治体が、「これはいい道具ができた。水道法が改正されたんだから、これに基づいて自分の自治体の水道事業を変えていけばいいんじゃないか」、というふうに思っても不思議ではないわけです。改正水道法がきちっと的を得たものであるならば、水道コンセッションに取り組む自治体は一挙に増えるはずです。

どの自治体でも、「水道事業どうしようか~」と、将来のことを考えています。「どうしようもないなあ」と、みんな悩んでいるんですから、改正水道法が施行されれば、「よし! これで、ちょっとやってみよう」というふうになるはずなのに、ならないというのが今の実態です。

水道法が改正されたことによって、各自治体にそういうムーブメントが起きないというのは、改正水道法それ自体が、現在の水道事業の問題を解決するための処方箋としての役立ち度が劣るからではないか? そういわざるを得ないです。ここら辺までが、前回までの復習です。

 

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             小川静治さん作成資料

で、いきなりロンリーワンに行くんですが、これは、今年の4月、首相官邸で行われた未来投資会議で出された資料の一つです。上のほうに、デューデリジェンスとか、マーケットサウンディングとか、いろいろ発展段階があるんですね、左から右のほうに。右側のほうに行けば進んでいるということで、水道事業では、宮城県の状況が一番進んでいるんです。

前回の市民講座でもお話をしたんですが、私は、宮城県大阪市を除くここに書いてある全市町村に連絡を取りました。「今どうなってますか? ホームページ等で見ることができれば教えてください」と言いました。

最初の奈良市。「えっ、あー、それはもう議会で否決されましたので、ナシです。」と、担当者は非常に困惑した様子で答えました。

浜松市は、止まっているのがはっきりしていますので、問い合わせませんでした。

伊豆の国市。「や、これは、伊豆の国という市全部をやるのではなく、300だったですかね、600だったですかね、それぐらいの世帯の団地があるんです。別荘地みたいなんですけど、コンセッション方式で民間にやってもらおうと思ってるんですが、決して、全市でやろうということは考えていません。」

お隣の村田町。これも困惑してましたね。「なんか、あの進められてるようですけど、どういう状況なんでしょうか?」と言ったら、「いやあ、ここまで来たんですけども、もうこの先には進めないということなんです。近隣の白石とか他の市町村と一緒に、 包括的な民間委託ということで舵を切って、この民営化の問題については断念しました。」要は、広域になったということです。

以下同文で、ニセコ市、近江八幡市木古内町大牟田市、全滅です。木古内町は北海道ですけど、実をいうと、このコンセッションについてはお金が出るんです。

最近話題になってますよね、北海道の寿都町それから加茂箭内村。私、北海道出身で、後志管内で非常によく知っているところです。友達もその村出身のが2人いるんですが、例の寿都町であれば20億出ると言ってました。何か作るためにやるのではなくて、「調べるときにお金出しますよ」と言うんです。だから実際上は見せ金です。

今回の水道民営化の調査も、様々な取り組みに補助金が出るんです。だから、木古内町の担当者が、「補助金3,000万でしたかね、4,000万でしたかね、お金が出るんで、この機会に水道事業の問題について調べようと言うんで、調べました」と言っていました。

そこから先は、この表を見てもわかるようにどこも進んでいない。進めたのは宮城県、それから大阪市。この大阪市はクセ者で、宮城県は「管路の更新は県がやります。それ以外のところは民間に」と言っていますが、大阪市はその逆なんです。大阪市では一度否決されている。宮城県と同じような形でやろうとしたが否決されたため、管路の更新だけを今やるというふうになっているようです。要は、宮城県大阪市だけなんです。それ以外のところは全滅というのが今の状態です。

政府は、平成26年から30年の4年間ぐらいで集中取り組み期間というのを設けて、この期間で一生懸命お金を出して、「いろんな自治体みんなで民営化に向けての弾みを付けよう」とやったんですが、結果は宮城県大阪市だけ。後に続くところはありません。

 

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             小川静治さん作成資料

下水道は、宮城県以外では浜松市が、市民があまりよくわからないうちに、しれっと民営化しちゃったんです。で、上水道をやろうって時に、わあっと反対が出てきて上水道は止まったということです。

四国の須崎市。ちょうど、県会議員の福島さんがいらっしゃってますが、実際にここに行ってこられたようです。7~8年かけて準備をしてやられたということです。ただ、民間側としては、採算度外視で、先行投資的な意味合いが大きいものだったということです。要は、ここでも2つしかやっていないということです。

 

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             小川静治さん作成資料

工業用水になりますと非常に数が少ない。工業用水は経産省の扱いなんです。たとえば宮城県熊本県、それから、ここでもまた大阪市が取り組んでいる。工業用水は、市民にとってはほとんど関係ないです。工場ですから。環境負荷の問題が若干ないわけではないですし、経営上の問題はありますけど、市民に生活上の問題はほとんどないと言っていいと思います。

 

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             小川静治さん作成資料

これは、去年の未来投資会議の「こんな話しました」という資料です。

「水道分野については、6件の数値目標の達成を認める。ただし、6件のうち実施方針の策定完了済みという後戻りしない手続きまで到達している案件は1件もないため、引き続き重点分野とし、」と言っています。

政府も、進んでないってことがわかってるんです。

なんでこんな状況の中で、村井さんがマッチョに「オレ 頑張るから」って頑張るのか?これはもう理解できない。冒頭で言いましたけど、目的がはっきりしていないということです。

先ほども言いましたように、私は北海道の出身です。国鉄の民営化は、成功したのか、しないのか? こういう問いに日本はまだ答えを出していません。でも北海道に行けば、ハッキリしているわけです。失敗です。ズタズタですからもう。北海道内JRで行けないんですから。

国鉄民営化というものが、JR東海JR東日本のようにバカ儲けするところを作り、もう一方で、JR北海道JR四国のように瀕死の重傷のところを作る。そこは地方経済も疲弊していく。これが、民営化の持っている本質だと思うんです。民間に任せるとこういうふうになるんだということ。もちろん、単純にすべてのものがそうなるという意味ではありませんが、一つの見方として見ておく必要があると思います。

  

それから、民営化問題について、今回の公開質問状の中に入れました。
miyagi-suidou.hatenablog.com

お手元の資料の4~5ページです。

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この質問状を見るうえで、この図をちょっと見ていただきたいと思います。

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まず、用語の問題ですね。PFIとかPPPとか、わけがわからないので、ここからもう敷居が高くなるんですけど。

PPPというのは、Public と Private 。「官と民のパートナーシップで一緒にやりましょう」という官民連携なんです。「公と民がいろんな共同の取り組みをやりましょう」と。

PFIというのは、Private Finance ですから、「私のお金を公に入れて、様々な形で運用しましょう。公営の様々な施設運営に民間のお金を投入しましょう」ということです。 そういう枠組みで、膨大な公の市場を民間に開放する。

 

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官民連携という取り組みの中でPFIが中心になっている。そして、PFIの一つとしてコンセッション方式があるんだと思ってください。

村井知事は「仙台空港の民営化」と言っています。これは「PPP/PFIコンセッション」だと、至る所で言っています。つまり、この青い点線で囲んだ部分が仙台空港の民営化です。仙台空港がコンセッションなら、水道の民営化はどうなんですか? 私たちは「民営化でしょ」と言ってるんですが。

公開質問状の5ページに、村井さんがこれまで言ってきたことを5項目入れてあります。1番目は、2016年未来投資会議で「実は、宮城県は上水、下水だけでなくて、工業用水も一緒にして、上工下一体での民営化というものを考えてございます。」と発言しています。みやぎ型管理運営方式は「民営化です」と言ってるんです。

そのことについて、4番目のところにありますが、昨年2月の県議会定例会で、内藤隆司県議(当時)との質疑で、「あなた、水道民営化といったじゃないか」と追求されると、村井さんは、「一番わかりやすい表現ということであえてこういう言い方をいたしました。」と、しゃあしゃあと答えてるんです。これって、訂正も何もしていないんですよ。「私が民営化という言葉を使ったことは、間違いでした。」というふうなことを一切言っていない。

「わかりやすい表現をしました。」ということですから、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが「水道事業の民営化」と言っても、わかりやすいんだから、何も問題はないですよね。でも宮城県は、何度も何度もいろんな説明をする時の枕詞で、「水道事業の民営化ではありません」と言うんです。

第一回目の質問状を出すときに、われわれが若干説明したあと、県のほうからコメントされたんですが、最初の言葉で「今回の問題は水道の民営化ではありません。みなさま方も注意してください」と、ボクらがいるところでマスコミに対して言うんです。威圧するんです。これって異常だと思いませんか? 

「民営化でない、民営化でない」と、壊れたレコードみたいに何回も同じことを言うので、「民営化でしょ」ということを、5ページのところにいくつかの事例を挙げて質問をしました。

この5つの事例を読んでいくと、要するに民営化だ、と。「民間にお任せする」ということを、村井さんはしきりに言います。民間に運営をお任せするということは、民営化ではないんでしょうか?(会場から笑い) 民間に委託するということは、今もそうだと言えばそうだけれども、それをより踏み込むんだから、「民営化と言葉を言い換えたほうがわかりやすいよね」と思います。

時間がありませんので、今回質問状にしたことを2つほど説明します。

6ページは水質の問題、試験体制の問題です。非常に乱暴な言葉を使うと、「とにかく県の回答はふざけてる」。前回の第一次質問に対してまともに答えていない。ですから7ページのところで、「回答していない事項を回答してください」ともう一度同じ内容を掲げました。

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7ページの真ん中にありますけど、(4ー3)なぜ「現行水質検査・試験体制の維持」を求めないのか?理由を示してください。

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが様々な取り組みをする時に、現場の技術者の人たちの協力を複数いただいています。実際に水道事業に関与した人たちです。その人たちと連絡を取りながら、あるいは相談をしながらまとめたものなんですが、質問状のこの部分は、その方々も大賛成という意思表示をしてくださいました。

「6.10質問」というのは、6月10日の第一次質問状のことです。

その質問4で、みやぎ型導入による検査項目、試験項目の内容について質問しました。回答はここがポイントです。「上水については県が公表している水質検査、下水については現行の県が管理している水質管理基準を参考にすることとして、上水・下水ともに水質は現行と同等、または水質管理は現行と同等以上とすることを求めているので、水質及びその管理体制が低下することはない」と言うんですね。

だったら、「参考にする」だとか、「現行と同等以上」だとか、わけのわからないこと言わないで、「今やってることをそのままやってください」と言えばいいでしょ。そうすれば県民のみなさんは安心するんです。

 

8ページはコスト削減の問題です。

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これものらりくらりで、(県は)はっきりわからないことを言う。ボクらが質問していることに的確に答えないんです。

8ページの中ほどにありますが、県は197億円以上のコスト削減を条件に提案を受ける。その提案内容を盛り込んだ契約をするから、コスト削減は間違いなく実現すると回答しています。

これ、言い換えると、「わが校は東京大学に入学させることを間違いなくできるようなカリキュラムを組みますので、東京大学に入りたいという意思をちゃんと表明さえしてもらえば、そしてわが校の教育を受けていただければ、東京大学には間違いなく合格いたします。」と言ってるのと、同じじゃないですか。そんなの、わかりっこないです。高校は3年間かもしれないけど、このコンセッションは20年間です。

20年間で、たとえば今回のコロナのような問題、昨今、航空会社の赤字のいろんな問題が言われてますよね。何があるかわからないわけです。20年間というのは、民間からすればきわめてリスクがある。そういうリスクを負わせながら、間違いなく197億円削減させるんだということは、20年経たないと誰にもわからない。

具体的に、コスト削減を誰がどのような方法で認定するのかを契約の中で明確にして、「こうなったら、こうこうこうですよ」というようなことを入れないと、間違いなく 実現してもらうことはできません。197億という具体的な数字を約束させるということは、民間からすればきわめてリスクがある。197億いかなければ契約違反ですから。

 

みなさんがご覧になっている冊子の最後の前のページです。(筆者注:第2次公開質問状に添付された資料のページのことです。)

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宮城県は2022年から民営化をやると言っています。2021年までは公営でやっていて、2022年から民営化したら、なんでこんなに、ページをめくるようにコストがスパーンと削減されるんですか? 

たとえば大崎広域水道を例に取って2022年単年度で削減効果を見ると、公営から民営に変わると動力費が11%減ると言っている。あり得ないです。民営になったからと言ってそんなに自動的に下がるわけではない。修繕費がなぜ15%も下がるのか? 薬品費が、なぜその年から9%も下がるのか?

推測は、コスト削減の率を20年間に機械的にバラしてやったので、民営化導入の年から削減されるというふうになったと思われます。ここで言いたいのは、こういうやり方をするということは、「試算がいい加減でしょ」ということです。これは試算の信頼性に関わります。「信頼できません」ということです。

数字が食い違うということは、大阪都構想218億円問題も似たような感じだなと思いながら、水道民営化の問題を子細に見ていくと、いっぱい ボロがあるということがわかる。私から見ると、いろんな計算、試算がいかがわしい。

民間の日本総研に任せて、(県は)自分たちで計算してないんですよ。もっと言えば、計算できない。計算できないから、質問しても答えられない。そういう状況の中でも、彼らは水道の民営化を強引に進めようとしている。

最後になりますが、先ほど例に出しました国鉄の民営化のように一回民営にしてしまうと、目的もわからなくなってしまい、何十年か経った後に振り返ったら、「あら?!」という話になる。こういうことを起こしてはいけない。

そういう意味で、われわれはこの水道の民営化の問題について、非常に細かいことも含めて、しつこくやるということだと思います。ネチネチとやる。そういうことをやっていかないと、彼らは気づかない。まあ言っても気づかないという別の問題もあるんですけど。(笑)

冒頭に佐久間先生からお話しいただいたように、本当に民主主義の問題だと思うんです。宮城県のこれからを考えた時に、この問題をあいまいにして黙って通すことが、間違いなくわれわれの生活にプラスには何もならない。何とか公開質問状やこの後の議論で深めていければ。11月15日に出前講座もありますので、そこでも県との間でやり取りができればと思っています。

 

会場の参加者との意見交換

多々良さん(司会)

小川さんありがとうございました。

非常に納得度が高いというか、聞いた人が誰もが「そうだよな」と思える話ですよね。それはエビデンス、根拠がはっきりしているからです。

いやあ、この質問状を受け取った県の担当者はイヤでしょうね。同情します。(笑) どうやって答えるんだろう。(笑) 県の企業局の人たちはそれなりに頑張って、優秀な人たちがそろってるんですけど、この質問状に答えなければならないという仕事は、イヤでしょうね。村井知事は、優秀な部下にこういう仕事をさせちゃいけないと、私はホント思いますね。

Aさん

小川さん、詳細な報告ありがとうございます。

本来ですね、水道料金の出発点というのがあると思うんですが、宮城県の水道料金は、平均家庭で4,249円。非常に高いということで、全国第3位です。青森県第1位、北海道第2位、宮城県第3位、山形県第4位で、全国平均の料金は3,244円です。

その原因は、小川さんの報告にもありますが、受水費が高い。受水費は何から決まるかと言うと、減価償却費、過大な投資だというふうに言われてます。それを削減できるのかどうか?そういう視点をずうっと2年間研究してきてるわけですが、宮城県に対するオルタナティブと言うんですか、具体的にわれわれの側でどうすれば、まあ広域化とかダウンサイジング、それからIT化とか、イノベーションも含めてですけど技術向上で、岩手県の中央広域事務組合の75億円削減というのは佐久間先生からお話ありましたけど、じゃあどういうふうにすれば公営でダウンサイジングしていけるのか? 

