宮城県の水道民営化問題

命の水を守るため、水道の情報公開を求めていきましょう!

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、「みやぎ型管理運営方式」に関する第二次公開質問状を宮城県に提出し、記者レクを行いました!!

       みやぎ型第二次公開質問状提出

 

第二次公開質問状の全文

 

                             2020年10月15日(木)

宮城県知事   村井嘉浩

公営企業管理者 櫻井雅之様

 

                    命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ

                           共同代表  佐久間敬子

                                 中嶋  信

 

   宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)に関する

               第二次 公開質問状

 

私たち「命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ」は、宮城県が進めている「宮城県 上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)」の導入に反対し、よりよい水道事業を創っていくため、本年6月10日に公開質問状を提出しました。

それに対して、同7月22日に県より回答されました。

私たちが公開質問状を提出したのは、「私たちが考える問題点や疑問点を公開の上、質問し、県の回答内容を広く県民に紹介しながら、県民議論を深めることを目的」として行ったものです。

しかし、県の回答は私たちの投げかけた問題点や疑問点にまともに答えておらず、これでは到底県民議論を深めることにつなげることができません。

みやぎ型管理運営方式の県民理解が進んでいないと何度も県は表明しているにも関わらず、今回の回答内容はそれを一歩でも前進させようとする意図を全く感じさせないもので、本当に県民理解を促進しようとしているのか、強い疑念を感じさせるものでした。

また、みやぎ型管理運営方式の目的は、「3事業を一体として民間の力を最大限活用することにより、経費節減、更新費用の抑制、技術継承、技術革新等を実現し、持続可能な水道事業経営を確立する」とされていますが、今回の回答内容は、その実現可能性に一層の疑念を抱かせるものでした。

 

そのような経過と、9月9日に開催された「みやぎ型管理運営方式に関する事業説明会」での質疑を踏まえ、解消されない疑念を再び公開質問状として提出するものです。今回の提出目的も前回同様、県民議論を深めることにあります。その目的に沿い、県の丁寧な説明を要請するものです。また前回同様、質問状と県の回答については、県ホームページで公開することを要請致します。

恐れいりますが、本状の質問内容に対する回答は、下記あてに11月10日(火)までお願い申し上げます。

 

〒980-0803            

仙台市青葉区国分町1丁目8-10 大和ビル2階

佐久間法律事務所 気付

電話 022-267-2288

FAX  022-225-5704

 

なお、本質問状において第一次公開質問状・それに対する回答、9月9日開催の説明会は以下のように略しています。

「6.10質問」➡6月10日付「命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの公開質問状」

「7.22回答」➡7月22日付「宮城県上工下一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)に関する公開質問状について(回答)」

「9.9説明会」➡9月9日開催「宮城県上工水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)について」

 

 

質問1 国内水道のコンセッション事業・海外で進む再公営化について

(1-1)国内水道事業分野でのコンセッション事業は拡がっているのでしょうか? 宮城県の現状認識を示してください。

内閣府によれば、水道事業分野のコンセッション事業の進捗状況として、宮城県大阪市奈良市浜松市伊豆の国市・村田町の6自治体がデユーディリジェンス以上の ステップの進捗状況にあると報告されています [i]。しかし、未来投資会議構造改革徹底推進会合事務局の評価では「水道分野については、6件の数値目標の達成を認める。 ただし、6件のうち実施方針の策定完了済みという後戻りしない手続きまで完了して いる案件は1件もない」としています。

当ネットワークの各市町への聞き取りでも、宮城県大阪市以外の市町は実質的にコンセッション事業化には進んでいません。

奈良市は議会にて実施方針案が否決され(平成28年3月)、民間委託に舵を切りました。伊豆の国市は給水人口わずか733人のエメラルドタウンの管理水道のコンセッションにすぎません。村田町はコンセッションを断念して包括民間委託への道を探っています。水道法が改正され、地方公共団体事業型の仕組みが導入された[ii]にも関わらず、その仕組みに積極的に取組もうとする自治体が増えないどころか撤退が相次いでいる 状況にあります。九州地区では中核市10市[iii]全てが「コンセッション方式」の導入 予定はないとしています[iv]。県はこうした全国の水道事業分野のコンセッション事業の進捗状況をどのように評価していますか?

(1-2)海外での水道事業の再公営化は本当に進んでいないのでしょうか?

県は「9.9説明会」において合計6枚ものシートを使って、海外では「一方的に再公営化が進んでいる訳ではありません。」と結論づけて説明しました。その根拠資料として、❶2019年5月15日に開催された「第4回水道施設運営等事業の実施に関する検討会資料(厚労省)」と❷2015年3月発行の「新水道ビジョン推進支援に伴う調査業務報告書」を挙げています。

県は各資料から都合の良い部分だけを引用して再公営化が進んでいないことを説明しようとしていますが、県の主張を否定するデータもあります。以下に掲げる「再公営化の動きを示す三つのデータ」を踏まえ、それでも海外における再公営化の動きが「一方的に進んでいる訳ではない」となぜ言えるのかを説明してください。

 【再公営化の動きを示す三つのデータ】

① 「9.9説明会」の際、県が根拠資料とした「❷」資料の「概要版7」で、1992年から2007年の官民連携水道事業の再公営化の分析では、「過去15年間に一度は民間事業者が運営していたものの、その後公営に戻った事業が約1/4あることを意味する」と指摘しています。この資料の意味するところは「そもそも15年間の官民連携水道事業のなかでは再公営化するという流れもあった」ことを示しています。

② 2020年7月に発行された「公共の力と未来」(トランスナショナル研究所発行)によれば、2000年から2019年の間で、フランスでは109の水道事業が再公営化されたと指摘しています。

③ 2020年3月発行「水道、再び公営化!」(岸本聡子:集英社新書28・29ページ)において、世界全体の水道事業の再公営化がすすんでいる調査データを発表しています(調査はトランスナショナル研究所)。それによれば、2015年が235、2017年が267、2019年が311と水道事業の再公営化が進んでいることを紹介しています(いずれも累積値)。(「➁」で紹介したフランスはこの数値の内数ですから、フランスでの再公営化が占める割合が高いことがわかります。)

 このような海外での再公営化のトレンドをみれば、「一方的に再公営化が進んでいる訳ではない」とそれを軽視して、拙速にコンセッション導入を急ぐことはすべきではありません。コンセッションはいったん導入したら引き返すことが出来ない制度だからです。

 

質問2 「みやぎ型管理運営方式」は「水道民営化ではない」という主張について

県は「9.9説明会」の開会挨拶冒頭、「みやぎ型管理運営方式は民営化ではない」と切り出しました。こうした発言がなんども繰り返されています。6月10日に私たちが公開質問状を提出する際のやり取りの場でも、取材中の報道関係者に「水道事業は民営化ではないので注意していただきたい」と威嚇するかの様な発言までしています。

私たちはこの間、宮城県とのやり取りでは、基本的に「水道民営化」という言葉を使ってきませんでした。それは「民営化」という言葉を巡って議論しても水掛け論にしかならず、熟議を尽くすうえではあまり意味がないとの判断からでした。「民営化」という言葉は、“政治的言葉”であり、定まった定義により使われているものではありません。例えばイギリスでは、所有も民間セクターに移行されて初めて民営化が完成されたと見なされて「完全民営化」と呼ばれ、所有が全て民間セクターに委ねられていない場合を「部分民営化」と呼ぶとされているようです[v]。また西欧での民営化を15項目に分類する学者もいるようです。日本では、そのように民営化を定義して使われている訳ではなく、論者の立場でそれぞれ論じられますから、水掛け論になってしまいます。

しかし、県が「民営化ではない」という言説を何度も繰り返していますので、今回の公開質問のなかで取り上げるものです。

(2―1)村井知事の論法からすれば、「みやぎ型管理運営方式」のわかりやすい表現は「水道民営化」ではないですか? それでも「民営化ではない」という理由を示してください。

村井知事は「みやぎ型管理運営方式」に関して様々な場面で様々な表現で語っています。

1)2016年12月19日 第3回未来投資会議での発言

・「実は、宮城県は上水、下水だけでなくて、工業用水も一緒にして、上工下一体での民営化というものを考えてございます。」

2)2017年6月14日 内外情勢調査会での講演

・「仙台空港の民営化と同様に、もう一つの創造的な復興としてこれから取り組んでいきたいと考えているのが‥‥(上工下水)一体的に民間に運営をお任せすることです。他の自治体では行っておらず、宮城県の新たな取組として行いますので『みやぎ型管理運営方式』と命名しています。」

・「一言に『民間活力の導入』といっても様々な手法があります。例えば維持管理や運営管理、点検の時期や機械の更新時期などをこと細かく指示して民間に発注するというのも一つの方法です。仙台空港の民営化は、経営・計画から維持管理までほとんど民間に任せていますが、土地の所有権などは国がもっているので『PPP/PFIコンセッション』という位置づけです。今回、宮城県が考えている『上・工・下水一体管理連携運営』も、同じく『PPP/PFIコンセッション』に位置する民間活力の」導入になります。」

3)2018年11月29日 参院厚生労働委員会での参考人発言

・「地面から上の部分、水処理施設、こういったものについては民間にお任せするということでございます。」

・「よく言われることが、民間に任せますと官の責任が…」

4)2019年2月定例会 2月22日内藤隆司県議(当時)との質疑

・(未来投資会議で「水道民営化」という言葉を使ったことについて)「一番わかりやすい表現ということであえてこういう言い方をいたしました。」

・「狙いは民営化ということではなくて…民間の力を活用しなければならないんだということを、これを伝えるためのものであるということをお話ししたかったということで、その辺は言葉尻を捉えて県民に誤解を与えるようなことはぜひ避けていただきたいとお願い申し上げたい。」

5)2020年3月10日 河北新報取材に対して

・「水道事業の民間委託仙台空港民営化といった創造的復興の視点を大事にした

い。」

村井知事は未来投資会議で極めてすっきりと「上工下一体で民営化を考えている」と発言していますし、そのことを追求された2月定例会でも「一番わかりやすい表現」として使ったと認めています。「みやぎ型管理運営方式」をわかりやすく言えば水道民営化だと知事自身が発言しているのです。そしてそのことは撤回も修正もされていません。

さらに内外情勢調査会での講演で、みやぎ型管理運営方式は「PPP/PFIコンセッション」に位置すると述べました。仙台空港民営化も「PPP/PFIコンセッション」なのですから、「みやぎ型管理運営方式」を仙台空港民営化と同じように「水道民営化」と呼称することになんの矛盾もありません。

これら知事の水道民営化発言について、「それでも『みやぎ型管理運営方式』は民営化ではない」という理由を説明してください。

 

質問3 モニタリング機能について

(3―1)「みやぎ型管理運営方式」に移行した場合、「(仮称)経営審査委員会」 以外の監査、監視、モニタリング機能をもった機関はどのように関与するのですか?

現在の公営水道事業は、当然にも宮城県の内部統制システムのなかに組み込まれています。本庁、地方機関の合計6事業所が実施所属数と承知しています。同時に包括外部監査の対象事業でもあります。

以下の点について説明してください。

① 「みやぎ型管理運営方式」へ移行した場合、本庁は別として、移管した9事業はこれら内部統制システム・外部包括監査等のシステムから除外されるのか否かについて。

② 「(仮称)経営審査委員会」の役割は、水道水質検査にかかる県と運営権者の役割監視と水質保持の第三者的監視とともに「経営に関する事項・経営上の課題等」を審査すると説明されています。運営権者の内部統制・監査役機能と、「(仮称)経営審査委員会」との機能的な関係性について、説明してください。

 

質問4 水質検査・試験体制について 

(4―1)下水道水質検査における「県の役割」・「運営権者の役割」を説明してください。

「9.9説明会」資料、8-2で「水道水質検査のモニタリング体制」について説明がされています。しかし「下水道」についての説明はありません。下水道事業が「みやぎ型管理運営方式」に移行した場合、下水道水質検査における「県の役割」と「運営権者の役割」を区分して説明してください。

(4―2)「6.10質問」で回答されていない事項を回答してください。

「6.10質問」では、「質問9 下水道事業について」として、「➁下水道事業の経費費目ごとの削減内容についてお聞きします」と3項目についての削減根拠を質問しましたが、「質問3で回答したとおりです」との回答でした。

「質問3」はマーケットサウンディングでの民間事業者の意見はどのような内容だったかを聞いたものです。「質問9」はマーケットサウンディング後、宮城県はどう考えたか?という質問ですから、「質問3で答えたとおりです。」では回答になっていませんので、再回答してください。

【「6.10質問」で以下が未回答】

➁下水道事業の経費費目ごとの削減内容についてお聞きします。

1)直接業務費が下水4事業合わせて50億円(20年間)、委託費が45億円(同)削減される試算がなされています。この削減根拠を示してください。

2)動力費(電気代)を削減すれば、長時間のエアレーションはできなくなり、排水の水質悪化は避けられないと思われますが、削減可能とした根拠を示してください。

3)薬品費については一括購入という手法で削減することには限度があると思われますが、これだけの金額の削減が可能とした理由について、示してください。また、薬品の購入の時期が現在と民営化後でどのように変化するのか、次亜塩素酸ソーダ以外の薬品についてはとくに丁寧に示してください。

(4―3)なぜ「現行水質検査・試験体制の維持」を求めないのか?理由を示してください。

「6.10質問」の質問4で、「みやぎ型導入による検査項目・試験項目内容」について質問しました。回答は「上水については県が公表している水質検査計画、下水については現行の県が管理している水質管理基準を参考にする」こととして、上水・下水ともに水質は現行と同等、または水質管理は現行と同等以上とすることを求めているので、水質及びその管理体制が低下することはない」と回答されています。

性能発注であるがゆえに、「参考に」「同等以上の」などの言葉を使っていますが、県が水質及びその管理体制を低下させないことを堅持しようとするのなら、「水質維持のため、現行水質管理体制を最低限の水準として維持する」ことを要求水準ととして設定すればよいだけです。現状のやり方が維持されるということにより、県民の「安心」が担保されます。

それを、「参考にする」とか「現行と同等以上」などという曖昧な言葉を使うが故に、県民は、「みやぎ型管理運営方式」で民間事業者に運営をまかせれば、現在の水質検査・試験体制をわからないうちに、わからない様に変えてしまうのではないか?と不安をもつのです。例えば下水であれば、「現行の放流水の測定頻度及び分析項目の変更を認めない」と県のスタンスを明確にすることが必要なのです。

なぜそのように「現行水質検査・試験体制の維持」を求めないのか。その理由を説明してください。

(4-4)下水道処理施設の有資格者配置の計画を示してください。

下水道処理施設の運転には有資格者を置くことが下水道法22条に規定されています。「みやぎ型管理運営方式」導入の場合であっても、水道事業者は県ですから、有資格者の配置がされます。県と運営権者での有資格者配置の考え方を説明してください。

 

質問5 コスト削減の根拠について

(5―1)「197億円のコスト削減は契約に盛り込むから間違いなく実現する」のであれば、契約の内容をどのようにするのか説明してください。

「6.10質問」では、マーケットサウンディングでの民間業者の経費削減にかかる意見はどのような内容だったかを質問しました。「7.22回答」では、民間業者の意見を参考に県が「実現可能性のある数値として設定した」と私たちの質問に直接答えることを避けました。 

そして「197億円以上のコスト削減をすることを条件に提案を受け、その提案内容を盛り込んだ契約をする」から、コスト削減は「間違いなく実現する」と回答しました。

197億円以上という削減額は20年間の契約期間のなかでの話しです。197億円以上コスト削減できたかどうかは20年経たなければ誰にもわかりません。20年間で197億円以上のコスト削減を、誰が、どのような方法で、認定するのかを契約のなかで明確にしなければなりません。そしてこのことを「基本協定書」に盛り込むのか、「公共施設等運営権実施契約書」に盛り込むのか、それをどのように考え、現在の競争的対話のなかで民間事業者に示しているのか、説明してください。

5―2)どうしてみやぎ型管理運営方式に移行した直後の年から経費が削減されるのか? 説明してください。

県は、発表されている公募文書のなかで「対象9事業」ごとに「収益的収支及び総事業費の比較」をシミュレーションしています。つまり20年間の契約期間内で、公営で事業継続した場合と、「みやぎ型管理運営方式」で事業を行った場合とでどのような経費等の差異が生まれるか(コンセッション方式の事業メリットがどれくらいになるか)をまとめたものです。

それによれば、「みやぎ型管理運営方式」に移行すれば、移行したその年度から主要経費が削減されるとされています。大崎上水事業を例にすれば、人件費(県分)3%、動力費11%、修繕費15%、薬品費9%、施設管理委託費28%、テレメータ回線料12%、管理費25%削減されると計算されています。金額でいえば経費全体で1.6億円削減される計算になっています(別紙資料1)

県が「マーケットサウンディングで民間事業者等から得た意見を参考とし、県が実現可能性のある数値」としておいた結果としてこの削減率計算がされているのですから、なぜ、「みやぎ型管理運営方式」に移行した初年度からこのような多額の経費が削減されるのか、県の見解を説明してください。

(5-3)どうして20年経営シミュレーションの削減率が「目標削減率」と異なるのか? 説明してください。

すでに県に数値確認済みの「9事業全体 事業費削減試算」(別紙資料2)では、特に上水2事業、工水3事業で、県がこの間の説明会等で公表したり、公募関連文書にも掲載している「目標削減率」と、質問(5-2)で取り上げた「収益的収支及び総事業費の比較」から求めた削減率が異なります。それぞれ無視できない差であると考えますが、なぜこのように削減率が公表しているものと異なるのか説明してください。

(5-4)「みやぎ型管理運営方式」に移行した場合のダウンサイジングに関する説明をしてください。

県はみやぎ型管理運営方式導入による事業費削減を検証するに当たって、自から実施する場合の事業期間の予定事業費と、事業の一部をPFI事業として運営権者が実施する場合の事業費とを比較し、後者による事業費節減が期待できることの検証を行ったこと、この検証には、管路・設備のダウンサイジング等を見込んだ更新費用の算定を行いシミュレーショに反映させたと説明しています。

そこで以下の点について説明してください。③については資料の呈示を求めます。

① 施設の統廃合、ダウンサイジングの具体的検討内容。

② 対象となった水道施設、施設毎のコスト削減額。

③ 上記②を示すデータ。

 

質問6 災害対応について

 (6―1)新型コロナ感染症対策シミュレーションからの教訓等について説明してください。

通常予見できないような災害が発生した場合の1つとして新型コロナ感染症への対応に関連して質問します。 

県は、水道事業に携わる職員が感染した場合の水道事事業の運営についてシミュレーションをしたと聞いています。2020年6月26日の県議会一般質問の議事録によれば櫻井公営企業管理者は「新型コロナ感染を想定して試行した、この試行により得られた知見を踏まえ・・・安定的に・・・事業を運営できる体制の充実を図った…」と答弁しています。

以下の点について説明してください。

① このシミュレーションの内容について、期間、人員=県側・委託業者側、実施した業務の内容、実施業務の絞り込みの有無、絞り込んだとすればその理由とそれにより得られた知見の内容。

② さらに知見に基づき実施した対応策、今後予定される対応策、競争的対話の中で生かす方策。

 

質問7 コンセッション以外の選択肢の検討について

7―1)コンセッション以外の選択肢として岩手県中部企業団の事例を検討しましたか?

県は「9.9説明会」の資料4-2で「施設の統廃合や管路のダウンサイジング等により効率化を図っても料金上昇は避けられない見通し」だと述べています。

岩手中部水道企業団は、公営の事業団でコンセッションとは違う方法で全国の水道事事業が共通に抱える問題に取り組んでいると聞いています。2014年4月にスタートし、4年間で約76億円の投資を削減したと報告されています。年間料金収入46億円と比較しても大きな成果を挙げていると思います。また、人事異動で部署が変わると専門性が蓄積されないことから、「水道のプロ」を育てる意味から職員は専門職員で構成されています(「日本の水道をどうする!?」内田聖子編著・発行コモンズ)。他方、これは成功した1例で、広域化は地域の実情によっては適切な選択肢ではないこともあると言われています。

以下の点について説明してください。

① 県は岩手中部企業団の事例を検討しましたか。検討した結果、どのような評価になりましたか。検討しなかった場合、その理由は何ですか。

② 岩手中部企業団とは別にコンセッション以外の方法を採用している水道事業の実例を検討しましたか。したのであれば、どんな運営方式、あるいはどのような先行事例を検討しましたか。これらを採用せずコンセッションを選択した理由は、何ですか。

③ 上記①②を検討していないのであれば、それは何故ですか。  

 

質問8 事業終了時の対応について

8―1)コンセッション事業に移行し、その事業が終了した時の対応を説明してください。

公共施設等運営権実施契約書第78条によれば本契約期間は基本20年で終了し、「いかなる理由によっても」運営権設定の日から25年を経過する日を超えることは出来ないと規定されています。

以下の点について説明してください。

① 最大25年経過後の新たな事業者の公募方法を示して下さい 初回と同様の競争的対話等の手順を踏むのですか。

② 契約終了後でも水道事業の中断は許されません。事業の中断という事態が発生しないように、県はどのような対応策を考えていますか。

③ 上記79条(1)によれば運営権者は180日前までの間に引き継ぎの準備をします。県は20年~25年もの長期に亘って運営権全部を移譲していました。わずか半年の期間で水道事業の安全・安心な運営を始めるための準備をする方法を具体的に示して下さい。特に、既に県にはいなくなっていると考える専門職の確保をどう考えますか。

④ 上記84条では運営権者が破産した場合、事業を放棄した場合について規定されています。このような場合、替わりの運営権者を見つけるか、それが出来ない場合は、県が自から事業を実施することになりますが、隙間なく事業を継続する体制をどのように作りますか。

以上

[i] 2020年4月9日 未来投資会議構造改革徹底推進会合 内閣府提出資料

[ii] 2019年5月15日 水道施設運営等の事業の実施に関する検討会(厚労省)における資料 『水道事業における官民連携に関する手引き(改定案)』

[iii] 長崎市佐賀市北九州市熊本市・福岡市・大分市鹿児島市等(西日本新聞

[iv] 2019年10月22日 西日本新聞

[v] 神戸大学MBA https://mba.kobe-u.ac.jp/business_keyword/8007/

 

記者レク

 

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小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

どうもお忙しいところありがとうございます。命の水を守る市民ネットワーク・みやぎとして二回目の公開質問状を、いま提出してきたところです。お手元に公開質問状の内容を添付させていただきました。

第一回目の質問をして、1ページにその内容についての評価を記載しています。この間、宮城県にはずっと、「県民と水道の問題についてちゃんと議論しましょうよ」と いうことを言ってきていて、宮城県自体も県民の理解が進んでいるわけでもないと認めているんですが、コロナの問題もあってきちっとした議論ができないでいるというのが今の状況です。

なので質問状をわれわれのほうから提出することによって、何が問題になっているのかということを、できるだけシャープに県民の中で考えることができるようにしたいと いうのが第一次の公開質問状の内容でした。

その内容について答えられないということは、議論がなかなか深められない状況になっているということだと思います。第二次の質問状を提出することによって、いま何が 問題なのかをさらにブラッシュアップして、県民のみなさんに考える機会を提起したいというのが今回の提出の動機です。11月10日までに回答してもらうように言っています。

全体の質問は、大きな項目としては8つあります。

中心的な内容は、質問4です。水質がこの民営化によってどうなるのか? という県民の不安が大変多くあるわけです。それで、水質検査と水質試験のやり方について質問を再度したということと、県はコスト削減ができるんだということを繰り返し言っていますので、質問5でこのコスト削減の根拠についてさらに具体的に聞きました。第一次の質問でこの2つの解明がはっきりしていないので、もっとはっきりさせてほしいと求めました。

そのほかに、第一次の公開質問状を出すことによって、県が、「マスコミのみなさんも注意してください。民営化ではありません」ということを繰り返し言っています。われわれとしては、そういった議論はできるだけしないつもりでいたんですが、9月9日の県の説明会においても冒頭のあいさつで、「水道の民営化ではないんだ」と言うわけです。黙っていると、そのことばかり繰り返されて、正しくない認識が広まってしまうということもあるので、質問1でなぜ現在、国内での水道コンセッションが進んでいないかということや、海外でいったん民営化したけれども再公営化するという動きがこのようにあるということ、知事が未来投資会議という公的な議論の場で民営化と言っている事実についてなど、質問2で知事が水道の民営化についてどういうことを言ってきたのかということを今回特別に取り出し、「民営化」の問題についての項目を入れました。

最も県民の方々が関心を持っているのは水質問題です。悪くなるんじゃないの?という不安です。これに対して、あまり明確に答えていないところがいっぱいある。質問4で県はなぜ「現行水質検査・試験体制の維持」を求めないのか? ということを書いてあります。

県は「現行の水準を守る」と言っているんですね。下水も上水も水質は維持すると言っている。ならば、「今やってる検査とか試験をそのままやってください」と言えばすむ話なのに、「今やってるものを参考にしろ」とか「現行と同等以上のものにしろ」とか曖昧なことを言うものだから、県民はさらに「実際どうなるの?」となる。

「今までやってることをそのままやってください」と言えば、何も県民の方々は不安に思わないです。安心が担保されることになると思うんですが、そういう言い方はしないということで、ホントになぜ、そのように言わないんですか? ということを求めています。これは県民の関心事項ですので、きちっとした答えを得て、議論ができるようにしたいというふうに思っています。

コスト削減の問題については、県は「197億円のコスト削減、契約に盛り込むから必ずできます」と繰り返し言ってるんですね。マルチ商法の説明ではないんです。マルチ 商法は「必ず儲かる」という言い方ですよね。

20年間で197億円のコスト削減というのをどうやって検証するのか? 

「契約に入れるから大丈夫だ」と言われても、「検証はこういうふうにやりますから」とか「誰がこういう場面でこういうやり方でやりますから」とかはっきりと決められていない中で、納得できるものではない。たとえば、20年経過して、「やっぱり197億円の削減できませんでした」となった時に、誰が どうやって責任を取るのか? 

そういう意味でも、「契約書の中に入れるから必ず削減するんだ」ということについて疑問は全然解消されてないので、「もっとはっきりしてください」と質問5のところで言っています。

 

幹事社 東北放送

今回の公開質問状を提出した最も大きな理由についてお聞かせいただけますか?

小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

1ページの真ん中にありますが、 第一次の質問状で投げかけた問題点や疑問にまともに答えられていないということが、第二回目の提出をした理由です。

 

時事通信

質問2のところですが、民営化ではないという県の主張について、今までは、特にみなさんとして質問に盛り込んだり県のほうに質すようなことはされていなかったという ことですか?

小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

意識的にしなかったということです。 民営化ということ一つ取っても、いろんな考え方があるんですね、今この日本の中でも。たとえば、この質問状の中に入れてますけど、仙台空港は民営化で、なんで水道は民営化じゃないのか?ということ自体、県から十分な説明がされていない。

そういうことを議論すると、それだけでものすごく時間がかかっちゃって、本質的な 議論、県民が本当に知りたい議論ができないということで、われわれは意識的にしなかった。だけど、県が9月9日の説明会でも挨拶の最初に言いますから、「これはちょっと看過できないな、この際ハッキリしておこう」ということで、質問2に入れました。

 

河北新報

共同代表のお二人から一言ずつお願いします。

佐久間共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

今みなさんに私たちの学習会のチラシをお配りしました。これにみやぎ型は「ナンバーワンじゃなくて、ロンリーワン」というキャッチを付けています。

 

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これは質問1にからむことなんですね。いま小川さんのほうからみやぎ型についてさまざまな疑念があり、第一回の公開質問状にもちゃんとしたお答えがなかったということを述べましたが、このみやぎ型を少し広い視野で見てみると、これはどういうような位置にあるのか? ということなんです。

質問1のところに、日本ではどうなってるか? ということで、コンセッションの対象にピックアップされた都市がいろいろありましたが、そこは全部、コンセッションは 取らないという結論を出している。宮城県では村田町というのが必ず上がってきてたんですが、ここも小川さんの調査では包括民間委託にするということです。それから、 九州の中核都市10市すべてが、コンセッション方式の導入はないと決めたという記事が、西日本新聞に上げられています。

みやぎ型は、全国初めてのモデルケースなのか実験場なのかわかりませんけど、上工下水一体というのは初めてですね。で、人口が非常に多い。県全体の人口220万の中で198万人ぐらい。非常に大きな規模で、水道事業の大転換です。これが日本の状況から見ると、まさに独りぼっちで一所懸命進んでるという状況ですね。

世界的にどうかということを考えても、再公営化というのが結構あるんですね。民営化のマイナスというものがヨーロッパではだんだんわかられてきて、水メジャーがそこでは事業ができなくなって、アジアの日本に事業展開の場所をシフトしてきていると いうことではないかな、と私は思っています。そういう海外の事情というのも、やっぱり理解しなくちゃいけない。なんでダメになって失敗して、 もう一回公共サービスに戻したのか? 宮城だけがそれの例外だということは、ふつうあり得ないですね。そういうような事例を学ぶということも、非常に重要ではないかと思っていますので、学習会ではそういうことについてみなさんにお話します。

あまり詳しい質問にはなっていませんが、今回新しく新型コロナの感染症対応を県はシミュレーションしたと、県議会の議事録にあるんですが、それはいったいどういうことをやって、その結果どういう問題点がわかって、それに対してどういう対策を考えているのか? というようなことも、新たな問題として聞きたい。

それから、コンセッション以外の選択肢、お隣の岩手では中部水道企業団というところで非常に成果を上げている。そういう実例がすぐ近くにあるのに、どうしてコンセッションを取ったのか? いろんな選択肢を検討したうえで、この結果になったのかどうかということもよくわからない。そのようなことも今回聞いてみたい。

20年もの長い事業だと、いま私たちは気を取られていますけれど、20年、最長25年、事業が終わった時に、どういう形で新たなる水道事業の供給が行われるのか? 