たとえば仙台市だと、青下の森プロジェクトということで、青下ダムを廃止するというプランが去年から始まったんですね。11月21日の水道局の報告ですが。具体的に進められている仙台市であるとか岩手県であるとかの事例を含めて、われわれの側からダウンサイジングについての見解を報告していくというふうなプランニングがどうなってるのか、小川さんに教えていただきたいと思います。

小川さん

あのう、結論から言えばわかりません。たまたま昨日、わが家に帰ったら、みやぎ県政だよりと市政だよりと仙台市水道局のH₂Oが届いていました。H₂Oは3カ月に1回出されているそうです。その中に管路の更新についての考え方が説明されていました。「あっいろんな方法あるんだな」と、その時私、強く思いました。

同時に、岩手県の中部水道企業団でも、ダウンサイジングのやり方を、まさにプロの人たち、実際に担っている人たちが、数年がかりで議論して、「こうやればできるんじゃないの」というふうに導いたという経過があるわけです。だから最初に言いましたように、わかりません。それは、現在の自治体の担当者もまだわかっていないと思います。

だから、いま必要なことは、将来に向けてどうしていったらいいか、管路の更新やダウンサイジングも含めて、ホントに熟議することだと思うんですよ。

それは、自治体の側でもそうだし、同時にそのことを市民の側に伝える。そのことで、これからの水道はどうあるべきなのか、まあみんながみんな、私もこの水道の問題に関わるまでは、上水道と下水道が一緒に徴収されてるってこと自体もわかりませんでしたからね(笑)。情けない話なんですけど。

だけど、そういうことを繰り返していく中で、全体をこれからどうしていったらいいのかということが、少しでも明らかになっていくんじゃないか、と。そういう意味で民主主義の問題だと、私は思うんです。

議員の方々もそうでしょうけども、自治体の担当者自体も迷ってる、あるいは困ってるはずなんです広域化の議論をどういうふうにするかという問題もありますけど、そこに引っかけてもかまわないので、とにかく、将来に対してどういうやり方でアプローチしてくのか? ということを、投げかけ続ける以外ないというふうに私自身は思っています。

Bさん

毎度同じような話をしてるんですけど。この前の戦災復興記念館でも、私、質問したんですけど。県のほうは現行と同等以上にするから何の心配もないというふうに、さっき誰かも言ってましたけど。

私、名取ですけど、名取市役所の方に聞いても、県は今までどおりだから何も心配ないからの一点張りらしいんですね。名取の市会議員にも聞いたんですけど。たぶんどこの自治体も、県からはそういうふうに言われてると思います。「今と同じですから、何の心配もないです」と。

そう言われて、各自治体の役場の人は反論できないですから。できるかもしれないけれども、県から言われれば鵜呑みにするしかないわけです。だから私も、もうちょっと各現場の役場が、もう少しね、住民の立場に立ってモノを言ってもらいたいなと思っていますけども、半分無理かなという感じもしてるんだけども。ここは議員の方に頑張ってもらえればと思いますが。

私、ちょっと先ほどの小川さんのご説明の中でですね、全体的には、大変的確なご質問内容になってると思いますが、一つ追加と言うか、私が考えてるのは、いまと同じ、同等以上にするというのが県の論理なんですね。そうであれば、要するに浄水場というのは工場ですから、水を作る工場ですのでね、不良品を出しちゃダメなんですよね。

不良率で考えますと、今はいちおう不良率ゼロなわけですね。ゼロではない、0.1%とか、ないとは言えないんですね。けども、まあいちおうゼロですと、全国浄水場どこも不良率はゼロですということですね。

今度のこのコンセッションやらさせた場合に、じゃあ不良率ゼロになりますかという、それを証明してもらわないきゃいけないと思うんですね、県には。それはゼロじゃなくて1%ですと、1.5%ですと、あるいは3%ですと、かもしれないですね、実態は。これ、我々わかんないわけですよ、水を飲む側は誰も。県民誰もわからないですよ。

県はゼロです。今と同じゼロですと言っても、もしかしたら1%かもしれないし、3% かもしれない。それを、県は責任もって否定してもらわないといけないですね。同等 以上ですと言うんであれば、じゃあ1%の不良率でないですよ、3%でもないですよと、ゼロ%ですよということを、県は立証する責任があるわけです。

立証した上でないと水を流してもらっちゃ困るわけですね。だって同等以上にするって言ってるわけだから。不良率がゼロであるということを、立証してもらわなくちゃいけないと私は思ってます。これについてはまだ県のほうにも、私は個人的にメールで問い合わせしてますけど、まだいろんな場面で県に聞こうかと思ってますけどね。

とにかく、こういう水に関わらず、すべての製造業、浄水場も水の製造業ですから、 必ずこういう不良率は、普通のものであれば1%とか0.5%とか、まあ0.2~0.3%です。メーカーの方はご存知だと思いますけど。浄水場の場合はゼロ%じゃないといけないとなってますね。

いま「ゼロ%です」というふうに言ってるわけです。だったらば、このコンセッション、ゼロ%ですよねということを、県がね、立証しないといけないですよね。全然立証もしないし、説明もないわけですよ。この前聞いたときも、何もそういう話ないからね。そのことについては、県はね、頭にないんだなと思います。不良率ゼロであることを立証させるってこともね、非常に重要かなと私は思ってます。

小川さん

Bさん、ありがとうございます。

ご指摘のとおりと思います。私の現役時代の感覚というか仕事の関係で言っても、現在やっている方式は何十年も積み上げてきた試され済みのものなんですよ。その到達点というのは、Bさんが言うように0.001とか0.0001とか、そういう水準をキープしているわけです。「何も変える必要がないでしょ」ということなんです。

もちろん、改善は必要なことはあるかもしれない。そのことによって0.00001とか上がるかもしれない。ホントに細かい努力ですけど。それを、民間にして、変えてしまうということであれば、Bさんがおっしゃったとおり、今までのやり方を捨てて新しいやり方をするんであれば、まさに「不良率ゼロを立証しなければ、それやっちゃいけません」ということになると思います。

だから、われわれは、「今までやってきたことをちゃんとそのまま継続しなさい」と、「試されてきたことなんだから、いいじゃないそれで」というふうにこの(公開質問状の)中で入れた。立ってる立場は同じだと思います。

福島さん(宮城県議)

どうもこんにちは。私も連続講座、今日も3回目参加しております。

今日ちょっと地元で行事がありまして、遅れたんですけども、途中から聞いた小川さんの報告の中で、高知県須崎市のことがありました。浜松市の次が須崎市なんですが、須崎市は人口2万弱で、しかもそこの下水道全部ではなくて部分的で、だいたい2,000人ぐらいの下水道事業をコンセッションにするのに7年ぐらいかけたというぐらいの規模です。

で、その前に浜松市が、やはり下水道のほうをやってますけど、それも浜松市全体ではなくて、合併した3市2町なのかな、11ある処理区域のうち3つだけをコンセッションで民営化したということです。浜松市も、ちょっと不正確ですいませんけど、40万ぐらいの処理人口なんですけど、今回宮城県が行う民営化の下水道は4事業あるんですけど、約76万人なんですね。だから下水道だけを見てもすごい規模なんですよ。浜松市の倍をやろうとしていますし、須崎市にダウンサイジングするのにも、国がお金を出して、「ダウンサイジングしながらコンセッションしましょう」というのに非常に積極的になっていって、ようやく2つ目の事例ができたということなんです。

宮城県がしようとしているのは、まだどこもやっていない上水道のコンセッションと、全国で3つ目になるかもしれない下水道と、あと全然住民にはピンとこない赤字で施設の3割ぐらいしか使われていない工業用水まで一緒にして、住民のみなさんがよくわからないうちにドンドンドンドン進めようという、ホントに乱暴でむちゃくちゃなことをやってるなあというのを、私は須崎市に行って非常に感じました。

須崎市でも、議会で一度否決したんですね。「こういうやり方はダメだよ」ということで。それから結局、「施設の改修は自分たちでやりましょう」ということに、須崎市もなっています。それは職員の技術力を担保しなくちゃいけないから。全部出したんではそういうのが損なわれるというような形になってます。

小さい町が国がかりでコンセッションの事例を作ろうというのにも、議会も非常に真面目に取り組みましたし、行政のほうも、やはり将来的に技術者の技術力をちゃんと持ってなくちゃいけないということで計画を変えたりということでやっているのに比べて、宮城県がやろうとしていることは、ホントにむちゃくちゃだなあというふうに思っています。

下水だけでなくて上水、それに工業用水もくっつけてますし、蛇口までという浜松市がやってるように基礎自治体がやるコンセッションじゃなくて、自治体に卸してる上水、それから下水にしても広域ということで、なかなか見えにくいところを狙ってやってるなあという感じが非常にしてます。

実はもうすでに3つの企業グループが応募して、競争的対話というのも3回目が12月にします。1月の末か2月の初めには、この3グループのうちの1つが、優先権者ということで決まります。それが決まったら、ある程度の情報は開示されるんですけど、それまではその3グループがどういう企業が応募してるのかさっぱりわかっていないというか、 非公開というのが今のPFIの手法になっています。

最近、仙台市ガス局の民営化なんか、仙台市ははっきり言わないけれども、河北新報がスクープして「東北電力東京ガスがやります」みたいなのが流れてるんですけど、県の水道民営化は一切流れてきません。ただ、業界に詳しい人の話ですと、どうも浜松のようなヴェオリアオリックスが中心になってるところが第1候補なのではないかという話も聞いています。ただ、それも聞いていますというか、流れていますということで、噂話にしかすぎないんですね。

非常に大事な問題が、住民に秘密のうちに進められて、 そして情報が一気に開示されたら次は、来年の6月か9月の県議会にその企業グループとの契約の議案が出されます。まだまだ皆さんよくわからない状態になっていること自体、私たち議会側の責任が大きいんですけども、たくさん問題点を指摘しながら、大きな市民運動で契約の議案を出せないようなところまで追い詰めていく必要があるなというふうに思っております。

今議会で一番私が問題だなと思ったのは、料金改定の議案は議会に出されるんですが、それ以外のことについて、議会が関与する保証が今の契約書のどこにも出てないんです。だから調査することもできない状態に今あります。

そういった問題点を指摘しても、「1月末になったら、そういったことをみなさんにお知らせします」ということで、今すべてが秘密にされているということです。非常に 問題なので、与党の議員のみなさんにも問題点を訴えて、管工事事業者のみなさんも、「結局は外資とかいろんな大きな資本が入ってきて、今まで入ってきていた利益が中央あるいは外国に持って行かれるようなことになるんだよ」みたいな話もしながら大きな世論にして、ストップさせていかなくちゃいけないなと思ってるところです。雑駁で、すいません。以上です。

多々良さん(司会)

ありがとうございます。

いま福島県議の報告にも合ったように、そもそも私たちの命の水、この水道事業を買い取ろうとしている企業名さえ私たちは全然わかんないんですよ。これ、すごい話ですよね。こんなんでいいのかと思うんですけど。

来年の6月か9月の県議会には運営権者の設定の議案が出てきますから、間違いなくわかるんですけど、その前に1月か2月に、そういうことってわかりそうなんですか?

福島さん(宮城県議)

わかりそうです。公表するみたいな話をしてましたね。

多々良さん(司会)

それは3企業グループがどこかということを全部出すんですかね?

福島さん(宮城県議)

いや、優先権者です。

多々良さん(司会)

優先権者。なるほどね。いま福島さんが噂話ってことでおっしゃいましたけど、結局、どこにもヴェオリアが絡んでるんじゃないかっていう噂があるんですけど、そうなんですか?

福島さん(宮城県議)

そうですね。今いろんな民営化のコンサル事業者があずさ監査法人なんですけど、オリックスの役員の方が役員になっている監査法人なので、まあそういう構図でできてるのかなみたいな。浜松もそうです。

多々良さん(司会)

もうすでに、利益共同体というか、利権の構造ができていて、「3つの企業グループが応募してるよ」つったって、どこに当たっても全部そういうトコが絡んでるっていう(苦笑)そういう可能性もある、と。わかんないですけど、噂もあると。そういうことですね。ハイ、議会の情報や視察先の情報もご提供いただきました。

嵯峨さん(仙台市議)

市会議員をしております嵯峨です。

ここは市民のみなさんがおられるので、仙台市の取り組みですとか、あとは七ヶ宿ダムから受水している仙台市も含めて県内の17の市町の状況も付け加えさせていただきたいなあと思います。

17の受水市町で連絡会を作ってまして、仙台市がその事務局になっております。それでこの間3回ほど、県に様々な質問状を出しています。去年までは、県の答えは、すべてほとんど検討中、検討中という回答だったんですね。最近9月かな、また県に質問状を出しました。そうしたら、ちょぴっとは進んできていました。

ところが、先ほど小川さんが報告したように、モニタリング検査のところは、やっぱり同じように「水質管理基準を県が管理しているのを参考にすることとしている」とか、「水質管理は現行と同等以上にすることを求めています」みたいなことを書いてあるんですね。

それから災害時の体制をどうするのかですね。東日本大震災の時は、市の水道の復興の報告にも書いてあったんですが、七ヶ宿から来ているもの凄いでっかい道管が破断しましたよね。それで仙台市もかなり水道ストップが長引いたんですけども、その時書いてあったのは、圧倒的にマンパワーが不足していた、と。そういうふうに報告書で述べているんですよね。

あと企業が撤退した場合どうするのかということで、企業が撤退した場合の回答はですね、「撤退したらまた別な事業者を募集します」みたいなことが書いてあったのね。(笑)えーって、そんな撤退して、じゃその後、県民はどうやって水を使えばいいんですかとね、次に事業者募集する間どうするんだろう?非常に無責任な回答だなあと思ったんですね。

仙台市の場合は、先ほどおっしゃっていただいたように、水道の基本計画改定で、これから人口も減少するので、老朽化した浄水場を修繕なんかする時は、統廃合してダウンサイジングをして、コスト削減を図っていくだとか、水道管の更新なんかも大きな口径じゃなくて一回り小さな口径にしていくだとか、非常に現実に沿った計画にはしているんですね。だから非常にまともな考えだなあと思ってはいるんですね。