コンセッションをまた続けるのか、それに問題があるとなった場合に県が引き継ぐんですね。その引継ぎは、20年、25年お任せしてうまくやれるんだろうか? 特に心配なのは、人材の確保です。

そういう疑問が次から次へと湧いてきた。県からまたお答えがあると思うんですが、 そのお答えを受けて、場合によっては、また質問するということも考えています。少しみやぎ型というものを全体的にとらえて、「水は人権」という国連決議が出るぐらいですから、それにふさわしい事業の運営の 中身が保証されるのかをちゃんと追求していく必要があると思っています。

中嶋共同代表(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ)

専門家にお任せしたらいいんじゃないか、しつこいんじゃないかと思われているかもしれませんが、公共サービスのあり方については、「公共サービス基本法」という法律がありまして、「どう設計するかについては、住民と事業者と十分話し合って」と書いてあるんです。

そういう場所が今までなかったから、私たちのほうから作っていこうということなんです。幸いなことに、受け手もちゃんとしっかり受け止めておられますから、十分な意思疎通をして、また補完的な会合なども持ちながら、十分に住民の意見が集約できるようなことを考えていきたい。その枠組みをいま作っているということがあります。なかなか面倒ではあるんですけれど、いい仕事にするためにはやはりお互いに力を出さないといけないと思っています。

宮城県議会(令和2年9月定例会)建設企業委員会での 「みやぎ型」 に関する質疑応答のレポートです!!

2020年10月13日の建設企業委員会で「みやぎ型管理運営方式」に関する質疑応答が行われました。委員会終了後には、傍聴にいらっしゃった県民の方からお話を伺いました。

 

宮城県議会建設企業委員会

 

建設企業委員会の質疑応答

 

岸田清実委員

前回の委員会の時、9月18日だったと思うんですけど、ちょうどその日、受水団体の会合があったということで、受水団体からどんな意見が出たのか、主なことを教えてください。

水道経営課 田代課長

仙南仙塩広域水道の受水団体からの意見ですが、県のモニタリングの関係、災害時の 迅速な対応、企業撤退時の円滑な事業継続、コスト削減効果の料金への反映、その他 というような5つの大きな項目がありました。

県のモニタリングについては、水質の検査基準に関して、現在県が行っている水質検査の採水地点であるとか検査頻度、これが最低限ですか? といったご質問です。

まだ 正式な回答は受水団体のほうにはしていませんが、この委員会でもたびたび申し上げているとおり、現在の検査手法、水処理手法が変わらなければ、今と同等となります。ただ、水処理方法が変更になれば、そこについては変更になる可能性がありますという回答をする予定です。

また、同じくモニタリングの中では、たとえば水安全計画、現在、平成28年度だったと思いますが、県のほうで水安全計画を策定して公表しています。それに対して、どのような形になりますか? という質問をいただいておりまして、それについては、現在と変わらず対応できるような形を運営権者に求めますという回答になります。

災害時等の迅速な対応については、当然のことながら、現在のBCP計画と齟齬のないような計画になりますよね? という質問をいただいております。当然これについては、県のBCP計画に適応した内容を運営権者に求めますという回答になります。

企業撤退時の円滑な事業継続については、このような事態にならないということが大前提ではございますが、万が一、運営権者の事業の継続が困難になった時には、県側のほうでおそらく次の委託先を選定して引継ぎ事項をしっかりしたうえで、事業継続がなされるような体制を取ってまいりますという回答になります。

コスト削減効果の料金への反映については、今の募集要項では、基本的に受水の水量と物価変動については、運営権者の収入額の変更を、決められた算定式によって日銀の物価指標等を参考にして変動するということにしていますが、(櫻井公営企業管理者が 後ろを振り向き、開いた両手の隙間を縮めるゼスチャーで話が長いと伝えると、田代 課長は「ハッ」と頷き)これが料金にどのような影響をするかは幅によります、という回答になります。長くなりましたが、以上になります。

岸田清実委員

今のは、9月28日の仙南仙塩広域水道受水団体連絡会からの要望書への回答の話じゃないの?

水道経営課 田代課長

ハイ、ご指摘の通りでございます。すいません、(受水団体との会合の)当日は、意見交換の中では主だった意見がなかったということで、要望書に対する意見のほうを回答させていただきました。

岸田清実委員

ああ、そうですか。ま、できるだけ速やかに回答をまとめていただく必要があるのではないかと思います。

次にですね、(宮城県議会本会議の)一般質問で取り上げたんだけど、明確なお答えがなかったのでもう一度質問しますけど、9月28日の仙南仙塩受水団体連絡会から今ご紹介があったような質問が出て、県としてそういう回答になるということなんだけど、 モニタリングとか水質基準とかについては、市町村は住民に説明責任があるので、特にそういうことについて確認したい、と。あるいは、そういうことに重点を置いて選定してほしいという要望なわけですよね

来年の1月に第二次提案の〆切があって、3月までに第二次審査が行われる過程の中で、やはり各受水団体の意向も取り入れる形で選定過程を進めるべきだと私は思っています。ただ、今までのやり取りの経過から言うと、「(受水団体から)こんな提案があります」ということをそのまますべて示すということは当然ならないだろうとは思います。しかし、この要望書にあるとおり様々な要望があるので、それを選定過程の中で、提案の〆切の後、最終候補者を選ぶプロセスで受水団体の意見反映を何らかの形で行う必要があると思いますが、この点についてはどうですか?

櫻井公営企業管理者

まさにおっしゃる通りだというふうに私も思いまして、まずやり方としてはですね、今の段階で受水団体が疑問に思ってること、それから気になってること、これがいわゆる質問事項ですね、これらについてはもう彼ら3グループには伝えようというふうにしています。

競争的対話を通じて選定された以降については、そのシステムを含めBCP等をどういうふうにするのかといったより細かい話も出てきますので、そこは当然、受水団体のご意見、従来の方法を伝えながら作りあげていきます。受水団体からは、場合によっては選ばれた人と少し話したいということもあります。もし予定可能であれば、そういったこともやっていきたいと思っております。可能な限り受水団体のご意見を吸い上げていく手法を、出来るもの出来ないものも当然あろうかと思いますけども、やってもらいたいと思っています。

岸田清実委員

いま管理者が言われたのは、1月に3グループから提案を受けて、3月に1グループに絞り込んだ後に、受水団体との対話の機会を持つことを検討するという意味ですか?

櫻井公営企業管理者

3グループ並列でやるか、あるいは選ばれた後、引継ぎをやるか、これはやり方がいろいろあるかと思いますが、その両方をトライしてみたいというふうに思っています。

岸田清実委員

是非それは検討してください。やっぱりそういう対話のプロセスがあってこそ受水団体の信頼も整うと思うし、仮にこれが(=みやぎ型が)スタートしたとすれば、その信頼が必ず前提条件になるんだと思うんですね。

それから、9月28日の要望書の中にこんな項目がありました。「水質の異常時の対応について危害要因に応じて適切な対応が講じられるよう具体的な対応策を事業提案に盛り込んでいただくようよろしくお取り計らい願います。」あるいは、こういう項目を選定の中に盛り込んでほしいというようなことも要望書の中にある。こういう選定項目、 選定の基準に関わるようなことについては、どういう取り扱いになるんですか?

櫻井公営企業管理者

基本的には選定の行為は、いわゆる第三者委員会であるPFI検討委員会がやっている。当然、いま市町村が心配してること、重点的に思ってることについては、PFI検討委員会のほうにも出したうえで、判断基準、過程をどうするかを議論していただきながら、選定の過程においても、選定された後においても、可能な限り市町村のご意見を制度のほうに反映するという姿勢で臨みたいと思っています。少なくとも今の出されたものについては、PFI検討委員会のほうにもお出しして、こんな疑問を持っていらっしゃいますということはお伝えしたい。

岸田清実委員

企業局としてこの要望に対して回答を出すということは当然やっていただくことだけども、選定委員会への投げかけをして、それがどういうふうに反映されたり検討されたりしたのかを、受水団体に報告する必要があるのではないかと思う。一方通行で要望を出しっぱなしではなくて、こういう検討になっていますということは、企業局という立場だけではなくて、可能な限り選定委員会の立場でも報告する必要があると思いますが、いかがですか?

櫻井公営企業管理者

具体的な選定基準の問題になりますので、非常に重要な問題にはなるかと思いますけども、受けた(受水団体の)意見を検討委員会に出して、それがどういうことになっていったかという説明責任は企業局にあると思っていますので、受水市町村には可能な限り説明していく努力をしていきたいと思っています。

岸田清実委員

確認ですけど、9月18日の受水団体を集めた会議というのは、仙南仙塩だけでなく大崎広域水道の関係者も集まってるわけですよね?

水道経営課 田代課長

もちろん大崎広域水道もですし、流域下水道の関係の市町村も対象としています。広域水道については丸森町だけ(みやぎ型の)対象から外れていますが、すべての市町村を対象としています。

岸田清実委員

仙南仙塩からは要望書が出ていますが、他のところからはいかがですか?

水道経営課 田代課長

現在までのところは出てございません。

 

ゆさみゆき委員

競争的対話は、なかなか何をどうやっているのかわからないので、今回の質問では根拠について何べんも確認させていただきたいと思います。みやぎ型管理運営 方式導入にあたっては、誰が、何を、いつ、どこで決めたのかということが、背景が非常にわかりにくい ので、何度か確認させてください。

まず、水道料金の上昇についてですが、大崎水道料金は令和4年の120円から令和21年に135円、仙南仙塩水道料金は124円から130円。この上昇値は誰が算定して、その結果を確認承認したのか教えてください。

水道経営課 田代課長

今の数値は昨年の12月に公表したものだと思います。それについては、企業局において将来の水需要の見通しを算定して、それに基づき、施設のダウンサイジングが行われた形で、あくまで県の企業局で1㎥当たりの単価を算定し公表しました。

ゆさみゆき委員

企業局はあらゆるデータの根拠に基づくんですけど、そこはコンサルには相談したんですか?  そこは企業局のみの判断ですか?

水道経営課 田代課長

あくまで根拠については県企業局のほうで推定していますが、みやぎ型管理運営方式を導入するにあたって、シンクタンクとかシンクタンクのいろいろな関係の会計士さんとか、下水道の技術的なアドバイザーがおりますので、そういう方々と相談しながら算定したものです。

ゆさみゆき委員

誰がこの金額でOKと承認したんですか?

水道経営課 田代課長

企業局の内部で公営企業管理者と相談したうえで公表したものです。

ゆさみゆき委員

「誰が」というのは、きちっと櫻井さん言ってください。

櫻井公営企業管理者

基本的には、私はシミュレーションなんかを見ておりますし、誰がどういうプロセスで決定したかということをあえて言うのであれば、私が「まあこれぐらい上がるだろうなあ」という責任を持って受水市町村さんのほうへお示ししたということで、まだ料金が決定したかどうかというのは、また受水市町村さんとの間になりますので、「このままいくと、これぐらいのトレンドで上げざるを得ないだろうなあ」ということを、受水 市町村さん県民のみなさまにお話をしたということで理解してください。

ゆさみゆき委員

「だろうな」ということですね、非常にその辺は責任的な言葉でいかがなものかと思いますが、その辺はまた決算がありますから、詳しくその時に教えてください。

資金調達についてお伺いします。資金借り入れの金利は2.4%というふうになっていますよね。20年間を前提として、償還金利です。政府系金融金利ですと0.何%。なぜこの資金借り入れの金利2.4%を政府系金融金利にしなかったのか? 根拠をお示しください。

水道経営課 田代課長

2.4%は運営権者側の調達金利だと思います。県の調達金利は、事業ごとに若干の変動はありますけれども、現在の借入金利とほとんど変わらない1%前後だったと思いました。

ゆさみゆき委員

調達に関して、薬品を一括発注すると非常に低廉になるということですが、上工下水道それぞれ薬品が違うので、一括発注ができるのかという疑問が残ります。

水道経営課 田代課長

調達方法は運営権者の裁量になりますが、違う種類の薬品でも、複数の薬品を取り扱っている企業さん、また工場でも同じようなことが言えますので、合理的な形で調達がなされるものと想定しています。

ゆさみゆき委員

会計処理について確認します。年度末削減額と会計処理は9事業別々会計ということで前回福島委員の質疑に答えましたよね。本来ならば一括した会計処理をするほうが非常に低廉化するのにもかかわらず、9事業が別々会計ということは、167億の削減効果の中で、1つ1つの事業がそのままであるなら、なぜコンセッション方式を導入するのだろうか? 前提条件が崩れるのではないだろうか? 9事業がなぜ別々会計なのかについて説明を求めます。

水道経営課 田代課長

もちろん9事業一体で事業計画を立てていただき、運営をしていただきます。その中で今ご指摘にありました資材の調達であるとか、改築の工事も実施していただくわけですが、ただ9つの事業はそれぞれお客様が別々です。9つの事業の経営状況については、しっかりと反映させなくてはいけない。それぞれのお客様に必要な経費を配分しなければいけないということで、全体だけではなくて、9つそれぞれの提出を要求水準で義務付けています。

ゆさみゆき委員

コンセッション、つまりみやぎ型、このままでも事業が継続できるのではないかと先日勉強会で議論いたしました。一点、20年間という根拠が見当たらないという結論に至りました。20年間ですとコントロールする能力がなくなり、会計処理も含めて20年間で薬品の調達ができるのか、それぞれの疑問が残ります。このままでも、コンセッションを使わなくても事業を実施できるのではないか。167億の削減というのはあくまでも期待値であって、それはいかがなものかということに対して、櫻井さんのお考えを伺います。

櫻井公営企業管理者

冒頭のご質問に関わりますけれども、このままいくと給水人口が減る中で、新たな機能更新をしなければならないということを考えると、やはり相当程度の料金を上げざるを得ない。一定程度の経費節減をしていかなければならない。そういった問題意識の中で今回コンセッションということをご提案したわけです。

このまま企業局の今の体制でいけるのかと言えば、料金を上げるという前提であれば できると思いますが、受水市町村の経営体も大変厳しいものですから、我々はその部分にもある程度いわゆる後押しをしなければならない。そういったこともあって今回こういう提案をしたということです。

ゆさみゆき委員

削減効果はあくまでも期待値であるということをお認めになりますか?

櫻井公営企業管理者

いわゆるヒアリングをしながらこの額を根拠に決めました。したがって、期待値か? という話については、その決定した数字については期待値から求めたということになりますが、今回の募集要項などで、これだけ以上の削減をしろというハードルですので、確実に下げられるというふうに思っています。計算をしたところについては、みなさんから「どのぐらい期待できますか?」と聞きながらしましたが、それが募集要項のラインになっていますので、当然3グループはそれ以上の削減をしてくるし、削減をしてこなければ欠格ということになります。

ゆさみゆき委員

自信を持ったご発言です。それならば、やはり透明性というのを確保すべきではないかと考えます。このみやぎ型を全国初と言うのならば、前回求めましたように情報の開示、開示にあたっては県民にということ、ここにいる県議会議員守秘義務もありますし、監査委員も会計検査委員と同じ権限を持っています。であるならば、一部を私たち議員に開示するなど、情報の透明化、公開をすべき。その自信を持った櫻井管理者の話を私たちは堂々と県民に説明できるんです。しかしながら、今回も何回も根拠を聞いたのは、わかりにくい、わからない。それでは県民の信頼を 得られない のではないでしょうか。情報の透明化、私たち、委員長、副委員長、委員会にはしっかりと提示すべきではないでしょうか。

櫻井公営企業管理者

運営権の譲渡は議会の議決を要しますので、当然我々は、県議会の議員、建設企業委員会にも説明責任がある。この点については、我々は可能な限り、提案の内容についてしっかりと説明してまいりたいと思います。

一方で、その途中過程においてすべてを開示できるかということは、これはなかなか厳しいだろうと思っています。これは冒頭何回も言っているとおり企業の知的財産の問題があります。ただ、我々は情報公開条例を持っていますので、県民にも可能な限り情報は提示しながら理解を得ながら、そして議会の理解を得ながら進めてまいりたいと思っています。

ゆさみゆき委員 

いつ開示するのかという時期と、また、競争的対話のもとで計画変更つまり契約変更もあり得るのか、2点、簡潔にお答えください。

櫻井公営企業管理者

基本的には確実に公開できるのは、議案として提案する時期にすべてのことが開示できると思っています。その前段で、途中過程においてどれだけ開示できるかということについては、まだ(企業からの)提案を受けていないので、今の段階で言うことはなかなかできないということです。

水道経営課 田代課長

(今年の)3月に募集要項から契約書案まで提示していますが、それに関する変更に ついては、いま応募者と協議しているので、極力早く公開できるように努めてまいります。

 

福島かずえ委員

「(みやぎ型でも水質検査に関しては)現状どおりやります」というお話ですが、現状でも水道法と下水道法で検査体制が違っているということがわかりました。

水道法では、指定管理者だけではなく、水道事業者が独自に法定の水質検査をしなければならないということになっていて、現在、大崎広域水道と仙南仙塩広域水道は、それぞれ厚生労働大臣の登録を受けた所に県が委託してやっています。

それに対して下水道法は、現状でも指定管理者のみが検査をしていて、県は実際にはやっていないということで私は理解していますが、それでいいでしょうか?

水道経営課 田代課長

(下水道の)水質検査は指定管理者が実施して、それを我々がデータを確認するという体制を取っています。

福島かずえ委員

今の県のチェックの仕方は、下水道のほうは書類で見ている、あるいは作業を見ているという程度にとどまっているということです。これがみやぎ型管理運営方式になると、水道のほうはどのようになるのか、下水道のほうはどのようになるのか? 改めて伺いたい。

水道経営課 田代課長

まず、水道法のほうを正確にご説明すると、水道法の運営事業全体を一括で運営権者にお願いするような形であれば、運営権者側で法で定める水質検査も可能になりますが、(みやぎ型では)事業全体のうち管路を県が引き続き管掌します。その場合、水道事業者のほうが検査するという建て付けになっているので、水道法に規定する検査は県が責任を持って実施していくということになります。

下水道に関しては、そういった規定はありません。そういった中で、県が水質検査をするかしないかを含めて運営権者側の検査計画を見ながら、県の抜き打ち等の検査もあるので、県が直接かかわるのがいいのか悪いのかも含めて、必要だと判断がついた場合は県のほうも検査することを検討していかなくてはいけないと考えています。

福島かずえ委員

今までの説明では、モニタリングの中の一つとして、水道水も下水も抜き打ち検査を年1回以上はやるということなんですが、それは今も変わりないですか?

水道経営課 田代課長

変わりございません。

福島かずえ委員

上水のほうはどちらかと言うと水道法の縛りがきついですが、先ほど示されたように 下水道のほうは現状でも指定管理者任せになっているということです。それでも現状は仕様発注であるのに、みやぎ型管理運営方式ではこれが性能発注になってしまうので、やはり市民の方々はそこの違いをすごく大きく考えていますし、私もそうだと思います。年1回以上としかまだ言われていませんが、やはり抜き打ち検査を現状以上にきちんとやらないと、受水団体のみなさんそれから利用者のみなさん県民が安心できないと思う。そのことについても明確なご答弁をいただけていない状況なんですが、いつ頃、項目と頻度が決定するのか、年1回の抜き打ち検査というのがどういうものなのかを示せるのかを伺いたい。

櫻井公営企業管理者

これは本会議のほうでもご回答したんですけれど、まだ年1回以上という言い方しか していませんが、それはやはり、運営権者の管理がどうするのかシステムがどうなっていくのかを見たうえで判断していきたいと思っています。1月には応募者のみなさんが書類を提出しますので、その中で県はどうしていくかを考えなければならないし、そういった説明をしていかなければならないと思っています。

福島かずえ委員

1月に示されることは膨大だと思いますので、それなりの事前の資料の提供をお願いしたいと思います。それからもう一点、決算でも時間がありますのでそこで詳しくやりますが、令和2年度から料金が引き下げになりました。それで受水団体のみなさんは喜んでいらっしいますが、その際の議論の中で、計画水量で買わなくてはいけないぶんが ずっと負担になっているというお話をさせていただきました。

近く見直しをして、計画受水水量の見直し、引き下げを提示していこうと思っているということだったんですが、それはいつどのような形で行おうとしているのか、検討状況はどうなのかを伺いたい。

水道経営課 田代課長

おそらく今のお話は、基本水量の見直しのお話かと思います。これまでの責任水量制、5年に1度料金改定で責任水量を市町村さんに負担していただいておりますが、その制度は継続させていただきたいと考えています。

基本水量、仙南仙塩であれば1日量55万5,300トンを見直してほしいという要望があったため、概ね3年程度でこの基本水量の見直しについて方向性を示しましょうということで受水市町村さんと合意したところです。

今年7月に1回目の打ち合わせ会を開催しました。来月2回目を実施することとしています。こちらは事業の根幹にかかわるところですので、なかなかいつまでというお約束はしにくいところですが、概ね3年程度を目安に受水市町村さんと方向性を確認していきたいと考えています。

福島かずえ委員

概ね3年というのは、去年から3年なのか今年から3年なのか? それからみやぎ型管理運営方式への移行との関連はどういうふうにとらえたらいいのか伺いたい。

水道経営課 田代課長

昨年から概ね3年です。こちらはみやぎ型管理運営方式とはまた別の話で、あくまで広域水道事業全体にかかる経費をどのような負担割合で市町村さんに負担していただくかということになります。直接はみやぎ型管理運営方式とは関わりはありません。

福島かずえ委員

直接的な形式はどうであれ、受水団体にとっては、いくらで買うのか、どのぐらい買わなくちゃいけないのかというのは、やっぱり大きい問題ですし、それが新しい運営方式と同時に示されるのかずれ込むのかは大きい問題だと思いますが、いかがですか?

櫻井公営企業管理者

課長が答弁したのは、基本的に大きなコップを作ってみんなで分けましょうという全体計画が、市町村の人口の減りも含めて厳しい中で、コップの大きさをどう分けるかの話になると、より上がる所と下がる所が当然出てきますので、なかなか厳しいむずかしい問題であって、概ね3年以内でなんとか到達点を見出しませんかという話を今しているところです。

いまお話になってるのは料金のことなので、当然、横目でみやぎ型管理運営方式はこれくらいになったという話をしたうえで、基本的な大元の方向性を決めてもらわないと いけないということです。料金という意味では極めて密接なんですが、物事の考え方としては全く別なものなので、それは議論としては聞き分けて、ただ、みやぎ型管理運営方式はその時にはある程度出来上って見えていますので、それを料金にどう反映させるかという議論は並行してやらざるを得ないと思っています。

 

県民 A さんのご懸念

 

建設企業委員会終了後に、一緒に傍聴していた県民Aさんが、「少し話しますか?」とお声をかけてくださいました。

Aさんは大学で土木工学を専攻したので、水道と下水道の授業も、初歩的なものは受講されたそうです。そのAさんがご心配なさっているのは、コスト削減のためには人員を減らして新しい機械を導入しなければならないのに、その機械を新しく導入した際の不具合を検知するためのルールが、みやぎ型では何も決められていないということです。

どんな機械でも、新規に導入する際には不具合が発生するリスクが高くなります。深刻な状況になる前にその発生を検知するためには、数カ月間継続的に監視する必要があります。水道・下水道の場合、機械の不具合が発生しているかどうかを確認するには、水質検査をし続けるしかないというごもっともなご意見です。

そういった条項を運営権者との契約書の中に盛り込み、新たな機械の導入時にきちっと安全を担保するよう縛りをかけなければならないのに、そういう危機管理意識が県側にはあるのか、どうも心もとないとご懸念なさっているのです。

 

あらゆる業務プロセスで一般的なPDCAサイクルを、きちんと回していくような仕組みがみやぎ型にはあるのか? 

特に水質管理のプロセスで、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)という4段階における具体的な方法や責任の所在の明確化がなさるのか? 

また、それについての情報公開は、本当に県民が安心できるレベルまでしっかり行われるのか? 

運営権者側に不都合な情報が隠蔽されないよう実効性のある監視体制を構築することはできるのか? 

などなど確かに心配の種は尽きません。

県民のみなさん、是非こういったことにもご注目して、みやぎ型の導入が本当に安全な選択なのかを見極めてください。

みなさんがそれぞれの日々の生活やお仕事の中で得てきた経験や知恵を生かしながら、よりよい水道を作っていくためのアイデアを、ご一緒に話し合っていきましょう!

人は一人として同じ人はいないのですから、どの方のご意見も、他の人に違う視点を 与えてくれるとても大切なものです。大切なあなたのお話を、お聞かせください。

 

勉強会のお知らせ

 

みやぎ型 勉強会

 

このままでは「みやぎ型」がどんどん進められて いってしまう! ホントにこれでいいの?     「Dialogue 水は誰のものか?」を視聴して、水道というみんなのものに大切な視点を確認しました。

みやぎ型開始までのスケジュール

    令和2年9月9日「みやぎ型管理運営方式」に関する事業説明会資料より

 

2020年9月20日、D2021 企画 Vol.3「 Dialogue 水は誰のものか?」がライブ配信されました。

 

対話者たちの発言の抜粋要約

 

岸本聡子さん(トランスナショナル研究所)

水の問題は、科学的、政治的、経済的、文化的ないろいろなことが関わってくる。

貧しい国だけの問題ではなくなってきている。

たとえばアメリカでは、近年、1500万人の人たちが、水道料金が払えないということを理由に水道接続を切られている。  

水が商品化されたり、そこから利益を上げようとする社会というのは、おそらくすべてのものから利益を上げている社会じゃないか。

水は、すべての人と生物にとって必要なもので、国連で 定められた人権でもある。

それを市場原理だとか、儲けの原理で運営していったら どうなるのか?

 

「水道民営化」は「民主化」なのか?

           「 Dialogue 水は誰のものか?」より

 

岸本聡子さん(トランスナショナル研究所)

「民」という文字がすごく混乱する部分があって、これどちらかと言うと「私」に直したほうがいいんじゃないか。私営化と言ってもいいかなと思う。

日本は、官とか公のイメージが、自分たちから離れたところで、お役所が決めてくれたりやってくれるというような強い事実とイメージがある。

私たちが選んだ代表者が関わる公に対して、私たちがそこに情報を取りに行く、アクセスする権利があるとか、その人たちには説明しなければならない責任があるといったことをあんまり教えられていない。

私企業にはそれは全くないので、所有が公から私に移ると、私たちは自動的に、情報を得る権利や説明される権利を失う。

 

水道、再び公営化!           

           「 Dialogue 水は誰のものか?」より

なぜ日本が水道を売らなきゃいけないのか?

そもそも日本の水道は世界に誇る水道で、日本の漏水率は世界で一番低い。平均5% とか信じられないような数値を出している。ヨーロッパでは25%とか30%の水が漏れている。日本はそれで98%の普及率を誇り、みんなが飲めるという水を、なんでわざわざ企業に売らなきゃいけないのか?