やっぱり受水17の市町が継続して、こういうふうに粘り強く県のほうに質問状を出し続けるということは非常に大事だなあと思ってるんです。だから私たちそれに呼応して、受水17市町と一緒に住民のみなさんを巻き込んだ形で、ホントに運動を強めていかなきゃいけないなあと思っています。まだまだやっぱり多くの県民のみなさんは、この民営化のことは必ずしも周知というのか、わかっているっていう状況ではないのかなあと思うので、とにかく仙台市は一番大きいですから、頑張っていきたいなと思っています。

それから、先ほど水道料金が高いのは、仙南仙塩広域水道の受水料金じゃないか、と。それは確かにそうなんです。でも建設費、初期投資の返済もほぼ終わったみたいですよね。そうすると、あとはむしろ料金を安くすることが可能なんではないのかなあ(福島さん「今年下げたんです」)。下げたんですね。そういう展望なんかも、むしろ見えてくるんじゃないのかなあと思うので、その点でも、皆さんともっともっと世論を高めていく必要があるかなと思っています。以上です。

宮城県の水道民営化問題を考える市民連続講座第3回 「宮城県は水道民営化ナンバーワン!   じゃなくて、ロンリーワン…?」 前編

2020年10月31日、東京エレクトロンホール宮城 602 中会議室にて、「宮城県の『水道民営化』問題を考える市民連続講座 第3回 宮城県は水道民営化ナンバーワン! じゃなくて、ロンリーワン…?」が、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ主催で行われました。

 

みやぎ型管理運営方式

 

 

報告1「海外で水道事業の再公営化は進んでいないのか?」       

9.13命の水を守る全国のつどい in 浜松の報告 佐久間敬子さん(弁護士)

 佐久間敬子弁護士

 

私がお話するのは、9月13日に浜松で行われた「命の水を守る全国のつどい in 浜松」のご紹介です。 

命の水を守る全国のつどい in 浜松

 

命の水を守る全国のつどいin浜松

このつどいは第2回です。第1回は昨年の1月13日で、私たち命の水を守る市民ネットワーク・みやぎからも2名参加して大きな刺激を受け、非常に先進的に進んでいる浜松の運動の勢いをお借りして、昨年の6月29日に東北学院大学の押川記念ホールで、命の水を守る全国のつどい in 宮城を開催しました。

この日は、実は他の水に関する講演会があり、私はそちらに参加しましたのでこの浜松のつどいには行っておりません。またコロナのため、このつどいは結局リアルではなくZoomで行われました。全国6カ所にサテライト会場を設けて、全国の方が見られるようにしたようです。

内田聖子さんと岸本聡子さんは、みなさんご存知のように水問題の第一人者です。

私はこのつどいの様子をYouTubeで拝見したり、紙ベースに落としたものを見て、大変優れたお二方の報告を、ごく簡単に私が理解できた限りでみなさんにお話しようと思います。

このつどいではお二方の他に、次にお話しする小川さんが宮城の状況を報告し、大阪、浜松など、各地の水道民営化反対運動の取組みの紹介もありました。この動画は今でもYouTubeで見られますので、皆さんも是非ご覧ください。

save-public-water2020.mystrikingly.com

 

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

内田聖子さんは、水の民営化という問題が生まれてきた背景と言いますか、その思想というかイデオロギーである新自由主義に焦点を当てて、その動きとそれに対抗する市民サイドの動きを、巨視的に概観してお話しくださいました。

岸本聡子さんは、外国の水の民営化に関する大変すばらしい市民運動の闘い、まだまだ苦しい状況にある国、一定の成果を上げつつある国、それから、この水の民営化に反対するという動きの中で、新しい民主主義、地域主権というものを確立していく、水だけでなく暮らし全般に関わるもの、そういう新しいコミュニティや民主主義を作る運動が生まれているというご報告をなさいました。

 

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

1980年代から日本では、「官から民へ」、規制緩和行政改革、政治改革、司法改革というように、改革という言葉が躍って、それに世の中が動かされてきた。

ヨーロッパでは、「投資の自由化」「資本移動の自由化」「貿易の自由化」という形で、企業が国境を越えて自由に経済活動を展開できるようにするためのイデオロギーで経済のグローバリゼーションを進めてきた。

これは単なる私的な営業だけではなく、水道や医療、学校、介護施設など、本来は公共で担うべき分野にもだんだん手を伸ばしてきた。それを市場化、民営化と言うのですが、それが非常に弊害を生み、貧困、格差の拡大、一極集中という形で富が都市部に集中して、地域経済が衰退している。そういうことと合わせて、私たちが地域で自分たちが生きやすい仕組みを作っていく、地域で民主的に物事を決める仕組みがだんだん後退していっている。

そういったところに、ヨーロッパの経済危機やアジアの通貨危機を契機として、IMF世界銀行、欧州銀行が、困った国に集中的に支援する条件として、公共サービスを民営化する、市場開放を行うということが行われ、それがずっと続いてきた。しかし、民営化された水道は料金が上がり、約束された水道の手入れをしないといった結果になり、「やはり民営化はおかしかったのでは」と民営化に反対する流れが今ある。一度民営化したものを公営に戻す取り組みもだんだん増えている。

 

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

一方日本は、明治以来ずっと、水道事業は自治体が運営してきた。1890年からそういう仕組みができてきて、1894年の日清戦争、1904年の日露戦争のずっと前に、かなり古い時代から、民営水道は認めず、自治体が責任を持つことになっています。

橋本淳司さんの岩波ブックレット「水道民営化で水はどうなるのか」には、なぜ水道は自治体が運営するようになったのかがコンパクトに書かれています。一時は民営水道があったようですが、当時の元老院という議会が、「水道は公衆衛生に関わる。国民の健康や命に関わるものを民間に任せては駄目だ」ということで、私営の水道は認めなかった。以来ずっと、原則公営水道でやってきています。

ところが、世界的に民営化がだんだん多くなってきて、日本でも、1999年に一番最初の水道民営化が可能になった。これは官邸主導の政策ということで、みなさんもご存知の未来投資会議とか産業競争力会議、国家戦略特区諮問会議といった会議を構成する民間議というとっても変な名前の議員の方々、竹中平蔵さんとかが有名で力を振るった。

安倍政権の下で進められた種子法の廃止とか、卸売市場法の改定とか、内田さんがいま非常に心配していらっしゃるのは、今年の5月に成立したスーパーシティ法(国家戦略特区法改正)です。ここでも竹中平蔵さんが活躍したということです。

こういう民営化の道とは別に、たとえば、浜松の下水道は残念ながらコンセッションになりましたが、上水道は食い止めているというように、民営化に抵抗する市民レベルの運動もだんだん力を大きくしてきています。

ご存知のように、

①人口減少 ②インフラの老朽化 ③行革による専門職員の削減 

といった水道事業の問題はあるんですが、だからコンセッションなのか? ほかの選択肢はないんだろうか? を考えてみなければならない。

特にコンセッションについては、「所有が公だからまあまあいいんじゃないか」と思うかもしれませんが、逆に、「所有までしたら大変だ」と民間企業は思っています。民間企業は手が出ない。多大な投資が必要になるからです。

所有が公で運営権を丸ごと民間がもらうというのは、ある意味、非常においしい話、いいとこどりの制度ではないか。

 

規制改革、公共サービスの民営化の流れをまとめた表をお配りしています。

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これは、内田さんが9月13日のつどいのために、従来のデータを構成したものです。1985年からずっと公共サービスを民間に開放するという流れができています。今年2020年には、内田さんが心配している国家戦略特区法が成立しています。

 

これも内田さんの資料ですが、「公的資産の民間開放」というテーマで、2016年の未来投資会議で竹中平蔵間議員がこういう発言をしています。

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上下水道というのは、大変大きな規模の金額なんですね。全国で数十兆円に上る老朽化した資産だと言っていますが、どこに不満があるかと言うと、やはり資産規模が大きいというところだと私は思っています。

 

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これは、福田隆之という人が厚労省で講演をした資料です。

公共インフラの中で料金収入が非常に大きいのは、この左側のグラフの水道、下水道、道路とか空港です。右側の施設の資産規模のグラフでも下水道が一番大きい。次が水道です。

これを見ると、収益の上がる資産規模が大きいというのが、日本の上下水道の現実だということです。ただ、そこには様々な更新が必要です。

 

コンセッションの問題点は、だいたい8つぐらい挙げられています。

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料金値上げから始まって、サービスも悪くなる。今は災害が多いですよね。災害が多い中で、3.11の時はどうだったか? 去年9月の台風の時はどうだったか? やはり、公共であるからこそ、全国の水道あるいは下水道の職員たちが駆けつけて、損得抜きで災害作業に対応してくれたわけです。これが利益を上げなくちゃいけない民間企業でやれるんだろうか? という不安があります。

それから、専門技術者がいなくなってしまうだろう。

いろんな出前講座で「もうすでに専門職はいないんだ」と県は自慢げに言うんですね(会場から笑い)。

「民間に委託してて、100%お願いしてて、県にはいないんですよ。だから何も変わらないんですよ。」と言うんですね。これはおかしい。

「これから養成しろ。今いる人を大切にして、後継者を 作っていきなさい」と言いたい。

契約不履行の場合どうするのか? 民間企業がつぶれたらどうするのか? イギリスでは、非常に巨大なコンセッションを一手に引き受けていた会社が、2018年1月につぶれました。国が何千億円かの税金を投入してそれを引き取った。ですから、笑い事ではないんです。民間企業は破綻する。「契約で縛ってるから大丈夫です」と県は言うんですが、そんなことはない。契約で縛ろうとどうしようと、経営困難になって潰れる事例は実際に山ほどあるんですね。

 

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

コンセッションに反対する自治体の首長さんもかなりいらっしゃいます。後ほど小川さんからもお話があると思いますが、新潟、福井、長野県は、相当前から水道法の審議のあたりから、「慎重に考えるように」という意見書を出していますし、青森市秋田市のように「わが市は導入しませんよ」と言っているところもあります。こんなふうに、宮城の対応は当たり前ではないんですね。

それから、コンセッション以外の選択をしたところを2つ挙げてありますが、特に注目されているのが岩手中部水道企業団です。(資料⑤ ↓ )

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この岩手中部水道企業団の参与の菊池明敏さんは、公営のまま水道事業の問題を解決するということで、10年がかりで不要で過大な浄水場などを廃棄するダウンサイジングを行い、無駄なお金をかけない形で大きな成果を上げたとおっしゃっています。統合から4年間で76億円の投資を削減できた。年間の料金収入が46億円ですから凄い効果です。

このように水道問題の解決策はいろいろあるんだということを、よくよく見て、そして検討して、この宮城では何が一番ふさわしいかという選択をする必要があると思います。

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

岸本さんは、世界の動きを非常に躍動的にお話しくださったんですが、結局、民営化はかつてのような勢いはなくなってきているということです。それでも、まだまだ油断はできないと言います。

「完全民営化と」と言って施設まで所有してしまうのは、非常にリスクが高いと企業側は懸念している。なので、その一歩手前の仕組みが企業には歓迎されますが、公にとっては、1回締結した契約を解除するのは非常に困難だということがあります。契約違反ということで損害賠償金を莫大に請求される可能性がありますので。

2つの側面から苦しい状況にある国が紹介されました。

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

チリでは、社会主義政権が崩れて軍事政権になってから、新自由主義が入ってきて水道が民営化されたということです。

去年の7月、チリのオソノー市でオイル流入事故がありました。10日間給水ができず、14万人が影響を受け、特に医療とか、様々なケア施設、透析の患者さんに影響があり、公衆衛生非常事態宣言に至った。事業者はスエズの子会社のエッセル社で、従前から「どうも約束した投資をしていないんじゃないか」「非常にサービスが悪い」と言われていたようですが、案の定そういう事態が発生した。

規制当局が契約を解除して公営に戻すと言ったところ、スエズはTPPのISDS訴訟を提起し、220億円を請求すると政府に通告してきた。その後の顛末は、岸本さんからご紹介がないのでわかりませんが、契約をいったん締結すると、満了しない限り、途中解除は非常に難しいということです。

もう一つご紹介いただいたのは、インドネシアジャカルタです。

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           佐久間敬子さん作成レジュメより


ここはスハルト政権の時からコンセッションが始まり、人口950万ということで、世界最大規模の水道民営化だそうです。東西2分割で、テムズ・ウォーターとパリジャというところが受け持っていますが、住民組織が水道民営化に反対するため市民連合を作って運動し、最終的には、民営化はやめてジャカルタ水道公社に戻すという訴訟を提起しました。

地裁では勝ちましたが、高裁では負けました。最高裁では、「水は人権である」という国際合意に反し、インドネシア憲法にも反するので、民営化はダメだという判断が示されたのですが、この後、違憲立法審査権が要求なされ、最高裁の判決が覆されました。そういう力に知事が負けたのか、契約終了後も、また新たに25年契約を続けると発表された。素晴らしい闘いをしつつ、最後はなかなか苦しい状況にあるというのがこの2つの国でした。

 

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

非常にいいニュースとしては、国連の動きですね。

国連の水と人権に関する特別報告者という方がいらっしゃるそうです。共謀罪の時にも特別報告者という方がいたし、日本の生活保護のレベルが低いというのでいろいろ勧告をした特別報告者もいました。水に関してもこういう方がいます。

「水は人権」という国連決議から10年になりますが、それを突き詰めて考えると、担い手は誰なのか? ということになります。公営じゃないとダメなのか? 民間でもいいのか? という問題があります。

これについては、なかなか触れにくいということで、避けられてきた。私が見た学者の論文でも、ここは非常に曖昧で、「ちゃんとしたことをやってくれるなら、民間でもいいだろう」というような書きぶりです。

ところが、この特別報告者の方はそうではない。上下水道は、民が運営するか公が運営するかで違いがある。民の最大の特徴は、利益の最大化だ。水道は自然独占であり、力関係の不均衡があると述べた。

自然独占というのは、独占体制が生まれる理由です。水道事業はものすごく巨大な装置が必要になるので、競争業者は生まれない。航空とか運輸は複数の業者が競争できますが、水道施設は、民間が自分だけの力で作るのは難しいので、自ずと独占体制になってしまう。なかなか公がやるような事業は民間にはできない。

結論として、民営化はリスクがある。効率性の向上は学術的に証明されていない。リスクがあり、効率化できる証拠がないのに、なぜ民営化するのか?ということです。

また、アメリカのボルティモアでは、市議会で水道施設の売却とリースを禁止する決議をした。自治憲章を改定して住民投票で同じ決議をした。自治体に自治憲章というのがあるんですね。日本でも、地域で自治的に物事を運営できるような条例を作ろうという運動があるようですが。

それから、カナダではブルーコミュニティ運動というのが巻き起こって、次の3つの決議をしています。

①安全・安価な水は基本的人権

公的資金に支えられた上下水道の公的所有を守る。

③公的施設・市主催のイベントでのペットボトル使用禁止。

 

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

民営化の失敗による再公営化では、新しい公共のための 公営化が始まっています。

水道民営化のマイナス点として、民間企業の不適切な経営によって、労働者の労働権が侵害されるということが出てきます。内田さんは、民営化の失敗はまさにここに典型的に表れているとおっしゃっています。

民営化から新しい公営に戻すという場合には、非常にプラスの成果が出ている。たとえば、地域の資源を生かす住民の力が育つ、住民や環境にとってより良い政策を実現できる、公的所有や統治の民主化が進むなど。

新しい時代の「公」を作る運動に発展した実例として、スペインのタラサがご紹介されました。ここの「命の水市民連合」は、選挙を通じて自分たちと同じ主張の議員を議会に送り込んでいった。そして、市民が参加して水道事業の運営をしていくということで、ミュニシパリズムが芽生えていった。ミュニシパリズムとは、地方自治体の住民の主権を核に、その地域だけで孤立せず、世界と連帯しながら、新自由主義から脱却していく運動だとおっしゃっていました。

 

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

お二人のお話をまとめると、

結局は、新自由主義というものをどう考えるか? 私たち一人一人が、新自由主義とどう向き合っていくか? ということです。

国は多国籍企業や国際資本に乗っ取られちゃって、その代弁者になっているという現状を、ちゃんと把握する必要がある。このコロナの中で企業の脆弱さが明らかになって、やはり国家というものの役割が大切なのではないかと私たちは改めて気づかされています。

そのためには、地方から国を変えていくのが良い方法です。ガチガチになっている国家の中枢に食い込むのはなかなか難しい。地域から変えていくのは、私たち一人ひとりにもできることだと言うんですね。国家ではない市民レベルの連帯が必要だということです。

こういう新しい公共を作るという積極的な動きがあるという反面、コロナを口実とする社会の監視システムが強まっているのではないかと内田さんは警告しています。

スーパーシティ法というのは、みなさんよくおわかりではないでしょうし、私も、全くわかっていません。なんか変な法律ができたなと思いましたけど、これは国家戦略特区法の改正なんです。

「国家戦略特区法というのは、非常に歪んだ特定の団体に利益を供与する仕組みになっている」と、昨日、桜を見る会を追求する法律家の会の東京での会合で、前川喜平さんがおっしゃっていました。そういうものを使ったデジタル化に関する法律なんですね。

来年はデジタル庁が創設されるということです。私たち一人一人の密なる接触を避けて、すべてITにお任せして、大変便利にいろんなことができるというのですが、デジタル庁ではマイナンバーを銀行の預金と連携させよう考えている。大変警戒すべきことだと思います。

コロナによって、私たちは新自由主義というものは限界があるなと、新しい市民の力、地域の連帯が必要だと認識したんですね。これで世の中が少し良くなるかなと思ったら、相手はより一歩先に行っている。

 

それから、コンセッションの経済的効果について、イギリスの会計検査委員の報告書をここにご紹介しておきました。

 

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           佐久間敬子さん作成レジュメより

 

無駄な公営企業じゃなくて、合理的で効率的で、そして新しい進取の気風に満ちた民間企業がやるという話だったけど、実は非常に高くついているという結果です。 学校で言うと、40%高くついている。

イギリス労働党も、これからはコンセッション等のPFI事業はストップすると言っています。

イギリス会計検査院も、PFIは非効率で無駄だ、損失が大きいと言っている。ヨーロッパ会計検査院もです。

そういう中で、何で日本が、しかも私たちが住む宮城が、水道の民営化をするのか?  宮城は、ナンバーワンではなくて、ロンリーワンになりつつあります。

 

9月定例会決算特別委員会建設企業分科会でも「みやぎ型」の質疑応答が行われました。   管路の耐震化状況や南部山浄水場から放射性物質が混入した浄水発生土が出ているという報告もありました。

2020年10月20日宮城県議会9月定例会決算特別委員会建設企業分科会で行われた質疑応答では、みやぎ型および東日本大震災後の水道管路の耐震化状況に加えて、福島第一原発事故に係る損害賠償金として、上工下水道合わせて12億9,000万円が東京電力から支払われ、南部山浄水場からはまだ放射性物質が発生しているとの答弁がありました。

 

令和元年度公営企業会計決算補足説明資料

 

公営企業管理者の説明への質疑

  

福島かずえ 宮城県議会議員

福島かずえ委員

管理者の決算要旨に対する質問をいたします。冒頭に、水道事業と広域水道事業の課題ということで述べられており、さらに、工業用水事業についての課題がコンパクトにまとめられています。

最初の水道事業では、上水だけに限らず工業用水、下水、全体を含めて課題とおっしゃってるのかなと思いますが、流域下水道事業は決算年度から企業局に移管されたものであり、個別の課題、あるいは求められているものがあれば伺いたいと思います。

櫻井公営企業管理者

基本的には全国でも同じ傾向だろうと思いますが、やはり流域下水道もある時期に非常に早いスピードで整備をしてきたという歴史があります。だいたい20年から30年ぐらい前から急に進めてきたという歴史が全国的にあります。ちょうどその設備が老朽化してきた。これは上水道事業も似たようなことだと思います。また、人口減少の中で処理水量が下がってきて、収入が減ってきている。総じて上水道事業、工業用水道事業含めてということで。

もう一つ、これまで下水道は国庫補助事業で整備してきました。それが老朽化してリニューアルあるいは省事業化というところに向かっている。こういった予算をどうするか? これは全国的な問題だろうと思っています。あえて言うとなるとそういったことかなと思っています。

福島かずえ委員

上水は目に見えて毎日飲んだり使ったりするものですけど、やはり下水道も日々の暮らしに欠かせないものであり、特にこういうコロナ感染症拡大の折には衛生施設として 一日も止められないものですので、この点はますます貴重な都市のインフラということで改めて見直しが必要じゃないかなと個人的には思っています。

工業用水道事業の仙南工業用水は、水需要が見込めないということから、平成21年度に事業廃止を決め、平成22年度に廃止手続きを行って、決算年度には清算事務が完了し、会計そのものもなくなりますが、振り返っての所感を伺いたいと思います。

櫻井公営企業管理者

仙南工業用水道事業は、まさに仙南地域、柴田、村田の工業団地を作っていく中での工業用水の供給という目的で発祥したわけですが、残念ながら、業態と言いますか、工場の水道の節水型あるいは使わないものが出てきてる中で、特にこの仙南工業用水道、ダムの負担金も含めて途中まで事業が続いたわけですが、急激な社会の変化にともなって工業用水の需要がなくなった。これらについては、ダムのほうの環境用水という中で、一定程度国のほうからもその部分については、工業用水にとっては非常にいいご判断をしていただいたなと思っています。

 

ゆさみゆき 宮城県議会議員

ゆさみゆき委員 

令和元年度11月県議会建設企業委員会で留保した少数意見において、事業内容、情報 公開の徹底、受水市町村・県民の理解、市町村の水道の広域化検討について、早く検討を進めることと述べました。令和元年のこの委員会の中でも、これについてはしっかりと対応していくとご答弁をいただいた経緯があります。その対応の成果について伺います。

櫻井公営企業管理者

県民の方々からご心配の声をいただいております。われわれも可能な限りシンポジウムあるいは説明会をその後も開きながら、事業内容の説明に努めていきたい所存です。 先般、公開質問状もいただきましたが、なかなかわれわれの説明に対してご理解いただいていないという事実もありました。これらについては引き続き、様々な機会をとらえながら説明していきたいと考えています。それから受水市町村の方々、担当、首長さんに併せて説明をしてまいりました。

わたくし個人的には、一定程度の理解が進んできていると思っていますが、なおご心配のところ、たとえば危機管理、あるいはモニタリングをどうするのか? これらはある程度事業を進めていきながら、より具体的な説明をしなければならないと思っています。これらについても、市町村のほうもある程度理解していただきながら、ある市町村によっては、「運営権者予定者とあるいは運営権者になった後も、直接会ってしっかりと要望を伝えたい」というある意味前向きなご回答をいただいていますので、引き続きこれも取り組んでいきたい。

ゆさみゆき委員 

水道の広域化検討については、環境生活部とともに(企業局も)水道ビジョン全体を 進行管理しているんですが、私どもからするとまだまだこちらのほうは遅れていて、 みやぎ型管理運営方式のほうが突出している。

新水道ビジョンに掲げる「恵水不盡(けいすいふじん)」、水の恵みに感謝と畏敬の念を持って、蛇口から 水源まで、人と人、地域と地域の未来をつなぐ水道、この理念をしっかりと継承する。その中心には、やはり県民または市町村からの水道の広域化が進んでいないんではないかという指摘があります。その辺はどうでしょうか?

櫻井公営企業管理者

まさに両輪で進めていく広域化、それから市町村の水脈と言いますか、市町村に水を 供給していくという県水道事業、これらの経営をしっかりと進めていくということが、やはり一番の王道だと思っていますし、それぞれの市町村にもこれを訴えていきたい。

いま担当部局のほうで広域化を進めています。その中でいろいろなモデルを示しながら検討している。われわれもその中に入りながらいろいろと意見交換をしている状況です。

私自身も首長さんと直接お話をしながら、あるいは担当がそれぞれの水道の担当者と話をしながら意見交換をさせていただいていますが、今すぐわれわれのほうにやってもらいたい、縦連携を目指すお考えを示す市町村さんはなかなかいないなという感じを持っています。

ある市町村のほうは、いま広域連携を進めていてそこの可能性をしっかり見ていきたいというお話もあって、その中で可能であれば県との縦連携も視野に入れていきたい。 だいたいの市町村さんがそういったお考えかなとわれわれは思っています。

議員としてはそれぞれ同等にしっかりと進めていくべきだとお考えだと思いますが、 一定程度切れ目を入れながら絶え間なくやっていくことも可能かと思っていますので、まずはわれわれのみやぎ型管理運営方式を進めつつ、市町村の広域化も合わせて進めていくという戦法で参りたいと考えています。

ゆさみゆき委員 

戦法は戦法で理解しますが、みやぎ型管理運営方式は進めているんだけど、広域化を なかなか進めていない、進行管理上遅れている認識が、令和元年からの成果であるんですけど、櫻井さんどういうふうにお考えですか?

櫻井公営企業管理者

われわれもまったく「環境部局で進めているから」ということではなく、その検討会に入っていますので、その部分についてはしっかりと進めるように、われわれも協力しながら当事者意識を持ちながら進めて参りたい。

ゆさみゆき委員 

新水道ビジョンは非常に素晴らしいものですね。3者セクションということになれば、主催は利用者です。しっかりとその利用者に説明をしなければなりません。利用者に説明をして、安全性、安定性、持続可能の確保と書いてありますが、いま令和元年の成果をみて信頼性が欠けているのではないかと考えています。そこをしっかりと確保するためには、総括質疑にもありましたが、プロセスの公開と情報公開の あり方をしっかりと対応すべき。もう一度そこを確認させていただきたいと思います。

櫻井公営企業管理者

議会でご指摘のとおりでございます。しっかりと県民そして受水市町村あるいは公共管理下水道市町村に対して、われわれのシステムそれから内容について、可能な限り情報開示を行いながら理解を求めて進めて参りたい。

ゆさみゆき委員 

今回の令和元年の議論があった時、県民が何を心配していたかと言うと、20年間委託をすると行政のコントロールが働かなくなり、最近のフランスではそれの汚職事件が起こり(コンセッションが)改正になったということで、5年とEUでは期間を短くしたという経緯があります。

私は様々な情報提供をいただいていますが、たとえば公営企業の利益処分の考え方、 これを一つの事例にとってみますと、利益処分の部分と積み立てにする部分については企業局の中で行っている。もし、この令和元年に(みやぎ型管理運営方式の)導入を決めた時に、これ万が一の想定とします。これまで過去に振り返って経理上の問題を抱えていた時に、今それを解消しないで、このまま新しい形のみやぎ型管理運営方式を展開した場合、後から経理上の問題が噴出した場合、取り返しのつかないことになるのではないか? という懸念があります。

確認します。いま企業局が抱えている経理上の課題はないのか? あるいは粉飾的な 決算的なものはなかったのか? そういったことの可能性はないのか? 少しでもそういう可能性があれば、開示してしっかりと対応すべきと考えます。それはある程度想定した質問ですけれども、仮定とした質問ですけど、そういうことはあってはならない。そこについて櫻井さんの話を伺いたいと思います。

櫻井公営企業管理者

粉飾決算といったことは全くないと思っています。今までのたとえばケアレスミスの中でそういったことはなかったかという委員のご指摘もありましたけど、それを知りながらやっているということは全くあり得ないと思っていますし、今般、運営権を譲渡しながら上水道用水の一部をあてがうということを言っておりますので、もちろん、運営権者の経理等々についてしっかりと見ていくことは当然ですが、いまわれわれが抱えている問題をそこに引きずるといった問題はないと思っています。

 

岸田清美 宮城県議会議員

岸田清実委員

監査委員の監査意見の中に、「宮城県や各市町村などの進捗状況等随時公開しながら、適宜的確な情報発信と説明責任に十分に留意すべき」。こういうことが指摘されています。これまでの議論の中でも、出せるものと出せないものがあるという話がありましたが、公開しにくいものと、しかし伝えなければならないということについて、どういうふうに考えているか? あるいは今後どういうふうにしていくつもりか? この辺伺います。

櫻井公営企業管理者

監査委員からのご指摘事項、これの私なりの理解をしているのは、やはり県民からの不安の声というのが一方であるということと、それから受水市町村からいろいろとご質問をいただいているという事実があります。

みやぎ型方式については、どうしても今言えることと言えないこと、競争的対話の中身も含めて、あるいはそれぞれ競争的対話を通じながら作り上げていくという部分もあって、たとえば危機管理をどうするかみたいな話については、ちょっと先に時間をいただくということもあります。それらについては時間がかかるといことも含めて今までわれわれも説明しているつもりです。

ただやはり、これらについては可能な限り、繰り返しになりますけど、タイミングよく適切に情報公開をしていく必要があると思っています。どうしてもそれぞれの企業の ノウハウというのがあるので、われわれとしてはもうゼロベースで出したいと思っていますが、どうしても彼らとの調整が必要だと理解しています。

これらはやはり情報公開制度の趣旨に則りながら、われわれとしてどう情報を開示していくかという姿勢を彼らに示しながら、一方で企業の情報も保護しなければなりませんので、それについてはここ(建設企業委員会)に判断しながら開示して参りたい。

岸田清実委員

競争的対話の中で3,600問ぐらい質問が出ていますが、こういうものもある程度類型化して、個別のグループの内容が明らかにされないような形で公開していく、あるいは受水団体に示していくということは可能なんじゃないですか?

櫻井公営企業管理者

おっしゃるとおりで、実質的には受水市町村にはもう流している?(と田代課長に確認して)まだこれから。ある程度、こういった意見、こういった会話をしているといったことは、受水市町村にも話したいと思いますし、県民に向けても可能な限り、議員ご指摘のようにカテゴライズしながら、どういった会話をしてるかといったことについては、しっかりとHP等にも公表して参りたい。

岸田清実委員

進行中の問題ですからできるだけ速やかに、その点、実施していただきたいと思います。

それから、モニタリングの重要性も指摘されています。特に、「モニタリングを確実に行える職員の養成と技術力等の日々向上」という指摘がされているわけですね。この点についてはどういうふうに考えていますか?