水道管路の更新時期が来ていてお金がかかる。そのお金を自治体は払えない。コスト削減が必要。水道現場で働く人は今どんどん減っている、というより減らされている。

そういう中で、企業にお任せしたほうが効率化が起こり、イノベーションが起こりやすく、水道事業が持続可能になるというストーリーで、おとぎ話みたいに聞こえるけど、それを信じている人たちは、国会の中にもメディアにもたくさんいて、そういうことがやりたい企業群がひしめいている。日本の水道市場に参入したいという企業は、日本でも世界でも沢山ある。それらが一致してそれを可能にする水道法改正になったと思う。

 

斎藤幸平さん(経済思想家)

行き詰ってるんですよね。パリとかイギリスとかでも失敗しちゃって、パリの水道会社困ってて、どうすっぺみたいになってるんですね。それで、「おー、そこにいいのあるじゃん」みたいな感じで、周回遅れで日本が狙われている。

で、日本人は、今ある水道システムに慣れ切っちゃってるので、「ちょっと変わったって大丈夫でしょう」という緩みが非常にありますよね。そういうところにどんどん入ってこようとする。

私有化の問題点というのは、元々はみんなのものなんですね。みんながアクセスできるし、みんな平等に使う。なんでそうかっていうと、みんな生活に必要だから。僕の言葉を使うと、潤沢にある。豊かにある。でもそれだと誰もお金払わない。

で、どうするかっていうと、市場はそれを囲い込む。ほんとはみんなにとって必要なものなんだけど、それを特定の人しかアクセスできない、「これ俺のもんだ」と囲い込んでしまう。

そうすると、多くの人たちは、今までと同じ水にアクセスするために、今度は、お金を払わなきゃいけなくなってしまう。多くの人達にとっては、囲い込みのせいで豊かさが壊されて、希少性が生まれてしまう。アクセスできない。貧しさが生まれてしまう。欠乏が生まれてしまう。資本主義というのは欠乏を生み出すことによって価値を増やしていく。

私たちは、資本主義ってどんどんいろんなものを作って、どんどん私たちを豊かにしてくれると考えるけれど、価格を吊り上げたりとか、利用制限かけたりして、希少性を高めていくことによって、もし企業が成長していくとしたら、資本主義っていうのは、実は私たちの生活を貧しくすることによって発展していく、そういう凄い歪んだシステムだっていうことが、この水の問題からも見えてきて、やっぱり公有財、コモンに戻していったほうが、私たちは実際豊かになる。民営化したほうが効率化も進んで、コストカットも進んで、 イノベーションもして、私たちの 生活便利になると考えるけど、実は、公有化したほうが豊かさが復活するんじゃないか。

 

岸本聡子さん(トランスナショナル研究所)

(コンセッションの)その前にもいろいろな委託というのが既に水道の現場で起こっている。包括委託も含めてかなりの部分を民間企業にお願いしているし、それ自体がすべて悪いわけではない。

コンセッションの問題点は、お金と人とが動く。つまり意思決定が動くということ。 この水道事業をこれからどのように長期的に運営していくか、どのぐらいの投資をして、どういう技術を使って、そういった重要な決定を事業を運営する人が決めていく。

委託だと、今まではそれが公に残って、「この部分とこの部分とこの部分だけ、お願いします」という話だった。そういった意味でかなり根本的な違いがある。

確かに施設の所有権は残るが、そこで働く人たちに知識があって、災害が起きた時に どうするかというようなトレーニングがあって、いろんなことがある。仕事というのはただ単にお金の話ではなくて、コロナ禍でわかったことは、働く人がいてこそということ。このコンセッションというものでは、人とお金と意思決定が丸ごと動いて、私たちの手から離れると思ったほうがいい。

 

斎藤幸平さん(経済思想家)

民営化していくっていうことは、その会社が儲からないというふうに考えたんであればもうサービスを止めてしまう。あるいは今まで毎日だったものを二日に一回にしてしまうとか、そういう形で最終的には、質そのものが大きく下がってしまう可能性がある。

水の質が一回下がってしまったら、働いてる人たちの知識が一度失われてしまったら、なかなか取り戻せないことになってしまう。そういう貴重なものだし、しかも危うい もので、一度崩れたら戻らないものなんだっていうことを、わたしたちは再認識しなくちゃいけない。

特に、これから気候変動が深刻化していく中で、日本の場合はどちらかというと、雨が降らなくなるというより、降るようになってくる。ダムの話とかになると、また水道と感覚が変わったりしちゃうんけど、どういうふうに貯めるのか、放流に関してもホントに人死んだりするので、人命もかかわるし、どういうふうにこの大量の水を管理していくのかとか、そういう本当に命に直結するような問題を、一企業に任せてしまっていいのか? これ本当に任していけないなっていうのを、私たちは福島の原発事故の時に学んだわけです。隠蔽体質とか色々あったわけじゃないですか。

私たちは価格の問題で考えてしまいがちだけど、やっぱり公営でやったほうが、より広い視点から水ってものを管理することができる。 たとえば、水っていうのは誰にとっても利用可能な状態になくてはいけなくて、都市では、公園とかあるいは街中のいろいろなところに無料の蛇口を置いておくってこと。これはホームレスの人達にとっての飲料水になったり、手を洗ったり顔洗ったりって水になったりもする。

そういうものは本来、企業という観点からすればいらないんだけれども、パブリックにしておく、コモンにしておくことで、そういった無料の水へのアクセスというのが街中で担保される。われわれマイボトル持ってても、水を入れるところがあまりないけど、そういうところをどんどん増やしていくと、ペットボトルがなくても暮らしていける。

あとは水源。水っていうのは単に降った雨を溜めておくだけでなく、エリア一体、水が流れ込んでくるところの土壌とかいろんな地域の表面が汚染されていたら、そこで水が溜まるまでに汚染されてしまったら、それを浄化するのにお金がかかって、水道料金が上がってしまったりする。だから、そのエリア全体、水を貯めておく所だけでなく、 その辺り一帯も含めて、持続可能な環境に変えていく必要がある。

そういう投資というのも、やっぱり公共だからこそできる取り組みがある。もしその 辺りで化学肥料とか農薬とかバンバン使ったら、その水が流れていって大変なことになっちゃうわけで、そこであえて持続可能な農業をやって、それを地産地消して、たとえば学校の給食として提供したりという形で、それもまた新しいコモンになっていく。

そういった形で水というものを軸にして、食べ物も繋がってるし、他のものともいろいろ繋がっているので、どんどんコモンの領域を広げていかないと。一個だけ守っても、他のものが駄目になっちゃったら全部駄目になっちゃうんで、もっと守っていくって いう足がかりになるんじゃないか。

 

みずをみんなのものにするには            

           「 Dialogue 水は誰のものか?」より

 

藤原辰史さん(歴史研究者)

水をみんなのものにするという時に、いったい水はどこから来て、どういうふうに流れていくのかっていう、フローの流れがどうなのかってことをやっぱり知らなきゃいけない。

日本って水がものすごく急流で流れているけど、他方で、水が汚染されてきた歴史でもある。たとえば、足尾銅山事件では、栃木の山奥で銅山を経営していて、そこから汚染物質が出て、関東一帯でまさに水が汚染されて、田んぼが汚染された。

それからイタイイタイ病。富山の神通川が汚染されて、カドミウムとして米に入ったり、あるいはその辺りの方が魚を食べているので川が汚染されてその魚に高濃縮され、毒が濃縮されたり。阿賀野川もそうですよね。そういう意味で、水というものは、もっと広いエリアで捉えながら考えていくべき。

 

岸本聡子さん(トランスナショナル研究所

水道供給というと、コンセッションでは上水・下水だけを見てるようになるけど、すべて上流から下流までつながっていて、雨から海までつながっている。

これをどのように広域的に、農業も含めて、水源を守るということも含めて、特に日本ではこれから気候変動で増えていってしまう洪水から命を守るということ、そういう かなり長期的総合的な対策を取らないといけない分野。

これの一部を切り離してしまって、そこだけで利益を上げるとか、一部を切り離してしまうと、公共政策の中で全体的な長期的な計画を立てるということがとても難しくなってしまう。

そもそも水は、行政もすでに分断されているが、むしろ統合していくような流域ということを考えて、持続可能な上流から下流までということ、それから生物多様性を守っていくとか、コンクリートで固めていくダムという今までとは違う次の世紀に向けた治水というものの在り方を考えていくときに、みんながその話し合いに参加して、地域の水に関わっていくということが、自治ということに広がっていく。そこだけ切り離して民営化なんかしないで、むしろつなげていくような作業をしていかないといけない。

 

藤原辰史さん(歴史研究者)

農業史でいくと、水利事業への参加が重要。農村では、水利に参加しない限り、水はゲットできないし、用水路をきれいにしないと入れない。水利組合がずっと農業の灌漑を作り上げてきたことを考えると、水と参加はセットだと歴史的には言える。

 

田代伶奈さん(哲学の人/D事務局)

水をみんなのものにするには、土地への愛着が前提になってるんじゃないか。その地域に川があるとか、意思決定が反映されるようなコミュニティがあるとか。

私は、こういう人多いと思うんだけど、東京にずっと住んでいて、なんか私の物であるっていう場所とか物がない。たとえば自分のものだと思えるような公園とか、広場とかコミュニティが全くない。もちろん地方の方でも、地域コミュニティというものがどんどんなくなっていると思うけど。

「私たちの水なんだから私たちで決定しよう」って言ったときに、「みんなの水だよね」って言ったときの「みんな」っていうのが想像もできないし、頭にも浮かばない。

その時に、コモンズって考え方はすごくしっくりくるし、理論的にはすごくよくわかるんだけど、感覚的に、なかなかコモンズっていうのが入ってこないっていうのが、私の正直な感想。ともに管理するみんなって誰ですか?

 

斎藤幸平さん(経済思想家)

ありとあらゆるものを本来はみんなで管理してきた。土地、水、食べ物をみんなで作って。(資本主義は)そういうのをひたすら分解していって、バラバラにしていった。

市場っていうのは、お金さえ持ってればそれで何でも手に入るわけで、別にしがらみもないし、お金さえあればその土地を捨てて別のところに移ってもいい。本当にある意味気楽なわけ。

他方でその結果として、地域との関わり合いであるとか、自然との関わり合いであるとか、ありとあらゆるもともとあった社会というものが失われている。社会っていうものが市場っていうものによって入れ替わってしまった。

社会というのは、もっともっといろんな多様なつながりあいがあって、その中でみんなで富を管理していたが、それが市場に置き換わっていくと、ただ貨幣と商品だけの関係性ってものに置き変わってしまって、「みんなでもう一回管理しようよ」なんて、想像もできないし、面倒くさそうだなっていうのが必然的に勝ってしまう。この感性をどうやって変えていくかっていうのは難しい。

 

藤原辰史さん(歴史研究者)

コモンズって、基本は争いがあったからっていうのが重要。田植えの時も水がすぐなくなっちゃって、夜いきなり鍬持って、わーって削ったりするのが田舎のほうであった。自分の田んぼに引くために、もう削っちゃうぐらい、水って争いの源。それを防ぐために、みんな半分怒りながら、何とか最悪の事態にならないようにって、生まれてきたのがコモンズの管理だったかも。

 

田代伶奈さん(哲学の人/D事務局)

こうやってみんなで考えることが、結構コモンズの出発点である気もする。

 

斎藤幸平さん(経済思想家)

歴史を学ぶのはすごい大事。今の自分たちの見てるもの以外の所への想像力を広げてくれるのは、すごい大事。別のやり方があるんだって、別のやり方があったし、しかも、それはもしかしたらもっと豊かなものだった、楽しいものだったかもしれないっていうのがわかれば、もう一歩動き出すためになるんじゃないか。

 

岸本聡子さん(トランスナショナル研究所)

一つ一つのピースを見ていくと、食のことも考えなきゃいけない、ゴミのことも考えなきゃいけない、水のことも考えるべきって、なんでこんなに考えなきゃないんだって いうような。でも結局何も変わらないじゃん、参加の仕方もわからないし、どういう形なのかイメージも湧かない。本当にこれが私たちの現代社会だと思う。

新しい政治文化っていうのを作っていかなきゃいけない。私たちの生きづらさだとか、ものすごい時間を貨幣労働のために使っていることとか、クタクタで考える時間も選挙に行く時間もないような現実とか、その不満とか怒りとか、それをぶつける場所もないということとコモンズとすごく関係してると思う。

もしそういうことからもっともっと解放されて、みんなが普通に地域のコミュニティセンターだとか広場だとかに集まって、水のことだけじゃなくていろんなことを話したり、作ったり交換したりするようなことができ始めたら、生きづらさということを解放していくようなそういう流れを作ってことができたら、何かこう元気が出てくるのかな。そこにやっぱり地方自治とか地域の政治というのがすごく重要。

水道がたまたま自然独占で一つの供給者であることが多いので、特に都市部ではそうなのでそうなっているけど、ミュニシパリズムが大切にしていることは、自治とコモンズ。

ミュニシパリズム           

         「 Dialogue 水は誰のものか?」より

コモンズの中には、電力、水道、食、住宅のようなすべての人に必要なものが入ってくる。それをどのように民主的に管理するかということ。そういうことを大切にする政治代表者を選んでいく。公にお任せするって話しではなく、共に管理していく。ただ単に公とか行政ではなくて、自分達から離れたところの利益ではなくて、その地域とそこに住んでる人たちの利益を体現するような協同組合だとか市民グループだとか労働組合とかいろんな人も含めた形の公だと思う。

 

田代伶奈さん(哲学の人/D事務局)

自分の地域の意思決定に参加するとか、その感覚を取り戻さなきゃいけないけど、私が今住んでる地域に関心持てるか、なかなか難しい。それは教育がやるべきなのか、こういう対話の場を開いて皆さんで成熟した社会を作っていくのか、いろんな方法があると思う。

水は誰のものか? この地域のものであって、私たちの ものである。企業のものでもないし、国のものでもないと思う一方で、地球のものであるっていうもっと大きな視点からも語れる。地球市民であるっていう感覚はなぜか私にはすごいあって、 土地は有限だし、水も有限、資源も有限だから、全員で守んなきゃいけない。

どっかだけそれが手に入り安くて、どっかだけがアクセスしにくい状態が不正義であるっていう感覚はすごいある。地球市民として有限な資料をどう管理するか、みんなっていうのを地球全員みたいに広げて考えることもちょっとしてみたい。

 

永井玲衣さん(哲学研究者/D事務局)

ミュニシパリズムは、ただただ政府に任せるんじゃなくって、地域でみんなで合意形成をしていこうっていうこと。非常に重要なんだけど、同時にその難しいさという話も 出た。

こういう運動がなかなか広がらないのは、そもそも話し合いの文化っていうのが非常に欠如しているんじゃないか。人が集まるのは、基本的にリスクがあるから集まるわけで、議論になって対立になりがちだけど、そこでちゃんと話す、ちゃんと一緒になってひとつの物事についてきちんと話す、対話するっていうことは重要。

水の問題も、民営化するのかどうか、どっちか二項対立っていうことにいきなり入っていくんじゃなくて、まずは抽象的な問いから入ってみる。あまり利害対立が起きない 仕方で、水ってそもそも私たちにとってどういうものか、そういった観点から入って、徐々に対話していくってことが必要なんじゃないか。

こうやって話すこと自体も、私はきちんとした参加の仕方だと思う。もちろん、それで満足したらいけないんだけど、話したり考えたり、皆さん YouTube でたくさんコメント書いていただきましたけど、これも本当に参加っていうことなんじゃないかな。

 

斎藤幸平さん(経済思想家)

地球っていうのは私たちにとっての大きなコモン。でもそれを特定の企業のもの、特定の人々のものっていうふうに、どんどん切り刻んで行ってしまったのがこの間の資本主義であって、私たちは日本っていう特に経済大国に生まれて、その恩恵を大きく受けてきた側だったけど、ちょっとそろそろそれにも限界が来ている。

つまり、こうやってそういう生活を続けていると、真水も枯渇してくるし、今回ならパンデミックが起きたし、気候変動という形でスーパー台風とか洪水だとか川の氾濫だとかいろんな問題が起きるようになってきて、そうなってくると、またその時には、弱い立場の人達が切り捨てられていく。

そういうところを見直していこうというのがコモンの基本的なアイディアで、でもいきなり地球っていうわけにもいかないので、身近な水とか食料とかゴミとかそういった問題から一個一個考えて、自分たちで何かそれをもう一回違う形で管理する方法ってないだろうかっていう、これすごいクリエイティブな試みなんですよね。新しい今まではないような形で。だって別に江戸時代に戻りたいわけじゃない。新しくなる楽しいことしたい。

クリエイティブにならなきゃいけないんだけど、クリエイティブになるってすごい難しい。クリエイティブにコモンを管理するのは、たぶんすごい難しいんです。でも何か、そういうようなクリエイティブさがシェアされて広がっていくような社会っていうのは、少なくとも可能だっていうことを、まず私たちが認識するのが、その試みに向けた第一歩になると思う。

 

藤原辰史さん(歴史研究者)

地球市民って、すごいローカル市民とダイレクトにつながってる話だなと思う。 ローカル、ものすごい身近な政治っていうのは、水と食とか、そういう絶対欠かせないものを扱う政治になるから。水も電気も、そういうものは全部地球に直結してる。

 

岸本聡子(トランスナショナル研究所)

コモンズって何だろう? 水は誰のものか? って考えたときに、水だけではなく、 これはみんなのものである。同時に誰のものでもないっていうことなんじゃないか。

誰にも属していないので、それをどのように使っていくのか、管理していくのか、使わせてもらっていくのかということは、地球環境の限界を知って、足るを知るというか、そういう謙虚な気持ちでコモンズを使わせてもらってるというふうに思って、地球市民とローカルと、ちっちゃな変化をつなぎ合わせていくことによってしか、大きな変化は起きないと思った。

斎藤幸平さんの「潤沢な」というのが一つのキーワード。

           

          「 Dialogue 水は誰のものか?」より

知識、知は無限というのは、コモンズでしかできない。 市場とか企業とかは、どちらかというと知を囲い込む。 それに価格を付ける。私たちの知というのは無限で、それを交換とか交流とかすることによって、どんどん広がっていくもので、これが潤沢なという意味なのかなと思う。

 

「みやぎ型管理運営方式」に関する事業説明会 @仙台市戦災復興記念館         県民の質問や意見をちゃんと聞いてもらうために、みんなでどんどん県との対話の場を作ろう!!

2020年9月9日、仙台市戦災復興記念館記念ホールにて、宮城県企業局の主催で「みやぎ型管理運営方式」に関する事業説明会が行われました。

 

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事業説明会は午後1時30分から始まりましたが、企業局次長の佐藤さんによる1時間10分にわたるスクリーンを使ったみやぎ型の説明の後、10分の休憩時間を挟んで、県民との質疑応答は14時50分から始まりました。

 

まず、壇上に座った担当者のみなさんのご紹介が行われました。

宮城県企業局職員

前列向かって右側が岩崎さん(企業局技官)、その左側が佐藤さん(企業局次長)、 後列右側が田代さん(水道経営課長)、その左側が大沼さん(水道経営課技術副参事)

 

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

質疑応答の進め方について説明いたします。本日は多数のご参加をいただいており、 また会場を使用できる時間の都合もございますので、初めの質問はお一人一問とさせていただきます。質問が尽きました後、まだ時間がある場合には、改めて2問目をお尋ねいたしますので、一度の何問もお尋ねになることや一人で質問を続けるようなことは お控えください。

ご質問やご意見のある場合には、まず挙手をしていただきます。私のほうで順番にご指名いたしますので。そして係りの者がマイクをお渡しいたします。ご質問やご意見は マイクを用いてはっきりと、必ずマスクは着用しながらご発言くださりますようお願いいたします。そしてご質問の後は、一旦、係りの者にマイクをお返しください。感染防止のため、一回ごとにマイクを消毒させていただきます。

なおご質問されている方、回答者への野次や意見の発出などは、進行の妨げとなりますのでお控えください。それでは、会場からご意見ご質問のある方は挙手のほうをお願いいたします。

Aさん

下水道の排水の水質の確保と検査についておうかがいしたいんですが、先ほどの説明は上水道についての説明だったんですけれども、現状では下水道の排出については、下水道法の基準よりも相当厳しいというふうに管理しています。この状態を維持するのか、維持されていると確認するとすれば、検査項目と検査の頻度を現状と同じにしなければなりませんが、それは続けるのかどうか。

それから、先ほどたとえ話として、連続測定のような新しい方法が導入される場合も あり得るということをおっしゃいましたけれども、BODの測定なんかを5日後に測定している今のやり方に変えてね、紫外線の吸収なんかで見るような連続測定の方法があるということ聞いてますけども、現在の数値と相関するかどうか。数値が低くなると誤差が非常に大きくなりますから。

確認する県の検査っていうのは、従来と同じ方法でやらないと、ホントにデータが連続してるかどうか、気象庁アメダス分離した時に数値が変わっちゃいましたけれども、同じようなことが起こります。

要するに、下水の排出の現状を維持してほしいという立場から検査の対応は維持されるのかどうか、それを確認したいのでお答えいただきたいんですね。いかがでしょうか?  

岩崎さん(企業局技官)

あハイ、下水道法に規定されておりますえー排出水の基準はですね、あのもちろん守りますけれども、県でですね、あのうそれ以上のあの水質を求めている項目がございますね。BOD水質をはじめですね、もっと放流水の水質を県独自で厳しくしておりますので、それはあのう引き続き、えー求めることにしております。

で、えーその法定のその基準のですね、そのあのう確認の方法ですけれども、それあの現在のえーものよりも、あの現在よりも、ま同等にしなければいけないということで、えー求めていきますけれども、えーそのお話にありましたそのまあ機器ですね、機器によるものにつきましては、えーまあBODのその法定の検査方法が、5日後のまあものでございますので、それが直接変わらないと、そっちはもう法定でですね、もう検査方法が決まっておりますので、BODのえー測定方法を、その機械に変えるということはもうできないと思っております。

ただ、その機械を入れることによって、運転管理上ですね、水質の変化等まあ確認できるようになりますので、そういったことであの、あのうまあ水質管理上ですね、えー運転管理上えーまあ、そのう機械を入れることによって、えー、ま高度な水質管理ができることになろうかと思いますけど、それはあのその場合によってですね、あのう、えー提案によって、えー導入されるされないということが決まってくるかと思います。

Aさん

(筆者注:岩崎さんのこの回答に対するAさんの発言は、マイクが係りの人に戻って いたため、私を含め会場の他の参加者には聞き取れませんでした。

回答の内容が良く理解できなければ、質問した人が何度も聞き直しながら理解を深めていくということが想定されていない段取りで、「質問した人だけがわかれば良い」と いうこの配慮のなさには、みやぎ型について広く県民に理解してもらおうという意識があまりないのではと感じてしまいました。

続く他の質問者とのやり取りの中でも、同様のことが繰り返されたため、参加した県民にとっては非常にストレスになったと思います。) 

大沼さん(水道経営課技術副参事) 

えと補足させてください。えーと機械を導入した場合については、当然先ほどおっしゃられたように、えー今までの方法でやった場合と違う数字が出る可能性もあるということです。そういうことになる場合は、しばらくの間は、同時に、測定を両方するということで、えー調整の期間を設けたいと思っております。そういったことで整合性を図っていきたいと思っております。 

Aさん 

検査の回数とか内容は変えないというふうに考えてるんですか? 

大沼さん(水道経営課技術副参事) 

基本的には考え方変えません。 

 

長山さん(水道経営課・質疑応答進行) 

ではよろしいでしょうか、はい。じゃあ次のご質問に移らせていただきます。では、 そちらの方にマイクをお願いいたします。 

Bさん

えーと性能発注の内容になるんですけども、試験項目や方法、頻度は変わりませんということなんですが、今は仕様発注なんです。仕様書があって発注してるんですね。性能発注っちゅうのは業者サイドになるんですよ。もう運営権が売却されるわけですから、民間会社にね。民間会社は自分のやりやすいようにね、人員配置含めて、あるいは材料とかね、自分の裁量で、当然あのそれ売却して、お金出して業者は買い取るわけですね、浄水場の使用権をね。で、彼らは儲けをやるわけです。

それなのに、「今と同じ試験項目、頻度で行います」と、県はね、自慢げに言うわけです、あなた方は。それじゃダメなんですよ。性能発注っちゅうのはね、業者サイドなんですよね。そうすっと、今はね、あの30日に1回とか、90日に1回なんですね、検査は。これは法定の検査です。つまり、30日に1回、あるいは90日に1回。残りの29日とか、89日はね、今は検査されてないわけです。それで今は大丈夫なんです。なんでかって言うと仕様書があるからなんです。仕様書によって事細かにね、あのう基準が決まってるわけですよ。発注者が指定しているわけです、業者に。

ところが今度、これはね、業者サイドにおいて、業者が作った手順書なり計画書で、 あのう浄水場がね、使用されていくわけですよ。それなのにね、それに対して、県が、発注者が、全然ね、あのう新しく検査を、もう行わないということです。今までどおりしか検査を行わないんです、企業にね。ということは、29日間あるいは89日間、あの 野放しなんです。検査しないんだもの。あの確認しようがないでしょ。

これ、あなた方モニタリングでやると言ってますけども、モニタリングでね、51項目 いちいちわかるわけないでしょ。あのトリハロメタンとかポリクロロエチレンとかね、51項目こんなものいちいち、あのモニタリングでね、大学の先生が見たってね、わかるわけないんですよ。それなのにね、なんでこのコンセッションの浄水場から出た水が 安全だと言えるんですか? 証明できるんですか? 51項目がいちいちね、基準値を 満たすということが、モニタリングでね、あの証明できるんですか? できるわけないでしょ。

長山さん(水道経営課・質疑応答進行))

お客様、今までについて、では、ご回答のほう県からさせていただきますので。

佐藤さん(企業局次長)

あのう私は、えー今までと頻度とか回数とか、まあそういうもの変わらないと申し上げましたが、それは、今と同じ機械設備をそのまま使うのであれば、当然同じようにやってもらいますというふうに申し上げました。

それはどういうことかと言うと、性能発注ではあるんですけれども、えーどういう機器で、どういう検査体制、どういう頻度とかですね、やるかというような計画書を、一番最初の審査の前に出させます。で、その出させたものが、契約書の一部を構成します。ですから、えー「自分たちは機械設備はこのままです。日々検査をしている頻度については、いま県が10回やってるなら自分たちも10回やります」。そういう計画を出させます。

Bさん

県の検査どうするの? 県がやっていいの? 今までどおり。

佐藤さん(企業局次長)

県は、今までどおりやります。

Bさん

それは中間の29日とか89日が野放しになるから。県はなんでそういうことに対してね、

佐藤さん(企業局次長)

そこは、仕様発注、性能発注という話ではなくてですね、えー県は今までどおり従来 どおりやりますと申し上げています。(Bさんは「だからそれが性能発注になるんだから」と続けようとする)彼らが、あのう、もう一度申し上げます。あの会場にいらっしゃるみなさんにもあの聞いていただきたいので。

今までとおんなじ機械設備であれば、県はたとえばいま頻度10回でやってるとすれば、えー民間も同じ機械設備を使うのであれば、10回というものを出してこないと、当然 それは失格になります。

で、我々が申し上げてるのは、たとえば「県よりももっといい方法がありますよ。たとえば、常時監視とか、そういう最新の施設を投入すればこういうやり方もあります。」という時には、それが同等以上と認められる限りにおいて、「それは認められます」と言ってるんです。

ただ、それは、審査の段階で、彼らはどういう体制でやるかの計画書を出さなければいけません。その計画書は先ほど申し上げましたとおり、県と彼らの契約書の一部を構成するものです。ですから、自分たちが出した契約書に違反するような行為をすれば、それはもうただちに違反行為ということで、えー認められない、罰金とか何とかということになっていきます。

えー自分たちが一番最初に、えー自分たちは、えーいま県と同じように、県が使っている機械設備の中で県と同じ以上にするのか、それとも「もっと工夫するとこういうことができますよ」という提案を出して来るのか、それは、民間の方々の自由ですけれども、結果的には同等以上でなければいけないということも事実です。

Bさん

いいですか。あなたいいですか、あなたね、まともに答えてくださいよ。私が言ってるのは、県が従来どおりにやるんでしょ、そのう、頻度で30日に1回とかね、90日に1回は今やってるとおりに、県がこれまでどおりやるわけでしょ。168 項目 51項目ね、そうすると、それは仕様発注の時の頻度でしょって言ってるわけです。

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

あの要するに、旦那様あれですよね、性能発注に変わるのに、県の検査頻度を上げなくてよいのかというご意見ということでよろしいでしょうか。

Bさん

上げないで、なおかつそれでね、51項目のやつの性能がね、水質が大丈夫ですよということがね、検査しないで証明できるんですか? ということを聞いてるんです。

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

県のほうの体制として、よろしいかという話ですね。

Bさん

県のほうの話してるんですよ。業者の話じゃないですよ。

佐藤さん(企業局次長)

だから、何度も申し上げますけども、県が行う検査とそれから民間側が行っている検査というのが、両方の両輪でもって動いてますね。で、民間側が現在と同等以上確保できるのであれば、県も従来と同じことをするというので、当然両方合わさって同等だということになると私は考えていますけども。

Bさん

だから、県が。あなた、わざと誤魔化してるな。

佐藤さん(企業局次長)

(笑ってかぶりを振りながら)そんなことないです。

Bさん

仕様発注が性能発注になるんだから、業者サイドになるわけですよ。

佐藤さん(企業局次長)

だから、仕様発注と性能発注の意味を、ちょっと取り違えられてると思いますよ。あの仕様発注というのは確かに事細かに県が決めますが、我々が出す性能発注というのは、あくまでも今の仕様発注と同等以上のものが証明できなければ認めないと言ってるわけです。

Bさん

いや、そうじゃない。

佐藤さん(企業局次長)

ですから同じ機械設備を使う以上は、同じ頻度をやらなければ同等とは認めないと言ってるわけです。

Bさん

いや人員配置とかね、作業手順は業者サイドになるわけです。当然でしょう、運営権を買って

佐藤さん(企業局次長)

(Bさんを遮って)ですからそういう体制とか、そういうものを含めたものを計画書としてで出させると言ってます。

Bさん

誤魔化さないで答えてください。売却するでしょ、運営権を。なんで誤魔化すの。運営権を売却すればね、

佐藤さん(企業局次長)

全然誤魔化してないですよ。

Bさん

運営権を売却すれば、

佐藤さん(企業局次長)

いや全く誤魔化してないです、あの、えーとですね、運営権者の実施体制は、

Bさん

ちょっと待って、ちょっと

佐藤さん(企業局次長)

あらかじめ計画書として出させるんです。そこには人員とかですね、

Bさん

いやそういうふうにいうから

佐藤さん(企業局次長)

頻度とかあらゆることが書いてあるその計画書を持って今と同等かどうかをみる。えーですから、あの県側が今と同じことをやっていれば、民間側も今と同等以上なわけですから、当然両者を足した体制というのは、同等以上であるわけです。全く誤魔化すつもりもないです。

Bさん

それは詭弁なんですよ。仕様書がなくなるんだからね。

佐藤さん(企業局次長)

(処置なしという表情で嘆息しながら何度も首を傾げて、後列に座っている田代さんと大沼さんのほうを振り向くと、二人も困ったという感じで首を傾げ、壇上の4人で顔を見合わせる)

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

あのう、一つご意見の部分もあるかと思いますので、ちょっと次の方に

Bさん

いや、答えてないから。仕様書がなくなるのに、あたかも仕様書がね、まだ生きてるかのように話してる。

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

(取りなすように)旦那様のほうのご意見ご質問はいま、じゅうぶん会場のほうにも 伝わったと思いますので。

岩崎さん(企業局技官)

えと、あのですね、ちょっと補足させていただきますと、性能発注はですね、みやぎ型がこう日本で初めて行うわけではなくて、すでにもうあの、日本でですね、そういう包括委託などでですね、実績がございます。ということでですね、あのう検査頻度が空いてるからその間がその素通りするんではないかというようなことはですね、このみやぎ型に限った話ではなくて、日本全国の話ではあるということでございます。でですね、その水道水はですね、もともと、あのう比較的きれいな水をですね、浄水場で非常にきれいな飲める水にするということでございまして、まあ沈殿、ろ過、消毒という工程でまあしてるわけですけども、なんか工業製品とかですね、なんか、たとえばビールとかワインとかそういったもののように、製造工程でミスがあった時に不良品ができると いうようなものではなくてですね、そういう複雑なものではなくて、普通の工程でまああの