櫻井公営企業管理者

このコンセッションに限らず、全国的に技術力、技術者が少なくなってきているということが歴然としてあります。ただ、コンセッションをしていくうえで、しっかりとモニタリングをしていかなければならないということがありますので、日々の勉強、研修も含めて、それから東京都が非常にいろいろな多岐にわたる研修をしていますので、そういうところへの派遣も含めて、また民営企業が行って実際にアイドリングしていくときに、やはりそれぞれの浄水場で職員がどういったことをしているのか、モニタリングというのは日々どういうふうに管理、運転をしているかというのを日々勉強しながら見ていくのが大事だと思います。その辺の職員の教育も含めてしっかりと取り組んでいこうと思っています。

岸田清実委員

金曜日に渡した新水道ビジョンの中でも、実際の企業の研修に併せてそれぞれの現場の特性を習熟する必要があるという指摘をされている。ですから、ぜひ現場を知悉するということを重視していただきたいと思います。それとの関連で必要な人材の確保と育成に向けた取り組みが課題という指摘もされています。しかもこの必要性は工業用水道、広域下水道についても同様であるという指摘もされています。いま企業局の職員はローテーションで指示部局、土木部なんかとローテーションしてるわけですけども、そう いう中での人材確保についてはどういうふうにお考えですか?

櫻井公営企業管理者

ご指摘のとおり、指示部局との人事ローテンションの中で企業局の職員がやっているところです。これはやはり指示部局と密接に連携を取りながら、われわれが欲しい人材、われわれが欲しいスキルということについては遺漏なく企業局に対処できるように連携強化していきますし、みやぎ型管理運営方式になっても変わらず、それ以上に企業局に適切な人材を確保するということは、しっかりと意見交換しながらやっていきたいと思います。

岸田清実委員

その時に先ほども言った現場の特性を熟知するということと、ローテンションということは、ある意味矛盾するような点もあるのではないかと思うんですが、その点についてはどうですか?

櫻井公営企業管理者

これまでも各浄水場にはいろいろな特性があったりしましたが、今までの企業局との調整に基づく人事配置も、その辺のところを一定程度配慮していただいていると思って います。これからもそういった体制で人事ローテーションが可能であろうと思っています。

 

水道経営課長の説明に対する質疑

 

福島かずえ委員

先ほど管理者にも伺いましたが、仙南工業用水の会計自体、決算年度で閉鎖されるということです。この事業にかけたお金がどのぐらいだったのか? 改めて確認させてください。

水道経営課 田代課長

仙南工業用水道については当時、建設債勘定のほうに約125億円計上していました。 そのうち(筆者注:以下、田代課長のマイクが声を拾えていない部分が多いです。)・・・が17億、・・・92億なんですが、・・・15億3,000万なんですが、残りの15億3,000万については水道事業経営課のほうで処理したということになっています。

福島かずえ委員

結局15億3,000万を一般会計のほうで支払ったということと、最初に125億の仮勘定でやったもののうち、結局支払った金額と支払わなかったものとを、もう一回確認したい。

水道経営課 田代課長

全体125億のうち、国庫補助金を免除されたものが17億、借入金が免除されたものが 92億です。それを除いた約15億を、一般会計で予算措置を認められて繰り入れたというふうになっています。

福島かずえ委員

金額的な本質としては、実質的にそういうことになったということですが、ここに至るまで多くの時間とそれから人手がさかれたということがあると思います。結局、必要がないままに仙南工業用水は廃止したということでよろしいですか?

水道経営課 田代課長

七ヶ宿ダムを建設する際に、人口上需要があるという中で水源を確保するということでしたが、その後社会状況の変化によって、思ったよりも需要がなくなり、廃止を決定して今回に至った状況です。

福島かずえ委員

いま思えば、着手しないまま廃止という英断も必要なことであったし、もう少し前に、需要見込みの時の判断がどうだったのかということが問われると思います。

工業用水については、あまり今まで指摘してこなかったので取り上げていますが、仙塩、仙台圏、仙台北部も、給水能力に対する契約水量の割合は、決算年度もそれぞれ28%、41%、35%にとどまっています。結局、用意した水量の3割、4割ぐらいでとどまっている現状で、大変厳しい状況です。施設の統合、ダウンサイジングの具体的な 検討も進んでいると前回伺いましたが、大梶の浄水場のダウンサイジングはいつ頃取り組むようになったのか伺いたいと思います。

水道経営課 田代課長

仙塩工業用水道の計画水量は1日当たり10万㎥、10万トンの計画を持っています。実際には9万9,000トンまで計画水量が達しましたが、いま現在このような社会環境の変化によって・・・みやぎ型管理運営方式が始まれば、改築更新の是非については運営権者の裁量となりますが、われわれが計画している・・・浄水場の更新計画においては、1日に10万㎥を4つの池、2万5,000㎥の池が4つあり、それで水の処理をしているんですが、そのうち3つを令和19年から20年度に・・・を更新するという考え方で今現在います。

福島かずえ委員

台北部工業用水事業において、建設中の落土対策水処理施設は約12億ということですが、一般会計からの補助金です。こういう他会計からの補助金は、みやぎ型管理運営方式になるとそもそもあり得ないということで押さえていいのかどうか、あるいはあった場合どういう扱いになるのか、伺いたいと思います。

水道経営課 田代課長

現在このような形で広域水道事業と工業用水道事業において処理場の一時工事の取り扱いは具体的にはありませんが、われわれとしてはこういうこともあり得るということ、また特に災害の時に、東日本の災害の時に、一時的な工事は補助金を取って構成されています。そういった中においては、われわれのほうで予算措置を行って、運営権者であったり別途事業を発注するような仕組みになっています。ですので、北部工水の落土対策事業のようなことがありますが、われわれとしては受け入れたうえで補助金でもって整備する。これが水道料金の低減につながる仕組みとしてあります。

福島かずえ委員

今回は、先ほどご説明があったように、直接(議会の)決算で貸借対照表とか財務諸表とか説明を行っていますが、運営権者が行うようになっていけば、四半期に一度など いろいろ契約書にありますけれども、議会でのやり取りはどういう形になっていきますか?

水道経営課 田代課長

議会への報告、県民に対する報告は大変重要だと認識していて、現在は、どういう形で説明していくかを検討しているところです。

福島かずえ委員

監査委員の意見書の流域下水道会計のところで、「特例的支出において不適切な取り扱いが認められた。今後十分注意されたい。」という意見があります。どのようなことを、この意見書に基づいてどういうふうに対応したのか伺いたい。

水道経営課 田代課長

特例的支出というのは、特別会計時代の3月末の未払い金の支出です。今回1回、後にも先にも、今後も出てこないものですが、これを企業局において予算定義をする際に誤りがあり、千円未満の端数に予算の予備費を充当したということで「注意されたい」というご指摘を受けたものです。これは今回限りですが、他の予算措置も含めて、十分注意していこうと考えています。

福島かずえ委員

「人件費については議会の流用ができないという定めがある」というのがこの意見書の中にありますが、それに抵触したという理解でよろしいですか?

水道経営課 田代課長

人件費等ではなく、あくまで未払い金の千円未満の端数を、本来、予算書に含めて計上しておかなければならなかったものを、あくまで予算上ですが予備費を流用させていただいたということで、議会の議決とかそういうものではありません。

福島かずえ委員

軽微なものでそういう扱いをしたということだと思いますが、監査委員からはこういう指摘があったということを今後の会計処理で生かしていただきたい。

次に、水道料金に関してですが、初期投資に要した企業債償還が概ね決算年度で終了するということで、決算年度の9月に水道料金の改定の提案がありました。併せて、料金算定のあり方が資金収支方式から損益収支方式に変更するということも示されました。しかし、需要がなく過大すぎるダムや管路の減価償却費を、そのまま料金算定に組み込んでいくというこういうやり方は見直していくべきだと思いますが、いかがですか?

水道経営課 田代課長

結果的に、仙南仙塩であれば日量55万3,000㎥、・・・契約水量になっています。当時はそういう計画があり、55万3,000㎥を・・・ダムの建設があった。管路については大崎広域水道も同じですが、ルールで償却していかなくてはいけません。そのルールについてはわれわれがどうこうできるものではなく、他の水道のルールもあるので・・・ご理解願いたいと思います。

福島かずえ委員

先ほど、会計処理上でこの間、問題点はなかったのかという質問が、ゆさ委員からありました。私もいくつか過去の決算認定についての議論を時間の許す限り見たところ、 平成14年の9月において、13年度の公営企業会計決算認定のところで、水道供給事業と工業用水で、完成した施設を建設途中であるかのように見せかけて建設仮勘定に計上することによって減価償却費を低く抑えるやり方、支払利息を建設仮勘定に計上して経費を少なくするやり方など、会計処理上に大きな問題があることが明らかになったということが過去にあった。

それだけに、ルールで決まっている減価償却費に手を付けることはできないと今おっしゃっているのではないかと思いますが、料金の見直しの理由として、初期投資の企業債はほぼ払い終わって終了するからという理由がありましたので、更新する管路などは 過大な見積りで更新するような減価償却で計算するのでは計算が合わなくなっていくのではないかと思います。必要なだけのサイズの施設更新の減価償却に見直すということは絶対できないことなのでしょうか?

水道経営課 田代課長

13年度14年度のご指摘については、実際には稼働率を適用していた事実があります。 これは当時、総務省でも認めていた他の事業体も採用していた手法です。もちろん実施予算の状況を見ながら料金の低減の観点から採用したものです。ただ、これについては、企業債の償還も進んでいったという中で、いま現在はもう適用はしていません。

ただ、・・・の部分があるということは間違いなく・・・。今後、未来に向かっての話になってきますと、ダムについてはわれわれの・・・ではありませんが、設備、管理を含めて減少、また将来の水量を・・・して更新していきますので、あくまで過去の償却については、会計上のルールで正直どうしようもないところですが、将来については減価償却費を含めて今後の水量に見合った形で整理し計上していくことを考えています。

福島かずえ委員

ただ、今年度から採用される料金算定のあり方の損益収支方式だと、料金の算定の中で減価償却費が大きくウエイトを占めると私は受け止めています。

過大な工事計画もまだ、大崎広域水道の南川ダムの第2期工事が止まっていますし、仙南仙塩広域水道でも、白石川から取水するという稼働系第3期第4期計画がストップしたままです。ただし、計画としては中止という形でハッキリと決定していなくて、まだ計画水量も生きています。

もはや過大な工事計画は、国の了解を取りながら、受水団体とも相談しながらはっきり中止して、管路の更新計画もそれに見合ったダウンサイジングをしていかないと、実際に必要な水量の2倍3倍の計画でいま料金設定が進んでいると思いますので、ここはぜひご検討いただきたいと思うんですが、いかがですか?

水道経営課 田代課長

仙南仙塩であれば55万3,300トン、大崎広域水道事業では12万トン程度の水量を持っていますが、そこについては・・・しないのではないかというご指摘についてはかなり厳しいものだと考えています。

ただ、実際の料金算定量については、先ほどの大崎広域水道事業の12万トン、仙南仙塩の55万3,300トンを前提にした料金を徴収しているわけではありません。必要な金額として算定して計上していますので、会計上のかなりテクニカルな話になってしまうん ですが、計画水量を見直すことによって料金が下がるというわけではないことをご理解いただきたいと思います。

福島かずえ委員

計画水量を見直しても、初期投資の減価償却のままだと、単価が上がっていって結局 同じ負担だという理解はしますが、特に今回みやぎ型管理運営方式を導入する中で、 料金の上昇を抑えることを目的の一つと謳っているので、料金が今後どうなっていくのか? どうしようとしているのか? ここのところを十分に、利用者、受水団体にも、説明責任を果たしながらきちんと理解を得ないと、先には進めないことだと思うんですが、いかがですか?

水道経営課 田代課長

昨年の12月、実施するための条例を提案させていただく際に、上水道、下水道、工業用水の見通しを提示させていただきました。今後、引き続き応募者の提案により他の数値も変わっていきます。そういったものも、極力わかりやすい資料を作ってご理解願えるよう努めていきたいと考えています。

福島かずえ委員

今回の実施契約書も、改めていくつか伺っておきたい基本的なことがあります。公共施設等運営権実施契約書(案)が3月に出され、これに基づいて今、手続きが進められていますが、契約書(案)自体は1本でするという形になっています。

9事業はお互いにお金を移動したり融通したりということはできず、9事業の会計はそれぞれ完結して運営していくという説明がありましたが、契約自体は1本でも法的に問題はないのかどうか、改めて伺いたいと思います。

水道経営課 田代課長

契約書自体は1本です。運営権の設定は事業ごとに9つ、会計については、地方公営企業法上も独立採算で行わなくてはいけないというのが、みやぎ型管理運営方式の仕組みになっています。

福島かずえ委員

委託に関する定めも実施契約書にありましたが、運営権者が第三者への委託をするなどの場合、再委託の要件についても書き込みがありました。運営権者が委託契約する場合、公契約と言えるものなのかどうか伺いたいと思います。

水道経営課 田代課長

民間の契約となると考えています。ただ、当然のことながらこの原資は水道料金となりますので、誠実な契約と執行を運営権者に求めることにしています。

福島かずえ委員

20年間の運営の中で、一番コストが縮減されるのではないかと思われるのが、この委託金のところであると私は考えています。委託して、再委託してという中で、そこで働く人たちの人件費が安くなっていくのではないかという懸念がありますので、これが民間契約なのか公契約にあたるのかというのは非常に重要だと思って聞きました。

次に、実施契約書のリスク分担、これは非常に重要で、われわれの分科会、委員会でも今後詳細にみなさんとも議論していかなくてはいけないところですが、この実施契約書のとおりになれば、運営権者はほとんどリスクを抱えなくても、20年間普通に事業をやっていけばホントに心配ないなあっていう、何かあった時には全部県があるいは国の補助事業を使って進めていくという形に見えているんですが、その点どうでしょうか?

水道経営課 田代課長

広域水道事業、流域下水道事業という事業の性質上、県側が適正にリスク分担することによって、最も大切なトータルの料金設定ができるという考え方でリスク分担を決定しました。ここについては、計画時からこの事業に参画を検討している企業と意見交換 しながら、もちろん市町村とも意見交換しながら作り上げたもので、われわれとしては最適なリスク分担になっていると認識しています。

福島かずえ委員

経営審査委員会のこともこの実施契約書の中に定めがありますが、選任や人数などについてはまだ明らかにされていません。これはどのように考えているのか、いつごろ明らかになるのか、伺います。

水道経営課 田代課長

経営審査委員会は大変重要な組織であると認識しています。運営権設定の議案をお願いする来年の6月または9月の県議会に同時にお願いしようと考えていますが、大変重要な組織だと考えていますので、市町村はもちろん県議会の委員の方々も含めて意見を伺いながら手続きを踏みたいと考えています。

高橋宗也委員長

福島委員、決算審査でございますので、ご確認いただきたいと思います。

福島かずえ委員

最後の質問にさせていただきたいと思います。経営審査委員会が第三者のモニタリングというところにも位置付いていますので、非常に重要な問題だと思っています。できるだけ早くご当局が応募者と煮詰めて明らかにしていただけるのか? できるだけ早くと思っています。

最後に、議会の関与について伺いたいと思います。料金の改定は議会の議決を経なければならないということがあります。それから、先ほどこうした決算審査について議会でどのようにしていくのかは検討していかなくてはいけないという答弁がありましたが、9事業の運営経営のあり方を、議会がどう監視チェック することができるのか? 私たち委員にとって非常に重要なことであり、県民のみなさんも非常に関心をお持ちのことです。

「民営化ではない。県が所有し、県が責任を持つ事業だ。みやぎ型管理運営方式だ。」と、たびたび、みなさんおっしゃる中で、そういうことであれば、議会自体が 住民の代表として、みやぎ型管理運営方式に関与してチェックしていく仕組みを進めていかないといけないんじゃないかと思うんですが、その点については契約書とかいろんなものにも一切考え方がないんですけど、どうお考えですか?

櫻井公営企業管理者

基本的にPFIという手法は、運営権を譲渡し、運営権者が運営をしていくという大原則があります。一方で県民のみなさまはいろいろなご心配もありますので、それらについて経営審査委員会でしっかりと経営あるいは企業の今の負債状況も含めて議論し、それを告示をするという形になっています。

ご指摘の議会の関与をどうするかというのは、まさに今の仕組みがそうなっているということです。ただ、課長が申し上げたとおり、人選をどうしていくか、どういった形で選んでいくかということについては、もう少しお時間をいただきながら、ただ、基本的にはそういったことだということはご理解いただければ、その中でどうわかりやすい説明、そしてわかりやすい情報提供をしていくかということについては、もう少しお時間をいただきながら検討させていただきたい。

福島かずえ委員

今の管理者のご答弁を突き詰めて考えれば、結局、運営権は売却するのであり委託ではない、と。委託であれば、議会の関与チェックは当然ありますが、やはりここは運営権の売却=民営化ということであると、一つはっきりしたなと思って受け止めたい次第です。決算審査ですのでこのぐらいでとどめて、また次の機会に聞いてみたいと思います。

ゆさみゆき委員

今ご説明にあった建設勘定工事、翌年の繰り越しがかなり多いです。水道事業の安定性と安全性を確保するためには、繰り越し事業、令和元年はどうだったのか? その進捗をしっかり管理をしながら、管路の工事に対応しなければならないと考えています。

これかなリ繰り越しが多かったんですけど、重要なことなので今どうなってるかご報告をお願いします。

水道経営課 田代課長

繰り越し事業が特に多いところは仙南仙塩広域水道かなと思います。ここは今、・・・連絡管という事業を実施しています。全体事業費は約90億ですが、3カ年、4カ年の継続工事を実施しています。実際には平成28年から平成30年度まで、最終年度の平成30年度は繰り越しを行いましたので、令和元年度まで続いています。この継続工事の全体工事費が25億程度ありました。そこの繰り越しが4カ年にすべて入ってきているということもあってかなり大きくなっています。

当然、当該年度の予算は当該年度で執行というが大原則ですので、特に令和4年の4月 からみやぎ型管理運営方式も始まるということで、昨年、今年と進行管理を強化して、繰り越しも少なくするよう進行管理を徹底しているところです。

ゆさみゆき委員

(みやぎ型管理運営方式は)まだ条例提案されてないし、始まるかどうかは議決をしなければならないということは注意してくださいね。

この建設繰り越し工事は、しっかりとロードマップを作って今どのようになってるのかを見える化していかないと、(みやぎ型管理運営方式)導入にあたって、県民の納得は得られないと思いますので、今の状況報告についてしっかりと対応いただきたいと思います。

それから、工業用水道事業、これは令和元年は2億円の累積欠損です。仙塩は28%、仙台圏は41%、(仙台北部は)35%です。これは施設のダウンサイジングを図りながら やっていかなければならないと思います。

しかし、みやぎ型管理運営方式になりますと、ダウンサイジングもすべて、運営権者の計画になっていきます。これまでの企業局が抱えている課題が、運営権者に計画を委ねてしまうと、そこの間がどのような経過かわかりにくくなってしまう、今の工事も含めて。その辺をどういうふうに担保していくか? 工業用水道、これ昔から課題です。 今の時点で、ダウンサイジングを含めてどう課題解決していくのか伺います。

水道経営課 田代課長

工業用水道については、たとえば仙塩は10万トンの供給量が3万トン弱の計画水量になっています。ここについては、先ほどもお話しましたが、浄水場の更新数を減らした形で、いま現在、運営権者のほうに県のダウンサイジングを織り込んだ形で示しながら、さらに民間の経営ノウハウでもって提案を受けるという形にしています。そういったものについては、県民の方々もご理解いただけるような資料を作成して説明していきたいと考えています。

ゆさみゆき委員

それをきちんと議会に提出していただき、これまでの課題、そして今後はこうと、令和元年の決算の課題とこれからの課題をしっかりと見える化していただきたい。

流域下水道は国庫補助事業申請を踏まえた国庫補助事業になってくると思います。そうすると、流域下水道工事などは、この工事計画の中における今後の改築工事にあたっては、民間の手法を取った場合は、関係公社などもしっかりと対応すべきではないか? この辺のところ、今の関連の推移はいかがですか?

水道経営課 田代課長

みやぎ型管理運営方式移行後のことだと思いますが、流域下水道の設備の改築工事については、補助事業を適用するという中で、上水と工業用水とは、違う適用できる施策を計画しています。そういった中でも、民間の経営ノウハウであったり、技術ノウハウを生かせるような仕組みとしていますので、そのあたりをわかりやすく説明して参りたいと考えています。

ゆさみゆき委員

決算年度の会計報告、縷々今回聞かせていただきました。やはり会計のあり方、年度別削減額と会計処理、これきちんと明確化、見える化しないといけないと思います。

福島委員の質疑の中では、今後(みやぎ型管理運営方式)導入にあたっては、財務諸表など検討中ということもありますが、まさにそこが重要なことでありまして、9本を一体化ではなくて別々の会計処理でやってと考えているわけですから、今の時点で考えているのでは、県民の信頼性や導入にあたった計画、今の時点でできないことが問題なんじゃないですか?

水道経営課 田代課長

全体と9つそれぞれ別会計と、ご理解いただけるような説明の仕方、資料作り等を工夫して、今後極力早い時期にご説明して参りたいと考えています。

ゆさみゆき委員

先ほど管理者にも伺ったんですが、利益処分の計画性です。利益処分については、積み立て、減債積立金、資本金に繰り入れるやり方を報告受けました。

(みやぎ型管理運営方式を)導入した場合、この積み立てる部分、繰り入れる部分の 計画性はどのようになるのか? その辺のところの考え方についてお伺います。

水道経営課 田代課長

みやぎ型管理運営方式が導入されたとしても、県企業局側の会計については今の考え方と変わりません。

ゆさみゆき委員

会計報告についてはどういうふうに変わりますか?

水道経営課 田代課長

あくまで県企業局の決算ですから、これまでどおりこういう場で説明していくという形になります。

ゆさみゆき委員

企業局では収益事業を考えなければならないと思いますが、小水力発電についての報告事項が見当たらないですね。水道事業もそうですが、企業局は公共事業の福祉に対して収益も考えなければならない。それはどのような形にしていくのか? これまでも指摘しました。それが全く報告がない。ある資源を生かして利益を生む。これも企業局の役割ではなかったでしょうか。それの決算報告がないというのは、どういうことですか?その辺のところご報告をお願いします。

水道経営課 田代課長

再生可能エネルギーの活用については、これまでどおり継続しています。仙南仙塩広域水道において太陽光発電であったり、小水力発電を2か所、全部で3カ所、民間事業者の力を借りて発電し、収入に計上しています。そこについてご説明しなかったことは大変申し訳ないと思っています。

ゆさみゆき委員

県政全体と企業局で方向性を持って新しいビジョンを作っているわけです。再生可能エネルギーは県政の中で大きな方向性、知事も、たぶん管理者もその方向で動いていると思います。もう一度報告いただけませんか?

水道経営課 田代課長

令和元年度の収入は、白石の太陽光発電所が408万1,000円、馬越石の小水力発電所が354万7,000円、もう一カ所白石の発電所が166万8,000円という発電収入をそれぞれ収受しています。

ゆさみゆき委員

決算を踏まえて、まだまだ可能性調査をしながら、あるべき小水力発電、そして収益事業に進むべきだと考えています。そこはどのように計画性を持って対応しているのか お伺いします。

水道経営課 田代課長

こういった無料資産の有効活用と言ったらいいんでしょうか、みやぎ型管理運営方式の中でも民営事業という提案を受ける仕組みを入れていますので、無料資産の有効活用をぜひ今後も継続していきたいと考えています。

ゆさみゆき委員

最後に管理者に伺います。今回、みやぎ型管理運営方式導入の条例が可決されました。私どもは少数意見の留保ということでお話させていただきました。冒頭あったように、やはり県民の理解なくしてこの制度なし、または市町村の 理解がなし、そして会計上の処理もまだである ということを踏まえると、今後の条例提案にあたっては、まだまだ対応できていない部分が多いと 考えています。今日は決算の審議をこれで終了しますが、まだまだ会計処理を含めて、わかりにくいことがあるという認識が私にはありますし、県民の間からもあります。 今の質疑を聞いて、管理者からお言葉をお願いしたいと思います。

櫻井公営企業管理者

今後ともわかりやすい説明に努めまして、県民、市町村、そして議会に報告して参ります。

ゆさみゆき委員

最後に、経営審査委員会の中にぜひ議員を入れていただきたい。これ提案したいと思います。私たちはしっかりチェックをして、責任ある立場でありますし、その辺のところを要望したいと思いますが、最後にご答弁をお願いします。

櫻井公営企業管理者

メンバーも含めて検討して参りたいと思います。

 

中島源陽 宮城県議会議員

中島源陽委員

大震災があって水道や諸々の管や設備の被害を受けて、その復旧に毎年毎年あたって こられて、平成(筆者注:令和の言いまちがい?)元年度の取り組みの中でもそうしたことがまだ続いているのではないかと思いますし、地元ですと、大崎からずうっと栗原まで管がつながっているんだなあと、大変長い長い管路でしたので最終的に復旧するまでホント長い期間かかったなあという思いが今でもあります。

まあ明日もう大地震がないことを願うわけですけども、あのクラスの大地震があったとしても、ああいう長期間、またはかなりの箇所で管路が途切れるという被害がないような耐震化に関しても年々進めてきたんだと思うんですが、その辺、元年度の取り組みの中でどういった取り組みがあって、県全体としてはそうしたことに対して、耐震化の 体制がもう準備として整っているかどうか? その辺だけお知らせください。

水道経営課 田代課長

東日本大震災における耐震化については、重点的に実施してきています。東日本大震災の一番の教訓は、やはり水管橋が一番の素因です。橋梁全体69橋のうち44橋が対策が 必要だと当時耐震調査を行いました。いま現在は残り1橋まで来ていて、今年着手し、来年には完了できるという状況です。

もう一点、耐震化の必要性というと、伸縮可とう管と言われる重要構造物の前後だったり、軟弱地盤のところに設置してある管ですが、これが全部で318か所、対策が必要な管は現在104基あります。できれば10年でということで頑張ってきたんですが、かなりこういった大震災関係の工事が多くなっていて、今年末で約82%、8割強まで、できるだろうと見込んでいます。あと2年から3年ぐらいでは完了させたいという状況です。

あとは送水管路の耐震補強も必要になってくるんですが、こちらはダウンサイジングを踏まえて、今後、可とう管の次に計画しています。

中島源陽委員

水はすべての生活の元ですので、ぜひそうした対策を常に進めていただきたいと思います。

あと、こちらの説明資料の1ページ目に、東日本大震災関連で福島第一原発事故に係る損害賠償金の金額が示されていますが、この内容についてお知らせいただきたい。

水道経営課 田代課長

こちらは浄水場から発生する浄水発生土と言われるものです。水分中にある泥とかです。震災前はかなり上質なものだったということもあって、グランド用材等として有償で売却していました。ただ震災後、放射性物質が混入しているため、産業廃棄物として処理しているということで、逸失利益と処分費を含めて請求しています。今回2,200万ほど計上していますが、請求額満額、東京電力から賠償いただいています。

中島源陽委員

発生土は相当あったと思うんですが、発生土の処理としてはこれで完了なんですか?

水道経営課 田代課長

平成29年度までトータルでいきますと、上工下水道合わせて、知事部局時代の下水道も含めて、12億9,000万円ほどになるんですが、仙南仙塩の南部山浄水場はまだ放射性物質の発生が出ていますので、これで終わりということでは なく、今後もどれぐらいかというのはなかなか予想がつきにくい状況です。われわれとしては、処分できない以上、賠償請求をしていきたいと考えています。

中島源陽委員

仙南仙塩のほうに金額の報告がありますが、大崎広域のほうは処理が終わったという 意味で計上がないということですか?

水道経営課 田代課長

大崎広域水道はもうすでに(放射性物質が)発生していませんので、今後、出ることはないのではないかと考えています。

 

放射能濃度測定結果

宮城県企業局の水道水及び浄水発生土に対する放射能濃度測定の結果について https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/788331.pdf

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、「みやぎ型管理運営方式」に関する第二次公開質問状を宮城県に提出し、記者レクを行いました!!