Bさん

回答よろしいですから。今あのあなた性能発注は他でもやってると言いますけれども、宮城県土木部発注の性能発注工事というのがあるわけでしょ。それから国の発注も性能発注工事もあるんですよ、もちろんね。その場合は必ずね、性能をあらかじめ決めて、工事終わった時に性能のチェックするんですよ。そうしなければね、性能発注工事が 終わんないわけ。性能が認められたかどうか確認しなければ。そんなので、今回はね、仕様発注だけれども検査しないで、性能発注になってからもね、全然検査増やさないとなれば、あの性能発注業務のね、検査もされてないということなんです。

岩崎さん(企業局技官)

いえあの水道の場合は、水道のその法定基準を満たしてるかどうかというのが、その まずはそのチェックになろうかと思います。

Bさん

それは仕様発注の時の頻度でしょ。

佐藤さん(企業局次長)

(マイクを取るが、壇上の4人でしばらく相談して)まああのご意見は承りましたけども、あのう回答は繰り返しになりますので、えーとー省略させていただきます。

 

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

ではですね、またご意見ご質問、また別の方でですね、挙手いただけますでしょうか。では前の方に。

Cさん

えーCと申します。えー私が、あの最大の関心事、心配事は、みやぎ型で公共性原則が保たれるのかということです。

えーこの不安についてですね、今日の説明も聞きましたが、なぜみやぎ型が必要なのかということについて、スケールメリットやコスト削減のみで必要性が謳われている。 ただバリュー・フォー・マネーのガイドラインを見れば、VFMっていうのは効率性の議論であって、必要性の議論ではないんだ、と。

公共事業だからこそ、なぜみやぎ型でなければならないのか? コンセッション方式を柱としたみやぎ型をなぜ必要なのか? えー前のシンポジウムなんかでも、えー紹介いただきましたが、 水みらい広島のような方式でなぜダメなのか? なぜみやぎ型でなければ公共性が維持できないのか、この点について 全く説明がされていないというふうに思います。

で、この点に関して質問一つということだったので、あのう、この間もずっと申し上げてきましたが、 説明資料が、直してくれ、補強してくれということを再三申し上げてきましたが、おんなじ説明資料、不十分な説明資料しかありません。

具体的に言えば、たとえば今日5の3って示されましたが、

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      「みやぎ型管理運営方式」に関する事業説明会資料より

この資料で言えば、現在のデメリット、みやぎ型はメリットのみを記載して、さぞかしみやぎ型がいいような説明をしてるんですが、今日の説明でも実際ありましたが、4~5年だとあのう思い切った投資ができないので20年のほうがいいんだというふうにメリットを主張されていましたが、逆に言えば、競走原則は4~5年のほうが良くて、20年にすれば競走原則はなくなる。そういうメリット、デメリットが両者にあるわけですから、きちっとしっかり県民に示したうえで、本当にみやぎ型が公共性原則があるんだということを実感できるように、あるいは検証できるように解明していただきたい。

あと、今日も説明資料でありましたが、6の1っていう事業費の削減について説明ありました。

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      「みやぎ型管理運営方式」に関する事業説明会資料より

県の説明もありましたが、VFMは不確実な前提の上に組み立てられた合理的期待値であり、補助値や絶対値ではあり得ないというふうに言われています。県も今日そういう説明をしましたが、しかしこの6の1の具体的根拠を示す資料が今日は添付されていませんが、今までケース1、ケース2、あるいは10%、20%の数字を組み合わせて、えーこの247億円の事業費削減というふうなのが示されています。まったく、合理的期待値っていうふうには思えません。

今日も、「いや、そうは言っても、事業者には1,653億円ですか、これを下回る額で提示していただくので、必ずなります。」というふうな説明だったんですが、これが合理的でなければ、逆に民間事業者に負担が行くわけですから、そのしわ寄せがどこに行くのか、それは安全対策にしわ寄せが行くのではないかということも含めて、いろんな疑問がありますので、この資料についてもきちんと改めていただきたいというふうに思います。

で、もう一つ最後ですが、えーみやぎ型方式と現行方式の比較について今日もありましたが、現行方式にVFMを試算する場合は、現行方式についてもしっかり試算をすすめていかなければならないと思います。しかしながら、完全に一本化をする、広域化した場合の試算で、20年間で4億円削減しかなりませんというふうな説明なんですが、そうじゃないだろうと。たとえば今日も工業用水の説明がありましたが、工業用水の将来見通しさえ、水量見通しさえ、県は立てられていないんではないですか? で、全国的に見れば、あのー水を再利用したり、えーする事業所も多くなっていますので、それは致し方ないというふうに思いますけれども、ただしこの間、水が売れなくなった場合は、県がやってもみやぎ型でやってもおんなじなんですよと、そういう乱暴な説明を、この間、受けてまいりました。

極端ではありますが、たとえば事業者に補助金を出して水の再利用を促すようなことをしていただいたり、一部は有り余っている上水道を流用できるようにするなどして、工業用水道事業をやめる、そういう選択肢も、あらゆる可能性を含めて現行方式の試算をしてもらいたい。そうでないと、VFMとの比較が全くできない。これはホントにあのう合理的期待値っていうよりは、県の願望でしかないというふうに思いますので、一つだけ、資料をきちっと精査して県民に説明をしていただきたいという要望でした(拍手がある)。

佐藤さん(企業局次長)

えーとですね、まああのうご要望ということなんですが、ちょっといくつかはですね、あのう少しだけあの説明させていただきます。一番最初にですね、PFIガイドラインの中で、えーVFMというのは効率性の議論であって必要性の議論ではないといことが書かれているとおっしゃいましたけれど、それはそのとおりなんです。

あれはどういうことかというとですね、たとえば新しい橋をPFI事業で立てる、とかですね、新しい何か建物をPFI事業で立てるとかいう時に、役所が立てるとたとえば10億でこの建物が立つ、民間だと9億で立つ。1億円安いんだから民間のPFIをやるべきだっていうのは、それは効率性の議論。その前の問いに、そもそも公共事業としてやる必要があるんですかというのが、必要性の議論なわけですよね。

で、私たちは、水道事業、工業用水事業、下水道事業ともに、これまでも30年間以上、公共でやってきました。当然必要性の議論はクリアしたうえで、えー次の効率性の議論に入っているというふうに考えています。

えーそれからですね、えーとー1,653億ですね、これはそうなんじゃないか、それがいい加減だと民間に負担が行くんじゃないかと、ですから我々が申し上げてるとおり、えーとここは合理的な期待です。

で、ただそうは言ってもですね、これは水道事業の場合に限らずですね、PFI事業ってのはすべてそうです。えーと役所がやった場合はたとえば100億でこの建物が立つ。立った上に10年間で運営経費にさらに100億かかる。民間がやったらどれぐらいになるんだろう? これはマーケットサウンディングをやって、様々な人からヒアリングをして、で、さらに先ほど言ったまあ宮城県の場合は日本総研を使いましたが、コンサルティング業者なんかにも入ってもらって、妥当な数字を探っていくというようなことです。

ですから、もし民間側でですね、これはあまりにも低すぎてこれ1,653億ではできませんというお話であれば、当然、応募者はいなかったと思います。で、いま現に3グループ応募が来ているというのは、あながち外れている数字ではないのではないかというふうに私どもは考えています。

それから、工業用水の需給の見通しについてですけども、これはあのおっしゃられるとおりです。工業用水というのは、工場が来れば増えるし、工場が撤退すれば減ってしまいます。ですから需給の見通しというのは、あの事実上あの立てることができません。で、我々は工業用水についても、あのうシミュレーションをしておりますけれども、 それは基本的には今の水量がそのまま継続するという前提のもとで推計をしています。

あの後ほどですね、えーとー足りない資料の精査が必要だという意見についてはですね、後ほどですね、えーとーあの事務局のほうとちょっとあのう擦り合わせをさせてください。

Cさん

いや県民にきちんと、おんなじ資料じゃなきゃきちんとやれてるかという

田代さん(水道経営課長

(Cさんを遮って)現行体制のですね20年間のシミュレーションにつきましては、昨年の12月ですかね、試算したものを公表してございます。いま現在も我々のホームページで公表してございますので、ご覧いただいて、もし不明な点があればですね、またこういったところ詳細にもっと知りたいっていうんであれば、さらにですね、あのなんていうんでしょう、よりわかりやすい資料にしたいと思いますので、問うていただければと思います(とCさんが話すのを拒むように言い切る)。

Cさん

(語気を強めて)いやそれはみやぎ型管理運営方式ありきで作った資料だと思いますよ。それは何回も申し上げてるじゃないですか。改善改良してきちんとやって、比較できるようにしてほしいって言ってるんですよ。

佐藤さん(企業局次長)

わかりました。後ほど事務局にですね、どういう資料が欲しいか、作って欲しいかっていうのは、擦り合わせさせてください。

 

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

ご意見のほうは承りましたので、次の方に移らせていただこうと思います。 じゃ、奥の方にマイク送ってよろしいですか。

Dさん

手短にあの意見言います。えーとあの、冒頭のあいさつの中で県の方が、「この間の一部の誤った報道により、宮城県が言うところのみやぎ型管理運営方式というのは民営化ではないと、ということで話があったと思いますが、 昨年来のこの水道事業の説明会を聞いててもですね、必ずしも丁寧とは言えない県の説明がある中で、私たち一般の人間が知る機会というのは、テレビや新聞の報道なんですよ。それに対して、県として誤った報道というふうに規定した以上、これマスコミ各社に対して抗議なり訂正の申し入れとかってしてるんですか? それだけお聞きします。

岩崎さん(企業局技官)

あハイそれはしております。ただですね、あのう、えー運営化というところに対してですね、あのうそういう抗議をさせていただいております。

佐藤さん(企業局次長)

実際にはですね、記者さんたちを集めまして、詳細に説明会を開いたりとかですね、 そういうようなこともしておりまして、その際にちょっとニュアンスが違いますよとかご説明もさせていただいているというのが実態です。

(会場から「報道の自由」「民営化じゃないか」「そうだ」「そういうこと言うべきじゃない」「威圧するだけじゃない」「安倍政治と同じじゃないの」「自由な報道に対する威圧だよ」といった声が上がる。)

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

ハイ、不規則な発言のほうは。申し訳ありません、次のご質問に移らせていただきます。あ、では、中央の方にご発言いただきます。

 

Eさん

まずあの冒頭でですね、佐藤次長が、「県民の不安の声という言葉を使われました。私たちは科学的に反論している。不安と、それから不完全と、非科学と、全然違う言葉ですね。不安というのは雰囲気だけの議論です。それを不安という活字に置き換えようとする意図はいったい何なのか。それをまずお答えください。

そしてもう一つ、管路は、冒頭におっしゃいましたね、「管路は大変その出費がかさむ、これから。だから、業者に移すときには、管路を外させていただきました。業者のほうからの要望です」。つまり、儲かる部分は業者に出す、そうじゃない部分は県に残しておくというストーリーです。それはあなたが自分の口でおっしゃいました。これについての説明をしてください。

それから3つ目、いま業者はですね、この敷地内にえー太陽光の発電所をいっぱい作ろうとしています。そこで得られた収益は、全部会社が丸取りできるという契約になっています。もしこのままで、発電所設備を置きっぱなしにして、これ高々17年しか使えません。20年後にどうするのか。今まで設備したものは、どのようにして処理して返すのか、原状に復するのか、この点についてもはっきりとした回答をいただきたい。以上です。

佐藤さん(企業局次長)

まず、最初の不安という言葉についてですが、これはあの私のほうに実際にお手紙であったり、我々のホームページにですね、投書であったりというものが来ますけれども、そこで一番多いのは、「私たちは不安を持っています。たとえばこうです、こうです」というような声が沢山寄せられ、まあ沢山と言いますか相当な数、寄せられています。で、ほとんどの方々が「不安を持っています」「不安を抱いています」というようなあのう言い方をされるので、まあ我々もそれを受けて不安というような、あの不安にお答えしてというふうに使いましたけれども、まそれほどその、おっしゃられたような様々な他意はございません。

Eさん

他意がないなら、ここで修正してください。不安という活字にしてあるでしょ。変えてください。

佐藤さん(企業局次長)

実際に県に寄せられているお手紙やご意見で「私は不安を持っています」「私たちは不安を持っています」というので

Eさん

私は不安じゃなくて反論をしています。

佐藤さん(企業局次長)

お客様が不安ではないというのはわかりました。

Eさん

だから不安という活字は間違いです。

佐藤さん(企業局次長)

あのお客様のご意見はわかりました。えーとそれから管路

Eさん

訂正してください。

佐藤さん(企業局次長)

申し訳ありませんが、お客様のご意見はわかりましたが、この場で訂正する気はございません。

それから管路についてですが、わたし今日、管路は儲かるからなどというようなことは申し上げたことは一度も

Eさん

一番出費がかかるのだと、明快に答えました。

佐藤さん(企業局次長)

私が申し上げたのは、管路の更新時期がえーこれからやってくると、それには非常に多額の経費がかかるというふうに申し上げました。 それは間違いございません。で、えーなぜ管路を外したかというのは、去年、一昨年からずうっと話題になってますけれども、まず一つはですね、管路というのは、あの地中にあるもので見えません。で、えーたとえば災害の時とかにですね、えーそのこれまでのそのそういう土木工事とかですね、そういうものの経験がないと。民間事業者とそれから県がやるのがどちらが早いかというとような、そういうような比較もありました。

で、実際にですね、東日本大震災の時に、えー上水道で、えーあの南部山の浄水場、先ほど一番大きいとやりましたが、あれは丸一日で復旧しました。けれども、管路が復旧できませんでした。管路というのは地中ですので、えまあ外、出てるところもありますけれども、そういう意味で、ここは県が担ったほうが安全安心ではないかというような判断で管路は外されたというような経緯があります。

Eさん

業者のほうから言われたので外したと、さっきおっしゃいました。

佐藤さん(企業局次長)

今日はそういうこと申し上げておりません。もしよろしければ後ほどですね、録音なり議事録なりですね、えー確認していただければわかりますが

Eさん

(畳みかけるように)業者に要請されたのでそれは外しましたとおっしゃいました。

佐藤さん(企業局次長)

すいませんが今日は私はそういうことは一言も申しておりません。それからですね、 最後に太陽光発電のパネルの話ですけれども、仮に場内にそういうものが設置されたとしてもですね、基本的に、20年後には原状回復義務がありますので、元の状態に戻して返してもらうっていうのが基本です。

Eさん

その撤去費用は誰が出すことになりますか?

佐藤さん(企業局次長)

当然彼ら、当然民間側が出します。

Eさん

その費用は最終的には、えーとー水道料金で払う形になるんじゃないですか?

佐藤さん(企業局次長)

何度も申し上げましてるとおり、一番最初に20年間で彼らが収受できる額というのは、え一1,650億ですか、というふうに決められていると申し上げました。後からそういうものを、そういう撤去費用などというものを追加するということはできません。

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

では回答よろしいでしょうか。まだご質問あるようですので、次に回らせていただきます。お待たせいたしました。 

 

Fさん

ふるさと黒川の生命と水を守る会のFと言います。全体像についてまずお伺いします。

あのう今回の水道の民営化、宮城県方式、これはですね、公共財としての命の水を守るという観点が全くありません。私たちの水は、ホントに、毎日毎日蛇口をひねって安心して水が飲める、そういった水の管理でなければなりません。それを公共財から民間に責任を委託してしまう。先ほどの説明では、県の責任もご説明ありましたけれども、 それでは、地方自治法に反するのではないでしょうか。

公共財としての水の管理は、全体を一貫して、接ぎ木ではなく、トータルとして水を管理する、つまりですね、水源から、水の涵養も含めて、田畑、里山、そして川から海へ、仙台湾三陸の海を守るという県の姿勢が一貫してなければ、水の管理はできないんではないでしょうか。私たちはそのことを非常に不安に思って、今日出席をしているわけです。

50ページの質問の中に、5点説明がありましたけれども、

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      「みやぎ型管理運営方式」に関する事業説明会資料より

企業の情報公開の問題とか、それから職員の技術の伝承の問題、さらには災害時の対応についてどうするのか、こういった不安にも、数々答えていただいておりません。

もっと時間を取って、回数も頻繁に、こうした説明会を重ねながら事業するのが、本来の公共の事業ではないでしょうか。こうした全体の姿勢が欠如している限り、私たちは何度でも住民の説明会を要求してまいりたいと思います。ぜひ答えてください(拍手が起こる)。

佐藤さん(企業局次長)

まずあの、地方自治法違反ではないのかというお尋ねありましたけれども、ま違反ではございません。

それからえーとー2つ目にあったそのうたとえば水源林の涵養ですとかね、そういう 水循環の問題というのは私もそれはお客様のご指摘のとおりとても重要な視点だと思います。あのえー水循環の全体の中で、その在り方を考えていくというのは、まさしくお客様ご指摘のとおりなんじゃないかなというふうに思ってます。

ただ、それが、えーそのたとえば水道であれば水道の浄水場の部門のそこを民間が担うから水循環ができなくなるとかですね、今の水循環よりも劣るとか、そういうことではないんじゃないかなというふうに思います。ただ、お客様がおっしゃられている視点というのは、私もとても共感をいたします。

それから、えーとー民間に委ねると、先ほど来、私申し上げてるのは、 宮城県浄水場下水処理場も既に30年来ですね、実際に運転管理をして水処理をしているのは、

Fさん

トータルを20年間というんですよ。20年間管理できますか?

佐藤さん(企業局次長)

もう一度言います。既に30年間、水処理をしているのは、あの現実に現場で、水処理をしているのは民間会社のみなさんです。仙南仙塩広域水道は、オープン以来一度も、 その浄水場の水処理について県職員が従事しているということはありません。最初から民間事業者が、そこは水処理を行ってきています。で、そういう中において、民間に委ねると何か問題が起こるというようなことは必ずしも当たらないんじゃないかなというふうに思っています。

Fさん

それからですね、情報の問題、職員の技術の伝承の問題、それから災害時の問題について、あのここでは、語れなかったでしょって言ってるんです。

佐藤さん(企業局次長)

あ、そうですね、はい。あのえーと今日はあのうどっちかっていうと、いつもよりも違うようなあの話もあったので、えーと―昨年度までしていたその災害時の対応とかですね、そういうところはまあ時間の関係もあって抜いてきましたけれども、たぶんお客様ご存知だと思うんですけれども、災害時の対応についても、えーと従来と基本的には変わらないということは申し上げて、これまでは申し上げてきました。今日は私はそこは申し上げてませんでしたけど。

Fさん

そこが大事なんですよ。自治の問題じゃないですか。

佐藤さん(企業局次長)

ま、すいません、なかなか聞き取りにくいところもあって申し訳ないんですけれども、いずれにしてもですね、えーと災害時の在り方をどうするかとかですね、そういう危機管理体制なども含めて、詳細に検討して現状よりも劣ることのないような体制を組んでいます。で、先ほども申し上げましたが、東日本大震災の時もですね、えー宮城県は、実際の水処理工程には従事していない、宮城県の職員は従事してないと申し上げましたが、そこの復旧、それから管路の復旧などについても、浄水場施設設備の復旧についても、県と民間が協力してですね、実際にちゃんと復旧をしています。で、そこについては今後みやぎ型が導入されようが、今のままだろうからそこは変わらないということで考えています。

 

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

みなさま、すいません。あのご質問ご意見尽きることはないようなのですが、あの会場のですね、使用できる制限がございまして、次のですね一問で最後のご質問とさせて、(会場から「はい、あっち上がってる、あっち先」の声)

むこうからですね(「時間延長してやったらいい二人」の声が会場から上がる)、ちょっとよろしいですか(と壇上の方々に許可を求めて)、じゃお二人いきます。まずは奥の方。

(再び会場から「時間延長してやって。まだ質問あるんだから」の声)申し訳ありません、会場の(「駄目だよそんなの、人が集まってるんだから」の声)時間が、片付けなければいけないので。

(「もっと聞いたら」「長い説明よりも、ちゃんとした質問ができる会場にしなさい!」「いつも決まった説明繰り返すんじゃなくて、もっと質問の時間取って」「何なんだよいったい、おかしいだろ。ケチケチすんなよ、最初からそういう設定したらいいだろ」など不満の声が次々と上がる)会場のいろいろな都合がございまして、申し訳ございません。

Gさん

ハイ長山さん、ご苦労さんです。えーと伊達・水の会のGと言います。今日の説明会を伺ってて非常に残念だったのは、県庁職員に対する説明会なら、まこの内容で良かったかもしれませんが、県民に対する説明会としては、非常に物足りなさを感じました。

なぜかと言うと、内容の奥に隠れてる部分が、すべてブラックボックスなんです。で、非常にうがった見方をしますと、今回の看板に書いていますけど、みやぎ型管理運営方式は、企業局の何かをネグレクトするためにこの事業を拙速に進めているのではないかという危惧を持ちました。これ私の意見です。

で、質問を一点させていただきます。このみやぎ型管理運営方式を、インターネットなり資料によってずっと見てまいりましたが、どうも理解できないのが、ぜひ今日の私の質問に対するお答えをホームページに公開してほしいと思いますが、みやぎ型という 言葉の定義を明確に教えてほしいんです。みやぎ型ってのは何なのか。

で、もう一つ、その前提にあるのはPFI法、平成23年6月国会で通過したPFI法改正案で、コンセッション方式が、公共施設等の運営権が設定されましたけれども、宮城県で今 進めていることは、資料を見ますと、コンセッション方式というふうに言ってますが、私の知る知識ではコンセッション方式ではない。あくまでも、宮城県独自の契約方式を導入しようとしているというふうに理解を私自身はしています。

それで、えー再公営化の資料が、海外の資料がいろいろ列挙されていますけれども、Aの4の資料の内閣府の資料間違っておりますけれども、

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      「みやぎ型管理運営方式」に関する事業説明会資料より

えー先進国ではフランスのコンセッションを前提にしているように思いますが、フランスのコンセッションの何を前提にしているのか、またはコンセッションの、ま今回サービスコンセッションだと思いますけども、どういう意味でコンセッションという言葉を使っているのかをお答えいただきたい。以上です。

岩崎さん(企業局技官)

みやぎ型の定義ということでございますけれども、定義というのを特にまあ定めているわけではありませんけれども、この事業、あの先ほど来、申しておりますけれども、上水、工水、下水、3水道事業を一体化して、えー民間にえー委ねるというものでございまして、えーそのまあ、あのう上工下水というのをあのう一体化して、えーやるというのはこの宮城県が初めての試みで

Gさん

退屈ですから、もう終わりますが、3事業を一体化イコールみやぎ型というふうに理解していいんですか?

岩崎さん(企業局技官)

は? いや、まあそれでも、ちょっと足りないところありますけれども、

Gさん

いやいやちゃんと説明してください。みやぎ型って何ですか?

岩崎さん(企業局技官)

えーまさにこの先ほどご説明したあの事業内容が、そのみやぎ型と(会場から失笑が起こる)

Gさん

それじゃあ全然わかんない。箇条書きにホームページに載せて。

佐藤さん(企業局次長)

あのうですね、よそにないので、みやぎ型と我々呼んでますが、あのじゃあちょっと歴史的に説明しますと

Gさん

いや歴史はいいんです。結論だけ言って。

佐藤さん(企業局次長)

(Gさんの言葉を無視して)コンセッションというのは、そもそもコンセッションの運営権の設定ですね、コンセッション事業というのは、水道法の改正以前から、日本では別に認められていました。で、それは飛行場であったりとかですね、あのう道路であったりとか、

Gさん

いや、そういうことを聞いてるんじゃない。コンセッションを

佐藤さん(企業局次長)

(Gさんの声を押し止めるように)それに運営権を設定するとか認められていました。ただ、ただですね、我々が今やろうとしているように、水道事業のその最終的な責任者は、水道事業者である宮城県だと言いましたよね。で、そういう宮城県が水道事業者として残りながら、その一部分について運営権を設定するということは、PFI法の改正前は認められておりせんでした。で、それが、私は、みやぎ型のその一番の本質、他と違うところというのはそこだと思っています。宮城県が水道の最終責任を負いながら、その水道事業の一部分を切り出して、運営権を設定するというようなやり方です。

Gさん

ちょっと質問をします。えー昨年3月22日に佐藤謙一次長が、第3回厚生労働省の水道課の検討会に出た時に、石井先生からみやぎ型というのは世界のモデルになるという最後の発言がありましたね。それとの関係ってどういうの? どういう意味で言ったと思いますか、石井さん。

佐藤さん(企業局次長)

あのう私の理解は、まずこの水道を民間に丸投げするのではなく、県が水道事業者として責任を持ちながら、より効率的な運営をするための

Gさん

手上げて世界で丸投げしてるとこはないですよ。

佐藤さん(企業局次長)

や、もちろん様々なやり方があるってのは承知しております

Gさん

世界で初めてのみやぎ型っていうのは

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

お客様、マスクのほうを着用してください。

Gさん

ああ、すいません。

佐藤さん(企業局次長)

ま、石井先生がどういう意味でおっしゃったかというのは、私がここで解説するのも おかしいんであれですけれども、我々が考えてるのは特に、PFI法の改正までしていただいて、その我々が水道には最終責任を負いながら、その一部について運営権を設定して効率的にすることによって、えー水道事業の持続化を図っていこうというようなことです。で、それをさらに3事業一体にして、スケールメリットを生かすというようなところも特徴と言えば特徴だと思います。

で、一番最初にお客様申し上げられたその企業局の問題点をね、ネグレクトするためなどということは全くありません。それははっきり反論させていただきます。そのような事実は一切ございません。

それから、これはコンセッションと呼べないのではないかという話ありましたけども、そのさっき申し上げましたとおり、コンセッションというのはその施設、ある事業の施設全体に運営権を設定するというのがもともとのコンセッションですが、えー水道法を改正していただいて、水道事業の場合は一部分を切り出して、そこに運営権を設定するということができるように改正をしていただきましたので、当然これはあのう国も認めていただいてるコンセッション事業でございます。

Gさん

じゃあちょっと大事な論点だけ。えー厚生労働省から意見があったかどうかは3月22日の委員会の質問の中で、ダウンサイジングした時には運営権が一度切れる、新しい施設には、改築の工事については、運営権を設定し直さなきゃいけない。そのことについて佐藤次長は質問されてましたけど、厚生労働省はどういう見解だったんですか?

佐藤さん(企業局次長)

えーとですね、改築工事については、コンセッションは当然継続されます。あの私が 厚生労働省に伺いたかったのは、たぶん私の質問を聞いてるんだと思いますが、伺いたかったのは、えーいま様々なその浄水施設とかポンプ場とかいろいろありますが、それらに運営権が設定されることになるけれども、それらがいらなくなって一部を廃止をした時にですね、実はその運営権がどの施設に付いてるかっていうのは、内閣府のほうに登記簿みたいなものがあるんですよ。それに全部載ってるんですね。

だけど、それは基本的には修正はできないということになっているですよ。ですから、もしその何々広域水道事業のその施設設備一式ではなくて、細かいポンプ場とかそういうものまで登記簿に載せられると、ダウンサイジングしてそれがなくなった時に、修正ができないっていうようなそういう矛盾が生じますが、それについてはいかがでしょうかというふうなご質問をしました。

Gさん

それで回答はどうだった?

佐藤さん(企業局次長)

「それについては、そうならないような登記簿への掲載方法を検討します」という話でした。

Gさん

検討するっていうのは議事録でわかってますが、答えは? その答えは出したの?

佐藤さん(企業局次長)

答えは「そこは支障にならないようにする」という回答でした。

Gさん

ガイドラインにはまだオープンにされてませんよ。

田代さん(水道経営課長)

そこにつきましては、いま水道事業の施設の総体というような形でですね、あのう登記簿のほうに記載しようということで、あの内閣府さんと厚生労働省さんのほうで調整しているところでございます。

Gさん

調整しているってことは結論出てないのに、いま結論の説明会やってるわけですか?

佐藤さん(企業局次長)

あのすごい私の質問っていうのは、そのテクニカルな話でして、えーとーコンセッション事業やる際は、内閣府の登記簿にその施設名を入れることになっているけども、そこの入れ方というのはどういう入れ方になるんですかというような。で、もしも細かい名称まで入れてしまうと、いろいろその差し障りが出るので、そうならないようにお願いしたいということを申し上げたので

Gさん

専門的な質問をして申し訳ないですが、運営権が新たに設定されてないものに改築工事として260億の予算を計上してるわけでしょ。流域下水道の265億。あの事業のほとんどは、運営権が今日現在設定されてないものでしょ。

佐藤さん(企業局次長)

や、最初に申し上げましたとおり、いま現在あるものを改築する場合には、そこには運営権は当然

Gさん

だったら改築だったら、コンセッションの中に、事業費の中に1,600億の中に内包するのが常識でしょ。なぜ別枠で260億も出すんですか?

岩崎さん(企業局技官)

あのですね、下水道の改築が外数になっているのは、国庫補助が入るからでありまして

Gさん

それは関係ないでしょ。

岩崎さん(企業局技官)

それは別途清算にするという趣旨でございます。

Gさん

別途清算なら契約も別途でしょ。

佐藤さん(企業局次長)

や、あのうですね、えー下水道事業の場合は、財源として国の補助金がもらえるんですね。で、コンセッションにするからと言って、国の補助金を断って、えー全部民間の方々にそれをやらせるということになったらそれは料金に跳ね返るということになりかねないので、国の補助金がもらえるものは、当然今までどおりもらうってというようなことで、あのう組み立ているだけでして、決して何もそこが、そこを外してですね、何か隠そうとか何とかそういう意図は何もありません。

Gさん

すいません、うがった見方をするわけじゃありませんが、総額の1,600億円以外に260億設定するということは、民間にとってうまい話だっていうことを言いたかっただけです。

佐藤さん(企業局次長)

あの民間にとっても何もうまいところありません。あの国庫補助でもうもらってきて、それでもって作ってもらって、それはその仕上がりで清算をします。ですからそこに、民間の方々が儲かる要素というのはないです。

Gさん

私はゼネコンのOBですけど、260億は県庁1棟、3棟、建てるぐらいの金額ですよ。

岩崎さん(企業局技官)

えーと、あとですね、この1,653億円の運営権者分の中には、その下水道の改築分も含まれております。

Gさん

あ260億も入ってるの?