       みやぎ型第二次公開質問状提出

 

第二次公開質問状の全文

 

                             2020年10月15日(木)

宮城県知事   村井嘉浩

公営企業管理者 櫻井雅之様

 

                    命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ

                           共同代表  佐久間敬子

                                 中嶋  信

 

   宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)に関する

               第二次 公開質問状

 

私たち「命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ」は、宮城県が進めている「宮城県 上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)」の導入に反対し、よりよい水道事業を創っていくため、本年6月10日に公開質問状を提出しました。

それに対して、同7月22日に県より回答されました。

私たちが公開質問状を提出したのは、「私たちが考える問題点や疑問点を公開の上、質問し、県の回答内容を広く県民に紹介しながら、県民議論を深めることを目的」として行ったものです。

しかし、県の回答は私たちの投げかけた問題点や疑問点にまともに答えておらず、これでは到底県民議論を深めることにつなげることができません。

みやぎ型管理運営方式の県民理解が進んでいないと何度も県は表明しているにも関わらず、今回の回答内容はそれを一歩でも前進させようとする意図を全く感じさせないもので、本当に県民理解を促進しようとしているのか、強い疑念を感じさせるものでした。

また、みやぎ型管理運営方式の目的は、「3事業を一体として民間の力を最大限活用することにより、経費節減、更新費用の抑制、技術継承、技術革新等を実現し、持続可能な水道事業経営を確立する」とされていますが、今回の回答内容は、その実現可能性に一層の疑念を抱かせるものでした。

 

そのような経過と、9月9日に開催された「みやぎ型管理運営方式に関する事業説明会」での質疑を踏まえ、解消されない疑念を再び公開質問状として提出するものです。今回の提出目的も前回同様、県民議論を深めることにあります。その目的に沿い、県の丁寧な説明を要請するものです。また前回同様、質問状と県の回答については、県ホームページで公開することを要請致します。

恐れいりますが、本状の質問内容に対する回答は、下記あてに11月10日(火)までお願い申し上げます。

 

〒980-0803            

仙台市青葉区国分町1丁目8-10 大和ビル2階

佐久間法律事務所 気付

電話 022-267-2288

FAX  022-225-5704

 

なお、本質問状において第一次公開質問状・それに対する回答、9月9日開催の説明会は以下のように略しています。

「6.10質問」➡6月10日付「命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの公開質問状」

「7.22回答」➡7月22日付「宮城県上工下一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)に関する公開質問状について(回答)」

「9.9説明会」➡9月9日開催「宮城県上工水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)について」

 

 

質問1 国内水道のコンセッション事業・海外で進む再公営化について

(1-1)国内水道事業分野でのコンセッション事業は拡がっているのでしょうか? 宮城県の現状認識を示してください。

内閣府によれば、水道事業分野のコンセッション事業の進捗状況として、宮城県大阪市奈良市浜松市伊豆の国市・村田町の6自治体がデユーディリジェンス以上の ステップの進捗状況にあると報告されています [i]。しかし、未来投資会議構造改革徹底推進会合事務局の評価では「水道分野については、6件の数値目標の達成を認める。 ただし、6件のうち実施方針の策定完了済みという後戻りしない手続きまで完了して いる案件は1件もない」としています。

当ネットワークの各市町への聞き取りでも、宮城県大阪市以外の市町は実質的にコンセッション事業化には進んでいません。

奈良市は議会にて実施方針案が否決され(平成28年3月)、民間委託に舵を切りました。伊豆の国市は給水人口わずか733人のエメラルドタウンの管理水道のコンセッションにすぎません。村田町はコンセッションを断念して包括民間委託への道を探っています。水道法が改正され、地方公共団体事業型の仕組みが導入された[ii]にも関わらず、その仕組みに積極的に取組もうとする自治体が増えないどころか撤退が相次いでいる 状況にあります。九州地区では中核市10市[iii]全てが「コンセッション方式」の導入 予定はないとしています[iv]。県はこうした全国の水道事業分野のコンセッション事業の進捗状況をどのように評価していますか?

(1-2)海外での水道事業の再公営化は本当に進んでいないのでしょうか?

県は「9.9説明会」において合計6枚ものシートを使って、海外では「一方的に再公営化が進んでいる訳ではありません。」と結論づけて説明しました。その根拠資料として、❶2019年5月15日に開催された「第4回水道施設運営等事業の実施に関する検討会資料(厚労省)」と❷2015年3月発行の「新水道ビジョン推進支援に伴う調査業務報告書」を挙げています。

県は各資料から都合の良い部分だけを引用して再公営化が進んでいないことを説明しようとしていますが、県の主張を否定するデータもあります。以下に掲げる「再公営化の動きを示す三つのデータ」を踏まえ、それでも海外における再公営化の動きが「一方的に進んでいる訳ではない」となぜ言えるのかを説明してください。

 【再公営化の動きを示す三つのデータ】

① 「9.9説明会」の際、県が根拠資料とした「❷」資料の「概要版7」で、1992年から2007年の官民連携水道事業の再公営化の分析では、「過去15年間に一度は民間事業者が運営していたものの、その後公営に戻った事業が約1/4あることを意味する」と指摘しています。この資料の意味するところは「そもそも15年間の官民連携水道事業のなかでは再公営化するという流れもあった」ことを示しています。

② 2020年7月に発行された「公共の力と未来」(トランスナショナル研究所発行)によれば、2000年から2019年の間で、フランスでは109の水道事業が再公営化されたと指摘しています。

③ 2020年3月発行「水道、再び公営化!」(岸本聡子:集英社新書28・29ページ)において、世界全体の水道事業の再公営化がすすんでいる調査データを発表しています(調査はトランスナショナル研究所)。それによれば、2015年が235、2017年が267、2019年が311と水道事業の再公営化が進んでいることを紹介しています(いずれも累積値)。(「➁」で紹介したフランスはこの数値の内数ですから、フランスでの再公営化が占める割合が高いことがわかります。)

 このような海外での再公営化のトレンドをみれば、「一方的に再公営化が進んでいる訳ではない」とそれを軽視して、拙速にコンセッション導入を急ぐことはすべきではありません。コンセッションはいったん導入したら引き返すことが出来ない制度だからです。

 

質問2 「みやぎ型管理運営方式」は「水道民営化ではない」という主張について

県は「9.9説明会」の開会挨拶冒頭、「みやぎ型管理運営方式は民営化ではない」と切り出しました。こうした発言がなんども繰り返されています。6月10日に私たちが公開質問状を提出する際のやり取りの場でも、取材中の報道関係者に「水道事業は民営化ではないので注意していただきたい」と威嚇するかの様な発言までしています。

私たちはこの間、宮城県とのやり取りでは、基本的に「水道民営化」という言葉を使ってきませんでした。それは「民営化」という言葉を巡って議論しても水掛け論にしかならず、熟議を尽くすうえではあまり意味がないとの判断からでした。「民営化」という言葉は、“政治的言葉”であり、定まった定義により使われているものではありません。例えばイギリスでは、所有も民間セクターに移行されて初めて民営化が完成されたと見なされて「完全民営化」と呼ばれ、所有が全て民間セクターに委ねられていない場合を「部分民営化」と呼ぶとされているようです[v]。また西欧での民営化を15項目に分類する学者もいるようです。日本では、そのように民営化を定義して使われている訳ではなく、論者の立場でそれぞれ論じられますから、水掛け論になってしまいます。

しかし、県が「民営化ではない」という言説を何度も繰り返していますので、今回の公開質問のなかで取り上げるものです。

(2―1)村井知事の論法からすれば、「みやぎ型管理運営方式」のわかりやすい表現は「水道民営化」ではないですか? それでも「民営化ではない」という理由を示してください。

村井知事は「みやぎ型管理運営方式」に関して様々な場面で様々な表現で語っています。

1)2016年12月19日 第3回未来投資会議での発言

・「実は、宮城県は上水、下水だけでなくて、工業用水も一緒にして、上工下一体での民営化というものを考えてございます。」

2)2017年6月14日 内外情勢調査会での講演

・「仙台空港の民営化と同様に、もう一つの創造的な復興としてこれから取り組んでいきたいと考えているのが‥‥(上工下水)一体的に民間に運営をお任せすることです。他の自治体では行っておらず、宮城県の新たな取組として行いますので『みやぎ型管理運営方式』と命名しています。」

・「一言に『民間活力の導入』といっても様々な手法があります。例えば維持管理や運営管理、点検の時期や機械の更新時期などをこと細かく指示して民間に発注するというのも一つの方法です。仙台空港の民営化は、経営・計画から維持管理までほとんど民間に任せていますが、土地の所有権などは国がもっているので『PPP/PFIコンセッション』という位置づけです。今回、宮城県が考えている『上・工・下水一体管理連携運営』も、同じく『PPP/PFIコンセッション』に位置する民間活力の」導入になります。」

3)2018年11月29日 参院厚生労働委員会での参考人発言

・「地面から上の部分、水処理施設、こういったものについては民間にお任せするということでございます。」

・「よく言われることが、民間に任せますと官の責任が…」

4)2019年2月定例会 2月22日内藤隆司県議(当時)との質疑

・(未来投資会議で「水道民営化」という言葉を使ったことについて)「一番わかりやすい表現ということであえてこういう言い方をいたしました。」

・「狙いは民営化ということではなくて…民間の力を活用しなければならないんだということを、これを伝えるためのものであるということをお話ししたかったということで、その辺は言葉尻を捉えて県民に誤解を与えるようなことはぜひ避けていただきたいとお願い申し上げたい。」

5)2020年3月10日 河北新報取材に対して

・「水道事業の民間委託仙台空港民営化といった創造的復興の視点を大事にした

い。」

村井知事は未来投資会議で極めてすっきりと「上工下一体で民営化を考えている」と発言していますし、そのことを追求された2月定例会でも「一番わかりやすい表現」として使ったと認めています。「みやぎ型管理運営方式」をわかりやすく言えば水道民営化だと知事自身が発言しているのです。そしてそのことは撤回も修正もされていません。

さらに内外情勢調査会での講演で、みやぎ型管理運営方式は「PPP/PFIコンセッション」に位置すると述べました。仙台空港民営化も「PPP/PFIコンセッション」なのですから、「みやぎ型管理運営方式」を仙台空港民営化と同じように「水道民営化」と呼称することになんの矛盾もありません。

これら知事の水道民営化発言について、「それでも『みやぎ型管理運営方式』は民営化ではない」という理由を説明してください。

 

質問3 モニタリング機能について

(3―1)「みやぎ型管理運営方式」に移行した場合、「(仮称)経営審査委員会」 以外の監査、監視、モニタリング機能をもった機関はどのように関与するのですか?

現在の公営水道事業は、当然にも宮城県の内部統制システムのなかに組み込まれています。本庁、地方機関の合計6事業所が実施所属数と承知しています。同時に包括外部監査の対象事業でもあります。

以下の点について説明してください。

① 「みやぎ型管理運営方式」へ移行した場合、本庁は別として、移管した9事業はこれら内部統制システム・外部包括監査等のシステムから除外されるのか否かについて。

② 「(仮称)経営審査委員会」の役割は、水道水質検査にかかる県と運営権者の役割監視と水質保持の第三者的監視とともに「経営に関する事項・経営上の課題等」を審査すると説明されています。運営権者の内部統制・監査役機能と、「(仮称)経営審査委員会」との機能的な関係性について、説明してください。

 

質問4 水質検査・試験体制について 

(4―1)下水道水質検査における「県の役割」・「運営権者の役割」を説明してください。

「9.9説明会」資料、8-2で「水道水質検査のモニタリング体制」について説明がされています。しかし「下水道」についての説明はありません。下水道事業が「みやぎ型管理運営方式」に移行した場合、下水道水質検査における「県の役割」と「運営権者の役割」を区分して説明してください。

(4―2)「6.10質問」で回答されていない事項を回答してください。

「6.10質問」では、「質問9 下水道事業について」として、「➁下水道事業の経費費目ごとの削減内容についてお聞きします」と3項目についての削減根拠を質問しましたが、「質問3で回答したとおりです」との回答でした。

「質問3」はマーケットサウンディングでの民間事業者の意見はどのような内容だったかを聞いたものです。「質問9」はマーケットサウンディング後、宮城県はどう考えたか?という質問ですから、「質問3で答えたとおりです。」では回答になっていませんので、再回答してください。

【「6.10質問」で以下が未回答】

➁下水道事業の経費費目ごとの削減内容についてお聞きします。

1)直接業務費が下水4事業合わせて50億円(20年間)、委託費が45億円(同)削減される試算がなされています。この削減根拠を示してください。

2)動力費(電気代)を削減すれば、長時間のエアレーションはできなくなり、排水の水質悪化は避けられないと思われますが、削減可能とした根拠を示してください。

3)薬品費については一括購入という手法で削減することには限度があると思われますが、これだけの金額の削減が可能とした理由について、示してください。また、薬品の購入の時期が現在と民営化後でどのように変化するのか、次亜塩素酸ソーダ以外の薬品についてはとくに丁寧に示してください。

(4―3)なぜ「現行水質検査・試験体制の維持」を求めないのか?理由を示してください。

「6.10質問」の質問4で、「みやぎ型導入による検査項目・試験項目内容」について質問しました。回答は「上水については県が公表している水質検査計画、下水については現行の県が管理している水質管理基準を参考にする」こととして、上水・下水ともに水質は現行と同等、または水質管理は現行と同等以上とすることを求めているので、水質及びその管理体制が低下することはない」と回答されています。

性能発注であるがゆえに、「参考に」「同等以上の」などの言葉を使っていますが、県が水質及びその管理体制を低下させないことを堅持しようとするのなら、「水質維持のため、現行水質管理体制を最低限の水準として維持する」ことを要求水準ととして設定すればよいだけです。現状のやり方が維持されるということにより、県民の「安心」が担保されます。

それを、「参考にする」とか「現行と同等以上」などという曖昧な言葉を使うが故に、県民は、「みやぎ型管理運営方式」で民間事業者に運営をまかせれば、現在の水質検査・試験体制をわからないうちに、わからない様に変えてしまうのではないか?と不安をもつのです。例えば下水であれば、「現行の放流水の測定頻度及び分析項目の変更を認めない」と県のスタンスを明確にすることが必要なのです。

なぜそのように「現行水質検査・試験体制の維持」を求めないのか。その理由を説明してください。

(4-4)下水道処理施設の有資格者配置の計画を示してください。

下水道処理施設の運転には有資格者を置くことが下水道法22条に規定されています。「みやぎ型管理運営方式」導入の場合であっても、水道事業者は県ですから、有資格者の配置がされます。県と運営権者での有資格者配置の考え方を説明してください。

 

質問5 コスト削減の根拠について

(5―1)「197億円のコスト削減は契約に盛り込むから間違いなく実現する」のであれば、契約の内容をどのようにするのか説明してください。

「6.10質問」では、マーケットサウンディングでの民間業者の経費削減にかかる意見はどのような内容だったかを質問しました。「7.22回答」では、民間業者の意見を参考に県が「実現可能性のある数値として設定した」と私たちの質問に直接答えることを避けました。 

そして「197億円以上のコスト削減をすることを条件に提案を受け、その提案内容を盛り込んだ契約をする」から、コスト削減は「間違いなく実現する」と回答しました。

197億円以上という削減額は20年間の契約期間のなかでの話しです。197億円以上コスト削減できたかどうかは20年経たなければ誰にもわかりません。20年間で197億円以上のコスト削減を、誰が、どのような方法で、認定するのかを契約のなかで明確にしなければなりません。そしてこのことを「基本協定書」に盛り込むのか、「公共施設等運営権実施契約書」に盛り込むのか、それをどのように考え、現在の競争的対話のなかで民間事業者に示しているのか、説明してください。

5―2)どうしてみやぎ型管理運営方式に移行した直後の年から経費が削減されるのか? 説明してください。

県は、発表されている公募文書のなかで「対象9事業」ごとに「収益的収支及び総事業費の比較」をシミュレーションしています。つまり20年間の契約期間内で、公営で事業継続した場合と、「みやぎ型管理運営方式」で事業を行った場合とでどのような経費等の差異が生まれるか(コンセッション方式の事業メリットがどれくらいになるか)をまとめたものです。