岩崎さん(企業局技官)

この中に下水道のぶんも含まれております。それでその今の競争条件の中で切り出しているというそれだけです。

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

大変申し訳ございません。あの結構細かいご質問になっていましたので、もしご質問ありましたらまた、お問い合わせ、個別にいただきまして回答させていただきますので。時間もありますので、ちょっと最後の方のほうにですね回させていただきます。申し訳ございません。

 

Hさん

あの、えーとー、今の質問者の方もこだわっておられましたけど、なぜこのみやぎ型に対して、こんだけ県民から、繰り返し執拗に、疑問の声、批判の声が出るのかという ことを、もう1回ちゃんと考えたほうがいいと思います。それはね、そもそも、なんでこんなみやぎ型を導入しようとしているのかという動機の部分、目的、必要性、これに納得がいかないからなんですよ、さっき申し上げましたけど。

そのまあ、つまるところ、えー事業経費の削減、コスト削減ですね。ところがこの説明が、後付けこじつけにしか聞こえないんですよ。ここのところあなた方自覚して、説明の仕方、もうちょっと考えたほうがいいと思います。県民はそう思ってるんだよっていうことを自覚してください。

それとね、もう一つ、なぜ県民からこれだけ批判の声が止まないのかという大きな理由は、情報公開が県民に対してしっかりなされていないからです。これ、我々そもそも、このみやぎ型導入ってこと聞いたときに、その運営権者が、えー水道事業を買い取ったね民間企業が、本当に私たちの命の水、水道に関する水質や経営やその他、重要な必要な情報を、私たち県民にしっかり公開するのかどうか非常に不安に思いました。その不安は全く解消していません。その疑問は解消していません。

それどころか、その運営権者が決まる前のその選定プロセス、募集から競争的対話ですか? このプロセスにおいても、きわめて情報が秘匿されている。これ本当に、県民にとっては疑問です。そもそも、3つの企業グループが応募したということですけど、この名前が我々にはわからないんですね。決まるまでわからないんでしょ? 公表されるまで。来年の議会までわからないんですか? いつまでわからないんですか? これすっごく県民にとっては気持ち悪いですよ。私たちの命の水を買い取ろうとしてる企業がわからないんですよ。なんでこんなことが起こっているのか非常に疑問です。

えーしっかり県民に対する情報公開を、引き続き、プロセスにおいても進めてほしいと思います。なので、今日、まちょっと唐突な感じがして何で今って思ったんですけど、このような説明会が開かれたこと自体は、良かったと思います。評価したいと思います。

えーまあさっき岩崎さん冒頭の説明、あの挨拶だと、ずっと県としては説明会の開催を切望していたんだと。だけど、コロナの感染拡大で開けなかった、やっと開けましたっていう説明ですね。ということは、まあ今後の感染拡大の状況にもよるけども、今後は頻繁に開いていくと、積極的にどんどん説明会を開いていくということで当然よろしいんですね?(「そうだ!」と拍手が起こる)そのことを確認しておきたいです。

えーできれば月1回ぐらいは(壇上の企業局の方々は笑い出す)開いて、今後のプロセスの節目節目で開いて、ここまで進捗きました、ここまで進捗きましたってことを、報告説明してください。

もう今日の前段の「宮城の水道事業はこうなって、3事業はこうなっております」というあの説明は、何度も聞いたからいいです。あの時間省いてもらって、このまさに県民との対話の時間、質疑応答の時間をたっぷり取る説明会を、毎月開いてください。

えーとーそれから、県民から呼ばれたら、当然積極的に説明に出向くということでいいわけですね? これも岩崎さんの冒頭のご挨拶から当然のことだと思いますけれども、えー、「出前講座、その他県民から説明に来てくださいと呼ばれたら、積極的に出向きますよ」ということを約束してください。(会場から「そうだ!」の声)

それから、えーとー情報公開に関わることですけど、この間、あの県のホームページに、あの我々命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが提出した公開質問状を掲載してくださいました。県からの回答と一緒に。で、これは、あのう、まあホームページ上でね、県民とのそういう対話を積極的にやっていこうというふうに素直に受け止めたいと思いますから、ホントに評価したいと思います。えー、「載せてくださってありがとうございます」と言いたいと思います。

ですから今後も、県民からいろんな質問状が出たらね、どんどん積極的に公開していく、当然県の回答も公開していくということで、なかなかコロナの状況でしょっちゅうそんな頻繁に説明会を今まで開けなかったわけですから、それを補う意味でも、今まで出てきた県民からの疑問の声、批判の声、不安の声をどんどんホームページに掲載していただいて、それに答えるということをやってください。

あのこの説明会を開いた理由の一つを、さっき佐藤さんおっしゃいましたけど、相当の数の県民からの投書や意見やメールが来てるんでしょ? これも教えてください、どれぐらい来てるんですか? どれぐらい県民からそういう批判の声、疑問の声が来てるのか。で、その中身は、ほとんどたぶん反対意見だと思うけど、どれぐらいその批判、疑問、不安が来てるのか、あのう教えてほしいと思います。

あのよっぽどそういう県民の世論の圧がないと、こんな説明会開こうと思わないと思うから、よっぽど来てるんだと思うんですね。ですからそれも積極的に公開して、「県民からこういう声が来てます」と、それに対して、あのう県政だよりに載せたような通り一遍なやつじゃなくて、もうちょっとちゃんと突っ込んだ中身のやつを出してほしいというふうに思います。

もう一回繰り返しますけど、えー今後説明会、こういう質疑応答、対話の時間をたっぷり取った説明会を、頻繁に開く、数多く開く、そのことによってしか、あなた方が言っている県民の理解ってのは絶対ありえません。それと、えー県民が呼んだら積極的に出向いて、えー積極的に説明すると、ね、それ断ることはない、と。そして質問状が提出されたら、今後は積極的にホームページに公開して、ホームページ上でも対話を深めていくということを約束してほしいと思います。

佐藤さん(企業局次長)

はい、えーとですね、まずみやぎ型導入後の情報公開の話ありましたけれども、えーとー今すでに公表している実施契約書(案)にも載っておりますけれども、えーと宮城県の情報公開条例に沿って、えー自分たちも同趣旨の制度を作って公開するということになっております。えーですから少なくとも宮城県の情報公開条例の運用と同じレベルでの公開がなされるというふうに解しています。

それから、いま現在その情報を秘匿しているのではないか、なぜ応募企業名を出さないのかというお話ですが、基本的にPFIのコンセッションの場合、やはり競争の公平性を保つために、えーどこでも公表しないというのが標準です。

で、それはあのう、えーもちろん企業グループ同士のその接触を避けて、内通って言いますか接触を避けるって意味もありますし、あるいは、えーとーその企業名に引きずられるという意味もありますし、あるいは、えーそのう、そのグループの社員の方々同士がなんか接触して情報交換するっていうのを防ぐっていう意味も、いろんな意味があるんですが、基本的にPFI事業の、えーまあ特にコンセッションの場合に、そのうえーと決定される段階まで、えー企業名を公表しないというのが普通の扱いです。

Hさん

だとしたら水道事業をPFIコンセッションでやることがおかしいじゃないですか?(会場から「そういうことだ!」の声)

佐藤さん(企業局次長)

(苦笑してスルー)それからですね、えーとー出前講座みたいなものですね、えー行くのかという話ですが、これはもう昨年から基本的には呼ばれれば、まあもちろんいろんな日程との擦り合わせとかそういうものありますけれども、えーとー20人以上のグループであれば、基本的には出向いてご説明させていただいております。あの現に結構行ってます。

それからですね、えーとー県民から寄せられた意見を公表したらどうだという話ですが、えーと実はパブリックコメントを昨年やりましたけども、その時にえーと600件ぐらいの意見が寄せられました。

Hさん

ですね。異例の数ですね。

佐藤さん(企業局次長)

その意見の回答については、えーすでにホームページ上で公表しております。

Hさん

その後は? その後の意見は公表しないんですか?

佐藤さん(企業局次長)

えーとその後の意見っていいますか、えーとたとえば知事にこう意見を出すような制度がホームページにありますが、そこでは、公開していいですか? 公開してダメですか? というようなものも載ってます。で、そこで公開してもいいというようなものについては、えーとーま、あの公開をさせていただいています。

Hさん

水道経営課のホームページでも、県民からの疑問寄せてくださいっていうのあったんですよね。あれにすぐすればいいじゃない公開可かどうか。公開可だったら出せばいい。

佐藤さん(企業局次長)

わかりました。あのまあ知事へのものにはそういう制度があるので、既に公開していますが、水道経営課ほうの疑問を寄せられたものはそのままお返ししてますけども、あのご指摘承りまして、あの公開してもいいですかということは、別に検討することはやぶさかではありません。それから説明会の頻度は

田代さん(水道経営課長)

まあ今ご要望で毎月という話のご要望ございましたけれども、なかなか月1回という形ができるかどうかはわかりませんけれども、我々としてですはね、こういった事業説明会を継続していこうというふうに考えてございますので。あのうさらにですね、時間につきましても検討させていただければと思います。

Hさん

次回はいつの予定ですか? 次の節目はいつですか? ま、少なくとも、二次審査の前ですね。

佐藤さん(企業局次長)

あのう1月の前にですね、説明会、できるだけご要望に沿えるように検討させていただきます。

Hさん

それは必須です。

佐藤さん(企業局次長)

それから、あのうもう最初の宮城県の水道3事業はいらないとおっしゃいましたけれども、我々、あのう何回もいらっしゃってる方は当然もうご存知だとは思うんですが、初めてきた方のためにもそこは、あのやりたいなと思ってまして、もしその水道3事業はいらないから後ろだけっていうんであれば、その先ほど申し上げましたとおり、20人の方がいらっしゃれば我々出向いて説明するっていうのはそれはもう、我々やぶさかではございませんので、ぜひ呼んでいただければと思います。

Hさん

あと公開質問状出したら、ホームページにまた掲載してくださいね(壇上の方々、会場の双方から笑声が起こる)。それ当然ですよね。

佐藤さん(企業局次長)

公開してよいかどうかを聞いたうえで。

Hさん

だから公開質問状なんだから公開してください。

 

Bさん

資料の関係で言いたいことあるんだけど。

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

お時間がもう、ホントに片づけを含めて(佐藤次長がBさんに手を差し伸べながら、「いい、いい」と、長山さんにBさんの発言許可を促す)、ああそうですか、はい (とBさんの発言を認める)。

Bさん

資料に齟齬がある。

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

マイク、いま回しますのでちょっとお待ちくださいね。

Bさん

あの先ほど私言ったのはね、性能発注だから性能検査必要じゃないかという単純な質問ですのでね、そこは県の方、受け止めていただきたいと思います。

それからあの資料のですね、えーと要求水準の資料で、あのう業者さんのあの水質検査のところですが、3の3で県が行うえーとー水質項目の欄が、表の3の3である、今日の資料に載ってないんですけど、あのう別紙3の3現在実施してる水道施設検査項目の欄あるんですが、要求水準の中にね、

f:id:MRP01:20200912161450j:plain

宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)要求水準書(案)
令和 2 年 3 月 13 日版 宮城県 https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/780558.pdf

えーとここに載ってるのではですね、県が行うのが受水点だけとなってるんです。168項目と51項目が載ってないんです。要するに浄水場の検査のね、業者に示した要求水準書ですけど、あの県が実施するのはね、受水点だけになってるんです。浄水場の中はやるってふうになってないんです。私これ見たとき、浄水場の中は業者に任せちゃうのかなと思ったんです。要求水準書のこの3の3は間違いでよろしんですか?

大沼さん(水道経営課技術副参事)

えーと検査につきましては、現行体制と同じでございます。で、資料どうなってるのか、ちょっといま見てないんであれなんですが、(岩崎さんに資料を示されて)あのう受水点はもちろんやりますし、あと浄水場出口でもやります。それはやらせていただきます。

Bさん

それは168項目で?

大沼さん(水道経営課技術副参事)

(頷いて)やります。それは変わりませんので。

Bさん

いま言ったけど、そうすると業者にはこっちまで言ってないの? これで要求水準指示するんでしょ。

大沼さん(水道経営課技術副参事)

あの業者にもその旨は伝えてありますし、要求水準書のほうに載っておりますので、それはご心配されなくてよろしいかと思います。

Bさん

きちんとしたのは載ってない。だからこれ間違えてる。

大沼さん(水道経営課技術副参事)

ちょっとあのうわかりにく部分もあるかもしれませんが、少々確認させてください。

Bさん

間違ってるって。

長山さん(水道経営課・質疑応答進行)

わかりました。今のご意見ご質問加えて確認のうえ、しっかりと回答します。よろしいでしょうか。

ではすいませんが、えーあのうお時間のほうもちょっと超過しておりまして、片付けも含めて会場のほうからホントに怒られてしまいますので、以上を持ちまして、えー質疑応答を終了させていただきます。たくさんのご質問ご意見いただきまして、誠にありがとうございました。

宮城県の水道民営化問題を考える市民連続講座 ここがヘンだよ! 「みやぎ型」        後編 公開質問状への県の回答から見えてくる 「みやぎ型」の問題点

公開質問状への県の回答から見えてくる「みやぎ型」の問題点       東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター 事務局長 小川静治さん

 

小川静治

今日、資料ということで入り口の所でお配りした公開質問状と(それに対する県の)回答は、宮城県のHPに掲載されたんですね。私はそれを聞いたときにのけぞりました。しがない一市民団体の公開質問状に答えたことに対して、HPに載せるっていうのは私は初めて聞きました。で、載せるときには、県の担当者の人とは、佐久間先生と打ち合わせをして内容確認に行ったんですね、県庁のほうに。「これでいいんですけども、こういうことやっていいんですか?」と私のほうから聞いたんですけどね。(笑)

今日ここにいろな方々がいらっしゃいますけども、ある特定の団体が公開質問状出した時にね、これホントに、「載せろ」と後から言われたら、これから言われたら、県どうするんでしょうね? それやっちゃったんでね。前例になるわけですよ。

ある人に言わせると、「真面目なところは真面目なんだ」と言うんですけど (笑) 。ちょっと私はびっくりしました。まあ悪いことではないわけです。ある意味では当然のことなんですね。県民が質問したことに対して、「こういう ふうに答えたよ」ということをちゃんと広く知らせて議論するということは、当然なことだなと思います。宮城県のHPにアクセスしていただいて、水道経営課のホームページの中に掲載されていますので、後ほどご覧いただければと思います。

 

質問状に対する県回答

www.pref.miyagi.jp

 

今日お越しになっている皆さんがたで、初めてという方もいらっしゃるかもしれません。現在、水道の民営化問題というのはどういうところにいるのかというのを、お手元の資料でご確認いただけますけども、ちょうど黄色い線があります。

条例制定後の流れ

              小川静治氏報告資料より

いわゆる水道民営化の取り組みについて、「やりたい人、手あげて」ということで、手を挙げさせて、それを第一次審査ということで3グループに絞り込んで、現在、競争的対話ということで、県のほうと3社それぞれがいろんなやりとりをして、「この点どうなんですか? どういう条件で出来ますか?」とか、「どういう金額になるんですか?」とかというやり取りを、今始めている最中です。それを ”競争的対話” と言うんだそうです。

この競争的対話が終わって、第二次審査が終わった段階で、優先交渉権者の選定というのを、年内か年明けぐらいなんでしょうかね、やるということです。その後、来年の6月または9月県議会で、運営権設定の議会の議決、「(みやぎ型の運営を)ここに頼みます」ということを議会でやるというのが、現在の進行状況です。で、2022年の4月に、いわゆる我々が言う民営化をやろうというのが県の算段です。

 

みやぎ型の目的と手段

中嶋先生のほうから先ほど水道法の説明がありました。法律は一番最初に目的があるんです。この法律はどういう目的でやるのかということですね。水道の民営化の問題についても、目的があるわけですよ。県からすれば、何らかの目的がある。目的があって、手段があるわけですね。

たとえば、札幌で北海道の観光をする。これ目的ですね。手段は飛行機で行くあるいは電車で行く。いろんな選択肢があるんです。逆ではないわけです。北海道を観光するというのが目的で、たとえば新幹線に乗るというのは、あくまで手段であるわけですね。ということは、新幹線の乗ることを目的にすると、北海道へ行くという目的はどうなっちゃったのか、わけがわからなくなっちゃうんですね。

そういう意味で、目的をはっきりさせるということが極めて重要なわけです。いろんな事業をやる時も。あるいは法律なんか一番典型ですけど、「この法律はなぜ作ったんですか? 目的はどういうことなんですか? 」を必ず入れるわけなんです。

で、県の説明している目的というのは、「持続可能な水道事業経営を確立する」というのが目的なんです。わかりますか? 「持続可能な」っていうのは、なんとなくふわんとはわかる。「水道事業経営を確立する」。なんかわかったようなわからないような。で、そのための手段として、「経費の削減、更新費用の抑制、技術継承、技術革新」というものをやるんだということですね。だから、最終的な目的は、「持続可能な水道事業経営を確立する」というところにあるはずなんです。

ところがこの紙は、去年の後半から一切出してないんです、県は。目的は全然しゃべってないんです、今。県としては、水道事業の目的は、「何のためにやるんですか?」ということについての説明、これは1年半ぐらい前の時に、あんまり彼らも説明しないんですけど出したものなんですね。そこから持ってきたものなんですけど。

つまり私が言いたいのは、先ほども公共ということでありましたけれども、「持続可能な水道事業」なんてことを表現すること自体が、核心部分としてはきわめて不明確である。目的としては不明確である。

本来求められるのは、公共としての水道事業、これを将来どうするんだ? ということ。これについて県がはっきりさせて、そのはっきりさせたことに対して、「こういう目的の達成のために、こういう手段を使っていろいろやっていきます」というふうに説明されるならわかるけど、今説明しているのは、手段のことを一生懸命説明しているわけです。「不安に思わないでください」と。「ちゃんと水質は守りますから大丈夫です」とかっていうふうに。

本来の目的をしゃべらずに、いま言ったような具体的な 手段のことの説明に終始しているというのが、今の実態だというふうに思います。

 

増えぬ水道コンセッション

              小川静治氏報告資料より

具体的な回答の中身の前なんですけども、改正水道法というのが施行されて、改正水道法の中でいわゆる民営化への道を開いたわけですね。水道法の改正には合計5つの特徴があると言われています。

その中の4番目、官民連携の推進ということで、「地方公共団体が、水道事業者等としての位置づけを維持しつつ」、これは宮城県がそうです。「厚労大臣の許可をうけて、水道施設に関する公共施設等運営権を民間業者に設定できる仕組みを導入する。」

民間の業者に運営権を渡していいですよっていうふうに、水道法ではっきり言ったんです。これに完全に乗ったのが宮城県ということですね。

こんなふうにして法律を改正するのであれば、よっぽど民間に運営権を渡すということが望まれていたり、あるいは地方公共団体にそういう要求が出されていたり、そういうことを背景にして、この水道法が改正されたのだとすれば、この水道のコンセッション方式、運営権委託方式は、バッと広がるはずだというふうに私は思うんですね。

 

全国各地の水道民営化をめぐる動き

               小川静治氏報告資料より

実際にはどうなっているかというのがこの表なんです。

左側のほうは、九州の県庁所在地を中心にして、西日本新聞がまとめたものです。民営化は、どこも「やりません」と言ってるんです。

右側、宮城県の村田町もコンセッション方式に興味を深く持っていたんですね。で、 政府の様々なコンセッション、PFI等々の会合で発表なんかしてるんですよ。ところが、これ8月の24日ですからつい先日です。私が聞きました。「村田町で水道事業のコンセッション導入ということで検討されてるんですけど、今のところどういう到達点なんですか?」と聞いたら、「いやいやいや、2023年のコンセッション導入検討したけど、 包括民間委託に舵をきります」というふうに言うんです。19年、去年ですね、「マーケットサウンディング、要するに民間業者との聞き取りをやった結果、経費削減効果は出せないということがわかったので、柴田とか白石とかの包括民間委託をやっているところと一緒になってやろうかというふうに今考えてます」と。「ということは水道民営化はやらないんですか?」「実質的にはそういうことですね」と、村田町ははっきりした。ハイ、まずこれで村田町落ちた。

その次に、いま話題の官邸にホームページがあるって、ボク知らなかったんですよ(笑)。で、官邸のホームページってやってみたら、コンセッションの進捗状況って出てくるんですけどね、その中で書いてあるんですよ。水道事業のコンセッションについては、大阪、奈良、浜松、宮城県伊豆の国市、村田町、これが現在検討中ですと書いてあるんです。じゃあというので聞いてみたわけです。

まず奈良市。去年12月に宮城県議会でやったような「条例はどうなったんでしょうか?」と聞いたら、「や、条例は議会で否決されました」とあっさりと。市議会で否決されたんです。「ということは民営化チャラですか?」「はいチャラです」。チャラとは言いませんでしたけどね(笑)。包括委託に移行します。

浜松は市民の反対で当面延期。宮城県はとんで、伊豆の国市伊豆の国市というのは、伊豆半島の根っこ、熱海の隣って感じですかね。熱海と焼津のちょうど間ぐらいですね。そこは進んでいるかのような表現だったんですけど、「伊豆の国市で民営化どうなってるんですか?」「いや市全体のコンセッションと捉えられるかもしれませんけど、そういうのではないんです。一部の簡易水道地区に限定したコンセッションを予定しています」と言っていました。300戸と言ってましたかね、「人里離れたところにある 地区一帯を、今まで簡易水道でやっていた組合方式とかでやってた所を民間に委託するということで検討している。市全体ではありません」「なあんだ」って話です。

ですから、国が「今6カ所で進んでいますよ」と言っている水道の民営化というのは、実態は、”あの大阪市” とそれから ”この宮城県” この2つだけなんです(笑)。だから ほとんど進んでないんだということが官邸のホームページからはわかるということなんですね。水道法を改正したにもかかわらず、そのような形で進んでないというのが、今の水道民営化をめぐる実態と言っていいと思います。 

 

今回の公開質問状(の回答)に対する見解を、お手元に2枚ものをお出ししました。

これは読んでいただければわかるだろうということで、その背景説明みたいなところをちょっとさせていただきたいと思います。

見解の中でも触れていますが、公開質問状の一番最初に入れたのは、「県職員の人材育成、技術継承、これはどういうふうに考えてるんですか?」というふうに質問しました。

あ、その前に言ったほうがいいですね。この質問状を出すときにはですね、計算する わけです、こちらは。全部の情報を出さないんです。半分ぐらいあるいは3分の1ぐらい出して、向こうがどういうふうに言ってくるかで、向こうの手が少しは読めるわけです。だから全部出してないんです、公開質問状の中では。で、今回、そういう意味では質問の1というのは、ジャブですね (笑)。ちょっとこれつついてみて、どういう反応する? ということです。それでわかります。要するに、「人材育成、技術継承、全然ダメだろうなあ」というふうにボクらは思うわけですよね。

宮城県企業局は、「水道事業経営管理戦略プラン」というのを2015年に制定します。 宮城県は新水道ビジョンというのを2014年に作ってるんです。これは職員だけで作ったんだそうです。コンサル入れないでね。自慢してましたけど(笑)。この中で、山本壮一郎元知事が、水の恵みは尽きないというので、四文字熟語で「恵水不盡(けいすいふじん)」とかって言葉を使って、そのプロジェクトやるんだっていうことを書いてあるんです。今これやってるはずなんですけど。

「水道事業経営管理戦略プラン」というのは、その新水道ビジョンの実行計画なんです。水道ビジョンというもの自体は、「50年とか100年先を見据えて水道事業を取り巻く課題を解決します」と書かれています。で、職員研修について書いてあるんですね。ちゃんとやるんだと、研修をね。

傑作はですね、県の危機感というのはどういうふうに書いてあるかというと、「平成10年以降、業務の民間委託を進めたことにより、企業局職員の大幅な人員削減が図られた反面、業務委託業者を指導監督する立場の現場職員は、少ない人員で広範な知識やノウハウを継承し指導監督業務をこなしていかなければならない状況となっています」。 大変なんだって言ってるわけです。人減らしちゃったから、今まで数人でやっていたことを一人でやらなきゃいけないということがあるから、教育やんなきゃいけないということを言ってるわけです。

 

企業局の職員研修計画


              小川静治氏報告資料より

その教育プランがこの「水道事業経営管理戦略プラン」に具体的に金額も書いてあるんです。これはたぶん、今日、県会議員の方もいらっしゃいますけども、後で聞けばこの通り予算を執行しているはずです。県は10年計画でこのことを決めてますから。議会で承認してるわけで。

「10年間で水道用水供給事業では395万7千円使いますよ」と言ってるんです。工業用水事業では「144万7千円使いますよ」と言ってます。10年間でです。それを1年当たりにすると、水道用水は39万円、職員1人当たり年間6,700円。工業用水では1年あたり14万円で職員 1人当たり年間13,200円という金額になるんです。カルチャーセンターの授業料みたいなものですかね、これぐらいの金額だと。

みなさんはあんまり馴染みないかもしれませんけど、わたし現職時代人事も担当したので資料当たったんですけど、民間企業は1年当たり教育費にどれぐらいお金使ってるかってことなんですよ。これいろんな統計があるんですけど、一番大きな統計の中の数字を持ってきましたけど、34,607円です。つまり1年あたり3万5千円ぐらいの教育研修費を使ってるんですよ、民間企業は。それに対して、県の企業局の方針は、6,700円ぐらいのレベルなんです。こんなのじゃね、とうてい教育水準としては高いものを望めないわけです。誰が見たってわかりますよね。こんな安いと会場代で終わるんじゃないかってくらいです。

そういう点で言うと、彼らが人材育成だとか技術継承だとかっていうことについて、回答の中で書いていますけど、「この金額を見れば、そんなことができるはずないでしょう」ということがわかるわけです。最初に言いましたように、公開質問状3分の1ぐらいしか出さないんです。今度これを出すわけです。で、「これで教育できるんですか?」という問いになるわけです。以下同文で、今回質問した内容について、この後、第二次の質問状を出そうとこれから準備することになると思うんですね。

先ほどご案内がありましたように、9月9日に県のほうで説明会をやりますので、その 説明会でどういう説明をするのか、目的ちゃんと言うのか、今回の質問状に対して県が答えたことをちゃんと具体的に説明するのか、今までと同じ説明をするんであれば、「そんなのいいから、公開質問状であなたたちが答えたことをちゃんと説明しなさい」というふうに、これホームページに載ってるんですから、要求するのは当然のことなんです。「今までの説明会で説明してることは、それはわかったから」というふうに言えばいいんです。そういう話なんですね。いま我々が知りたいのは、今 まで説明した中でわからなかったことをきちっと県が解明することだというふうに私は思います。

 

事業費削減247億円の実態

               小川静治氏報告資料より

で、もう一つ質問状との関係で言うと、いわゆる「事業費247億円削減できますよ」という話ですね。これはいろんな形で県は答えていて、わかりづらい表現なわけですけど、非常に単純に言います。ここに書いてある通りなんですが、県は、先ほどの佐久間先生のお話しでもありましたけれども、「期待値である」というふうに言いましたね。

県からすれば「根拠があるんです!」と。それはマーケットサウンディングということで、「民間業者からいろんな形でコスト削減どういうふうにできますか?と聞いた。 そしたらいろんな答えがあった。それに基づいて削減率というのを設定したんですよ。それで計算するとトータルでは247億円になりました」っていうのが、彼らの説明なんです。「出発点はマーケットサウンディングで、企業に対する聞き取り調査に基づく」とはっきり言ったし、書いてあるんです。

じゃあ具体的に、マーケットサウンディングっていうやつで業者はどう答えたのか? ということなんです。これは、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの調査分析チームというところの女性の方が情報開示を求めて取ったものなんですね(と会場の参加者に見えるように手元の資料の束を掲げる)。マーケットサウンディングで各業者が答えたものがここにあるんです。それを、数を数えていくんですね。「コスト削減を何パーセントできますか?」たとえば「薬品費であれば10%削減できます」と書いてあるのをチェックしていくんです。

で、ずうっと点検をしていくと、「具体的に削減ができますよ」と答えてる業者は10社しかないんです。10社10件ですかね。それも、みんなばらついている。たとえば、薬品費「10%削減できます」と書いてるところもあれば、5%のところもあれば、「いやあ、ほとんど無理じゃないですか」と書いてあるのも含めてなんです。だから、何か統一的に、たとえば薬品費であれば、「最大多数が10%だったので、10%持ってきました」というふうに言われるんであればわかるけど、サンプルは全部で10しかない。薬品費以外のを含めても。10しかないところでどうやって合理的な削減率を設定したんですか? ということになるわけです。結論から言えば、一番下のところにありますけれども、「エイ!ヤア!」と置いたんじゃないですか、県は削減率を。

 

経費削減の概要

             小川静治氏報告資料より

で、実際上こういうふうに、見てください。

たとえば左側の上のほうから水道用水、工業用水、流域下水道となってるんですけど、3つのケースを置いてるんです。だからいい加減なんですね。動力費10%、15%、20% ってことで、ケース1、2、3と設けました、と5%ずつ変えてるだけなんです。これ自体がまず「エイ!ヤア!」 ですよね。「まあ、10と15と20こう置いてみるかあ」というんで置いたようなもんです。カッコつけていろんな難しい計算したようなこと言ってますけど。実際はそんなものなんです。

だから、全部これを合わせてずっとやっていった中で、一番削減率が低いやつで要するに確実性をみて設定したのが、この右側の上のたとえば「県の人件費が10%から始まって動力費10%というふうに設定しました」と県は言っているんです。なぜこの削減率になるのかというもともとの民間業者の答え、あるいは「これぐらい削減できますか?」「できますよ」ということについての根拠は、実質的にはないんですね。

 

事業費削減額試算の内容

              小川静治氏報告資料より

で、ない中で、この削減率の試算をしますということで、この右側の大きい絵は、何回も(県が行った)事業説明会の中で出てきたものです。「それぞれの3つの水道でこういう削減率を設けました」というふうに彼らは言ってるんですね。これで計算しました。具体的にどういことかというとこれです。↓ 

 

ズサンな20年損益計算

             小川静治氏報告資料より

❶は、削減率はこれぐらいですということで、それぞれ3つの事業ごとに削減率を置いて、それを左側の(❷)細かい数字は見なくて結構なんですが、こんなふうにして20年間損益シミュレーションしたんです、と。つまり、たとえば大崎だとか仙塩だとか、全部の事業を1枚ずつシミュレーションしたんです。たとえば大崎広域水道では、(❸の)右側にありますけれども82億円ぐらい下がりますよというのが、❷の表から持ってきたものなんですね。私は、この❷の損益シミュレーション、全部検算をしました。

 

なぜ20年損益結果は期待削減率どおりにならない?

              小川静治氏報告資料より 

検算をして、宮城県の職員に「これは検算してまとめたものなんですけど、この数字で間違いないですか?」と確認をしたんです。私、初めてなんですね。県の役人にこう やって確認したのは。で、これが笑い話なんですけど、間違い2ヶ所あったんですけど、2ヶ所だっていうふうに返ってくるのに2ヶ月かかったんです。2ヶ月。なぜかっていうと、自分たちで前のやつ計算してないものだから、わからないわけですよ、県の役人。だから日本総研に問い合わせるわけです。「これどういう数字でした?」だいたいそういう数字なんです。これは、前に言ったように、数値は確認済みのものですから、完全にオーソライズされてるんですけど。

ただ、これで見ればわかるんですけど、たとえば左側のほうの上水2事業って書いてありますよね。これは、私が先ほど言ったようにわけわからない表を検算しました。そうすると、県の人件費は削減率9%になるんですね。ところが、全体の目標削減率、これ10%だって言ってるわけです。目標削減率というのは、先ほど見ていただいたように、県が「いろんな試算をする時にこれで置きました」という数字です。ところが、この上水道であれば、いま言った県の職員の(人件費)、修繕費、委託管理費、みんな期待削減率と違うんですよ、実際は。「なんだ?」ということになるわけです。で、同じように工業用水、下水道のところも、赤い字で書いてあるのが、県が言ってるのと違う数字なんです。

これはですね、いろんな事業計画をやる時に決定的なミスなんです。つまり、こういうところの数字が違うじゃないかと言われたら、もうその数表はお釈迦なんです。権威としては全くない。だから、「これについてなぜこうなるんですか?」と聞いても、県 ではみんな答えられないんです。自分たちで計算してないから。こういうのが、この シミュレーションの実態なんです。 

 

なぜ民営化直後から経費が削減されるのか?

              小川静治氏報告資料より

さらにこれを見ると、ガックリきたんですけど。

宮城県は2022年から水道民営化したい、事業化したいっていうふうに言っているわけですね。これは先ほどのわけわかんない表の中で、2022年の部分だけ取り出したんです。取り出して、企業局が運営してる場合と民営化した場合に、それぞれの勘定科目の削減がどれぐらいの率になってるかということを見たものなんです。

もう一回言いますけど、これは2022年、民営化の最初の年なんです。最初の年からなぜストーンと落ちるんですか?費用が。たとえば、初年度ですから、3月31日から4月1日に切り替わる時に、ページめくるみたいにきれいになんて変わりっこないわけです、事業は。人は残ってる、いろんな資産の売却だったり、いろんな調整だとかしなきゃいけない、仕入れもすぐには変わらないという状況の中で、たとえば動力費、電気代ですね、これなんで次の年から10%以上ボーンと下がるんですか? ということなんです。これ答えられないんです、県は。それから、たとえば修繕費が何で15%すぐ下がるんですか? 

同じように、いわゆる民営化が開始されてその年に、何でこういうふうにすぐ下がるんですか? ということは、単純に削減率を、単純という言葉はかわいそうかな、いくつか変化要素は入れてあるんですけど、基本的には初年度から4年目まではこの削減率で、10年目から15年目まではこの削減率でって、適当に置くんですね。で、結果的には、最終的には、たとえば10%か20%、右側のハジ、期待削減率ですね、これに合うように計算をするわけです。ところが、県の役人は先ほどから言ってましたけども、自分でやってないので、わからないわけです。これは日本総研しかわからない。「そんなプランで本当に247億円の削減ができるのか?」と考えた時に、誰がどう考えても、「そんなのできるの? いかにもズサンなんじゃないの」というふうなことになるだろうと私自身は思います。

 

現行の水質・汚泥管理一覧表

              小川静治氏報告資料より

時間がないので、3番目のところをお話したいと思うんですけど、水質問題ですね。

水質問題も作戦がありまして、上水道の問題は皆さんものすごい強い関心持ってます。だから県側も、ものすごく注意してるわけです。これ一番やられるところだって。やられるところって、語弊あるかな(笑) つつかれるところだってわかってるわけです。

で、下水道は実を言うと、去年からかな、企業局の管轄になるんですけど、それまでは宮城県の土木部の管轄だったんです。だから管轄違ってたんです、下水道っていうのは。下水道の資料というのは、実を言うとあんまり企業局の中で出てこないんですけどね。下水道のことをもっと言うと、わかってる人が今あんまりいないって言うんです、企業局の中で。

で、この問題は、どっかでお話したことがあるかもしれないけど、たとえば工業用水にしても、上水道にしても、顧客いるんですよ。上水道であれば市民、県民ですよね。これすぐ受け手としているんです。工業用水は企業。これもいるわけです。水質が変われば一発で問題になるわけです。ところが、下水はそういう人いないんです。川と海なんです、顧客は。そういう意味で言えば、彼らがあまり理解してないということと、下水道の問題については、管轄が去年からようやく企業局に入ったということもあるということが言えると思います。実際上、下水は環境負荷の問題にもう密接に関連しているわけです。ここを中心に攻めたんですよね、公開質問状の中で。

これは、現行の体制で下水道の様々な基準だとか検査だとかどういうふうにやってるのかを示しています。見ていただきたいのは、3番のこの部分はちゃんと守ってくださいねっていうふうに、企業局は民間業者に対して言ってるんです。実を言うと、法律だからです。これ破るわけにいかないんですね。この法律を守るために、上の1番とか2番というのを、現在は試験としてやってるんです。これをやっていないと、3番の法定の 基準をクリアできないということで、毎日いろんな形の検査をやったり試験をやったりということをずうっとやっています。

ところが、民営化の中では、毎日やってることについては参考にしてください。実際にどう組むか、たとえばこの水質の日常試験だとか数日試験だとかということは、結果オーライで3番のことが実現できたらいいですよ。今やってることは参考にしてください。」というふうに言ってるわけです。だから、「今やってる通りやんなくて結構です」っていうふうに、逆に言えば言ってるわけです。「しかし、法律だけは守ってくださいね」と。「ここをクリアすればやり方はお任せします」、つまり、「結果オーライでいいです」というふうに、いま言ってるということです。

ホントにそれでできるのかということになれば、技術者の人に聞いても、「1番2番やんない限り3番のことはクリアできません」というふうに異口同音です。そういう点で 言えば、「法律を守るために、今やっている試験だとか検査だとか、そのままやりなさい」って言えばいいですよね、県は。今の状態を守るために、今やってることを検査とかそのままやってください」って言うことは、ある意味当然のことだと私は思うんです。

ところが、今回の水道民営化の問題は、性能発注というのがウリなんです。性能発注というのは、「こういうふうな細かい決まりごとを決めて、この通りやってくださいね」っていう発注方式ではなくて、結果オーライで、「全部一定の水準を示すから、たとえば法律なら法律の基準を示すので、それでここをクリアしてもらえばオーケーです」ということが、いわゆるコンセッション方式の発注の仕方の中心的なポイントなんです。そこをはずしたらPFI でも何でもなくなっちゃう。「今までのやり方とおんなじじゃないの」ってことになるわけで、だから、県としてはそこのところはこだわるわけです。

ところが市民の側からすれば、いま言った単純な話です。「今やってることそのままやってもらえばいいじゃん」というふうに言うことを、彼らはウンとは言えないんですよ。いま言ったように性能発注がPFIの眼目だからということで、がんじがらめになってるんですね。そんな難しいことを考えないで、性能発注だとか言わないで、やってることそのままやらせればいいじゃないかというふうにボクは思いますけど、そういうようなことが、今回の回答の中でも、県としてはこだわってるんだなあとよくわかりました。

ただし、全体を通じて言えることは、こういうことだと思うんです。「問うに落ちず語るに落ちる」ってやつね。つまり、問うたことについてはちゃんと答えない。で、自分自身の県としての語ること、この中ではついつい言ってしまうということです。

それは端的に言えば、海外の再公営化の問題ですね。「再公営化の問題については平成26年のデータで検討しました」って言ってるんです。平成26年ったら2014年です。これ厚生省が出してるいろんな資料があります。

で、我々が例としたのはこれです(と集英社新書を掲げる)。「水道、再び公営化!」という本で、これは例の岸本(聡子)さんが所属してる研究所が2017年ぐらいまでの再公営化したデータを入れているんです。これを、実を言うと数値を、もぐり込ませてるわけです。「こういう数字がありますけど、県の皆さんはどういうふうにして検討したんですか?」って。

これに対してさっき言ったように「2014年に出されたもので検討しました」。もうすでに時代遅れなわけです2014年は。これは(と岸本さんの本を再び掲げる)、読んでないんだなということがわかるわけです。こういうこと検討してないんだなということが、最新の状況を追っかけてないんだなってことがわかるわけですね。

それじゃですね、とてもじゃないけど、議論にならないわけです。水道の民営化をやるという一大事業をやるというときに、直近のデータを自ら集めようとせず、コンサルタント任せにして、いろんな計算までコンサルタントにやらせて、自分たちは答えれないと。こういう体たらくな状況で、水道の民営化を これ以上推進するというふうなことはあり得ないと私は思います。

そういう意味で言えば、まさに「ここがヘンだよ!みやぎ型」という今日のタイトルですけども、第二弾の公開質問というものも、いろんな情報を集めながら用意しなければいけないな、と。ついては9月9日、県がどういうふうに説明するのか、その説明の内容も注目しながら、質問状のほうをまとめていきたいというふうに考えています。

十分に全部の項目を触れれば良かったんですが、ポイントになることだけしゃべらせていただきました。何かあれば、こちらのほうで答えさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。

 

会場の参加者のみなさんとの意見交換

 

多々良さん(司会)

素晴らしくわかりやすい報告で、改めて私も聞いて、わが命の水市民ネットの素晴らしい頭脳が結集してるな、と。中嶋先生と言い、小川さんと言いね。コンサルに丸投げの県の職員をはるかに上回っていると思います。

ここからは、今の中嶋先生の講演と小川さんの報告を受けて、今日参加されたみなさんと少し意見交換していきたいと思うんですが、その前に、今のお話でここがよくわからなかったとか、もう少し突っ込んで聞いてみたいとかいう質問がありましたら、先に受けたいというふうに思うんですが、ご質問ある方いらっしゃいますか? 挙手でお願いします。大丈夫でしょうか。(会場を見渡して)もう、わかりやすかった。全部わかった(笑)。

それでは、小川さんからもありましたけども、実は私たちの公開質問状は、宮城県の ホームページに載ってるんですね。私たちの質問状とそれに対する県の回答が載ったんですよ。ホントにこれは前代未聞の話で、一市民団体の質問状をわざわざホームページに載せて、自分たちの回答も載せる対応は、おそらく初めてのことじゃないかと思うんですが、我々も正直、何でそこまで県がやったのか真意をちょっといぶかってる面もあるんですけども、でもこれは獲得した成果ということで、今後もこの公開質問状というやり方を一つの手段というか武器にしてね、みやぎ型の問題点をどんどん明らかにしていこうと思ってるんです。

で、今日のみなさんの意見も含めて、今からの討論も含めて、さらに練り上げて質問状の第二弾出していこうと思っています。しばらくこの戦術でやろうと思っています。 そうすると、県は、前例を作っちゃったもんだから、また載せなきゃダメですよ。今度は載せませんという理由はないじゃないですか。

ということなので、第二弾、第三弾を出してね、全部ボクたちの公開しろというふうに要求して、追い詰めていこうというふうに思っています。ですから、みなさんの意見、どんどん出してください。期待しています。ということで、さらにこの質問状とか今の小川さんの話とか受けて、こういうことをもっと補強したいという意見がありましたらお願いいたします。 

Aさん(会場の参加者)

私は、水道というものについては、毎日水をいっぱい飲んでます。水は非常に大切だと。しかしながら、洗濯も毎日してて、水もたくさん飲んでると。たとえば月に3000円かかっておったのが、たとえば水道民営化すると月にいくらぐらいかかるのか、まあ、それがまず心配である。それから水が、濁った水出るとか、あるいはその、なんて言うんですかね、まあそういう質がね、非常に悪くなるんじゃないのかな、実際にね。なあんだ洗濯したのに、服になんか茶色いのが付いたよとか、変なにおいがプンプンするとか、困りますよね。そういったことちょっと、素朴ながら心配してます。 

多々良さん(司会)

ありがとうございます。実際に、いま懸念されてるようなことは、海外で起こったという事例があるわけですね、民営化によって。決してオーバーではない、きちんとした もっともな疑問だと思います。小川さん答える準備はありますか? 答えてください。

小川さん

ごもっとも、ホントにそのとおりだと思います。ただ、宮城県自体は、たとえば民営化したら、たとえばですよ、すぐに水質が変われば、これひっくり返りますよね、この水道民営化したこと自体。だから細心の注意は払うと思います。

ただ、それがずっと続くのかどうか。これは懸念ですよね。ホントに大丈夫なの? ということは、我々は言い続けなきゃいけないと思うんです。最初はいいかもしれない。だけど、だんだんだんだん、20年間という契約期間、民間に任せる中で、民間ですから当然利益をあげなきゃいけない。そういう中で水質の問題だとか、料金の問題、これが起こってくる可能性があるので、みんな心配してるってことだと思うんですよ。だからそういう点で言えば、ご懸念のとおりだと。

ただ今のところ、県としては、水道料金に関しては、将来だいたい約10%本来上がる金額を、10%程度下げる役割を今回の民営化によってできるのではないかという試算なんです。ところがその試算は、先ほど説明しましたように、根拠ないということなんですね。そういう状況になってるというふうに考えてるんです。 

多々良さん(司会)

なかなか巧妙なんです。県は、「このみやぎ型やることによって水道料金値上げはしません」ということは、一言も言ってないんですよね。むしろ値上げするっていう計画なんですよ。それを抑える効果と言う。だから、このあと何年かたって、「話が違うじゃないか。水道料金値上げしたじゃないか。」って言ったって、「いやいや、あらかじめ値上げする計画なんです」というふうに言うと思うんですよ。ってこともあります。

ハイ、その他ご意見、ご質問ありましたらお願いします。

今日は県会議員の先生方が大勢参加してくださっておりまして、ありがとうございます。さっきまで菅間さんと岸田さんも見えてたんですけども、帰られたかな? 帰られたので残っておられるのは福島さんと金田さんですけども、ぜひ議会の状況など、一言いただければと思うんですけども。

福島かずえさん(宮城県議会議員)

県会議員の福島です。今日は、三浦ななみさんもさっきいたような。まだいらっしゃいますね。

私は、この所管の建設企業委員会に所属しておりまして、8月の委員会でも、3つの応募している企業と、いま住民には内緒にしながら、いろいろ条件づくりの相談をしてるんですけども、競争的対話というふうに言われてますけど、それの進捗状況の説明というのがありました。これは、非常に情報を住民に隠してるという批判が強い中で、出来る限り情報は伝えたいというふうに何度か言ってることの表れとして、大したことではない報告だったんですけどもありました。

まあ肝心のことはこれ以上は言えないというか、いま交渉し始めた段階なので何も言えないという状況なんですけども、それでもこの前聞いたところが、二次審査に行く前、あるいは二次審査後なのか、年明けにはもう少し具体的な話について、さっきの水質の話とか、あと、どうしてコストの削減がこのくらいなるとか、その話ができるようにしたいというのが、管理者の答弁でありました。9月9日に説明会もありますので、是非 みなさんも沢山参加していただきたいと思います。

なぜホームページに皆さんの質問状とそれに対する回答を掲載するようになったのかというのは、ひとつは、これまでどこの自治体でもやっていない日本で初めての水道の民営化というのを、大手企業とやってる宮城県というのは、非常に職員自身にとっても、やっぱり不安とか心配があります。特に技術者としてはやっぱり心配な点がいっぱいあると思うので、そこに、市民団体のみなさん、それから県民から、こんな意見がいっぱい寄せられてるから、滅多なことはできないんだよ私たち」みたいな、そういう交渉の一つの材料としては、そういう質問とか心配とか、そういうのを公にしていくというのを、企業局としても大事なことだというふうに思ってるのかなと思います。

で、知事に相談、どこまでしたかどうかわからないと思います。知事はこういう技術的なことはあんまり苦手なので、そういうふうには思います。

まあ、これから世論がどんどん、みんなが心配になって、大きくなって、これ以上の 条件、こういう条件じゃなければ絶対民営化は許さないということになっちゃうと、 大ボスの企業が「そんな儲けにならないことからはやめさせてもらいます」ということも、まあ、無きにしも非ずですけれども。

ただ、四国の須崎市というところで、浜松に続いて下水道の民営化したところあるんですが、ここに乗り込んだ企業はほとんど儲けはゼロです。むしろ赤字覚悟で、第一号、これからの事業展開を考えて、儲けにはならなくても、まず参入するということで手を挙げたところがありますから、そういう意味では、儲け抜きで、国策に乗っかって手を挙げて、それで20年間じゃなくて、その後の21年目から大きく設けようというそういう企業の考えもあると思うので、油断はできないと思いますけれども、いま大事なことは、こういう秘密の中で行われている問題点を、どんどんとみなさんに知らせて、「そんなのダメだ」という声を大きくしていくことだと思います。みなさんと一緒に頑張りたいと思います。以上です。

金田もとるさん(宮城県議会議員)

同じ会派の金田でございます。私のほうからは、いま所管の委員会の福島議員からお話された以上のことはお話しできません。ただ、この9月9日に行われる事業説明会のことに関してだけは、ひとこと言いたいです。

県は、こういう事業説明会をこの期に及んでやるということは、ホントに異例のことだと思います。これまで私たちの運動で、この説明会をやらせるところまで求めてきた。そのことでやらざるを得なくなった。ホームページに載せたのもその表れだと。私たちの県民の運動によって、県は答えざるを得なくなっていますし、事業説明会もやらざるを得ない状況にまでなっています。

で、残念ながら、私が所属する環境福祉委員会のところで、女川原発の住民説明会は このあと一切やらないという立場を変えてませんけれども、そういう頑ななところに おりながらも、水道事業の説明会についてはこれをやらざるを得ない。そういうところまで来ています。

たった一回、定員100名。そういう説明会ですけども、ぜひ平日の午後の時間ですが、多くのみなさんに参加していただきたいと思います。実はこの日は、宮城県山形県の県会議員の交流会の総会が山形市である、その日になってまして、多くの県会議員は 山形に行くんです。共産党県議団は、私だけ一人山形に行けということで(笑)、他3人は残ってこっちの説明会に参加します。お一人はちょっとまた別の会議で。そういう立場で提言は最後まで頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。

多々良さん(司会)

ありがとうございました。いま金田さんがおっしゃってくださったとおり、我々のこの運動がホームページに載ったということも、あと9日にね、仙台やったのは1年ぶりだと思うんですけども、この期に及んでまた住民説明会ってヘンですよね。なんかタイミング的にね、やらざるを得なくなったというのも、まあ我々のこの運動の成果という面は確かにありますよね。

失礼しました。県議会からは三浦ななみさんと大内真理さんも参加していただいてます。ありがとうございます。その他、ご参加のみなさんから、何かご意見ご質問あれば受けたいと思います。ハイ、ありがとうございます。

Bさん(会場の参加者)

富谷から参加しましたBと言います。岸本さんの著作の中でですね、みやぎ方式の場合、運営権を民間に売却するわけですけれども、この運営権というのは資産としても 扱われるということで、担保権として資金借りる時に担保に使われるだとか、あるいは経営がうまくなくなれば、転売を繰り返すこともあり得るというようなことが書かれていたように思うんですね。

で、私としては水質だとか人が減らされるとか様々心配があるんですけれども、この水道事業が将来にわたって安定しないかもしれない、場合によっては次々と経営者が変わることがあるのかなというふうに思うと、非常に心配なんですけれども、こういう事例っていうのは、外国ですでに民営化しているところでこういった事例が出てるのかどうかっていうところを、ちょっと伺いたいと思います。

多々良さん(司会)

ありがとうございます。そうですよね。そもそも、運営権という概念自体がどうなんだっていう、売り買いできるっていう概念自体がっていうことがあると思うんですけれど、これ誰が? じゃあ小川さん。

小川さん

ご質問ありがとうございます。先ほどご紹介したこの「水道、再び公営化!」という本の中に、基本的には、エッセンス全部書かれていると思います。私とて、別に海外に 行って水道事業の視察をしたなんていう経験はありませんので、実際上は、役所が調査した結果が発表されているものが結構多いですね、それで知る範囲のことです。

で、県はですね、いろんな事例を出すんですけど、私が一番腹が立ったのは、たとえば4つぐらいの国があるわけですよね、役所として「こういう事例があります、こういう事例もあります」と言うんです。その中で再公営化をしていない事例を、県は説明するわけです。

ところが、たとえばドイツの事例だとか紹介されてるんですけど、実際上は再公営化です。再公営化は、約10年間の中で、大きく言えば進んできていることは間違いないんです。

で、実際にコロコロ変わるのかという先ほどのご質問がありました。これ、まず、インフラがインフラですので、コロコロはなかなか変わりづらいです。業者がA社という ところがやって、「やあ駄目だから」っていうんで、B社に「ハイどうぞ」と簡単に いかないんです。このこと自体は問題ないわけですね。簡単にいかないっていうことだから。

「赤字になったとしても実際は何年かやらなきゃいけません」と。それで、「引き継がなきゃいけません」と。引き継いだ側は、赤字の事業を引き継ぐわけで、これは大変なわけです。コロコロ変わるという意味で言えば、あまり想定はできない。

ただ、いったん民営化すると、県が再公営化する時の最大の問題は、先ほどちょっと ご説明しましたけども、人の問題です。技術のある人間は、20年間たったらいなくなっちゃうということですね。再公営化しようにも、県はやれなくなってしまう。だから、県はやれない、そして赤字で手を引かれたところにすぐポコッと次のところが変われるわけでもないということになると、きわめて未来は不安定になると いうことですね、ここで民営化すると。だから、いろいろあったとしても、苦しいことがあったとしても、まず公営を守って、その公営の中で業務改善できることをどうやるかという問題の組み立て方のほうが、住民からすれば安心できるわけです。「そういう路線で行け」っていうことが、私たちの要求にもなるだろうなあと、私自身は思っています。

慌てないで、そんなに経費が大変なのであれば、一旦ここで立ち止まって、いくつかの方法があると、どれでやっていったらいいんだろうかということをちゃんと議論する。これが一番重要なことだと私は思う。拙速に進めちゃったら後に引けないっていうことで、ご質問のとおりだと思います。

多々良さん(司会)

ハイ、南部さん。今日みなさんにお配りしてる資料の中に、ちょうどいま運営権の売却のことが出てきたんですけども、「宮城県 水道、運営権を売却?」というチラシが 入ってると思います。 

みやぎ型、フランスから何を学ぶ

この学習会・講演会の主催者である伊達・水の会の南部さんからです。 

南部さん(伊達・水の会)

大変重要な質問がありましたので。伊達の水の会で9月13日に、フランスのコンセッションの講演会をするんですが、いま運営権の話が出たので、私も、南部と言いますが、補足説明させていただきます。

諸外国では、運営権という権利は存在しません。我が国だけが特別のまあ内閣府の考え方で運営権というのが設定されて。今回の運営権というのは、水道事業を運営する権利を民間企業に与えるってことですね。それを運営権っていう権利として与える。諸外国では権利として与えるということは、手放すということです。

それは使用権を一時的に譲渡するということはありますけれども、経営権を売るとかですね、与えるとかということは、諸外国にはありません。運営権を貸し出すということですから、賃料をもらうとか、またはリース代をもらうとかということはありますが、我が国の場合は、運営権を譲渡してその対価を、宮城県の場合は10億円一時金でいただきますね。そういう例はフランスでは禁止されています。

中嶋先生がお話されましたとおり、公共側が持っている、私たちが 持っている権利を売るわけですから、そういうことはありえません。我々が了解したものならいいんですが、公側が勝手に公共の権利を、そういうことをするということはありません。

具体的に、今回の水道民営化の問題については、フランスのコンセッションの契約規定を準拠しながら我が国に適用したというのが、水道事業の民営化の始まりなんですが、まあ我々もいろいろ調べてますが、3月から私も本格的に調べ始めましたけど、あらゆる点で、すべてとは言いませんが、フランスの民営化の仕組みと我が国が今回展開しようとする仕組みは100%違う。その内容を、9月13日に直接、フランスから広岡裕児さんという専門家に来てもらって説明をします。

広岡さんは、講演する時の条件として押さえたことは、「フランスの状況は話します。宮城とフランスの違いは、宮城がダメということは私は言えません。」こういうことを言われたので、公開されている宮城の情報を、全て彼に渡しました。そして今、彼とやり取りをしてて、あらゆることが違うということがわかりました。

今日、特別ですから3点を紹介します(笑)。

1つ、水道9事業を一体化する。これフランスではありません。「上水道、工業用水道」と「下水道」は全く異なるサービスなので一体にはできない。

2点目、今回多くの方が質問されてませんけども、誰が20年って決めたの? 民間に20年の仕事をお願いする。お金の247億円、197億円の削減を、20年トータルでと言う。20年ってどこに意味があるの? 1年じゃダメなんですか? 2年じゃダメなんですか? 10年じゃダメなんですか? 19年じゃダメなんですか? 18年じゃダメなんですか? って企業はないです。すべて県の言い方も20年。当初、2015年から計画が始まった段階では、50年って案がありました。30年ってありました。20年も10年も案としてある。なおかつ、5年延長なんですかね。

フランスはそれはあります。20年も、今日現在、2016年4月1日以降に契約している民営化した事業で20年契約というのがあります。平均して12年です。で、宮城県で10年か12年でもし契約書が成立すれば、民間企業は参加しないと思います、私は。

最後に、3点目の宮城との違いは何かというと、我々が払う水道料金は、民間企業に何割か行って、そのお金で運営する修繕するということになっています。役所の県の一般会計からお金を出すことは、コンセッションに違反するんです。すべて水道料金でまかなうのがコンセッション。

ところが、契約書みますと、下水道事業、上水道事業の一部建設費用とか、県から民間企業に渡ることになっている。それの終わった後、残存価格が残ってれば、それを県が買い取るという。これもコンセッションに違反。県側からお金を出すことは、コンセッションとは言わない。下水道事業についても、約250億円の工事費を出すわけですから、これもコンセッションの事業には該当しない。

ですから今回は、まあ広岡さんの言い方をしますと、コンセッションの事業じゃなくて一般的な民間への委託事業という解釈だと成り立つかもしれないけど、その場合には、従来と同じように個別事業の委託契約ということになります。フランスでは個別事業の委託契約という言い方はしなくて、公共調達という言い方をします。公共側が、公共の仕組みに則って、仕事をお願いするということになります。まあ私が雑駁にお話しましたけど、13日はその辺の細かい話が聞けると思いますので、もしお時間がある方は、 同じ場所でやりますから、ぜひご参加いただきたいと思います。長くなりました。

多々良さん(司会)

ありがとうございました。非常にわかりやすいお話でした。

遠藤いく子さん(元宮城県議会議員)

昨年11月に県会議員を引退いたしました遠藤と申しますが、とてもわかりやすいお話で、(小川さんが)検算をされたというのは脱帽いたしました。

それであの、一つだけなんですけど、資産の問題でやはり非常に気になりましたので、昨年、上水道関係、工業用水道関係の資産はいくらかということを聞いたんですけれども、なかなか概算数字で出ませんで、約2000億というふうに言ってました。

それから、じゃあ下水道はね、一般会計の土木のほうに入ってたんですけど、そっちはいくらなんだっつったら、一般会計だから企業局はわからないとかね、いろいろ言ってたんですが、確か1000億だったと記憶してます。

ですから3000億円の資産を自由に使ってやるということではないかな。金額もしかしたら違ってるかもしれないので、確かめていただきたいと思うんですけれども。

それに関連して水道事業のビジョン。あれは企業局の作られたビジョンですよね。企業局は県営については責任持ってるんですが、市町村の水道に関しては全く別の部門でビジョンを持ってるんです。だから2つあるんですよね。で、だんだん市町村のほうに手を伸ばしていこうっていうのが、ちょっと危険なことだなあというふうなことを思っておりました。以上です。

多々良さん(司会)

ありがとうございます。そうなんですよね。コンセッションというのはよく、民営化じゃないんだっていうふうに県側は頑張って言うんですけど。我々が水道民営化って言うと、民営化じゃなくてコンセッションだと言う。コンセッションのほうがもっと悪いんですね。企業にとっては、いま遠藤さんがおっしゃった3000億円で買い取らなくったって使えちゃうわけだから、美味しい話なんですよね。村井知事が最初の指示で、「とにかく企業が参入しやすいようにしろ」って指示したって言うのは、まさにそこなんじゃないかと思うんですけど。