それによれば、「みやぎ型管理運営方式」に移行すれば、移行したその年度から主要経費が削減されるとされています。大崎上水事業を例にすれば、人件費(県分)3%、動力費11%、修繕費15%、薬品費9%、施設管理委託費28%、テレメータ回線料12%、管理費25%削減されると計算されています。金額でいえば経費全体で1.6億円削減される計算になっています(別紙資料1)

県が「マーケットサウンディングで民間事業者等から得た意見を参考とし、県が実現可能性のある数値」としておいた結果としてこの削減率計算がされているのですから、なぜ、「みやぎ型管理運営方式」に移行した初年度からこのような多額の経費が削減されるのか、県の見解を説明してください。

(5-3)どうして20年経営シミュレーションの削減率が「目標削減率」と異なるのか? 説明してください。

すでに県に数値確認済みの「9事業全体 事業費削減試算」(別紙資料2)では、特に上水2事業、工水3事業で、県がこの間の説明会等で公表したり、公募関連文書にも掲載している「目標削減率」と、質問(5-2)で取り上げた「収益的収支及び総事業費の比較」から求めた削減率が異なります。それぞれ無視できない差であると考えますが、なぜこのように削減率が公表しているものと異なるのか説明してください。

(5-4)「みやぎ型管理運営方式」に移行した場合のダウンサイジングに関する説明をしてください。

県はみやぎ型管理運営方式導入による事業費削減を検証するに当たって、自から実施する場合の事業期間の予定事業費と、事業の一部をPFI事業として運営権者が実施する場合の事業費とを比較し、後者による事業費節減が期待できることの検証を行ったこと、この検証には、管路・設備のダウンサイジング等を見込んだ更新費用の算定を行いシミュレーショに反映させたと説明しています。

そこで以下の点について説明してください。③については資料の呈示を求めます。

① 施設の統廃合、ダウンサイジングの具体的検討内容。

② 対象となった水道施設、施設毎のコスト削減額。

③ 上記②を示すデータ。

 

質問6 災害対応について

 (6―1)新型コロナ感染症対策シミュレーションからの教訓等について説明してください。

通常予見できないような災害が発生した場合の1つとして新型コロナ感染症への対応に関連して質問します。 

県は、水道事業に携わる職員が感染した場合の水道事事業の運営についてシミュレーションをしたと聞いています。2020年6月26日の県議会一般質問の議事録によれば櫻井公営企業管理者は「新型コロナ感染を想定して試行した、この試行により得られた知見を踏まえ・・・安定的に・・・事業を運営できる体制の充実を図った…」と答弁しています。

以下の点について説明してください。

① このシミュレーションの内容について、期間、人員=県側・委託業者側、実施した業務の内容、実施業務の絞り込みの有無、絞り込んだとすればその理由とそれにより得られた知見の内容。

② さらに知見に基づき実施した対応策、今後予定される対応策、競争的対話の中で生かす方策。

 

質問7 コンセッション以外の選択肢の検討について

7―1)コンセッション以外の選択肢として岩手県中部企業団の事例を検討しましたか?

県は「9.9説明会」の資料4-2で「施設の統廃合や管路のダウンサイジング等により効率化を図っても料金上昇は避けられない見通し」だと述べています。

岩手中部水道企業団は、公営の事業団でコンセッションとは違う方法で全国の水道事事業が共通に抱える問題に取り組んでいると聞いています。2014年4月にスタートし、4年間で約76億円の投資を削減したと報告されています。年間料金収入46億円と比較しても大きな成果を挙げていると思います。また、人事異動で部署が変わると専門性が蓄積されないことから、「水道のプロ」を育てる意味から職員は専門職員で構成されています(「日本の水道をどうする!?」内田聖子編著・発行コモンズ)。他方、これは成功した1例で、広域化は地域の実情によっては適切な選択肢ではないこともあると言われています。

以下の点について説明してください。

① 県は岩手中部企業団の事例を検討しましたか。検討した結果、どのような評価になりましたか。検討しなかった場合、その理由は何ですか。

② 岩手中部企業団とは別にコンセッション以外の方法を採用している水道事業の実例を検討しましたか。したのであれば、どんな運営方式、あるいはどのような先行事例を検討しましたか。これらを採用せずコンセッションを選択した理由は、何ですか。

③ 上記①②を検討していないのであれば、それは何故ですか。  

 

質問8 事業終了時の対応について

8―1)コンセッション事業に移行し、その事業が終了した時の対応を説明してください。

公共施設等運営権実施契約書第78条によれば本契約期間は基本20年で終了し、「いかなる理由によっても」運営権設定の日から25年を経過する日を超えることは出来ないと規定されています。

以下の点について説明してください。

① 最大25年経過後の新たな事業者の公募方法を示して下さい 初回と同様の競争的対話等の手順を踏むのですか。

② 契約終了後でも水道事業の中断は許されません。事業の中断という事態が発生しないように、県はどのような対応策を考えていますか。

③ 上記79条(1)によれば運営権者は180日前までの間に引き継ぎの準備をします。県は20年~25年もの長期に亘って運営権全部を移譲していました。わずか半年の期間で水道事業の安全・安心な運営を始めるための準備をする方法を具体的に示して下さい。特に、既に県にはいなくなっていると考える専門職の確保をどう考えますか。

④ 上記84条では運営権者が破産した場合、事業を放棄した場合について規定されています。このような場合、替わりの運営権者を見つけるか、それが出来ない場合は、県が自から事業を実施することになりますが、隙間なく事業を継続する体制をどのように作りますか。

以上

[i] 2020年4月9日 未来投資会議構造改革徹底推進会合 内閣府提出資料

[ii] 2019年5月15日 水道施設運営等の事業の実施に関する検討会(厚労省)における資料 『水道事業における官民連携に関する手引き(改定案)』

[iii] 長崎市佐賀市北九州市熊本市・福岡市・大分市鹿児島市等(西日本新聞

[iv] 2019年10月22日 西日本新聞

[v] 神戸大学MBA https://mba.kobe-u.ac.jp/business_keyword/8007/

 

記者レク

 

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小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

どうもお忙しいところありがとうございます。命の水を守る市民ネットワーク・みやぎとして二回目の公開質問状を、いま提出してきたところです。お手元に公開質問状の内容を添付させていただきました。

第一回目の質問をして、1ページにその内容についての評価を記載しています。この間、宮城県にはずっと、「県民と水道の問題についてちゃんと議論しましょうよ」と いうことを言ってきていて、宮城県自体も県民の理解が進んでいるわけでもないと認めているんですが、コロナの問題もあってきちっとした議論ができないでいるというのが今の状況です。

なので質問状をわれわれのほうから提出することによって、何が問題になっているのかということを、できるだけシャープに県民の中で考えることができるようにしたいと いうのが第一次の公開質問状の内容でした。

その内容について答えられないということは、議論がなかなか深められない状況になっているということだと思います。第二次の質問状を提出することによって、いま何が 問題なのかをさらにブラッシュアップして、県民のみなさんに考える機会を提起したいというのが今回の提出の動機です。11月10日までに回答してもらうように言っています。

全体の質問は、大きな項目としては8つあります。

中心的な内容は、質問4です。水質がこの民営化によってどうなるのか? という県民の不安が大変多くあるわけです。それで、水質検査と水質試験のやり方について質問を再度したということと、県はコスト削減ができるんだということを繰り返し言っていますので、質問5でこのコスト削減の根拠についてさらに具体的に聞きました。第一次の質問でこの2つの解明がはっきりしていないので、もっとはっきりさせてほしいと求めました。

そのほかに、第一次の公開質問状を出すことによって、県が、「マスコミのみなさんも注意してください。民営化ではありません」ということを繰り返し言っています。われわれとしては、そういった議論はできるだけしないつもりでいたんですが、9月9日の県の説明会においても冒頭のあいさつで、「水道の民営化ではないんだ」と言うわけです。黙っていると、そのことばかり繰り返されて、正しくない認識が広まってしまうということもあるので、質問1でなぜ現在、国内での水道コンセッションが進んでいないかということや、海外でいったん民営化したけれども再公営化するという動きがこのようにあるということ、知事が未来投資会議という公的な議論の場で民営化と言っている事実についてなど、質問2で知事が水道の民営化についてどういうことを言ってきたのかということを今回特別に取り出し、「民営化」の問題についての項目を入れました。

最も県民の方々が関心を持っているのは水質問題です。悪くなるんじゃないの?という不安です。これに対して、あまり明確に答えていないところがいっぱいある。質問4で県はなぜ「現行水質検査・試験体制の維持」を求めないのか? ということを書いてあります。

県は「現行の水準を守る」と言っているんですね。下水も上水も水質は維持すると言っている。ならば、「今やってる検査とか試験をそのままやってください」と言えばすむ話なのに、「今やってるものを参考にしろ」とか「現行と同等以上のものにしろ」とか曖昧なことを言うものだから、県民はさらに「実際どうなるの?」となる。

「今までやってることをそのままやってください」と言えば、何も県民の方々は不安に思わないです。安心が担保されることになると思うんですが、そういう言い方はしないということで、ホントになぜ、そのように言わないんですか? ということを求めています。これは県民の関心事項ですので、きちっとした答えを得て、議論ができるようにしたいというふうに思っています。

コスト削減の問題については、県は「197億円のコスト削減、契約に盛り込むから必ずできます」と繰り返し言ってるんですね。マルチ商法の説明ではないんです。マルチ 商法は「必ず儲かる」という言い方ですよね。

20年間で197億円のコスト削減というのをどうやって検証するのか? 

「契約に入れるから大丈夫だ」と言われても、「検証はこういうふうにやりますから」とか「誰がこういう場面でこういうやり方でやりますから」とかはっきりと決められていない中で、納得できるものではない。たとえば、20年経過して、「やっぱり197億円の削減できませんでした」となった時に、誰が どうやって責任を取るのか? 

そういう意味でも、「契約書の中に入れるから必ず削減するんだ」ということについて疑問は全然解消されてないので、「もっとはっきりしてください」と質問5のところで言っています。

 

幹事社 東北放送

今回の公開質問状を提出した最も大きな理由についてお聞かせいただけますか?

小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

1ページの真ん中にありますが、 第一次の質問状で投げかけた問題点や疑問にまともに答えられていないということが、第二回目の提出をした理由です。

 

時事通信

質問2のところですが、民営化ではないという県の主張について、今までは、特にみなさんとして質問に盛り込んだり県のほうに質すようなことはされていなかったという ことですか?

小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

意識的にしなかったということです。 民営化ということ一つ取っても、いろんな考え方があるんですね、今この日本の中でも。たとえば、この質問状の中に入れてますけど、仙台空港は民営化で、なんで水道は民営化じゃないのか?ということ自体、県から十分な説明がされていない。

そういうことを議論すると、それだけでものすごく時間がかかっちゃって、本質的な 議論、県民が本当に知りたい議論ができないということで、われわれは意識的にしなかった。だけど、県が9月9日の説明会でも挨拶の最初に言いますから、「これはちょっと看過できないな、この際ハッキリしておこう」ということで、質問2に入れました。

 

河北新報

共同代表のお二人から一言ずつお願いします。

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

今みなさんに私たちの学習会のチラシをお配りしました。これにみやぎ型は「ナンバーワンじゃなくて、ロンリーワン」というキャッチを付けています。

 

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これは質問1にからむことなんですね。いま小川さんのほうからみやぎ型についてさまざまな疑念があり、第一回の公開質問状にもちゃんとしたお答えがなかったということを述べましたが、このみやぎ型を少し広い視野で見てみると、これはどういうような位置にあるのか? ということなんです。

質問1のところに、日本ではどうなってるか? ということで、コンセッションの対象にピックアップされた都市がいろいろありましたが、そこは全部、コンセッションは 取らないという結論を出している。宮城県では村田町というのが必ず上がってきてたんですが、ここも小川さんの調査では包括民間委託にするということです。それから、 九州の中核都市10市すべてが、コンセッション方式の導入はないと決めたという記事が、西日本新聞に上げられています。

みやぎ型は、全国初めてのモデルケースなのか実験場なのかわかりませんけど、上工下水一体というのは初めてですね。で、人口が非常に多い。県全体の人口220万の中で198万人ぐらい。非常に大きな規模で、水道事業の大転換です。これが日本の状況から見ると、まさに独りぼっちで一所懸命進んでるという状況ですね。

世界的にどうかということを考えても、再公営化というのが結構あるんですね。民営化のマイナスというものがヨーロッパではだんだんわかられてきて、水メジャーがそこでは事業ができなくなって、アジアの日本に事業展開の場所をシフトしてきていると いうことではないかな、と私は思っています。そういう海外の事情というのも、やっぱり理解しなくちゃいけない。なんでダメになって失敗して、 もう一回公共サービスに戻したのか? 宮城だけがそれの例外だということは、ふつうあり得ないですね。そういうような事例を学ぶということも、非常に重要ではないかと思っていますので、学習会ではそういうことについてみなさんにお話します。

あまり詳しい質問にはなっていませんが、今回新しく新型コロナの感染症対応を県はシミュレーションしたと、県議会の議事録にあるんですが、それはいったいどういうことをやって、その結果どういう問題点がわかって、それに対してどういう対策を考えているのか? というようなことも、新たな問題として聞きたい。

それから、コンセッション以外の選択肢、お隣の岩手では中部水道企業団というところで非常に成果を上げている。そういう実例がすぐ近くにあるのに、どうしてコンセッションを取ったのか? いろんな選択肢を検討したうえで、この結果になったのかどうかということもよくわからない。そのようなことも今回聞いてみたい。

20年もの長い事業だと、いま私たちは気を取られていますけれど、20年、最長25年、事業が終わった時に、どういう形で新たなる水道事業の供給が行われるのか? 

コンセッションをまた続けるのか、それに問題があるとなった場合に県が引き継ぐんですね。その引継ぎは、20年、25年お任せしてうまくやれるんだろうか? 特に心配なのは、人材の確保です。

そういう疑問が次から次へと湧いてきた。県からまたお答えがあると思うんですが、 そのお答えを受けて、場合によっては、また質問するということも考えています。少しみやぎ型というものを全体的にとらえて、「水は人権」という国連決議が出るぐらいですから、それにふさわしい事業の運営の 中身が保証されるのかをちゃんと追求していく必要があると思っています。

中嶋共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

専門家にお任せしたらいいんじゃないか、しつこいんじゃないかと思われているかもしれませんが、公共サービスのあり方については、「公共サービス基本法」という法律がありまして、「どう設計するかについては、住民と事業者と十分話し合って」と書いてあるんです。

そういう場所が今までなかったから、私たちのほうから作っていこうということなんです。幸いなことに、受け手もちゃんとしっかり受け止めておられますから、十分な意思疎通をして、また補完的な会合なども持ちながら、十分に住民の意見が集約できるようなことを考えていきたい。その枠組みをいま作っているということがあります。なかなか面倒ではあるんですけれど、いい仕事にするためにはやはりお互いに力を出さないといけないと思っています。