Cさん(会場の参加者)

時間がないとこ一言だけ年寄りの何とかですが、Cです。あのう村井君というのはですね、詳しいことはいらないんです、あの人は。民営化という結論があればいいんです。

みんなまでやったのは、国策仙台空港。あの民営化の時もですね、民営化してもらうためにわざわざ、名取から空港まで国鉄の線路を作ってあげたんですよ、列車。「これで便利になって使いやすいから、ぜひ民営化してくれ」って売ろうとしたら、買うところが「これは赤字になるから、これはいりません」っつって、外して民営化したんです。わかります? もう何でもいいんです、民営化するなら。

それから水産特区、これもやりました。この時も漁協が大反対したのに、特別の権限、独立させて、数人の漁民で立ち上げて、すべての養殖施設を全部県で作ってあげて、で仙台水産にバックアップさせて民営化した。

その後の経緯を含めてですね、仙台空港の民営化なんかも、検証時間があれば、小川 さんぜひ検証していただきたいと思いますが(笑)、民営化することがどういう結果になるかというのも含めてぜひ。

村井君というのは、とにかく民営化の結果があればいいんです。途中なんてどうでもいいんです。自分が民営化したという、簡単に言えば、そういう人だということを頭に 入れていただいて、そこをね、どう粉砕していくかって辺りをぜひ考えていただければなあと、一言だけ。

多々良さん(司会)

ありがとうございます。わかりやすい(笑)。そう言ってしまえば、ホントになるほどね、と思ってしまいますね、というお話でした。いかがでしょうか、だいたい時間が尽きつつあるんですが。

佐久間共同代表

みなさん、ありがとうございました。先ほど、運営権というのに担保権が設定できるというようなご質問がありましたけど、すいませんがちょっと曖昧な記憶なんですが、 今回事業者を公募する時にですね、多数の膨大な資料が出されまして、その時の運営権実施契約書(案)というのが発表されてまして。あれは確か、事業体がお金が回らなくなって競売されると。担保権というのはそういう意味ですね。その時には、確か議会が同意しないといけないというような条項になっていたのではないかと思いますが、ちょっと曖昧ですから、みなさん、ホームページでたぶん公開されていると思いますし、私も再確認してみたいと思います。

みやぎ型募集要項等

www.pref.miyagi.jp

 (運営権等の処分)

第75条 運営権者は,県の書面による事前の承認を得ることなく,運営権その他本契約上の地位及び 本事業等について県との間で締結した契約に基づく契約上の地位並びにこれらの契約に基づく運 営権者の権利及び義務について,譲渡,担保提供その他の方法による処分(以下本条及び次条に おいて「処分」という。)を行ってはならない。

2 前項の定めにかかわらず,運営権者は,PFI法第26条第2項の規定による県の許可をあらかじめ得 た場合には,運営権を移転することができる。この場合,県は,議会の議決を経て当該許可を行 うものとし,また,次の各号に掲げる内容を含む許可の条件を付すことができる。

(1) 譲受人が,本事業等における運営権者の本契約上の地位を承継し,本契約に拘束されること について,県に対して承諾書を提出すること。

(2) 譲受人が,運営権者が所有し,本事業等の実施に必要な一切の資産及び契約上の地位の譲渡 を受けること。

(3) 譲受人が,すべての運営権を譲り受けること及び9個別事業を一体として長期運営すること。

(4) 譲受人のすべての株主が,県に対して株主誓約書と同様の内容の誓約書を提出すること。

3 第1項の定めにかかわらず,運営権者が本事業等の実施に要する資金を調達するために金融機関 等から借入れを行う場合であって,当該借入れのために運営権に対して担保権を設定する場合, 県は合理的な理由なくこれに対する承認を拒否しない。ただし,当該借入れ及び担保権設定に関 する契約書の写しが県に提出されること及び第111条の規定による協定書が県と金融機関等の間で 県の合理的に満足する内容で締結されていることを,承認の条件とする。

4 第1項の定めにかかわらず,運営権者が本事業等の実施に要する資金を調達するために金融機関 等から借入れを行う場合であって,当該借入れのために本契約その他県と運営権者の間の契約に 基づく運営権者の債権又は契約上の地位に対して担保権(契約上の地位の譲渡に係る予約完結権 33 を含む。以下本項において同じ。)を設定する場合,県は合理的な理由なくこれに対する承認を 拒否しない。ただし,当該借入れ及び担保権設定に関する契約書の写しが県に提出されること及 び第111条の規定による協定書が県と金融機関等の間で県の合理的に満足する内容で締結されてい ること(相殺を含む県の抗弁権が当該担保権の設定及び実行の前後とを問わず,担保権者に対抗 できることを含む。)を承認の条件とする。  

宮城県上工下水一体官民連携運営事業 (みやぎ型管理運営方式) 公共施設等運営権実施契約書(案) 令和2年3月13日版 宮城県 32~33ページhttps://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/780551.pdf

 

あと、さっきの小川さんの解説にもありましたけど、競争的対話で業者を選定するわけでしょ、いちおう念入りに。それがお金を払えないということで、この運営権が簡単にお金の力で他の事業体に移されるということがあったんでは、ある意味では根本が崩れちゃうことになるわけですね。

それから、ちょっと矛盾かもしれませんが、担保権が設定できるけども、勝手には譲渡できない、なんかそういう仕組みになってたのかなと思いますが、そこはちょっと確認をしたいと思います。

それと、災害時の対応で、福島議員さんが前回の7月4日の下水道講座でご紹介いただきましたけど、緊急時の災害対応がうまくできるかということについて。櫻井管理者は 議会で「十分に対応したい」というふうに答弁しているんですが、あれは現地でやったものか、机上の訓練なのか、そこらへん、もしおわかりであればお伺いできればなあと思ったんですが。今回私たち第二弾の公開質問状も予定していますので、そのあたりの格好の材料になるんじゃないかなと思っておりますが、もしおわかりでしたらよろしくお願いします。

福島かずえさん(宮城県議会議員)

実は、コロナウイルス感染症の拡大という中で、ヒト、モノ、カネをグローバルに動かしてコストダウンを図って儲けを出そうというこれまでの考え方が、もはや通用しない社会に私たちはいるんですけれども、この水道事業の民営化もその前の価値観で進めてきてるわけなんですね。

だから、コロナウイルス感染症で県の境を越えて社員が応援に来るってこともありえない中でどうするの? みたいな話をさせていただいたんですが、県のほうがまず試行したのは、実際にいま委託している業者がいますけれど、その事業者の中で感染症が増えた場合、どれだけ人が減れば、どれだけのことができなくなるかというのを、実際にやってみました。で、4割以上になるとできなくなるということが、その試行ではわかりました。

ただ、それは今の仕様発注で委託契約という中でそういう結論が出てるんですね。だから、20年間という長期にわたる中で、コロナとか災害時の対応というのは、全くまだ見えてこないです。お金の問題だけ言えば、コロナ対応とか災害時対応の責任は、実は県と国にあるんですね。事業者は その負担は負わないという話で、非常に民間企業にとっては、危機管理対しての費用発生はしないというような枠組みも作られてます。

多々良さん(司会)

どうもありがとうございました。というわけで、ほぼ予定の時間になりましたので、 今日の市民連続講座第2回を終わりにしたいと思います。

このあとの予定なんですけれども、もう何べんもいろんな方が触れられましたけども、ある意味私たちが設定させたとも言える県主催のみやぎ型説明会ですね、9月9日です。これ是非みなさん参加してください。定員100名となってます。まだ余裕があると思いますから今からでも申し込んでください。ぜひ多くの市民が参加してですね、事実上、県企業局との公開討論会の場にしたいと思っています。もちろん、むこうは型通りの説明をまたすると思うんですけど、それを「できるだけ手短に、もうわかってるからいいから。とにかく討論しましょう」っていうふうに持ち込みたいと思ってますので、大勢の参加をお願いします。事前の申し込みが必要ですから申し込んでください。

それから9月13日ですね、さっきの南部さんの会と日にちが被っちゃんたんですけど、命の水を守る全国のつどい in 浜松が開催されるということでして、浜松は行くのが大変ですけども、オンライン参加ができるということなんですね。この手順なんかも付いてますから、是非これを見て参加してください。事前の申込みが、これも必要なようですのでお願いします。

命の水を守る全国のつどい in 浜松

save-public-water2020.mystrikingly.com

筆者注)諸事情によりアクトシティ浜松での開催ではなく、オンライン開催となりました(9月2日現在)ので、市民連続講座 「ここがヘンだよ! 『みやぎ型』」の会場で 配布されたチラシと情報を差し替えました。申込者限定配信です(当日と数日間)。

これ岸本さん参加されるんですよね。さっきから話題になっている「水道、再び公営化!」の本を書いた岸本聡子さんが、この方オランダ在住なんですけれども、来日されて参加されるということですので、すごくいいと思います。オンライン参加であっても、一人500円必要なんですけれど、お友だち同士でまとめて申し込んで振り込むことも可だと、アリだということですので、そのようにしてみてください。

それから、9月23日から宮城県議会9月定例会が始まるということで、今日の話なんかもぜひ参考にしていただいて、県議のみなさんの論戦を期待したいと思います。9月定例会は、女川原発再稼働問題がありますから、なっつってもそれ頑張っていただきたいんですけど、もちろんこの水道のこともやっていただければなあと思っています。

というわけで、まだまだこの問題は終わってない。むしろですね、安倍が辞任して、 この先ね、どうなるかわからない中で、世の中どう変わっていくかわかりませんね。

2022年から始めるなんて言ったって、何がどうなるか全くわからないと私たち思ってますから。まだまだ頑張ることがいっぱいあると思ってますから、みなさんと一緒に頑張っていきたいと思います。

当面、今日の話を盛り込みながら、小川さんがまた質問状の第二弾を練りあげますからご期待ください。これを是非ですね、県のホームページに載せたいと思いますから、(県議の方々には議会での)ご質問をお願いします。というわけで、今日はみなさん、どうもご参加ありがとうございました。お気を付けてお帰り下さい。

宮城県の水道民営化問題を考える市民連続講座 ここがヘンだよ! 「みやぎ型」        前編 公共サービスの課題と「みやぎ型」の欠陥

2020年8月29日、東京エレクトロンホール宮城401中会議室にて、「宮城県の『水道民営化』問題を考える市民連続講座 第2回 ここがヘンだよ!『みやぎ型』  宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)って何?」が、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ主催で行われました。

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開会の挨拶 命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ 佐久間敬子共同代表

 

佐久間敬子

みなさま、こんにちは。ホントに大勢の方がご参加くださって、大変ありがとうございます。 雨とカミナリが鳴ったんですね。酷暑の夏でございますけれど、大勢ご参加いただきありがとうございました。

昨日の(安倍首相の)辞任の発表、そして9月の総裁選、それから年内解散がありえるかなという情報が流れております。私たちのこの水に対する運動も、安倍政権の一つの目玉政策、これを押し戻していくという意義があると思っておりますので、今後も、 みなさまと一緒にこれをなんとか阻止するよう頑張ってまいりたいと思います。

7月4日に東北工業大学の江成先生から下水道の講座をお聞きいたしました。改めて公衆衛生、下水道というものを見直すような大変有意義な学習会でございましたし、参加者のご質問が非常にハイレベルで、主催者は非常にインスパイアされたということで、 閉会の挨拶で中嶋共同代表が「連続講座をやる」と言ってしまいましたので、やりましょうということになった経過もございました。

今日のテーマは二つ設定しております。 一つは、このみやぎ型というものについて、非常に重要な公共サービスの観点が削られているのではないか、と。 これが一つです。

それから、前回の講座でご紹介しましたけれども、私たちが県に公開質問状を出し、 回答がありました。この回答に対して見解を発表しておりまして、そのことを小川さんから詳しくご説明がありますけれども、その中で非常に大きな成果が上がったもの、と。この二つを中心に今日は学習会をしたいと思っております。

公共サービスということについて、なんか私たち民営化とかですね、新自由主義というような価値観・思想にすっかり頭が洗脳されちゃってて、公共サービスって何だろうかということを、ちょっと忘れかけていたと思いますね

私たちの公開質問状では前文で、この水道事業というのは公共サービスの最たるものだということを言っております。しかも、このコロナの時代、コロナ後の時代を見据えた場合に、この公共サービスの運営権を民間にほとんどお任せしちゃう、これは果たして時代にあった方策なのだろうか? と、ある意味深い問いを発しました。(これに対して)県からは何の回答もございませんでした。

ここで、この公共サービスの意味というものを考えたいというのが一つです。これは、別に日本のことだけじゃないんですね。国連では、「水・公衆衛生は人権だ」という 価値観が、2000年頃から次第に定着して、2010年にはそういう国連総会の決議も出て おります。

水と公衆衛生が人権だという場合に、大きな問題に関わるのは、運営を誰がするのかということで、今回のテーマになります。そのあたりを勉強してまいりたいと思います。

それから、みやぎ型の問題点ということで、公開質問状に対して県が回答した中で、 コンセッション、みやぎ型の謳い文句である事業費の削減、これをですね、全くまあ 期待値、希望的な願望というのですかね、これに過ぎなかったということが、公の文書で明らかになった。これが大きな収穫であったと思います。その期待値というものが、何の根拠もない、何のデータによる裏付けもないということが明らかになったわけです。

ですからみなさん、この期待値に過ぎないというのを私たちがうまく使って、この事業は決してバラ色ではないんだということを、みなさんと共に訴えてまいりたいと思います。

今日お配りしましたチラシに、9月9日に県が説明会をするということになっておりまして、(定員)100名ですので、これから間に合いますから、みなさんも申込みをしてください。私たちの運動があって「説明会をネグレクトできないな」という状況になっていると思います。 

 

みやぎ型説明会

 

みやぎ型説明会

www.pref.miyagi.jp

 

それから、私たちの運動、ほかでも、これに呼応する運動が展開されておりまして、 9月13日は浜松で全国のつどいがあります。

命の水を守る全国のつどいin浜松2020

 



save-public-water2020.mystrikingly.com

 

これには、小川さんがZoomになるかもしれませんが参加する予定になっております。また、伊達・水の会の方々が、フランスにいらっしゃる広岡さんというコンセッションの専門家の方の学習会を企画しているということです。浜松と同じ日で両方というのは無理なんですけれども。

 

みやぎ型、フランスから何を学ぶ

 

是非こういう運動とも呼応して、何とかこの民営化、コンセッションを阻止してまいりたいと思います。今日は本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。 

 

公共サービスの課題と「みやぎ型」の欠陥                命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ 中嶋信共同代表

 

中嶋信

わたくし 8年前に徳島大学を退職しまして、それで宮城県にまいりました。何でかというのはいろいろあるんですけれども、やっぱり震災復興を手伝わなきゃいけないなという気分がありました。それでお手伝いをしていて、今も実は、震災復興県民センターの事務局長が小川さんなんですけども、そのもとで働いているのかな?(笑)ということなんですね。

「この国のシステムがおかしい」というのが、わたくしの考え方です。社会システム、物理的な加える力があるんですね。それを抑える力がないという問題で、それは今回のコロナの場合でもはっきり見えてきていると思うんですね。ですから、我々が今のこの組織を作り変えていかなきゃいけないと考えているわけです。それも勉強の一つというふうに考えてください。

公共サービスは一体どんなものであるかということについては、よくわからないところがありますよね。たとえば、福祉とか教育とか交通なんかがよく知られておりますけど、いずれも住民生活に密着した存在でありまして、その動向はこれからの地域の暮らしのあり方を規定します。これは誰が担当するのかということが一番大事です。

「公共だから、公がやるんだろう」と考えた人がいますけれども、これは大間違いです。「公共」と「公」は違います。「公」というのは、 お上です。「公共」というのは、みんなです。

そこのところの区分けが大事だということを主にお話していきたいなと思うんですが、お話の順番は、水道事業の法的な枠組み、それから、いま変わりつつあるんですけども、それの新自由主義的な考え方の整理、そしてその上で、じゃあ私たちはどんな水道事業を展望するのか、というような順番でお話をしたいと思います。

 

www.jichiken.jp

 

 

水道の法的な枠組み
           中嶋信氏講演スクリーンより

(公共サービスは)地方公共団体が運営を担当する例が多いわけですけど、基本的には、国の全体の仕組みなんですね。憲法に基づいておりまして、憲法の第25条、健康で文化的な生活を営む権利を保障するためにいろいろあって、その一環として公衆衛生の改善が必要ですよってことでそのような仕組みができてるわけです。その一環として 水道法が制定された。これが1957年のことなんですね。

公共サービスの課題と「みやぎ型」の欠陥

              中嶋信氏講演レジュメ

 

水道法第一条の2行目のところに目的があります。水道法って何の目的ですか?「もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする。」 このためにやるんですよってことが、まず基本です。

水道事業っていうのは、なんかお上から水をもらってるんだというふうに考えてる人がいるんですけど、それはちょっと思い違いです。みんなの事業であって、その目的は、住民の安全安心なんだっていうことです。

そのような仕組みに充実させていかなくちゃいけないということで、ごちゃごちゃ書いてあるのが第二条ですが、書いてあるのは誰が担当するかということだけです。書いてある順番に、国、それから都道府県、それから市町村、そして4が水道事業等です。

この4が今回新しく加わって、法律の中に明確に入ったことなんですね。水道事業等、これは民間業者のことです。これがどんなことをするのかということについて規定しております。

ですから、水道事業というのは、お上がやるんじゃないんです。国がやる、県がやる、それから市町村がやるよってことですけども、それらを動かしているのは主権者である住民ですから、住民が一緒になってやるんです。それのお手伝いとして民間企業が入りますよっていうのが、新しい法律の趣旨なんですね。 

水道事業というのは確かにいろんなことをやるんですけれども、目的は公衆衛生の向上であり、生活環境の改善ということで、そのためにどういう努力をしなきゃいけないのかなんですが、水道事業の前提になっている水循環についてわからないと展望が出ませんので、それをちょっと確認しておきたいと思います。

 

中嶋信

このクマの写真すごいでしょ。星野道夫さんって冒険家がアラスカで撮った写真ですよね。鮭が「最悪!」とか叫んでるんです(笑)。 こういう状態になってると、私たちは水が使えるんですけども、こういう大きな川になる前の段階から想像しなきゃいけないですね。

どういう辺りからかというと、たとえば、これはドイツの黒い森ですね。シュバルツバルト。ドイツトウヒという黒っぽい樹があって、これが中心になっているので黒い森と言われていますけれども、ドイツの南西部にあるヨーロッパの水源地帯です。ここに どんどん雨が降って溜まるんですね。溜まるということが大事。

で、溜まったのがこんな形で噴き出してきます。後で話す小川さんが、「ボクんちの 近く」なんて騒いでますけど、北海道の羊蹄山という有名な湧水です。大きなところに雨がどんどん降って、それが噴き出してきて、川になって流れてくるというのが普通 なんですが、たまにこういう絵があります。

これは去年の5月に撮った写真でスイスの標高3000mくらいの地点なんですが、氷河の縦線わかりますか? 雪がどんどん降ってきて、これが積もるんですね。押さえられて押さえられて固く凍っちゃうんです。で、重いから降りてくるんです。それでだんだん下がって温度が上がってくると水になります。スイスの場合には氷河から直接水が出てくるんです。

いずれにしても、大きな水の循環があって、その恩恵に私たちが関係してるってことが大事なわけです。 

 

            中嶋信氏講演スクリーンより

私たちが使っている水道というのは、だいたい都市地域の利用の一つの形態です。都市地域だと工業用水とかも使うのでいろいろな方法があるんですけど、「水道というのはほんのわずかですよ」と考えてください。

たとえば、シュバルツバルトのようなところに落ちてきた雨が溜まって、川になって 流れてきて、農村で使われて、あるいは途中で都市に行って流れてという大きな循環がある。こういう大きな循環があってその一部として水道があるという捉え方が必要です。

というのは、たとえばこの辺に悪い業者さんがいて、有機水銀なんか流しちゃったら、使えなくなるわけでしょ。農業地域でホルモン剤を大量に使った場合には、その後の 水道の質の問題が起こりますよね。

ですから、こういう流域の大きな循環を上手く機能させて、その一部として水道事業を展開していくという大きな見方が必要だろうとわたくしは思います。私たちの水道の蛇口の奥に何があるのかということを想像する力が必要なんです。

私たちが安心してきれいな水を飲めるためには、上流でどうなっているかということを考えてほしいわけです。山に木が生えていて、土がきちんと固まっていて、そこに水が蓄えられて、地下水になって、それが噴出してきて川になるわけですね。

この図は、1990年代に私がもらった図なんです。誰からもらったかというと、当時は 建設省と言ってましたが国土交通省、公共事業の地元の事務所です。建設省の地方出先と考えていいんですけど、そこの所長からもらいました。

わたくしは当時ダム・ファイターをやっておりまして、ダム・ファイターというのは アメリカ流の表現ですけれども、ダムを作らせない運動する団体ですね。それに関わっておりまして、建設省の人っていうのはボクはあんまり信用してなかったんですね。 公共事業をどんどんやって、無駄な事業をやって、「ダムは無駄」というスローガンが当時あったんですけど、そんなことばっかりやってると思ってたんだけど、実は建設省の出先の方も、最先端を担ってる方も、結構心配してたんです。「これはまずいぞ」と考えてたんです。

ダムをドーンと作るとですね、水の流れが変わるわけです。それでいいのかって問題があります。やはりきちんと勉強した人なので、ただ公共事業やって景気を刺激すれば いいんだと考えてたわけではなかったようです。

そういう人の中でボクがすごいなと思ったのは、近畿の公共事業を全部担っていた淀川水系工事事務所所長の宮本博司さんです。近畿の公共事業の胴元です。この人の所に行って話を聞きました。

「ボクはダムを造るのは反対なんだけど、どうですか?」と言ったら、「ボクらも駄目だと思ってます」と言ってました。実際、宮本博司さんは5つのダム事業を止めました。そういう人たちもいたんです。大きな観点で水の循環をとらえたら、勝手に壊したらいけないってことがわかってたんですね。ただ、上からは景気刺激策のために公共事業が必要なんだからということで、一生懸命それを担っていたということのようです。

(水道は)都市の地域を中心としてほんの一部だけで行われている事業なんです。もっと大きな水系の中のほんの一部分だという捉え方をしてほしいですね。 

 

山村の変容

たとえば、いま山村がどうなってるかです。シュバルツバルトのような水源地が日本のそこら中にあるわけです。たとえば鬼首。スキー場があって立派な水源地があるんですけども、今どうなってるかと言うと、森が崩れてるんです。

杉っていうのは比較的成長が早いのね。だいたい50年ぐらいで材になります。(苗を)植えるときは一間巾です。狭いから大きくなったら枝が交差しちゃう。だから必ず見てて、間伐をするんです。たくさん植えて間引きをするわけです。それで立派な樹を残していくんです。50年経ったらそれが売れて儲かるよっていう仕組みなんです。

さて、そこで問題ですが、間伐してません。値段が安いからやる気がないんです。それと、間伐するというのは、いつも地域にいて見てなきゃダメなんです。突然行って「やるぞ」というわけにはいかない。過疎で住めなくなって、都市に移住しちゃった場合には、間伐はできないです。だから放置林になっています。

今度、放置林を見に行ってください。かなり悲惨です。ふつう、林に入ると虫が多くてイヤだという人が多いですけど、虫はほとんどいません。土がないからです。土がないから草も生えません。だから虫もいない。嫌いな蛇もいません。食うものがないから。

どうしてそうなったかというと、線香林と言って、線香のように細い樹が生えていて、そこに雨が降ると草が生えていないから土が流されちゃうんです。瓦礫だらけです。 最近、洪水が起きて、倒木がどっと流れてきて堰を壊したとか、住宅に被害を与えたという例が結構多いですね。それはそのためです。線香林のような全く頼りにならない樹が根こそぎ落ちてくるんです。

それは何のせいかというと、人が住めなくなったから。日本の水源地帯というのは、 実はそういう所にあるんだということを覚えてほしいんですね。水源涵養林が衰退しておりまして、水の循環系全体が壊れている。ということは、ぜひ林業も重要産業である宮城県では考えてほしいと思うんですね。そのようなきわどい状況にあるんだということをまず覚えておいてほしいわけです。平凡な生活を保障するためには、水の循環系全体が改善される必要があるんです。ところが、そこが、特に山岳地帯、森林をたくさん抱える地域で崩れてるって問題をぜひ考えてほしいんです。 

 

さてそこで、2番目の話をいたしましょう。 

水道事業は実は巨大な水循環の一部分であって、その問題を解決するには大きな循環をとらえておく必要があるよということまできました。そこのところで、水道事業がいま民営化しつつあることはおわかりのとおりです。これはアベノミクス、もはや死語になりましたけれども、サッチャーレーガンですから今から15年ぐらい前かな、その頃から出てきている新自由主義の考え方です。

いちおう経済学の先生やってましたから簡単なことは言えるんですけど、ケインズ流の財政政策が使えなくなりました。どうしてか? 使いすぎてお金がなくなったから。 財政的に破綻しました。だから出すのはどんどん手控えにして、お金がないのは民間に代わってもらいましょうというのが新自由主義です。従来のケインズ流の財政政策が失敗しちゃったので、それの後始末のために民間活力を導入というふうになったんだと考えています。

ですから、なるべくやりたいようにやらせる。そのためには規制緩和ですよということで、一生懸命取り組んだのがアベノミクスであったわけです。それの一つの表示として注目されているのが公共サービスなんです。公共サービスが、水道だけでなく教育とか福祉とか交通とかいろんなものがあるんですけれど、そこの部分を民間企業に任せてしまったらいいじゃないかという考え方に転換してくるわけです。

ですから、これまでの資本主義の欠陥が表面化したので、何とかしなくちゃいけないというので出てきた ”策略” と考えてよろしいかと思いますね。ただ、そういうふうに言っちゃあまずいですから、「財政政策、失敗してさあ」なんて言うとどうしょもないですから、一応ここで「新しい成長戦略だ」なんて言葉を使う。

で、公共サービス成長戦略というのを、実は2015年に日本政府は定めます。公共サービスを儲けの産業として展開する。そうすることによって日本経済を成長させるんだというよくわかんない理論です。竹中平蔵とかっていう人たちが一生懸命がんばったんですけども、そういうような人たちが進めた例なんですね。

で、どんなことをやったかなんですけども、まずは水道については、広域で整備するということと官民連携をさらに推進しようというので、先ほど一番最初に確認したような法律の改正を行ったわけです。いろんな人が出てまいります。たとえば世界的には、 ヴェオリア社、スエズ社。いずれも多国籍企業です。イギリスではテムズ・ウォーターというのがあって、これが世界の3大水メジャーです。こういった企業が、世界の国々が民営化に進んでいるので、この際儲け時だと入り込んでくるわけですね。このヴェオリア社は日本の政府の戦略チームの中にも職員を派遣しております。日本人の方です。 このことは福島みずほさんが国会で取り上げてましたけども。事業だけでなくて、事業を作る計画のところにまで入り込でるわけです。 

 

公共領域

           中嶋信氏講演スクリーンより

じゃあこの公共の部分についてどう考えたらいいのか、ちょっとおさらいだけしておきたいと思います。 「公」と「公共」は違います。「公」は地方公共団体などの「公」です。要するに政治組織、行政組織ですね。大きくは国、都道府県、それから市町村が「公」です。

地域の経済主体は、いろんなのがあって、たとえば民間企業があります。それから家庭経済もあります。家庭経済というのは「いやいやとてもお話しできるような水準じゃない」と考えるかもしれないけど、量が圧倒的に多いです。だから重要な経済主体です。

で、みんな原理が違うんですね。民間企業はどういう原理で動いてるかというと、言うまでもなく市場原理です。「儲からなかったらいけないよ」という活動です。地方公共団体は、これは地方自治法に定められていることですけど、住民の福祉のために頑張る組織です。だから市場原理ではありません。家庭経済はどういう原理で動いているか? あんまり考えたことないでしょ。何か困ってる人がいる(笑)。 家庭経済は、 ちょっと照れくさいんですけど、家族の幸福のために動いています。だからみんな運動原理が違うんです。

だけども共通する分野があります。保育であるとか学校教育であるとか、あるいは交通であるとか。そういう日常生活でみんなが必要なみんなのもの。みんなのものというのはコモンと言います。コモンズとも言いますけどね。社会的共通資本と宇沢弘文が言いますけども、そういうようなみんなが大事にするものがあるんです。共通部分のここが公共です。

大きくなったり小さくなったりするので、それぞれの団体が大きくなったりしてますけど、この重なる部分もどんどん大きくなったりするんです。たとえば保育。まずは自分の家で保育しますよね。その後どうするかっていうと、共同保育所に入れて、自分達のグループでやって、あるいは民間の保育所が出来てそこに預けて、それから公営の保育所に移すとかですね。公共の部分というのは、自分の家の近いところから行政に近いところまでいろんなところがあって、それぞれのところで公共の事業が展開されているんですね。

水道事業も、実はそういう組織であって、民間も協力するし、公共事業の中心の担い手は行政ですね。市町村です。地方公共団体が担当した部分を減らして、その部分を民間企業にお任せしましょうというのが民営化です。今その方向に進んでいるわけで、そうなるとどういう問題が起こるか? 

さっき言いましたように、それぞれ運動の原理が違う。住民福祉のための経済活動、 あるいは儲けのための経済活動、それから家族の幸福のための経済活動、それぞれ違うんですけども、中心となるものが変わると地域の公共のスタイル・性格が変わってきます。そこの議論をどうしたらいいのかということが次の問題になろうかと思うんですが、時間がないので先に進みますね。 

 

住民主権

水道事業はまさにここの公共部門で行われておりますけども、どんどん民間に移していくと市場原理に引っ張られて、家族の幸せとか住民の福祉から離れていく可能性があります。だから、ここのところをどうしようかという問題が起こりますけれど、これは最後のところで確認いたします。 

公共サービスの課題と「みやぎ型」の欠陥

              中嶋信氏講演レジュメ

レジュメのほうをちょっとご覧いただきましょうか。公共サービスというのは実は、先ほど佐久間先生もお話されましたけど、未熟な概念でありまして、まだ固まっていないところがあります。それについて一応、理念法だけはあるんです。2009年に公共サービス基本法というのが出されまして、そこで基本的な枠組みが作られています。基本的な枠組みが作られただけであって、それを具体的にどう実施するかという実施法はないんです。

どうしてそんなことなの?って心配ですけども、たまたま民主党が政権とった時がありましたね。ああこういう言い方失礼だったかな。その時に、「やはり公共サービスは重要である。そこのところをどうしましょうか?」というので基本法を作ったんです。 それが(レジュメに)示してあるものでして、これは、先ほどの水道事業もそうですけど、基本法があったらそれをどう実施するかという法律が次になきゃいけないんですけども、そこがやられておりません。だから理念しかないんです、残念なことに。未熟なのはそういうことで確認できますよね。

「じゃあ、公共サービスっていうのはどういうものなんですか?詳しく800字で答えなさい」とか、答えれないです。そういう状況なんですね。だけど、いちおう方向としてはわたくしはこれは大事なので、これを手がかりにして充実させていくのが私たちの仕事かなというふうに考えます。

たとえば、「多様化する国民の需要に的確に対応するかどうか」とかですね、「国民が自由に選択できるかどうか」とかですね、それから「サービスの中身についての勉強とか情報提供」、それから「進め方についての住民の意見の反映」、こういうのが必要なんだという考え方は、私は大事なポイントだと思うんです。

そのような事業をどう進めるかということについてはこれから考えていきたいと思うんですけども、そういうことをやりたいなと考えている人の考え方はその下に、「公務公共サービス労働組合評議会」の提案があるかと思うんですが、こういうものを軸にして決めていかなくてはいけないだろうと思うんです。

これの公共サービスを改良する現場からの提案の②を見てみましょうか。市民参加および近接決定の原則。どのような事業にするのということについては、利用の一番近い人が参加して決めましょうということです。ヨーロッパの場合には近接性の原理という言葉がよく使われるんですけども、住民生活に大事なことについては住民の意見を踏まえてやる。だから国が決めるんじゃない。地域の政府で意見をまとめて決める。これが近接性の原理です。そのような考え方で提案していくことが必要だろうと思うんですけども、民間企業に委ねちゃった場合にはそこから離れていくだろうということが容易に予想されるわけであります。水道法の第一条の趣旨は、言うまでもないことですけども、国民生活の安心なんです。そこから離れていく可能性があります。

二つのことをわたくしはお話したんです。一つは、水道事業とは大きな水循環系の中の一部分であるということと、もう一つはその事業の質についてどのように定めたらいいのかどう決めたらいいのかということですけれども、公共部門についての決定の仕方、「公共の議論を踏まえて決めるべきなんだけども、民営化したらそれはおかしくなるね」ということを言いたいわけです。

今日のお話は、みやぎ型の欠陥ということですけども、大きな欠陥はその二つです。 大きな水循環を無視している。それから、公共性を担保するための意思決定の仕方について無視している。これではいい事業を展望することはできませんから、私たちはここで止めなければいけない。 

 

SDGs

            中嶋信氏講演スクリーンより

そういうことについてちょっとはみ出しますけども、ちょっと許してね。3分ぐらいで終わるから。これは佐久間先生がお話されたいま国連が取り組んでいるSDGsですが、その中の6番目「安全な水とトイレを世界中に」という課題があるんですね。「2030年までにやりましょう」というのが目標。

コップとトイレをセットにした図なんで、ちょっとこれは気になるんですけど。無視しておきますが(笑)。「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」というのが目標です。で、それが図られたかどうかを毎年々々点検するんです。点検する時のチェックのポイントは何ですか?「水と衛生分野の管理向上に向け地域コミュニティの参加を支援」することによって内容を良くしますというのがSDGsの戦略なんですね。すべての人々に水と衛生を保障するんだというけれども、じゃあ具体的にどうやってやるんですか?という時に、ポイントになるのが地域コミュニティの参加。先ほどの言い方で言いますと、近接性の原理です。これをどう生かしていくのかということが大事なんだということになろうかと思います。 

 

加茂の大楠

もう時間すぎちゃったんでやめちゃいますけども、ちょっと雰囲気を変えますね。これ徳島県の西側にあるおっきな樹です。大楠です。加茂の大楠と言います。2007年に調査をして、この樹はだいたい樹齢1000年ぐらいだ。西日本で一番大きい樹です。高さは 27mぐらい、東西の幅が50mぐらい。ここに車があるのわかるでしょ。すごいでかいです。1本で大きな森ってぐらい。トトロが8匹ぐらい飼えるんじゃないか。今のうそだけど(笑)。

こういう樹があるのはどうしてなんでしょうか?って想像できますかね?すごいんです。(樹の)上もホントみずみずしいんです。こういう巨木を育む自然の力というのは実際どういうところにあるかというと、そのすぐ近くに吉野川が流れています。

 

吉野川

これは表流水です。表流水と地下水とは、伏流水とは、行ったり来たりしてるんです。すぐ近くにそういう大きな水源があって支えているので先ほどのような巨木が生かされているんだと考えたらいいと思いますね。

ボクらはこれから宮城県に対していろいろと注文をしないといけないんですけれども、そういう時にこういう大きな視点で議論したいなというふうに思います。

ちなみに、これ(カヌーに乗っている)私です。(会場から驚きの声)ダムファイターになったと言いましたけれども、なぜかというと、吉野川でカヌーで遊んでたんですね。そしたら、「川のお世話になってるんだからダム中止に協力しろ」と言われて、「ハイ」って、それからなんかその方向に進んでしまったんですね。失礼。余計なこと言いました。終わります。 

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが、6月10日に提出したみやぎ型に関する公開質問状への宮城県の回答に対して、記者会見で詳細な見解を 発表しました!!

2020年8月13日、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが宮城県庁で記者会見を開き、6月10日に提出したみやぎ型に関する公開質問状への宮城県の回答に対して、詳細な見解を発表しました。

命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ 

公開質問状への宮城県の回答

 

 

多々良さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ事務局)

どうも、みなさん。お集まりいただいてありがとうございます。 命の水を守る市民ネットワーク・みやぎの記者レクをやらせていただきます。

私たち命の水を守る市民ネットワーク・みやぎは、6月10日に宮城県宛てに、みやぎ型管理運営方式に関する公開質問状を提出しておりました。人材育成の問題ですとか、コスト削減が本当にできるのかという問題ですとか、水質管理・水質検査の問題ですとか、何項目か聞いていたのですが、それに対して、宮城県の公営企業管理者名で私たちに対して文書により回答がありました。

私たちが出した公開質問状に対して、県から回答があったんですが、そのほとんどが、私たちの質問に対するまともな回答になっていないおざなりな回答だったと思っています。しかしやはり、この回答をちゃんと読めば、みやぎ型について問題点がよく見えてくると思っております。

今日は、その県からの回答、こんな回答しか来ないんだよっていうか、こんな回答だよということをみなさんに公開するとともに、それに対する私たちの見解を述べさせていただきたいと思っております。

その中身については、私たちのネットワークの事務局であると同時に、東日本大震災 復旧・復興支援みやぎ県民センターの事務局長である小川さんからお話させていただきます。 

 

小川さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ事務局、東日本大震災復旧・復興 支援みやぎ県民センター事務局長) 

先ほどありましたように、6月10日に提出したものに対する回答があったわけですが、結論から言うと、宮城県自体がみやぎ型管理運営方式の県民理解が不足しているということを再三にわたって言ってきたのに、(宮城県は)県民理解それ自体を促進しようとしているのか?ということが、今回の回答を見たうえでの第一印象ですね。

 

ここが知りたい!「みやぎ型」

ここが知りたい!「みやぎ型」 

これが今年の5月6月の県政だよりに特集で掲載されたものです。 
これを我々のほうで読む中で、公開質問状を出したほうがいいなということで、見解の一番最初のところにも書いてありますけれども、県政だより5月6月号で、説明したというふうに本当に言えるのか?ということが、第一点の我々の問題意識です。到底説明が足りていないんで、きちっと説明してほしいということで、具体的な内容を取りまとめたのが今回の公開質問状です。

第二点は、県民の理解が非常に不十分なまま、当初に設定されたスケジュール通りに 物事自体を進めていくことが、まあボクらからすると県民不在というふうに言わざるを得ないだろうと。今回、コロナの問題もいろいろ言われていますが、いわゆる「公共って何なんだ?」ということ。特に、リアルに言えば、コロナの問題で図らずも明らかになったのは、保健所の問題、絶対数が足りないという問題がありました。減らされてるんですが、本当にそれでいいのか?ということが議論されてきています。そういう意味で言えば、水道も社会的共通資本という意味で、これから どうするのか? ということについて、きちっとした議論というものが改めて必要なのではないのかということが、我々の問題意識の二番目です。

三番目は、いま触れたコロナの問題で、もう一回、再検討・再検証が必要なのではないか。たとえば、経営シミュレーションひとつ取ってみても、世の中変わってきているわけですから、大きくここで。ホントに今までの検討プロセスのままの要件でいいのかということが、大きな問題としてあるだろうというふうに思います。

冒頭に言いましたけれども、今回の回答、二つの特徴的な我々の印象ですね。

ひとつは、ほとんどの回答が、質問に対するまともな答えになっていないということです。あと、我々が聞きたいと思っていることについてまともに答えていない。そういう点で言うと、非常に残念な回答だということで、質問に対して真摯に答えたというふうには到底思えないということです。

それから、二点目の特徴というか、はっきりしたことは、今回の水道事業へのみやぎ型管理運営方式の導入というのは、一番最初に来る目的は、経費削減なんですね。経費を削減して、管路の更新だとか、あるいは水道料金の値上げを一割程度に抑えるんだということで、経費削減ができなければ全然話にならない。そういうプランなんです。そういう点で言うと、我々コスト削減の問題をいろいろ質問しましたけれども、やはり、県のコトス削減というのは期待値に過ぎない。要するに、「こうしたいね」という願望の域を出ていない。今回の回答で、改めてそのことがはっきりしたというふうに考えています。 

(公開質問状では)全部で9項目質問したんですが、特に5項目の中心的な回答の内容についてお話します。

 

質問1で我々が質問したのは、民間の運営権者に運営管理を任せるということになれば、県の職員は現場実務からさらに遠くなってしまうということです。実務を(民間に)やらせるわけですから、県の担当者は管理中心ということになる。民間の運営権者の管理をする。そうなると、水道事業の詳細についてわからなくなってしまうんですね。ここにOJTとありますが、On the Job Training、要するに、現場で教育するという 場を失ってしまう。教育の機会を失ってしまうということです。

そのことによって、実際に、県が設定している様々な管理運営水準、「この水準でやってくださいね」というふうなこと自体を、自らすることができなくなってしまう。そういう能力を失ってしまうと強く思います。と同時に、運営権者が様々な投資の判断をするという、その投資の判断自体も、適切性がわからなくなってしまう。判断できないということになってしまう。

で、どういう人材育成を考えているのかと我々が質問すると、マニュアルの整備や研修等、外部機関への研修の参加と言います。それはそれで大事なことではありますが、 本質的に、OJTの場を失ってしまって、こういう研修だけに参加させてもほとんど意味はないということで、宮城県の水道事業の将来の困難性というものを高めることにしかならないだろうというふうに思います。

二番目は、コストの問題です。コスト削減するのに民間の力を借りてやるということ ですから、民間の管理運営権を取得したいと希望してる人たちに対して、マーケット サウンディングというものをやって、各社からいろんな「こういうコスト削減できますよ」あるいは「こういうふうなことがいろんな手だてを通じてやれますよ」というようなことを聞き取ったんですね、二回にわたって。

宮城県は、「聞き取った中で、コスト削減の率をこれぐらいの幅でできるだろうというのを、マーケットサウンディングから持ってきました」というふうに言ってるんですが、実際、管理運営権を目指す人たちは、コスト削減については、ボクらのカウント から言えば、10項目ぐらいしかないんですよね。

宮城県が非常に大きい金額を試算する前提になったコスト削減のいろんな要素、「こういうことができます」ということを、民間の業者はまともに答えていなかったということが、マーケットサウンディングの公開されたものからはっきりわかった。

「事業費削減額はトータルで20年間で247億円、運営権者のぶんは197億円と見積もりました」と宮城県が言っているのは、このマーケットサウンディングで「いくつかの項目をコスト削減できますよ」というふうに答えたものをもとにして計算するわけですね。

で、「計算した結果、この247億円と見積もった」と言っていますけれども、実際のマーケットサウンディングでは、「具体的にこれぐらいの数ね」というのは、10項目ぐらいしかなかった。宮城県の報告でもトータルで11社から提案があったと言われていますが、明確な数字ではなくて、「だいたい半分ぐらい」とか。業者からすれば答えようがないわけです。実際に今やってませんから。

「民間業者の意見を参考にして、県が実現可能性のある数字として設定した」と言っているけれども、実際には、業者の意見それ自体が少なかったということで、トータルの247億円だとか197億円のコスト削減をする基礎数値を置けなかったと私たちは考えています。

根拠となるコスト削減を数値化できなかったので、県は「みやぎ型管理運営方式を導入するからには、一割程度のコスト削減ができないと意味がない。一割は少なくてもクリアしなくちゃね」ということで、エイヤアと置いたのではないですか?ということを、我々は県とのやり取りの中でずっと話をしてきたわけです。

我々の考え方を覆すようなことは、今回の質問状の中では何も答えていない。

20年間のコスト削減ということをシミュレーションしてるんですけれども、「砂上の楽観試算」で、根拠が極めて薄弱だと言わざるを得ないということです。

県は、「197億円のコスト削減は、契約の中で謳うので絶対できるんです!」と言っています。仮りにそういう契約をしたとしても、コスト削減が実現するかしないかの判断は、20年間経たないとわからないわけですよ。20年経って、実現できなかった時にどうするの?というふうなことについても、(県の回答には)何もない。

それから、中間的にどのようにコスト削減されていくのかということについて、中間的に点検する等の仕組みも、あるいは対応方法についても、明らかにしていない。こういうようなことで本当にコスト削減できるのか?ということについては、さらに疑問は深まったということです。 

質問4は、水質管理の問題で、「今までの水準を絶対下回りません」と再三、今回の回答の中でも言っています。県は、当然、「水質検査、あるいは水質管理基準というのをクリアしてください」と言ってるんですが、実際に検査の基準をクリアするために検査をどういうふうにやるのかということについては、「県が今やっている方法を参考にしてください。性能発注なので、やり方はお任せします。一番最後の水質基準は、守ってください。」と。つまり、結果オーライでやり方はお任せします、ということです。 ホントにそれでできるの?ということを、我々は思わざるを得ないわけですが、  今までの管理基準をクリアしろと言うのであれば、今までの検査のやり方だとか、あるいは 試験のやり方だとかを、そのままトレースすればよい、同じようにやればいいわけです。何も難しい話ではなくて。それを、「今やっていることを参考にして、それぞれみなさん提案してください」というやり方にするとすれば、本当に安全性は確保されるのかという疑問はさらに深まってしまう、あるいは、解消されないということになると私たちは思います。

それから、もう一つ。これは県民の方々が不安だということで(みやぎ型の説明会で)いつも出されるわけですけれども、海外でいま水道事業の民営化されたものが再公営化される動きがあるということを、我々は質問の中で指摘をしたわけです。

海外での再公営化に関する資料では、再公営化の原因で多かったとされるものの中で、水道料金の高騰ということと、水道施設の管理運営者のレベルが低かったということ、この2つが再公営化の中で一番大きかった点だったんですが、これは厚労省の研究会の中で出されたもので、県はこれに参加していますから、これをどういうふうに教訓化したのかと質問したのに、書面では回答していない。

端的に言えば、県もわからないわけです。海外で何で再公営化したのかなんていうのは、県が直接調べるわけではないですから。そういう点がはっきりしないなら、「はっきりしないんだ」と言ったほうがいいとボクは思うんですが、言わないんですよね。 今までも、厚労省だとかの水道に関するデータをトレースして、こういう教訓ですと言っているに過ぎない。

最後に、下水道の問題です。今回の水道事業の3事業、上水道・工業用水道・下水道の民営化の中で、最初の2つである上水道と工業用水道は、受け手がはっきりしています。上水道は、我々が水道の蛇口から、工業用水道も工場ですが、下水道はそういう人がいないんです。自然界に流すわけです。下水道の水質管理をどういうふうにするのかは、環境負荷との関わりで極めて重要です。下水道でいたずらに経費削減すると、今言ったような構造にありますから、環境負荷に関わるような水質問題が発生する可能性があるわけです。

下水道で経費削減を見込んで、「経費をこういうふうに削減します」と言ってるんですけれども、どのように削減しようとしているんですか? やっちゃいけないことも経費削減でやるというようなことになれば、問題だと思ったから個別具体的に質問したんですが、「質問3で回答した通りです」と回答しているんです。

ところが、その質問3で、「3つの事業ごとに経費はこういう項目でこういうふうに削減しますよ」ということを求めたんですが、県はそれに回答していなかったんです。 (質問3で)何も回答していないにもかかわらず、「質問3で回答した通りです」と言うのも、またこれは二重にへんちくりんな話です。回答しなかったことについて、それで回答した通りですと言う。これが一番、我々からするとカチンとくるところですね。

県が掲げるみやぎ型の導入目的、これは民間の力を最大限活用することによって、経費削減、更新費用の抑制、技術継承、技術革新等を実現し、持続可能な水道事業経営を確立することにあります。ならば、一番最初に出てくる経費削減、これができなければ 何も始まらない。しかし、この経費削減の中身を質すと、まともに回答しない。説明もしない。

当初県議会で確認してもらったスケジュールをとにかくそのまんま、コロナがあろうがなかろうがそのまま進める、いわゆるスケジュール有りきで進めようとするスタンス、これが一番非常に象徴的なことなんじゃないかと思わざるを得ません。

そういう点で、県の回答は到底納得できるものではないわけで、みやぎ型を県は「水道民営化ではありません」と言うけれども、「やっぱり水道民営化なんじゃないの」と 思わざるを得ないような説明がされている。県民の疑問と不安に答えるものではないと我々は思いますので、今日(県が)コメントしてない部分も含めて、第二次の公開質問状を発することを考えています。私のほうからは以上です。

 

佐久間さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ共同代表)

全体的な印象は、問いに対して、何か不可解なお答えが出たということで、「こういうことしか書けないのかなあ」と思ったんですね。公開質問状の前にも私たちは、県と様々な機会に面談したり意見を述べてまいりましたが、何か全体がよくわからない、 全体像が描けないということだったんです。

3月13日に事業者の公募をするということで、公募関係の膨大な資料が公表されまして、私たちもそれを検討させていただきましたが、文字数は多いんですがよくわからない。そういったことも踏まえて質問したわけですが、「公募資料の要求水準書を見ろ」とかですね、そういう答えが返ってまいりまして、正直言って、もうちょっと真面目に、同じ答えであっても、少し丁寧に答えていただけるのではないかと多少の期待は 持っていたんですが、そうじゃない非常に型通りのホントに簡単な回答が出てきたということで、県民に対する説明というものをどういうふうに考えているのかな?と非常に大きな疑問を持ったということです。

2点目は、いま小川さんが申し上げたように、謳い文句は「経費削減」ですね。将来的に管路の更新費用が必要になったり、人口減少・節水型社会で収益が減っちゃうという中で採算が難しくなり、このままでは運営が危ういので、あるいは水道料金の値上げを避けられないので、民間の知恵を借りましょうと。民間にお願いするには、どういう 具体的な削減の効果が出てくるのかということが、経済合理性の線で一番重要なわけですが、それについて、まあ答えがなかった。

逆に、県が期待した数値に過ぎないということが、これまでも何回か言っておりましたけれども、公営企業管理者の 正式な回答として、公式の文書として出てきたというのは、 マイナスなんですけれども、大きな特徴だし、メリットではなかったかと思います。

私たちはコロナという経験をして、公共事業というものについてもう一度再認識をしている最中だし、コロナは世界をまたにかけるグローバル企業というのも、なかなか従前どおりには立ち行かなくなる可能性があるという新たな歴史的転換期にいるわけです。

そういうなかで、私たち一市民として、コロナ前の社会の価値観から構想されたこの みやぎ型というのが、これから本当にやっていけるのかなという大きな不安を持っているんですね。それについて、まあ質問ではないということかもしれませんが、県がそれなりに真面目に考えて、それらの考え方がどこかに言葉の端々にでも出てこないだろうかと期待していたんですが、そういうのは一つもなかったということです。

それには非常に失望いたしましたし、この重要な時代に、宮城県の水道3事業、220万人の宮城県民のうち198万人が対象になる流域に住んでいるという大きな事業の転換で、しかも全国初の制度になるんです。こういうものについて、私たちの特に真摯な問いかけについて、一片の回答もないというのは、非常に怒りを持っておりますし、こういうことを考えられない行政というのは何なのかな?と非常に不安感を持ちます。

 

中嶋さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ共同代表)

公共サービスは国民の生活に直結するわけですから、それについては、通常とは違った丁寧な対応をすべきだということが規定されているんですね。2009年の公共サービス 基本法の中では、丁寧に説明すると同時に協働するということが前面になっています

www.shugiin.go.jp

今回の回答もそうですけれども、一緒に公共サービスの中身を高め ようという姿勢が全く感じられないですね。これがとても残念と言うか、遺憾なことだと思います。こういうような状態ですと、(公共サービスとしての水道の)質そのものの劣化を食い止めることはできないだろうと思います。徹底した議論を私たちも持ち掛けていくし、議会でもきちんとこの点について深めていただくようにお願いしていこうと考えています。

 

多々良さん(命の水を守る市民ネットワーク・みやぎ事務局)

以上が私たちのコメントですけど、ちょっと一点だけ。

この件の回答の中で、コスト削減額は期待値だと言っているのはどこなのかということだけは、ちゃんと訴えておいていただきたいと思うんですが、お配りした資料の中の 7月22日という日付が入っている県の回答の2ページ、回答の3行目の「コスト削減額は、これらの意見を踏まえた『期待値』として、県が設定したものです。」の部分ですね。

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「これらの意見」というのは、小川さんが説明したマーケットサウンディングのことです。簡単に言っちゃうと、業者からの聞き取りです。小川さんの話に合ったように、 業者は実はたいした説明はしていないんですけど。中身はないんだけども、いちおう県が言うには、業者からの聞き取りを踏まえて期待値として「県が設定したものです」というこの言い回しがまた微妙だと思うんだけど、算出したものでもなければ、試算したものでもないんですよ。エイヤアと置いたってことです。「一割ぐらい減るって言わないとマズいよね」と。

さらに3ページを見てください。

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3ページの回答のところにも、4行目に「マーケットサウンディングにおいて、3事業の費目ごとの削減率を定量的にヒアリングしたものではありません。」とあります。

3事業というのは上・工・下ですね。その内訳さえ、別に聞き取ってないと。定量的には何もないし、内訳はないと。つまりは、根拠がないと言ってるの等しいんじゃないかということです。

さらに、その下がふるってるんですけど、「民間事業者の募集に当たっては、197億円以上のコスト削減をすることを条件に提案を受け、選定された民間事業者とはその提案内容を盛り込んだ契約を締結することから、197億円以上のコスト削減は間違いなく実現することとなります。」

つまりは、197億円削減するという契約書を結ぶから、必ず削減できるんだと言っているんですね。これはちょっと、「〇は〇だと約束したから、必ず〇になります。△は△だと約束したから、必ず△になります。」みたいな子供だまし的な論法で、県の根拠はこれしかないということです。

 

マスコミ各社からの質問

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仙台放送

もう一度同じ答えになってしまうかもしれないんですけど、いま多々良さんのお話に あったこれまでの意見を踏まえた2ページ目にある「『期待値』として県が設定したものです」と回答してきたことに対して、もう一度簡単でかまいませんので、どのような見解なのか、意見をもう一度よろしいでしょうか?

 

小川さん

いや、あの~苦しいんだと思うんですよ、県は。マーケットサウンディングというのは、4,000万円かけたんですよ。日本総研にお金を払って調べてもらったんですよ。

ところが、ボクらさっき例を示しましたけど、(日本総研の提案書を)全部見たんです。県も当然見て、コスト削減がどれぐらいの件数で提案されたのかここに書いてあるんです、確かに。日本総研の提案書の中でも、「合わせると11社11件ありましたよ」と書いてあるんです。

それは、どういうふうな表現だったのかと言うと、今日は時間がないのでなかなか明確に説明できませんけど、たとえば、「半分ぐらいは削減できるんじゃないか」とか「5%いけばいいほう」とか、こんな話なんですよ、業者が答えているのは。

つまり相当ファジーで、明確に定量的に「何パーセントできます」ということを、きっちり言い切れるような答えはほとんどないんですよ。だから県は困ったと思うんです。
たとえば、「10社ぐらいから10%ぐらいいくと出された。一番多いのは 15%だったけど、15%じゃちょっと大変だから、中間値とって10%にしました」という 論法は使えなかったんです、数が少なくて。で、抽象的な話だけだったんです。

そういう点で言うと、先ほど言いましたように、県は大変困ったと思うんです。困ったけど、設定しないといけないので、非公式にはボクら県とやり取りしますが、その時に「エイヤアと置いたでしょう?」とか質問するわけですよ。そうすると否定しないわけですよ、県は。「10%程度いかないと、みやぎ型管理運営方式やる意味はないと言われるので、10%って数字」ってことも、やり取りの中ではあるわけですよ。 ただ、それは、当然公式には認めない、公式には言わないことです。

だけど、トレースしてみると、いま言ったような理由で言えないんだなっていうことがよくわかったということです。

 

佐久間さん

いま小川さんが言ったことは、公開質問状の4ページに、マーケットサウンディングの結果について等を私たちが分析した非常に大雑把な数字が並んでおります。(業者の)回答のないところもいっぱいありますが、こういうようなアバウトな聞き取りの結果が出てるということなんですね。

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miyagi-suidou.hatenablog.com

だから、一つ一つを積み上げてこれだけの削減ができると いうような緻密で厳密なものではないです。

先ほど多々良さんが言った県の回答の3ページ、『期待値』のところでも、「契約するから実現することになります」という絶妙な表現ですね(苦笑)、これには、正直言って驚いているところですが。

 

多々良さん

私も民間で商売をしてたんですけども、契約ってなんぼでもできます。20年契約ですし。根拠もない、試算もない、シミュレーションもない20年契約。「契約したから、 必ず実現します」という言いぶりは、ちょっと(苦笑)。民間で働いてきた人だったら、怖くて絶対言えない。みなさんも民間ですが、どう思いました?

 

佐久間さん

ぜんぜん自然現象で実現するみたいに書いてありますが、これもある意味で、「契約 したから、契約の結果を達成できないのは相手方の責任だ」ということになるんでしょう。けれど、この事業を、こういうなんか危うい、実現するかどうか正直確信を持ててないのを、約束を持って実現させるから大丈夫だという論法で進めるというのは、非常に危ないなと思いますね。

契約が実現できない相手企業が破綻したらどうなるのか?「破綻したら、次なる業者に引き継いでもらう」と言いますけども、次なる業者がいるかどうかはわからない。次なる業者が現れるまで、その隙間の水事業をどうするのか?という問題もありますよね。

ですから、そういう意味では、やっぱり県民の大切な水を守るのには、万が一の危険があるのを避けるというのが、ごく当たり前の事業のやり方だと思います。よくわからないけど、『期待値』で契約をして、契約に則り業者が責任を持ってやるべきだというのはですね、論法的に破綻している。県がこれは実現性があるとかなりの確信を持って実施していくのならいいですけど、それでも危ういわけですね。「契約した業者が悪いんだ」と逃げの論法に通じないとも限らない言い方ですから。これは非常に本末転倒ではないかと私たちは思っている。

 

河北新報

今回は公開質問状を出しましたけど、この後は、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎとしてはどのようなことをしていくのでしょうか?

 

小川さん

ここにある市民講座で、市民の方々に理解してもらうというのがあるんですけど。

ここがヘンだよ!みやぎ型

公開質問状の目的の中でも言いましたけど、ボクらはね、県民理解をちゃんとすべきだということなんですよ。ちゃんと県民の人たちが、宮城県の水道の 現状はどうで、これからどうしていくことが必要なのか、と。人口が減っていくわけ ですから、厳しくなるのはみんなわかっているわけです。ある意味では、ふわっとね。

問題は、そこで議論するということだと思うんですね。そのために、公開質問状を出したし。しかし答えてくれない。ならば、この市民講座のような形でやりながら、もう 一回質問状を出して、「とにかく議論しようよ」ということを、県に何回も問題提起していくということを、我々の活動としてはやり 続けていくことが必要だと思います。

 

多々良さん

よろしいですか? 実はですね、宮城県企業局が9月9日に、みやぎ型に関する説明会をやるという告知が出たんですね。これも、この間コロナで半年間くらい、ほとんど住民に説明する場が一切なしで、手続きだけトットトットと進めていたということで、それに対して私たち批判していたわけですね。そのことをかなり気にして、ホントに今回 人集めていいのかなあ?というのがありつつ、でも、無理やり設定したなと思うんですけど。

なので、この9月9日の県がやる説明会の場にも我々は参加して、公開の場で、今回質問したようなことをもう一回ぶつけていくことも合わせてやりたいなというふうに思っています。

 

みやぎ型管理運営方式説明会

 

みやぎ型管理運営方式説明会

 

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